JP4830883B2 - 噴射量制御装置 - Google Patents
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Description
また、特許文献2記載の燃料噴射制御装置では、インジェクタ特性マップは、実際に噴射された実噴射量に対するパルス幅(以下、つりあいTQ値と呼ぶ)を学習することにより補正される。
しかし、例えば、1mm3/stの噴射量に対応するパルス幅を微小領域として学習するにあたり、インジェクタ特性マップにて1mm3/stに対応するパルス幅を算出し、そのパルス幅にて1回噴射したときの実噴射量と1mm3/stとの偏差分を補正しようとすると、実噴射量が極めて少ないため補正ばらつきが大きい。
分割式微小Q学習は、エンジンが安定しているアイドル時に行われ、アイドルに必要な噴射量を分割噴射し、分割した1回の噴射量が微小噴射量に設定できるため、その噴射量を学習するものである。すなわち、アイドル時に5mm3/stの噴射量が必要な場合、噴射を5回に分割し1回の噴射が1mm3/stとなる。このときのインジェクタ特性マップとのパルス幅(TQ)との偏差分を算出し、その偏差分に基づき微小Q領域の補正を行って、補正精度を確保している発明である。
そして、図8(B)中の点線に示すインジェクタ特性マップを補正するにあたり、つりあいTQ値Bを学習すると、パルス幅のマイナス側にオフセットさせて図8(C)中の実線に示す特性に補正されることとなる。一方、つりあいTQ値Cを学習すると、パルス幅のプラス側にオフセットさせて図8(D)中の実線に示す特性に補正されることとなる。
そこで、本発明の目的は、インジェクタ特性マップを補正するにあたり、微小噴射領域における補正精度向上を実現した燃料噴射制御装置を提供することにある。
この判定手段のパルス幅の上記強制的な変動は、所定のつりあいTQ値よりもパルス幅が小さい領域で、パルス幅を、つりあいTQ値に向けて、徐々に上昇させるように強制的に変動させる増大変動と、所定の前記つりあいTQ値よりもパルス幅が大きい領域で、パルス幅を、徐々に減少させるように強制的に変動させる減少変動という、2つの変動である。
さらに、この増大変動あるいは減少変動の実行によって、所定の気筒の前記インジェクタに対し強制的に変動させたパルス幅で燃料噴射させて気筒間の回転速度変動を生じさせ、その回転速度変動を平滑化させるよう所定の気筒に対する噴射量補正を実行することで噴射間補正量を算出する。
そして、判断手段は、増大変動の実行時、前回のパルス幅で得られた噴射量補正量と、この前回のパルス幅よりも所定量上昇させた今回のパルス幅で得られた噴射量補正量とを算出し、今回のパルス幅で得られた噴射量補正量から前回のパルス幅で得られた噴射量補正量を差し引いた値が0以下でないと判定されたときには、つりあいTQ値よりもパルス幅が小さい領域で、減少領域が存在すると判定し、一方、減少変動の実行時には、上記差し引いた値が0以上でないと判定されたときには、つりあいTQ値よりもパルス幅が大きい領域で、減少領域が存在すると判定することで、実際のインジェクタ特性が異常特性であると判定する。
そのため、補正手段によりインジェクタ特性マップを補正するにあたり、実際のインジェクタ特性が減少領域を有する異常特性である場合には、正常特性の場合とは異なる補正内容にすることができるので、補正精度を向上できる。
これによれば、実際のインジェクタ特性が減少領域を有するか否かを容易に検出できるとともに、増大変動および減少変動のいずれか一方のみにて強制変動させる場合に比べて減少領域の範囲を正確に検出できる。
これによれば、実際のインジェクタ特性が減少領域を有するか否かを容易に検出でき、異常特性であるか否かを容易に判定できる。
これによれば、実際のインジェクタ特性が減少領域を有するか否かを容易に検出できるとともに、増大変動および減少変動のいずれか一方のみにて強制変動させる場合に比べて減少領域の範囲を正確に検出できる。
減少領域および当該減少領域よりもパルス幅が小さい領域におけるパルス幅は、単調増加領域に比べて補正精度が悪く、このような領域のパルス幅が含まれないように指令噴射信号を出力するので、実噴射量が所望の噴射量からばらついてしまう恐れを、より一層低減できる。
はじめに、本実施形態に係る燃料噴射制御装置を用いた燃料噴射システム10を、図1を用いて説明する。なお、当該燃料噴射システム10は、車両に搭載された4気筒のディーゼルエンジンを対象としている。
燃料噴射システム10では、燃料噴射ポンプ12から吐出されコモンレール14で蓄圧された燃料をインジェクタ20から噴射する。電子制御装置(Electronic Control Unit;ECU)50は、コモンレール14の圧力を検出する圧力センサ16の検出信号、エンジン回転数検出センサ74により検出されたエンジン回転数検出信号、およびその他の各種センサの検出信号等を入力し、これら検出信号により推定されるエンジン運転状態に基づいてインジェクタ20からの燃料噴射を制御する。電子駆動装置(Electronic Driving Unit;EDU)60は、ECU50から出力されるインジェクタ20の開閉信号(指令噴射信号)に基づいて、インジェクタ20に駆動電流を供給する。
電磁弁40は、制御室204に連通している出口絞り210と燃料排出通路212との連通を断続する。電磁弁40の弁部材42は、スプリング44から出口絞り210と燃料排出通路212との連通を遮断する方向に荷重を受けている。
噴射パルスがオフになり、EDU60からインジェクタ20への駆動電流の供給が停止されると、スプリング44の荷重により弁部材42は出口絞り210と燃料排出通路212との連通を遮断する方向に移動する。出口絞り210と燃料排出通路212との連通が遮断されると、制御室204の圧力が上昇し制御室204の圧力から弁座23に着座する方向にノズルニードル30が受ける力が上昇するので、ノズルニードル30は弁座23に着座し噴孔24からの燃料噴射は遮断される。
図1に示すように、燃料噴射制御装置としてのECU50は、CPU52、RAM54、フラッシュメモリ56等から構成されている。RAM54は、CPU52で処理されるデータやプログラムを一時的に格納する。フラッシュメモリ56は、CPU52で実行される制御プログラム、およびセンサの検出信号に基づき参照する各種マップを格納している書き換え可能な不揮発性メモリである。
そして、ECU50は、当該インジェクタ特性マップに基づき、上述の目標噴射量に対する最適なパルス幅およびパルス数を算出する。また、ECU50は、実際に噴射された実噴射量に対するパルス幅の値をつりあいTQ値とし、当該つりあいTQ値を学習してインジェクタ特性マップを補正する。すなわち、ECU50は、特許請求の範囲に記載した「補正手段」として機能する。
そして、インジェクタ特性マップを補正するにあたり、異常特性である場合には、正常特性の場合とは異なった以下に説明する補正内容にする。
なお、本実施形態に係る燃料噴射制御装置は、上記「背景技術」の欄にて記載した分割式微小Q学習と、アイドル回転数補正(所謂ISC補正)と、気筒間不均量補正(所謂FCCB補正)と、を実行している。また、エンジントルクと成り得る主噴射(メイン噴射)に先立って複数回の微小の先立ち噴射(パイロット噴射)を実施している。
また、FCCB補正とは、エンジンの各気筒毎の回転速度変動を検出し、全気筒の回転速度変動の平均値と比較し、その比較結果に応じて気筒間の回転速度変動が平滑化するように、エンジンの各気筒毎への噴射量補正量を学習するための補正である。
はじめに、ステップS10において、分割式微小Q学習を実行していることを確認し、ステップS20に進む。なお、分割式微小Q学習は、十分な学習精度を確保すべく、エンジンが安定した状態で実行されるように設定されており、エンジンが安定した状態とは、例えば、エンジンが無負荷の状態にてISC制御を実行しているときの状態である。具体的には、噴射量制御に必要な各温度(水温、燃料温度、吸気温度など)、燃料噴射圧力の変動量、およびエンジン回転速度の変動量など全てが所定値以下の状態である。
また、エンジン安定状態を確認できなかった場合には、特性マップの補正処理を中止して、図3の制御ルーチンを抜ける。
なお、噴射量Qとパルス幅TQとの関係を示すインジェクタ特性は、上述の減少領域を有している場合には、図8(B)中の符号Bに示す如く上方に凸となるコブを有する曲線、つまり、傾きの正負が変化する変曲点を有する曲線となる。以下の説明において、「減少領域を有する特性」のことを「コブのある特性」と呼ぶこととする。
ステップS50の調査では、つりあいTQ値a点よりもパルス幅が大きい領域で、減少領域の有無を調査して、コブのある特性であるか否かを調査する。具体的には、つりあいTQ値a点よりもパルス幅が大きい領域でパルス幅を徐々に減少させるように強制的に減少変動させ、当該減少変動にともない実噴射量が増加した場合には、その増加した領域が減少領域であることが検出できる。
先ず、ステップS401において、噴射パルスのパルス幅を、つりあいTQ値a点よりも所定のパルス幅t1(図6(A)参照)だけ小さい値b(図6(A)参照)に強制的に変動させて、燃料を噴射させる。従って、例えば所定のパルス幅t1が0.1msecであり、つりあいTQ値a点が0.5msecである場合には、パルス幅bを0.4msecに強制変動させることとなる。
また、ステップS402では、算出した気筒間補正量b1をデータU1(0.1msec)としてRAM54に記憶する。
次に、ステップS404において、FCCB補正による気筒間補正量を算出する。図6(B)に示す例では、パルス幅の値がb点のときの気筒間補正量b1が0.1msecであるのに対し、パルス幅の値をc点に微増させたときの気筒間補正量c1は0.08msecとなる。
また、ステップS404では、算出した気筒間補正量c1をデータU2(0.08msec)としてRAM54に記憶する。
次に、ステップS409において、FCCB補正による気筒間補正量を算出する。図6(B)に示す例では、パルス幅の値がc点のときの気筒間補正量c1が0.08msecであるのに対し、パルス幅の値をd点に微増させたときの気筒間補正量d1は0.06msecとなる。
また、ステップS409では、算出した気筒間補正量d1をデータU3(0.06msec)としてRAM54に記憶する。
先ず、ステップS501において、噴射パルスのパルス幅を、つりあいTQ値a点よりも所定のパルス幅t1(図7(A)参照)だけ大きい値b(図7(A)参照)に強制的に変動させて、燃料を噴射させる。従って、例えば所定のパルス幅t1が0.1msecであり、つりあいTQ値a点が0.5msecである場合には、パルス幅bを0.6msecに強制変動させることとなる。
また、ステップS502では、算出した気筒間補正量b1をデータD1(−0.1msec)としてRAM54に記憶する。
次に、ステップS504において、FCCB補正による気筒間補正量を算出する。図7(B)に示す例では、パルス幅の値がb点のときの気筒間補正量b1が−0.1msecであるのに対し、パルス幅の値をc点に微減させたときの気筒間補正量c1は−0.08msecとなる。
また、ステップS504では、算出した気筒間補正量c1をデータD2(−0.08msec)としてRAM54に記憶する。
次に、ステップS509において、FCCB補正による気筒間補正量を算出する。図7(B)に示す例では、パルス幅の値がc点のときの気筒間補正量c1が−0.08msecであるのに対し、パルス幅の値をd点に微減させたときの気筒間補正量d1は−0.06msecとなる。
また、ステップS509では、算出した気筒間補正量d1をデータD3(−0.06msec)としてRAM54に記憶する。
ステップS60では、異常判定フラグがオン(XINJK=1)であるか否かを確認し、異常判定フラグがオンである場合には、限界UTQの値と限界DTQの値とを比較し、いずれか大きいほうの限界値を、異常特性が検出されたその気筒の使用限界TQ値に設定する。つまり、使用限界TQ値を減少領域の最大値とみなして減少領域の範囲を特定する。
また、分割式微小Q学習によりインジェクタ特性マップを補正するにあたり、使用限界TQ値よりも小さい領域でのつりあい点を学習の対象から除外して補正する。
そのため、実際のインジェクタ特性が減少領域を有する異常特性(コブのある特性)であるか否かを容易に判定することができ、しかも、減少領域の範囲をも容易に特定できる。
また、異常特性であると判定された場合には、分割式微小Q学習によりインジェクタ特性マップを補正するにあたり、使用限界TQ値よりも小さい領域でのつりあい点を学習の対象から除外して補正する。そのため、分割式微小Q学習による補正精度を向上できる。
上記実施形態では、分割式微小Q学習を行う際に減少領域の有無を調査して、コブのある特性であるか否かを調査しているが、当該調査は分割式微小Q学習時の実行に限られるものではない。但し、調査精度を十分に確保するためにはエンジン状態が安定しているときに調査を実行することが望ましい。
また、上記実施形態では、複数気筒のエンジンに燃料噴射制御装置を適用させているが、単気筒エンジンに適用させてもよい。
また、この場合には、複数のつりあいTQ値のうち大きい方の値(図8中の符号Cに示す値)を減少領域の最大値として減少領域の範囲を特定するようにして好適である。
Claims (5)
- 入力される指令噴射信号のパルス幅(TQ)に応じて開閉弁時間が制御され、当該開閉弁により内燃機関に燃料を噴射するインジェクタと、
1回の開閉弁により前記インジェクタから噴射される燃料の噴射量(Q)と前記パルス幅(TQ)との関係を示すインジェクタ特性マップが記憶された記憶手段と、を備え、
前記インジェクタ特性マップに基づき前記指令噴射信号を出力することにより、前記インジェクタからの燃料噴射量を制御する燃料噴射制御装置において、
前記内燃機関が使用され、かつ前記内燃機関の回転数がアイドル回転数に安定している状態での実際に噴射された実噴射量に対する前記パルス幅の値をつりあいTQ値とし、当該つりあいTQ値を学習して前記インジェクタ特性マップを補正する補正手段と、
前記パルス幅の増大にともない前記実噴射量が単調に増大するといったインジェクタ特性を正常特性とし、前記パルス幅の増大にともない前記実噴射量が減少する減少領域を有するといったインジェクタ特性を異常特性とし、前記パルス幅を強制的に変動させたときの前記実噴射量の変化に基づき、実際のインジェクタ特性が前記正常特性および前記異常特性のいずれであるかを判定する判定手段と、
を備え、
前記判定手段の前記パルス幅の前記強制的な変動は、
所定の前記つりあいTQ値よりもパルス幅が小さい領域で、前記パルス幅を、前記つりあいTQ値に向けて、徐々に上昇させるように強制的に変動させる増大変動と、
所定の前記つりあいTQ値よりもパルス幅が大きい領域で、前記パルス幅を、徐々に減少させるように強制的に変動させる減少変動と、
の2つの変動であり、
この増大変動あるいは減少変動の実行によって、所定の気筒の前記インジェクタに対し強制的に変動させたパルス幅で燃料噴射させて気筒間の回転速度変動を生じさせ、その回転速度変動を平滑化させるよう前記所定の気筒に対する噴射量補正を実行することで噴射量補正量を算出し、
前記判断手段は、
前記増大変動の実行時、前回のパルス幅で得られた前記噴射量補正量と、前記前回のパルス幅よりも所定量上昇させた今回のパルス幅で得られた前記噴射量補正量とを算出し、前記今回のパルス幅で得られた前記噴射量補正量から前記前回のパルス幅で得られた前記噴射量補正量を差し引いた値が0以下でないと判定されたときには、前記つりあいTQ値よりもパルス幅が小さい領域で、前記減少領域が存在すると判定する一方、
前記減少変動の実行時、前回のパルス幅で得られた前記噴射量補正量と、前記前回のパルス幅よりも所定量減少させた今回のパルス幅で得られた前記噴射量補正量とを算出し、前記今回のパルス幅で得られた前記噴射量補正量から前記前回のパルス幅で得られた前記噴射量補正量を差し引いた値が0以上でないと判定されたときには、前記つりあいTQ値よりもパルス幅が大きい領域で、前記減少領域が存在すると判定することで、
実際のインジェクタ特性が異常特性であると判定することを特徴とする燃料噴射制御装置。 - 前記判定手段は、
前記増大変動にともない前記実噴射量が減少する領域の中での前記パルス幅の最大値と、前記減少変動にともない前記実噴射量が増大する領域の中での前記パルス幅の最大値とを比較し、
前記両最大値のうち大きい方の値を前記減少領域の最大値として、前記減少領域の範囲を特定する請求項1記載の燃料噴射制御装置。 - 前記判定手段は、前記実噴射量の値に対する前記つりあいTQ値が複数存在する旨が検出された場合に、前記減少領域を有する前記異常特性であると判定する請求項1記載の燃料噴射制御装置。
- 前記複数のつりあいTQ値のうち大きい方の値を前記減少領域の最大値として、前記減少領域の範囲を特定する請求項3記載の燃料噴射制御装置。
- 前記インジェクタからの燃料噴射量を制御するにあたり、前記減少領域および当該減少領域よりもパルス幅が小さい領域における前記パルス幅が含まれないように、前記指令噴射信号を出力する請求項1から4のいずれか一項記載の燃料噴射制御装置。
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