JP4831053B2 - セル固定装置及び粒子測定装置 - Google Patents
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Description
さらに、粒子径が100nm以下である粒子は、一般にナノ粒子と称され、同じ材質であっても通常のバルク物質とは異なる性質を表すことから、さまざまな分野で利用され始めている。
このような粒子径を測定する方法としては、レーザ回折・散乱式をはじめとして種々のものが知られているが、粒子径が100nm以下であるナノ粒子については、主として動的光散乱法(光子相関法)と称される測定方法が用いられている。
動的散乱法は、各粒子が粒子径に応じたブラウン運動をすることを利用したものであり、分散媒中の粒子にレーザ光を照射し、粒子による散乱光の強度を所定の位置で測定して、粒子のブラウン運動に起因する散乱光強度の揺らぎ、つまり散乱光の経時的変化を捕らえることにより、粒子径を算出する測定方法である。
図9は、粒子測定装置の全体構造の一例を示す図である。また、図10は、セル固定装置を示す平面図であり、図11は、図10に示すセル固定装置のD−D線の断面図である。さらに、図7は、粒子測定装置に使用されるセルの一例を示す斜視図である。
粒子測定装置は、レーザ光を水平方向に照射するレーザ光源15と、流動体試料が収容されるセル10と、セル10を固定するセル固定装置50と、集光レンズ16と、集光レンズ16の焦点位置に設けられるフォトダイオード17と、粒子群に関する評価を行う制御部(図示せず)とを備える。
セル10は、長方形状の底面10aと、4個の側壁10b〜10eとを有するガラス製のものであり、対向する2面10b、10dは、光透過性を有する。そして、セル10の内部には、分散媒に粒子群を分散させた流動体試料が収容されることになる。
セル固定装置50は、レーザ光源15からのレーザ光が照射されるとともに、流動体試料による回折光が集光レンズ16に出射されるセル設定位置に、セル10を固定するセルホルダ51を備える。具体的には、セルホルダ51は、セル10の底面10aが載置される底面部51aと、底面部51a(基準面)より上方に距離d1(例えば、15mm)で形成される上面部51bとを有する。そして、上面部51bには、底面10aと同じ形状の貫通孔が形成されている。これにより、セル10を上面部51bの貫通孔に上方から挿入して、セル10の底面10aを底面部51aに載置することで、セル10をセル設定位置に固定することができるようになっている。
そして、測定時には、セル設定位置に固定されたセル10の側壁10bにレーザ光が水平方向から照射されることにより、流動体試料中の粒子群で光が回折され、その後、側壁10dから回折光が集光レンズ16に向かって出射する。
ここで、空間周期パターンを有する電界を発生させる電極について説明する。図8は、電極が形成されたガラス基板(透明基板)の一例を示す斜視図である。
平板形状のガラス基板30は、1面にマスクパターニング手法を用いて金属膜で形成された第一電極32及び第二電極33(電極対)を有する。
第一電極32は、平行な直線状の電極片32a〜32dが間隔を空けて平行に並べられるとともに、これらの電極片32a〜32dの外側の片側端どうしを電気的に接続する直線状の接続部32eが設けられ、いわゆる櫛型電極を形成している。また、接続部32eの上端部には、四角形状の接点接続部32fが設けられている。
第二電極33についても同様であり、平行な直線状の電極片33a〜33dが間隔を空けて平行に並べられるとともに、これらの電極片33a〜33dの外側の片側端どうしを電気的に接続する直線状の接続部33eが設けられ、いわゆる櫛型電極を形成している。また、接続部33eの上端部には、四角形状の接点接続部33fが設けられている。
そして、電極片32aと電極片33bとの間隔、電極片32bと電極片33cとの間隔、及び、電極片32cと電極片33dとの間隔が、それぞれ一定距離Sを空けて配置される。
また、接点接続部32fと接点接続部33fとには、交流電源が接続される。
しかしながら、測定時、流動体試料中に空間周期パターンを有する電界を発生させるために、第一電極32及び第二電極33を流動体試料中に浸漬するので、セル10の側壁10b〜10eの高さLsが高いと、ガラス基板30の高さLeも高くしなければならなくなる。このようにガラス基板30の高さLeを高くすると、マスクパターニング手法を用いて形成された第一電極32及び第二電極33の形成距離が長くなるので、第一電極32及び第二電極33が損傷を受けやすかった。
一方、第一電極32及び第二電極33が損傷を受けないように、セル10の側壁10b〜10eの高さLsを低くすると、ガラス基板30の高さLeも低くすることができるが、セル10をセルホルダ51のセル設定位置に固定したときに、セル10が上面部51bの貫通孔から突出する量d3が小さくなり、その結果、測定終了後にセル10の側壁10c、10eの上部を掴んで、セル10をセルホルダ51から取り出すことが困難となった。
そこで、本発明は、電極の長さを長くしないようにセルの高さを低くしても、セルをセルホルダから容易に取り出すことができるセル固定装置及びそれを用いた粒子測定装置を提供することを目的とする。
本発明によれば、まず、セルホルダでセルを水平方向に固定する。このとき、セルの底面は押圧部によって上方向に押し上げられるので、本発明では、セルホルダ内のセル設定位置にセルをまだ固定できていないことになる。次に、電極ホルダを下方向に移動させて、電極ホルダを電極ホルダ設定位置に固定する。このとき、電極ホルダに支持された透明基板の電極がセル内に挿入されるとともに、電極ホルダの下面がセルの上部を圧接することにより、セルホルダ内のセル設定位置にセルを押し下げることになる。そして、セル設定位置にセルが保持された状態で、電極ホルダを固定する。このようにして電極ホルダを固定することにより、セル設定位置にセルが固定された状態で、測定時に、電極に電圧を印加したり電圧印加を停止したりして、光源から光を照射することによって生じた光の強度を光検出器で検出する。その後、測定が終了すれば、電極ホルダを上方向に移動させる。このとき、セルの上部を圧接していた電極ホルダがなくなる結果、セルの底面は押圧部によって上方向に押し上げられるので、セル取出位置にセルが保持されることになる。最後に、セルの側壁の上部を掴んで、セルホルダからセルを取り出す。
さらに、電極ホルダが電極ホルダ設定位置に固定されて、電極ホルダの下面(基準面)がセルの側壁の上部を圧接することにより、セルがセル設定位置に固定されることになるので、電極ホルダの下面とセルの側壁との上面との間に隙間ができることなく、その結果、電極の長さを短くすることができる。
また、上記の発明において、前記押圧部は、バネと、上部と下部とが連結されたピンとからなり、前記セル設定位置より下方に位置するセルホルダの底面部は、前記ピンの上部を貫通させるが、前記ピンの下部を貫通させない上下方向に貫通する貫通孔を有し、前記バネの下端は、前記セルホルダの貫通孔より下方位置に固定されるとともに、前記バネの上端は、前記ピンの下部の下面を上方向に押圧し、前記ピンの上部が貫通孔を貫通し、前記ピンの下部が底面部に当接することにより、前記非測定時には、前記ピンの上部が貫通孔より上方に設定距離で位置し、前記測定時には、前記ピンが押し下げられるようにしてもよい。
本発明によれば、ピンの下部が底面部の貫通孔を貫通しないため、ピンの上部が底面部の貫通孔より上方に設定距離以内で移動するので、ピンが上方に行き過ぎることで、流動体試料がセル外にこぼれることを防止することができる。
本発明によれば、電極ホルダのガイド軸を、セルホルダのガイド軸挿入孔に挿入していくことにより、電極をセル内に挿入することができるとともに、ガイド軸のプランジャ挿入孔に、セルホルダのプランジャが挿入されることにより、電極ホルダを電極ホルダ設定位置に固定することができる。
さらに、本発明の粒子測定装置は、上述したようなセルホルダと、側壁と底面とを有し、その内部に粒子群が分散された流動体試料が収容されるセルと、前記セルに光を照射する光源と、前記流動体試料による回折光の強度を検出する光検出器と、前記電極への電圧の印加と電圧印加の停止とを制御することによって生じる光の強度変化から粒子群に関する評価を行う制御部とを備えるようにしている。
粒子測定装置は、レーザ光を水平方向に照射するレーザ光源15と、流動体試料が収容されるセル10と、セル10をセル設定位置に固定するセル固定装置20と、集光レンズ16と、集光レンズ16の焦点位置に設けられるフォトダイオード(光検出器)17と、粒子群に関する評価を行う制御部(図示せず)とを備える(図9参照)。なお、上述した粒子測定装置と同様のものについては、同じ符号を付している。
フォトダイオード17は、回折角を測定するための角度調整機構(図示せず)が設けられており、回折光の強度とともに回折角が検出できるようにしてある。なお、角度調整機構を設ける代わりに、複数の素子を並べたアレイセンサを用いて、回折角が計測できるようにしてもよい。
セル固定装置20は、押圧部2を有するセルホルダ21と、平板形状のガラス基板(透明基板)30と、ガラス基板30を支持する電極ホルダ35と、ガラス基板30上の第一電極32及び第二電極33に交流電圧を印加する交流電源(図示せず)とを備える。
セルホルダ21の上面部21bの中央部には、底面10aと同じ形状の貫通孔を有する。また、セルホルダ21は、上面部21bから距離d1(例えば、15mm)より少し下方に形成される底面部21aを有する。底面部21aには、上下方向に貫通する四角形状の貫通孔が形成されている。
バネ3の下端は、底面部21aより下方でセルホルダ21に固定されるとともに、バネ3の上端は、ピン2bの下部4bの内部に挿入され、ピン4を上方向に押圧する。そして、ピン4の上部4aは、底面部21aの貫通孔を貫通するが、ピン4の下部4bは、底面部21aに当接する。
これにより、セル10を上面部21bの貫通孔に上方から挿入して、セル10の底面10aをピン4の上面に載置することで、セル10をセル取出位置(セル設置位置より上方に設定距離d2となる位置)に保持することができるようになっている。また、後述するが、セル10の上面を、バネ3の弾性に対抗して下方向に押圧することで、セル取出位置から下方に設定距離d2となるセル設定位置にセル10を押し下げることができるようになっている。
電極ホルダ35は、略直方体形状であり、下面35cの中央部に下面から突出するように形成される平板形状のガラス基板30を支持するとともに、下面35cの左右には、下面35cから突出するように形成された2個の円柱形状のガイド軸(電極ホルダ固定部)35aを有する。なお、ガイド軸(電極ホルダ固定部)35aは、ガラス基板30より下面35cから突出するように形成されている。よって、ガラス基板30の左右にガイド軸35aが存在するので、ガラス基板30が保護されるようになっている。
第一電極32は、平行な直線状の電極片32a〜32dが間隔を空けて平行に並べられるとともに、これらの電極片32a〜32dの外側の片側端どうしを電気的に接続する直線状の接続部32eが設けられ、いわゆる櫛型電極を形成している。また、接続部32eの上端部には、四角形状の接点接続部32fが設けられている。
第二電極33についても同様であり、平行な直線状の電極片33a〜33dが間隔を空けて平行に並べられるとともに、これらの電極片33a〜33dの外側の片側端どうしを電気的に接続する直線状の接続部33eが設けられ、いわゆる櫛型電極を形成している。また、接続部33eの上端部には、四角形状の接点接続部33fが設けられている。
そして、電極片32aと電極片33bとの間隔、電極片32bと電極片33cとの間隔、及び、電極片32cと電極片33dとの間隔が、それぞれ一定距離Sを空けて配置される。
また、接点接続部32fと接点接続部33fとには、交流電源が接続される。
交流電源には、流動体試料中の粒子群に誘電泳動を引き起こすことができる電圧、周波数の交流電源が用いられる。具体的には、1〜100V、10KHz〜10MHz程度の交流電圧が印加できる交流電源を使用する。
まず、セルホルダ21の上面部21bの貫通孔にセル10を上方から挿入する。このとき、セル10は、押圧部2によってセル取出位置に保持される(図5及び図6参照)。
次に、セルホルダ21の上面部21bに形成される2本のガイド軸挿入孔21cに、電極ホルダ35の2本のガイド軸35aを挿入する。そして、ガイド軸挿入孔21cにガイド軸35aを下方向に挿入していくと、セル10内にガラス基板30の一部が挿入される。
さらに、ガイド軸挿入孔21cにガイド軸35aを下方向に挿入していくと、電極ホルダ35の下面35cがセル10の側壁10b〜10eの上面に接触し、セル10内にガラス基板30の全部が挿入される。
さらに、セル10を押圧するバネ3の弾性に対向して、ガイド軸挿入孔21cにガイド軸35aを下方向に所定の距離まで挿入すると、セルホルダ21に形成される2本のボールプランジャ21dが、ガイド軸35aのプランジャ挿入孔35bに挿入される。このとき、電極ホルダ35は、電極ホルダ設定位置に固定され、セル10は、セル設定位置に固定される(図1〜図4参照)。
そして、測定(評価)が終了すれば、電極ホルダ35をセルホルダ21に対して上方向に移動させることで、セルホルダ21の上面部21bに形成される2本のガイド軸挿入孔21cから、電極ホルダ35の2本のガイド軸35aを取り外す。このとき、セル10の側壁10b〜10eの上面を圧接していた電極ホルダ35がなくなる結果、セル10の底面10aが押圧部2によって上方向に押し上げられるので、セル10は、セル取出位置に保持される(図5及び図6参照)。
最後に、セル10の側壁10c、10eを掴んで、セルホルダ21からセル10を取り外す。
さらに、電極ホルダ35が電極ホルダ設定位置に固定されて、電極ホルダ35の下面35cがセル10の側壁10b〜10eの上部を圧接しているときに、セル10がセル設定位置に固定されることになるので、電極ホルダ35の下面35cとセル10の側壁10b〜10eとの上面との間に隙間ができることなく、その結果、第一電極32及び第二電極33の長さを短くすることができる。
10 セル
15 レーザ光源
17 フォトダイオード(光検出器)
20、50 セル固定装置
21、51 セルホルダ
21c ガイド軸挿入孔(電極ホルダ固定部)
21d ボールプランジャ(電極ホルダ固定部)
30 ガラス基板(透明基板)
32 第一電極
33 第二電極
35 電極ホルダ
35a ガイド軸(電極ホルダ固定部)
35b プランジャ挿入孔(電極ホルダ固定部)
35c 電極ホルダの下面
Claims (5)
- 側壁と底面とを有し、その内部に粒子群が分散された流動体試料が収容されるセルと、前記セルに光を照射する光源と、前記流動体試料による回折光の強度を検出する光検出器とを備え、前記光源と光検出器との間にセルを固定する粒子測定装置において使用されるセル固定装置であって、
前記光源と光検出器との間で、前記セルの水平方向の位置を固定するセルホルダと、
前記セル内に挿入され、電圧が印加される電極が形成された透明基板と、
下面から突出するように透明基板を支持し、前記セルホルダに対して上下方向に移動可能である電極ホルダと、
測定時には、前記電極ホルダを下方に移動させることにより、前記セルホルダに保持されたセル内に、前記電極ホルダに支持された透明基板の電極が挿入される電極ホルダ設定位置に、前記電極ホルダを固定する電極ホルダ固定部とを備え、
前記セルホルダは、前記セルホルダ内に配置されたセルの底面を上方向に押圧する押圧部を有し、
前記測定時には、前記電極ホルダ設定位置に固定された電極ホルダの下面が、前記セルの側壁の上部を、前記押圧部の押圧に対抗して圧接することにより、前記セルホルダ内のセル設定位置にセルを固定し、
非測定時には、前記電極ホルダを上方に移動させることにより、前記セルホルダからセルを取り出すためのセル取出位置にセルが、前記押圧部によって押し上げられることを特徴とするセル固定装置。 - 前記押圧部は、バネと、上部と下部とが連結されたピンとからなり、
前記セル設定位置より下方に位置するセルホルダの底面部は、前記ピンの上部を貫通させるが、前記ピンの下部を貫通させない上下方向に貫通する貫通孔を有し、
前記バネの下端は、前記セルホルダの貫通孔より下方位置に固定されるとともに、前記バネの上端は、前記ピンの下部の下面を上方向に押圧し、
前記ピンの上部が貫通孔を貫通し、前記ピンの下部が底面部に当接することにより、前記非測定時には、前記ピンの上部が貫通孔より上方に設定距離で位置し、
前記測定時には、前記ピンが押し下げられることを特徴とする請求項1に記載のセル固定装置。 - 前記電極ホルダ固定部は、前記電極ホルダの下面から突出するように形成される2本のガイド軸と、
前記セルホルダの上面に形成され、前記ガイド軸が挿入される2個のガイド軸挿入孔とからなり、
さらに、前記ガイド軸は、プランジャ挿入孔を水平方向に有するとともに、
前記ガイド軸挿入孔は、内部に挿入されたガイド軸のプランジャ挿入孔に挿入されるように、水平方向に移動可能であるプランジャを有し、
前記ガイド軸のプランジャ挿入孔にプランジャが挿入されることにより、前記電極ホルダが電極ホルダ設定位置に固定されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のセル固定装置。 - 前記電極は、前記セル内の流動体試料中に、空間周期パターンを有する電界を発生させることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のセル固定装置。
- 請求項1〜請求項4のいずれかに記載のセル固定装置と、
側壁と底面とを有し、その内部に粒子群が分散された流動体試料が収容されるセルと、
前記セルに光を照射する光源と、
前記流動体試料による回折光の強度を検出する光検出器と、
前記電極への電圧の印加と電圧印加の停止とを制御することによって生じる光の強度変化から粒子群に関する評価を行う制御部とを備えることを特徴とする粒子測定装置。
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