本発明は、電界発光材料を用いた発光装置に関する。
半導体レーザは、他のガスレーザまたは固体レーザと比較してレーザ発振器を飛躍的に小型化、軽量化できるというメリットを有しており、光集積回路において光インターコネクションにより信号の送受を行なうための光源として、光ディスク、光メモリーなどの記録媒体への記録を行なう際の光源として、さらには光ファイバーなどを光導波路として用いる光通信の光源として、様々な分野で実用化されている。そして半導体レーザの発振波長は青色から赤外までと広範囲に及ぶが、一般的に実用化されている半導体レーザは、例えばGaAsレーザ(波長0.84μm)、InAsレーザ(波長3.11μm)、InSbレーザ(波長5.2μm)、GaAlAs(波長0.72μm〜0.9μm)、InGaAsP(波長1.0μm〜1.7μm)のように、その発振波長が赤外領域に存在するものが多い。
近年では、発振波長を可視領域に有する半導体レーザの実用化に関する研究が数多くなされており、その流れから、電場を加えることでルミネッセンス(Electroluminescence)が得られる電界発光材料を用い、レーザ光を発振することができるレーザ発振器(有機半導体レーザ)に注目が集まりつつある。有機半導体レーザは、波長が可視領域に存在するレーザ光を得ることができ、また安価なガラス基板上に作製することができるため、様々な用途が期待される。
下記特許文献1には、ピーク波長λが510nmである有機半導体レーザに関して記載がされている。
特開2000−156536号公報(第11頁)
ところで有機半導体レーザにおいて誘導放出光を得るためには、反転分布の状態を作り得るような強いエネルギー(ポンピングエネルギー)を、レーザ媒質として機能する電界発光層に与える必要がある。具体的にポンピングエネルギーは、陽極と陰極の間に順方向バイアスの電圧を印加して、陽極と陰極間に設けられた電界発光層に電流を供給することで与えることができる。そして実際にレーザ光を発振させるためには、反転分布の状態を形成するだけでは不充分であり、誘導放出が吸収やその他共振器内に生じる全ての損失を上回るように、発振開始に必要な閾値以上のポンピングエネルギーを、レーザ媒質として機能する電界発光層に与えなくてはならない。
この発振開始に必要なポンピングエネルギーの値が小さいほど、与えたエネルギー(電力)に対するレーザ光の発振効率が高くなり、消費電力を抑えることができる。そのため、ポンピングエネルギーを抑えつつ、レーザ光の発振効率を高めることができる有機半導体レーザの提案が望まれている。特に消費電力が商品価値に直結するような分野では、有機半導体レーザの高発振効率化への要求は高い。
上述したような技術的背景のもと、本発明はレーザ光の発振効率を高め、消費電力を抑えることができる、電界発光材料を用いたレーザ発振器に代表される発光装置の提供を課題とする。
本発明者らは、誘導放出光を反射するための反射材に曲率を持たせて光共振器内における回折損失を抑えることで、発振開始に必要なポンピングエネルギーの閾値を低くし、結果的に有機半導体レーザの発振効率を高めることができるのではないかと考えた。
具体的に本発明の発光装置は、凹部を有する第1の電極と、前記凹部と重なるように前記第1の電極上に形成された、レーザ媒質として機能する電界発光層と、前記凹部と重なるように前記電界発光層上に形成された第2の電極とを有する発光素子を有し、前記電界発光層において発生した光が前記第1の電極と前記第2の電極の間で共振することで前記第2の電極からレーザ光が発振され、前記レーザ光の光軸は前記第2の電極と交差しており、前記第1の電極は前記凹部において曲面を有し、該曲面の曲率中心は前記第2の電極側に存在することを特徴とする。つまり、第1の電極から該曲率中心までの距離は、第1の電極から第2の電極までの距離よりも長い。
なお第1の電極と第2の電極は、いずれか一方が陽極であり、他方が陰極である。電界発光層は少なくとも発光層を有し、該発光層と陽極の間にホール注入層、ホール輸送層等、発光層と陰極の間に電子注入層、電子輸送層等が設けられていても良い。この場合、発光層を含む、陽極と陰極の間に設けられた全ての層を、電界発光層と呼ぶ。電界発光層を構成する層の中に、無機化合物を含んでいる場合もある。
なお、上記発光装置では、光を共振させるための反射材として第1の電極と第2の電極を用いているが、本発明は必ずしもこの構成に限定されない。例えば発光素子の他に、凹部を有する反射材を別途形成し、第1の電極または第2の電極のいずれか一方の電極と、反射材とで、電界発光層において発生した光を共振させても良い。また、電界発光層に含まれる発光層以外の層、例えばホール注入層、ホール輸送層、電子注入層、電子輸送層等で、発光層において発生した光を反射させ、光共振器を形成しても良い。
また、本発明の発光装置が有する光共振器は、2つの反射材の一方が曲面を、他方が平面を有する半球面系であっても良いし、2つの反射材が共に曲面を有する共焦点系、共心系または球面系であっても良い。そして本発明では、曲率半径rと共振器長Lの長さを調整することで安定形共振器を形成し、回折損失を抑えることができる。
なお、単結晶の半導体を用いた半導体レーザは、有機半導体レーザと異なり、反射材として機能する電極に曲面を形成したり、曲面を有する反射材上にレーザ媒質である活性領域を形成したりすることは、作製工程上困難である。またレーザ媒質である活性領域を形成した後に、別途形成された曲面を有する反射材を取り付ける場合、2つの反射材と、活性領域との位置制御を数十nmのオーダーで行なわなくてはならならず、作製工程が煩雑になる。しかし有機半導体レーザの場合、反射材として機能する電極に曲面を形成すること、また曲面を有する反射材上に発光素子を形成することは、半導体レーザに比べて比較的容易である。よって、2つの反射材と、活性領域との数十nmのオーダーでの位置制御を、各層の膜厚によって比較的容易に行なうことが可能である。
本発明では、単結晶の半導体を用いた半導体レーザの場合と異なり、2つの反射材のうちいずれか一方が曲面を有し、なおかつ安定形共振器であるレーザ発振器を、発光素子を用いることで比較的容易に作製することができる。そして安定形共振器により、発振効率を高めることができ、低消費電力で高輝度のレーザ光を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
図1を用いて、本発明のレーザ発振器の一形態について説明する。図1(A)は本発明のレーザ発振器の断面図であり、図1(B)は図1(A)に示すレーザ発振器の上面図である。図1(B)のA−A’における断面図が図1(A)に相当する。図1に示すように本発明のレーザ発振器は、凹部100を有する第1の層101と、凹部100を覆うように第1の層101上に形成された第2の層102とを有する。第2の層102は、凹部100に充填される程度の膜厚で形成する。第1の層101は第2の層102に比べて屈折率が低く、第2の層102は透光性を有している。
なお、図1(A)では、第1の層101と第2の層102が、それぞれ1つの層で形成されている例を示しているが、複数の層で形成されていても良い。ただしこの場合、第1の層101のうち最も第2の層102に近い層の屈折率を、第2の層102のうち最も第1の層101に近い層の屈折率よりも低くする。
また図1では、第2の層102上に、凹部100と重なるように発光素子103が形成されている。発光素子103は、2つの電極104、105と、電極104、105間に設けられた電界発光層106とを有する。なお電極104、105は、一方が陽極であり他方は陰極である。図1では電極104を陽極、電極105を陰極とする例を示すが、電極104を陰極、電極105を陽極としても良い。電極104、105間に順方向バイアスの電圧を印加することで、電界発光層106に電流が供給され、電界発光層106を発光させることができる。
そして図1に示すレーザ発振器は、発光素子103が有する電極105と、第1の層101が反射材として機能しており、該2つの反射材によって光共振器が形成されている。なお第1の層101は凹部100において曲面を有しており、該曲面の曲率中心は、発光素子103側に存在している。つまり、第1の層101から該曲率中心までの距離は、第1の層101から発光素子103までの距離よりも長い。そして、反射材として機能する電極105は平面を有しているので、図1に示すレーザ発振器は半球面系に相当する。電極105と、第1の層101との間に位置する電界発光層106から発せられた光は、電極105と、第1の層101によって共振され、レーザ光として電極105から発振される。そして該光共振器は、発振されるレーザ光の光軸が電極105と交差している。
図2に、図1に示すレーザ発振器において、電極104、105間に順方向バイアスの電圧を印加している様子を示す。電極104、105間に電圧を印加することで、電界発光層106において発生した光が共振される。この光共振器は安定形共振器であり、共振器長に相当する電極105と第1の層101の間の距離Lと、焦点距離fは、f≧L/2を満たす。上記構成により、電極105側から発振されるレーザ光の、発振効率を高めることができる。
なお本明細書において共振器長は、発振されるレーザ光の光路に平行な方向において、2つの反射材の最も遠い距離に相当する。
なお図1では、平面を有する反射材として発光素子の電極を用いているが、本発明はこの構成に限定されない。電極以外の平面を有する膜を、反射材として用いても良い。
なお図1、図2では、発光素子が有する一方の電極と、別途設けられた凹部を有する反射材との間で光を共振させているが、本発明はこの構成に限定されない。発光素子が有する電極に凹部を設け、2つの電極間で光を共振させても良い。図3を用いて、発光素子が有する2つの電極間で光を共振させることができる、本発明のレーザ発振器の形態について説明する。
図3は本発明のレーザ発振器の断面図である。図3に示すように本発明のレーザ発振器は、凹部200を有する第1の層201と、第1の層201上に凹部200と重なるように形成された発光素子202とを有する。また発光素子202は、第1の層201の凹部上に形成された電極203と、電極203上に形成された電界発光層204と、電極203と重なるように電界発光層204上に形成された電極205とを有している。電極203は、第1の層201の凹部200において曲面を有しており、該曲面の曲率中心が、電極205側に存在している。つまり、電極203から該曲率中心までの距離は、電極203から電極205までの距離よりも長い。
なお図3では、第1の層201が1つの層で形成されている例を示しているが、複数の層で形成されていても良い。
そして図3では、電界発光層204の電極205側の面は平坦化されており、平坦化された電界発光層204上に形成された電極205は、平面を有している。よって、反射材として機能する2つの電極203、205は、一方が曲面を、他方が平面を有するので、図3に示すレーザ発振器は図1と同様に半球面系に相当する。そして図3に示すレーザ発振器は、光共振器を安定形共振器とし、共振器長に相当する電極203と電極205の間の距離Lと、焦点距離fが、f≧L/2を満たすようにする。上記構成により、電極205側から発振されるレーザ光の、発振効率を高めることができる。
また電極203、205は、一方が陽極であり他方は陰極である。図3では電極203を陽極、電極205を陰極とする例を示すが、電極203を陰極、電極205を陽極としても良い。そして、電極203、205間に順方向バイアスの電圧を印加することで、電界発光層204に電流が供給され、電界発光層204を発光させることができる。
なお図3では、発光層を含む複数の層で電界発光層204を形成しているが、電界発光層204は発光層だけを含んでいても良い。また、スピンコート法で膜の形成が可能な高分子系の電界発光材料を、電界発光層に含まれるいずれかの層に用いることで、平坦化を容易に行なうことができる。電界発光層204が複数の層で形成されている場合、電界発光層のうち電極203と発光層との間に設けられる層を、その表面が平坦化されるように形成する。例えば、凹部を有する第1の層201上に陽極を形成した場合、PEDOTなどの高分子系の電界発光材料で、表面が平坦化されたホール注入層またはホール輸送層を形成しても良い。また例えば、凹部を有する第1の層上に陰極を形成した場合、電子注入層または電子輸送層の表面を平坦化するように形成する。
そして電界発光層204から発せられた光が、反射材として機能する電極203、205によって共振されることで、レーザ光が電極205側から発振される。そして該レーザ光の光軸は、電極205と交差している。
なお図3では、凹部200を有する第1の層201を用いることで、曲面を有する電極203を形成しているが、本発明はこの構成に限定されない。凹部を有する層上に形成することなく、電極203に直接、曲面を有する凹部を形成しても良い。
また図3では、平面を有する反射材として発光素子の電極を用いているが、本発明はこの構成に限定されない。電極以外の平面を有する膜を、反射材として用いても良い。
なお本発明のレーザ発振器は、半球面系に限定されず、2つの反射材が共に曲面を有する共焦点系、共心系または球面系であっても良い。図4を用いて、共焦点系に相当する本発明のレーザ発振器の形態について説明する。
図4は、本発明のレーザ発振器の断面図に相当する。図4に示すように本発明のレーザ発振器は、凹部500を有する第1の層501と、凹部500を覆うように第1の層501上に形成された第2の層502とを有する。第2の層502は、凹部500に充填される程度の膜厚で形成する。第1の層501は第2の層502に比べて屈折率が低く、第2の層502は透光性を有している。
なお、図4では、第1の層501と第2の層502が、それぞれ1つの層で形成されている例を示しているが、複数の層で形成されていても良い。ただしこの場合、第1の層501のうち最も第2の層502に近い層の屈折率を、第2の層502のうち最も第1の層501に近い層の屈折率よりも低くする。
また図4では、第2の層502上に、凹部500と重なるように発光素子503が形成されている。発光素子503は、2つの電極504、505と、電極504、505間に設けられた電界発光層506とを有する。なお電極504、505は、一方が陽極であり他方は陰極である。図4では電極504を陽極、電極505を陰極とする例を示すが、電極504を陰極、電極505を陽極としても良い。電極504、505間に順方向バイアスの電圧を印加することで、電界発光層506に電流が供給され、電界発光層506を発光させることができる。
また図4では、発光素子503を覆うように第3の層507が形成されている。第3の層507は透光性を有しており、なおかつ発光素子503と重なるように凸部508を有している。そして、凸部508を覆うように、第3の層507上に反射材として機能する反射膜509が形成されている。反射膜509は、第3の層507に比べて屈折率が低い材料を用いる。
なお、図4では、第3の層507と反射膜509が、それぞれ1つの層で形成されている例を示しているが、複数の層で形成されていても良い。ただし、第3の層507のうち最も反射膜509に近い層の屈折率を、反射膜509のうち最も第3の層507に近い層の屈折率よりも高くする。
そして図4に示すレーザ発振器は、第1の層501と反射膜509が反射材として機能しており、該2つの反射材によって光共振器が形成されている。なお第1の層501は凹部500において曲面を有しており、該曲面の曲率中心は、発光素子503側に存在している。つまり、第1の層501から該曲率中心までの距離は、第1の層501から発光素子503までの距離よりも長い。また反射膜509は、第3の層507の凸部508と重なる部分に曲面を有しており、該曲面の曲率中心は、発光素子503側に存在している。つまり、反射膜509から該曲率中心までの距離は、反射膜509から発光素子503までの距離よりも長い。そして、図4に示すレーザ発振器は共焦点系に相当する。よって、共振器長に相当する第1の層501と、反射膜509の間の距離をL、第1の層501の曲率半径をr1、反射膜509の曲率半径をr2とすると、L=(r1+r2)/2を満たす。
なお、2つの各反射材の曲率半径r1、r2と、共振器長Lとが完全に等しいときに回折損失を最小にすることができる。ただし曲率半径r1、r2に差があり、共振器長Lが2つの曲率半径r1とr2の値の間に入るとき、回折損失がきわめて大きくなるので、凹部の作製工程で見込まれる曲率半径の誤差範囲より大きい距離だけ、共焦点の位置からずらして2つの反射材を配置する近共焦点系としても良い。
また本発明のレーザ発振器は、共焦点系に限定されず、共心系または球面系であっても良い。共心系を形成する場合、L=r1+r2を満たすようにする。球面系を形成する場合、r1=r2=L/2を満たすようにする。
そして第1の層501と、反射膜509との間に位置する電界発光層506から発せられた光は、第1の層501と、反射膜509によって共振され、レーザ光として反射膜509から発振される。そして該光共振器は、発振されるレーザ光の光軸が反射膜509と交差している。
なお図4に示す光共振器は安定形共振器であるので、共振器長Lと、曲率半径r1、曲率半径r2は、以下の(数1)に示す式を満たす。
ちなみに焦点距離fは、曲率半径rの半分に相当する。上記構成により、反射膜509から発振されるレーザ光の、発振効率を高めることができる。
また本発明のレーザ発振器は、発光素子を用いた半球面系の光共振器に、レーザ光を屈折及び集光するための光学系として機能する凸部を該発光素子上に設けていても良い。図5を用いて、光学系として機能する凸部を有する本発明のレーザ発振器の形態について説明する。
図5(A)は本発明のレーザ発振器の断面図である。図5(A)に示すように本発明のレーザ発振器は、凹部300を有する第1の層301と、凹部300を覆うように第1の層301上に形成された第2の層302とを有する。第2の層302は、凹部300に充填される程度の膜厚で形成する。第1の層301は第2の層302に比べて屈折率が低く、第2の層302は透光性を有している。
なお、図5(A)では、第1の層301と第2の層302が、それぞれ1つの層で形成されている例を示しているが、複数の層で形成されていても良い。ただしこの場合、第1の層301のうち最も第2の層302に近い層の屈折率を、第2の層302のうち最も第1の層301に近い層の屈折率よりも低くする。
また図5(A)では、平坦化された第2の層302上に、凹部300と重なるように発光素子303が形成され、また発光素子303を覆うように第3の層304が形成されている。発光素子303は、2つの電極305、306と、電極305、306間に設けられた電界発光層307とを有する。なお電極305、306は、一方が陽極であり他方は陰極である。図5(A)では電極305を陽極、電極306を陰極とする例を示すが、電極305を陰極、電極306を陽極としても良い。電極305、306間に順方向バイアスの電圧を印加することで、電界発光層307に電流が供給され、電界発光層307を発光させることができる。
また第3の層304は透光性を有しており、なおかつ発光素子303と重なるように凸部308を有している。
そして第1の層301は凹部300において曲面を有しており、該曲面の曲率中心は、発光素子303側に存在している。つまり、第1の層301から該曲率中心までの距離は、第1の層301から発光素子303までの距離よりも長い。第3の層304は凸部308において曲面を有しており、該曲面の曲率中心は、発光素子303側に存在している。つまり、第3の層304から該曲率中心までの距離は、第3の層304から発光素子303までの距離よりも長い。
また、図5(A)では、第3の層304が1つの層で形成されている例を示しているが、複数の層で形成されていても良い。
そして図5(A)に示すレーザ発振器は、発光素子303が有する電極306と、第1の層301が反射材として機能しており、該2つの反射材によって光共振器が形成されている。なお第1の層301は凹部300において曲面を有しており、該曲面の曲率中心は、発光素子303側に存在している。そして、反射材として機能する電極306は平面を有しているので、図5(A)に示すレーザ発振器は半球面系に相当する。電極305と、第1の層301との間に位置する電界発光層307から発せられた光は、電極306と、第1の層301によって共振され、レーザ光として電極306から発振される。そして該光共振器は、発振されるレーザ光の光軸が電極306と交差している。
図5(B)に、図5(A)に示すレーザ発振器において、電極305、306間に順方向バイアスの電圧を印加している様子を示す。電極305、306間に電圧を印加することで、電界発光層307において発生した光が共振される。この光共振器は安定形共振器であり、共振器長に相当する電極305と第1の層301の間の距離Lと、焦点距離fは、f≧L/2を満たす。上記構成により、電極305側から発振されるレーザ光の、発振効率を高めることができる。
なお発振されたレーザ光はある程度発散しているが、凸部308において屈折及び集光されることで、発散角が抑えられて指向性が高まる。なお、発散角を抑えるためには、凸部308に照射されるレーザ光の発散角に合わせて凸部308の焦点距離を光学設計すれば良い。そして図5に示すレーザ発振器は、層の一部が光学系として機能するため、別途光学系を設ける場合とは異なり、物理的な衝撃に対する耐性を高めることができる。
なお凸部308は、第3の層304を形成した後に、図12に示すように液滴吐出法を用いて形成しても良い。
なお、図5では、発光素子が有する一方の電極と、別途設けられた凹部を有する反射材との間で光を共振させているが、本発明はこの構成に限定されない。図3のように、発光素子が有する電極に凹部を設け、2つの電極間で光を共振させても良い。
また図5では、平面を有する反射材として発光素子の電極を用いているが、本発明はこの構成に限定されない。電極以外の平面を有する膜を、反射材として用いても良い。
なお、図1〜図5に示したレーザ発振器は、発光素子が有する2つの電極や、別途設けた反射材を用いて光を共振させているが、本発明はこの構成に限定されない。電界発光層に含まれる発光層以外の層、例えばホール注入層、ホール輸送層、電子注入層、電子輸送層等に曲面を形成し、発光層において発生した光を反射させ、光共振器を形成しても良い。
本実施例では、本発明のレーザ発振器に用いられる発光素子の構成について説明する。
図6に、本発明で用いる発光素子の、素子構造の一形態を示す。図6に示す発光素子は、陽極401と陰極407の間に電界発光層408を挟んだ構造を有している。電界発光層408は、陽極401側から順次積層された、ホール注入層402、ホール輸送層403、発光層404、電子輸送層405、電子注入層406を有している。
なお本発明のレーザ発振器に用いる発光素子は、電界発光層に少なくとも発光層を含んでいれば良い。発光以外の機能を示す層(ホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、電子注入層)は適宜組み合わせることができる。上記各層に用いることのできる材料を、以下に具体的に例示する。ただし、本発明に適用できる材料は、これらに限定されるものではない。
陽極401としては、仕事関数の大きい導電性材料を用いることが好ましい。陽極401において光を透過させる場合は、透光性の高い材料を用いる。この場合、例えばインジウム−スズ酸化物(ITO)、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)、酸化珪素を含むインジウム−スズ酸化物(ITSO)等の透明導電性材料を用いればよい。陽極401を反射材として用いる場合は、光を反射することができる材料を用いる。この場合、例えばTiN、ZrN、Ti、W、Ni、Pt、Cr、Ag等の1つまたは複数からなる単層膜の他、窒化チタンとアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との三層構造等を用いることができる。また、上記光を反射することができる材料の上に、上述した透明導電性材料を積層して、陽極401として用いてもよい。
ホール注入層402に用いることができるホール注入材料としては、イオン化ポテンシャルの比較的小さな材料であって、可視光領域の吸収が小さいものが好ましい。大別すると金属酸化物、低分子系有機化合物、および高分子系有機化合物に分けられる。金属酸化物であれば、例えば、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウムなど用いることができる。低分子系有機化合物あれば、例えば、m−MTDATAに代表されるスターバースト型アミン、銅フタロシアニン(略称:Cu−Pc)に代表される金属フタロシアニン、フタロシアニン(略称:H2−Pc)、2,3−ジオキシエチレンチオフェン誘導体などを用いることができる。低分子系有機化合物と上記金属酸化物とを共蒸着させた膜であっても良い。高分子系有機化合物であれば、例えば、ポリアニリン(略称:PAni)、ポリビニルカルバゾール(略称:PVK)、ポリチオフェン誘導体などの高分子を用いることができる。ポリチオフェン誘導体の一つであるポリエチレンジオキシチオフェン(略称:PEDOT)にポリスチレンスルホン酸(略称:PSS)をドープしたものを用いても良い。
ホール輸送層403に用いることができるホール輸送材料としては、ホール輸送性が高く、結晶性が小さい公知の材料を用いることができる。芳香族アミン系(すなわち、ベンゼン環−窒素の結合を有するもの)の化合物が好適であり、例えば、4,4−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(TPD)や、その誘導体である4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)などがある。4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(TDATA)や、MTDATAなどのスターバースト型芳香族アミン化合物も用いることができる。また4,4’,4’’−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)を用いても良い。また高分子材料としては、良好なホール輸送性を示すポリ(ビニルカルバゾール)などを用いることができる。また、MoO3などの無機物を用いていても良い。
発光層404には公知の材料を用いることができる。例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[η]−キノリナト)ベリリウム(BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−(4−ヒドロキシ−ビフェニリル)−アルミニウム(BAlq)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾオキサゾラト]亜鉛(Zn(BOX)2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾチアゾラト]亜鉛(Zn(BTZ)2)などの金属錯体を用いることができる。また、各種蛍光色素(クマリン誘導体、キナクリドン誘導体、ルブレン、4,4−ジシアノメチレン、1−ピロン誘導体、スチルベン誘導体、各種縮合芳香族化合物など)も用いることができる。白金オクタエチルポルフィリン錯体、トリス(フェニルピリジン)イリジウム錯体、トリス(ベンジリデンアセトナート)フェナントレンユーロピウム錯体などの燐光材料も用いることができる。特に燐光材料は、蛍光材料と比較して励起寿命が長いため、レーザ発振に不可欠な反転分布、すなわち、基底状態にある分子数よりも励起状態にある分子数が多い状態を作り出すことが容易になる。上記材料は、ドーパントとしても、単層膜としても用いることができる。
また、発光層404に用いるホスト材料としては、上述した例に代表されるホール輸送材料や電子輸送材料を用いることができる。また、4,4’−N,N’−ジカルバゾリルビフェニル(略称:CBP)などのバイポーラ性の材料も用いることができる。
電子輸送層405に用いることができる電子輸送材料としては、Alq3に代表されるような、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体やその混合配位子錯体などを用いることができる。具体的には、Alq3、Almq3、BeBq2、BAlq、Zn(BOX)2、Zn(BTZ)2などの金属錯体が挙げられる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(OXD−7)などのオキサジアゾール誘導体、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(p−EtTAZ)などのトリアゾール誘導体、TPBIのようなイミダゾール誘導体、バソフェナントロリン(BPhen)、バソキュプロイン(BCP)などのフェナントロリン誘導体を用いることができる。
電子注入層に用いることができる電子注入材料としては、上述した電子輸送材料を用いることができる。その他に、LiF、CsFなどのアルカリ金属ハロゲン化物や、CaF2のようなアルカリ土類ハロゲン化物、Li2Oなどのアルカリ金属酸化物のような絶縁体の超薄膜がよく用いられる。また、リチウムアセチルアセトネート(略称:Li(acac)や8−キノリノラト−リチウム(略称:Liq)などのアルカリ金属錯体も有効である。
また陰極407は、通常の発光素子で用いられるような仕事関数の小さい金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。具体的には、LiやCs等のアルカリ金属、およびMg、Ca、Sr等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(Mg:Ag、Al:Liなど)の他、YbやEr等の希土類金属を用いて形成することもできる。また、LiF、CsF、CaF2、Li2O等の電子注入層を用いる場合は、アルミニウム等の通常の導電性薄膜を用いることができる。また、陰極407において光を透過させる場合は、LiやCs等のアルカリ金属、およびMg、Ca、Sr等のアルカリ土類金属を含む超薄膜と、透明導電膜(ITO、IZO、ZnO等)との積層構造を用いればよい。あるいは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属と電子輸送材料を共蒸着した電子注入層を形成し、その上に透明導電膜(ITO、IZO、ZnO等)を積層してもよい。
光共振器は、2つの反射材のうち、一方は反射率をできる限り高くし、他方はある程度の透過率を持たせることで、透過率の高い方の反射材から、レーザ光を発振させることができる。例えば陽極401と陰極407をレーザ光が発振される側の反射材として用いる場合、透過率が5〜70%程度となるように、材料あるいは膜厚を選択する。また、反射材を別途形成する場合は、陽極401または陰極407において光を透過させる材料を選択する。
また反射材の間隔(共振器長)は、共振させたい波長λの半分の整数倍にする。そして、反射材において反射する光と、新たに発せられる光の位相とが一致するように、発光素子の積層構造を設計する。
なお、以上で述べた本発明の発光素子を作製するにあたっては、発光素子中の各層の積層法を限定されるものではない。積層が可能ならば、真空蒸着法やスピンコート法、インクジェット法、ディップコート法など、どの様な手法を選んでも良いものとする。
本実施例では、複数の発光素子を用いた、本発明のレーザ発振器の一形態について説明する。
図7(A)に、発光素子の陽極を作製した時点における、本実施例のレーザ発振器の上面図を示す。また図7(B)に、図7(A)のA−A’における断面図を示す。本実施例のレーザ発振器は、複数の凹部600を有する第1の層601上に、複数の各凹部600と重なるように陽極604が形成されている。陽極604は、光を反射するような材料で形成されており、反射材として機能する。
なお本実施例では、陽極604を反射材として用いているが、本実施例はこの形態に限定されない。凹部上に反射材として機能する反射膜を形成し、該反射膜上に透光性を有する陽極を形成しても良い。
次に、図8(A)に発光素子が完成した時点における、本実施例のレーザ発振器の上面図を示す。また図8(B)に、図8(A)のA−A’における断面図を示す。図8では、複数の凹部600と重なるように、陽極604上に、赤(R)、緑(G)、青(B)の三色に対応する電界発光層605a〜605cが形成されている。なお図8(A)では、電界発光層605a〜605cが分離して形成されているが、互いに一部重なるように形成されていても良い。また電界発光層605a〜605c上に、複数の凹部600と重なるように、陰極606が形成されている。
本実施例では、任意の陰極606は、全ての各陽極604と一部分重なっている。該重なっている部分は発光素子607に相当し、各発光素子607は凹部600に位置している。そして、陰極606の透過率を5〜70%程度とし、電界発光層605a〜605cにおいて発生した光が、反射材として機能する陽極604と陰極606間において共振し、陰極606側から発振されるようにする。そして本実施例のレーザ発振器は、パッシブマトリクスの発光装置と同様に、陽極604と陰極606に印加する電圧を制御することで、選択した発光素子607からレーザ光を発振させることができる。
また本実施例では、陽極604を陰極606よりも凹部600側に形成しているが、陰極606を陽極604よりも凹部600側に形成しても良い。ただしこの場合、陽極604側からレーザ光が発振されるようにする。
なお本実施例では、2つの反射材の一方が曲面を、他方が平面を有する半球面系であるが、2つの反射材が共に曲面を有する共焦点系、共心系または球面系であっても良い。また半球面系の場合、レーザ光を屈折させて指向性を高めることができる凸部を、発光素子と重なるように設けても良い。
また本実施例では、R、G、Bに対応する電界発光層を設けているが、モノクロの表示を行なう場合、電界発光層は1つでよい。
なお、本実施例のレーザ発振器を表示装置として用いてもよい。また、各発光素子に駆動素子を設けることにより、本実施例のレーザ発振器をアクティブマトリクス表示装置としてもよい。レーザ発振器を設けた表示装置にはプロジェクターやレーザ発振器をバックライトとして用いたLCDなどが含まれる。特に、FS―LCDの場合には実施例2に示したR、G、Bの発光素子を使ってもよい。FS―LCDの例として、特開2000―199886に開示された構造を用いてよい。
本実施例では、図9に示すレーザ発振器において、第1の層と第2の層との間に、光を反射させることができる反射膜を形成する形態について説明する。
図9に、本実施例のレーザ発振器の断面図を示す。図9に示すように本実施例のレーザ発振器は、凹部800を有する第1の層801上に、反射膜802が形成されている。反射膜802は光を反射することができる材料で形成することができ、例えば、Al、Ag、Ti、W、Pt、Crなどの金属元素を1つまたは複数含んでいる材料を用い、蒸着法で形成することができる。なお反射膜は上記材料に限定されず、光を反射することができる膜であればよい。例えば反射膜として、酸化珪素、窒化珪素、酸化チタンなどの屈折率の異なる絶縁膜を交互に積層した膜を用いても良い。
また反射膜802を覆うように、第2の層803が形成されている。第2の層803は透光性を有しており、凹部800に充填される程度の膜厚で形成されている。なお、図1の場合とは異なり、本実施例のレーザ発振器では、発振されたレーザ光を反射膜802で反射させているので、第2の層803よりも第1の層801の屈折率を、必ずしも低くする必要はない。また、図9では、第1の層801と第2の層803が、それぞれ1つの層で形成されている例を示しているが、複数の層で形成されていても良い。
第2の層803上には、凹部800と重なるように発光素子804が形成されている。発光素子804は、2つの電極805、806と、電極805、806間に設けられた電界発光層807とを有する。なお電極805、806は、一方が陽極であり他方は陰極である。図9では電極805を陽極、電極806を陰極とする例を示すが、電極805を陰極、電極806を陽極としても良い。電極805、806間に順方向バイアスの電圧を印加することで、電界発光層807に電流が供給され、電界発光層807を発光させることができる。
なお第1の層801は凹部800において曲面を有しており、該曲面の曲率中心は、発光素子804側に存在している。つまり、第1の層801から該曲率中心までの距離は、第1の層801から発光素子804までの距離よりも長い。
そして図9に示すレーザ発振器は、反射膜802と、発光素子804が有する電極806とによって光共振器が形成されている。電界発光層807から発せられた光は、反射膜802と電極806によって共振され、レーザ光として発振される。そして該光共振器は、発振されるレーザ光の光軸が電極806と交差している。
本実施例では、レーザ光を反射する凹部の作製方法について説明する。まず、図10(A)に示すように、後に凹部が形成される第1の層901を形成する。第1の層901は、ガラス、石英、プラスチックなどの基板であっても良いし、該基板上に成膜された樹脂膜、絶縁膜であっても良い。次に、第1の層901上に、開口部902を有するマスク903を形成する。
そして図10(B)に示すように、マスクの開口部902において第1の層901をウェットエッチングする。ウェットエッチングは、第1の層901の材料に合わせて最適なエッチャントを用いる。例えば、第1の層901としてガラスを用いる場合、エッチャントとしてフッ酸を用いることができる。等方性のウェットエッチングにより、曲面を有する凹部904を第1の層901に形成することができる。
次に図10(C)に示すように、凹部904を有する第1の層901上に、第2の層905を形成する。第2の層905は、透光性を有する材料で、なおかつ凹部904を充填することができる程度の膜厚で形成する。そして第2の層905は、第1の層901よりも屈折率の高くなるような材料、たとえば本実施例では、第1の層901がガラスだとすると、遷移金属酸化物や窒化物などで形成する。
なお、本実施例では、第1の層901に接するように第2の層905を形成しているが、第1の層901と第2の層905との間に、レーザ光を反射することができる反射膜を形成しても良い。この場合、第2の層905は透光性を有していれば良く、必ずしも第1の層901よりも屈折率の高い材料を用いる必要はない。
なお本発明において、第1の層の作製方法は本実施例で示した形態に限定されない。
本実施例では、第2の層に凸部を形成し、該凸部を用いて第1の層に凹部を形成する方法について説明する。
まず、図11(A)に示すように、後に凸部が形成される第2の層1001上に、加熱により溶融させることができる樹脂1002を形成する。樹脂1002は、島状にパターニングしておく。第2の層1001は、ガラス、石英、プラスチックなどの基板を用いることができる。
次に図11(B)に示すように、島状にパターニングされた樹脂1002を、その端部に曲面が形成されるように、加熱により溶融する。溶融することで曲面を有する樹脂1003が形成される。
そして図11(C)に示すように、樹脂1003をマスクとして、第2の層1001をドライエッチングする。ドライエッチングは、第2の層1001の材料に合わせて、最適なエッチングガスを用いる。例えば、第2の層1001としてガラスを用いる場合、エッチングガスとしてCF4、CHF3、Cl2などのフッ素系、塩素系のエッチングガスを用いることができる。ドライエッチングにより、図11(C)に示すように樹脂1003も共にエッチングされる。そして最終的に図11(D)に示すように、曲面を有する樹脂1003の形状に合わせて、第2の層1001に凸部1004を形成することができる。
次に図11(E)に示すように、第2の層1001の凸部1004が形成されている側に、レーザ光を反射させることができる反射膜1005を形成する。そして、図11(F)に示すように、反射膜1005上に第1の層に相当する接着剤1006を塗布し、基板1007を貼り合わせる。上記構成により、第1の層に相当する接着剤1006に、凹部を形成することができる。
なお、本実施例ではレーザ光を反射させるために反射膜1005を形成しているが、第2の層1001と、第1の層に相当する接着剤1006との間の屈折率の差を利用して、レーザ光を反射させるようにしても良い。この場合、接着剤1006の屈折率を第2の層1001よりも低くする。
本実施例では、本発明のレーザ発振器を用いた電子機器の一形態について説明する。
図13(A)に、本発明のレーザ発振器を用いたレーザポインタの外観図を示す。1201はレーザポインタの本体に相当し、1202は本発明のレーザ発振器が設けられたパッケージに相当する。本体1201の内部には、レーザ発振器が納められたパッケージ1202に電力を供給するための電池等が設けられている。また1203はパッケージ1202への電源の投入を制御するためのスイッチに相当する。
図13(B)に、パッケージ1202の拡大図を示す。パッケージ1202は、レーザ光の不要輻射を遮蔽するための筐体1204内に、本発明のレーザ発振器1205が設けられている。筐体1204の一部は、レーザ発振器1205から発振されるレーザ光を取り出すための、透光性を有する窓1207を有する。そしてレーザ発振器1205は、リード1206を介して本体1201の内部に設けられている電池から、電力の供給を受けることができる。
図13(C)に、レーザ発振器1205の拡大図を示す。レーザ発振器1205は、凹部を有する第1の層1215と、凹部を充填するように第1の層上に形成された第2の層1208と、第2の層1208上に形成された発光素子1209とを有する。発光素子1209は、2つの電極1210、1211と、電極1210、1211間に設けられた電界発光層1212とを有する。電極1210、1211は、ワイヤ1214によってリード1206と電気的に接続されている。また1213は、電界発光層1212を封止するための樹脂に相当し、電界発光層1212が水や酸素などの影響を受けて劣化するのを防ぐことができる。
リード1206を介して電極1210、1211間に順方向バイアスの電圧が印加されると、電界発光層1212に電流が供給され、光が発生する。そして電界発光層1212において発生した光が電極1211、第1の層1215間で共振し、破線の矢印で示すように電極1211側からレーザ光が発振される。
なお本実施例では、図1に示す構造を有するレーザ発振器を用いているが、本実施例はこの構成に限定されず、例えば図3、図4、図5に示すような、他の構成を有する本発明のレーザ発振器を用いていても良い。或いは、図8に示すように、パッシブマトリクス状に形成された複数の発光素子を有するレーザ発振器を用いていても良い。
本実施例では、本発明のレーザ発振器に用いられる発光素子の構成について説明する。
図14に、本発明で用いる発光素子の、素子構造の一形態を示す。図14に示す発光素子は、陽極1301と陰極1302の間に2つの電界発光層1303、1304を挟んだ構造を有している。さらに図14に示す発光素子は、2つの電界発光層1303、1304の間に、外部回路と接続していないフローティング状の電極である、電荷発生層1305を有している。電界発光層1303は、陽極1301側から順次積層された、ホール注入層1306、ホール輸送層1307、発光層1308、電子輸送層1309、電子注入層1310を有している。また電界発光層1304は、電荷発生層1305側から順次積層された、ホール注入層1315、ホール輸送層1311、発光層1312、電子輸送層1313、電子注入層1314を有している。
なお本発明のレーザ発振器に用いる発光素子は、各電界発光層に少なくとも発光層を含んでいれば良い。発光以外の機能を示す層(ホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、電子注入層)は適宜組み合わせることができる。上記各層に用いることのできる材料は、実施例1に記載されている材料を参照することができる。ただし、本発明に適用できる材料は、実施例1に記載されている材料に限定されるものではない。
図14に示す発光素子の、陽極1301と陰極1302間に順方向バイアスの電圧を印加すると、電界発光層1303には電子が、電界発光層1304には正孔がそれぞれ注入され、各電界発光層1303、1304においてキャリアの再結合が起こり、発光が得られる。上記構成により、陽極1301と陰極1302間の距離が一定の場合、電界発光層が1つのときに比べて、同じ電流値に対して得られる発光のエネルギーが高くなる。よって、レーザ光の発振効率を高めることができる。
電荷発生層1305は、光を透過させることができる材料で形成する。例えば、ITO、V2O5とアリールアミン誘導体の混合物、MoO3とアリールアミン誘導体の混合物、V2O5とF4TCNQ(テトラフルオロテトラチアフルバレン)の混合物などを用いることができる
また陽極1301と陰極1302を反射材として用いる場合、一方の反射率はできるだけ大きく、他方の透過率は5〜70%程度になるように、材料または膜厚を選択する。また、反射材を別途形成する場合は、陽極1301または陰極1302において光を透過させる材料を選択する。また反射材の間隔は、共振させたい波長λの半分の整数倍にする。そして、反射材において反射する光と、新たに発せられる光の位相とが一致するように、発光素子の積層構造を設計する。
本発明のレーザ発振器の断面図及び上面図。
本発明のレーザ発振器の断面図。
本発明のレーザ発振器の断面図。
本発明のレーザ発振器の断面図。
本発明のレーザ発振器の断面図。
本発明のレーザ発振器に用いられる、発光素子の構造を示す図。
本発明のレーザ発振器の作製過程における、上面図及び断面図。
本発明のレーザ発振器の上面図及び断面図。
本発明のレーザ発振器の断面図。
凹部の作製方法の一実施例を示す図。
凹部の作製方法の一実施例を示す図。
凸部の作製方法の一実施例を示す図。
本発明のレーザ発振器を用いたレーザポインタの構造を示す図。
本発明のレーザ発振器に用いられる、発光素子の構造を示す図。