JP4830738B2 - コネクタ - Google Patents

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Description

本発明は、コネクタに関する。
従来、コネクタの一例として、特許文献1に記載のものが知られている。このコネクタは、互いに嵌合可能な機器側コネクタと電線側コネクタとからなるものである。
機器側コネクタは、3つの端子収容部を備えた合成樹脂製の機器側ハウジングを備えている。端子収容部は、それぞれ円筒状をなして電線側コネクタとの嵌合方向に突出し、その内部には雌形の機器側端子が収容されている。
一方、電線側コネクタは、機器側コネクタの端子収容部を内嵌可能な3つの嵌合凹部を備えた合成樹脂製の電線側ハウジングを備えている。各嵌合凹部は、機器側コネクタとの嵌合方向に開口しており、その内側には、嵌合凹部の奥壁部から開口側に突出する雄型の電線側端子が保持されている。
そして、電線側コネクタの嵌合凹部を機器側コネクタの端子収容部に被せるようにして両コネクタ10,40を嵌合させると、電線側端子が機器側端子内に徐々に進入し、端子収容部が嵌合凹部に内嵌されるとともに両端子が接続された状態となる。
特開2005−19188公報
ところで、両コネクタ10,40のハウジングは合成樹脂製であるため、成形時に生じたひずみ等によって各ハウジングに保持された端子同士の位置が微妙にずれてしまうおそれがある。すると、両コネクタ10,40を嵌合させる際には、雄型の電線側端子が歪むことによって端子同士の位置ずれが矯正されることになり、両端子が接続状態に至っても電線側端子に若干の歪みが生じたままになってしまうおそれがある。また、成形時のひずみ等に起因して端子収容部と嵌合凹部との間にがたが生じると、端子同士が擦れ合っていわゆる微摺動摩耗が生じ、両端子の接続信頼性の低下を招くおそれがある。
そして、特に大電流が流れるコネクタにおいては、両端子の接続信頼性を高めることが非常に重要であるため、両端子の歪みや微摺動摩耗等、接続信頼性を低下させかねない要因はできるだけ排除する必要がある。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、端子の接続信頼性が高いコネクタを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、互いに嵌合可能な一対のコネクタと、前記一対のコネクタのうち一方のコネクタに設けられ、他方のコネクタとの嵌合方向に突出する形状をなす端子収容部と、この端子収容部に保持された一方の端子と、前記他方のコネクタに形成され、前記一方のコネクタとの嵌合方向に開口するとともに前記端子収容部が内嵌可能な形状をなす嵌合凹部と、この嵌合凹部の奥壁部に保持された他方の端子と、を備え、前記端子収容部が前記嵌合凹部に内嵌されるのに伴って前記一方の端子と前記他方の端子とが接続されるコネクタであって、前記嵌合凹部には、前記開口側から前記奥壁部における前記他方の端子が保持されている位置に向かって前記端子収容部の前端部が挿入可能な空間の幅寸法を少しずつ狭める傾斜をなすテーパ面を備えた矯正部が設けられ、前記テーパ面に囲まれてなる空間の幅寸法は、前記奥壁部側の位置では前記端子収容部の前端面の幅寸法よりも小さくされ、前記一対のコネクタが嵌合した状態では、前記端子収容部の前端面と前記奥壁部の前面とが互いに接触することなく、前記端子収容部の前端部前記テーパ面に当接た状態に保持されるとともに、前記テーパ面への当接によって前記一方の端子と他方の端子とが整合する位置に矯正されるところに特徴を有する。
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記一方の端子および他方の端子がそれぞれ複数設けられ、前記端子収容部は前記一方の端子毎に、前記嵌合凹部は前記他方の端子毎に個別に設けられているものであって、前記矯正部は、前記嵌合凹部毎に個別に設けられているところに特徴を有する。
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のものにおいて、前記矯正部は、前記他方の端子を全周にわたって囲むように設けられているところに特徴を有する。
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のものにおいて、前記他方の端子は、前記嵌合凹部の奥壁部にインサート成形されているところに特徴を有する。
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のものにおいて、前記端子収容部の前端部における前記テーパ面と当接する部分は同テーパ面の傾斜に沿う傾斜面とされているところに特徴を有する。
<請求項1の発明>
嵌合凹部には、開口側から奥壁部における他方の端子が保持されている位置に向かって端子収容部の前端部が挿入可能な空間の幅寸法を少しずつ狭める傾斜をなすテーパ面を備えた矯正部が設けられ、端子収容部は、このテーパ面への当接によって一方の端子と他方の端子とが整合する位置に矯正される。これにより、両端子の接続状態において端子が歪んだ状態で留め置かれることが防がれる。
そして、一対のコネクタが嵌合した状態では、端子収容部は、その前端部をテーパ面に当接させた状態に保持されるので、端子収容部が嵌合凹部内でがたつくことが防止され、もって端子の微摺動磨耗が防がれる。
したがって、両端子の接続状態における歪みや微摺動摩耗を防ぐことができ、両端子の接続信頼性を高めることができる。
<請求項2の発明>
矯正部は、嵌合凹部毎に個別に設けられているので、端子収容部の位置は嵌合凹部毎に矯正される。これにより、一方の端子の位置がそれに対応する他方の端子の位置に対して端子収容部毎に異なる方向にずれていても対応可能である。
<請求項3の発明>
矯正部は、他方の端子を全周にわたって囲むように設けられているので、端子収容部の前端部は他方の端子に対して全方位に矯正可能とされている。したがって、端子収容部は、一方の端子と他方の端子とが整合する位置に確実に保持される。
<請求項4の発明>
他方の端子は、嵌合凹部の奥壁部にインサート成形され、他方の端子と嵌合凹部とが一体となっているので、他方の端子と矯正部との位置関係に狂いが生じることが防止される。
<請求項5の発明>
端子収容部の前端部におけるテーパ面と当接する部分は、テーパ面の傾斜に沿う傾斜面とされているので、嵌合凹部に対する端子収容部の位置の矯正がスムーズに行われる。また、矯正部のテーパ面と端子収容部の前端部とは面同士で当接した状態となるので、端子収容部と嵌合凹部との間でのがた付きが確実に防止される。
以下、本発明の実施形態を図1〜図5によって説明する。
本実施形態におけるコネクタは、ワイヤハーネスWの端部に接続されるハーネス側コネクタ10(本発明における一方のコネクタに該当する)と、このハーネス側コネクタ10に嵌合可能であるとともに図示しない機器に取り付けられる機器側コネクタ40(同他方のコネクタに該当する)とを備えている。以下、各構成部材において、両コネクタ10,40における嵌合面側をそれぞれ前方として説明する。
ハーネス側コネクタ10は、一括シールドタイプのワイヤハーネスWの前端部に接続されている。ワイヤハーネスWは、3本のノンシールド電線11と、この3本のノンシールド電線11をまとめて挿通させる筒状シールド部材12とからなる。
ノンシールド電線11は、芯線の外周を絶縁被覆で包囲したものであり、その前端には、雌形の端子金具13(本発明における一方の端子に該当する)が接続されている。この端子金具13は、全体として前後方向に細長い形状をなし、略前半部分は角筒状をなす接続部13A、略後半部分はオープンバレル状の圧着部13Bとされている。この圧着部13Bには、ノンシールド電線11の前端部が導通可能に圧着固定されている。接続部13Aの内部には弾性接触片14が設けられており、後述する機器側コネクタ40のバスバー43(本発明における他方の端子に該当する)が前方から接続可能とされている。
筒状シールド部材12は、金属製の細線をメッシュ状に編み込んだ編組線からなり、長さ方向および径方向において自在に変形し得るようになっている。この筒状シールド部材12によって3本のノンシールド電線11は一括してシールドされている。
ハーネス側コネクタ10は、端子金具13が収容される合成樹脂製のハウジング15を備えており、このハウジング15は全体として横長の長円形のブロック状をなしている。そして、ハウジング15には、端子金具13を収容可能な端子収容部16が、端子金具13毎に個別に設けられている。3つの端子収容部16は、図2に示すように、前方から見た外形形状が略円形状をなすタワー状をなし、それぞれ所定の間隔を空けて横方向に並べられている。
各端子収容部16は、図3に示すように、後側に開口されており、後方から端子金具13が挿入可能とされている。そして、端子収容部16の前端壁には、横長の四角形状をなして前方に若干突出するハーネス側突出部17が形成されている。このハーネス側突出部17は、円形状をなす端子収容部16の前端面における中心位置よりも若干上側寄り位置に配されている。
この端子収容部16の前端面におけるハーネス側突出部17が設けられている位置、言い換えると、端子収容部16に収容された端子金具13の接続部13Aに連なる位置には、端子収容部16の前端壁を前後方向に貫通するバスバー挿通孔18が形成されている。バスバー挿通孔18は、前方から見るとハーネス側突出部17の外形形状よりも一回り小さい横長の略長方形状をなしている。そして、バスバー挿通孔18の前側の孔縁には、全周にわたって略擂鉢状をなす誘導面18Aが形成され、バスバー43の進入動作が円滑に誘導されるようになっている。
また、端子収容部16の前端面における周縁部は、ほぼ全周にわたって、前方へ向かって端子収容部16の軸線に近付く傾斜、言い換えると、端子収容部16の前端縁部が前方に向かって窄む傾斜をなす傾斜面19とされている。この傾斜面19の傾斜は、後述する矯正部50のテーパ面51の傾斜に沿う傾斜となっている。
なお、各端子収容部16内には、上下方向に弾性撓み可能なランス20が形成されており、このランス20が端子金具13に係止することにより、端子金具13の抜け止めが図られている。
そして、端子収容部16の略後半領域には、この端子収容部16の外周を同心状に包囲する収容壁21が形成されている。この収容壁21の前端部と端子収容部16の前後方向略中央部とは、左右一対の連結部22によって連結されている(図2参照)。
また、ハウジング15は、3つの端子収容部16を一括して包囲するフード部23を備えている。フード部23は、横長の長円形の筒状をなし、その前端縁の位置は端子収容部16の前端縁の位置と前後方向略同位置に配され、後端縁の位置は端子収容部16の後端寄り位置、言い換えると、収容壁21の前後方向略中央位置に配されている。フード部23の後端部は、連設壁24を介して収容壁21と連設されている。そして、3つの端子収容部16は、この連設壁24から前方へ突出する形状をなしている。
収容壁21の外周面における連設壁24よりも前側の部分には、全体としてリング状をなすシール部材25が装着されている。このシール部材25は、弾性部材(例えばゴム)により形成されている。そして、シール部材25の外周面とフード部23の内周面および隣り合うシール部材25の外周面同士の間には、後述する機器側コネクタ40の嵌合筒部45の前端部を差し込み可能な間隔、すなわち嵌合筒部45を構成する周壁の厚さ寸法とほぼ同じかそれよりも若干大きい寸法の間隔が空けられている。以降、この嵌合筒部45の前端部を差し込み可能な空間を差込空間Sと称する。
そして、フード部23の幅方向における右側(図2における左側)の端部には、前方から後方へ向かって前後方向に長い略長方形状に切り欠かれた形態の切欠部26が形成されている。この切欠部26の上下方向の幅寸法は、端子収容部16の上下方向の幅寸法とほぼ同じ寸法とされている。
また、フード部23の幅方向における左側(切欠部26が配されている側とは反対側)の端部には、フード部23の内周面を外方に凹ませた形態の溝部27が形成されている。この溝部27は、フード部23における上端寄り位置に設けられるとともにフード部23の前後にわたって形成されている。
このハウジング15には、シールドシェル28が組み付けられている。シールドシェル28は金属製であって、3つの端子収容部16の外周を個別に覆う3つの円筒部材28Aと、ハウジング15の後端部に取り付けられる保持部材28Bとを備えている。
保持部材28Bは、アルミダイキャスト製であって、全体として横長の長円形状をなしている。そして、保持部材28Bには、この保持部材28Bを前後方向に貫通する3つの貫通孔29が形成されている。各貫通孔29は円形断面をなし、保持部材28Bにおける端子収容部16と同軸状をなす位置に並列して配されている。
この保持部材28Bの前面には、前方に突出する3つの筒状保持部30が形成されている。各筒状保持部30は、各貫通孔29とそれぞれ同心であるとともにその内径寸法は貫通孔29の内径寸法よりも大きくされている。
各筒状保持部30には、各円筒部材28Aの後端部が前方から嵌入されている。円筒部材28Aは金属板材を曲げ加工してなるものであり、各円筒部材28Aには、それぞれ前端から後方へ向かって切欠した形態の逃がし溝31が左右一対ずつ形成されている。
そして、保持部材28Bの後側には、金属製の板材を曲げ加工又は深絞り加工することによって形成された接続部材32がネジ止めされて取り付けられている。この接続部材32は、全体として横長の長円形の筒状をなし、その外周には筒状シールド部材12の端部が被せられ、更にその筒状シールド部材12の外周にはカシメリング33がカシメ付けられている。こうして、筒状シールド部材12が接続部材32を介して保持部材28Bに接続されている。
シールドシェル28がハウジング15に組み付けられた状態では、逃がし溝31に連結部22を嵌合させつつ端子収容部16と収容壁21との間の隙間に嵌入された円筒部材28Aによって、端子収容部16はほぼ全長に亘って個別に包囲されている。そして、筒状保持部30の外周面と収容壁21の内周面との間にシールリング34が取り付けられ、両者の間が液密状にシールされている。
こうして3つの端子金具13と3本のノンシールド電線11とは、その前端部分が円筒部材28Aによって個別にシールドされるとともに、3本のノンシールド電線11のうち円筒部材28Aよりも後方に延出した部分が保持部材28Bと筒状シールド部材12とによって一括してシールドされている。
なお、保持部材28Bの各貫通孔29にはゴム栓35が装着されており、各貫通孔29の内周面とノンシールド電線11の外周面との間はこのゴム栓35によってシールされている。また、このゴム栓35は、後方から組み付けられたホルダ36によって、後方への抜けを規制されている。そして、端子金具13から後方へ延出するノンシールド電線11は、ゴム栓35とホルダ36とを貫通してハウジング15の後方へ延出している。
また、ハウジング15にはレバー37が備えられている。このレバー37は、ハウジング15における幅方向の右側(図2における左側)に配される操作部37Aから上下一対のアーム部37Bが突出してなるものである。上下両アーム部37Bはフード部23の上壁および下壁にそれぞれ沿う平板状をなすとともに、それぞれ図示しないカム溝が形成されている。
そして、ハーネス側コネクタ10と嵌合可能な機器側コネクタ40は、図示しない機器に取り付けられるようになっている。この機器側コネクタ40は、合成樹脂製の端子保持体41と、金属製のシェル体42とを備えている。
端子保持体41を前方から見た断面形状は、横長の長円形状をなしている。そして、端子保持体41には、3本のバスバー43が保持されている。3本のバスバー43は、幅方向に所定の間隔を空けて並列して配され、端子保持体41を前後方向に貫通する形態で端子保持体41にインサート成形されている。各バスバー43の前端部はハーネス側コネクタ10の端子金具13に接続され、後端部は機器の端子部(図示せず)に接続されるようになっている。
端子保持体41の前面におけるバスバー43が保持されている位置3箇所には、前方へ向かって突出する機器側突出部44が形成されている。機器側突出部44は、端子保持体41の前面から、その突出端に向かって前後左右の幅寸法が少しずつ小さくなるテーパ形状をなしている。この機器側突出部44の周面の傾斜は、端子収容部16のバスバー挿通孔18の前縁に形成された誘導面18Aの傾斜とほぼ同じ傾斜とされている。各バスバー43は各機器側突出部44の突出端を前方に突き抜ける形態をなし、端子保持体41に保持されている。
シェル体42は、全体として横長の略長方形断面をなしている。このシェル体42には、円筒形をなして前後方向に貫通する3つの嵌合筒部45が横方向に並列して形成されている。このシェル体42は、各嵌合筒部45内に各バスバー43が配されるようにして、端子保持体41に組み付けられている。そして、端子保持体41におけるバスバー43が保持されている位置の前方には、嵌合筒部45と端子保持体41とによって、端子収容部16が内嵌可能な嵌合凹部46が形成されている。端子保持体41は、本発明における嵌合凹部46の奥壁部に該当する。
3つの嵌合凹部46は前方へ開口しており、その内側にはバスバー43の前端部が個別に収容されている。こうして各バスバー43の前端部は、各嵌合筒部45に包囲されて個別にシールドされている。
シェル体42における幅方向中央位置には、上下一対のカムピン47が設けられており、このカムピン47とレバー37のカム溝との係合によるカム作用によって、レバー37を差し込むことにより両コネクタ10,40が互いに引き寄せられる。
また、シェル体42の幅方向における左側(図4における右側)の端部の外周面、言い換えると、左端に配された嵌合筒部45の外周面には、左方(同右方)に突出する突起部48が設けられている。この突起部48は略直方体状をなし、ハーネス側コネクタ10のフード部23の切欠部26に前方から差し込み可能とされている。
そして、シェル体42における突起部48とは反対側の端部には、右方(図4における左方)に張出す張出部49が設けられている。この張出部49は、嵌合筒部45の前後にわたって形成され、フード部23の溝部27に前方から差し込み可能とされている。
さて、端子保持体41の前面には矯正部50が設けられている。矯正部50は、嵌合凹部46毎に個別に設けられ、それぞれ各バスバー43を全周にわたって囲むように配されており、前方から見るとリング状をなしている。3つの矯正部50は、それぞれ端子保持体41の前面から前方へ突出する形状をなしている。各矯正部50における内周面(各バスバー43と対向する側の面)は、図5に示すように、前側(開口側)から奥側(端子保持体41側)に向かって少しずつバスバー43に近付く傾斜のテーパ面51とされている。このテーパ面51によって、端子収容部16の前端部が挿入可能な空間の幅寸法が奥方へ向かって少しずつ狭められている。そして、端子保持体41の前面、すなわち嵌合凹部46における最奥端の位置では、テーパ面51に囲まれてなる円形断面の直径寸法が、端子収容部16の前端面の直径寸法よりも小さくされている。また、テーパ面51における最も手前側端の位置では、その円形断面の直径寸法が、端子収容部16の前端面の直径寸法よりも大きくされている。言い換えると、テーパ面51に囲まれてなる円形断面の径寸法は、最も手前側の位置において最大径とされ、奥側へ向かって少しずつ小さくなり、最奥端位置で最小径となっている。そして、各バスバー43は、矯正部50の中心線よりも若干上方位置に保持されている。
次に、上記のように構成された本実施形態の作用および効果について説明する。
機器側コネクタ40とハーネス側コネクタ10とを嵌合する際には、レバー37を所定位置まで引き出した状態で、張出部49を溝部27に差し込むようにして位置合わせしつつ、各端子収容部16の前端部を各嵌合凹部46の前端部に嵌入させるとともにフード部23の前端部をシェル体42の嵌合筒部45の前端部に外嵌させる。すると、機器側コネクタ40のカムピン47がレバー37のカム溝に係合するとともに、各バスバー43の前端部が各端子収容部16の誘導面18Aに誘導されてその内部に進入し、端子金具13の接続部13Aに若干差し込まれた状態になる。また、嵌合筒部45の前端縁が差込空間Sの手前位置に達するとともに、突起部48が切欠部26のすぐ手前位置に配された状態となる。
そして、少しずつレバー37を差し込むと、突起部48が切欠部26に差し込まれ、この突起部48と切欠部26および張出部49と溝部27とが嵌まり合った状態で両コネクタ10,40が接近していく。これにより、両コネクタ10,40の位置関係が接近途中で上下方向にずれないようになっている。こうして両コネクタ10,40は徐々に接近し、各バスバー43は各接続部13Aの奥方に進入するとともに、各嵌合筒部45の前端部が差込空間Sに達して徐々に差し込まれていく。このように、両コネクタ10,40が接近し始めた比較的早い段階で、嵌合筒部45の前端部(機器側コネクタ40の前端部)が差込空間S(フード部23の後端部)に隙間なく差し込まれることにより両コネクタ10,40の姿勢がある程度保持され、両コネクタ10,40同士が嵌合途中に傾いたりし難くされている。
そして、レバー37がさらに深く差し込まれると、各バスバー43が各接続部13Aの弾性接触片14に接触するとともに、端子収容部16の前端部が矯正部50の位置に達する。ここで、例えば、端子収容部16の前端部が、バスバー43に対して所定の位置よりも下方に下がる向きに傾いているとき、すなわち端子収容部16のバスバー挿通孔18の位置が、端子保持体41の機器側突出部44の位置(バスバー43が保持されている位置)に対して下側にずれているときには、端子収容部16の傾斜面19がテーパ面51に当接する。このようにテーパ面51が端子収容部16の傾斜面19に下方から当接することによって、端子収容部16がそれ以上下方に傾くことが規制される。そして、さらに両コネクタ10,40が接近するのに伴って、端子収容部16の前端部がテーパ面51の傾斜に沿って上向くように矯正され、両コネクタ10,40が正規の嵌合状態に至ったときには、端子収容部16は嵌合凹部46に対して、ハーネス側突出部17と機器側突出部44とが正面に対向する位置に配された状態となる。これにより、両コネクタ10,40の嵌合途中において、バスバー43に生じていた歪みが解消される。なお、両コネクタ10,40の嵌合途中で、端子収容部16が上方、左右方向もしくは斜め方向(すなわち全方向)に傾いた場合には、上記と同様にして端子収容部16の傾斜面19がテーパ面51に当接し、そのテーパ面51の傾斜に沿って端子収容部16の前端部の向きが矯正されるようになっている。また、ともにほぼ同じ傾斜をなすテーパ面51と傾斜面19とが当接するようになっているから、例えばこのような傾斜をなさない縁部がテーパ面51に当接する場合に比べて引っ掛かりにくく、スムーズな矯正動作が実現される。
そして、全方位対応可能な矯正部50が各嵌合凹部46ごとに形成されていることにより、各端子収容部16の各嵌合凹部46に対する位置ずれの方向がそれぞれ異なっている場合、例えば、各嵌合凹部46に対して、左端の端子収容部16の位置が上方、中央の端子収容部16の位置が下方、右端の端子収容部16の位置が右方へずれている場合等には、各嵌合凹部46に設けられた各矯正部50よって各端子収容部16の位置がそれぞれ適正な位置に矯正される。
ここで、バスバー43と端子保持体41とはインサート成形により一体となっているから、各バスバー43と各矯正部50との位置関係に狂いが生じることが防止される。したがって、各矯正部50によって矯正された端子収容部16のバスバー挿通孔18の位置と、端子保持体41における各バスバー43が保持されている位置とが精度良く所定の位置に配されるようになっている。
こうして、各端子収容部16は、各端子金具13とバスバー43とがそれぞれ整合する位置に矯正されて保持される。このとき、端子収容部16の傾斜面19が矯正部50のテーパ面51に全周にわたって当接し、それ以上奥方(端子保持体41側)へ移動できない状態となっている。そして、ハーネス側突出部17と機器側突出部44とはちょうど正面に向き合う位置に配され、互いに接触しない状態となっている。すなわち、端子収容部16の前端部と端子保持体41とは、テーパ面51と傾斜面19とによってのみ当接した状態となっている。このように、端子収容部16の前端部と端子保持体41とを局部的に当接させるようにしたから、広い面同士をべた当たりさせる場合に比べて、成形時のひずみによる影響が小さくなっている。
そして、端子収容部16の前端部は全方位への変位を規制された状態で保持されているから、コネクタが振動を受けても端子保持体41に対してがた付くことはなく、ハーネス側突出部17と機器側突出部44との位置がずれないようになっている。これにより、コネクタが振動しても端子金具13とバスバー43とが擦れ合うことが確実に防止される。
また、テーパ面51と傾斜面19とが面同士で当たり合っているから、例えば傾斜面19とされていない端縁がテーパ面51に当接する場合に比べて接触面積が大きく、より確実にがたが防止される。
以上説明したように本実施形態によれば、嵌合凹部46には、前側(開口側)から奥側(端子保持体41側)のバスバー43が保持されている位置に向かって、端子収容部16の前端部が挿入可能な空間の幅寸法を少しずつ狭める傾斜をなすテーパ面51を備えた矯正部50が設けられ、端子収容部16は、このテーパ面51への当接によって端子金具13とバスバー43とが整合する位置に矯正される。これにより、端子金具13とバスバー43との接続状態においてバスバー43が歪んだ状態で留め置かれることが防がれる。
そして、ハーネス側コネクタ10と機器側コネクタ40とが正規に嵌合した状態では、端子収容部16は、その前端部をテーパ面51に当接させた状態に保持されるので、端子収容部16が嵌合凹部46内でがたつくことが防止され、もってバスバー43と端子金具13とにおける微摺動磨耗が防がれる。
これにより、バスバー43と端子金具13との接続状態における歪みや微摺動摩耗を防ぐことができ、もってバスバー43と端子金具13との接続信頼性を高めることができる。
加えて、矯正部50は、嵌合凹部46毎に個別に設けられているので、端子収容部16の位置は嵌合凹部46毎に矯正される。これにより、端子金具13の位置がそれに対応するバスバー43の位置に対して端子収容部16毎に異なる方向にずれていても、各矯正部50によって各端子収容部16の位置がそれぞれ矯正され、全てのバスバー43と端子金具13とにおける接続信頼性が高められる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では、前方へ突出する形状をなす端子収容部16に雌形の端子金具13が収容され、端子収容部16を内嵌可能な嵌合凹部46にバスバー43が保持されているが、これに限らず、本発明は、例えば、雌形の端子金具が嵌合凹部側に、バスバーが端子収容部側に保持されるものにも適用可能である。
(2)上記実施形態では、端子収容部16と嵌合凹部46とがそれぞれ3つずつ設けられているが、これに限らず、端子収容部と嵌合凹部とがそれぞれ単数のものであってもよく、またそれぞれ2つずつもしくは4つ以上ずつ設けられていてもよい。
(3)上記実施形態では、端子収容部16は、端子金具13毎に個別に設けられているが、これに限らず、一の端子収容部に複数の端子金具が一括して収容されるものであっても本発明を適用できる。
(4)上記実施形態では、矯正部50は、各バスバー43を全周にわたって囲むように配されているが、これに限らず、例えば、各バスバーの上下に一対ずつもしくは左右に一対ずつ矯正部を設け、端子収容部の前端部の位置を各バスバーの位置に対して上下方向もしくは左右方向に矯正できるようにしてもよい。
(5)上記実施形態では、バスバー43は端子保持体41にインサート成形されているが、これに限らず、矯正部による矯正機能が若干劣ることになるかもしれないが、例えば端子保持体に貫通形成した差込孔に各バスバーを差し込んで保持するようにしてもよい。
(6)上記実施形態では、端子収容部16の前端縁部が傾斜面19とされているが、必ずしも前端縁部は傾斜面とされていなくてもよい。
本実施形態におけるコネクタの側断面図 ハーネス側ハウジングの正面図 図2のA−A位置におけるハーネス側コネクタの側断面図 機器側ハウジングの正面図 図4のB−B位置における機器側コネクタの側断面図
符号の説明
10…ハーネス側コネクタ(一方のコネクタ)
13…端子金具(一方の端子)
16…端子収容部
19…傾斜面
40…機器側コネクタ(他方のコネクタ)
41…端子保持体(嵌合凹部の奥壁部)
43…バスバー(他方の端子)
46…嵌合凹部
50…矯正部
51…テーパ面

Claims (5)

  1. 互いに嵌合可能な一対のコネクタと、
    前記一対のコネクタのうち一方のコネクタに設けられ、他方のコネクタとの嵌合方向に突出する形状をなす端子収容部と、
    この端子収容部に保持された一方の端子と、
    前記他方のコネクタに形成され、前記一方のコネクタとの嵌合方向に開口するとともに前記端子収容部が内嵌可能な形状をなす嵌合凹部と、
    この嵌合凹部の奥壁部に保持された他方の端子と、を備え、
    前記端子収容部が前記嵌合凹部に内嵌されるのに伴って前記一方の端子と前記他方の端子とが接続されるコネクタであって、
    前記嵌合凹部には、前記開口側から前記奥壁部における前記他方の端子が保持されている位置に向かって前記端子収容部の前端部が挿入可能な空間の幅寸法を少しずつ狭める傾斜をなすテーパ面を備えた矯正部が設けられ、
    前記テーパ面に囲まれてなる空間の幅寸法は、前記奥壁部側の位置では前記端子収容部の前端面の幅寸法よりも小さくされ、
    前記一対のコネクタが嵌合した状態では、前記端子収容部の前端面と前記奥壁部の前面とが互いに接触することなく、前記端子収容部の前端部前記テーパ面に当接た状態に保持されるとともに、前記テーパ面への当接によって前記一方の端子と他方の端子とが整合する位置に矯正されることを特徴とするコネクタ。
  2. 前記一方の端子および他方の端子がそれぞれ複数設けられ、前記端子収容部は前記一方の端子毎に、前記嵌合凹部は前記他方の端子毎に個別に設けられているものであって、
    前記矯正部は、前記嵌合凹部毎に個別に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
  3. 前記矯正部は、前記他方の端子を全周にわたって囲むように設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコネクタ。
  4. 前記他方の端子は、前記嵌合凹部の奥壁部にインサート成形されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のコネクタ。
  5. 前記端子収容部の前端部における前記テーパ面と当接する部分は同テーパ面の傾斜に沿う傾斜面とされていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のコネクタ。
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