JP4829609B2 - ヒト抗体酵素およびその生産方法 - Google Patents

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Description

本発明は、抗体の高い分子認識能と酵素活性とを併せ持つヒト抗体酵素およびその生産方法に関するものである。
抗体酵素は目的の抗原に対して特異的に抗原抗体反応し、かつ酵素活性を有する免疫グロブリンである(非特許文献1参照)。したがって、抗体酵素は、医療、化学工業、食品工業等といった、多くの面で応用が期待されている。
抗体酵素としては、例えば、S.Paulらは、VIP(神経ペプチド:Vasoactive Intestinal Peptide)に対するマウス由来抗体(抗VIP抗体)の軽鎖(VIPase)が、上記VIPを分解する活性を有することを報告している(非特許文献2参照)。また、本発明者らは、AIDS(後天性免疫不全症候群)の原因となるエイズウイルス(HIV)の外膜タンパク質gp41の不変領域を抗原とするマウス由来モノクローナル抗体を取得し、このモノクローナル抗体の機能を詳細に解析した結果、当該モノクローナル抗体の軽鎖領域は、HIVの外膜タンパク質gp41を特異的に分解する、非常に高い活性を有することを報告している(非特許文献3参照)。さらに、本発明者らは、上記抗HIV−1gp41抗体軽鎖(41S−2L)の超可変領域1(CDR1)ペプチドに対するマウス由来抗体である抗41S−2L鎖CDR1領域ペプチド抗体の軽鎖(i41SL1−2−L)が、上記抗HIV−1gp41抗体軽鎖(41S−2L)を分解する活性を有していることを報告している(非特許文献4参照)。
また、本発明者らは、上記VIPaseとi41SL1−2−Lは相同性が高く、これらの立体構造中にセリン残基とアスパラギン酸残基とヒスチジン残基とが近接して存在し、この三つ組み残基様構造がペプチド分解活性と関連があることを見出している(特許文献1参照)。
特開2004−97211号公報(平成16年4月2日公開) Uda T., Hifumi E. Journal of Bioscience and Bioengineering 97:289-93 (2004) Paul S, Volle DJ, Beach CM, Johnson DR, Powell MJ, Massey RJ. Science 244:1158-62 (1989) Hifumi E., Okamoto Y., Uda T. J. Biosci. Bioeng. 88(3):323-327 (1999) Hifumi E., Kondo H., Mitsuda Y., Uda T. Biotechnol Bioeng. 84:485-93 (2003)
上記非特許文献2、非特許文献3および非特許文献4に記載の抗体酵素はいずれもマウス由来である。また、特許文献1に開示されている、セリン残基とアスパラギン酸残基とヒスチジン残基とが近接して存在する三つ組み残基様構造とペプチド分解活性との関連性についても、マウス由来抗体酵素の解析により得られた知見である。
抗体酵素の特異的な抗原抗体反応および抗原に対しての酵素反応を起こす性質を利用すれば、病原タンパク質に対するミサイル療法等の薬理効果が期待できる。しかし、マウス由来抗体をヒトに適用した場合、ヒト抗マウス抗体抗体により不活化されることが知られている。したがって、抗体酵素を臨床に用いるためにはヒト由来抗体酵素を見出すことが必要であり、また目的のヒト抗体酵素を効率良く生産することが必要である。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、抗体の高い分子認識能と酵素活性とを併せ持つ新規なヒト抗体酵素およびその生産方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために、データベースに登録されているヒト生殖細胞系列の抗体V遺伝子の塩基配列に基づいて抗体の立体構造を予測し、セリン残基とアスパラギン酸残基とヒスチジン残基とが近接して存在する三つ組み残基様構造の有無について探索した。その結果39種類の生殖細胞系列遺伝子から予測される立体構造において、上記三つ組み残基様構造が見出された。さらに、ヒトサンプルから上記三つ組み残基様構造が見出された生殖細胞系列遺伝子由来のcDNAをクローニングし、発現タンパク質がペプチド分解活性を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係るヒト抗体酵素は、軽鎖が、V1−9、V1−13、V1−18、V1−22、V2−6、V2−7、V2−8、V2−13、V2−14、V3−3、A1、A2、A3、A5、A7、A10、A17、A18、A19、A23、A26、A30、L14およびL22からなる群より選択されるヒト生殖細胞系列遺伝子によってコードされるポリペプチドまたはそのフラグメントを含むことを特徴としている。
また、本発明に係るヒト抗体酵素は、重鎖が、VH1−24、VH3−9、VH3−13、VH3−16、VH3−20、VH3−30、VH3−33、VH3−35、VH3−43、VH3−64、VH3−72、VH3−73、VH3−74、VH4−34およびVH7−81からなる群より選択されるヒト生殖細胞系列遺伝子によってコードされるポリペプチドまたはそのフラグメントを含むことを特徴としている。
上記ヒト生殖細胞系列遺伝子によりコードされるポリペプチドまたはそのフラグメントを含む抗体は、予測される抗体の立体構造中に、セリン残基、アスパラギン酸残基およびヒスチジン残基が立体構造上近接して存在する。すなわち、目的の抗原に対して特異的に抗原抗体反応し、かつ酵素活性を有するヒト抗体酵素である。
本発明に係るヒト抗体酵素としては、より具体的には、配列番号2、4、8に示されるアミノ酸配列、または配列番号2、4、8に示されるアミノ酸配列において1個もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたされたアミノ酸配列、からなるポリペプチドまたはそのフラグメントを含むもの、を挙げることができる。
本発明に係るヒト抗体酵素生産方法は、1つのサブグループに属するヒト抗体酵素の生産方法であって、ヒト生殖細胞系列抗体V遺伝子のリーダー配列中に存在するサブグループ特異的配列に基づくプライマーを用いて、ヒトリンパ球由来のcDNAを鋳型とする核酸増幅反応を行う工程、増幅されたcDNAの塩基配列を決定し、塩基配列に基づいて酵素活性を有するポリペプチドをコードするcDNAを選択する工程、および選択されたcDNAがコードするポリペプチドを発現させる工程を包含することを特徴としている。
上記の方法により、目的サブグループに属するヒト抗体酵素を効率良く生産することが可能となる。
上記方法によりサブグループVkappa2に属する抗体酵素を生産する場合には、配列番号17に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドをプライマーとして使用することができる。
本発明のヒト抗体酵素は、種々の感染症や癌等の病気の治療、診断に利用できるという効果を奏する。特に本発明のヒト抗体酵素はヒト由来であるため、ヒトに投与した場合でも異種タンパク質として免疫系により排除されないため、安全かつ有効にヒトに適用できるという効果を奏する。
また、本発明に係るヒト抗体酵素は、新しいバイオマテリアルとして新型のバイオセンサにも応用可能であり、病気の診断などの検査等にも利用可能である。
さらに、本発明のヒト抗体酵素生産方法を用いれば、ヒト抗体酵素を効率良く生産することができるという効果を奏する。
本発明の実施の一形態について説明すれば、以下のとおりである。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
(1)ヒト抗体酵素
本発明はヒト抗体酵素を提供するものである。抗体酵素とは、目的の抗原に対して特異的に抗原抗体反応し、かつ酵素活性を有する免疫グロブリンである。なお、抗体は完全な抗体分子に限定されるものではなく、抗原に特異的に結合することができ、かつ酵素活性を有する抗体フラグメント(例えば、軽鎖、重鎖、軽鎖可変領域、重鎖可変領域、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメントなど)でもよい。また、酵素活性は特に限定されるものではないが、プロテアーゼ活性またはペプチダーゼ活性であることが好ましい。
発明者らは、ペプチドや抗原タンパク質を切断および/または分解する活性を有するマウス由来抗体酵素を用いて、その性質や構造の特徴を詳細に解析した結果、ペプチドや抗原タンパク質を切断および/または分解する活性を有する抗体酵素は、いずれもその立体構造中に、セリン残基と、アスパラギン酸残基と、ヒスチジン残基またはグルタミン酸残基とが立体構造上近接して存在することを明らかにした(特許文献1参照)。ここで、「立体構造上近接して存在する」とは、セリン残基と、アスパラギン酸残基と、ヒスチジン残基またはグルタミン酸残基との距離が、少なくとも3〜20Åの範囲内、好ましくは、3〜10Åの範囲内にあることを意味する。以下、上記三つのアミノ酸残基が立体構造上近接している構造を「三つ組み残基様構造」と称する。上記三つのアミノ酸残基間の距離が3〜20Å、なかでも特に3〜10Åの範囲内であれば、十分に三つ組み残基様構造と基質(ペプチドや抗原タンパク質)とが反応できると考えられる。
抗体は、重鎖(H鎖:Heavy chain)と軽鎖(L鎖:Light chain)とから構成されている。重鎖および軽鎖は、可変領域(VR:Variable Region)と定常領域(CR:Constant Region)とから構成されており、可変領域は、超可変領域(CDR:Complimentarity Determining Region)を有している。ヒト抗体酵素において、上記三つ組み残基様構造が存在する部位は特に限定されるものではなく、軽鎖に存在しても重鎖に存在してもよい。
また、抗体遺伝子は、抗体可変領域および定常領域をコードする。可変領域構造遺伝子は、軽鎖ではV遺伝子およびJ遺伝子から編成され、重鎖ではV遺伝子、D遺伝子およびJ遺伝子から編成される。生殖細胞系列(以下「germline」とも称する。)遺伝子は、それぞれコードするアミノ酸配列が違うため、編成される可変領域構造遺伝子によってそれぞれの遺伝子産物である抗体も配列が違い、このことが抗体の多様性を引き起こす。マウス抗体酵素に関する解析の結果、VIPase(抗VIP遺伝子軽鎖)ではV遺伝子に、セリン残基、アスパラギン酸残基およびヒスチジン残基が立体構造上近接して存在するS−H−D三つ組み残基様構造を構成するアミノ酸残基がコードされていることが見出されていることに加え、本発明者らが見出した多くのマウス抗体酵素の解析を行った結果から、本発明者らは、ヒトgermlineの抗体V遺伝子のアミノ酸配列に基づいてコンピューター上で擬似抗体を作製し、予測される立体構造中の三つ組み残基様構造の有無を探索した。
すなわち、NCBI IgBLAST(National Center for Biotechnology Information、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/igblast/)に登録されているヒトgermlineのV遺伝子について予測される立体構造中の三つ組み残基様構造の有無を探索した。その結果、合計39種類のヒトgermlineのV遺伝子がS−H−D三つ組み残基様構造を構成するアミノ酸残基をコードすることを見出した。なお、詳細は後述の実施例1の記載を参照のこと。
具体的には、軽鎖V遺伝子に関しては、ヒトVlambda鎖germlineでV1−9、V1−13、V1−18、V1−22、V2−6、V2−7、V2−8、V2−13、V2−14およびV3−3の10種、ヒトVkappa鎖germlineでA1、A2、A3、A5、A7、A10、A17、A18、A19、A23、A26、A30、L14およびL22の14種、合計24遺伝子がS−H−D三つ組み残基様構造を構成するアミノ酸残基をコードしていた。なお、A3とA19、A10とA26はそれぞれ同じアミノ酸配列をコードする重複遺伝子であった。
また、重鎖V遺伝子に関しては、ヒトVH鎖germlineでVH1−24、VH3−9、VH3−13、VH3−16、VH3−20、VH3−30、VH3−33、VH3−35、VH3−43、VH3−64、VH3−72、VH3−73、VH3−74、VH4−34およびVH7−81の15種の遺伝子がS−H−D三つ組み残基様構造を構成するアミノ酸残基をコードしていた。
本発明のヒト抗体酵素は、軽鎖が、V1−9、V1−13、V1−18、V1−22、V2−6、V2−7、V2−8、V2−13、V2−14、V3−3、A1、A2、A3、A5、A7、A10、A17、A18、A19、A23、A26、A30、L14およびL22からなる群より選択されるヒト生殖細胞系列遺伝子によってコードされるポリペプチドまたはそのフラグメントを含むものであればよい。
また、本発明のヒト抗体酵素は、重鎖が、VH1−24、VH3−9、VH3−13、VH3−16、VH3−20、VH3−30、VH3−33、VH3−35、VH3−43、VH3−64、VH3−72、VH3−73、VH3−74、VH4−34およびVH7−81からなる群より選択されるヒト生殖細胞系列遺伝子によってコードされるポリペプチドまたはそのフラグメントを含むものであればよい。
上記ヒト生殖細胞系列遺伝子によってコードされるポリペプチド以外の部分は抗体を構成するポリペプチドであればどのようなポリペプチドからなるものでもよい。また、抗体酵素としては完全な抗体分子に限定されるものではなく、抗原に特異的に結合することができ、かつ酵素活性を有する抗体フラグメントでもよい。したがって、この条件を満たす限り、上記ヒト生殖細胞系列遺伝子によってコードされるポリペプチドを含むフラグメント、上記ヒト生殖細胞系列遺伝子によってコードされるポリペプチドの一部を含むフラグメント、上記ヒト生殖細胞系列遺伝子によってコードされるポリペプチドの一部からなるフラグメントであってもよい。
なお、上記各ヒト生殖系列遺伝子がコードするポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号19〜55に示されており、表1に記載のとおり対応する。
Figure 0004829609
また、上記各ヒト生殖系列遺伝子がコードするポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号19〜44に示されるアミノ酸配列と完全に一致することを要するものではない。すなわち、上記各ヒト生殖系列遺伝子がコードするポリペプチドにおけるS−H−D三つ組み残基様構造に影響を及ぼさない範囲を限度として変異を有するものであってもよい。変異を有するポリペプチドとしては、例えば各配列番号に示されるアミノ酸配列において1個もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたされたアミノ酸配列からなるポリペプチドを挙げることができる。
上記「1個もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加された」とは、部位特異的突然変異誘発法等の公知の変異ポリペプチド作製法により置換、欠失、挿入、もしくは付加できる程度の数(好ましくは10個以下、より好ましくは7個以下、最も好ましくは5個以下)のアミノ酸が置換、欠失、挿入もしくは付加されていることを意味する。このような変異ポリペプチドは、公知の変異ポリペプチド作製法により人為的に導入された変異を有するポリペプチドに限定されるものではなく、天然に存在するポリペプチドを単離精製したものであってもよい。
好ましい変異は、保存性もしくは非保存性アミノ酸置換、欠失、または添加である。より好ましくは、サイレント置換、添加、および欠失であり、特に好ましくは、保存性置換である。これらは、上記各ヒト生殖系列遺伝子がコードするポリペプチドにおけるS−H−D三つ組み残基様構造に影響を及ぼさない。
本発明のヒト抗体酵素としては、配列番号2、4または8示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドまたはそのフラグメントを含むヒト抗体酵素を挙げることができる。これらのアミノ酸配列からなるポリペプチドは抗体の軽鎖可変領域を構成し、立体構造中にS−H−D三つ組み残基様構造を有することが確認されている。
なお、上記ポリペプチドはS−H−D三つ組み残基様構造に影響を及ぼさない範囲を限度として変異を有するものであってもよい。すなわち、配列番号2、4または8示されるアミノ酸配列において1個もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたされたアミノ酸配列からなるポリペプチドまたはそのフラグメントを含むヒト抗体酵素も本発明に含まれる。
また、抗体酵素としては完全な抗体分子に限定されるものではなく、抗原に特異的に結合することができ、かつ酵素活性を有する抗体フラグメントでもよいことは、既に説明したとおりである。
配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドは、ヒトリンパ球からクローニングされたcDNAがコードするポリペプチドであり、ヒトVlambda鎖germlineのV1−13遺伝子がコードするポリペプチドのアミノ酸配列と99%一致する。また、ペプチド分解活性を有することが実験的に確認されている(実施例2参照)。
配列番号1には、上記配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするcDNAの塩基配列が示される。ただし、配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号1に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドに限定されるものではない。なお、ポリヌクレオチドは、RNA(例えば、mRNA)の形態、またはDNAの形態(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)で存在し得る。DNAは、二本鎖または一本鎖であり得る。一本鎖DNAまたはRNAは、コード鎖(センス鎖としても知られる)であり得るか、またはそれは、非コード鎖(アンチセンス鎖としても知られる)であり得る。
配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドは、ヒトリンパ球からヒトVkappa鎖germlineのサブグループVkappa2に属する遺伝子としてクローニングされたcDNAがコードするポリペプチドであり、S−H−D三つ組み残基様構造を有し、マウス由来抗体酵素であるVIPaseおよびi41S−L−2と相同性が認められる。
配列番号3には、上記配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするcDNAの塩基配列が示される。ただし、配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号3に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドに限定されるものではない。
配列番号8に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドは、ヒトリンパ球からヒトVkappa鎖germlineのサブグループVkappa2に属する遺伝子としてクローニングされたcDNAがコードするポリペプチドであり、S−H−D三つ組み残基様構造を有し、マウス由来抗体酵素であるVIPaseおよびi41S−L−2と相同性が認められる。また、三つ組み残基様構造を構成するアミノ酸残基(S、HおよびD)の配置はVIPaseおよびi41S−L−2での配置と一致している。
配列番号7には、上記配列番号8に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするcDNAの塩基配列が示される。ただし、配列番号8に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号7に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドに限定されるものではない。
(2)ヒト抗体酵素生産方法
上記本発明のヒト抗体酵素は、例えば以下のようにして作製することができる。ただし以下に例示する方法に限定されるものではない。なお、核酸の抽出、切断、連結、大腸菌の形質転換、遺伝子の塩基配列決定等、一般の遺伝子組換えに必要な方法は、公知の実験書(例えば「Molecular Cloning, a Laboratory Manual, 3rd Ed(Sambrookら(2001), Cold Spring Harbor Laboratory Press)」)に記載されている方法を適宜選択して用いることができる。
最初にヒトリンパ球を取得する。リンパ球を取得する方法は特に限定されない。例えば抹消血を採取し、遠心分離することにより取得することができる。また、市販の分離液(例えば、Ficollなど)を利用してもよい。
次に、リンパ球からRNAを抽出する。RNA抽出は公知の方法により行うことができる。また、RNA抽出用キットが多数市販されている。また、上記の操作を省略し、市販のヒトリンパ球由来RNAを用いることもできる。得られたRNAから逆転写反応によりcDNAを合成し、当該cDNAを鋳型としてPCRを行う(RT−PCR)。ここで、目的の抗体遺伝子のcDNAが増幅されるようにプライマーを設計する。例えば、本発明者らは、ヒトgermline抗体V遺伝子ヒトκ鎖germlineのリーダー配列を比較し、サブグループごとの特異配列に基づくプライマーを設計することで、サブグループ選択的にcDNAを増幅できることを見出し、リーダー配列に基づくプライマーと定常領域の塩基配列に基づくプライマーを用いて目的のサブグループに属する抗体遺伝子のcDNAを増幅している。具体的にはサブグループVkappa2に属する抗体酵素をコードするcDNAを増幅するために配列番号17に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドをプライマーとして使用している。ただし、これに限定されるものではない。また、ヒト抗体遺伝子を増幅する市販のプライマーを用いることもできる。
得られたcDNAを公知のクローニングベクターにクローニングし、公知の塩基配列決定法により塩基配列を決定し、目的のcDNAであることを確認する。cDNAによりコードされるタンパク質の発現は、例えば、当該cDNAが挿入された発現ベクターを適当な宿主細胞に導入して発現させることができる。また、無細胞タンパク質合成系を用いてタンパク質を発現させてもよい。
最後に発現タンパク質を精製する。精製方法は特に限定されるものではなく、公知の方法から適宜選択して用いればよい。発現方法や、用いた宿主細胞により適切な精製方法を選択することが好ましい。なお、得られたタンパク質が、目的の酵素活性を有すること、および抗原と特異的に結合することを確認することが好ましい。
なお、上記クローニングしたcDNAの塩基配列が目的のcDNAでない場合でも、ヒト抗体酵素を作製できる場合がある。例えば、クローニングしたcDNAの塩基配列を決定し、コードするポリペプチドのアミノ酸配列に基づいてコンピューター上で擬似抗体を作製して立体構造を予測したときに、三つ組み残基様構造を有していないことが明らかとなった場合でも、当該cDNAに対して遺伝子工学的に変異を導入することにより、三つ組み残基様構造を有するようにすることができる。
より具体的には、例えば予測立体構造中に、近接するセリン残基およびアスパラギン酸残基は存在するが、これらに近接するヒスチジン残基が存在しない場合に、セリン残基およびアスパラギン酸残基と立体構造上近接している他のアミノ酸をヒスチジンに置換する変異を導入することでS−H−D三つ組み様残基を有するヒト抗体酵素を作製することが可能である。ここで、変異を導入する方法は特に限定されるものではなく、例えば部位特異的変異誘導法等の公知の方法を用いることができる。また、変異導入により置換可能なアミノ酸の種類および数は限定されない。
ここで、本発明に係るヒト抗体酵素生産方法は、少なくとも以下の3工程が含まれるものであればよく、これら以外の工程については限定されない。
(a)ヒト生殖細胞系列抗体V遺伝子のリーダー配列中に存在するサブグループ特異的配列に基づくプライマーを用いて、ヒトリンパ球由来のcDNAを鋳型とする核酸増幅反応を行う工程(以下「核酸増幅工程」と称する。)
(b)上記核酸増幅工程で増幅されたcDNAの塩基配列を決定し、塩基配列に基づいて酵素活性を有するポリペプチドをコードするcDNAを選択する工程(以下「選択工程」と称する。)
(c)上記選択工程で選択されたcDNAがコードするポリペプチドを発現させる工程(以下「発現工程」と称する。)
上記(a)核酸増幅工程において用いるプライマーの設計は、ヒト生殖細胞系列抗体V遺伝子のリーダー配列を比較してサブグループ特異的配列を見出し、当該サブグループ特異的配列を有するようにプライマーを設計すればよい。具体的には、例えばヒトgermlinekappa鎖V遺伝子のリーダー配列を図17に示すように比較する。サブグループVkappa1(VK1)の012(最上列)の塩基配列を基準に比較すると、サブグループVkappa2(VK2)では−31位〜−25位および−18位〜−12位の範囲にサブグループ特異的配列が見出される。また、サブグループVkappa3(VK3)では−57位〜−46位および−40位〜−34位の範囲にサブグループ特異的配列が見出される。サブグループVkappa4(VK4)、Vkappa5(VK5)およびVkappa6(VK6)では、比較した全範囲に広く特異的配列が見出される。
このようなサブグループ特異的配列を有するようにプライマーを設計すれば、目的のサブグループに属する抗体のcDNAを効率良く増幅することができる。例えば、本発明者らは、サブグループVkappa2に属する抗体酵素をコードするcDNAを増幅するために配列番号17に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドをプライマーとして使用している。
上記(a)核酸増幅工程において核酸を増幅する方法は特に限定されるものではないが、例えばPCRを好適に用いることができる。
上記(b)選択工程においては、公知の塩基配列決定法により塩基配列を決定すればよい。また、塩基配列に基づいて酵素活性を有するポリペプチドをコードするcDNAを選択する方法としては、例えば、塩基配列から推定されるアミノ酸配列に基づいてコンピューター上で立体構造を予測しS−H−D三つ組み残基様構造を有するものを選択する方法、S−H−D三つ組み残基様構造を有する抗体タンパク質をコードすることが明らかなヒトgermline遺伝子の塩基配列との相同性を比較する方法などを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
上記(c)発現工程においてポリペプチドを発現させる方法は、例えば上述のように、選択されたcDNAが挿入された発現ベクターを適当な宿主細胞に導入して発現させる方法、無細胞タンパク質合成系を用いてタンパク質を発現させる方法などを挙げることができる。
(3)ヒト抗体酵素の利用
上記本発明のヒト抗体酵素は、抗体の特異性の高い基質認識能と酵素活性とを併せ持つものである。また、ヒト由来であるため、ヒトに投与した場合でも異種タンパク質として免疫系により排除されず、安全かつ有効にヒトに適用できる。このため、例えば、細菌やウイルスが生体内に侵入し引き起こされる感染症等に対して、これらの原因となる細菌やウイルスに特異的なヒト抗体酵素を取得又は作製することにより、当該ヒト抗体酵素を診断や治療に用いることができると考えられる。また、例えば、癌に対しても、癌細胞に特異的に発現するタンパク質やポリペプチド等を特異的に認識するヒト抗体酵素を取得又は作製することにより、当該ヒト抗体酵素を用いて癌を診断、治療することが可能である。
また、これまでにない新薬に向けて、将来的に難病や薬剤耐性を克服する画期的な薬の開発に繋がる可能性や、新しい臨床診断法の開発にも繋がる可能性がある。
さらに、抗体の高い分子認識能と酵素の持つ基質変換能力とを併せ持つ抗体酵素は、新しいバイオマテリアルとして新型のバイオセンサにも応用可能であり、病気の診断、環境測定などの検査等にも利用可能である。
また、抗体酵素の有する触媒活性(酵素活性)を利用して、食品工業、化学工業において用いられる触媒等の反応促進剤などにも展開できると考えられる。
なお本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
〔実施例1:germlineに基づくヒト抗体立体構造の予測〕
(1)方法
抗体V領域germlineにコードされているS−H−D三つ組み残基様構造を探索するため、コンピューター上で擬似抗体を作製した。
NCBI IgBLAST(National Center for Biotechnology Information、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/igblast/)に登録されているヒトgermlineのアミノ酸配列をもとに擬似抗体VH鎖およびVL鎖の一次構造を作製した。
Vlambda鎖germlineをもとにした擬似抗体の一次構造は、VL鎖FR1〜CDR3領域を各Vlambda鎖germlineアミノ酸配列、FR4領域をJ領域Jlambda1アミノ酸配列(FGGGTKLTVLRQ、配列番号9)とした。
Vkappa鎖germlineをもとにした擬似抗体の一次構造は、kappa鎖FR1〜CDR3領域途中を各Vkappa鎖germlineのアミノ酸配列、CDR3領域末端〜FR4領域をJkappa領域Jkappa1アミノ酸配列(WTFGQGTKVEIKRA、配列番号10)とした。
立体構造予測計算にはVL鎖とVH鎖両方の一次構造が必要なため、擬似抗体に対となるVH鎖はAnti PreS1 antibody clone 3c のVH鎖(GenPept ACCESSIN AAF35175)、VL鎖はAnti PreS1 antibody clone 3c のVL鎖(GenPept ACCESSIN AAF35178)とした(Choi,I.H., Park,S.G., Chung,J.H., Kim,I.J. and Hong,H.J. Generation of human Fab monoclonal antibodies against preS1 of hepatitis B virus using repertoire cloning. Hybridoma 17 (6), 535-540 (1998))。
作製した一次構造をもとに、AbM(Oxford Molecular、Oxford、UK)により目的抗体CDR領域のループ構造とFR領域の立体構造を予測した。AbMで予測された立体構造をもとに、InsightII/Discover3(Molecular Simulatoin、USA)により分子間力計算を行い、熱力学的に安定となる立体構造を予測した。
PPC Protein AdviSer(FQS、Japan)により、立体構造から三つ組み残基を構成するSer(S)、His(H)およびAsp(D)の残基群を探索した。Ser−Hisα炭素原子間距離が10Å以下、His−Aspα炭素原子間距離が15Å以下である残基群を三つ組み残基様構造とした。
(2)結果
NCBI IgBLASTに登録されているヒトgermline計126種のアミノ酸配列に基づき、そのうちHisをコードするgermline64種についてAbMおよびInsightII/Discover3により疑似抗体の立体構造を予測した。その結果、56種の疑似抗体立体構造を予測出来た(表1参照)。残り8種は全てlambda鎖germlineのV4−2、V4−3、V4−4、V4−6、V5−1、V5−2、V5−4およびV5−6の疑似抗体であり、全てでFWR3領域が長いためAbMでの立体構造予測計算が不能であった。
Figure 0004829609
(i)S−H−D三つ組み残基様構造を持つヒトVlambda鎖germlineの探索
NCBI IgBLASTに登録されているVlambda鎖germlineの総数は36種であった。これらの予測立体構造でのS−H−D三つ組み残基様構造の有無について分類した(表1参照)。その結果、Vlambda鎖germline36種中、予測立体構造でS−H−D三つ組み残基様構造が見られたgermlineはV1−9、V1−13、V1−18、V1−22、V2−6、V2−7、V2−8、V2−13、V2−14およびV3−3の10種であった。これらの予測立体構造を図1(a)〜(j)に示した。
(ii)S−H−D三つ組み残基様構造を持つヒトVkappa鎖germlineの探索
NCBI IgBLASTに登録されているVkappa鎖germlineの総数は46種であった。これらの予測立体構造でのS−H−D三つ組み残基様構造の有無について分類した(表1参照)。その結果、Vkappa鎖germline46種中、予測立体構造でS−H−D三つ組み残基様構造が見られたgermlineはA1、A2、A3、A5、A7、A10、A17、A18、A19、A23、A26、A30、L14およびL22の14種であった。なお、A3とA19、A10とA26はそれぞれ同じアミノ酸配列をコードする重複遺伝子であった。これらの予測立体構造を図2(a)〜(l)に示した。
(iii)S−H−D三つ組み残基様構造を持つヒトVH鎖germlineの探索
NCBI IgBLASTに登録されているVH鎖germlineの総数は44種であった。これらの予測立体構造でのS−H−D三つ組み残基様構造の有無について分類した(表1参照)。その結果、VH鎖germline44種中、予測立体構造でS−H−D三つ組み残基様構造が見られたgermlineはVH1−24、VH3−9、VH3−13、VH3−16、VH3−20、VH3−30、VH3−33、VH3−35、VH3−43、VH3−64、VH3−72、VH3−73、VH3−74、VH4−34およびVH7−81の15種であった。これらの予測立体構造を図3(a)〜(o)に示した。
(iv)S−H−D三つ組み残基様構造を持つヒトVlambda鎖germlineアミノ酸配列の比較
上述のように、NCBI IgBLASTに登録されているVlambda鎖germline36種中、予測立体構造でS−H−D三つ組み残基様構造が見られたgermlineは10種であった。これら10種での共通配列を見出すため、S−H−D三つ組み残基様構造を持つVlambda鎖germlineのアミノ酸配列を比較した。
結果を図4に示した。図中1段目は領域名を、2段目はカバットの分類における十の位の数字を、3段目はカバットの分類における一の位の数字またはアルファベットを表す。また、図中「−」はカバットの分類における番号に対応するアミノ酸が存在しないことを表す。網がけの残基はS−H−D三つ組み残基様構造の構成残基であることを示す。
CDR1領域上にHisがある場合、CDR1およびCDR3領域上のSer・AspでS−H−D三つ組み残基様構造が構成され、一部のgermlineではさらにCDR2領域上の残基も構成残基とすることが示された。また、CDR3領域上にHisがある場合、CDR1およびCDR3領域上のSer・AspでS−H−D三つ組み残基様構造が構成され、CDR2領域上の残基は構成残基とされないことが示された。このことは、互いに遠いCDR2とCDR3領域の間では三つ組み残基様構造が構成されず、近接するCDR1とCDR2領域の間およびCDR1とCDR3領域の間で三つ組み残基様構造が構成されることを示すものである。
また、S−H−D三つ組み残基様構造を持つVlambda鎖germlineでは、S−H−D三つ組み残基様構造の構成残基はそのほとんどがCDR領域に局在していることが示された。上記10germlineで見られるS−H−D三つ組み残基様構造の構成残基は、合計73中61(84%)がCDR領域に存在していた。このことから、上記10種のVlambda鎖germline由来で変異部位を持たない抗体鎖では抗原認識部位もしくはその付近でS−H−D三つ組み残基様構造を構成することが示され、抗原に対する酵素活性を持つ可能性が示唆された。
(v)サブグループVlambda1(VL1)のアミノ酸配列の比較
S−H−D三つ組み残基様構造をコードするgermlineの1つであるV1−13はサブグループVL1に属しており、またサブグループVL1に属するgermlineのなかでは、V1−13およびV1−18がS−H−D三つ組み残基様構造をコードしていた。そこで、サブグループVL1に属するgermlineを比較した。
結果を図5に示した。図中1段目は領域名を、2段目はカバットの分類における十の位の数字を、3段目はカバットの分類における一の位の数字またはアルファベットを表す。また、図中「−」はV1−13と同一のアミノ酸であることを表し、「_」はカバットの分類における番号に対応するアミノ酸が存在しないことを表す。網がけの残基はS−H−D三つ組み残基様構造の構成残基であることを示す。
V1−13はカバットの分類で34番目のヒスチジン(His34)に対して三つ組み残基様構造の構築が可能な2残基のセリンと3残基のアスパラギン酸とが存在しており、そのうち1残基のセリン、2残基のアスパラギン酸およびヒスチジンがV1−18と相同していた。
(vi)サブグループVlambda3(VL3)のアミノ酸配列の比較
S−H−D三つ組み残基様構造をコードするV2−6、V2−7、V2−8、V2−13およびV2−14はサブグループVL3に属している。変異によりサブグループVL3がS−H−D三つ組み残基様構造を獲得するかを推測するため、サブグループVL3に属するgermlineを比較した。
結果を図6に示した。図中1段目は領域名を、2段目はカバットの分類における十の位の数字を、3段目はカバットの分類における一の位の数字またはアルファベットを表す。また、図中「−」はV2−14と同一のアミノ酸であることを表し、「_」はカバットの分類における番号に対応するアミノ酸が存在しないことを表す。網がけの残基はS−H−D三つ組み残基様構造の構成残基であることを示す。
サブグループ全体を通して、CDR2およびCDR3にセリンやヒスチジンが多い。したがって、CDR3にヒスチジンが存在する4種類(V2−14、V2−7、V2−8、V2−13)ではCDR3単独で三つ組み残基様構造を構築している。CDR3にヒスチジンを持たないV2−11やV2−17の場合でも、変異によってCDR3にヒスチジンを持つと三つ組み残基様構造が構築可能と予測できる。また、これとは配置の異なる三つ組み残基様構造としてCDR2とCDR1との間で構築されるものもある。
(vii)S−H−D三つ組み残基様構造を持つヒトVkappa鎖germlineアミノ酸配列の比較
上述のように、NCBI IgBLASTに登録されているVkappa鎖germline46種中、予測立体構造でS−H−D三つ組み残基様構造が見られたgermlineは14種であった。これら14種での共通配列を見出すため、S−H−D三つ組み残基様構造を持つVlambda鎖germlineのアミノ酸配列を比較した。
結果を図7に示した。図中1段目は領域名を、2段目はカバットの分類における十の位の数字を、3段目はカバットの分類における一の位の数字またはアルファベットを表す。また、図中「−」はカバットの分類における番号に対応するアミノ酸が存在しないことを表す。網がけの残基はS−H−D三つ組み残基様構造の構成残基であることを示す。
14鎖中カバット(KABAT)の分類で27d番目のヒスチジン残基(His27d)を持つgermlineは7鎖、93番目のヒスチジン残基(His93)を持つgermlineは3鎖であり、germline間で相同性が高い。また、サブグループVkappa2(VK2)に属するgermlineのほとんどがS−H−D三つ組み残基様構造を形成するという特徴が見出された。
germlineA1、A17およびA18はS−H−D三つ組み残基様構造を、カバット(KABAT)の分類で1番目のアスパラギン酸(Asp1)、27a番目のセリン(Ser27a)および93番目のヒスチジン(His93)で構成しており、マウス由来抗体酵素として公知の抗VIP抗体L鎖およびi41SL1−2(抗41S−2L鎖CDR1領域ペプチド抗体)で見られるS−H−D三つ組み残基様構造と同じ配置である。
S−H−D三つ組み残基様構造を持つVkappa鎖germlineで、S−H−D三つ組み残基様構造の構成残基はそのほとんどがCDR領域、特にCDR1およびCDR3に局在する傾向を認めた。このことから、以上10種のVkappa鎖germline由来で変異部位を持たない抗体鎖では抗原認識部位もしくはその付近でS−H−D三つ組み残基様構造を構成することが示され、抗原に対する酵素活性を持つ可能性が示唆された。
(viii)サブグループVkappa1(VK1)のアミノ酸配列の比較
S−H−D三つ組み残基様構造をコードするgermlineであるA30、L22およびL14はサブグループVK1に属している。変異によりサブグループVK1がS−H−D三つ組み残基様構造を獲得するかを推測するため、サブグループVK1に属するgermlineを比較した。
結果を図8に示した。図中1段目は領域名を、2段目はカバットの分類における十の位の数字を、3段目はカバットの分類における一の位の数字またはアルファベットを表す。また、図中「−」はA30と同一のアミノ酸であることを表し、「_」はカバットの分類における番号に対応するアミノ酸が存在しないことを表す。網がけの残基はS−H−D三つ組み残基様構造の構成残基であることを示す。
サブグループVK1ではHisをコードするgermlineはA30、L22およびL14であった。A30とL22とL14ではそれぞれS−H−D三つ組み残基様構造の構成残基配置が違っていた。A30ではカバット(KABAT)の分類で1番目のアスパラギン酸(Asp1)、32番目のアスパラギン酸(Asp32)、91番目のヒスチジン(His91)および93番目のセリン(Ser93)でS−H−D三つ組み残基様構造が構成されている。他のサブグループVK1germlineでは1番目のアスパラギン酸(Asp1)および93番目のセリン(Ser93)はよく保存されているが32番目のアスパラギン酸(Asp32)はほとんど保存されておらず91番目のヒスチジン(His91)は全く保存されていない。このことから、サブグループVK1のS−H−D三つ組み残基様構造をコードしていないgermlineで置換が起こり91番目のヒスチジン(His91)を獲得し、同時に1番目のアスパラギン酸(Asp1)がコードされている場合、S−H−D三つ組み残基様構造を獲得する可能性が考えられる。
L22ではカバット(KABAT)の分類で50番目のアスパラギン酸(Asp50)、53番目のアスパラギン酸(Asp53)、55番目のヒスチジン(His55)、59番目のセリン(Ser59)および60番目のセリン(Ser60)でS−H−D三つ組み残基様構造が構成されている。
L14ではカバット(KABAT)の分類で46番目のヒスチジン(His46)、55番目のセリン(Ser55)、82番目のアスパラギン酸(Asp82)でS−H−D三つ組み残基様構造が構成されている。
他のサブグループVK1germlineではその全てで60番目のセリン(Ser60)が保存されているものの、それ以外の構成残基はほとんど保存されていない。
このことから、サブグループVK1はgermlineL22で見られるS−H−D三つ組み残基様構造を保存しないことが示された。カバット(KABAT)の分類で1番目のアスパラギン酸(Asp1)および93番目のセリン(Ser93)をコードする一部のgermlineでは、変異により91番目のヒスチジン(His91)を獲得した場合S−H−D三つ組み残基様構造を獲得する可能性が考えられる。
(ix)サブグループVkappa2(VK2)のアミノ酸配列の比較
VKgermlineでS−H−D三つ組み残基様構造を持つgermlineの多くがサブグループVK2に属していた。変異によりサブグループVK2がS−H−D三つ組み残基様構造を獲得するかを推測するため、サブグループVK2に属するgermlineを比較した。
結果を図9に示した。図中1段目は領域名を、2段目はカバットの分類における十の位の数字を、3段目はカバットの分類における一の位の数字またはアルファベットを表す。また、図中「−」はA3/A19と同一のアミノ酸であることを表し、「_」はカバットの分類における番号に対応するアミノ酸が存在しないことを表す。網がけの残基はS−H−D三つ組み残基様構造の構成残基であることを示す。
サブグループVK2において、S−H−D三つ組み残基様構造をコードしていないgermlineはHisをコードしていないO1/O11のみである。SerおよびAspの配置はサブグループVK2全体で保存されている。このことから、germlineO1/O11で置換が起こりカバット(KABAT)の分類で27d番目のヒスチジン(His27d)もしくは93番目のヒスチジン(His93)を獲得した場合、S−H−D三つ組み残基様構造を獲得する可能性が考えられる。
なお、1番目のアスパラギン酸(Asp1)、27a番目のセリン(Ser27a)および93番目のヒスチジン(His93)で構築される三つ組み残基様構造はマウスで最も高い頻度で見られ、かつ実績のある組合せである。
(x)S−H−D三つ組み残基様構造を持つヒトVH鎖germlineアミノ酸配列の比較
上述のように、NCBI IgBLASTに登録されているVH鎖germline44種中、予測立体構造でS−H−D三つ組み残基様構造が見られたgermlineは15種であった。これら15種での共通配列を見出すため、S−H−D三つ組み残基様構造を持つVH鎖germlineのアミノ酸配列を比較した。
結果を図10に示した。図中1段目は領域名を、2段目はカバットの分類における十の位の数字を、3段目はカバットの分類における一の位の数字またはアルファベットを表す。また、図中「−」はカバットの分類における番号に対応するアミノ酸が存在しないことを表す。網がけの残基はS−H−D三つ組み残基様構造の構成残基であることを示す。
S−H−D三つ組み残基様構造を持つVH鎖germlineのうち12種はサブグループVH3に属しており、共通配列が見られる。全体としては共通のS−H−D三つ組み残基様構造構成配列は見られない。
CDR1領域にHisを持つgermlineが15種中10種見られ、共通してCDR1領域、CDR2領域およびその近傍領域でS−H−D三つ組み残基様構造を構成していた。上記15germlineで見られるS−H−D三つ組み残基様構造の構成残基は、計78中47(60%)がCDR領域に存在していた。CDR3領域の残基をS−H−D三つ組み残基様構造構成残基の対象としていないためlambda鎖およびkappa鎖に比べCDR領域内の構成残基の割合が低くなっているものの、カバット(KABAT)の分類で49番目のセリン(Ser49)や72番目のアスパラギン酸(Asp72)などのFR領域の残基が多く含まれている点でL鎖とは異なる。
(xi)サブグループVH3のアミノ酸配列の比較
S−H−D三つ組み残基様構造を持つVH鎖germlineの15種中12種がサブグループVH3に属していた。変異によりサブグループVH3がS−H−D三つ組み残基様構造を獲得するかを推測するため、サブグループVH3に属するgermlineを比較した。
結果を図11に示した。図中1段目は領域名を、2段目はカバットの分類における十の位の数字を、3段目はカバットの分類における一の位の数字またはアルファベットを表す。また、図中「−」はカバットの分類における番号に対応するアミノ酸が存在しないことを表す。網がけの残基はS−H−D三つ組み残基様構造の構成残基であることを示す。
S−H−D三つ組み残基様構造を持つ12種のgermlineのうち、8種がカバット(KABAT)の分類で35番目のヒスチジン(His35)を共通してコードし、かつHis35をS−H−D三つ組み残基様構造の構成残基としていた。それら8種のうち5種が共通してカバット(KABAT)の分類で49番目のセリン(Ser49)をS−H−D三つ組み残基様構造の構成残基としている。また、それら8種のうち4種が共通してカバット(KABAT)の分類で61番目のアスパラギン酸(Asp61)をS−H−D三つ組み残基様構造の構成残基としており、それら8種のうち6種が共通してカバット(KABAT)の分類で72番目のアスパラギン酸(Asp72)は、をS−H−D三つ組み残基様構造の構成残基としている。
S−H−D三つ組み残基様構造を持たないgermlineはHisをコードしていない。しかしながら、HisをコードしていないgermlineにおいてもSer49、、Asp61、Asp72はよく保存されている。したがって、Ser49と、Asp61またはAsp72の少なくともいずれか一方をコードするgermlineがHis35を変異により獲得した場合、S−H−D三つ組み残基様構造を獲得する可能性が考えられる。
〔実施例2:ヒトVlambda鎖germline由来抗体可変領域タンパク質の発現および機能解析〕
(1)方法
(i)ヒト末梢血由来白血球サンプルの調製
白血球サンプルは健常被験者の末梢血より調製した。1mg/mlのEDTA-2Na(WAKO社)を加えて抗凝固処理した全血サンプル20mlに等量の緩衝溶液(0.1% D-glucose, 50μM CaCl2, 980μM MgCl2, 5.4mM KCl, 145mM Tris, pH=7.6 by 10N HClおよび140mM NaCl(いずれもWAKO社)を混合したもの)を加えた。あらかじめ分注しておいた3ml Ficoll-Paque Reagent(Amersham Biosciences社)の上部にこのサンプル溶液4mlを重層し、400×g、18〜20℃で30分〜40分間遠心した。リンパ球層のみを取り出し、前述の緩衝溶液で2回洗浄したペレットを白血球サンプルとして用いた。
(ii)RNAの調製
RNA抽出はISOGEN kit(ISOGEN社)を用いてすべてRNase-freeの条件下で行った。得られた白血球サンプルに対して1mlのISOGEN solutionを添加し、シリンジを用いたピペッティングにより細胞を破砕した。室温に5分間放置後、0.2mlのクロロフォルム溶液(WAKO社)を加え12000×g、4℃で15分間遠心分離を行った。得られた水層に対し0.5ml Isopropanol(WAKO社)を添加し、12000×g、4℃で10分間遠心後、得られたペレットをtotal RNAサンプルとして用いた。
(iii)ヒト末梢血リンパ球由来λ鎖cDNAライブラリーの作成
末梢血リンパ球由来λ鎖cDNAライブラリーの作成はReverTra DashTM (TOYOBO社)を用いてRNase-freeの条件下で行った。白血球由来total RNAサンプル1μgに対して5×RT buffer 4μl、10pmol/μl Oligo(dT)20 primer 1.0μl、10mM each dNTP mixture 2.0μl、10U/μl RNase inhibitor 1.0μl、Rever Tra AceTM1.0μlを混合し、TaKaRa社のサーマルサイクラーを用いて42℃で20分間逆転写反応を行いcDNAを合成した。つぎにこのcDNAサンプル全量に対してNovagen社のHuman Igλ VL 5’-A primer(5’-GGGAATTCATCATGRCCTGSWCYCCTCTCYTYCTSWYC-3’、配列番号11)、Igλ VL 3’-1 primer(5’-CCCCAAGCTTGAAGCTCCTCAGAGGAGGG-3’、 配列番号12)およびNovaTaqTMHot Start DNA Polymeraseを用いたPCR反応を行った。反応条件は次のとおりである;94℃/10分間の活性化に引き続いて94℃/15秒、69℃/2分間を40サイクルで行った。増幅産物はInvitrogen社のTOPO-TA cloning kitを用いてpCR4-TOPO vectorにcloningし、ライブラリーとした。
(iv)germline cDNAの単離
はじめにgermline V1-13のアミノ酸配列とこの系列に属する他の抗体の配列を比較し、V1-13 抗体において比較的有意に存在する箇所を検索した(図12参照)。次にこの箇所に由来するcDNAに基づくプライマーをsense鎖(5’-GSITMYGAYGTICAYTGGTA-3’、配列番号13)、anti-sense鎖(5’-IYGRTACCARTGIACRTCRKA-3’、配列番号14)の2通り合成した。続いて上記Novagen社のIgλ VL 5’-A primerとanti-sense鎖primer間、sense鎖primerと上記Novagen社のIgλ VL 3’-1 primer間でそれぞれPlatinum Taq Pfx Taq polymerase(Invotrogen社)を用いたPCR反応を行い目的とするgerm line cDNA領域の一部を合成した。最後にこれら2つのDNAフラグメントを混合した状態でPlatinum Taq Pfx Taq polymerase(Invotrogen社)を用いたPCR反応を行い、cDNA全長を得た。反応条件は次のとおりである。94℃/2分間の活性化に引き続いて94℃/20秒、57℃/30秒、68℃/1分を30サイクル行い、最後に72℃/5分間の反応を行った。増幅産物は2% agarose電気泳動でバンドを確認後、Zero Blunt TOPO PCR cloning kit(Invotrogen社)を用いてpCR-BluntII-TOPO vectorにcloningした。
(v)PCR増幅産物の塩基配列解析
得られたPCR産物の塩基配列解析はLong-Read Tower(Amersham Bioscience社)を用いて行った。Thermo Sequenase Cy5.5 Dye Terminator Sequencing kitを用いて得られたplasmid DNA 1.0μgに対してM13 primerを用いた反応を行った。反応条件は次のとおりである;94℃/20秒、52℃/30秒、72℃/1分を30サイクル行った。反応後はエタノール沈殿より増幅産物を回収し、このペレットをFormamide loading dye溶液6μlに溶解後2μlシークエンスゲルにアプライした。
得られた塩基配列はNCBIのIgBlastによる相同性検索を行い、いずれのgermlineに由来するものであるかの特定を行った。
(vi)抗体分子のタンパク質発現と精製
得られたcDNAに由来するタンパク質の合成はPURESYSTEM classicII(Postgenome社)を用いて行った。まず、全長として得られたcDNAには非翻訳領域が含まれているため、このcDNAの再構成を行った。抗体分子の5’側(N末端側)に翻訳領域の一部と開始コドン(Met)とRBS配列を含んだprimer(5’-AAGGAGATATACCAATGCAGTCTGTGCTGACG-3’、配列番号15)を、さらに3’側(C末側)に翻訳領域の一部と終止コドンを含んだprimer(5’-TATTCATTAGGGCTGACCTAGGACGGTGACCT-3’、配列番号16)を設計し、Platinum Taq Pfx Taq polymerase(Invotrogen社)を用いたPCR反応を行った。次にこのPCR産物 20pmol分をPURESYSTEM Solution A 500μl、PURESYSTEM Solution B 200μlと混合し、RNase-free waterで全量を1000μlとした後、37℃で4時間反応した。
この反応液を氷中に浸して反応を停止させた後、全量をYM-100限外ろ過膜(Millipore社)に移し1500×g、4℃で30分間遠心し、リボソームタンパク質を除去した。ろ液には0.05% TritonX-100、1/10 volume Ni-NTA agarose(Qiagen社)を加えて4℃で60分間vortex後、マイクロバイオスピンエンプティカラム(Bio Rad社)に移し1500×g、4℃で3分間遠心することによりresinを除き、精製タンパク質とした。
(vii)発現タンパク質の活性試験
発現したタンパク質の活性判定にはペプチド研究所のMCA基質を用いた。終濃度0.1μMに調製した発現タンパク質と終濃度200μMに調製したMCA基質溶液とを10mM PB (pH=6.5)中で混合し、このうちの200μlを96well fluoro plate (Nunc社)に移した。25℃、遮光条件下でインキュベーション後、経過時間ごとの蛍光強度をWAKO社製 LS-Plate manager2000を用いて[Ex;360nm、Em;465nm]の条件で測定した。
(2)結果
(i)germline cDNAの単離
得られたPCR産物の塩基配列をNCBIのIgBlastにより相同性解析した結果を図13に示した。図13から明らかなように、このPCR産物はV1-13 cDNAと99.9%の相同性を有していた。2箇所の変異部分に関しては、異なる複数のクローンを解析したが同じ結果であった。このため、この部位ついてはサンプル由来の配列であると考えられる。なお、図示していないが、アミノ酸配列においては100%の一致が確認された。
(ii)cDNA由来タンパク質の発現
上記方法に記載のプライマーにより、タンパク質発現のために再構成したcDNAの5’上流側および3’下流側の塩基配列を図14に示した。このcDNAを鋳型として発現させたタンパク質をSDS-PAGEに供した結果を図15に示した。図15から明らかなように、予想される分子量(11.7kD)の位置にバンドが出現した。
(iii)発現タンパク質のペプチド分解試験
MCA基質を用いて測定した発現タンパク質のペプチド分解活性を図16に示した。なお、各反応は独立に3回行い、その平均値を示した。図16から明らかなように、用いた5種類のペプチドのうち3種類に対して発現タンパク質は分解活性を有していた。以上の結果から、ヒト抗体を構成する当該発現タンパク質はペプチド分解能を有していることが明らかとなった。
〔実施例3:ヒトVkappa鎖germline由来抗体可変領域遺伝子の単離〕
(1)方法
(i)ヒトリンパ球の単離
健常人から採取した末梢血20mlに20mlのbalanced solutionを加え、3ml Ficoll-Paque Plus(Amersham Biosciences社)に重層して400×g、室温で40分間遠心した。分離したリンパ球層を分取し、3倍量のbalanced solutionを加えて60×g、室温10分間遠心した。上清を除き、沈澱を6mlのbalanced solution で洗浄し、60×g、室温10分間遠心した。以上の操作により4.0×107のリンパ球を単離した。
(ii)total RNAの調製
total RNAの抽出のためにISOGEN(ニッポンジーン社)を用いた。上記単離したリンパ球に0.8mlのISOGENを加え、攪拌し室温で5分間静置してリンパ球を溶解した。0.2mlのchloroformを加え、攪拌して室温で3分間静置した。12000×g、4℃で15分間遠心し、水層を抽出した。0.5ml isopropanolを加え、攪拌して-20℃で1時間静置した。12000×g、4℃で10分間遠心し、上清を捨て1mlの70% ethanolを加えて沈澱を洗浄した。7500×g、4℃で5分間遠心し、上清を捨て10分間真空乾燥した。沈澱にDEPC処理水を加えて溶解した。以上の操作により6.98μgのtotal RNAが得られた。
(iii)RT-PCR
cDNA合成には、First Strand cDNA Synthesis Kit(Novagen)を用いた。すなわち、上記total RNAからOligo(dT)プライマーを用いてcDNAを合成した。次に、このcDNAを鋳型とし、上流プライマーとしてサブグループVkappa2リーダー配列に対するKAP2L primer(5’-TCAGCTCCTGGGGCTGCTAATGCT-3’、配列番号17)を、下流プライマーとしてヒトκ鎖定常領域に対するHuIgLVk3-1primer(5’-TTCCCAAGCTTCATCAGATGGCGGGAAGAT-3’、配列番号18、Novagen社)を用い、変性94℃10分間に続き、94℃20秒、60℃20秒、72℃40秒を30サイクル行った後、最終伸長反応72℃4分間のPCRによりDNAを増幅した。なお、PCRにはNovaTaq PCR Kit(Novagen社)を用いた。
(iv)ヒト抗体可変領域遺伝子の同定
PCR産物のクローニングのためpGEM-T Easy Vector System(Promega社)を用い、pGEM-T Easy VectorにPCR産物を挿入した。構築したベクターを大腸菌(E.coli)DH5α株に形質転換した。定法に従い、形質転換した大腸菌を培養し、PCR産物がクローニングされたプラスミドを回収、精製した。塩基配列解析のため、Thermo Sequenase Cy5Dye Terminator Cycle Sequence Kit(Amersham社)を用いた。T7primerを用い、40サイクルで94℃20秒、52℃30秒、72℃80秒で反応させた。シーケンサーはLong-Read Tower(Amersham社)を用いた。
(v)立体構造予測
上記解析により得られた塩基配列から推測されるアミノ酸配列の一次構造に基づき、AbM (Oxford Molecular、 Oxford、UK)により目的抗体CDR領域のループ構造とFR領域の立体構造を予測した。AbMで予測された立体構造をもとに、InsightII/Discover3 (Molecular Simulatoin、USA)により分子間力計算を行い、熱力学的に安定となる立体構造を予測した。
(2)結果
(i)サブグループVkappa2(VK2)特異配列の探索
ヒトκ鎖各germlineリーダー配列の塩基配列を比較した結果を図17に示した。図17からわかるように、germline毎での特異配列は見られなかったが、各サブグループ毎での特異配列が見られた。サブグループVK2ではサブグループVkappa1(VK1)に対して下流で、サブグループVkappa3(VK3)はVK1に対して上流で、それ以外のサブグループではVK1に対して全体的に非相同領域が見られた。このことから、リーダー配列に対するプライマーを用いることで、サブグループ選択的にヒト抗体遺伝子を増幅できると考えられた。
(ii)サブグループVkappa2(VK2)由来抗体可変領域遺伝子の単離
上記方法に記載のKAP2L primerおよびHuIgkVL3-1primerで増幅したサブグループVK2由来抗体可変領域遺伝子が3クローン得られた。以下、これら3クローンをpHVK-1、pHVK-3、pHVK-4と表記する。図18にpHVK-1の塩基配列(配列番号3)およびアミノ酸配列(配列番号4)を示した。図19にpHVK-3の塩基配列(配列番号5)およびアミノ酸配列(配列番号6)を示した。図20にpHVK-4の塩基配列(配列番号7)およびアミノ酸配列(配列番号8)を示した。NCBIのigBLASTによる相同性比較の結果、pHVK-1はgermline A3/A19由来、pHVK-3およびpHVK-4はgermline A18由来と推定された(図21、図22および図23参照)。
(iii)VIPaseおよびi41SL1-2-Lとの相同性比較
pVHK-1、pVHK-3およびpVHK-4の可変領域のアミノ酸配列と、マウス由来抗体酵素として公知のVIPaseおよびi41SL1-2-Lの軽鎖可変領域のアミノ酸配列との相同性を比較した。結果を図24に示した。
図24から明らかなように、pVHK-1、pVHK-3およびpVHK-4は、VIPaseおよびi41S-L-2と相同性が見られた。VIPaseおよびi41S-L-2での三つ組み残基様構造の構成残基について比較すると、pVHK-1およびpHVK-3ではHis残基の配置が保存されてないのに対し、SerおよびAsp残基の配置は一致した。pHVK-4では、VIPaseおよびi41S-L-2でのS-H-D三つ組み残基様構造の構成残基の配置と一致した。なお、pHVK-3はHisをコードしていなかった。
(iv)予測立体構造からの三つ組み残基様構造の探索
pVHK-1、pVHK-3およびpVHK-4のアミノ酸配列に基づいて予測立体構造を構築し、三つ組み残基様構造を探索した。その結果、pHVK-1およびpHVK-4で三つ組み残基様構造が見られた。図25にpVHK-1のアミノ酸配列に基づく予測立体構造を示した。図26にpVHK-4のアミノ酸配列に基づく予測立体構造を示した。
pHVK-1ではVIPaseおよびi41S-L-2とは違う配置での三つ組み残基様構造が見られた。一方、pHVK-4ではVIPaseおよびi41S-L-2と同じ配置での三つ組み残基様構造が見られた。このことから、pHVK-4産物ではVIPaseおよびi41S-L-2と同じ分解活性を持つことが予想された。
本発明のヒト抗体酵素は、医療業、製薬産業、試薬産業、医療機器産業、食品産業などに利用することができる。
(a)はヒトVlambda鎖germlineV1−9のアミノ酸配列に基づく抗体可変領域の予測立体構造を示す図であり、(b)はヒトVlambda鎖germlineV1−13のアミノ酸配列に基づく抗体可変領域の予測立体構造を示す図であり、(c)はヒトVlambda鎖germlineV1−18のアミノ酸配列に基づく抗体可変領域の予測立体構造を示す図であり、(d)はヒトVlambda鎖germlineV1−22のアミノ酸配列に基づく抗体可変領域の予測立体構造を示す図であり、(e)はヒトVlambda鎖germlineV2−6のアミノ酸配列に基づく抗体可変領域の予測立体構造を示す図であり、(f)はヒトVlambda鎖germlineV2−7のアミノ酸配列に基づく抗体可変領域の予測立体構造を示す図であり、(g−1)および(g−2)はヒトVlambda鎖germlineV2−8のアミノ酸配列に基づく抗体可変領域の予測立体構造を示す図であり、(h)ヒトVlambda鎖germlineV2−13のアミノ酸配列に基づく抗体可変領域の予測立体構造を示す図であり、(i)はヒトVlambda鎖germlineV2−14のアミノ酸配列に基づく抗体可変領域の予測立体構造を示す図であり、(j)はヒトVlambda鎖germlineV3−3のアミノ酸配列に基づく抗体可変領域の予測立体構造を示す図である。 (a)はヒトVkappa鎖germlineA1のアミノ酸配列に基づく抗体可変領域の予測立体構造を示す図であり、(b)はヒトVkappa鎖germlineA2のアミノ酸配列に基づく抗体可変領域の予測立体構造を示す図であり、(c)はヒトVkappa鎖germlineA3/A19のアミノ酸配列に基づく抗体可変領域の予測立体構造を示す図であり、(d)はヒトVkappa鎖germlineA5のアミノ酸配列に基づく抗体可変領域の予測立体構造を示す図であり、(e)はヒトVkappa鎖germlineA7のアミノ酸配列に基づく抗体可変領域の予測立体構造を示す図であり、(f)はヒトVkappa鎖germlineA10/A26のアミノ酸配列に基づく抗体可変領域の予測立体構造を示す図であり、(g)はヒトVkappa鎖germlineA17のアミノ酸配列に基づく抗体可変領域の予測立体構造を示す図であり、(h)はヒトVkappa鎖germlineA18のアミノ酸配列に基づく抗体可変領域の予測立体構造を示す図であり、(i)はヒトVkappa鎖germlineA23のアミノ酸配列に基づく抗体可変領域の予測立体構造を示す図であり、(j)はヒトVkappa鎖germlineA30のアミノ酸配列に基づく抗体可変領域の予測立体構造を示す図であり、(k)はヒトVkappa鎖germlineL14のアミノ酸配列に基づく抗体可変領域の予測立体構造を示す図であり、(l)はヒトVkappa鎖germlineL22のアミノ酸配列に基づく抗体可変領域の予測立体構造を示す図である。 (a)はヒトVH鎖germlineVH1−24のアミノ酸配列に基づく抗体可変領域の予測立体構造を示す図であり、(b)はヒトVH鎖germlineVH3−9のアミノ酸配列に基づく抗体可変領域の予測立体構造を示す図であり、(c)はヒトVH鎖germlineVH3−13のアミノ酸配列に基づく抗体可変領域の予測立体構造を示す図であり、(d)はヒトVH鎖germlineVH3−16のアミノ酸配列に基づく抗体可変領域の予測立体構造を示す図であり、(e)はヒトVH鎖germlineVH3−20のアミノ酸配列に基づく抗体可変領域の予測立体構造を示す図であり、(f)はヒトVH鎖germlineVH3−30のアミノ酸配列に基づく抗体可変領域の予測立体構造を示す図であり、(g)はヒトVH鎖germlineVH3−33のアミノ酸配列に基づく抗体可変領域の予測立体構造を示す図であり、(h)はヒトVH鎖germlineVH3−35のアミノ酸配列に基づく抗体可変領域の予測立体構造を示す図であり、(i)はヒトVH鎖germlineVH3−43のアミノ酸配列に基づく抗体可変領域の予測立体構造を示す図であり、(j)はヒトVH鎖germlineVH3−64のアミノ酸配列に基づく抗体可変領域の予測立体構造を示す図であり、(k)はヒトVH鎖germlineVH3−72のアミノ酸配列に基づく抗体可変領域の予測立体構造を示す図であり、(l)はヒトVH鎖germlineVH3−73のアミノ酸配列に基づく抗体可変領域の予測立体構造を示す図であり、(m)はヒトVH鎖germlineVH3−74のアミノ酸配列に基づく抗体可変領域の予測立体構造を示す図であり、(n)はヒトVH鎖germlineVH4−34のアミノ酸配列に基づく抗体可変領域の予測立体構造を示す図であり、(o)はヒトVH鎖germlineVH7−81のアミノ酸配列に基づく抗体可変領域の予測立体構造を示す図である。 S−H−D三つ組み残基様構造を持つヒトVlambda鎖germlineのアミノ酸配列を比較した図である。 ヒトVlambda鎖germlineのサブグループVL1に属するgermlineのアミノ酸配列を比較した図である。 ヒトVlambda鎖germlineのサブグループVL3に属するgermlineのアミノ酸配列を比較した図である。 S−H−D三つ組み残基様構造を持つヒトVkappa鎖germlineのアミノ酸配列を比較した図である。 ヒトVkappa鎖germlineのサブグループVK1に属するgermlineのアミノ酸配列を比較した図である。 ヒトVkappa鎖germlineのサブグループVK2に属するgermlineのアミノ酸配列を比較した図である。 S−H−D三つ組み残基様構造を持つヒトVH鎖germlineのアミノ酸配列を比較した図である。 ヒトVH鎖germlineのサブグループVH3に属するgermlineのアミノ酸配列を比較した図である。 germlineV1−13のアミノ酸配列とヒトVlambda鎖の他のgermlineのアミノ酸配列とを比較した図である。 ヒト白血球サンプルから単離したヒトVlambda鎖germline由来抗体可変領域をコードするcDNAの塩基配列とIgBlastに登録されているgermlineV1−13の塩基配列とを比較した図である。 ヒト白血球サンプルから単離したヒトVlambda鎖germline由来抗体可変領域をコードするcDNAを再構成したcDNAの5’上流側および3’下流側の塩基配列を示す図である。 ヒト白血球サンプルから単離したヒトVlambda鎖germline由来抗体可変領域をコードするcDNAに基づいて発現したタンパク質をSDS−PAGEに供した結果を示す図である。 ヒト白血球サンプルから単離したヒトVlambda鎖germline由来抗体可変領域をコードするcDNAに基づいて発現したタンパク質のペプチド分解活性を試験した結果を示す図である。 ヒトVkappa鎖germlineリーダー配列の塩基配列を比較した図である。 ヒトVkappa鎖germline由来抗体可変領域遺伝子クローンの1つであるpHVK−1の塩基配列およびアミノ酸配列を示す図である。 ヒトVkappa鎖germline由来抗体可変領域遺伝子クローンの1つであるpHVK−3の塩基配列およびアミノ酸配列を示す図である。 ヒトVkappa鎖germline由来抗体可変領域遺伝子クローンの1つであるpHVK−4の塩基配列およびアミノ酸配列を示す図である。 ヒトVkappa鎖germline由来抗体可変領域遺伝子クローンの1つであるpHVK−1の塩基配列と、germlineA3およびgermlineA19の塩基配列とを比較した図である。 ヒトVkappa鎖germline由来抗体可変領域遺伝子クローンの1つであるpHVK−3の塩基配列と、germlineA18の塩基配列とを比較した図である。 ヒトVkappa鎖germline由来抗体可変領域遺伝子クローンの1つであるpHVK−4の塩基配列と、germlineA18の塩基配列とを比較した図である。 ヒトVkappa鎖germline由来抗体可変領域遺伝子クローンのpHVK−1、pHVK−3およびpHVK−4の可変領域のアミノ酸配列と、マウス由来抗体酵素であるVIPaseおよびi41SL1−2−Lの軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを比較した図である。 ヒトVkappa鎖germline由来抗体可変領域遺伝子クローンの1つであるpHVK−1のアミノ酸配列に基づく抗体可変領域の予測立体構造を示す図である。 ヒトVkappa鎖germline由来抗体可変領域遺伝子クローンの1つであるpHVK−4のアミノ酸配列に基づく抗体可変領域の予測立体構造を示す図である。

Claims (2)

  1. ト抗体酵素の生産方法であって、
    ヒト生殖細胞系列抗体V遺伝子のリーダー配列中に存在するVkappa2特異的配列に基づくプライマーを用いて、ヒトリンパ球由来のcDNAを鋳型とする核酸増幅反応を行う工程、
    増幅されたcDNAの塩基配列を決定し、塩基配列に基づいて酵素活性を有するポリペプチドをコードするcDNAを選択する工程、および
    選択されたcDNAがコードするポリペプチドを発現させる工程
    を包含することを特徴とするヒト抗体酵素生産方法。
  2. 記プライマーが配列番号17に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする請求項に記載のヒト抗体酵素生産方法。
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