JP4826405B2 - ネットワークシステム,ネットワークデバイスおよびプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、それぞれ通信可能に接続された複数のネットワークデバイスからなるネットワークシステムに関する。
従来から、マスタであるネットワークデバイスにより、このマスタと通信可能に接続された他のネットワークデバイスであるスレーブそれぞれを制御するシステムが知られている(特許文献1参照)。
特開2000−250850号公報(例えば、図18など)
この種のシステムにおいては、マスタからの指令を受けたスレーブが、その指令に応じた処理を実行した後、その旨をマスタに応答するための情報を送信し、この応答を受けたマスタが、その後の処理を実行する、ように構成されている。
また、このスレーブからの応答が何らかの要因で一定期間内にマスタに届かないと、マスタが、再度スレーブに対して同じ指令をすることにより、そのスレーブに対して処理の実行および応答を促すように構成されていることが一般的である。
しかし、スレーブからの応答があったにも拘わらず、その応答が通信路におけるトラブルなどの要因でマスタ側に届かなかった場合、スレーブ側では、先の指令に基づく処理が実行されているにも拘わらず、再度、マスタからの指令を受けて同じ処理が実行されることとなる。
このようなことは、スレーブ側のリソースを無用に消費することとなるばかりか、スレーブ側で同じ処理を複数回実行した後で応答がなされる結果、マスタからの指令に対するスレーブの応答性が悪化してしまうという問題がある。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、スレーブ側のリソースが無用に消費されること、および、マスタからの指令に対するスレーブの応答性が悪化してしまうこと、を防止するための技術を提供することである。
上記課題を解決するため請求項1に記載のネットワークシステムは、それぞれ通信可能に接続された複数のネットワークデバイスのうち、いずれかのネットワークデバイスであるマスタにより、該マスタ以外のネットワークデバイスである1以上のスレーブそれぞれが制御されるネットワークシステムである。
これらのうち、前記マスタは、所定の指令条件が満たされた際に、所定の処理の実行を指令するための指令情報を、前記スレーブに送信する実行指令手段と、該実行指令手段により送信される指令情報に、該指令情報を送信する契機となった指令条件が満たされたことを示す条件情報を付加する情報付加手段と、を備えている。そして、前記実行指令手段は、前記指令情報を送信した後、該指令情報を受信した前記スレーブから、該指令情報に従って処理を実行した旨を応答するための応答情報が、所定期間内に受信されなかった場合に、そのスレーブに同じ前記指令情報を再度送信する、ように構成されている。
また、前記スレーブは、前記マスタから前記指令情報を受信した際に、該指令情報に従って所定の処理を実行する処理実行手段と、該処理実行手段により処理を実行した履歴を、該処理を実行する契機となった前記指令情報に付加されていた前記条件情報と共に記憶部へ記憶させる履歴記憶手段と、前記処理実行手段により処理が実行された以降、該処理を実行した旨を応答するための応答情報を前記マスタに送信する処理応答手段と、を備えている。そして、前記処理実行手段は、前記マスタから前記指令情報を受信した際、該指令情報に付加された前記条件情報が前記記憶部に記憶されていない場合に、その指令情報に従って所定の処理を実行して、前記処理応答手段は、前記マスタから前記指令情報を受信した際、該指令情報に付加された前記条件情報が前記記憶部に記憶されている場合に、該条件情報と共に記憶された履歴で示される処理につき、該処理を実行した旨を応答するための応答情報を前記マスタに送信する、ように構成されている。
このように構成されたネットワークシステムでは、スレーブからの応答情報が何らかの要因で所定期間内にマスタに届かない場合、マスタが、再度スレーブに対して同じ指令情報をすることにより、そのスレーブに対して処理の実行および応答を促すこととなる。
指令情報を受信したスレーブは、その指令情報に付加されている条件情報を記憶部に記憶されている条件情報と比較することで、その受信した指令情報が先に実行したのと同じ処理の実行を指令するものであるか否かをチェックする。そして、その指令情報が、先に実行した処理の実行を指令するものでなければ、その指令情報に従って処理を実行してから応答情報を送信するのに対し、先に実行したのと同じ処理の実行を指令するものであれば、その指令情報に従った処理を実行することなく、記憶部の履歴に基づいて応答情報を送信する。
ここで、マスタからの指令情報が「先に実行した処理の実行を指令するものである」場合とは、スレーブが先の指令情報に基づく応答情報を送信したにも拘わらず、通信路におけるトラブルなどの要因でそれがマスタ側に届かなかった状況を表しているといえる。
つまり、そのような状況において、スレーブは、その指令情報に従った処理を実行することなく、先の要求に基づいて実行した処理の履歴に基づいて直ちに応答情報をマスタ側に送信できるため、同じ処理を繰り返し実行することで無用なリソースを消費することがない。
また、スレーブからは、先の要求に基づいて実行した処理の履歴に基づいて直ちに応答情報がマスタ側に送信されるため、そのような処理を実行してから応答情報を送信する構成と比べてマスタからの指令情報に対するスレーブの応答性を向上させることができる。
なお、上述したマスタにおいて、実行指令手段が指令情報を送信する契機となる「指令条件」としては、どのような条件であってもよいが、例えば、マスタが外部からの指令を受け、その指令に基づいてスレーブに実行させるべき処理を特定したこと、その処理を実行させるべきタイミングになったこと、などが考えられる。
また、スレーブの履歴記憶手段が記憶部に記憶させる履歴とは、指令情報に従って処理を実行したことを示すものであればよく、例えば、その実行した処理の内容,その処理の実行前後におけるスレーブ自身の状態,その処理を実行した時刻などを履歴として記憶させるように構成すればよい。
また、マスタにおける情報付加手段により付加される条件情報は、指令条件が満たされたことを示す情報であればよく、その具体的な内容については特に限定されない。例えば、指定条件が満たされた時刻や、指定条件が満たされた回数をカウントしたカウント値などを条件情報として採用することが考えられる。
このようなカウント値を条件情報として採用するための構成としては、請求項1に記載の構成を、例えば、請求項2に記載のネットワークシステムのように構成することが考えられる。
このネットワークシステムにおけるマスタは、前記実行指令手段により指令情報が送信される毎に、該送信される回数をカウントするカウント手段が備えられ、前記情報付加手段が、前記実行指令手段により送信される指令情報に、前記カウント手段によるカウント値を前記条件情報として付加する、ように構成されている。
このように構成すれば、マスタから指令情報が送信される毎に、この指令情報の送信される回数をカウントしたカウント値が条件情報として付加される。そのため、スレーブ側では、指令情報に付加された条件情報で示されるカウント値が、記憶部に記憶された条件情報で示されるカウント値と同じ値であれば、その指令情報が先に実行した処理の実行を指令するものであるとして、記憶部の履歴に基づいて直ちに応答情報を送信することができる。
なお、この構成におけるカウント手段は、所定の初期値から上限値まで順次インクリメントした後でカウント値を初期値に戻すものであればよく、また、所定の初期値から下限値まで順次デクリメントした後でカウント値を初期値に戻すものであってもよい。
ただ、このように一定周期で初期値に戻るようなカウントを行う場合、指令情報に付加される条件情報のカウント値も一定周期で初期値に戻るため、複数の指令情報を同一のスレーブに送信し、スレーブ側で複数の処理を並行して実行させるような環境下では、異なる処理を実行させるための指令情報それぞれに同じカウント値の条件情報が付加されてしまう恐れがある。この場合、受信した指令情報に従った処理を実行していないにも拘わらず、先に実行した処理であると判定してしまい、その履歴に基づく誤った応答情報がスレーブからマスタに送信されることとなってしまう。
このようなことを防止するためには、カウント手段によるカウント値が充分大きな値となるように、マスタ,スレーブそれぞれのリソースを確保しておけばよいが、このように構成することは、それぞれのリソースを有効に利用するという観点から適切とはいえない。
そこで、それぞれのリソースを有効に利用しつつ、異なる処理を実行させるための指令情報それぞれに同じカウント値の条件情報が付加されてしまうことを防止するために、例えば、請求項1または請求項2に記載の構成を、以下のように構成することが考えられる。
このネットワークシステムにおいて、マスタは、所定の初期化条件が満たされた際に、記憶部に記憶された履歴を消去すべき旨を要求するための要求情報を、前記スレーブに送信する消去要求手段が備えられている。そして、スレーブは、前記マスタから前記要求情報を受信した際に、前記履歴記憶手段により記憶部に記憶させられた履歴を前記条件情報と共に消去する情報消去手段が備えられている。
このように構成すれば、所定の初期化条件が満たされる毎にマスタから要求情報が送信され、この要求情報を受信したスレーブが、記憶部に記憶されている履歴を条件情報と共に消去する。
そのため、スレーブ側で複数の処理を並行して実行させるような環境下でも、異なる処理を実行させるための指令情報に同じカウント値の条件情報が付加されることがないような条件を初期化条件として設定することで、マスタ,スレーブそれぞれのリソースを有効に利用しつつ、同じカウント値の条件情報が付加されてしまうことを防止できる。
この構成における具体的な初期化条件は、異なる処理を実行させるための指令情報に同じカウント値の条件情報が付加されることがない条件であれば、その具体的な内容は特に限定されない。例えば、先に指令情報が送信されてから一定以上の時間が経過したことをもって、初期化条件が満たされたとすることが考えられる。
また、1以上の指令条件が順次満たされるような指令が、マスタに対してなされる場合であれば、その外部からの指令があったことをもって、初期化条件が満たされとすることが考えられる。
このためには、例えば、請求項1または請求項2に記載の構成を、以下のように構成することが考えられる。
このネットワークシステムのマスタにおいて、前記実行指令手段は、前記マスタ外部から1以上の指令条件が順次満たされる指令を受けた際に、1以上の指令条件が順次満たされることに伴い1以上の前記指令情報を順次前記スレーブに送信して、前記消去要求手段は、前記マスタ外部から1以上の指令条件が順次満たされる指令を受けた際に、前記初期化条件が満たされたとして、前記要求情報を前記スレーブに送信する、ように構成されている。
このように構成すれば、マスタに対する外部からの指令があったことをもって、初期化条件が満たされたものとし、スレーブ側に記憶されている履歴を消去することができる。
また、請求項に記載のネットワークデバイスは、請求項1または請求項2に記載のマスタが備える全ての手段を備えてなるものである。
このように構成されたネットワークデバイスによれば、請求項1または請求項2に記載のネットワークシステムの一部を構成することができる。
また、請求項に記載のネットワークデバイスは、請求項1または請求項2に記載のスレーブが備える全ての手段を備えてなるものである。
このように構成されたネットワークデバイスによれば、請求項1または請求項2に記載のネットワークシステムの一部を構成することができる。
また、請求項に記載のプログラムは、請求項1または請求項2に記載のマスタが備える全ての手段として機能させるための各種処理手順を、コンピュータシステムに実行させるためのプログラムである。
このプログラムにより制御されるコンピュータシステムは、請求項1または請求項2に記載のネットワークシステムの一部を構成することができる。
また、請求項に記載のプログラムは、請求項1または請求項2に記載のスレーブが備える全ての手段として機能させるための各種処理手順を、コンピュータシステムに実行させるためのプログラムである。
このプログラムにより制御されるコンピュータシステムは、請求項1または請求項2に記載のネットワークシステムの一部を構成することができる。
なお、上述した各プログラムは、コンピュータシステムによる処理に適した命令の順番付けられた列からなるものであって、各種記録媒体や通信回線を介してネットワークデバイスやこれを利用するユーザに提供されるものである。
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(1)全体構成
車両遠隔制御システム1は、それぞれネットワーク(CAN)を介して通信可能に接続された複数のネットワークデバイスからなり、これらのうち、いずれかのネットワークデバイスがマスタとなり、このマスタが、マスタ以外のネットワークデバイスをスレーブとして制御するように構成されたネットワークシステムである。
本実施形態においては、車両各部の動作を制御する複数の電子制御装置(ECU)それぞれがネットワークデバイスとしてネットワークに接続され、これらのうち、後述するリモートECU10がマスタとなって、他のECUを制御するように構成されている。
このネットワークに接続されたECUには、各ECUを制御するリモートECU10,車両におけるエンジンを制御するエンジンECU20,車両におけるドアのロックを制御するドアロックECU30,車両におけるライトの点灯を制御するライトECU40,車両における窓の開閉を制御するパワーウィンドウECU50,車両におけるサンルーフの開閉を制御するサンルーフECU60,車両を始動させるためのキーの照合を行うキー照合ECU70などがある。
これらのうち、リモートECU10は、データ送受信モジュール12を介して、車両遠隔制御システム1の搭載された車両各部の制御内容を示す制御指令を情報センタ100から受信し、この制御指令に基づいて後述する処理を実行して各ECUを制御する。
この情報センタ100は、携帯端末(携帯電話など)200からインターネットなどのネットワークを介して接続可能であり、こうして接続された携帯端末200から上述した制御指令を受信して本車両遠隔制御システム1に中継するように構成されたものである。なお、上述の制御指令は、車両各部におけるどの部分を制御するのか、複数の部分を制御する場合にどのような順番で制御するのか、その制御に対してどのような処理をスレーブに実行させるのか、といった制御内容が特定可能な指令である。
また、キー照合ECU70は、発信器72および受信器74を介して携帯キー300との間で照合のための情報をやりとりし、その情報に基づいてその携帯キー300の照合を行う。
(2)マスタによるリモート処理
以下に、マスタであるリモートECU10が、内蔵メモリに記憶されたプログラムに従って実行するリモート処理の処理手順を図2に基づいて説明する。このリモート処理は、データ送受信モジュール12を介して制御指令を受信した際に開始される。
このリモート処理が開始されると、まず、スレーブの処理履歴を初期化すべきタイミングになっているか否かがチェックされる(s110)。
本実施形態においては、後述のように、スレーブである各ECUが、後述の処理でリモートECU10からの指令を受けて所定の処理を実行し、その履歴を内蔵メモリに記憶するように構成されている。そして、このs110では、本リモート処理が、先に終了したリモート処理から所定期間(例えば、5分)以上の間隔を空けて開始された場合に、その処理履歴を初期化すべきタイミングになっていると判定される。
このs110で処理履歴を初期化すべきタイミングになっていると判定された場合(s110:YES)、処理履歴を初期化すべき旨を要求するための要求情報が、スレーブであるECU全てに対して送信(ブロードキャスト)された後(s120)、次の処理(s130)へ移行する。この要求情報を受信したECUは、後述のように、その内蔵メモリに記憶されている処理履歴を消去する。
なお、このs120による要求情報の送信は、本リモート処理が開始される毎に、必ず行われるように構成してもよく、このためには、本リモート処理においてs110が行われることなく、s120へ移行するように構成すればよい。
また、s110で処理履歴を初期化すべきタイミングになっていないと判定された場合(s110:NO)、上述したs120が行われることなく次の処理(s130)へ移行する。
次に、処理の実行を要求すべきスレーブ,および,このスレーブに要求すべき処理内容が特定される(s130)。ここでは、このs130が本リモート処理を開始して最初に行われる場合であれば、本リモート処理の開始に先立って受信した制御指令で特定される制御内容に従い、最初に制御すべき部分に対応するECUが、該当するスレーブとして特定される。また、このs130が本リモート処理を介して2回目以降に行われる場合であれば、同制御指令に従い、次に制御すべき部分に対応するECUが、該当するスレーブとして特定される。そして、該当するECUに要求すべき処理内容がその制御指令に基づいて特定される。
次に、s130にてスレーブおよび処理内容が特定されたことを条件に、実行要求処理が実行される(s140)。
この実行要求処理では、図3に示すように、まず、同期カウンタがインクリメントされた後(s210)、s130にて特定された処理内容の実行,および,その実行結果の通知を要求するため指令情報が、この時点における同期カウンタのカウント値を付加された状態で、s130にて特定されたスレーブに対して送信される(s220)。
本実施形態においては、図4に示すように、6バイトからなるメッセージフォーマットのデータが指令情報として用いられ、このデータのうち、該当するフィールドそれぞれにパラメータを設定したうえで、このデータがスレーブに送信される。
具体的には、s130にて特定された処理内容を示すパラメータが、処理内容に関するフィールド(サービス種類,要求コマンド)に設定され、s130にて特定されたスレーブを示すパラメータが、指令情報の送信先に関するフィールド(サービス種類,指示対象)に設定され、この時点における同期カウンタのカウント値が、同期カウンタのカウント値に関するフィールド(カウント値)に設定される。
なお、本実施形態において、同期カウンタは、00を初期値として上限値(FF)までカウントアップされた後で初期値に戻るように構成されたカウンタであり、指令情報におけるカウント値に関するフィールドもその上限値までの値が設定可能なフィールド(1バイトからなるフィールド)となっている。
続いて、s220による指令情報の送信後、所定時間内に実行結果を通知するための応答情報が受信されなければ(s230:NO)、その指令情報の送信回数がn回(nは任意の数)以上となるまで(s240:NO)、s220へ戻って同じ指令情報の送信が繰り返される(s220,s230「NO」,s240「NO」)。
そして、s220による指令情報の送信後に応答情報が受信されたら(s230:YES)、その応答情報を戻り値としてプロセスがリモート処理に戻る。一方、指令情報の送信回数がn回以上となったら(s240:YES)、応答情報が受信されたなった旨(エラー)を戻り値としてプロセスがリモート処理に戻る。
こうして、s140での実行要求処理が行われた後、この実行要求処理での戻り値が「応答情報」であるか否かが判定される(s150)。
このs150で、戻り値が「エラー」であると判定された場合(s150:NO)、制御指令に基づく制御結果が「エラー」である旨を示す制御応答が、データ送受信モジュール12を介して情報センタ100に送信された後(s160)、本リモート処理が終了する。
一方、s150で、戻り値が「応答情報」であると判定された場合(s150:YES)、本リモート処理の開始に先立って受信した制御指令に従った全ての制御が終了したか否かが判定される(s170)。
このs170で、全ての制御が終了していないと判定された場合(s170:NO)、プロセスがs130へ戻り、同制御指令に基づいて、処理の実行を要求すべきスレーブ,および,このスレーブに要求すべき処理内容が特定される。ここでは、上述したとおり、同制御指令に従い、次に制御すべき部分に対応するECUが該当するスレーブとして特定される。
こうして、s130〜s150,s170が、制御指令に従った全ての制御を終了するまで繰り返された後、s170で、全ての制御が終了していると判定された場合(s170:YES)、プロセスがs160へ移行し、s140(実行要求処理)の戻り値である「応答情報」それぞれを示す制御応答が、データ送受信モジュール12を介して情報センタ100に送信された後、本リモート処理が終了する。
なお、本実施形態において、上述したカウント値の上限値(FF)は、その値が、1の制御指令に基づいて送信されうる指令情報の数よりも充分に大きくなるように設定されたものである。
(3)スレーブによる実行応答処理
以下に、スレーブである各ECU20〜70が、その内蔵メモリに記憶されたプログラムに従って実行する実行応答処理の処理手順を図5に基づいて説明する。この実行応答処理は、ネットワークを介してマスタからのデータを受信する毎に開始される。なお、本実施形態においては、実行応答処理の起動中に別のデータをマスタから受信した場合、既に実行中の実行応答処理と並行して新たな実行応答処理が起動されるように構成されている。
この実行応答処理が開始されると、まず、この開始に先立って受信したデータが要求情報であるか否かが判定される(s310)。この要求情報は、図2のs120によりマスタから送信されるものである。
このs310で、受信したデータが要求情報であると判定された場合(s310:YES)、スレーブの内蔵メモリに記憶されている処理履歴が消去された後(s320)、本実行応答処理が終了する。本実施形態において、スレーブそれぞれは、マスタからの指令情報に従って実行した処理の内容,その処理を実行した後のスレーブの状態,および,その指令情報に付加されているカウント値などの情報からなる処理履歴を、その指令情報に基づく処理の実行毎に、その内蔵メモリに記憶するように構成されている。そして、このs320では、その内蔵メモリに記憶されている処理履歴が消去される。
また、上述のs310で、受信したデータが要求情報でなく、指令情報であると判定された場合(s310:NO)、その指令情報が最新の指令情報と同一のものであり、かつ、その指令情報に基づく処理の実行が終了している状態であるか否かがチェックされる(s330)。
ここでは、その指令情報で示される処理内容およびカウント値が、内蔵メモリに記憶されている処理履歴における処理内容およびカウント値と一致しているか否かがチェックされ、両者が一致している場合に、該当する状態であると判定される。
このs330で、該当する状態でないと判定された場合(s330:NO)、指令情報で示される処理内容の処理を実行した後(s340)、その実行結果を示す応答情報が生成され、これがマスタに送信される(s350)。この応答情報は、その処理を実行した後のスレーブの状態を示すものであって、図3のs230にてマスタにより受信されるものである。
そして、s340による実行結果に基づく処理履歴が内蔵メモリに記憶された後(s360)、本実行通知処理が終了する。ここでは、s340にて実行した処理の内容(処理内容),その処理を実行した後のスレーブの状態,および,指令情報に付加されていたカウント値、その処理を実行した時刻などの情報群が、処理履歴として内蔵メモリに記憶(既に記憶されている場合には上書き)される。
また、上述のs330で、該当する状態であると判定された場合(s330:YES)、この時点で内蔵メモリに記憶されている処理履歴におけるスレーブの状態が、指令情報で示される処理内容の処理を実行した後のスレーブの状態を示す応答情報としてマスタに送信される(s370)。
(4)作用,効果
このように構成された車両遠隔制御システム1では、スレーブである各ECU(以降、単に「スレーブ」という)からの応答情報が何らかの要因で所定期間内にマスタであるリモートECU10に届かない場合(図6の指令情報C参照)、マスタが、再度スレーブに対して同じ指令情報を送信することにより(図3のs230「NO」→s240「NO」→s220)、そのスレーブに対して処理の実行および応答を促すこととなる(図6の指令情報D参照)。
指令情報を受信したスレーブは、この指令情報に付加されているカウント値を内蔵メモリに記憶されているカウント値と比較することで、その指令情報が最新の指令情報と同一のものであり、かつ、その指令情報に基づく処理の実行が終了している状態であるか否かをチェックする(図5のs330)。そして、その指令情報が該当する状態でなければ、その指令情報に従って処理を実行してから応答情報を送信するのに対し(同図s340〜s350;図6の応答情報A〜C参照)、該当する状態であれば(同図s370)、その指令情報に従った処理を実行することなく、内蔵メモリの履歴に基づいて応答情報を送信する(図6の応答情報D参照)。
ここで、マスタからの指令情報が「指令情報が最新の指令情報と同一のものであり、かつ、その指令情報に基づく処理の実行が終了している状態」とは、スレーブが先の指令情報に基づく応答情報を送信したにも拘わらず、通信路(ネットワーク)におけるトラブルなどの要因でそれがマスタ側に届かなかった状況を表しているといえる。
つまり、そのような状況において、スレーブは、その指令情報に従った処理を実行することなく、先の要求に基づいて実行した処理の履歴に基づいて直ちに応答情報をマスタ側に送信できるため、同じ処理を繰り返し実行して無用なリソースを消費することがない。
また、スレーブからは、先の要求に基づいて実行した処理の履歴に基づいて直ちに応答情報がマスタ側に送信されるため、そのような処理を実行してから応答情報を送信する構成と比べてマスタからの指令情報に対するスレーブの応答性を向上させることができる。
また、上記実施形態においては、マスタがこの制御指令を受ける毎に、初期化タイミングであるとしてスレーブ側に記憶されている履歴を消去することができる。
また、上記実施形態では、図3のs220にてマスタから指令情報が送信される毎に、この指令情報に同図s210にてインクリメントされたカウント値が付加される。そのため、スレーブ側では、指令情報に付加されたカウント値が、内蔵メモリに記憶されたカウント値と同じ値であれば、その指令情報が先に実行した処理の実行を指令するものであるとして、内蔵メモリの履歴に基づいて直ちに応答情報を送信することができる(図5のs330「YES」→s370)。
また、上記実施形態では、図3のs220にて送信される指令情報にカウンタのカウント値が付加されるように構成されているが、このカウンタは、初期値00から上限値FFまで順次カウントアップされた後で初期値に戻るものであるため、指令情報に付加されるカウント値も一定周期で初期値に戻ることになる。そうすると、複数の指令情報が同一のスレーブに送信され、スレーブ側で複数の処理を並行して実行させるような環境下では、異なる処理を実行させるための指令情報に同じカウント値の条件情報が付加されてしまう恐れがある。この場合、受信した指令情報に従った処理を実行していないにも拘わらず、先に実行した処理であると判定してしまい、その履歴に基づく誤った応答情報がスレーブからマスタに送信されることとなってしまう。
しかし、本実施形態においては、カウント値の上限値(FF)が、1の制御指令に基づいて送信されうる指令情報の数よりも充分に大きくなるように設定されているため、1の制御指令に基づくリモート処理で、上述したように誤った応答情報がスレーブからマスタに送信されることを防止することができる。
さらに、本実施形態においては、図2のs110にて初期化タイミングであると判定された場合に、履歴を消去すべき旨を要求するための要求情報がマスタから送信され、この要求情報を受信したスレーブが、内蔵メモリに記憶された履歴をカウント値と共に消去するように構成されている(図2のs110,s120,図5のs320)。
そのため、スレーブ側で複数の処理を並行して実行させるような環境下でも、マスタ,スレーブそれぞれのリソースを有効に利用しつつ、異なる処理を実行させるための指令情報に同じカウント値の条件情報が付加されてしまうことを有効に防止することができる。
(5)変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態においては、車両各部の動作を制御する複数のECUそれぞれからなる車両遠隔制御システムに、本発明のネットワークシステムを提供した構成を例示したが、このネットワークシステムは、複数のネットワークデバイスが通信可能に接続されてなるシステムであれば、他のシステムに適用できることはいうまでもない。
また、上記実施形態においては、図2のs130にてスレーブおよび処理内容が特定されたことを条件として、同図s140で実行要求処理が実行されるように構成されたものを例示した。しかし、この実行要求処理が実行される契機となる条件としては、図2のリモート処理以外の処理において、マスタがスレーブに実行させるべき処理を特定したこと、その処理を実行させるべきタイミングになったこと、などを採用してもよい。
また、上記実施形態においては、マスタが、図3のs220にて指令情報にカウンタによるカウント値を付加して送信するように構成されたものを例示した。しかし、このs220にて指令情報に付加する情報としては、図2のs130にてスレーブおよび処理内容が特定されたという条件が満たされたことを示す情報であれば、カウンタによるカウント値以外の情報であってもよい。具体的な例としては、例えば、同図s130にてスレーブおよび処理内容が特定された時刻などを指令情報に付加することが考えられる。
また、上記実施形態においては、図3のs220にてマスタから指令情報が送信される毎に、この指令情報に同図s210にてインクリメントされたカウント値が付加されるように構成されたものを例示した。しかし、この指令情報に付加される情報としては、同図s210にて初期値(FF)から順次デクリメントされるカウンタのカウント値が付加されるように構成してもよい。この場合、カウンタは、同図s210にて初期値(FF)から下限値(00)まで順次デクリメントされた後で初期値に戻るものとすればよい。
また、本実施形態においては、指令情報およびスレーブ側でカウント値を設定するためのリソースそれぞれが1バイト分だけ確保されている構成を例示した(図4参照)。しかし、それぞれのリソースを有効に利用するためには、カウント値を設定するためのリソースを1バイトよりも小さくしてもよい。
また、上記実施形態では、図2のs110で、先に終了したリモート処理から所定期間以上の間隔を空けて開始された場合に、スレーブの処理履歴を初期化すべきタイミングになっていると判定するように構成されたものを例示した。しかし、スレーブの処理履歴を初期化すべきタイミングになっていると判定する条件については、これ以外の条件であってもよい。例えば、s110の時点で同期カウンタが初期値に戻った直後であることを、上記タイミングになっていると判定する条件とすることが考えられる。
(6)本発明との対応関係
以上説明した実施形態において、図2のs130にてスレーブおよび処理内容が特定されることが本発明における指令条件であり、同図s120が本発明における消去要求手段であり、
また、図3のs220が本発明における実行指令手段,情報付加手段であり、同図s210が本発明におけるカウント手段である。
また、図5におけるs340が本発明における処理実行手段であり、同図s360が本発明における履歴記憶手段であり、同図s350,s370が本発明における処理応答手段であり、同図s320が本発明における情報消去手段である。
ネットワークシステムの構成を示すブロック図 リモート処理を示すフローチャート 実行要求処理を示すフローチャート 指令情報のデータ構造を示す図 実行応答処理を示すフローチャート マスタ,スレーブそれぞれの処理手順を示すタイミングチャート
符号の説明
1…車両遠隔制御システム、10…リモートECU、12…データ送受信モジュール、20…エンジンECU、30…ドアロックECU、40…ライトECU、50…パワーウィンドウECU、60…サンルーフECU、70…キー照合ECU、72…発信器、74…受信器、100…情報センタ、200…携帯端末、300…携帯キー。

Claims (6)

  1. それぞれ通信可能に接続された複数のネットワークデバイスのうち、いずれかのネットワークデバイスであるマスタにより、該マスタ以外のネットワークデバイスである1以上のスレーブそれぞれが制御されるネットワークシステムであって、
    前記マスタは、
    所定の指令条件が満たされた際に、所定の処理の実行を指令するための指令情報を、前記スレーブに送信する実行指令手段と、
    該実行指令手段により送信される指令情報に、該指令情報を送信する契機となった指令条件が満たされたことを示す条件情報を付加する情報付加手段と、を備え、
    前記実行指令手段は、前記指令情報を送信した後、該指令情報を受信した前記スレーブから、該指令情報に従って処理を実行した旨を応答するための応答情報が、所定期間内に受信されなかった場合に、そのスレーブに同じ前記指令情報を再度送信する、ように構成されており、
    前記スレーブは、
    前記マスタから前記指令情報を受信した際に、該指令情報に従って所定の処理を実行する処理実行手段と、
    該処理実行手段により処理を実行した履歴を、該処理を実行する契機となった前記指令情報に付加されていた前記条件情報と共に記憶部へ記憶させる履歴記憶手段と、
    前記処理実行手段により処理が実行された以降、該処理を実行した旨を応答するための応答情報を前記マスタに送信する処理応答手段と、を備えており、
    前記処理実行手段は、前記マスタから前記指令情報を受信した際、該指令情報に付加された前記条件情報が前記記憶部に記憶されていない場合に、その指令情報に従って所定の処理を実行して、
    前記処理応答手段は、前記マスタから前記指令情報を受信した際、該指令情報に付加された前記条件情報が前記記憶部に記憶されている場合に、該条件情報と共に記憶された履歴で示される処理につき、該処理を実行した旨を応答するための応答情報を前記マスタに送信する、ように構成されており、
    さらに、
    前記マスタにおいては、
    所定の初期化条件が満たされた際に、記憶部に記憶された履歴を消去すべき旨を要求するための要求情報を、前記スレーブに送信する消去要求手段が備えられ、
    前記スレーブにおいては、
    前記マスタから前記要求情報を受信した際に、前記履歴記憶手段により記憶部に記憶させられた履歴を前記条件情報と共に消去する情報消去手段が備えられており、
    前記マスタにおいて、
    前記実行指令手段は、前記マスタ外部から1以上の指令条件が順次満たされる指令を受けた際に、1以上の指令条件が順次満たされることに伴い1以上の前記指令情報を順次前記スレーブに送信して、
    前記消去要求手段は、前記マスタ外部から1以上の指令条件が順次満たされる指令を受けた際に、前記初期化条件が満たされたとして、前記要求情報を前記スレーブに送信する、ように構成されている
    ことを特徴とするネットワークシステム。
  2. 前記マスタにおいては、
    前記実行指令手段により指令情報が送信される毎に、該送信される回数をカウントするカウント手段が備えられ、
    前記情報付加手段が、前記実行指令手段により送信される指令情報に、前記カウント手段によるカウント値を前記条件情報として付加する、ように構成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載のネットワークシステム。
  3. 請求項1または請求項2に記載のマスタが備える全ての手段を備えてなる
    ことを特徴とするネットワークデバイス。
  4. 請求項1または請求項2に記載のスレーブが備える全ての手段を備えてなる
    ことを特徴とするネットワークデバイス。
  5. 請求項1または請求項2に記載のマスタが備える全ての手段として機能させるための各種処理手順を、コンピュータシステムに実行させるためのプログラム。
  6. 請求項1または請求項2に記載のスレーブが備える全ての手段として機能させるための各種処理手順を、コンピュータシステムに実行させるためのプログラム。
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