JP4828135B2 - コレステロールの脂質ミセルへの取込抑制剤 - Google Patents

コレステロールの脂質ミセルへの取込抑制剤 Download PDF

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Description

本発明は、高コレステロール血症を含む高脂血症を予防および治療するための、安全で優れた効果を有するコレステロールの脂質ミセルへの取込抑制剤に関する。
高脂血症とは、血中のコレステロールおよび中性脂肪が異常に増えた状態である。特にコレステロールが高値を示す高コレステロール血症は動脈硬化の危険因子のひとつである。さらに動脈硬化は、虚血性心疾患や脳梗塞などの致命的な疾患を招く危険性があることが指摘されている。
高脂血症の最も一般的な原因は、コレステロールや脂質の過剰摂取や運動不足などの好ましくない生活習慣である。そのため、高脂血症の治療はまず、脂質摂取量を減らすなどの食事療法、及び運動療法によって行われ、これらの方法で改善されない場合に薬物療法が採用される。
薬物療法に用いられる治療薬として第一選択薬となっているのがHMG−CoA還元酵素阻害薬である。これはスタチン系薬物とも呼ばれ、肝臓においてコレステロールの合成を阻害することで血中のコレステロール値を低下させる作用を有する。
また、フィブラート系薬剤、ニコチン酸誘導体、プロブコールおよび陰イオン交換樹脂なども高脂血症の治療に有効な薬物であるとされている。
しかしながら、スタチン系やフィブラート系薬剤には横紋筋融解症や肝障害等の副作用が報告されている。さらに、これらの薬剤は長期間の服用が欠かせないため、患者の負担が大きく、ひいては医療保険財政を逼迫する一因ともなり得る。
このような背景から、高脂血症の予防や治療の効果を有する食品成分の探索が精力的に行われ、多くの知見が報告されている。中でも、大豆由来タンパク質、低分子化アルギン酸ナトリウムおよびキトサンは高コレステロール血症抑制効果が高く、コレステロール値が高い人の為の特定保健用食品として認可されている。
しかし、このような効果の高い機能性食品の研究報告はまだ数少なく、さらなる研究開発が必要である。
ところで、腸管内でコレステロールが吸収される際には、胆汁の働きにより形成される脂質ミセルという粒子の中に取り込まれる過程が必須である。従って、コレステロールの脂質ミセルへの取り込みを抑制することが可能であれば、コレステロールの腸管内での吸収を抑制することができる。このような観点から、コレステロールの脂質ミセルへの取り込みをモデル化した実験系が提案されている。
たとえば、卵のオボムチン(非特許文献1参照)や茶のカテキン類(特許文献1)がコレステロールの脂質ミセルへの取り込みを抑制することが報告されている。また、これらの成分は動物実験やヒト試験においても抗高脂血症効果が確認されている。
一方、茶サポニンは多くの薬理作用が報告されており、抗潰瘍作用(特許文献2参照)、抗炎症、抗アレルギー作用(特許文献3及び特許文献4参照)、好中球賦活作用(特許文献5参照)、血圧降下作用(特許文献6参照)、抗肥満作用(特許文献7参照)、抗真菌作用(特許文献8参照)、抗インフルエンザウイルス作用(特許文献9参照)など様々な作用が知られている。しかし、茶サポニンがコレステロールの吸収抑制に寄与することは、まだ知られていない。
特開2004−262927号公報 特開平6−211674号公報 特開平7−61993号公報 特許第3441488号公報 特開平7−242554号公報 特開平7−206692号公報 特開平8−59494号公報 特開平9−110712号公報 特開平11−193242号公報 Lipids,37(3)267−272(2002)
本発明が解決しようとする課題は、古来より飲用し続けられて充分な安全性が確認されている茶に着目し、それに含まれる多種多様の成分の中から、コレステロール吸収抑制により高脂血症の予防および治療に特に有効であるコレステロールの脂質ミセルへの取込抑制剤を提供することである。さらに、かかるコレステロールの脂質ミセルへの取込抑制剤を含有する高脂血症治療剤、および同剤が配合された飲食品を提供することである。
本発明者らは、強力なコレステロール吸収抑制能を発揮し、しかも安全性の点で問題のない効果的な物質を見出すべく鋭意研究を重ねた。
その結果、茶(カメリア シネンシス)の葉、種、根に含まれる多種のサポニン類のうち特定のサポニン化合物が、コレステロールの脂質ミセルへの強力な取込抑制をもたらすことを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち本発明は、式(1)
Figure 0004828135
〔式中、R1はケイ皮酸残基(トランス体)、アンゲリカ酸残基または酢酸残基であり、R2はケイ皮酸残基(トランス体)、酢酸残基または水素であり、R3は酢酸残基または水素であり、R4は酢酸残基または水素である〕で示される化合物からなるコレステロールの脂質ミセルへの取込抑制剤である。
また、上記取込抑制剤において、式(1)中のR1がケイ皮酸残基(トランス体)、R2が水素、R3が酢酸残基およびR4が水素である化合物であること、
また、式(1)中のR1が酢酸残基、R2がケイ皮酸残基(トランス体)、R3が水素およびR4が水素である化合物であること、
また、式(1)中のR1がアンゲリカ酸残基、R2がケイ皮酸残基(トランス体)、R3が水素およびR4が水素である化合物であること、
また、式(1)中のR1がケイ皮酸残基(トランス体)、R2が酢酸残基、R3が水素およびR4が酢酸残基である化合物であること、をそれぞれ特徴とする。
さらに、本発明は、上記のコレステロールの脂質ミセルへの取込抑制剤を有効成分として含有する高脂血症治療剤であり、同取込抑制剤が配合された飲食品である。
本発明の特定サポニンからなるコレステロールの脂質ミセルへの取込抑制剤を摂取することによって、コレステロールの腸管への吸収が抑制され、コレステロールの体外への排出が促進される。その結果、血中コレステロール濃度が低下するので、高コレステロール血症を含む高脂血症の予防および治療に極めて有効である。また、天然の茶葉に含まれる化合物ゆえ、人体にとって安全性が極めて高い。
本発明のコレステロールの脂質ミセルへの取込抑制剤は、上記一般式(1)で表される化合物であり、好適には以下のサポニン化合物である。
(a) R1がケイ皮酸残基(トランス体)、R2が水素、R3が酢酸残基、R4が水素である化合物は、具体的には以下の化学構造式(2)で示される新規なサポニン系化合物(以下「化合物A」という)である。
Figure 0004828135
上記化学構造式(2)の化合物Aは、分子式がC639226、分子量が1264であり、以下の物性を示す。
1)比旋光度[α]D 25=+9.0°(C=0.35,MeOH)
2)赤外吸収スペクトル〔IR(neat)〕 3422,2961,1685,1636,1388,1204,1078,1047cm-1
3)紫外線吸収スペクトル〔UV(MeOH)〕203nm(logε=4.3),216nm(ショルダー),276nm(logε=4.3)
4)エレクトロスプレーイオン化質量分析法(ESIMS)[m/z 1287.5760(M+Na)+,Δ−1.4mmu]
5)核磁気共鳴スペクトル〔NMR(CD3OD)〕
1H−NMR(600MHz)
δ:7.70(1H,d,J=16.0Hz,Cin−γ),7.61(2H,m,Cin−2’,6’),7.40(3H,m,Cin−3’,4’,5’),6.59(1H,d,J=16.0Hz,Cin−β),5.66(1H,d,J=10.0Hz,H−21),5.32(1H,br s,H−12),5.03(1H,br d,Gal−1),4.92(1H,overlapped with water,Ara−1),4.54(1H,br d,GlcA−1),4.50(1H,br d,Xyl−1),4.12(1H,br s,H−16),4.00−3.15(sugars),3.98(1H,d,J=10.0Hz,H−22),3.90(1H,overlapped with sugars,H−28a),3.75(1H,overlapped with sugars,H−28b),3.19(1H,m,H−3),2.65(1H,dd,J=13.5,13.9Hz,H−19a),2.52(1H,br d,H−18),2.07(3H,s,28−C 3),1.91(2H,m,H−11),1.82(1H,m,H−2a),1.79(1H,m,H−15a),1.73(1H,m,H−2b),1.66(1H,m,H−9),1.64(1H,m,H−1a),1.62(1H,m,H−7a),1.58(1H,m,H−6a),1.46(3H,s,H−27),1.42(1H,m,H−6b),1.42(1H,m,H−15b),1.37(1H,m,H−7b),1.18(1H,m,H−19b),1.08(3H,s,H−23),1.08(3H,s,H−30),1.01(1H,m,H−1b),0.97(3H,s,H−25),0.93(3H,s,H−26),0.88(3H,s,H−24),0.88(3H,s,H−29),0.78(1H,m,H−5).
13C−NMR(100MHz)
δ:173.0(28−Ac),169.8(Cin−α),146.3(Cin−γ),136.3(C−1’),131.8(C−4’),130.4(C−3’,5’),129.6(C−2’,6’),120.1(Cin−β),21.2(28−C 3).
Figure 0004828135
(b) R1が酢酸残基、R2がケイ皮酸残基(トランス体)、R3が水素、R4が水素である化合物は、具体的には以下の化学構造式(3)で示される新規なサポニン系化合物(以下「化合物B」という)である。
Figure 0004828135
上記構造式(3)の化合物Bは、分子式がC639226、分子量が1264であり、以下の物性を示す。
1)比旋光度[α]D 25=−7.4°(C=0.50,MeOH)
2)赤外吸収スペクトル〔IR(neat)〕 3419,2951,1458,1717,1635,1374,1257,1078,1046cm-1
3)紫外線吸収スペクトル〔UV(MeOH)〕203nm(logε=4.3),216nm(ショルダー),278nm(logε=4.3)
4)エレクトロスプレーイオン化質量分析法(ESIMS)[m/z 1287.5749(M+Na)+,Δ−2.5mmu]
5)核磁気共鳴スペクトル〔NMR(CD3OD)〕
1H−NMR(500MHz)
δ:7.73(1H,d,J=16.0Hz,Cin−γ),7.59(2H,m,Cin−2’,6’),7.40(3H,m,Cin−3’,4’,5’),6.50(1H,d,J=16.0Hz,Cin−β),5.89(1H,d,J=10.1Hz,H−21),5.54(1H,d,J=10.1Hz,H−22),5.38(1H,br s,H−12),5.03(1H,br d,Gal−1),4.93(1H,overlapped with water,Ara−1),4.54(1H,br d,GlcA−1),4.51(1H,br d,Xyl−1),4.02(1H,br s,H−16),4.00−3.15(sugars),3.28(1H,overlapped with solvent,H−28a),3.18(1H,m,H−3),2.98(1H,d,J=11.2Hz,H−28b),2.67(1H,m,H−19a),2.64(1H,m,H−18),1.92(3H,s,21−C 3),1.91(2H,m,H−11),1.79(1H,m,H−2a),1.71(1H,m,H−2b),1.70(1H,m,H−15a),1.68(1H,m,H−9),1.64(1H,m,H−1a),1.64(1H,m,H−7a),1.58(1H,m,H−6a),1.48(3H,s,H−27),1.40(1H,m,H−6b),1.35(1H,m,H−15b),1.34(1H,m,H−7b),1.19(1H,m,H−19b),1.08(3H,s,H−23),1.06(3H,s,H−30),1.01(1H,m,H−1b),0.97(3H,s,H−25),0.93(3H,s,H−26),0.88(3H,s,H−24),0.87(3H,s,H−29),0.79(1H,m,H−5).
13C−NMR(100MHz)
δ:173.5(21−Ac),169.4(Cin−α),147.2(Cin−γ),136.2(C−1’),132.0(C−4’),130.4(C−3’,5’),129.7(C−2’,6’),119.2(Cin−β),21.4(21−C 3).
Figure 0004828135
(c) R1がアンゲリカ酸残基、R2がケイ皮酸残基(トランス体)、R3が水素、R4が水素である化合物は、具体的には以下の化学構造式(4)で示される新規なサポニン系化合物(以下「化合物C」という)である。
Figure 0004828135
上記化学構造式(4)の化合物Cは、分子式がC669626、分子量が1304であり、以下の物性を示す。
1)比旋光度[α]D 25=−9.1°(C=0.39,MeOH)
2)赤外吸収スペクトル〔IR(neat)〕 3411,2927,1683,1634,1377,1160,1079,1046cm-1
3)紫外線吸収スペクトル〔UV(MeOH)〕203nm(logε=4.4),216nm(ショルダー),279nm(logε=4.3)
4)エレクトロスプレーイオン化質量分析法(ESIMS)[m/z 1327.6096(M+Na)+,Δ+0.8mmu]
5)核磁気共鳴スペクトル〔NMR(CD3OD)〕
1H−NMR(500MHz)
δ:7.69(1H,d,J=16.0Hz,Cin−γ),7.56(2H,m,Cin−2’,6’),7.39(3H,m,Cin−3’,4’,5’),6.45(1H,d,J=16.0Hz,Cin−β),6.00(1H,d,J=10.1Hz,H−21),5.98(1H,qq,J=1.4,7.2Hz,H−3”),5.58(1H,d,J=10.1Hz,H−22),5.39(1H,br s,H−12),5.02(1H,br d,Gal−1),4.92(1H,overlapped with water,Ara−1),4.54(1H,br d,GlcA−1),4.51(1H,br d,Xyl−1),4.03(1H,br s,H−16),4.00−3.15(sugars),3.29(1H,overlapped with solvent,H−28a),3.18(1H,m,H−3),2.99(1H,d,J=11.2Hz,H−28b),2.67(1H,m,H−18),2.68(1H,m,H−19a),1.94(2H,m,H−11),1.81(1H,m,H−2a),1.81(3H,dq,J=1.4,7.2Hz,H−4”),1.78(3H,br s,H−5”),1.73(1H,m,H−2b),1.71(1H,m,H−15a),1.68(1H,m,H−9),1.64(1H,m,H−1a),1.60(1H,m,H−7a),1.57(1H,m,H−6a),1.50(3H,s,H−27),1.41(1H,m,H−6b),1.39(1H,m,H−15b),1.34(1H,m,H−7b),1.23(1H,m,H−19b),1.09(3H,s,H−30),1.08(3H,s,H−23),1.01(1H,m,H−1),0.97(3H,s,H−25),0.94(3H,s,H−26),0.89(3H,s,H−29),0.88(3H,s,H−24),0.79(1H,m,H−5).
13C−NMR(100MHz)
δ:169.9(C−1”),169.4(Cin−α),147.2(Cin−γ),139.0(C−3”),136.2(C−1’),131.9(C−4’),130.4(C−3’,5’),129.8(C−2”),129.6(C−2’,6’),119.2(Cin−β),21.2(C−5”),16.4(C−4”).
Figure 0004828135
(d) R1がケイ皮酸残基(トランス体)、R2が酢酸残基、R3が水素、R4が酢酸残基である化合物は、下記の化学構造式(5)で示されるテアサポニンB1(theasaponin B1)である。
かかるテアサポニンB1は、茶葉に0.3%程度含まれる茶葉由来のサポニン類の1つである(Biosci. Biotech. Biochem. 58, 2036, 1994;前記特許文献4、特開平8−333380号公報参照)。
Figure 0004828135
サポニン系化合物である本発明のコレステロールの脂質ミセルへの取込抑制剤は、文献記載の方法に従って茶の種子、葉および根より分離・精製することができる(特開平8−333380号公報、特開平7−61993号公報、特開平11−193242号公報、Phytochemistry 53 941(2000))。例えば、茶葉(カメリア シネンシス)を熱湯で抽出した残渣を含水低級メタノール又はエタノールで抽出し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて精製することにより得ることができる。
この方法で得られたものは数種類のサポニンの混合物であるが、分取用HPLC等を用いれば、より精製されたサポニンを得ることができる。
得られたサポニン系化合物は、強力なコレステロールの脂質ミセルへの取込抑制能を有するので、そのままでも種々の投与形態で高コレステロール血症を含む高脂血症の治療剤および予防薬として使用できるが、好ましくは錠剤、丸剤、粉剤、シロップ剤、乳剤、液剤、カプセル剤、注射剤のような製剤化した内用剤として使用する。
このような種々の剤形の医薬製剤は、サポニン系化合物に賦形剤、結合剤、崩壊剤、潤沢剤、香味剤、甘味剤、酸化防止剤、溶解補助剤、懸濁化剤、コーティング剤などの医薬の製剤技術分野において通常使用しうる既知の補助剤、例えばラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアゴム、燐酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、シロップ、タルク、ステアリン酸カルシウム、水、鉱油等を用い、常法に従って製造することができる。
本発明のコレステロールの脂質ミセルへの取込抑制剤を含有する高脂血症治療剤の投与量は、特に制限はなく、投与される者の年齢、体重、症状の重篤度、投与経路などを考慮して適宜決定されるが、一般的には、体重1kgに対して約0.1〜1000mg、好ましくは約1〜200mgである。
本発明のコレステロールの脂質ミセルへの取込抑制剤は、飲食品等に配合して、そのコレステロール吸収抑制機能を利用した特定保健用飲食品、健康飲料、健康食品、栄養食品等とすることができる。
当該コレステロール取込抑制剤の食品組成物への配合量は、期待されるコレステロール排出促進作用の程度などによって異なるが、抽出物自体の味が食品に悪影響を及ぼさない濃度で用いるのが好ましい。一般的には、該成分を飲食品に対し0.01〜80.0質量%、好ましくは0.1〜50.0質量%配合するのが適当であるが、食品の呈味に影響を問題ない場合にはこの範囲に限られない。
本発明のコレステロールの脂質ミセルへの取込抑制剤が配合される飲食品としては、ジュース、健康茶、茶系飲料のような飲料、マヨネーズ、ドレッシングなどの調味料、食用油、錠菓、ゼリー、ガム、キャンディー、アイスクリームなどの菓子類、健康食品類などが挙げられる。
以下、実施例等を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<製造例1> 茶葉サポニンの抽出
特開平8−333380に記載された方法に準じて茶葉サポニン粗抽出物を調製した。
すなわち、茶葉100gに対し90℃熱湯を10倍量加え、15分間抽出した。この操作を3回繰り返した後、茶葉にエタノール500mlと蒸留水を加え50%エタノール濃度になるように調製した。このまま室温で約1日間抽出し、ろ過した後、抽出液に水不溶性ポリビニルポリピロリドン(「ダイバガンF」(商品名)、BASF社製)16gを加え14時間攪拌処理した。
ポリビニルポリピロリドンをろ過除去後、処理液を減圧濃縮し、さらに凍結乾燥にかけ
薄緑色の粉末1.1gを得た。この粉末1gを浸水型逆相系充填剤ODS(Cosmosil 75 C18−OPN、ナカライテスク株式会社製)を用いて40%メタノール画分と80%メタノール画分とに分け、80%メタノール画分を濃縮して茶葉サポニン粗抽出物0.43gを得た。
製造例1により得られた茶葉サポニン粗抽出物から、分取HPLCを用いて、下記に示す方法で前記化合物A、B、Cおよびを精製した。ここで用いたHPLCカラムのサイズは全て内径20mm、長さ250mmである。また、分離時のカラム温度は室温、移動相の流速は5.0ml/minである。
<製造例2> 化合物AおよびテアサポニンB1の精製
製造例1により得られた茶葉サポニン粗抽出物200mgをHPLC(カラム:Develosil ODS−HG−5、移動相50%アセトニトリル+0.05%トリフルオロ酢酸)で分離し、化合物Aを含むフラクションとテアサポニンB1を含むフラクションを分取した。
化合物Aを含むフラクションを、HPLC(カラム:Develosil ODS−HG−5、移動相75%メタノール+0.05%トリフルオロ酢酸)を用いて分離・分取を行い、さらにHPLC(カラム:Develosil ODS−HG−5、移動相46%アセトニトリル+0.05%トリフルオロ酢酸)で分離し、保持時間48〜51分のフラクションを分取することで精製された化合物Aを2mg得た。
テアサポニンB1を含むフラクションをHPLC(カラム:Develosil Ph−UG−5、移動相70%メタノール+0.05%トリフルオロ酢酸)を用いて分離・分取を行い、さらにHPLC(カラム:Develosil ODS−HG−5、移動相50%アセトニトリル+0.05%トリフルオロ酢酸)で分離し、保持時間34〜35.5分のフラクションを分取することで精製されたテアサポニンB1を1mg得た。
<製造例3> 化合物BおよびCの精製
製造例1により得られた茶葉サポニン粗抽出物200mgをHPLC(カラム:Develosil ODS−HG−5、移動相55%アセトニトリル+0.05%トリフルオロ酢酸)で分離し、化合物Bを含むフラクションと化合物Cを含むフラクションを分取した。
化合物Bを含むフラクションをHPLC(カラム:Develosil Ph−UG−5、移動相70%メタノール+0.05%トリフルオロ酢酸)を用いて分離・分取を行い、さらにHPLC(カラム:Develosil ODS−HG−5、移動相45%アセトニトリル+0.05%トリフルオロ酢酸)で分離し、保持時間49〜52分のフラクションを分取することで精製された化合物Bを4mg得た。
化合物Cを含むフラクションをHPLC(カラム:Develosil Ph−UG−5、移動相75%メタノール+0.05%トリフルオロ酢酸)を用いて分離・分取を行い、さらにHPLC(カラム:Develosil ODS−HG−5、移動相55%アセトニトリル+0.05%トリフルオロ酢酸)で分離し、保持時間38〜41分のフラクションを分取することで精製された化合物Cを2mg得た。
<試験例1> 脂質ミセルへのコレステロールの取込抑制能の評価
(1)試験方法
Lipids,37(3),267(2002)に記載された長岡らの報告に基づき、試験を行った。
すなわち、表4に示す組成物を用いて脂質ミセル溶液を調製した。このミセル溶液に表5に示すようにサポニン系化合物A〜CおよびテアサポニンB1を添加して試料溶液を作
り、37℃にて24時間静置した。
これを超遠心分離(37℃、100,000g、1時間)にかけることで、ミセルに取り込まれていないコレステロールを沈殿させた。続いて上清を採取し、ミセルに取り込まれているコレステロールの量を測定した。
Figure 0004828135
Figure 0004828135
(2)試験結果
ミセル溶液を超遠心分離した後の上清中のコレステロール量を図1に示す。
化合物A〜CおよびテアサポニンB1の添加により上清中のコレステロールが減少していた。このことから、化合物A〜Cの添加によりコレステロールの脂質ミセルへの取込みが抑制されていることが確認された。
腸管内において、コレステロールは脂質ミセルに取り込まれた形で吸収されることから、コレステロールの脂質ミセルへの取り込みを抑制する上記サポニン系化合物は、人体の腸管においてコレステロールの吸収を妨げる効果を有することが十分に推測される。
<実施例1> 茶系飲料
以下に示す処方に従って茶系飲料を作成した。即ち、緑茶葉10gに80℃の熱湯1000gを加えて3分間滲出させた後、200メッシュの網で茶葉を除き、緑茶飲料を得た。
この緑茶飲料に製造例2に従い調製した化合物Aを1質量%となるように添加した。
<実施例2> マヨネーズ
以下に示す処方に従ってマヨネーズを作成した。
Figure 0004828135
<実施例3> ドレッシング
以下に示す処方に従ってフレンチドレッシングを作成した。
Figure 0004828135
<実施例4>
コーン油に、製造例2に従い調製したテアサポニンB1を3質量%となるように添加した。
<実施例5> 硬質ゼラチンカプセル
以下の成分を用いて常法によりゼラチンカプセルを調製した。
Figure 0004828135
<実施例6> キャンディー
以下に示す処方に従ってキャンディーを作成した。即ち、砂糖および水飴を150℃で加熱溶解し、120℃に冷却後、残りの成分を添加し、攪拌して均一化した後、成型冷却しキャンディーを得た。
Figure 0004828135
<実施例7> チューインガム
以下に示す処方に従ってガムベースに残りの成分を添加し、均一に攪拌してチューインガムを得た。
Figure 0004828135
<実施例8> ビスケット
以下に示す処方の成分を混合し、成型したのち焼成してビスケットを得た。
Figure 0004828135
本発明のコレステロールの脂質ミセルへの取込抑制剤は、脂質ミセルへのコレステロールの取込抑制作用が高いので、高脂血症の予防および治療剤として有用である。しかもこれらは天然物由来であるため副作用の心配がなく、特に食品に配合して摂取するのに適している。
コレステロールの脂質ミセルへの取込量を表したグラフである。エラー・バーはSD(標準偏差)を表わす。

Claims (5)

  1. 式(1)
    Figure 0004828135
    〔式中、
    1はケイ皮酸残基(トランス体)、アンゲリカ酸残基または酢酸残基であり、
    2はケイ皮酸残基(トランス体)または水素であり、
    3は酢酸残基または水素であり、
    4 は水素である〕
    で示される化合物からなるコレステロールの脂質ミセルへの取込抑制剤。
  2. 式(1)中のR1がケイ皮酸残基(トランス体)、R2が水素、R3が酢酸残基およびR4が水素である化合物であることを特徴とする請求項1記載のコレステロールの脂質ミセルへの取込抑制剤。
  3. 式(1)中のR1が酢酸残基、R2がケイ皮酸残基(トランス体)、R3が水素およびR4が水素である化合物であることを特徴とする請求項1記載のコレステロールの脂質ミセルへの取込抑制剤。
  4. 式(1)中のR1がアンゲリカ酸残基、R2がケイ皮酸残基(トランス体)、R3が水素およびR4が水素である化合物であることを特徴とする請求項1記載のコレステロールの脂質ミセルへの取込抑制剤。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載されたコレステロールの脂質ミセルへの取込抑制剤を有効成分として含有する高脂血症治療剤。
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