特許文献1によるジャックは、プラグが挿入される円形の開口を有するプラグ収容室の中央に、中空柱形状のコンタクトが配置されている。そして、先端が開口された筒状の内側端子を備えるプラグをプラグ収容室に挿入して、内側端子と中空柱形状のコンタクトを嵌合させている。
例えば、特許文献1によるジャックは、ノートパソコンに使用され、液晶パネルが開閉可能に連結するコンピュータ本体の側面パネルに実装されている。一方、近年では、液晶パネルや外部との接続端子を搭載し、パソコンのもつ機能の内のいくつかを備え、手のひらに収まるくらいの大きさのPDA(Personal Digital Assistants)が普及している。そして、このPDAの側面パネルに直流用の電源ジャックが実装されている。
このようなPDAの本体の厚さは、ノートパソコンのコンピュータ本体の厚さの半分以下であり、ジャックが小型化される。すなわち、ジャックに備わるハウジングやコンタクトなどが小型化される。
しかし、ジャックに備わるハウジングやコンタクトなどを小さくすると、中空柱形状のコンタクトの姿勢の維持が困難となり、このコンタクトが傾くことにより、プラグを挿入することが困難になる。特許文献1によるジャックの利点を活かしつつ、中空柱形状のコンタクトの姿勢を正しく維持する小型のジャックが求められる。更に、このような小型のジャックにプラグが挿入されたことを検知する機能を付加すれば、便利である。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、中空柱形状のコンタクトの姿勢を正しく維持し、プラグの挿入検知機能を有する小型のジャックを提供することを目的とする。
本発明者らは、中空柱形状のコンタクトの基端側を閉塞するカバーハウジングの内壁に、当該コンタクトを付勢する突条を設けることにより、当該コンタクトの姿勢を維持でき、更に、プラグの外周に接触するJ字型のコンタクトと接続するスイッチコンタクトを設けてプラグの挿入が検知可能なことを見出し、これに基づいて、以下のような新たな小型のジャックを発明するに至った。
(1) 先端が開口された筒状の内側端子、及びこの内側端子の外周を絶縁可能に囲う筒状の外側端子を有するプラグと接続するジャックであって、前記プラグが挿入されるプラグ挿入口を一方の面に開口し、当該プラグを受容するプラグ収容室を有する略直方体のハウジングと、前記プラグ挿入口に対向する当該ハウジングの他方の面を前記プラグが挿入される方向と直交する方向からスライド可能に閉塞する略板状のカバーハウジングと、前記ハウジングに配置されて前記内側端子に接続する第1コンタクトと、前記ハウジングに配置されて前記外側端子に接続する第2コンタクトと、を備え、前記第1コンタクトは、一端側に設けられ第1電線を圧着する第1圧着部と、他端側に設けられ前記プラグ収容室に収容されて前記内側端子が挿入される第1コンタクト部と、を有し、前記第2コンタクトは、一端側に設けられ第2電線を圧着する第2圧着部と、他端側に設けられ前記第1コンタクト部に対向して前記外側端子に接触する第2コンタクト部と、を有し、前記第1コンタクト部は、前記プラグ収容室の中央に位置する中空柱状部を設け、前記第2コンタクト部は、前記プラグ収容室の内部に突出する弾性屈曲片を設け、前記ハウジングは、前記第1コンタクト部及び前記第2コンタクト部の基端部が屈折されて当該第1電線及び当該第2電線が延出する電線挿通部を設け、前記カバーハウジングは、前記電線挿通部に向かって内壁から隆起し当該カバーハウジングのスライド方向と略平行に帯状に延びる隆起部と、この隆起部から突出して前記第1コンタクトの中空柱状部を前記プラグ挿入口に向けて押圧する突条と、を設けるジャック。
(1)の発明によるジャックは、先端が開口された筒状の内側端子、及び内側端子の外周を絶縁可能に囲う筒状の外側端子を有するプラグと接続する。そして、(1)の発明によるジャックは、略直方体のハウジングと略板状のカバーハウジングを備えている。ハウジングは、プラグが挿入されるプラグ挿入口を一方の面に開口し、プラグを受容するプラグ収容室を有している。カバーハウジングは、プラグ挿入口に対向するハウジングの他方の面をプラグが挿入される方向と直交する方向からスライド可能に閉塞する。
又、(1)の発明によるジャックは、第1コンタクトと第2コンタクトを備えている。第1コンタクトは、ハウジングに配置されて、内側端子に接続する。第2コンタクトは、ハウジングに配置されて、外側端子に接続する。第1コンタクトは、第1圧着部と第1コンタクト部を有している。第1圧着部は、第1コンタクトの一端側に設けられ、第1電線を圧着する。第1コンタクト部は、第1コンタクトの他端側に設けられ、プラグ収容室に収容されて内側端子が挿入される。第2コンタクトは、第2圧着部と第2コンタクト部を有している。第2圧着部は、第2コンタクトの一端側に設けられ、第2電線を圧着する。第2コンタクト部は、第2コンタクトの他端側に設けられ、第1コンタクト部に対向し、外側端子に接触する。
第1コンタクト部は、プラグ収容室の中央に位置する中空柱状部を設けている。第2コンタクト部は、プラグ収容室の内部に突出する弾性屈曲片を設けている。又、ハウジングは、第1コンタクト部及び第2コンタクト部の基端部が屈折されて、第1電線及び第2電線が延出する電線挿通部を設けている。更に、カバーハウジングは、隆起部と突条を設けている。隆起部は、電線挿通部に向かって内壁から隆起し、カバーハウジングのスライド方向と略平行に帯状に延びている。突条は、隆起部から突出し、第1コンタクトの中空柱状部をプラグ挿入口に向けて押圧している。
ここで、プラグは、ジャックと電気的に接続するために、ケーブルの先端に取り付けられる接続器であってよく、導電性金属で形成された筒状の内側端子及び外側端子を有している。内側端子は、先端が開口されてよく、第1コンタクトの中空柱状部が挿入可能である。内側端子の外周は絶縁性の合成樹脂で被覆されてよく、外側端子で囲われる。外側端子には、第2コンタクトの弾性屈曲片が接触する。外側端子の先端は開口されてよく、内側端子の先端面と外側端子の先端面とは、揃っていることが好ましい。
プラグは、内側端子と外側端子とが同心円状に配置される二重管構造であってよく、プラグの基端側は、絶縁性の合成樹脂で被覆されてよく、ケーブルが延出される。このプラグの基端側が把持されて、ジャックに挿抜される。ここで、プラグは、内側端子及び外側端子の軸方向と平行にケーブルが延出する、いわゆるストレートタイプであってもよく、内側端子及び外側端子の軸方向と直角にケーブルが延出する、いわゆるL形タイプであってもよい。
ハウジング及びカバーハウジングは、絶縁性を有してよく、非導電性の材料からなっている。非導電性の合成樹脂を成形して、所望の形状のハウジング及びカバーハウジングを得ることができる。ハウジングとカバーハウジングとは、同じ材料からなることが好ましいが、異なる材料からなることを排除しない。
ハウジングは、略直方体の形状であるが、後述する電線挿通部がハウジングの一部から突出することを排除しない。同様に、カバーハウジングは、略板状の形状であるが、ハウジングに設けられた電線挿通部を覆う部分が突出することを排除しない。
例えば、ハウジングは、プラグ挿入口が開口した一方の面が矩形に形成されてよく、プラグ挿入口に対向するハウジングの他方の面は、前記一方の面と一方の両辺が同じであり、他方の両辺が前記一方の面の両辺より長くなっている矩形に形成されている。そして、このハウジングの側面視は、略L字状になっている。ハウジングの他方の面には、後述する第1及び第2開口が開口される。
プラグ挿入口は、ハウジングの外部からプラグが挿入される開口であってよく、ハウジングの一方の面は、プラグが挿入されるための面積、又は外形を有している。例えば、プラグ挿入口は、プラグが挿入されるときにのみ開く開口であってもよく、ヒンジで結合された扉で開口が密閉され、プラグが挿入されると連動して、前記扉が開く機構を備えた開口を含むことができる。
プラグ挿入口は、プラグの外側端子に適合する形状が好ましく、例えば、円形であってもよく、正四角形を含む矩形であってもよい。プラグ挿入口が円形の場合は、プラグ収容室は略円柱形状の空間となってよく、プラグ挿入口が矩形の場合は、プラグ収容室は略直方体状の空間となってもよい。プラグ挿入口が円形であって、プラグ収容室は略直方体状の空間となってもよい。
ハウジングの一方の面とは、プラグが挿入される側の面であって、例えば、この一方の面がパネルから露出してもよく、プラグ挿入口以外の一方の面が、このパネルで遮蔽されてもよい。一方の面は、平面であってもよく、凹凸が形成される場合も一方の面に含まれる。例えば、円形のプラグ挿入口を内円とする筒体が一方の面から突出形成される場合も、一方の面に含まれる。一方の面は表面(オモテ面)と呼称される場合もある。又、プラグ挿入口と対向する他方の面は裏面(ウラ面)と呼称される場合もある。
プラグ収容室は、プラグを受容する空間であってよく、第1及び第2コンタクトを保持又は収納する空間であってよく、ハウジング内に形成される。第1及び第2コンタクト部は、プラグ収容室に挿入、保持、収納などにより配置されてよく、プラグをプラグ収容室に挿入することにより、第1及び第2コンタクトが接続される。
カバーハウジングがハウジングの他方の面を閉塞するとは、少なくともハウジングの他方の面がカバーハウジングで覆われることにより、外部からハウジングの他方の面が見えなくなることや、外部からハウジングの他方の面が電気的又は物理的に接触できなくなることを含んでいる。
相反する向きに開放する一対のスライド溝をハウジングの他方の面の両翼に設け、これらのスライド溝に案内される対向する一対の案内片をカバーハウジングの内壁に設け、カバーハウジングは、プラグが挿入される方向と直交する方向からハウジングの他方の面をスライド可能に閉塞することができる。一対のランスをハウジングの他方の面の両翼に設け、これらのランスに係合する一対の係止穴をカバーハウジングの対向する内壁に設け、ハウジングにカバーハウジングを係止できる。
第1及び第2コンタクト、及び後述する第3コンタクトは、導電性を有し、展開された導電性の金属板が折り曲げ成形されて、所望の形状のコンタクトを得ることができる。第1から第3コンタクトは、銅合金などの導電性や展伸性に優れた材料が好ましく用いられるが、銅合金に限定されない。
第1及び第2電線、及び後述する第3電線は、電流が流れる導線と、この導線を外部から絶縁する被覆とで構成されてよく、導線は単線でよく、より線でもよい。第1から第3電線は、単線とより線が混在すると、圧着作業の効率性から良くなく、単線とより線のいずれか一方に統一されることが好ましい。被覆の色を異ならせることにより、例えば、電線に接続されるコンタクトの極性を識別できる。そして、これらの電線の一方の端末が圧着される。又、対に構成される電線の一方の端末が圧着されることを排除しない。
第1及び第2圧着部、及び後述する第3圧着部は、電線の端末の被覆が剥離された導線を圧着するコンダクタグリップが設けられ、この導線近傍の被覆を圧着するインシュレーショングリップが設けられている。電線を圧着するとは、一般に圧着端子において、U字状に開口した圧着端子の一部が導線及び被覆を包み込むようにして折り曲げて、その塑性変形により電線を固定することをいう。この固定により、コンダクタグリップは、導線を電気的及び機械的に接続し、インシュレーショングリップは電線を機械的に固定する。
第1及び第2圧着部に第1及び第2電線がそれぞれ圧着された後に、第1及び第2コンタクトは、ハウジングに配置される。第1コンタクトは、他端側の第1コンタクト部に中空柱状部が設けられた、いわゆるピンコンタクトであってよく、この中空柱状部がプラグ収容室の中央に位置するように、ハウジングに配置される。第2コンタクトは、他端側の第2コンタクト部に弾性屈曲片が設けられた、いわゆるベローズコンタクトであってよく、この弾性屈曲片がプラグ収容室の内部に突出するように、ハウジングに配置される。
そして、第1及び第2コンタクト部の基端部が屈折されて、第1及び第2電線が電線挿通部から延出する。なお、第1及び第2電線は、第1及び第2圧着部から所定長さに予め切断されている。又、電線挿通部は、ハウジングの他方の面を含むことができる。
カバーハウジングは、隆起部が電線挿通部に向かって内壁から隆起するとは、隆起部が第1及び第2コンタクト部の基端部に向かって内壁から隆起していることを意味している。このカバーハウジングをスライドして、ハウジングの他方の面を閉塞すると、帯状に延びる隆起部の隆起面が第1及び第2コンタクト部の基端部に対向する。突条は、細長く延びてよく、隆起部からV字状に突出する。このV字状に突出した突条の先端は、線状に隆起部と略平行に延びて、第1コンタクト部の基端面に当接することができる。
例えば、ノートパソコンに適用可能な従来のジャックにおいて、中空柱形状のコンタクトの基端部はハウジングによる保持代が大きく、このコンタクトの姿勢の維持が容易であった。一方、PDAに適用可能な本発明による小型のジャックおいて、中空柱状部を主構成とする第1コンタクト部の基端部は、ハウジングによる保持代が極めて少なくなっている。したがって、中空柱状部の先端の振れが大きくなり、すなわち、第1コンタクトの姿勢の維持が困難となる。
(1)の発明によるジャックは、カバーハウジングに設けられた隆起部の隆起面と中空柱状部の基端部とのクリアランスに突条が突出し、この突条が第1コンタクトの中空柱状部をプラグ挿入口に向けて押圧することにより、第1コンタクトの姿勢が維持できるようにした。
このように、(1)の発明によるジャックは、中空柱形状のコンタクトの基端側を閉塞するカバーハウジングの内壁に突条を設け、この突条が中空柱形状のコンタクトの基端側を押圧することにより、当該コンタクトの姿勢を維持する小型のジャックを提供できる。
(2) 前記ハウジングは、前記第1コンタクト部を収容する第1収容室と、前記第2コンタクト部を収容する第2収容室と、を有し、前記第1収容室は、前記第1コンタクト部が挿入される第1開口を前記ハウジングの他方の面に開口し、かつ、前記プラグ収容室に連通し、前記第2収容室は、前記第2コンタクト部が挿入される第2開口を前記ハウジングの他方の面に開口し、かつ、前記プラグ収容室に連通している(1)記載のジャック。
(2)の発明によるジャックは、ハウジングが第1収容室と第2収容室を有している。第1収容室は、第1コンタクト部を収容し、第2収容室は、第2コンタクト部を収容している。第1収容室は、第1コンタクト部が挿入される第1開口をハウジングの他方の面に開口している。又、第1収容室は、プラグ収容室に連通している。一方、第2収容室は、第2コンタクト部が挿入される第2開口をハウジングの他方の面に開口している。又、第2収容室は、プラグ収容室に連通している。
ここで、第1開口は、中空柱状部が挿入されるために円形に開口されてよく、第1コンタクト部は、第1収容室に圧入されるように挿入されて、保持される。この第1開口の周辺には、後述する第1及び第2係止部を設けることができる。第2開口は、弾性屈曲片が挿入されるために矩形に開口されてよく、第2収容室は、後述する一対のスリットを含むことができる。又、第2収容室は底部を有することが好ましい。
第1及び第2コンタクト部が第1及び第2収容室に収容された後に、第1及び第2コンタクト部の基端部が屈折されて、第1及び第2電線が電線挿通部に延出するようにしてよく、予め第1及び第2コンタクト部の基端部が屈折されて、第1及び第2コンタクト部が第1及び第2収容室に収容されてもよい。
(2)の発明によるジャックは、ハウジングが、第1コンタクト部を収容する第1収容室と、第2コンタクト部を収容する第2収容室と、を有しており、第1及び第2コンタクトをハウジングの他方の面から容易に組み立てることができる。
(3) 前記第1コンタクト部は、前記中空柱状部の基端部の一部が当該中空柱状部の軸方向と直交する方向に延びる短片と長片からなる一組の直交片と、これらの直交片の長片の先端部が前記短片に対向するように屈折されて更に屈折されて当該中空柱状部の先端側と対向する対向片と、を有し、前記第1収容室は、前記第1開口の周辺に設けられ前記一組の直交片に係合して当該中空柱状部の主軸を中心とする回転を抑制する第1係止部と、前記第1開口の周辺に設けられ前記長片の一部に係合して当該中空柱状部を所定の位置に止める第2係止部と、を有する(2)記載のジャック。
(3)の発明によるジャックは、第1コンタクト部が一組の直交片と対向片を有している。一組の直交片は、短片と長片からなり、短片及び長片は、中空柱状部の基端部の一部が中空柱状部の軸方向と直交する方向に延びている。対向片は、直交片の長片の先端部が短片に対向するように屈折され、更に屈折されて中空柱状部の先端側と対向している。
又、(3)の発明によるジャックは、第1収容室が第1係止部と第2係止部を有している。第1係止部は、第1開口の周辺に設けられ、一組の直交片に係合して中空柱状部の主軸を中心とする回転を抑制する。第2係止部は、第1開口の周辺に設けられ、長片の一部に係合して中空柱状部を所定の位置に止める。
例えば、第1係止部は、隅部が第1開口を部分的に形成し、この隅部に直交する一組の立設壁を含むことができる。そして、中空柱状部の主軸が一方の方向に回転しようとすると、直交片が一方の立設壁に当接して回転が抑制される。中空柱状部の主軸が他方の方向に回転しようとすると、直交片が他方の立設壁に当接して回転が抑制される。
第2係止部は、第1開口の周辺に設けられるランスとすることができる。このランスは、先端部に斜面を設けてよく、この斜面に連続する段差を設けてよく、槍状に形成される。中空柱状部を第1開口に挿入すると、長片がランスの斜面に当接して、ランスの先端部を撓ますことができる。中空柱状部を第1開口に完全に挿入すると、ランスが復帰して段差が長片の一部に係合して中空柱状部を所定の位置に止めることができる。
突条は、中空柱状部をプラグ挿入口に向けて押圧するとは、突条が中空柱状部の先端側と対向する対向片を押圧することに相当している。突条の進入方向側が低くなるように、対向片に段差を設けることにより、突条は対向片を押圧しつつスライドできる。
(4) 前記第2コンタクト部は、一端の一部が前記第2圧着部の基端部と結合し、他端が前記弾性屈曲片の基端部に結合して当該弾性屈曲片と対向する矩形の背面板を有し、前記第2収容室は、前記背面板の両翼を案内し、前記第2開口から当該第2収容室の底部に向かう一対のスリットを有する(2)又は(3)記載のジャック。
(4)の発明によるジャックは、第2コンタクト部が矩形の背面板を有している。背面板の一端の一部は、第2圧着部の基端部と結合している。背面板の他端は、弾性屈曲片の基端部に結合し、弾性屈曲片と対向している。又、(4)の発明によるジャックは、第2収容室が一対のスリットを有している。一対のスリットは、背面板の両翼を案内し、第2開口から第2収容室の底部に向かっている。
第2コンタクト部は、矩形の背面板と弾性屈曲片とで構成されてよく、縦断面がJ字型に形成される。背面板と弾性屈曲片とは屈曲部で結合されてよく、この屈曲部は、弾性屈曲片の弾性による戻し力を担保している。
(4)の発明によるジャックは、第2収容室が、第2コンタクト部を第2収容室に導くように、背面板の両翼を案内する一対のスリットを含んでいる。一対のスリットは、背面板の両翼を挿入し、第2コンタクト部をスムーズにハウジングに挿入するように、背面板の動きを一方向に制限できる。背面板にコンタクトランスを設け、第2収容室にこのコンタクトランスに係合する係止穴を設け、第2コンタクト部が所定の位置で係止できるようにしてもよい。
(5) 前記ハウジングに配置されて前記第2コンタクトに接続する第3コンタクトを更に備え、第3コンタクトは、一端側に設けられ第3電線を圧着する第3圧着部と、他端側に設けられ前記弾性屈曲片に接触する平板状の第3コンタクト部と、を有し、前記プラグを前記プラグ収容室に挿入すると、前記弾性屈曲片が変位して前記第3コンタクト部から離反する(1)から(4)のいずれかに記載のジャック。
(5)の発明によるジャックは、第3コンタクトを更に備えている。第3コンタクトは、ハウジングに配置されて、第2コンタクトに接続する。第3コンタクトは、第3圧着部と平板状の第3コンタクト部を有している。第3圧着部は、第3コンタクトの一端側に設けられ、第3電線を圧着する。第3コンタクト部は、第3コンタクトの他端側に設けられ、弾性屈曲片に接触する。そして、プラグをプラグ収容室に挿入すると、弾性屈曲片が変位して第3コンタクト部から離反する。
ここで、第3コンタクト部は、第2開口から挿入されてよく、第2収容室に収容される。第2収容室には、第3コンタクト部の両翼を案内する一対のスリットを設けてよく、第3コンタクト部は、この一対のスリットにガイドされて、第2コンタクト部に隣接してハウジングに配置される。第3電線は、電線挿通部に延出できる。
第2コンタクトと第3コンタクトとは、ジャックにプラグが挿入されたことを検知するスイッチを構成していると考えることができる。ジャックにプラグが挿入されていないときは、第2コンタクトと第3コンタクトは接(オン)状態である。ジャックにプラグが挿入されたときは、第2コンタクトと第3コンタクトは断(オフ)状態である。
例えば、本発明によるジャックを備える電子機器の内部に、第2コンタクトと第3コンタクトのオン・オフ状態を検知する回路を設けてよく、ジャックにプラグが挿入されたことを表示するモニタランプをこの電子機器に設けることもできる。(5)の発明によるジャックは、ジャックにプラグが挿入されたことを検知する機能が付加されているので、便利である。
(6) 前記第2コンタクト部の弾性屈曲片は、当該弾性屈曲片の先端部が屈曲して当該弾性屈曲片の基端部に向かって延びる折り返し片と、この折り返し片の両翼に互いに相反する向きに延びる一対の接触片と、を含み、前記第3コンタクト部は、前記弾性屈曲片が当接しないように先端側から基端側に向かって矩形に切り欠かれる逃げ部と、この逃げ部の両翼に設けられ前記一対の接触片が当接可能な一対の接触部と、を含み、前記プラグを前記プラグ収容室に挿入すると、前記一対の接触片が変位して前記一対の接触部から離反する(5)記載のジャック。
(6)の発明によるジャックは、第2コンタクト部の弾性屈曲片が折り返し片と一対の接触片を含んでいる。折り返し片は、弾性屈曲片の先端部が屈曲して、弾性屈曲片の基端部に向かって延びている。一対の接触片は、折り返し片の両翼に互いに相反する向きに延びている。
又、(6)の発明によるジャックは、第3コンタクト部が逃げ部と一対の接触部を含んでいる。逃げ部は、弾性屈曲片が当接しないように、先端側から基端側に向かって矩形に切り欠かれている。一対の接触部は、逃げ部の両翼に設けられ、一対の接触片が当接可能となっている。そして、プラグをプラグ収容室に挿入すると、一対の接触片が変位して一対の接触部から離反する。
ここで、折り返し片は、弾性屈曲片の先端部が屈曲してよく、背面板と弾性屈曲片との間を弾性屈曲片の基端部に向かって延びている。ジャックにプラグが挿入されていないときは、弾性屈曲片は、逃げ部を通過して、プラグ収容室の内部に突出している。ジャックにプラグが挿入されたときは、弾性屈曲片は後退するように変位して、一対の接触片が一対の接触部から離反する。
一対の接触片と一対の接触部とは、ジャックにプラグが挿入されたことを検知するスイッチを構成していると考えることができる。ジャックにプラグが挿入されていないときは、一対の接触片と一対の接触部はオン状態である。ジャックにプラグが挿入されたときは、一対の接触片と一対の接触部はオフ状態である。
(6)の発明によるジャックは、プラグの挿入検知機能を有するスイッチ端子となる第3コンタクトをハウジングにコンパクトに収容している。
本発明によるジャックは、中空柱形状のコンタクトの基端側を閉塞するカバーハウジングの内壁に突条を設け、この突条が中空柱形状のコンタクトの基端側を押圧することにより、当該コンタクトの姿勢を維持する小型のジャックを提供できる。
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態によるジャックの斜視分解組立図である。図2は、前記実施形態によるジャックの斜視外観図であり、第2コンタクトがハウジングに組み込まれる前の状態図である。図3は、前記実施形態によるジャックの斜視外観図であり、第3コンタクトがハウジングに組み込まれる前の状態図である。図4は、前記実施形態によるジャックの斜視外観図であり、第1コンタクトがハウジングに組み込まれる前の状態図である。
図5は、前記実施形態によるジャックの斜視外観図であり、ハウジングに第1から第3コンタクトが組み込まれたジャックを他方の面から観ている。図6は、前記実施形態によるジャックの斜視外観図であり、カバーハウジングがハウジングに組み込まれる前の状態図である。図7は、前記実施形態によるジャックの斜視外観図であり、カバーハウジングがハウジングに組み込まれた状態図である。図8は、前記実施形態によるジャックの斜視外観図であり、図7と異なる方向からジャックを観ている。
図9は、前記実施形態によるジャックの斜視外観図であり、ジャックをハウジングの一方の面から観ている。図10は、前記実施形態によるジャックに備わるカバーハウジングの斜視外観図である。図11は、前記実施形態によるジャックに備わるハウジングの斜視外観図である。図12は、前記実施形態によるジャックに備わる第2コンタクトの斜視外観図であり、図1と異なる方向から第2コンタクトを観ている。
図13は、前記実施形態によるジャックに備わるハウジングの平面図である。図14は、前記実施形態によるジャックに備わる第1コンタクトを示す図であり、図14(A)は第1コンタクトの平面図、図14(B)は第1コンタクトの右側面図である。図15は、前記実施形態によるジャックに備わる第2コンタクトを示す図であり、図15(A)は第2コンタクトの平面図、図15(B)は第2コンタクトの右側面図である。図16は、前記実施形態によるジャックに備わる第3コンタクトを示す図であり、図16(A)は第3コンタクトの平面図、図16(B)は第3コンタクトの右側面図である。
図17は、前記実施形態によるジャックの縦断面図である。図18は、前記実施形態によるジャックの縦断面図であり、図17のX−X矢視断面を示している。
最初に、本発明によるジャックの構成の概略を説明する。図1において、ジャック10はプラグ9と接続する。プラグ9は、先端が開口された筒状の内側端子91と、内側端子91の外周を絶縁可能に囲う筒状の外側端子92と、を有している。図1及び図6において、ジャック10は、略直方体のハウジング1と略板状のカバーハウジング2を備えている。
図1において、ハウジング1は、プラグ9が挿入されるプラグ挿入口1aを一方の面1aaに開口している(図9参照)。又、ハウジング1は、プラグ9を受容するプラグ収容室11を有している(図9又は図17参照)。カバーハウジング2は、プラグ挿入口1aに対向するハウジング1の他方の面1bbを、プラグ9が挿入される方向と直交する方向からスライド可能に閉塞する(図9参照)。
図1又は図17において、ジャック10は、第1コンタクト3と第2コンタクト4を備えている。第1コンタクト3は、ハウジング1に配置されて、内側端子91に接続する。第2コンタクト4は、ハウジング1に配置されて、外側端子92に接続する。
図1において、第1コンタクト3は、第1圧着部31と第1コンタクト部32を有している。第1圧着部31は、第1コンタクト3の一端側に設けられ、第1電線3wを圧着している(図4参照)。第1コンタクト部32は、第1コンタクト3の他端側に設けられ、プラグ収容室11に収容されて内側端子91が挿入される(図9又は図17参照)。
図1において、第2コンタクト4は、第2圧着部41と第2コンタクト部42を有している。第2圧着部41は、第2コンタクト4の一端側に設けられ、第2電線4wを圧着している(図12参照)。第2コンタクト部42は、第2コンタクト4の他端側に設けられ、第1コンタクト部32に対向し、外側端子92に接触する(図17参照)。
図1において、第1コンタクト部32は、プラグ収容室11の中央に位置する中空柱状部3aを設けている(図17及び図18参照)。第2コンタクト部42は、プラグ収容室11の内部に突出する弾性屈曲片4aを設けている(図17参照)。
又、図1において、ハウジング1は、第1コンタクト部32の基端部及び第2コンタクト部42の基端部が屈折されて、第1電線3w及び第2電線4wが延出する電線挿通部12を設けている(図5参照)。
更に、図10に示されるように、カバーハウジング2は、隆起部21と突条22を設けている。隆起部21は、電線挿通部12に向かって内壁から隆起し、カバーハウジング2のスライド方向と略平行に帯状に延びている(図1参照)。突条22は、隆起部21から突出し、第1コンタクト3の中空柱状部3aをプラグ挿入口1aに向けて押圧している(図18参照)。
図1又は図17において、ジャック10は、第3コンタクト5を更に備えている。第3コンタクト5は、ハウジング1に配置されて、第2コンタクト4に接続する。図1において、第3コンタクト5は、第3圧着部51と平板状の第3コンタクト部52を有している。第3圧着部51は、第3コンタクト5の一端側に設けられ、第3電線5wを圧着している。第3コンタクト部52は、第3コンタクト5の他端側に設けられ、弾性屈曲片4aに接触する(図17参照)。プラグ9をプラグ収容室11に挿入すると、弾性屈曲片4aが変位して第3コンタクト部52から離反する。
図1又は図2において、ハウジング1は、第1収容室13と第2収容室14を有している。第1収容室13は、第1コンタクト部32を収容している(図17参照)。第2収容室14は、第2コンタクト部42と第3コンタクト部52を収容している(図17参照)。
図1又は図4において、第1収容室13は、第1コンタクト部32が挿入される第1開口13aをハウジング1の他方の面1bbに開口している。又、第1収容室13は、プラグ収容室11に連通している(図17参照)。一方、図1又は図2において、第2収容室14は、第2コンタクト部42が挿入される第2開口14aをハウジング1の他方の面1bbに開口している。又、第2収容室14は、プラグ収容室11に連通している(図17参照)。
図4において、第1コンタクト部32は、一組の直交片3bcと対向片3eを有している。一組の直交片3bcは、短片3bと長片3cからなり、短片3b及び長片3cは、中空柱状部3aの基端部の一部が中空柱状部3aの軸方向と直交する方向に延びている。対向片3eは、直交片3bcの長片3cの先端部が短片3bに対向するように屈折されて、短片3dを形成し、更に、短片3dが屈折されて、中空柱状部3aの先端側と対向している。
一方、図4及び図13において、第1収容室13は、第1係止部131と第2係止部132を有している。第1係止部131は、第1開口13aの周辺に設けられ、一組の直交片3bcに係合して中空柱状部3aの主軸を中心とする回転を抑制する。第2係止部132は、第1開口13aの周辺に設けられ、長片3cの一部に係合して中空柱状部3aを所定の位置に止める。
図2において、第2コンタクト部42は、矩形の背面板4bを有している。背面板4bの一端の一部は、第2圧着部41の基端部と結合している。背面板4bの他端は、弾性屈曲片4aの基端部に結合し、弾性屈曲片4aと対向している(図12参照)。又、図13において、第2収容室14は、一対のスリット141・142を有している。一対のスリット141・142は、背面板4bの両翼を案内し、第2開口14aから第2収容室14の底部に向かっている。
図12において、第2コンタクト部42の弾性屈曲片4aは、折り返し片4cと一対の接触片4d・4eを含んでいる。折り返し片4cは、弾性屈曲片4aの先端部が屈曲して、弾性屈曲片4aの基端部に向かって延びている。一対の接触片4d・4eは、折り返し片4cの両翼に互いに相反する向きに延びている。折り返し片4cは、弾性屈曲片4aの先端部が屈曲しており、背面板4bと弾性屈曲片4aとの間を弾性屈曲片4aの基端部に向かって延びている。
一方、図3において、第3コンタクト部52は、逃げ部5aと一対の接触部5d・5eを含んでいる。逃げ部5aは、弾性屈曲片4aが当接しないように、先端側から基端側に向かって矩形に切り欠かれている(図17参照)。一対の接触部5d・5eは、逃げ部5aの両翼に設けられ、一対の接触片4d・4eが当接可能となっている(図12参照)。そして、プラグ9をプラグ収容室11に挿入すると、一対の接触片4d・4eが変位して一対の接触部5d・5eから離反する(図1参照)。
次に、本発明によるジャックの構成の詳細を説明する。図1において、プラグ9は、ジャック10と電気的に接続するために、ケーブルの先端に取り付けられる接続器であってよく、導電性金属で形成された筒状の内側端子91及び外側端子92を有している。内側端子91は、先端が開口されており、第1コンタクト3の中空柱状部3aが挿入可能である。内側端子91の外周は絶縁性の合成樹脂で被覆されており、外側端子92で囲われている。外側端子92には、第2コンタクト4の弾性屈曲片4aが接触する。外側端子92の先端は開口されており、内側端子91の先端面と外側端子92の先端面とは、揃っている。
図1において、プラグ9は、内側端子91と外側端子92とが同心円状に配置される二重管構造となっている。プラグ9の基端側は、絶縁性の合成樹脂で被覆されており、図示しないケーブルが延出されている。そして、プラグ9の基端側が把持されて、ジャック10に挿抜される。
図1又は図11において、ハウジング1は、略直方体の形状であるが、電線挿通部12がハウジング1の一部から突出している。図1において、カバーハウジング2は、略板状の形状であるが、ハウジング1に設けられた電線挿通部12を覆う部分が突出している(図10参照)。
図9に示されるように、ハウジング1は、プラグ挿入口1aが開口した一方の面1aaが矩形に形成されている。図9において、プラグ挿入口1aに対向するハウジング1の他方の面1bbは、一方の面1aaと一方の両辺が同じであり、他方の両辺が一方の面1aaの両辺より長くなっている矩形に形成されている(図13参照)。ハウジング1の側面視は、略L字状になっている(図1参照)。ハウジング1の他方の面1bbには、第1開口13a及び第2開口14aが開口されている。
図9において、ハウジング1の一方の面1aaは、プラグ9が挿入される側の面であって、一方の面1aaが電子機器のパネル(図示せず)から露出してもよく、プラグ挿入口1a以外の一方の面1aaが、このパネルで遮蔽されてもよい。一方の面1aaの両翼に形成された一対の溝1p・1pを利用して、ジャック10を例えば、分割されたパネルに取り付けることができる。
図17において、プラグ収容室11は、プラグ9を受容する空間であってよく、第1コンタクト3及び第2コンタクト4を収納する空間であってよく、ハウジング1内に形成されている(図1参照)。プラグ9をプラグ収容室11に挿入することにより、第1コンタクト3及び第2コンタクト4が接続される(図1参照)。
図11において、ハウジング1は、相反する向きに開放する一対のスライド溝12a・12bを他方の面1bbの両翼に設けている(図8参照)。又、電線挿通部12には、相反する向きに開放する一対のスライド溝12c・12dを電線挿通部12の突出部の両翼に設けている。
一方、図11において、カバーハウジング2は、一対のスライド溝12a・12bに案内される対向する一対の案内片22a・22bを、一方の端部側の内壁に設けている(図8及び図10参照)。又、カバーハウジング2は、一対のスライド溝12c・12dに案内される対向する一対の案内片22c・22dを、他方の端部側の内壁に設けている。カバーハウジング2は、プラグ9が挿入される方向と直交する方向から、ハウジング1の他方の面1bbをスライド可能に閉塞することができる。
図13において、一対のランス12e・12fをハウジング1の他方の面1bbの両翼に設けている(図1及び図11参照)。一方、一対のランス12e・12fに係合する一対の係止穴22e・22fをカバーハウジング2の対向する内壁に設けている。そして、一対のランス12e・12fが一対の係止穴22e・22fに係合して、ハウジング1にカバーハウジング2を係止できる。
図14から図16において、第1から第3コンタクト3・4・5は、導電性を有し、展開された導電性の金属板が折り曲げ成形されて、所望の形状のコンタクトを得ている。図1において、第1から第3電線3w・4w・5wは、電流が流れる導線と、この導線を外部から絶縁する被覆とで構成されている。
図14において、第1圧着部31には、電線の端末の被覆が剥離された導線を圧着するコンダクタグリップ3g1が設けられている。又、第1圧着部31には、この導線近傍の被覆を圧着するインシュレーショングリップ3g2が設けられている。第1圧着部31に第1電線3wが圧着された後に、第1コンタクト3は、ハウジング1に配置される(図1参照)。
同様に、図15において、第2圧着部41には、コンダクタグリップ4g1とインシュレーショングリップ4g2が設けられている。第2圧着部41に第2電線4wが圧着された後に、第2コンタクト4は、ハウジング1に配置される(図1参照)。又、図16において、第3圧着部51には、コンダクタグリップ5g1とインシュレーショングリップ5g2が設けられている。第3圧着部51に第3電線5wが圧着された後に、第3コンタクト5は、ハウジング1に配置される(図1参照)。
図13において、第1開口13aは、中空柱状部3aが挿入されるべく、円形に開口されている(図4参照)。図4において、第1コンタクト部32は、第1収容室13に圧入されるように挿入されて、保持される。図13において、第1開口13aの周辺には、第1係止部131及び第2係止部132を設けている。第2開口14aは、弾性屈曲片4aが挿入されるべく、矩形に開口されている(図2参照)。第2収容室14は、一対のスリット141・142を含むことができる(図13参照)。
図4において、第1係止部131は、隅部が第1開口13aを部分的に形成し、この隅部に直交する一組の立設壁1w1・1w2を含むことができる。そして、中空柱状部3aの主軸が一方の方向に回転しようとすると、直交片3bcの短片3bが一方の立設壁1w1に当接して回転が抑制される。中空柱状部3aの主軸が他方の方向に回転しようとすると、直交片3bcの長片3cが他方の立設壁1w2に当接して回転が抑制される。
図4において、第2係止部132は、第1開口13aの周辺に設けられるランスとすることができる。このランスは、先端部に斜面を設けてよく、この斜面に連続する段差を設けてよく、槍状に形成されている。中空柱状部3aを第1開口13aに挿入すると、長片3cがランスの斜面に当接して、ランスの先端部を撓ますことができる。中空柱状部3aを第1開口13aに完全に挿入すると、ランスが復帰して段差が長片3cの一部に係合して中空柱状部3aを所定の位置に止めることができる(図18参照)。
図12において、第2コンタクト部42は、矩形の背面板4bと弾性屈曲片4aとで構成されており、縦断面がJ字型に形成されている(図15参照)。背面板4bと弾性屈曲片4aとは、屈曲部4fで結合されており、屈曲部4fは、弾性屈曲片4aの弾性による戻し力を担保している。
図2において、第2収容室14は、第2コンタクト部42を第2収容室14に導くように、背面板4bの両翼を案内する一対のスリット141・142を含んでいる(図13参照)。一対のスリット141・142は、背面板4bの両翼を挿入し、第2コンタクト部42をスムーズにハウジング1に挿入するように、背面板4bの動きを一方向に制限できる。
図2において、背面板4bには、コンタクトランス4rを設けている。第2収容室14には、コンタクトランス4rに係合する係止穴1hを設けている(図17参照)。コンタクトランス4rと係止穴1hを設けることにより、第2コンタクト部42を所定の位置で係止できる(図17参照)。
図3において、第3コンタクト部52は、第2開口14aから挿入され、第2収容室14に収容される。第2収容室14には、第3コンタクト部52の両翼を案内する一対のスリット143・144が設けられている(図13参照)。第3コンタクト部52は、一対のスリット143・144にガイドされて、第2コンタクト部42に隣接してハウジング1に配置される。第3コンタクト部52は、第2収容室14の底部に当接して、所定の位置に停止できる。そして、第3電線5wは、電線挿通部12に延出している。
次に、本発明によるジャックの組立手順を説明する。図1に示されるように、予め、第1から第3コンタクト3・4・5の各第1から第3圧着部31・41・51に、第1から第3電線3w・4w・5wを圧着しておく。なお、第1から第3電線3w・4w・5wは、各第1から第3圧着部31・41・51から所定の長さに予め切断されている。
最初に、図2に示すように、第2コンタクト4の第2コンタクト部42を第2開口14a側から第2収容室14に挿入する。図3は、第2コンタクト4が挿入されて、ハウジング1に固定された状態であり、第2圧着部41以降の第2電線4wが、電線挿通部12から延出している。
次に、図3に示すように、第3コンタクト5の第3コンタクト部52を第2開口14a側から第2収容室14に挿入する。図4は、第3コンタクト5が挿入されて、ハウジング1に固定された状態であり、第3圧着部51以降の第3電線5wが、電線挿通部12から延出している。
次に、図4に示すように、第1コンタクト3の第1コンタクト部32を第1開口13a側から第1収容室13に挿入する。図5は、第1コンタクト3が挿入されて、ハウジング1に固定された状態であり、第1圧着部31以降の第1電線3wが、電線挿通部12から延出している。
次に、図6に示すように、第1から第3電線3w・4w・5wがカバーハウジング2の内部に取り込まれるように、ハウジング1とカバーハウジング2とを配置する。そして、ハウジング1とカバーハウジング2とを相互に近づけ、カバーハウジング2をハウジング1にスライドする。
図7又は図8において、カバーハウジング2は、一対の案内片22a・22b及び一対の案内片22c・22dが一対のスライド溝12a・12b及び一対のスライド溝12c・12dに案内されて、ハウジング1の他方の面1bbを閉塞している(図1参照)。カバーハウジング2は、第2コンタクト4及び第3コンタクト5を閉塞して、ハウジング1に保持しているということもできる。図7又は図8において、一対のランス12e・12fが一対の係止穴22e・22fに係合して、ハウジング1はカバーハウジング2を係止している。
次に、本発明によるジャックの作用を説明する。図7又は図8において、ハウジング1とカバーハウジング2で包囲された第1から第3圧着部31・41・51以降の第1から第3電線3w・4w・5wをジャック10の外に延出している(図1参照)。
このように、本発明によるジャックは、第1から第3圧着部31・41・51の近傍の電線3w・4w・5wを外部から機械的変形を受けにくいものとしている。同時に、外部からの物理的及び電気的な接触を遮蔽できる構造としている。特に、使用時において第1から第3圧着部31・41・51が視覚的にも遮蔽されるので、使用者に安全感を与えられると考えられる。
又、図9において、ハウジング1の一方の面1aaの略中央に開いた丸い開口は、ジャックに接続されるプラグ9の外側端子92が挿入されるプラグ挿入口1aである。プラグ挿入口1aから、第1コンタクト3の中空柱状部3aの先端が見えている。又、第2コンタクト4の弾性屈曲片4aが第2収容室14(図1参照)の開口部分より見えている。
本発明によるジャックは、第1コンタクトと第2コンタクトとをそれぞれに正負又は正とアースのような関係で用いることができる。本発明によるジャックは、組立又は分解がいつでも可能となっており、例えば、ランスによる係合を解除して、上述した逆の手順で各部品を分解することができる。
図17又は図18において、カバーハウジング2に設けられた隆起部21の隆起面と中空柱状部3aの基端部とのクリアランスに突条22が突出している。突条22が第1コンタクト3の中空柱状部3aをプラグ挿入口1aに向けて押圧することにより、第1コンタクト3の姿勢が維持できる。
より具体的には、図17において、突条22が中空柱状部3aの先端側と対向する対向片3eを押圧することより(図4参照)、第1コンタクト3の姿勢を維持できる。図17において、突条22の進入方向側が低くなるように、対向片3eに段差が設けられており、突条22は対向片3eを押圧しつつスライドできる。
本発明によるジャックは、中空柱形状のコンタクトの基端側を閉塞するカバーハウジングの内壁に突条を設け、この突条が中空柱形状のコンタクトの基端側を押圧することにより、当該コンタクトの姿勢を維持する小型のジャックを提供できる。
又、本発明によるジャックは、第2コンタクトと第3コンタクトとが、ジャックにプラグが挿入されたことを検知するスイッチを構成していると考えることができる。ジャックにプラグが挿入されていないときは、第2コンタクトと第3コンタクトはオン状態である。ジャックにプラグが挿入されたときは、第2コンタクトと第3コンタクトはオフ状態である。
より具体的には、図17において、第2コンタクト4の折り返し片4cは、弾性屈曲片4aの先端部が屈曲しており、背面板4bと弾性屈曲片4aとの間を弾性屈曲片4aの基端部に向かって延びている(図4参照)。ジャック10にプラグ9が挿入されていないときは、弾性屈曲片は、逃げ部5aを通過して、プラグ収容室11の内部に突出している(図1及び図3参照)。ジャック10にプラグ9が挿入されたときは、弾性屈曲片4aは後退するように変位して、第2コンタクト4の一対の接触片4d・4eが第3コンタクト5の一対の接触部5d・5eから離反する(図1及び図3参照)。
本発明によるジャックは、ジャックにプラグが挿入されたことを検知する機能が付加されているので、便利である。特に、発明によるジャックは、プラグの挿入検知機能を有するスイッチ端子となる第3コンタクトをハウジングにコンパクトに収容している。
本発明によるジャックは、PDAなどの小型の携帯型電子機器などに使用されてよく、中空柱形状のコンタクトの姿勢を正しく維持し、プラグの挿入検知機能を有する小型のジャックを提供できる。