JP4827301B2 - 内視鏡用カテーテル - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、内視鏡の処置具挿通チャンネルに通されて体内の管腔に造影剤注入等を行うために用いられる内視鏡用カテーテルに関する。
【０００２】
【従来の技術】
経内視鏡的に胆道造影を行う場合には、十二指腸ファイバスコープの処置具挿通チャンネルを経由して内視鏡用カテーテルの先端を十二指腸から胆道内に差し込んで、胆道に造影剤を注入する手技が用いられる。
【０００３】
そのような際に用いられる従来の内視鏡用カテーテルは、四フッ化エチレン樹脂チューブからなる送液チューブの先端を単純に丸めたもの、或いは、そのような形状の金属製の先端チップが四フッ化エチレン樹脂チューブの先端に取り付けられたものであった。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図５に例示されるように、四フッ化エチレン樹脂チューブからなる送液チューブ１は、側方視型内視鏡である十二指腸ファイバスコープ１０の処置具挿通チャンネル１１に通されて、処置具突出口部１２から突出される部分で小さな曲率半径で曲げられることにより、突出部分に曲がり癖が付いてカールしてしまう。
【０００５】
そのため、処置具突出口部１２から押し出される送液チューブ１の先端は真っ直ぐに進んで行かず、図中に矢印で示されるようにカールの方向に進もうとするので、胆道１０１内に容易に挿入することができず、胆道造影は難しい手技の一つになっていた。
【０００６】
そこで本発明は、側方視型内視鏡の処置具挿通チャンネルを経由して、胆道等のような体内深部の管腔内に容易に挿入することができる内視鏡用カテーテルを提供することを目的とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡用カテーテルは、内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿脱される可撓性の送液チューブの先端に、コイルスプリングからなる進行方向案内部材が直列に連結されているものである。
【０００８】
なお、進行方向案内部材の外径寸法が、送液チューブの先端部分の外径寸法と内径寸法との中間の大きさであるとよく、進行方向案内部材の長さが、送液チューブの外径の５〜２０倍の範囲であるとよい。
【０００９】
また、進行方向案内部材が自然状態でカーブした形状を有していてもよく、コイルスプリングが一定の径で密着巻きされているものであってもよい。
【００１０】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図２は、本発明の第１の実施例の内視鏡用カテーテルの全体構成を示しており、可撓性を有して滑りのよい例えば四フッ化エチレン樹脂チューブからなる送液チューブ１の基端に注液口金２が取り付けられている。また、注液口金２側から送液チューブ１内に、腰折れ防止のための芯金が差し込まれるように構成してもよい。
【００１１】
送液チューブ１は、例えば外径が２ｍｍ前後で、長さが２ｍ程度のものであり、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体（ＦＥＰ）、エチレン−四フッ化エチレン共重合体（ＥＴＦＥ）、又は四フッ化エチレン−パ−フルオロアルキルビニルエーテル共重合体（ＰＦＡ）等のような各種フッ素樹脂製のチューブ等を用いてもよく、その他の材質であっても差し支えない。
【００１２】
送液チューブ１の先端には、例えばステンレス鋼線を一定の径で密着巻きして形成されたコイルスプリングからなる進行方向案内部材３が、直列に真っ直ぐに連結されている。
【００１３】
図１は、送液チューブ１の先端とそこに連結された進行方向案内部材３を示しており、進行方向案内部材３の基端部分３ａはピッチが伸ばされて送液チューブ１の先端内にきつくねじ込まれた状態になっている。その連結に際しては、進行方向案内部材３の基端部分３ａ又は送液チューブ１の先端部分を加熱するとよい。
【００１４】
進行方向案内部材３の先端部分３ｂは、鋭い部分がないように滑らかに丸められている。ただし、軸線方向に貫通孔が形成された先端チップ等（図示せず）を、進行方向案内部材３の先端部分３ｂに付加してもよい。
【００１５】
進行方向案内部材３は、自然状態において真っ直ぐな形状を有しているが、外力が作用すれば弾性によって自由に屈曲し、外力が取り除かれればもとの形状に戻る。したがって、その材質は、ステンレス鋼線に限らず他の金属又は硬質プラスチック等のような非金属であっても差し支えない。
【００１６】
進行方向案内部材３の長さＬは、送液チューブ１の挿入を案内するという機能上から、送液チューブ１の外径寸法の５〜２０倍程度の範囲にあるとよい。また、進行方向案内部材３の外径寸法Ｄは、機能上及び送液チューブ１との連結性等から、送液チューブ１の外径寸法と内径寸法の間の大きさであるとよい。
【００１７】
図３は、上記実施例の内視鏡用カテーテルが側方視型内視鏡である十二指腸ファイバスコープ１０の処置具挿通チャンネル１１に通されて使用されている状態を示しており、送液チューブ１の先端部分が処置具突出口部１２から押し出されて、進行方向案内部材３が胆道１０１内に押し込まれている。
【００１８】
このような過程において、送液チューブ１の先端部分は、処置具突出口部１２を通過することによって曲がり癖が付いてカールするが、それより先側に設けられた進行方向案内部材３には曲がり癖が付かず、進行方向案内部材３が胆道１０１の管路形状に沿って弾力的に変形して胆道１０１内に押し込まれ、それに案内されて送液チューブ１が胆道１０１内に到達する。
【００１９】
このようにして、送液チューブ１を内視鏡１０の処置具突出口部１２から押し出すだけで、送液チューブ１の先端が胆道１０１内に容易に挿入され、胆道１０１内に造影剤等を注入することができる。
【００２０】
図４は、本発明の第２の実施例の内視鏡用カテーテルの全体構成を示しており、進行方向案内部材３を自然状態においてある程度カーブした形状に形成したものである。
【００２１】
このように構成することにより、胆道１０１への挿入がさらに容易になる場合があり、さらに、送液チューブ１を手元側から軸線周りに回転させて進行方向案内部材３の向きを変えることにより、図３に示される膵管１０２への選択的挿入等も行うことができるようになる。
【００２２】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、例えば内視鏡用カテーテルの挿入対象は胆道や膵管に限らずどのような体内管腔であってもよく、内視鏡用カテーテル内に通されるのは造影剤に限らずどのような液体であっても差し支えない。
【００２３】
【発明の効果】
本発明によれば、内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿脱される可撓性の送液チューブの先端に、コイルスプリングからなる進行方向案内部材を直列に連結したことにより、送液チューブを手元側から押し出すだけで、曲がり癖が付かず管腔の形状に沿って弾力的に変形する進行方向案内部材に案内されて、送液チューブの先端が体内深部の管腔内に容易に挿入される。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の第１の実施例の内視鏡用カテーテルの先端部分の側面断面図である。
【図２】本発明の第１の実施例の内視鏡用カテーテルの全体構成を示す外観図である。
【図３】本発明の第１の実施例の内視鏡用カテーテルの使用状態を示す略示図である。
【図４】本発明の第２の実施例の内視鏡用カテーテルの全体構成を示す外観図である。
【図５】従来の内視鏡用カテーテルの使用状態を示す略示図である。
【符号の説明】
１ 送液チューブ
３ 進行方向案内部材
１０ 内視鏡（十二指腸ファイバスコープ）
１１ 処置具挿通チャンネル
１２ 処置具突出口部
１０１ 胆道

Claims (5)

1. 内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿脱される可撓性の送液チューブの先端に、コイルスプリングからなる進行方向案内部材が直列に連結された内視鏡用カテーテルであって、
   上記コイルスプリングが、断面形状が円形の素線を一定の径で密着巻きして形成されて、上記送液チューブとの連結部では、粗巻きの状態にピッチが伸ばされて上記送液チューブの先端内にきつくねじ込まれた状態になっていて、
   上記一本の連続したコイルスプリングが、上記送液チューブの先端から前方に延出した領域では全範囲において密着巻きの状態であり、上記送液チューブと連結された領域では全範囲において粗巻きの状態で上記送液チューブの内周面部分に素線径より浅い深さまで食い込んだ状態になっていることを特徴とする内視鏡用カテーテル。
2. 上記進行方向案内部材の外径寸法が、上記送液チューブの先端部分の外径寸法と内径寸法との中間の大きさである請求項１記載の内視鏡用カテーテル。
3. 上記進行方向案内部材の長さが、上記送液チューブの外径の５〜２０倍の範囲である請求項１又は２記載の内視鏡用カテーテル。
4. 上記進行方向案内部材が自然状態でカーブした形状を有している請求項１、２又は３記載の内視鏡用カテーテル。
5. 上記コイルスプリングと上記送液チューブとの連結部において、少なくともその一方が加熱されて連結されている請求項１、２、３又は４記載の内視鏡用カテーテル。

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