<第1実施形態>
図1は本発明にかかる画像形成装置の第1実施形態を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。この画像形成装置は、いわゆるタンデム方式のカラープリンタであり、潜像担持体としてイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の4色の感光体2Y,2M,2C,2Kを装置本体5内に並設している。そして、各感光体2Y,2M,2C,2K上のトナー像を重ね合わせてフルカラー画像を形成したり、ブラック(K)のトナー像のみを用いてモノクロ画像を形成する装置である。すなわち、この画像形成装置では、ユーザからの画像形成要求に応じてホストコンピュータなどの外部装置から画像形成指令がメインコントローラMCに与えられると、このメインコントローラMCからの画像信号、基準信号および各種の制御信号に応じてエンジン部EGが作動して複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどのシートSに画像形成指令に対応する画像を形成する。このように、本実施形態では、メインコントローラMCが本発明の「コントローラ」に相当している。
このエンジン部EGでは、4つの感光体2Y,2M,2C,2Kのそれぞれに対応して帯電ユニット,現像ユニット,露光ユニットおよびクリーニング部が設けられている。このように,各トナー色ごとに,感光体,帯電ユニット,現像ユニット,露光ユニットおよびクリーニング部を備えて該トナー色のトナー像を形成する画像形成手段が設けられている。そして,エンジン部EGに設けれたエンジンコントローラ1がメインコントローラMCからの信号に応じて画像形成手段の各部を制御して画像形成が実行される。なお,これらの画像形成手段(感光体,帯電ユニット,現像ユニット,露光ユニットおよびクリーニング部)の構成はいずれの色成分についても同一であるため,ここではイエローに関する構成について説明し,その他の色成分については相当符号を付して説明を省略する。
感光体2Yは図1の矢印方向(副走査方向)に回転自在に設けられている。より具体的には,感光体2Yの一方端部には,駆動モータ(図示省略)が機械的に接続されており、エンジンコントローラ1からの回転駆動指令に基づき駆動制御される。これによって感光体2Yが回転移動する。また、このようにして駆動される感光体2Yの周りにその回転方向に沿って、帯電ユニット3Y、現像ユニット4Yおよびクリーニング部(図示省略)がそれぞれ配置されている。帯電ユニット3Yは例えばスコロトロン帯電器で構成されており、エンジンコントローラ1からの帯電バイアス印加によって感光体2Yの外周面を所定の表面電位に均一に帯電させる。そして、この帯電ユニット3Yによって帯電された感光体2Yの外周面に向けて露光ユニット6Yから走査光ビームLyが照射される。これによって画像形成指令に含まれるイエロー画像データに対応する静電潜像が感光体2Y上に形成される。なお、露光ユニット6(6Y,6M,6C,6K)および露光ユニットを制御するための制御部(駆動信号制御部10およびミラー制御部11)の構成および動作については後で詳述する。
こうして形成された静電潜像は現像ユニット4Yによってトナー現像される。この現像ユニット4Yはイエロートナーを内蔵している。そして、エンジンコントローラ1から現像バイアスが現像ローラ41Yに印加されると、現像ローラ41Y上に担持されたトナーが感光体2Yの表面各部にその表面電位に応じて部分的に付着する。その結果、感光体2Y上の静電潜像がイエローのトナー像として顕像化される。なお、現像ローラ41Yに与える現像バイアスとしては、直流電圧、もしくは直流電圧に交流電圧を重畳したもの等を用いることができるが、特に感光体2Yと現像ローラ41Yとを離間配置し、両者の間でトナーを飛翔させることでトナー現像を行う非接触現像方式の画像形成装置では、効率よくトナーを飛翔させるために直流電圧に対して正弦波、三角波、矩形波等の交流電圧を重畳した電圧波形とすることが好ましい。
現像ユニット4Yで現像されたイエロートナー像は、一次転写領域TRy1で転写ユニット7の中間転写ベルト71上に一次転写される。また、イエロー以外の色成分についても、イエローと全く同様に構成されており、感光体2M、2C、2K上にマゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像がそれぞれ形成されるとともに、一次転写領域TRm1、TRc1、TRk1でそれぞれ中間転写ベルト71上に一次転写される。
この転写ユニット7は、2つのローラ72、73に掛け渡された中間転写ベルト71と、ローラ72を回転駆動することで中間転写ベルト71を所定の回転方向R2に回転させるベルト駆動部(図示省略)とを備えている。また、中間転写ベルト71を挟んでローラ73と対向する位置には、該ベルト71表面に対して不図示の電磁クラッチにより当接・離間移動可能に構成された二次転写ローラ74が設けられている。そして、カラー画像をシートSに転写する場合には、一次転写タイミングを制御することで各トナー像を重ね合わせてカラー画像を中間転写ベルト71上に形成するとともに、カセット8から取り出されて中間転写ベルト71と二次転写ローラ74との間の二次転写領域TR2に搬送されてくるシートS上にカラー画像を二次転写する。一方、モノクロ画像をシートSに転写する場合には、ブラックトナー像のみを感光体2Kに形成するとともに、二次転写領域TR2に搬送されてくるシートS上にモノクロ画像を二次転写する。また、こうして画像の2次転写を受けたシートSは定着ユニット9を経由して装置本体の上面部に設けられた排出トレイ部に向けて搬送される。
なお、中間転写ベルト71へトナー像を一次転写した後の各感光体2Y,2M,2C,2Kは、不図示の除電手段によりその表面電位がリセットされ、さらに、その表面に残留したトナーがクリーニング部により除去された後、帯電ユニット3Y,3M,3C,3Kにより次の帯電を受ける。
また、ローラ72の近傍には、転写ベルトクリーナ75が図示を省略する電磁クラッチによってローラ72に対して近接・離間移動可能となっている。そして、ローラ72側に移動した状態でクリーナ75のブレードがローラ72に掛け渡された中間転写ベルト71の表面に当接し、二次転写後に中間転写ベルト71の外周面に残留付着しているトナーを除去する。
図3は図1の画像形成装置に装備された露光ユニットの構成を示す主走査断面図、図4は図1の画像形成装置の露光ユニットおよび露光ユニットを制御するための制御部(駆動信号制御部およびミラー制御部)の構成を示す図である。以下、これらの図面を参照しつつ、露光ユニット6、駆動信号制御部10およびミラー制御部11の構成および動作について詳述する。なお、露光ユニット6、駆動信号制御部10およびミラー制御部11の構成はいずれの色成分についても同一であるため、ここではイエローに関する構成について説明し、その他の色成分については相当符号を付して説明を省略する。
この露光ユニット6Y(6M,6C,6K)は露光筐体61を有している。そして、露光筐体61に単一のレーザー光源62が固着されており、レーザー光源62から光ビームを射出可能となっている。このレーザー光源62には、図4に示すように、メインコントローラMCから出力されるイエロー用の画像信号Svが入力される。すなわち、ユーザからの画像形成要求に応じてホストコンピュータなどの外部装置から画像形成指令がメインコントローラMCに与えられると、メインコントローラMCはその画像形成指令に対応する4色の画像信号Svをそれぞれ対応する色の露光ユニット6に出力する。したがって、イエローについては、画像信号Svは画像形成指令に含まれるイエロー画像データに対応する信号であり、この画像信号Svに応じてレーザー光源62がON/OFF制御されてレーザー光源62からイエロー画像データに対応して変調された光ビームLyが射出される。
また、この露光筐体61の内部には、レーザー光源62からの光ビームを感光体2Yの表面(図示省略)に走査露光するために、コリメータレンズ631、シリンドリカルレンズ632、偏向器65、走査レンズ66が設けられている。すなわち、レーザー光源62からの光ビームは、コリメータレンズ631により適当な大きさのコリメート光にビーム整形された後、副走査方向Yにのみパワーを有するシリンドリカルレンズ632に入射される。そして、シリンドリカルレンズ632を調整することでコリメート光は副走査方向Yにおいて偏向器65の偏向ミラー面651付近で結像される。このように、この実施形態では、コリメータレンズ631およびシリンドリカルレンズ632がレーザー光源62からの光ビームを整形するビーム整形系63として機能している。
この偏向器65は半導体製造技術を応用して微小機械を半導体基板上に一体形成するマイクロマシニング技術を用いて形成されるものであり、共振振動する振動ミラーで構成されている。すなわち、偏向器65では、共振振動する偏向ミラー面651により光ビームを主走査方向Xに偏向可能となっている。より具体的には、偏向ミラー面651は主走査方向Xとほぼ直交する揺動軸(ねじりバネ)周りに揺動自在に軸支されるとともに、作動部652から与えられる外力に応じて揺動軸周りに揺動する。この作動部652はミラー制御部11Yのミラー駆動部111からのミラー駆動信号に基づき偏向ミラー面651に対して静電気的、電磁気的あるいは機械的な外力を作用させて偏向ミラー面651を駆動信号制御部10Yから与えられる駆動信号Sdの周波数で振動させる。なお、作動部652による駆動方式は静電吸着、電磁気力あるいは機械力などのいずれの方式を採用してもよく、それらの駆動方式は周知であるため、ここでは説明を省略する。
このようにして駆動される偏向器65には、例えば特開平9−197334号公報に記載されたような共振周波数調整部653が設けられており、偏向器65の共振周波数を変化させることが可能となっている。すなわち、この共振周波数調整部653では偏向器65のねじりバネ(図示省略)に電気抵抗素子が形成されるとともに、該電気抵抗素子がミラー制御部11Yの周波数制御部112と電気的に接続されている。そして、周波数制御部112による電気抵抗素子への通電制御によりねじりバネの温度が変化する。これによって、ねじりバネのバネ定数が変化し、偏向器65の共振周波数を変更させることができる。そこで、この実施形態では、後述するように共振周波数がミラー駆動信号(駆動信号Sd)の周波数、つまり駆動周波数と不一致である場合には、共振周波数調整部653により偏向器65の共振周波数を変動させて駆動周波数とほぼ一致させている。なお、偏向器65の共振周波数を変化させる具体的な構成はこれに限定されるものではなく、従来より周知の構成を採用することができる。
また、ミラー駆動部111はミラー駆動信号の周波数や電圧などの駆動条件を変更設定することができるように構成されている。したがって、必要に応じてミラー駆動信号の周波数を変更設定することが可能となっている。また、ミラー駆動信号の電圧を変更させることで振幅値を調整することも可能となっている。
そして、偏向器65の偏向ミラー面651で偏向された光ビームは走査レンズ66に向けて偏向される。この実施形態では、走査レンズ66は、感光体2の表面上の有効走査領域の全域においてF値が略同一となるように構成されている。したがって、走査レンズ66に向けて偏向された光ビームは、走査レンズ66を介して感光体2Yの表面の有効走査領域に略同一のスポット径で結像される。これにより、光ビームが主走査方向Xと平行に走査して主走査方向Xに伸びるライン状の潜像が感光体2の表面上に形成される。
また、この実施形態では、図3に示すように、走査光ビームの走査経路の開始または終端を折り返しミラー69a,69bにより水平同期センサ60A,60Bに導いている。これらの折り返しミラー69a,69bおよび水平同期センサ60A,60Bは、光ビームが有効走査領域を走査する際に掃引して形成される掃引面の外に配設されている。また、折り返しミラー69a,69bは、光ビームが有効走査領域の略中心を走査する際の光軸に対して略対称に配設されている。したがって、水平同期センサ60A,60Bは光軸に対して略対称に配設されているのと同等に考えることができる。
これら水平同期センサ60A,60Bによる走査光ビームの検出信号Hsyncはミラー制御部11Yの計測部113に伝達され、該計測部113において有効走査領域を光ビームが走査する走査時間や駆動周期などに関連する駆動情報が算出される。そして、この計測部113において算出された実測情報が周波数制御部112に伝達され、周波数制御部112は偏向器65の共振周波数の調整を行う。
また、水平同期センサ60A,60Bからの水平同期信号HsyncはメインコントローラMCにも直接入力されており、光ビームが有効走査領域を主走査方向Xに走査する際の同期信号として機能させている。すなわち、これらのセンサ60A,60Bは水平同期信号Hsyncを得るための水平同期用読取センサとして機能している。
さらに、この実施形態では、センサ60A,60Bを本発明の「検出手段」として機能させており、検出信号Hsyncを本発明の「駆動周期信号」としてエンジンコントローラ1の駆動信号制御部10Yに入力している。この駆動信号制御部10YはPLL処理部101を有しており、水平同期センサ60A,60Bから出力される検出信号HsyncがPLL処理部101に入力される。
このPLL処理部101はメインコントローラMCと電気的に接続されてメインコントローラMCから基準信号Srを受信可能となっている。なお、この基準信号Srは4つのトナー色に共通する信号であり、各色の駆動信号制御部10に同時に与えられる。そして、PLL処理部101はメインコントローラMCからの基準信号Srと検出信号Hsyncとに基づき基準信号の位相と駆動周期信号の位相とが所定の相対関係を有するようにPLL処理を行って駆動信号を制御する。
また、この実施形態では、駆動信号Sdを制御するために、上記PLL処理部101以外に基準駆動信号発生部102が設けられている。この基準駆動信号発生部102は、予め設定した駆動周波数を有する基準駆動信号を発生させるものであり、基準駆動信号を記憶したメモリや該基準駆動信号を発生させる発振回路などで構成することができる。そして、PLL処理部101および基準駆動信号発生部102の各々から出力される信号を切換部103が選択的に切り換え、いずれか一方からの信号を駆動信号Sdとしてミラー制御部11Yに与えている。なお、その切換タイミングおよび駆動信号の選択態様は次のとおりである。
ところで、上記のように構成された装置では、偏向器65が振動停止している状態で画像形成指令が与えられると、画像形成開始前に起動処理を実行して光ビームがメインコントローラMCと同期しながら偏向器65によって良好に走査されるように調整している。より具体的には、起動処理として駆動処理、共振制御処理およびPLL処理が実行される。
図5は図1の画像形成装置で実行される処理を示すフローチャートである。また、図6はカラー画像形成前に行われる偏向器の共振制御処理を模式的に示す図である。なお、ここでは画像形成指令としてカラー画像形成指令が与えられた場合について説明するが、モノクロ画像形成指令が与えれた場合には、ブラック色についてのみ以下の動作が実行される。
カラー画像形成指令が与えられると、イエロー色について偏向器65の起動処理が実行される。まず、ステップS1で切換部103が駆動信号制御部10Yの基準駆動信号発生部102側に切り換えられ、基準駆動信号発生部102から出力される基準駆動信号が駆動信号Sdとしてミラー制御部11Yのミラー駆動部111に与えられる。すると、ミラー駆動部111は駆動信号Sdに基づきミラー駆動信号を作成し、駆動周波数Fdで作動部652を作動させる。これによって、偏向器65の偏向ミラー面651が駆動周波数Fdでの振動を開始する(ステップS2)。このように、偏向器65の駆動開始段階では基準駆動信号発生部102で発生された基準駆動信号に基づき偏向器65を駆しているため、偏向器65の偏向ミラー面651を確実に、しかも早期に共振振動させることができる。
ここで、例えば図6(a)に示すように、偏向ミラー面651は周波数Fdで振動するが、偏向器65の共振周波数Fryが駆動周波数Fdからずれている場合には、偏向ミラー面651の最大振幅値θ(y)は共振振動時の最大振幅から大幅に低下したものとなる。そこで、所定時間が経過するのを待って(ステップS3)、イエロー色の偏向器65について共振制御処理を実行する。
この共振制御処理では、メインコントローラMCから画像信号Svをレーザー光源62に出力してレーザー光源62を点灯する(ステップS4)。ここで、エンジンコントローラ1から共振制御処理に適した画像信号をレーザー光源62に与えて次に説明するようにして共振制御処理を行うようにしてもよい。このようにしてレーザー光源62を点灯した時点においては、すでに偏向器65は共振振動しているので、感光体2Yの表面を光ビームが走査することとなり、感光体2Yの一部に光ビームが集中的に照射されるのを防止することができる。また、光ビームの走査と同時に水平同期センサ60A,60Bから水平同期信号Hsyncが出力される。そして、次のステップS5では、センサ出力に基づき周波数制御部112による電気抵抗素子への通電制御により偏向器65のねじりバネの温度を変化させて図6(b)に示すように偏向器65の共振特性を破線(調整前)から駆動周波数側にシフトさせる。これにより、偏向器65の共振周波数Fryが駆動周波数Fdとほぼ一致して振幅値θ(y)が最大振幅を示すこととなる。
こうして共振制御処理が完了すると、切換部103が駆動信号制御部10YのPLL処理部101側に切り換えられる(ステップS6)。すると、メインコントローラMCからの基準信号Srと検出信号Hsyncとに基づき、基準信号の位相と駆動周期信号の位相とが所定の相対関係を有するようにPLL処理を行って駆動信号Sdが制御される(ステップS7)。そして、この駆動信号Sdは切換部103を介してミラー制御部11Yのミラー駆動部111に与えられる。その結果、ミラー駆動部111は上記相対関係を維持しながら駆動周波数Fdで偏向器65の偏向ミラー面651を共振振動させる。これによりメインコントローラMCの基準信号と同期させながら走査光ビームLyを安定して走査させることができる。なお、走査速度の安定化が完了すると、レーザー光源62を消灯するとともに、Ready信号などの制御信号をメインコントローラMCに出力してイエローの露光ユニット6Yに関する起動処理を完了させる。また、イエロー以外のトナー色についても上記と同様に駆動処理、共振制御処理およびPLL処理(ステップS1〜S7)が実行される。
以上のように、この実施形態によれば、水平同期信号Hsyncを偏向ミラー面651の駆動周期に関連する駆動周期信号として駆動信号制御部10(10Y,10M,10C,10K)に入力している。そして、この駆動信号制御部10で基準信号Srの位相と水平周期信号Hsyncの位相とが所定の相対関係を有するように、駆動信号Sdを制御して偏向器65を基準信号Srに同期して作動している。したがって、副走査方向Yにおける潜像の形成位置が基準信号Srと水平周期信号Hsyncとの位相調整により調整されて副走査方向Yにおけるライン潜像ずれを抑えることができる。その結果、良好な品質で画像を形成することができる。
また、この実施形態では、いわゆるタンデム方式でカラー画像を形成しており、各露光ユニット6(6Y,6M,6C,6K)での潜像形成位置が相互にずれると、色ずれを起こして画像品質を低下させてしまう。しかしながら、この実施形態では、メインコントローラMCが全色に共通の基準信号Srを発生させて各駆動信号制御部10Y,10M,10C,10Kに同時に出力している。このため、メインコントローラMCからの基準信号Srに基づく上記PLL処理が同時に行われている。したがって、いずれのトナー色においても、単一の基準信号Srを基準として偏向ミラー面651が所定の駆動周波数Fdで共振振動して光ビームの走査が行われる。したがって、副走査方向Yにおけるトナー色間での潜像形成位置のずれを防止することができ、カラー画像を良好に形成することができる。
また、周波数制御部112により共振周波数調整部653を制御することにより偏向器65の共振周波数を調整して駆動周波数Fdとほぼ一致させている(共振制御処理)。したがって、駆動開始段階で偏向器65の共振周波数が駆動周波数Fdからずれていたとしても、共振制御処理により偏向器65は所定の駆動周波数Fdで、しかも最大振幅で共振振動することとなり、画像形成を良好に、しかも安定して行うことができる。
さらに、カラー画像を形成する場合には、上記したように各トナー色について駆動処理、共振制御処理およびPLL処理(ステップS1〜S7)を行っているが、モノクロ画像を形成する場合には、ブラック色についてのみ実行している。したがって、起動処理を効率的に行うことができる。
<第2実施形態>
図7は本発明の第2実施形態における露光ユニットおよび露光ユニットを制御するための制御部(駆動信号制御部およびミラー制御部)の構成を示す図である。この第2実施形態が第1実施形態と大きく相違する点は、共振制御処理を行わない一方、水平同期信号Hsyncに基づき振幅制御処理を行っている点であり、その他の構成は基本的に同一である。以下、相違点を中心に構成および動作について説明する。
この第2実施形態では、水平同期センサ60A,60Bによる走査光ビームの検出信号Hsyncはミラー制御部11(11Y,11M,11C,11K)の計測部113に伝達され、該計測部において有効走査領域を光ビームが走査する走査時間や駆動周期に関連する駆動情報が算出される。そして、この計測部113において算出された駆動情報がミラー駆動部111に伝達され、ミラー駆動部111はこの伝達された駆動情報に応じて偏向ミラー面651を駆動するミラー駆動信号の駆動条件を変更設定可能となっている。
図8は第2実施形態にかかる画像形成装置で実行される処理を示すフローチャートである。また、図9はカラー画像形成前に行われる偏向器の振幅制御処理を模式的に示す図である。なお、ここでは画像形成指令としてカラー画像形成指令が与えられた場合について説明するが、モノクロ画像形成指令が与えれた場合には、ブラック色についてのみ以下の動作が実行される。
カラー画像形成指令が与えられると、イエロー色について偏向器65の起動処理が実行される。まず、第1実施形態と同様に、切換部103が駆動信号制御部10Yの基準駆動信号発生部102側に切り換えられ、基準駆動信号発生部102から出力される基準駆動信号が駆動信号Sdとしてミラー制御部11Yのミラー駆動部111に与えられる(ステップS1)。これによって、駆動周波数Fdで作動部652を作動させて駆動周波数Fdでの偏向ミラー面651の振動を開始する(ステップS2)。ここで、偏向ミラー面651が周波数Fdで振動するが、例えば図9(a)に示すように、偏向ミラー面651の振幅位相を示す波形が所望の振動波形(1点鎖線)と異なるものとなり、最大振幅θ(y)が所望値θrより低くなることがある。また逆に最大振幅θ(y)が所望値θrより高くなる場合もある。このように最大振幅θ(y)が所望値θrと異なってしまうと、感光体2Y上での光ビームの走査速度が変化して感光体2Y上に形成されるライン潜像が主走査方向Xに伸縮して画像品質の低下を招く。そこで、所定時間が経過するのを待って(ステップS3)、イエロー色の偏向器65について振幅制御処理を実行する。
この振幅制御処理では、メインコントローラMCから画像信号Svをレーザー光源62に出力してレーザー光源62を点灯する(ステップS4)。ここで、エンジンコントローラ1から振幅制御処理に適した画像信号をレーザー光源62に与えて次に説明するようにして振幅制御処理を行うようにしてもよい。このようにしてレーザー光源62を点灯した時点においては、すでに偏向器65は共振振動しているので、感光体2Yの表面を光ビームが走査することとなり、感光体2Yの一部に光ビームが集中的に照射されるのを防止することができる。また、光ビームの走査と同時に水平同期センサ60A,60Bから水平同期信号Hsyncが出力される。そして、次のステップS8では、センサ出力に基づきミラー駆動部111から偏向器65Yに与えるミラー駆動信号の駆動電圧を制御して、図9(b)に示すように偏向器65Yの最大振幅値θ(y)が所望値θrとほぼ一致するように振幅を制御する(振幅制御処理)。これによって走査光ビームLyの速度を調整して走査光ビームLyを安定して走査させることができる。
こうして振幅制御処理が完了すると、第1実施形態と同様に、切換部103が駆動信号制御部10YのPLL処理部101側に切り換えられる(ステップS6)。これによって、メインコントローラMCからの基準信号Srと検出信号Hsyncとに基づきPLL処理された駆動信号Sdが切換部103を介してミラー制御部11Yのミラー駆動部111に与えられる(ステップS7)。その結果、ミラー駆動部111は上記相対関係を維持しながら駆動周波数Fdで偏向器65の偏向ミラー面651を共振振動させる。これによりメインコントローラMCの基準信号と同期させながら走査光ビームLyを安定して走査させることができる。なお、走査速度の安定化が完了すると、レーザー光源62を消灯するとともに、Ready信号などの制御信号をメインコントローラMCに出力してイエローの露光ユニット6Yに関する起動処理を完了させる。また、イエロー以外のトナー色についても上記と同様に駆動処理、振幅制御処理およびPLL処理(ステップS1〜S4、S8、S6、S7)が実行される。
以上のように、この第2実施形態においても、駆動信号制御部10で基準信号Srの位相と水平周期信号(駆動周期信号)Hsyncの位相とが所定の相対関係を有するように、駆動信号Sdを制御して偏向器65を基準信号Srに同期して作動しているため、副走査方向Yにおけるライン潜像ずれを抑えることができる。また、いずれのトナー色においても、単一の基準信号Srを基準として偏向ミラー面651が所定の駆動周波数Fdで共振振動して光ビームの走査が行われる。したがって、副走査方向Yにおけるトナー色間での潜像形成位置のずれを防止することができ、カラー画像を良好に形成することができる。
また、この実施形態では、駆動開始段階で偏向ミラー面651の最大振幅値θ(y)、θ(m)、θ(c)、θ(k)が所望値θrからずれていたとしても、振幅制御処理により各最大振幅値θ(y)、θ(m)、θ(c)、θ(k)が所望値θrに揃えられるため、各トナー色間での光ビームの速度が一致して画像形成を良好に、しかも安定して行うことができる。ここでは、最大振幅値が所望値θrに一致するように振幅制御処理を行っているが、いずれかのトナー色の最大振幅値を基準とし、他のトナー色の最大振幅値をその基準振幅値に一致するように振幅制御処理を行うように構成してもよい。
さらに、カラー画像を形成する場合には、上記したように各トナー色について駆動処理、振幅制御処理およびPLL処理(ステップS1〜S4、S8、S6、S7)を行っているが、モノクロ画像を形成する場合には、ブラック色についてのみ実行している。したがって、起動処理を効率的に行うことができる。
<第3実施形態>
ところで、上記第1および第2実施形態では、センサ60A,60Bから出力される水平同期信号Hsyncを本発明の「駆動周期信号」とし、駆動同期信号Hsyncと基準信号Srとに基づき駆動信号の位相調整を行っている。つまり、偏向器65の駆動状態を実測して駆動信号の位相調整を行っている。ここで、駆動信号の位相調整を行う方法としては、上記実測制御に限定されるものではなく、次に説明する第3および第4実施形態のように偏向器65の駆動状態を予測して駆動信号の位相調整を行うようにしてもよい。なお、装置の基本的構成は上記第1実施形態と同一であるため、以下の実施形態では相違する点を中心に説明し、同一構成については同一または相当符号を付して説明を省略する。
図10は本発明にかかる画像形成装置の第3実施形態を示す図である。この第3実施形態では、ユーザからの画像形成要求に応じてホストコンピュータなどの外部装置から画像形成指令がメインコントローラMCに与えられると、このメインコントローラMCからイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の画像信号Svがそれぞれ露光ユニット6Y,6M,6C,6Kに与えられる。また、メインコントローラMCは4色に共通の基準信号Srを発生させて駆動信号制御部10Y,10M,10C,10Kに同時に出力している。
図11は図10の画像形成装置に装備された露光ユニットおよび露光ユニットを制御するための制御部(駆動信号制御部およびミラー制御部)の構成を示す図である。この第3実施形態が第1実施形態と大きく相違する点は駆動信号制御部10の構成にあり、その他の構成は第1実施形態と基本的に同一である。なお、駆動信号制御部10の構成はいずれの色成分についても同一であるため、ここではイエローに関する構成について説明し、その他の色成分については相当符号を付して説明を省略する。
この第3実施形態では、駆動信号制御部10Yは水平同期センサ60A,60Bと電気的に接続されておらず、水平同期信号Hsyncを用いることなく駆動信号Sdの位相調整を行っている。すなわち、この駆動信号制御部10Yは、第1実施形態と同様に、PLL処理部101と、基準駆動信号発生部102と、切換部103とを備えている。これらのうち基準駆動信号発生部102は、予め設定した駆動周波数を有する基準駆動信号を発生させるものであり、基準駆動信号を記憶したメモリや該基準駆動信号を発生させる発振回路などで構成することができる。そして、基準駆動信号発生部102から出力される基準駆動信号はPLL処理部101と切換部103に与えられている。そして、切換部103が基準駆動信号発生部側に切り換わっている際には、基準駆動信号発生部102からの基準駆動信号がそのまま駆動信号Sdとしてミラー駆動部111に与えられ、偏向器65の偏向ミラー面651が駆動周波数で振動駆動される。
一方、基準駆動信号が入力されるPLL処理部101は、メインコントローラMCと電気的に接続されてメインコントローラMCから全トナー色に共通する基準信号Srを受信可能となっている。そして、メインコントローラMCからの基準信号Srと基準駆動信号とに基づき基準信号Srの位相と基準駆動信号の位相とが所定の相対関係を有するようにPLL処理を行って駆動信号を制御する。このようにPLL処理された信号は切換部103に与えられ、切換部103はPLL処理部側に切り換わっている際には、駆動信号Sdとしてミラー駆動部111に与えられる。したがって、偏向器65の偏向ミラー面651が位相調整された状態で振動駆動される。なお、その切換タイミングおよび駆動信号の選択態様は次のとおりである。
ところで、上記のように構成された装置では、偏向器65が振動停止している状態で画像形成指令が与えられると、画像形成開始前に起動処理を実行して光ビームがメインコントローラMCと同期しながら偏向器65によって良好に走査されるように調整している。より具体的には、起動処理として駆動処理、PLL処理および共振制御処理が実行される。
図12は図10の画像形成装置で実行される処理を示すフローチャートである。なお、ここでは画像形成指令としてカラー画像形成指令が与えられた場合について説明するが、モノクロ画像形成指令が与えれた場合には、ブラック色についてのみ以下の動作が実行される。
カラー画像形成指令が与えられると、イエロー色について偏向器65の起動処理が実行される。まず、ステップS11で切換部103が駆動信号制御部10Yの基準駆動信号発生部102側に切り換えられ、基準駆動信号発生部102から出力される基準駆動信号が駆動信号Sdとしてミラー制御部11Yのミラー駆動部111に与えられる。すると、ミラー駆動部111は駆動信号Sdに基づきミラー駆動信号を作成し、駆動周波数Fd(図6)で作動部652を作動させる。これによって、偏向器65の偏向ミラー面651が駆動周波数Fdでの振動を開始する(ステップS12)。このように、偏向器65の駆動開始段階では基準駆動信号発生部102で発生された基準駆動信号に基づき偏向器65を駆しているため、偏向器65の偏向ミラー面651を確実に、しかも早期に共振振動させることができる。
そして、所定時間が経過するのを待って(ステップS13)、切換部103が駆動信号制御部10YのPLL処理部101側に切り換えられる(ステップS14)。すると、メインコントローラMCからの基準信号Srと基準駆動信号とに基づき、基準信号の位相と基準駆動信号の位相とが所定の相対関係を有するようにPLL処理を行って駆動信号Sdが制御される(ステップS15)。そして、この駆動信号Sdは切換部103を介してミラー制御部11Yのミラー駆動部111に与えられる。その結果、ミラー駆動部111は上記相対関係を維持しながら駆動周波数Fdで偏向器65の偏向ミラー面651を共振振動させる。これによりメインコントローラMCの基準信号と同期させながら走査光ビームLyを安定して走査させることができる。
ここで、例えば図6(a)に示すように、偏向ミラー面651は周波数Fdで振動するが、偏向器65の共振周波数Fryが駆動周波数Fdからずれている場合には、偏向ミラー面651の最大振幅値θ(y)は共振振動時の最大振幅から大幅に低下したものとなる。そこで、この実施形態では、上記PLL処理が完了した後に、イエロー色の偏向器65について共振制御処理を実行する。
この共振制御処理では、メインコントローラMCから画像信号Svをレーザー光源62に出力してレーザー光源62を点灯する(ステップS16)。ここで、エンジンコントローラ1から共振制御処理に適した画像信号をレーザー光源62に与えて次に説明するようにして共振制御処理を行うようにしてもよい。このようにしてレーザー光源62を点灯した時点においては、すでに偏向器65は共振振動しているので、感光体2Yの表面を光ビームが走査することとなり、感光体2Yの一部に光ビームが集中的に照射されるのを防止することができる。また、光ビームの走査と同時に水平同期センサ60A,60Bから水平同期信号Hsyncが出力される。そして、次のステップS17では、センサ出力に基づき周波数制御部112による電気抵抗素子への通電制御により偏向器65のねじりバネの温度を変化させて図6(b)に示すように偏向器65の共振特性を破線(調整前)から駆動周波数側にシフトさせる。これにより、偏向器65の共振周波数Fryが駆動周波数Fdとほぼ一致して振幅値θ(y)が最大振幅を示すこととなる。
こうして共振制御処理が完了すると、レーザー光源62を消灯するとともに、Ready信号などの制御信号をメインコントローラMCに出力してイエローの露光ユニット6Yに関する起動処理を完了させる。また、イエロー以外のトナー色についても上記と同様に駆動処理、PLL処理および共振制御処理(ステップS11〜S17)が実行される。
以上のように、この実施形態によれば、基準信号Srの位相と基準駆動信号の位相とが所定の相対関係を有するように、駆動信号Sdを制御し、偏向器65が基準信号Srに同期して作動する。したがって、副走査方向Yにおける潜像の形成位置が基準信号Srと基準駆動信号との位相調整により調整されて副走査方向Yにおけるライン潜像ずれを抑えることができる。その結果、良好な品質で画像を形成することができる。
また、この実施形態では、いわゆるタンデム方式でカラー画像を形成しており、各露光ユニット6(6Y,6M,6C,6K)での潜像形成位置が相互にずれると、色ずれを起こして画像品質を低下させてしまう。しかしながら、メインコントローラMCからの基準信号Srが各トナー色の駆動信号制御部10(10Y,10M,10C,10K)に入力されて上記PLL処理が同時に行われている。したがって、いずれのトナー色においても、単一の基準信号Srを基準として偏向ミラー面651が所定の駆動周波数Fdで共振振動して光ビームの走査が行われる。したがって、副走査方向Yにおけるトナー色間での潜像形成位置のずれを防止することができ、カラー画像を良好に形成することができる。
また、周波数制御部112により共振周波数調整部653を制御することにより偏向器65の共振周波数を調整して駆動周波数Fdとほぼ一致させている(共振制御処理)。したがって、駆動開始段階で偏向器65の共振周波数が駆動周波数Fdからずれていたとしても、共振制御処理により偏向器65は所定の駆動周波数Fdで、しかも最大振幅で共振振動することとなり、画像形成を良好に、しかも安定して行うことができる。
さらに、カラー画像を形成する場合には、上記したように各トナー色について駆動処理、PLL処理および共振制御処理(ステップS11〜S17)を行っているが、モノクロ画像を形成する場合には、ブラック色についてのみ実行している。したがって、起動処理を効率的に行うことができる。
<第4実施形態>
図13は本発明の第4実施形態における露光ユニットおよび露光ユニットを制御するための制御部(駆動信号制御部およびミラー制御部)の構成を示す図である。この第4実施形態が第3実施形態と大きく相違する点は、共振制御処理を行わない一方、水平同期信号Hsyncに基づき振幅制御処理を行っている点であり、その他の構成は基本的に同一である。以下、相違点を中心に構成および動作について説明する。
この第4実施形態では、水平同期センサ60A,60Bによる走査光ビームの検出信号Hsyncはミラー制御部11(11Y,11M,11C,11K)の計測部113に伝達され、該計測部において有効走査領域を光ビームが走査する走査時間や駆動周期に関連する駆動情報が算出される。そして、この計測部113において算出された駆動情報がミラー駆動部111に伝達され、ミラー駆動部111はこの伝達された駆動情報に応じて偏向ミラー面651を駆動するミラー駆動信号の駆動条件を変更設定可能となっている。
図14は第4実施形態にかかる画像形成装置で実行される処理を示すフローチャートである。なお、ここでは画像形成指令としてカラー画像形成指令が与えられた場合について説明するが、モノクロ画像形成指令が与えれた場合には、ブラック色についてのみ以下の動作が実行される。
カラー画像形成指令が与えられると、イエロー色について偏向器65の起動処理が実行される。まず、第3実施形態と同様に、切換部103が駆動信号制御部10Yの基準駆動信号発生部102側に切り換えられ、基準駆動信号発生部102から出力される基準駆動信号が駆動信号Sdとしてミラー制御部11Yのミラー駆動部111に与えられる(ステップS11)。これによって、駆動周波数Fdで作動部652を作動させて駆動周波数Fdでの偏向ミラー面651の振動を開始する(ステップS12)。
そして、所定時間が経過するのを待って(ステップS13)、切換部103が駆動信号制御部10YのPLL処理部101側に切り換えられる(ステップS14)。すると、メインコントローラMCからの基準信号Srと基準駆動信号とに基づき、基準信号の位相と基準駆動信号の位相とが所定の相対関係を有するようにPLL処理を行って駆動信号Sdが制御される(ステップS15)。そして、この駆動信号Sdは切換部103を介してミラー制御部11Yのミラー駆動部111に与えられる。その結果、ミラー駆動部111は上記相対関係を維持しながら駆動周波数Fd(図9)で偏向器65の偏向ミラー面651を共振振動させる。これによりメインコントローラMCの基準信号と同期させながら走査光ビームLyを安定して走査させることができる。
ここで、偏向ミラー面651が周波数Fdで振動するが、例えば図9(a)に示すように、偏向ミラー面651の振幅位相を示す波形が所望の振動波形(1点鎖線)と異なるものとなり、最大振幅θ(y)が所望値θrより低くなることがある。また逆に最大振幅θ(y)が所望値θrより高くなる場合もある。このように最大振幅θ(y)が所望値θrと異なってしまうと、感光体2Y上での光ビームの走査速度が変化して感光体2Y上に形成されるライン潜像が主走査方向Xに伸縮して画像品質の低下を招く。そこで、この実施形態では、上記PLL処理が完了した後に、イエロー色の偏向器65について振幅制御処理を実行する。
この振幅制御処理では、メインコントローラMCから画像信号Svをレーザー光源62に出力してレーザー光源62を点灯する(ステップS16)。ここで、エンジンコントローラ1から振幅制御処理に適した画像信号をレーザー光源62に与えて次に説明するようにして振幅制御処理を行うようにしてもよい。このようにしてレーザー光源62を点灯した時点においては、すでに偏向器65は共振振動しているので、感光体2Yの表面を光ビームが走査することとなり、感光体2Yの一部に光ビームが集中的に照射されるのを防止することができる。また、光ビームの走査と同時に水平同期センサ60A,60Bから水平同期信号Hsyncが出力される。そして、次のステップS18では、センサ出力に基づきミラー駆動部111から偏向器65Yに与えるミラー駆動信号の駆動電圧を制御して、図9(b)に示すように偏向器65Yの最大振幅値θ(y)が所望値θrとほぼ一致するように振幅を制御する(振幅制御処理)。これによって走査光ビームLyの速度を調整して走査光ビームLyを安定して走査させることができる。
こうして振幅制御処理が完了すると、第3実施形態と同様に、レーザー光源62を消灯するとともに、Ready信号などの制御信号をメインコントローラMCに出力してイエローの露光ユニット6Yに関する起動処理を完了させる。また、イエロー以外のトナー色についても上記と同様に駆動処理、PLL処理および振幅制御処理(ステップS11〜S16、S18)が実行される。
以上のように、この第4実施形態においても、基準信号Srの位相と基準駆動信号の位相とが所定の相対関係を有するように、駆動信号Sdを制御して偏向器65を基準信号Srに同期して作動しているため、副走査方向Yにおけるライン潜像ずれを抑えることができる。また、いずれのトナー色においても、単一の基準信号Srを基準として偏向ミラー面651が所定の駆動周波数Fdで共振振動して光ビームの走査が行われる。したがって、副走査方向Yにおけるトナー色間での潜像形成位置のずれを防止することができ、カラー画像を良好に形成することができる。
また、この実施形態では、駆動開始段階で偏向ミラー面651の最大振幅値θ(y)、θ(m)、θ(c)、θ(k)が所望値θrからずれていたとしても、振幅制御処理により各最大振幅値θ(y)、θ(m)、θ(c)、θ(k)が所望値θrに揃えられるため、各トナー色間での光ビームの速度が一致して画像形成を良好に、しかも安定して行うことができる。ここでは、最大振幅値が所望値θrに一致するように振幅制御処理を行っているが、いずれかのトナー色の最大振幅値を基準とし、他のトナー色の最大振幅値をその基準振幅値に一致するように振幅制御処理を行うように構成してもよい。
さらに、カラー画像を形成する場合には、上記したように各トナー色について駆動処理、PLL処理および振幅制御処理(ステップS11〜S16、S18)を行っているが、モノクロ画像を形成する場合には、ブラック色についてのみ実行している。したがって、起動処理を効率的に行うことができる。
<その他>
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、水平同期センサ60A,60Bからの水平同期信号Hsyncを本発明の「駆動周期信号」として用いて共振制御処理や振幅制御処理などを行っている。つまり、水平同期センサ60A,60Bを本発明の「検出手段」として用いている。しかしながら、共振周波数や駆動電圧の調整のために用いることができる情報としては、水平同期信号Hsyncに限定されるものではなく、偏向器65の駆動周期に関連する情報であれば任意である。例えば特開平7−218857号公報に記載されたような変位検出センサを偏向器65に設け、偏向ミラー面651の変位量を検出するとともに、該検出値に基づきPLL処理、共振制御処理や振幅制御処理を行ってもよい。この場合、変位検出センサが本発明の「検出手段」に相当する。
また、上記実施形態では、温度変化に基づくバネ定数の変化を利用した共振周波数調整部653を採用しているが、共振周波数調整部653の構成はこれに限定されるものではなく、従来より周知の方法により共振周波数を調整することができる。
さらに、上記実施形態では、共振制御処理や振幅制御処理を行っているが、これらの制御処理は必須処理ではなく、任意の組み合わせで実行することができる。例えば、第1および第3実施形態において共振制御処理を省略したり、第2および第4実施形態において振幅制御処理を省略することができる。
さらに、上記実施形態では、振動ミラーとしてマイクロマシニング技術を用いて形成された偏向器65を採用しているが、共振振動する振動ミラーを用いて光ビームを偏向して潜像担持体上に光ビームを走査させるタンデム方式の画像形成装置全般に本発明を適用することができる。
2Y,2M,2C,2K…感光体(潜像担持体)、 10、10Y,10M,10C,10K…駆動信号制御部、 11、11Y,11M,11C,11K…ミラー制御部、 60A,60B…水平同期センサ(検出手段)、 65…偏向器(振動ミラー)、 101…PLL処理部、 102…基準駆動信号発生部、 112…周波数制御部、 651…偏向ミラー面、 653…共振周波数調整部、 EG…エンジン部、 Fd…駆動周波数、 Fry,Frm,Frc,Frk…共振周波数、 Hsync…水平同期信号(駆動同期信号)、 Ly,Lm,Lc,Lk…(走査)光ビーム、 MC…メインコントローラ、 Sd…駆動信号、 Sr…基準信号、 Sv…画像信号、 X…主走査方向