以下、本発明に係るサスペンションアッセンブリ搬送装置について実施の形態を挙げ、添付の図1〜図27を参照しながら説明する。
図1〜図3に示すように、本実施の形態に係るサスペンションアッセンブリ搬送装置10は、車両本体12が順次搬送される搬送ライン14の下に設けられ、位置決め固定された車両本体12に対してフロント側のサスペンションアッセンブリ16及びリア側のサスペンションアッセンブリ18を供給する搬送装置である。サスペンションアッセンブリ搬送装置10は、フロント側のサスペンションアッセンブリ16を供給するフロント供給部10aと、リア側のサスペンションアッセンブリ18を供給するリア供給部10bとからなる。
サスペンションアッセンブリ16(図2参照)は、車両本体12のフロントエンジンルーム12aに装着されるアッセンブリユニットであって、所定のフレームをベースに構成されており、ロアアーム、ダンパアッセンブリ、等速ジョイント、ブレーキ機構、操舵ロッド、ハブ、エンジン及び変速機構等が一体的に組み付けられている。また、サスペンションアッセンブリ18は、車両本体12の後部サスペンションルーム12bに装着されるアッセンブリユニットであって、所定のフレームをベースに構成されており、ロアアーム、ダンパ、コイルスプリング、ブレーキ機構及びハブ等が一体的に組み付けられている。サスペンションアッセンブリ16は、エンジン及び変速機構等を有することから、サスペンションアッセンブリ18よりも複雑且つ大重量である。
フロント供給部10aは、サスペンションアッセンブリ16を搭載自在な2枚の平面視で四角のパレット20と、車両本体12にサスペンションアッセンブリ16を装着する際、車両本体12を位置決め固定するステーション22と、該ステーション22に固定された車両本体12に対してサスペンションアッセンブリ16を装着する際、パレット20を搬入、位置決めをする装着機構24とを有する。
さらに、フロント供給部10aは、装着機構24に隣接し、車両本体12の車幅方向(矢印A方向)に延在し、パレット20を移動自在な搬送機構26と、搬送機構26と装着機構24との間でパレット20の受け渡しをする移載機構28aと、搬送機構26の一方(矢印A1方向)の端部に隣接して設けられ、搬送機構26との間でパレット20の受け渡しをするパレット第1待機機構30と、搬送機構26の他方(矢印A2方向)の端部及び装着機構24に隣接して設けられ、搬送機構26及び装着機構24との間でパレット20の受け渡しをするパレット第2待機機構32とを有する。
以下、説明の便宜のため、パレット20の作業の基準となる矢印A方向の長さの単位を「ブロック」と記す。1ブロックは、パレット20の矢印A方向の長さよりやや長く、車両本体12の車幅と略等しい。
搬送機構26は、搬送ライン14と直交する向き(矢印A方向)に延在しており、搬送ライン14の直下に1ブロック、矢印A1方向に2ブロック、矢印A2方向に1ブロックの合計4ブロックの長さを有する。搬送機構26の箇所を特定するために、矢印A1方向から矢印A2方向に向かってブロック順に、第1区画26a、第2区画26b、第3区画26c及び第4区画26dと呼んで区別する。
パレット第1待機機構30は1ブロックの長さで、搬送機構26の第1区画26aにおける後方(矢印B2方向)に隣接して設けられている。パレット第1待機機構30には搬送機構26から空のパレット20が矢印B2方向に搬入され、所定の手段によって該パレット20にサスペンションアッセンブリ16が搭載され、その後、搬送機構26に対して矢印B1方向に搬出される。パレット20の搬入、搬出動作は、パレット第1待機機構30の両端に設けられた移載機構28b、28cによって行われる。
パレット第2待機機構32はL字形状であって、搬送機構26の第4区画26dにおける後方及び矢印A2方向側面を覆うように隣接して設けられている。パレット第2待機機構32の矢印A方向の長さは約2ブロックである。パレット第2待機機構32の箇所を特定するために、ブロック毎に第1区画32a、第2区画32b及び第3区画32cと呼んで区別する。第1区画32aは第4区画26dの後方(矢印B2方向)の区画であり、第2区画32bは、第1区画32aからみて矢印A2方向の区画であり、第3区画32cは、第2区画32bからみて矢印B1方向で第4区画26dからみて矢印A2方向の区画である。
第4区画26dの中央部には、矢印B方向に延在する移載機構28dが設けられており、第1区画32aとの間でパレット20を受け渡すことができる。第1区画32aの中央部には、矢印A方向に延在する移載機構28eが設けられており、装着機構24との間でパレット20を受け渡すことができる。第2区画32bの中央部よりやや矢印B2寄りには矢印A方向に延在する移載機構28fが設けられており、第1区画32aとの間でパレット20を受け渡すことができる。移載機構28fは中央部よりややずれて配置されていることから移載機構28eと干渉することがない。
第3区画32cの中央部には、矢印B方向に延在する移載機構28gが設けられており、第2区画32bとの間でパレット20を受け渡すことができる。第2区画32bの移載機構28fは矢印B2方向にずれて配置されていることから、移載機構28gは第2区画32bの中央部まで延出してパレット20を確実に移載することができる。第3区画32cの中央部よりやや矢印B1寄りには、矢印A方向に延在する移載機構28hが設けられており、第4区画26dとの間でパレット20を受け渡すことができる。
リア供給部10bは、サスペンションアッセンブリ18を搭載自在な2枚の平面視で四角のパレット40と、該ステーション22に固定された車両本体12に対してサスペンションアッセンブリ18を装着する際、パレット40を搬入、位置決めをする装着機構44と、該装着機構44に隣接し、車両本体12の矢印A方向に延在し、パレット40を移動自在な搬送機構46と、搬送機構46と装着機構44との間でパレット40の受け渡しをする移載機構48aと、搬送機構46の一方(矢印A1方向)の端部に隣接して設けられ、搬送機構46との間でパレット40の受け渡しをするパレット第3待機機構50とを有する。
搬送機構46は、矢印A方向に延在しており、搬送ライン14の直下に1ブロック、矢印A1方向に1ブロック、矢印A2方向に1.5ブロックの合計3.5ブロックの長さを有する。搬送機構46の箇所を特定するために、矢印A1方向から矢印A2方向に向かって順に第1区画46a、第2区画46b、第3区画46c及び第4区画46dと呼んで区別する。第1区画46a、第2区画46b及び第4区画46dは1ブロックの長さを有し、第3区画46cは0.5ブロックの長さを有するものとする。
パレット第3待機機構50はL字形状であって、搬送機構46の第1区画46aにおける後方及び矢印A1方向側面を覆うように隣接して設けられている。パレット第3待機機構50の矢印A方向の長さは約2ブロックである。パレット第3待機機構50の箇所を特定するために、ブロック毎に第1区画50a、第2区画50b及び第3区画50cと呼んで区別する。第1区画50aは第1区画46aの後方の区画であり、第2区画50bは、第1区画50aからみて矢印A1方向の区画であり、第3区画50cは、第2区画50bからみて矢印B1方向で第1区画46aからみて矢印A1方向の区画である。
搬送機構46の第1区画46aの中央部には、矢印A方向に延在する移載機構48bが設けられており、第3区画50cとの間でパレット40を受け渡すことができる。第1区画50aの中央部には、矢印B方向に延在する移載機構48cが設けられており、第1区画46aとの間でパレット40を受け渡すことができる。第2区画50bの中央部よりやや矢印B2寄りには矢印A方向に延在する移載機構48dが設けられており、第1区画50aとの間でパレット40を受け渡すことができる。
第3区画50cの中央部には、矢印B方向に延在する移載機構48eが設けられており、第2区画50bとの間でパレット40を受け渡すことができる。第2区画50bの移載機構48dは矢印B2方向にずれて配置されていることから、移載機構48eは第2区画50bの中央部まで延出してパレット40を確実に移載することができる。
装着機構24、搬送機構26、パレット第1待機機構30、パレット第2待機機構32、装着機構44、搬送機構46、パレット第3待機機構50の上面には、多数の低い円柱ガイド52、及び多数の鋼球キャスター54(図3参照)が設けられている。
図2に示すように、ステーション22の矢印B1側には装着機構24が設けられ、矢印B2側には装着機構44が設けられている。ステーション22の上方には搬送ライン14が設けられている。車両本体12は搬送ライン14によって矢印B1方向に向かって順次搬送され、装着機構24の上方にフロントエンジンルーム12a、装着機構44の上方に後部サスペンションルーム12bが配置されるように位置決め固定される。
ステーション22には、昇降機構56が設けられており、装着機構24及び装着機構44を昇降させることができる。これにより、装着機構24に搬入されたパレット20上のサスペンションアッセンブリ16はフロントエンジンルーム12aに装着され、装着機構44に搬入されたパレット40上のサスペンションアッセンブリ18は後部サスペンションルーム12bに装着される。
図4に示すように、パレット20(及び40)の下面には格子溝60が設けられている。これらの格子溝60の幅は円柱ガイド52よりも僅かに大きく設定されており、円柱ガイド52が格子溝60に係合することにより、パレット20は向きを維持したまま安定して縦横方向に搬送、移載するようにガイドされる。また、格子溝60以外の平面部62は鋼球キャスター54に当接することから、パレット20は鋼球の転がり作用によって滑らかに移動可能である。なお、パレット40についても、下面に同様の格子溝60及び平面部62が設けられており、向きを維持したまま安定且つ滑らかな移動が可能である。パレット20(及び40)の表側には、サスペンションアッセンブリ16(及び18)を支持する複数のステー64が設けられている。
図5及び図6に示すように、搬送機構26は、2本の平行なベースレール70と、該ベースレール70の間の角パイプ71上に設けられたベースラック72と、該ベースラック72に対してピニオンギア74aが噛合しながら移動する主搬送部76と、主搬送部76の荷重を受ける2本の平行なメインレール78とを有する。2本のベースレール70は床面よりやや高い位置に設けらており、その間隔は狭く設定されている。2本のメインレール78はベースレール70よりも高い位置に設けられ、その間隔はやや広く設定されている。
主搬送部76はメインレール78の間に設けられ、平面視(図3参照)で矢印A方向に約2ブロックの長さを有し、矢印B方向の幅はパレット20の幅よりもやや広い。主搬送部76は、2本のメインレール78の間に設けられた枠体80と、該枠体80の一方の端部近傍から下方に突出し、ベースレール70に対してスライド自在に係合するレール保持部82と、枠体80に設けられピニオンギア74aを回転させる主搬送モータ74と、枠体80に支持された上面板84と、該上面板84に設けられてメインレール78に乗る4対の車輪86とを有する。
レール保持部82は各ベースレール70の上面に当接する2対のローラ88aと、下面に当接する2対のローラ88bと、側面に当接する2対のローラ88cとを有し、ベースレール70をスライド自在に保持している。主搬送モータ74はレール保持部82から側方に突出するように設けられており、変速機74bを介してピニオンギア74aを回転させる。主搬送部76は、ベースレール70及びメインレール78のガイド作用及びピニオンギア74aとベースラック72の噛合作用によって矢印A方向にスムーズに移動自在である。
主搬送部76は、さらに、枠体80に設けられた機台90と、該機台90に固定された2本のスライドガイド92及び1本のサブラック94と、スライドガイド92に対してピニオンギア96aが噛合しながら移動する副搬送部100を有する。スライドガイド92及びサブラック94は1ブロック以上の長さを有しており、副搬送部100は主搬送部76上で少なくとも1ブロックの移動が可能である。また、上面板84上には、多数の円柱ガイド52、及び多数の鋼球キャスター54が配列して設けられており、パレット20を矢印A方向に移動可能に支持する。
副搬送部100は、ベースとなる小枠体102と、該小枠体102に設けられてピニオンギア96aを回転させる副搬送モータ96と、スライドガイド92をスライド自在に保持する保持部104と、小枠体102から上方に延在する連結板106と、該連結板106に設けられた2つのシリンダ110とを有する。保持部104にはスライドガイド92に係合するスライダー112が設けられており、副搬送部100はスライドガイド92及びスライダー112によるスライド作用により滑らかに移動可能である。
2つのシリンダ110は、矢印B方向に並列しており、それぞれロッド110aが鉛直方向に進退する。ロッド110aの幅はパレット20(及び40)の格子溝60に係合可能に設定されている。ロッド110aを突出させて格子溝60に係合させた状態で副搬送モータ96を回転させると、副搬送部100はスライドガイド92に沿って矢印A方向に滑らかに移動するとともに、パレット20を少なくとも1ブロック移動させることができる。
なお、フロント側の搬送機構26は主搬送部76及び副搬送部100による搬送距離が約3ブロックであるのに対し、リア側の搬送機構46による搬送距離は約2.5ブロックである点で相異するが、それ以外の構成は同様である。以下の説明では、搬送機構26の主搬送部76及び副搬送部100を主搬送部76a及び副搬送部100aと表し、搬送機構26の主搬送部76及び副搬送部100を主搬送部76b及び副搬送部100bと表して区別し、それ以外の構成要素については、搬送機構26のそれと同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
次に、図7に示すように、移載機構28hは、ベースプレート150に設けられており、該ベースプレート150を昇降させる一対のシリンダ152と、ベースプレート150上に設けられたラック154と、矢印A1方向に延在するアーム156と、該アーム156の一端部に設けられたモータ158とを有する。移載機構28hは、さらに、モータ158によって回転するピニオンギア158a及び駆動スプロケット158bと、駆動スプロケット158bによってアーム156の周りを循環駆動されるチェーン160と、該チェーン160の循環を案内する従動スプロケット162a、162b、162cと、チェーン160に連結されてアーム156の上部を移動する係合部164とを有する。従動スプロケット162a及び162bは、アーム156の先端側及び基端側に設けられている。従動スプロケット162cはモータ158の近傍に設けられており、テンショナーを兼ねている。係合部164の上面には、上方に突出した係合突起164aが設けられている。係合突起164aの幅はパレット20(及び40)の格子溝60に係合可能に設定されている。
ピニオンギア158aはラック154に噛合しており、モータ158の作用下にピニオンギア158aが回転することにより、アーム156は矢印A方向に移動する。このとき、駆動スプロケット158bも回転することからチェーン160が循環駆動され、係合部164もアーム156上を矢印A方向に移動する。
移載機構28hでは、アーム156が矢印A2方向に最も変位しているとき、係合部164も矢印A2方向に最も変位した状態(つまり、従動スプロケット162bの近傍位置)となるように設定される。一方、図7の二点鎖線で示すように、アーム156が矢印A1方向に最も変位しているとき、係合部164も矢印A1方向に最も変位した状態(つまり、従動スプロケット162aの近傍位置)となるように設定されている。従って、係合部164は、アーム156自体の変位量と、チェーン160の循環によるアーム156上における係合部164の変位量との合計の変位量だけ移動が可能であり、コンパクトな構成でパレット20の長距離移動が可能である。
係合部164は、係合突起164aを格子溝60に係合させることにより、パレット20を長距離にわたって移動させることができる。係合突起164aの格子溝60に対する係合及び開放をするときには、シリンダ152のロッドを延出及び縮退させ、ベースプレート150を上昇及び下降させればよい。
なお、移載機構28hを例に挙げて説明をしたが、他の移載機構28a〜28g及び移載機構48a〜48eについては、移送距離や移送方向が異なるのみであり、基本的構成は同じであることから詳細な説明を省略する。移載機構28a〜28hはパレット20の移載用であり、移載機構48a〜48eはパレット40の移載用として用いられる。
上記のように構成されるサスペンションアッセンブリ搬送装置10によれば、パレット第1待機機構30に配置したパレット20にサスペンションアッセンブリ16を搭載し、搬送機構26を介して装着機構24に移載した後フロントエンジンルーム12aに装着される。空になったパレット20は一時的にパレット第2待機機構32に払い出されて、装着機構24にはサスペンションアッセンブリ16を搭載した別のパレット20が搬入される。この後、空のパレット20は搬送機構26によってパレット第1待機機構30に搬入される。
一方、搬送機構46の主搬送部76を矢印A2方向に変位させた状態で第4区画46dのパレット40にサスペンションアッセンブリ18を載置し、矢印A1方向に0.5ブロック移動した後、装着機構44から空のパレット40を主搬送部76に移載する。主搬送部76は2枚のパレット40を搭載した状態でさらに矢印A1方向に1ブロック移動し、サスペンションアッセンブリ18を搭載したパレット40を装着機構44に移載し、車両本体12の後部サスペンションルーム12bに装着する。この装着作業の間、他方の空のパレット40は第4区画46dに搬送され、新たなサスペンションアッセンブリ18が搭載される。
次に、このように構成されるサスペンションアッセンブリ搬送装置10を用いて、車両本体12に対してサスペンションアッセンブリ16及び18を装着する手順について詳細に説明する。この手順は7工程からなり、図8〜図14に示す順に行われる。サスペンションアッセンブリ搬送装置10では、フロント側のサスペンションアッセンブリ16の搬送に2枚のパレット20を用い、リア側のサスペンションアッセンブリ18の搬送に2枚のパレット40を用いる。以下の説明では、必要に応じて2枚のパレット20をパレット20a、20bとし、2枚のパレット40をパレット40a、40bと区別して記す。また、図8〜図27においては、パレット20及び40上においてサスペンションアッセンブリ16、18及び後述するサスペンションアッセンブリ17及び19を模式的にハッチング付きの「○」印として表す。
図8に示すように、第1工程では、主搬送部76aは矢印A2方向に最大変位しており、副搬送部100aは主搬送部76aの上で矢印A1方向に最大変位している。また、主搬送部76bは矢印A1方向に最大変位しており、副搬送部100bは主搬送部76bの上で矢印A2方向に最大変位している。サスペンションアッセンブリ16が搭載されたパレット20aは副搬送部100aに搭載されて装着機構24に対面する位置(つまり、第3区画26c)に配置される。サスペンションアッセンブリ18が搭載されたパレット40aは装着機構44に対面する位置(つまり、第3区画46c)で副搬送部100bに搭載されている。
一方、空のパレット20bはパレット第2待機機構32の第1区画32aに配置されており、空のパレット40bは主搬送部76bの矢印A1側の部分に配置されている。
図9に示すように、第2工程では、移載機構28aによりパレット20aを装着機構24に移載し、副搬送部100aを第4区画26dに移動させ、移載機構28dによってパレット20bを副搬送部100aに移載する。また、移載機構48aによりパレット40aを装着機構44に移載し、副搬送部100bを第1区画46aに移動してパレット40bに係合させる。この後、サスペンションアッセンブリ16及び18はステーション22において車両本体12に装着される。
図10に示すように、第3工程では、主搬送部76aを矢印A1方向に2ブロック移動させるとともに副搬送部100aを矢印A1方向に1ブロック移動させ、副搬送部100aを第1区画26aに配置させる。また、主搬送部76bを矢印A2方向に1.5ブロック移動させるとともに副搬送部100bを矢印A2方向に1ブロック移動させ、副搬送部100bを第4区画46dに配置させる。
このとき、パレット20bは主搬送部76a及び副搬送部100aが協動して動作することによって長距離(3ブロック)の移動が可能であって、しかも主搬送部76aの搬送速度と副搬送部100aの搬送速度が合計された速い速度で移動することができる。同様に、パレット40aは主搬送部76b及び副搬送部100bが協動して動作することによって長距離(2.5ブロック)の移動が可能であって、しかも主搬送部76bの搬送速度と副搬送部100bの搬送速度が合計された速い速度で移動することができる。
図11に示すように、第4工程では、パレット20bは移載機構28b及び28cによってパレット第1待機機構30に移載される。
図12に示すように、第5工程では、パレット20bはサスペンションアッセンブリ16が搭載された後、移載機構28b及び28cによって副搬送部100aに移載される。また、パレット40bにはサスペンションアッセンブリ18が搭載される。このとき、パレット第1待機機構30とステーション22との間には作業空間200が約1ブロック確保されていることから作業員のパレット20aに対する作業や確認が容易である。さらに、第4区画46dはステーション22から約0.5ブロック離間していることから、作業員のパレット40aに対する作業や確認が容易である。
一方、パレット20a及び40aに搭載されていたサスペンションアッセンブリ16及び18は車両本体12に装着され、パレット20a及び40aは空になる。
図13に示すように、第6工程では、主搬送部76aは矢印A2方向に2ブロック移動し、副搬送部100aは第3区画26cに移る。主搬送部76bは矢印A1方向に0.5ブロック移動する。
図14に示すように、第7工程では、空のパレット20aは移載機構28eによってパレット第2待機機構32の第1区画32aに払い出されるとともに、空のパレット40aは移載機構48aによって主搬送部76bにおける矢印A1側の部分に払い出される。これにより主搬送部76bには、2枚のパレット40a及び40bが並列して搭載される。
この後、主搬送部76bが矢印A1方向に1ブロック移動することにより、図8に示す状態と比較してパレット20aとパレット20bが入れ替わるとともに、パレット40aとパレット40bが入れ替わった状態になり、サスペンションアッセンブリ16及び18の搬送が継続されることになる。
このように、サスペンションアッセンブリ搬送装置10のフロント供給部10aによれば、サスペンションアッセンブリ16は2枚のパレット20a及び20bにより、サスペンションアッセンブリ18は2枚のパレット40a及び40bによってそれぞれ効率よく搬送される。
また、パレット20aが装着機構24に搬入、位置決めされて、搭載されたサスペンションアッセンブリ16を車両本体12に対して装着作業を行っている間、他のパレット20bは搬送機構26及びパレット第1待機機構30において新たなサスペンションアッセンブリ16の搭載、搬送等を行うことができ、2枚のパレット20a、20bが無駄なく利用され、サスペンションアッセンブリ16を円滑に供給することができる。
さらに、装着機構24によりパレット20a上のサスペンションアッセンブリ16を車両本体12に対して装着する作業を終了するまでに、サスペンションアッセンブリ16を搭載した他のパレット20bを装着機構24に移載する準備を終えておくことができ、待ち時間のないより円滑な供給が可能である。
さらに、搬送機構26では主搬送部76と副搬送部100が協動してパレット20a、20bを搬送することから高速搬送が可能であって、しかも状況に対応した複雑な動作が可能である。なお、リア供給部10bについても、パレット40a、40bを用いてフロント供給部10aと同様の効果を奏する。
ところで、搬送ライン14においては、必ずしも一種類の車両本体12が搬送されている訳ではなく、生産計画に応じて複数種類の車両本体12対してそぞれ対応したサスペンションアッセンブリ16及び18を装着する場合がある。サスペンションアッセンブリ16及び18の種類が変わる場合には、パレットもそれに応じて交換する。
以下、車両本体12の種類が変更される場合において、対応するパレットを交換する手順(パレットチェンジサイクル)について説明する。この手順は13工程からなり、図15〜図27に示す順に行われる。
元のパレット20a、20b、40a及び40bに対して交換するパレットをパレット21a、21b、41a及び41bとして記す。パレット21a及び21bは、新たな種類の車両本体13におけるエンジンルームに装着するサスペンションアッセンブリ17を搭載自在なパレットである。パレット41a及び41bは、新たな種類の車両本体13における後部サスペンションルームに装着するサスペンションアッセンブリ19を搭載自在なパレットである。
先ず、図15に示すように、第1工程では、空のパレット21a及び21bをパレット第2待機機構32の第3区画32c及び第2区画32bに配置するとともに空のパレット41a及び41bをパレット第3待機機構50の第1区画50a及び第2区画50bに配置しておく。この図15に示す状態では、パレット20a、20b、40a及び40bと、主搬送部76a及び76bと、副搬送部100a及び100bとについては図8に示す状態と同じ配置となっている。
図16に示すように、第2工程では、移載機構28aによりパレット20aを装着機構24に移載するときにパレット21aを移載機構28hによって主搬送部76aに移載する。また、移載機構48aによりパレット40aを装着機構44に移載するときにパレット40bを移載機構48bによりパレット第3待機機構50の第3区画50cに移載する。この後、ステーション22においてパレット20a及び40aに搭載されたサスペンションアッセンブリ16及び18は車両本体12に装着される。さらに、副搬送部100bを第1区画46aに移動する。
図17に示すように、第3工程では、パレット21bを移載機構28gにより第2区画32bから第3区画32cに移載するとともに、パレット41aを移載機構48cにより第1区画50aから主搬送部76b上の副搬送部100bに移載する。
図18に示すように、第4工程では、主搬送部76a及び副搬送部100aが協動することによってパレット21aを搬送機構26における第4区画26dから第1区画26aに搬送するとともに、主搬送部76b及び副搬送部100bが協動することによってパレット41aを搬送機構46における第1区画46aから第4区画46dに搬送する。また、パレット20bを移載機構28eにより第1区画32aから第2区画32bに移載するとともに、パレット41bを移載機構48dにより第2区画50bから第1区画50aに移載する。
図19に示すように、第5工程では、パレット21aを移載機構28b、28cによりパレット第1待機機構30に移載するとともに、パレット40bを移載機構48eにより第3区画50cから第2区画50bに移載する。パレット第1待機機構30ではパレット21aに対してサスペンションアッセンブリ17(図20参照)が搭載される。また、第4区画46dではパレット41aに対してサスペンションアッセンブリ19(図20参照)が搭載される。
図20に示すように、第6工程では、サスペンションアッセンブリ17が搭載されたパレット21aは移載機構28b、28cによって主搬送部76に移載される。この時点で、サスペンションアッセンブリ16及び18は車両本体12に装着され、パレット20a及び40aは空になる。
図21に示すように、第7工程では、主搬送部76aは矢印A2方向に2ブロック移動し、パレット21aを第3区画26cに移動させる。また、主搬送部76bは矢印A1方向に0.5ブロック移動する。
図22に示すように、第8工程では、空のパレット20aは移載機構28eによってパレット第2待機機構32の第1区画32aに払い出されるとともに、空のパレット40aは移載機構48aによって主搬送部76bの矢印A1側の部分に払い出される。
図23に示すように、第9工程では、主搬送部76bは矢印A1方向に1ブロック移動する。このとき、図15の状態と比較して、第3区画26cでは、サスペンションアッセンブリ16を搭載したパレット20aがサスペンションアッセンブリ17を搭載したパレット21aに置き換わり、第2区画46bでは、サスペンションアッセンブリ18を搭載したパレット40aがサスペンションアッセンブリ19を搭載したパレット41aに置き換わっていることが理解されよう。
図24に示すように、第10工程では、移載機構28aによりパレット21aを装着機構24に移載し、副搬送部100aを第4区画26dに移動させ、移載機構28hによってパレット21bを副搬送部100aに移載する。また、移載機構48aによりパレット41aを装着機構44に移載するとともに、移載機構48bによりパレット40aを第3区画50cに移載する。この後、サスペンションアッセンブリ17及び19はステーション22において次の車種である車両本体13に装着される。
図25に示すように、第11工程では、副搬送部100bを矢印A1方向に1ブロック移動して第1区画46aに配置するとともにパレット41bを移載機構48cにより第1区画50aから副搬送部100bに移載する。また、パレット20bを移載機構28gによって第2区画32bから第3区画32cに移載する。この時点で、パレット21a、21b、41a及び41bは図9におけるパレット20a、20b、40a及び40bと同じ位置に配置されており、実質的にパレットの交換がなされたことになる。
さらに、図26に示すように、第12工程では、主搬送部76aを矢印A1方向に2ブロック移動させるとともに副搬送部100aを矢印A1方向に1ブロック移動させ、副搬送部100aを第1区画26aに配置させる。また、主搬送部76bを矢印A2方向に1.5ブロック移動させるとともに副搬送部100bを矢印A2方向に1ブロック移動させ、副搬送部100bを第4区画46dに配置させる。次いで、パレット20aを移載機構28eによって第1区画32aから第2区画32bに移動させるとともに、パレット40bを移載機構48dによって第2区画50bから第1区画50aに移動させる。
図27に示すように、第13工程では、パレット21bを移載機構28b、28cによってパレット第1待機機構30に移載するとともに、パレット40aを移載機構48eによって第3区画50cから第2区画50bに移動させる。
これにより、サスペンションアッセンブリ16の搬送用であるパレット20a及び20bは、図15においてサスペンションアッセンブリ17の搬送用であるパレット21a及び21bが当初配置されていた位置(つまり、第2区画32b及び第3区画32c)に配置される。また、サスペンションアッセンブリ18の搬送用であるパレット40a及び40bは、図15においてサスペンションアッセンブリ19の搬送用であるパレット41a及び41bが当初配置されていた位置(つまり、第1区画50a及び第2区画50b)に配置される。これ以後、パレット20a、20b、40a及び40bは、再び車両本体12が搬送されるまでこれらの位置で待機し、又は取り外されて所定の場所に格納される。
また、この時点でパレット21a、21b、41a及び41bは、図11におけるパレット20a、20b、40a及び40bと同じ位置に配置されていることから、以降、図8〜図14に示す手順と同様にしてサスペンションアッセンブリ17及び19の搬送が可能であることが理解されよう。
再び車両本体12に対してサスペンションアッセンブリ16及び18を装着する場合には、パレット21a、21b、41a及び41bが図8及び図15に示すパレット20a、20b、40a及び40bと同配置となった時点から、図16〜図27に示す手順について、パレット21a、21b、41a及び41bとパレット20a、20b、40a及び40bとを逆にして動作させればよい。また、別の車種の車両本体に対してサスペンションアッセンブリを装着させる場合には、予めパレット20a、20b、40a及び40bに代えて対応したパレットを第2区画32b、第3区画32c、第1区画50a及び第2区画50bに配置しておけばよい。
このように、本実施の形態に係るサスペンションアッセンブリ搬送装置10によれば、パレットの搬送機構26、46と、該搬送機構26、46と装着機構24、44との間でパレットの受け渡しをする移載機構28a〜28h、48a〜48eとを設けることにより、パレット20a、40aが装着機構24、44に搬入、位置決めされて、搭載されたサスペンションアッセンブリ16、18を車両本体12に対して装着作業を行っている間、他のパレット20b、40bは搬送機構においてサスペンションアッセンブリ16、18の搭載、搬送等を行うことができ、パレット20a、20b、40a、40bが無駄なく利用され、少ないパレットでサスペンションアッセンブリ16、18を円滑に供給することができる。
また、装着機構24、44によりパレット20a、40a上のサスペンションアッセンブリ16、18を車両本体12に対して装着する作業を終了するまでに、サスペンションアッセンブリ16、18を搭載した他のパレット20b、40bを装着機構24、44に対して移載する準備を終えておくことができ、待ち時間のないより円滑な供給が可能である。
さらに、搬送機構26、46は、該搬送機構26、46の延在方向に移動する主搬送部76a、76bと、副搬送部100a、100bが協動してパレット20a、20b、40a、40bを搬送することから高速搬送が可能であって、しかも状況に対応した複雑な動作が可能である。
本発明に係るサスペンションアッセンブリ搬送装置は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。