JP4828135B2 - コレステロールの脂質ミセルへの取込抑制剤 - Google Patents
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Description
高脂血症の最も一般的な原因は、コレステロールや脂質の過剰摂取や運動不足などの好ましくない生活習慣である。そのため、高脂血症の治療はまず、脂質摂取量を減らすなどの食事療法、及び運動療法によって行われ、これらの方法で改善されない場合に薬物療法が採用される。
また、フィブラート系薬剤、ニコチン酸誘導体、プロブコールおよび陰イオン交換樹脂なども高脂血症の治療に有効な薬物であるとされている。
しかしながら、スタチン系やフィブラート系薬剤には横紋筋融解症や肝障害等の副作用が報告されている。さらに、これらの薬剤は長期間の服用が欠かせないため、患者の負担が大きく、ひいては医療保険財政を逼迫する一因ともなり得る。
しかし、このような効果の高い機能性食品の研究報告はまだ数少なく、さらなる研究開発が必要である。
たとえば、卵のオボムチン(非特許文献1参照)や茶のカテキン類(特許文献1)がコレステロールの脂質ミセルへの取り込みを抑制することが報告されている。また、これらの成分は動物実験やヒト試験においても抗高脂血症効果が確認されている。
その結果、茶(カメリア シネンシス)の葉、種、根に含まれる多種のサポニン類のうち特定のサポニン化合物が、コレステロールの脂質ミセルへの強力な取込抑制をもたらすことを見出し、本発明の完成に至った。
また、式(1)中のR1が酢酸残基、R2がケイ皮酸残基(トランス体)、R3が水素およびR4が水素である化合物であること、
また、式(1)中のR1がアンゲリカ酸残基、R2がケイ皮酸残基(トランス体)、R3が水素およびR4が水素である化合物であること、
また、式(1)中のR1がケイ皮酸残基(トランス体)、R2が酢酸残基、R3が水素およびR4が酢酸残基である化合物であること、をそれぞれ特徴とする。
1)比旋光度[α]D 25=+9.0°(C=0.35,MeOH)
2)赤外吸収スペクトル〔IR(neat)〕 3422,2961,1685,1636,1388,1204,1078,1047cm-1
3)紫外線吸収スペクトル〔UV(MeOH)〕203nm(logε=4.3),216nm(ショルダー),276nm(logε=4.3)
4)エレクトロスプレーイオン化質量分析法(ESIMS)[m/z 1287.5760(M+Na)+,Δ−1.4mmu]
1H−NMR(600MHz)
δ:7.70(1H,d,J=16.0Hz,Cin−γ),7.61(2H,m,Cin−2’,6’),7.40(3H,m,Cin−3’,4’,5’),6.59(1H,d,J=16.0Hz,Cin−β),5.66(1H,d,J=10.0Hz,H−21),5.32(1H,br s,H−12),5.03(1H,br d,Gal−1),4.92(1H,overlapped with water,Ara−1),4.54(1H,br d,GlcA−1),4.50(1H,br d,Xyl−1),4.12(1H,br s,H−16),4.00−3.15(sugars),3.98(1H,d,J=10.0Hz,H−22),3.90(1H,overlapped with sugars,H−28a),3.75(1H,overlapped with sugars,H−28b),3.19(1H,m,H−3),2.65(1H,dd,J=13.5,13.9Hz,H−19a),2.52(1H,br d,H−18),2.07(3H,s,28−CH 3),1.91(2H,m,H−11),1.82(1H,m,H−2a),1.79(1H,m,H−15a),1.73(1H,m,H−2b),1.66(1H,m,H−9),1.64(1H,m,H−1a),1.62(1H,m,H−7a),1.58(1H,m,H−6a),1.46(3H,s,H−27),1.42(1H,m,H−6b),1.42(1H,m,H−15b),1.37(1H,m,H−7b),1.18(1H,m,H−19b),1.08(3H,s,H−23),1.08(3H,s,H−30),1.01(1H,m,H−1b),0.97(3H,s,H−25),0.93(3H,s,H−26),0.88(3H,s,H−24),0.88(3H,s,H−29),0.78(1H,m,H−5).
δ:173.0(28−Ac),169.8(Cin−α),146.3(Cin−γ),136.3(C−1’),131.8(C−4’),130.4(C−3’,5’),129.6(C−2’,6’),120.1(Cin−β),21.2(28−CH 3).
1)比旋光度[α]D 25=−7.4°(C=0.50,MeOH)
2)赤外吸収スペクトル〔IR(neat)〕 3419,2951,1458,1717,1635,1374,1257,1078,1046cm-1
3)紫外線吸収スペクトル〔UV(MeOH)〕203nm(logε=4.3),216nm(ショルダー),278nm(logε=4.3)
4)エレクトロスプレーイオン化質量分析法(ESIMS)[m/z 1287.5749(M+Na)+,Δ−2.5mmu]
1H−NMR(500MHz)
δ:7.73(1H,d,J=16.0Hz,Cin−γ),7.59(2H,m,Cin−2’,6’),7.40(3H,m,Cin−3’,4’,5’),6.50(1H,d,J=16.0Hz,Cin−β),5.89(1H,d,J=10.1Hz,H−21),5.54(1H,d,J=10.1Hz,H−22),5.38(1H,br s,H−12),5.03(1H,br d,Gal−1),4.93(1H,overlapped with water,Ara−1),4.54(1H,br d,GlcA−1),4.51(1H,br d,Xyl−1),4.02(1H,br s,H−16),4.00−3.15(sugars),3.28(1H,overlapped with solvent,H−28a),3.18(1H,m,H−3),2.98(1H,d,J=11.2Hz,H−28b),2.67(1H,m,H−19a),2.64(1H,m,H−18),1.92(3H,s,21−CH 3),1.91(2H,m,H−11),1.79(1H,m,H−2a),1.71(1H,m,H−2b),1.70(1H,m,H−15a),1.68(1H,m,H−9),1.64(1H,m,H−1a),1.64(1H,m,H−7a),1.58(1H,m,H−6a),1.48(3H,s,H−27),1.40(1H,m,H−6b),1.35(1H,m,H−15b),1.34(1H,m,H−7b),1.19(1H,m,H−19b),1.08(3H,s,H−23),1.06(3H,s,H−30),1.01(1H,m,H−1b),0.97(3H,s,H−25),0.93(3H,s,H−26),0.88(3H,s,H−24),0.87(3H,s,H−29),0.79(1H,m,H−5).
δ:173.5(21−Ac),169.4(Cin−α),147.2(Cin−γ),136.2(C−1’),132.0(C−4’),130.4(C−3’,5’),129.7(C−2’,6’),119.2(Cin−β),21.4(21−CH 3).
1)比旋光度[α]D 25=−9.1°(C=0.39,MeOH)
2)赤外吸収スペクトル〔IR(neat)〕 3411,2927,1683,1634,1377,1160,1079,1046cm-1
3)紫外線吸収スペクトル〔UV(MeOH)〕203nm(logε=4.4),216nm(ショルダー),279nm(logε=4.3)
4)エレクトロスプレーイオン化質量分析法(ESIMS)[m/z 1327.6096(M+Na)+,Δ+0.8mmu]
1H−NMR(500MHz)
δ:7.69(1H,d,J=16.0Hz,Cin−γ),7.56(2H,m,Cin−2’,6’),7.39(3H,m,Cin−3’,4’,5’),6.45(1H,d,J=16.0Hz,Cin−β),6.00(1H,d,J=10.1Hz,H−21),5.98(1H,qq,J=1.4,7.2Hz,H−3”),5.58(1H,d,J=10.1Hz,H−22),5.39(1H,br s,H−12),5.02(1H,br d,Gal−1),4.92(1H,overlapped with water,Ara−1),4.54(1H,br d,GlcA−1),4.51(1H,br d,Xyl−1),4.03(1H,br s,H−16),4.00−3.15(sugars),3.29(1H,overlapped with solvent,H−28a),3.18(1H,m,H−3),2.99(1H,d,J=11.2Hz,H−28b),2.67(1H,m,H−18),2.68(1H,m,H−19a),1.94(2H,m,H−11),1.81(1H,m,H−2a),1.81(3H,dq,J=1.4,7.2Hz,H−4”),1.78(3H,br s,H−5”),1.73(1H,m,H−2b),1.71(1H,m,H−15a),1.68(1H,m,H−9),1.64(1H,m,H−1a),1.60(1H,m,H−7a),1.57(1H,m,H−6a),1.50(3H,s,H−27),1.41(1H,m,H−6b),1.39(1H,m,H−15b),1.34(1H,m,H−7b),1.23(1H,m,H−19b),1.09(3H,s,H−30),1.08(3H,s,H−23),1.01(1H,m,H−1),0.97(3H,s,H−25),0.94(3H,s,H−26),0.89(3H,s,H−29),0.88(3H,s,H−24),0.79(1H,m,H−5).
δ:169.9(C−1”),169.4(Cin−α),147.2(Cin−γ),139.0(C−3”),136.2(C−1’),131.9(C−4’),130.4(C−3’,5’),129.8(C−2”),129.6(C−2’,6’),119.2(Cin−β),21.2(C−5”),16.4(C−4”).
かかるテアサポニンB1は、茶葉に0.3%程度含まれる茶葉由来のサポニン類の1つである(Biosci. Biotech. Biochem. 58, 2036, 1994;前記特許文献4、特開平8−333380号公報参照)。
この方法で得られたものは数種類のサポニンの混合物であるが、分取用HPLC等を用いれば、より精製されたサポニンを得ることができる。
このような種々の剤形の医薬製剤は、サポニン系化合物に賦形剤、結合剤、崩壊剤、潤沢剤、香味剤、甘味剤、酸化防止剤、溶解補助剤、懸濁化剤、コーティング剤などの医薬の製剤技術分野において通常使用しうる既知の補助剤、例えばラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアゴム、燐酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、シロップ、タルク、ステアリン酸カルシウム、水、鉱油等を用い、常法に従って製造することができる。
当該コレステロール取込抑制剤の食品組成物への配合量は、期待されるコレステロール排出促進作用の程度などによって異なるが、抽出物自体の味が食品に悪影響を及ぼさない濃度で用いるのが好ましい。一般的には、該成分を飲食品に対し0.01〜80.0質量%、好ましくは0.1〜50.0質量%配合するのが適当であるが、食品の呈味に影響を問題ない場合にはこの範囲に限られない。
<製造例1> 茶葉サポニンの抽出
特開平8−333380に記載された方法に準じて茶葉サポニン粗抽出物を調製した。
すなわち、茶葉100gに対し90℃熱湯を10倍量加え、15分間抽出した。この操作を3回繰り返した後、茶葉にエタノール500mlと蒸留水を加え50%エタノール濃度になるように調製した。このまま室温で約1日間抽出し、ろ過した後、抽出液に水不溶性ポリビニルポリピロリドン(「ダイバガンF」(商品名)、BASF社製)16gを加え14時間攪拌処理した。
ポリビニルポリピロリドンをろ過除去後、処理液を減圧濃縮し、さらに凍結乾燥にかけ
薄緑色の粉末1.1gを得た。この粉末1gを浸水型逆相系充填剤ODS(Cosmosil 75 C18−OPN、ナカライテスク株式会社製)を用いて40%メタノール画分と80%メタノール画分とに分け、80%メタノール画分を濃縮して茶葉サポニン粗抽出物0.43gを得た。
製造例1により得られた茶葉サポニン粗抽出物200mgをHPLC(カラム:Develosil ODS−HG−5、移動相50%アセトニトリル+0.05%トリフルオロ酢酸)で分離し、化合物Aを含むフラクションとテアサポニンB1を含むフラクションを分取した。
化合物Aを含むフラクションを、HPLC(カラム:Develosil ODS−HG−5、移動相75%メタノール+0.05%トリフルオロ酢酸)を用いて分離・分取を行い、さらにHPLC(カラム:Develosil ODS−HG−5、移動相46%アセトニトリル+0.05%トリフルオロ酢酸)で分離し、保持時間48〜51分のフラクションを分取することで精製された化合物Aを2mg得た。
製造例1により得られた茶葉サポニン粗抽出物200mgをHPLC(カラム:Develosil ODS−HG−5、移動相55%アセトニトリル+0.05%トリフルオロ酢酸)で分離し、化合物Bを含むフラクションと化合物Cを含むフラクションを分取した。
化合物Bを含むフラクションをHPLC(カラム:Develosil Ph−UG−5、移動相70%メタノール+0.05%トリフルオロ酢酸)を用いて分離・分取を行い、さらにHPLC(カラム:Develosil ODS−HG−5、移動相45%アセトニトリル+0.05%トリフルオロ酢酸)で分離し、保持時間49〜52分のフラクションを分取することで精製された化合物Bを4mg得た。
(1)試験方法
Lipids,37(3),267(2002)に記載された長岡らの報告に基づき、試験を行った。
すなわち、表4に示す組成物を用いて脂質ミセル溶液を調製した。このミセル溶液に表5に示すようにサポニン系化合物A〜CおよびテアサポニンB1を添加して試料溶液を作
り、37℃にて24時間静置した。
これを超遠心分離(37℃、100,000g、1時間)にかけることで、ミセルに取り込まれていないコレステロールを沈殿させた。続いて上清を採取し、ミセルに取り込まれているコレステロールの量を測定した。
ミセル溶液を超遠心分離した後の上清中のコレステロール量を図1に示す。
化合物A〜CおよびテアサポニンB1の添加により上清中のコレステロールが減少していた。このことから、化合物A〜Cの添加によりコレステロールの脂質ミセルへの取込みが抑制されていることが確認された。
腸管内において、コレステロールは脂質ミセルに取り込まれた形で吸収されることから、コレステロールの脂質ミセルへの取り込みを抑制する上記サポニン系化合物は、人体の腸管においてコレステロールの吸収を妨げる効果を有することが十分に推測される。
以下に示す処方に従って茶系飲料を作成した。即ち、緑茶葉10gに80℃の熱湯1000gを加えて3分間滲出させた後、200メッシュの網で茶葉を除き、緑茶飲料を得た。
この緑茶飲料に製造例2に従い調製した化合物Aを1質量%となるように添加した。
コーン油に、製造例2に従い調製したテアサポニンB1を3質量%となるように添加した。
以下に示す処方に従ってキャンディーを作成した。即ち、砂糖および水飴を150℃で加熱溶解し、120℃に冷却後、残りの成分を添加し、攪拌して均一化した後、成型冷却しキャンディーを得た。
Claims (5)
- 式(1)中のR1がケイ皮酸残基(トランス体)、R2が水素、R3が酢酸残基およびR4が水素である化合物であることを特徴とする請求項1記載のコレステロールの脂質ミセルへの取込抑制剤。
- 式(1)中のR1が酢酸残基、R2がケイ皮酸残基(トランス体)、R3が水素およびR4が水素である化合物であることを特徴とする請求項1記載のコレステロールの脂質ミセルへの取込抑制剤。
- 式(1)中のR1がアンゲリカ酸残基、R2がケイ皮酸残基(トランス体)、R3が水素およびR4が水素である化合物であることを特徴とする請求項1記載のコレステロールの脂質ミセルへの取込抑制剤。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載されたコレステロールの脂質ミセルへの取込抑制剤を有効成分として含有する高脂血症治療剤。
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