JP4824495B2 - 連続加熱処理装置 - Google Patents
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Description
バッチ炉の場合、雰囲気温度=被処理物温度であるので、測定位置に気を付ける程度で熱電対を用いて比較的容易に測定できた。
しかし、放射熱を用いた加熱炉の場合、被処理物の温度は放射熱だけではなく、それにより加熱された雰囲気温度も影響してくるため、実体の温度を測定するのはかなり困難となる。また、製品となる被処理物そのものを測定してしまうと、被処理物の表面に接触痕が出来てしまうという問題があり、非接触の温度計で測定しようにも、連続炉であるため加熱炉内中央付近の被処理物は手前の被処理物の陰になってしまうため測定(撮影)することができない。
加熱処理対象の被処理物を、その円筒の軸が垂直になるように保持する被処理物保持手段と、
前記被処理物を、その円筒の軸を中心に回転するように前記被処理物保持手段を回転させる回転駆動手段と、
前記表面層を加熱処理する加熱手段を備えた加熱処理室と、
前記被処理物を前記加熱処理室外部から加熱処理室入口、加熱処理室、加熱処理室出口を順次通り、該加熱処理装置外部へと導く被処理物搬送路と、
前記被処理物保持手段で保持された前記被処理物を前記被処理物搬送路上で移動させて、前記加熱処理室内に搬入するとともに、熱処理終了後の該被処理物を該加熱処理室外へ搬出する被処理物搬送手段と、
を備えた連続加熱処理装置において、
前記加熱手段は、前記加熱処理室の被処理物搬送路の両側面に設けられている赤外線ヒータであるとともに、少なくとも1つ以上の前記被処理物保持手段に、被処理物の温度を測定する温度測定手段が配置されていることを特徴とする。
すなわち、回転しながら搬送移動される被処理物とは相対的な位置関係が変わる固定位置(例えば、炉壁内面等)に温度測定手段を配置した場合、接触型温度計により被処理物そのものを測定してしまうと、被処理物の表面に接触痕が作られてしまう。
また、非接触型温度計による測定とすると、連続炉であるため温度測定対象の被処理物が手前の被処理物の陰になってしまう場合には温度測定をすることができないし、赤外線ヒータからの放射熱の影響を測定ノイズとして拾ってしまうこともある。
これに対し、本発明では、被処理物搬送路上を移動する被処理物保持手段に、被処理物を保持するとともに温度測定手段を配置するため、被処理物と温度測定手段とは、回転を伴う搬送移動があっても一体にて移動し、相対的な位置関係が変わらない。
よって、温度測定手段を接触型温度計とし、接触型温度計にて被処理物の実体温度を測定しても、被処理物の表面に接触痕を作ることが無いし、被処理物が加熱炉のどの位置を搬送移動しているときでも温度測定を行うことが出来る。
この結果、表面層を高効率にて加熱処理する連続搬送式焼成炉としながら、加熱処理中の被処理物の実体温度を測定することが出来る。
図1は実施例1の連続加熱処理装置により加熱処理により離型層(表面層の一例)を形成した定着ベルト(被処理物の一例)を示す斜視図および断面図である。
前記定着ベルトは、図1に示すように、ベルト基体1に接着剤を塗布しプライマ層4(接着層)を形成した後、耐熱性ゴム(シリコーンゴム)の弾性層2を形成し、その上に再度接着剤を塗布してプライマ層4(接着層)を形成し、最後にフッ素樹脂の離型層3を形成するという4層構造からなっている。
前記ベルト基体1は、その材質がポリイミド樹脂であり、不定形の円筒形状をしている。
前記離型層3は、スプレーや浸漬工法により液状のフッ素樹脂を塗装した後、焼成することでその膜を一度溶解させ、急速に冷却しフッ素樹脂を非晶質化することにより形成される。
前記マンドレルは、中間製品である定着ベルト6の両端付近をその内側面から支持する円形板7,7と、該円形板7,7を固定する軸8とを備えていて、定着ベルト6を、円筒形状を保った状態で保持する。
前記パレット5は、前記マンドレルの円形板7,7および軸8を回転させる回転軸9と、該回転軸9を回転させるためのスプロケット10と、ベアリング11と、前記回転軸9の下端部に設けられたクラッチ12と、これらを支えるベース13と、を有して構成されている。
前記パレット5のベース13には、係合穴13aが設けられており、この係合穴13aとガードレール14下に設けられた各ガイド付シリンダ28の係合ピン29が、上昇することにより係合し、さらにガイド付シリンダの下に設けられたアクチュエータ15,16,17,18,19,20の動作によって、図3中矢印H,I,J,Kの方向に搬送されるようになっている。
また、実施例1の場合、連続加熱処理装置に数十枚あるパレット5のうち1枚が温度測定用治具60(パレット)となっている。
前記加熱処理室Aの内部では、図3に示すように、パレット5のスプロケット10と噛合してパレット5の回転軸9を回転させるための自転チェーン30が自転モータ31(回転駆動手段)によって駆動されている。
ここで、線状の赤外線加熱源である電熱線51は、図7に示すように、水平に配された複数の水平配線部51aと、その水平配線部51aの端部から上下に隣接する他の水平配線部の端部を垂直に繋ぐ連絡配線部51bとを形成するように一筆書き状に配置されていて、これら各加熱ユニット40の複数の水平配線部51aが等間隔に配置されている(この例ではピッチAが一定)。
また、それぞれの加熱ユニット40の各加熱ゾーン50には、図7に示すように、その中央部の温度を測定する熱電対温度計(シース型K熱電対)52が設けられている。この熱電対温度計52から得られる温度により赤外線ヒータ21の状態が監視される。
各加熱ユニット40の高さの和は、被処理物である定着ベルト6の高さ方向の長さよりも十分長く、かつ、各加熱ユニット40の加熱ゾーン50は被処理物である定着ベルト6の全体を均一に加熱するように温度設定されている。
前記加熱処理室Aの上部には、図6に示すように、被処理物である定着ベルト6を加熱処理する際に発生するガスを排出する排気ダクト41が設けられている。
前記急冷処理装置Bは、冷却液(例えば、水など)を加熱処理室Aから急冷用モータ32により搬出された加熱処理済みの被処理物である定着ベルト6に対して霧化装置24から噴射、噴霧することにより急速に冷却する装置であり、冷却液は被処理物である定着ベルト6に吹き付けられて蒸発し、被処理物に達しなかったミストは細かい水滴とともに急冷処理装置Bの上部に設けられた排気ダクト25から排出される。ここで、急冷処理装置Bの前後には、放射温度計26a及び26bが設置されており、急冷処理の前後で温度を測定することが出来る。
なお、この急冷処理装置Bによってもマンドレルの円形板7,7は、比較的温度が高いままであるため、円形板7,7を冷却するための冷却用ファン27が放射温度計26bの下流側に設置されている。
上記温度測定用治具60(温度測定手段)は、パレット5に温度測定手段の機能と、測定結果記録手段の機能と、測定結果転送手段の機能と、が追加されたものである。
また、連続加熱処理装置の演算処理部には、被処理物の加熱処理温度幅が加熱ユニット40ごとに設定されている。
連続加熱処理装置の演算処理部には、目標となる被処理物の加熱処理温度が加熱ユニット40ごとに設定されている。
前記温度測定制御部64の測定結果記録手段は、非接触式通信方式である赤外線送信機が搭載されている。
以下、実施例1の連続加熱処理装置における被処理物の連続加熱処理動作を説明する。
離型層3が塗布された被処理物である定着ベルト6をマンドレルに保持させ、パレット5にセットする。セットは図3中点線で示したCゾーンで行なう。
以下、実施例1の連続加熱処理装置における被処理物の温度制御動作を説明する。
連続加熱処理装置に数十枚あるパレット5のうちの1枚である温度測定用治具60が、加熱処理室Aに搬入された時点で被処理物である定着ベルト6の温度測定を開始する。温度測定開始後、一定間隔で熱電対62,62,62の温度データを温度測定制御部64が取り込み蓄積する。温度測定用治具60が、急冷処理装置Bを過ぎた所で温度測定を終了し、そのまま待機ゾーンGまで搬送される。待機ゾーンGには、温度測定結果受信装置67が設けられており、ここで温度測定制御部64に蓄積されたデータが送受信され、連続加熱処理装置の演算処理部へと送られ加熱ユニット40の出力に反映される。
以下、実施例1の連続加熱処理装置における被処理物の温度制御作用を説明する。
第一に、赤外線ヒータを加熱手段とする焼成炉を使用した場合、被処理物の加熱に遠赤外線の放射熱が使用されることで、被処理物が受ける雰囲気温度の変化影響を小さくすることが出来る。しかし、加熱処理中の被処理物の温度を測定する場合、炉内中央付近の被処理物は非接触方式の放射温度計では手前の被処理物の陰になってしまうため測定(撮影)することがでず、また赤外線ヒータからの放射熱の影響を測定ノイズとして拾ってしまうという課題がある。
また、非接触型温度計による測定とすると、例えば、連続炉であるため加熱炉内中央付近の被処理物は手前の被処理物の陰になってしまうため測定(撮影)することができないし、赤外線ヒータからの放射熱の影響を測定ノイズとして拾ってしまう。
しかし、この場合、温度測定用の被処理物と制御部とが有線で接続されているため、被処理物を焼成中に移動させるようなことは出来ず、連続搬送方式の炉には用いることが出来ない。つまり、熱電対による接触式の温度測定方法では、制御部との間が有線で接続されることになり、連続搬送方式を用いている連続加熱処理装置等のように、被処理物が回転・移動をする場合には用いることが出来ないという課題がある。
これに対し、実施例1では、演算処理部は、赤外線ヒータ21(加熱手段)の状態を監視する監視手段からの監視結果と、温度測定制御部64から転送された測定結果を利用し、定着ベルト6(被処理物)の離型層3(表面層)が焼成可能な温度域に入るように、定着ベルト6の表面温度を制御する温度制御手段を有する構成とした。
このように、被処理物の表面層が焼成可能な温度域に入るように定着ベルト6の表面温度を制御することで、赤外線ヒータ21の劣化等による出力の低下、また外乱(外気温、気温、気圧の変化)や塗布材料の変化があっても、定着ベルト6(被処理物)の表面温度を焼成可能域内に調整することができ、焼成不良品の発生を抑えることが出来る。
これに対し、実施例1では、熱電対62,62,62(温度測定手段)は、測定用の被焼成物の軸方向に3点の位置で温度を測定する構成とした。
このように、軸方向に3点の位置で温度を測定して制御を行なうことで、被処理物の軸方向の加熱ムラを低減させることができ、焼成不良品の発生を抑えることが出来る。
これに対し、実施例1では、熱電対62,62,62(温度測定手段)は、円筒形状をした定着ベルト6(被処理物)の内面の温度測定する構成とした。
このように、定着ベルト6の内側から一定の圧力で熱電対62を測定用の定着ベルト6に接触させ、定着ベルト6の内面温度を測定することで、熱電対62自体が赤外線ヒータ21からの放射熱により加熱されることで生じる測定誤差を低減することができ、より正確な定着ベルト6の表面温度を測定することが出来る。
これに対し、実施例1では、熱電対62は、定着ベルト6の内側から一定の圧力で温度測定部を被処理物に接触させ、温度を測定する構成とした。
このように、定着ベルト6の内側から一定の圧力で熱電対62を接触させ、温度を測定することで、熱電対62の接触不良から生じる測定誤差を低減することができ、より正確な被処理物表面温度を測定することが出来る。
これに対し、実施例1では、演算処理部は、測定結果転送手段から転送された温度測定データと、基準となる温度基準データと比較して、赤外線ヒータ21を制御する加熱制御手段を有する構成とした。
このように、連続加熱処理装置へ転送した温度データと、基準となる温度データとを比較し連続加熱処理装置を制御することで、被処理物の表面温度を一定に保つことができ、焼成不良品の発生を抑えることが出来る。
この課題に対し、実施例1では、温度測定結果を転送する測定結果転送手段を、非接触通信方法による手段とした。
このように、非接触通信方法を採用したため、接続部分の接触不良による通信エラーを防ぐことができ、測定データの信頼性を向上させることが出来る。
実施例1の連続加熱処理装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることが出来る。
2 弾性層(シリコーンゴム)
3 離型層(フッ素樹脂)
4 プライマ層(接着層)
5 パレット
6 定着ベルト(被処理物)
7 円形板
8 軸
9 回転軸
10 スプロケット
11 ベアリング
12 クラッチ
13 ベース
14 ガイドレール
15〜20 アクチュエータ
21 赤外線ヒータ
22 断熱板
23a,23b シャッター
24 霧化装置
25 排気ダクト(急冷用)
26a,26b 放射温度計
27 冷却用ファン
28 ガイド付シリンダ
29 係合ピン
30 自転チェーン
31 自転モータ(回転駆動手段)
32 急冷用モータ
40 加熱ユニット
41 排気ダクト(焼成用)
50 加熱ゾーン
51 電熱線
60 温度測定用治具
61 温度測定用被処理物
62 熱電対
63 熱電対保持軸
64 温度測定制御部
65 温度測定マンドレル用円形板
66 温度測定マンドレル用軸
67 温度測定結果受信装置
68 スプリングプランジャー
Claims (8)
- 円筒形体の外側面の表面層を加熱処理する装置であって、
加熱処理対象の被処理物を、その円筒の軸が垂直になるように保持する被処理物保持手段と、
前記被処理物を、その円筒の軸を中心に回転するように前記被処理物保持手段を回転させる回転駆動手段と、
前記表面層を加熱処理する加熱手段を備えた加熱処理室と、
前記被処理物を前記加熱処理室外部から加熱処理室入口、加熱処理室、加熱処理室出口を順次通り、該加熱処理装置外部へと導く被処理物搬送路と、
前記被処理物保持手段で保持された前記被処理物を前記被処理物搬送路上で移動させて、前記加熱処理室内に搬入するとともに、熱処理終了後の該被処理物を該加熱処理室外へ搬出する被処理物搬送手段と、
を備えた連続加熱処理装置において、
前記加熱手段は、前記加熱処理室の被処理物搬送路の両側面に設けられている赤外線ヒータであるとともに、少なくとも1つ以上の前記被処理物保持手段に、被処理物の温度を測定する温度測定手段が配置されていることを特徴とする連続加熱処理装置。 - 請求項1に記載の連続加熱処理装置において、
前記温度測定手段で測定した結果を記録する測定結果記録手段と、前記測定結果記録手段に記録されたデータを連続加熱処理装置の演算処理部に転送する測定結果転送手段と、を温度測定用の被処理物保持手段に搭載したことを特徴とする連続加熱処理装置。 - 請求項2に記載の連続加熱処理装置において、
前記演算処理部は、前記加熱手段の状態を監視する監視手段からの監視結果と、前記転送された測定結果を利用し、被処理物の表面層が焼成可能な温度域に入るように、被処理物の表面温度を制御する温度制御手段を有することを特徴とする連続加熱処理装置。 - 請求項1乃至3の何れか1項に記載の連続加熱処理装置において、
前記温度測定手段は、温度測定用の被処理物の軸方向に少なくとも3点以上の位置で温度を測定することを特徴とする連続加熱処理装置。 - 請求項1乃至4の何れか1項に記載の連続加熱処理装置において、
前記温度測定手段は、円筒形状をした被処理物の内面温度を測定することを特徴とする連続加熱処理装置。 - 請求項1乃至5の何れか1項に記載の連続加熱処理装置において、
前記温度測定手段は、被処理物の内側から一定の圧力で温度測定部を被処理物に接触させ、温度を測定することを特徴とする連続加熱処理装置。 - 請求項2乃至6の何れか1項に記載の連続加熱処理装置において、
前記演算処理部は、前記測定結果転送手段から転送された温度測定データと、基準となる温度基準データと比較して、前記加熱手段を制御する加熱制御手段を有することを特徴とする連続加熱処理装置。 - 請求項2乃至7の何れか1項に記載の連続加熱処理装置において、
前記測定結果転送手段を、非接触通信方法による手段としたことを特徴とする連続加熱処理装置。
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