JP4824471B2 - 自動変速機のクラッチ油圧指令値生成方法およびその装置 - Google Patents

自動変速機のクラッチ油圧指令値生成方法およびその装置 Download PDF

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本発明は、自動変速機のクラッチ油圧指令値の生成、特に油圧系の動作遅延を考慮するものに関する。
従来より、自動変速機においては、クラッチパックにおける各段のディスク同士の係合解放により各段の変速切換が行われている。このクラッチパックにおける係合解放時のディスクの移動は、油圧系から供給されるクラッチ油圧により制御される。
ここで、油圧系は、油圧ポンプからの油圧を電磁弁やオリフィスを介し、クラッチパックへ供給する。従って、得られるクラッチ油圧には、遅延が生じるため、変速時のクラッチ油圧の指令値は油圧系の遅延時間などを考慮して決定する必要がある。
このために、油圧系をモデルを用いて表現し、指令値を決定することが行われている。ここで、油圧系のモデルを正確なものにすると、その次数が高くなるため、計算時間が長くなる。そこで、二次の簡易モデルを利用することも行われている。特許文献1〜3では、油圧系を簡易モデルで表現し、出力軸回転数、油温、摩擦係合要素の回転数、油圧指令値、変速インターバルなどの状態量により係数が変化する構成としている。なお、“一次+むだ時間”で簡易モデル化する例として特許文献4がある。
また、特許文献1、3、5では、簡易モデルを伝達関数モデルで表現し、簡易伝達関数を逆モデルとして用いることで制御対象の応答特性(固有振動数、減衰特性)を打ち消すとともに、応答特性を改善させる伝達関数(2次)を直列に付加することにより、指令値生成を行っている。
特開2005−003071号公報 特開2002−122222号公報 特開2001−182818号公報 特開2005−315083号公報 特開2005−291000号公報
ここで、上記従来例では、簡易モデルの次数を一定としている。しかし、油圧系の特性は運転条件や油圧応答波形のパターン(速度)により応答特性が異なる。このため、条件によっては、簡易モデルが十分な精度を持たないおそれがある。
また、簡易伝達関数を用いる場合に、その次数を高くすれば、十分な精度が得られる。しかし、伝達関数の次数が増加するほど、フィードフォワード補償器の演算負荷が増加し、演算時間が長くなってしまう。特に、上記従来例のように無段変速機の逆モデル部を用いる場合、その逆モデル部においてその演算負荷が大きくなり計算に時間が掛かってしまう。
本発明は、自動変速機のクラッチ油圧指令値生成方法であって、油圧系の動作についての詳細モデルを用意し、クラッチ油圧の変化についての要求指令に基づき、その要求指令に基づくクラッチ油圧変化を達成するためにクラッチ油圧制御系における応答に求められる必要周波数帯域を求め、前記詳細モデルの周波数応答が前記必要な周波数帯域に該当する簡易モデルの次数を決定し、決定された次数の簡易モデルを利用して、前記要求指令に応じたクラッチ油圧を達成するためのクラッチ油圧指令値を算出することを特徴とする。
また、前記簡易モデルにおける係数を出力であるクラッチ油圧のレベルに応じて変更することが好適である。
また、本発明は、クラッチ油圧を決定する油圧系のクラッチ油圧指令値を矩形、ランプおよびステップの3つの波形を重ね合わせた時系列パターンとし、目標クラッチ油圧に応じて、矩形の高さ、ランプの傾き、ステップの高さを決定する自動変速機のクラッチ油圧指令値生成方法であって、前記油圧系についての下式で表される簡易モデルを用い、目標クラッチ油圧に応じて、矩形の高さをk×T ×T 、ランプの傾きをk、ステップの高さをk(T +T )に基づき決定することを特徴とする。
P(s)=[{1/(T ・s+1)}・{1/(T ・s+1)}]
ここで、P(s)はクラッチ油圧、T は第1時定数、T は第2時定数、sはラプラス演算子である。
また、本発明は、上述のような油圧クラッチのクラッチ油圧指令値生成装置に関する。
本発明によれば、簡易モデルにおける伝達関数の次数を設計要求に応じて変更する。従って、設計要求を満たす最小限の次数による簡易モデルでクラッチ油圧指令値の設計が可能となり、またモデルの次数を低くしすぎモデルが設計に十分でない精度になってしまうことを防止できる。また、モデルを簡易なものにできるため、コントローラの構成が簡素となり、車載のECUなどへの実装性が向上し、また演算負荷が軽減される。また、簡素なモデルを適用するため、同定試験によりモデル係数を求める時に精度が向上するという効果も得られる。
さらに、指令値を所定の時系列パターン(インパルス、ランプ、ステップの組合せ)の値(時間軸方向の長さ、指令値の大きさ)とした。このため、制御目標における傾きkと、制御対象における2つの時定数T1,T2とから、指令値の波形を求めることができる。従って、少ない演算負荷で、油圧指令値を計算することが可能になる。システマティックな指令値導出により、適合工数を削減できるというメリットがある。
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、自動変速機のクラッチ油圧制御系の構成を示すブロック図である。まず、目標となるクラッチ油圧である要求油圧がコントローラ10に供給される。コントローラ10は、簡易モデルを用いて、クラッチ油圧指令値を生成し、これをクラッチ油圧制御系12に供給する。クラッチ油圧制御系12は、クラッチ油圧指令値に応じて、ソレノイド弁などを制御してクラッチ油圧を制御する。
図2には、本実施形態の制御対象となる油圧制御系の概要が示されている。車両には、エンジン30が搭載されており、このエンジン30に自動変速機32が接続されている。そして、自動変速機32からの出力によってタイヤ34が回転され、車両が走行する。
この自動変速機32には、変速を行うための油圧制御系36が設けられている。油圧ポンプからのオイルは油圧調整弁によって所定のライン圧(元圧)に調整される。この油圧調整弁からの出力は、供給電流によって開度が制御されるリニアソレノイド弁、オリフィス・流路を介しクラッチパック46に供給される。このクラッチパック46は供給油圧によって内部のピストンに対するクラッチ油圧は変化し、これによってクラッチ板の係合解放が制御される。例えば、1速から2速への変速指令が出されたときには、上述のリニアソレノイド弁への電流値が変更され、クラッチパック46におけるクラッチ油圧が変更されて、1速のギアへの接続が解放され、2速のギアへ接続されて変速が行われる。
このような油圧制御系のモデルを用いてクラッチ油圧が算出される。ここで、この油圧制御系36は、図3に示すように、変速指令(油圧指令)はECU40に入力され、ECU40は指令に応じてリニアソレノイド弁42への電流値を変更する。これによって、オリフィス・流路44を介しクラッチパック46へ供給される油圧が変更され、クラッチパック46におけるクラッチ油圧が制御される。
このような自動変速機のモデルは、図4のように表される。ここで、オリフィス・流路44における流量をqc、クラッチピストンストロークをxc、クラッチ面積をAc、クラッチ油圧をPcとする。
まず、ECU40およびリニアソレノイド弁42においては、その動作に所定の遅れがある。オリフィス・流路44における流量qcは、qc=Co/Ao√[2(pl−pc)/ρ]となる。ここで、Coはオリフィスによって決定される流出定数、plはリニアソレノイド出力圧、pcは流出側圧力、ρはオイルの密度である。
そして、クラッチパック46においては、クラッチピストンストロークxcは、xc=∫qcdt/Ac、Pc=Kc・xc/Acとなり、このクラッチ油圧Pcが得られる。ここで、Kcは所定の定数である。なお、クラッチパック46におけるストロークxcはクラッチパック46の詰まり位置xc_maxが上限値となる。また、詰まり時のクラッチ作動圧Pcは、Pc=Kc・xc_max/Ac=Pc_maxである。
図5には、コントローラ10における簡易モデルの設定のフローチャートが示されている。
まず、クラッチ油圧制御系の物理詳細モデルを設定する(S1)。この物理詳細モデルは、図2に示した、クラッチ油圧の目標値(平衡値)を決定した場合における、油圧ポンプからの出力であるライン圧(元圧)、ECUからの指令値の出力、この指令値に基づくリニアソレノイド弁の動作、油圧配管におけるオリフィス等による動作遅れなどを考慮したモデルである。
得られた物理詳細モデルについて、対象とする運転条件毎に線形モデル化する(S2)。すなわち、各種の運転条件(平衡点)を定めて、この運転条件に基づいて、式(1)のように線形モデルを求める。
[式1]
P=(∂f/∂x0)(x−x0) (1)
ここで、f:油圧詳細モデル、P:クラッチ油圧、x:状態量(油圧他)、添え字0:平衡点である。なお、この式(1)は、通常10次以上の方程式となる。
動作応答としてのクラッチ油圧についてどのようなパターンを得るかという設計要求に基づいて、モデルの必要周波数帯域を求める(S3)。すなわち、例えば、応答がランプ的な変化でよいのか、それともステップ的な変化が必要か等によって、その応答を構成する周波数成分が異なり、必要周波数帯域が異なる。
各クラッチ油圧、油温毎に簡易モデル化し、そのモデルの周波数応答から、簡易モデル(伝達関数)の次数を決定する(S4)。すなわち、詳細モデルや、次数が異なる複数の簡易モデルについて、クラッチ油圧、油温などを設定することで、時定数が決定され、周波数特性が求められる。図6には、詳細モデル(10次以上)、一次遅れモデル、2次遅れモデルにより求めた周波数応答が示されている。ここで、図6では横軸が周波数、縦軸が制御におけるゲインを示している。このように、低周波数では一次遅れモデル、2次遅れモデルのいずれも詳細モデルと一致するが、周波数が高くなるにつれ、一次遅れモデルが詳細モデルと離れ始め、次に2次遅れモデルが詳細モデルから離れる。そして、S13において決定した必要周波数帯域から詳細モデルから離れない次数の簡易モデルを選択する。図6の場合には、必要周波数帯域を満足するためには2次遅れモデルが必要であり、次数は2次に決定される。
図6の低次元化前のゲインは式(1)において線形化したモデルにおいて、クラッチ油圧指令から出力油圧までのボード線図を、例えばMatlabのControl Toolboxの関数''bote''を用いて計算したものである。
また一次や二次のモデルの低次元化は、同じくMatlabのSignal Toolboxの関数''invfregs''を用いて詳細モデルのボード線図から低次元化することが可能である。
このようにして、簡易モデルの次数が決定された場合には、同定試験または簡易モデルを用いたシミュレーションにより、そのモデルの係数を決定する(S5)。すなわち、各種条件において、動作する簡易モデルを決定する。
そして、この簡易モデルを利用して、目標となる要求クラッチ油圧に応じたクラッチ油圧指令値を算出する(S6)。
例えば、式(2)に示す1次遅れの伝達関数を利用した簡易モデルを利用して、指令値を生成する。
[式2]
P=(1/(T・s+1)・(u−u0)) (2)
ここで、T:時定数、u:指令値、s:ラプラス演算子である。
このように、本実施形態では、簡易モデルにおける伝達関数の次数を設計要求に応じて変更する。特に、設計要求を満たす最小限の次数による簡易モデルでクラッチ油圧指令値の設計が可能となり、またモデルの次数を低くしすぎモデルが設計に十分でない精度になってしまうことを防止できる。また、コントローラの構成が簡素となり、車載のECUなどへの実装性が向上し、また演算負荷が軽減される。また、可能な限り簡素なモデルを適用するため、同定試験によりモデル係数を求める時に精度が向上するという効果も得られる。
「遅い応答要求の例」
ここで、遅い応答要求(設計要求)として、ランプ変化するクラッチ油圧応答(詳細モデル、図9における下の破線)を再現するために、図7に示すようにクラッチ油圧で係数が変更される1次遅れで簡易モデル化した例について説明する。
例えば、ステップ状のクラッチ油圧指令値Duty constがテーブル20に入力されると、テーブル20は、クラッチ油圧指令値と、定常クラッチ油圧の関係を示すマップ(式でもよい)に基づいて、クラッチ油圧指令値Pconstを生成し出力する。このクラッチ油圧指令値Pconstは、簡易モデル22に供給される。この簡易モデル22は、P=(1/(T・s+1)Pconstという動特性を有している。従って、入力Pconstに対し一次の伝達遅れのクラッチ油圧Pが得られる。
ここで、簡易モデル22は、テーブル22aを有している。このテーブル22aは、油温およびクラッチ油圧に応じた時定数Tを記憶するものである。そこで、簡易モデル22の出力であるクラッチ油圧Pがフィードバックされて簡易モデル22の時定数Tが書き換えられることになる。
図8において破線は、クラッチがランプ変化する条件において線形化した詳細モデルの周波数応答である。また同図の矢印←→で示した周波数帯域は、設計要求として比較的遅いランプ変化する場合の応答周波数(2〜3Hz)である。この矢印で示される周波数帯域内で詳細モデルの周波数特性(破線)は、同図に実線で示される1次遅れのモデル(伝達関数)であれば十分再現可能であることがわかる。なお、図8の上図は縦軸が制御ゲイン[dB]、下図は縦軸が位相[度]を示している。
図9は、ランプ変化する指令値に対して、詳細モデルと簡易モデルの二つの時間応答波形を比較している。両者ほぼ一致しており、一次遅れモデルは十分な精度であることがわかる。なお、同図において0秒までで両者がずれているのは、シミュレーション初期値の違いのためである。
「速い応答要求の例」
速い応答要求(設計要求)として、ステップ変化する指令値に対するクラッチ油圧応答の場合を示す。
図10は、図8で示した一次遅れモデルと詳細モデルを用いてシミュレーションした結果である。簡易モデルは詳細モデルの波形と一致せず、一次遅れの簡易モデルでは精度不足であることがわかる。そこで、2次遅れで簡易モデル化した場合ついて、図11に示す。このように、2次遅れでモデル化した場合には、簡易モデルの周波数特性(ゲインおよび位相)は、ステップ応答で必要な10Hz近傍まで詳細モデルの周波数特性を再現しており、十分な精度であることがわかる。
図12は、ステップ変化する指令値(クラッチ指令)に対して、詳細モデルと簡易モデルの二つの時間応答(クラッチ油圧)波形を比較している。両者の応答波形はほぼ一致しており、二次遅れモデルは十分な精度であることがわかる。
「その他の構成」
上記具体例では、1次遅れと2次遅れのモデル(p(s):伝達関数)の例を示したが、他に式(3)に示す無駄時間を付加するモデルや式(4)に示す形の2次遅れモデルを用いてもよい。
[式(3)]
p(s)={1/(T・s+1)}e[−Tm・s] (3)
ここで、Tm:無駄時間である。
p(s)={1/(T1・s+1)・(T2・s+1)} (4)
ここで、T1,T2:時定数である。
また上記具体例では、簡易モデルの係数を“クラッチ油圧と油温”に基づき変更するようにしたが、“クラッチ油圧(簡易モデル出力値)の変化率”で変更するようにしても良い。
「指令値計算の具体例」
式(4)の2次の簡易モデルを対象に指令値計算の具体例を示す。この例では、上述した図2のモデルにおいて、リニアソレノイド弁42を制御するドライバであるECU40のモデルと、リニアソレノイド弁42のモデルの2つからなり、それぞれにおいて一次の遅延があり、全体としては、2次の遅延を有する伝達関数からなるモデルとなっている。すなわち、図13に示すように、簡易モデルは、2つの1次遅延モデルを直列接続した2次遅れモデルである。
「制御目標」
まず、クラッチ油圧を所定値に上昇させるためには、定常状態から、指定された傾き、指定されたタイミングで、油圧をスイープアップさせ、指定の傾きでスイープアップ中に、指定された傾き、指定されたタイミングで、油圧をスイープアップさせることが必要である。従って、図14のようにクラッチ油圧を変化させるためのクラッチ油圧指令値と、図15のようにクラッチ油圧を変化させるためのクラッチ油圧指令値を求める。
「制御ロジックの導出」
(i)ランプ入力
制御対象であるクラッチ油圧をP(s)とし、これに対し、時刻0で傾きkのランプ入力を加えた際の応答波形を解析的に求める。
まず、クラッチ油圧は、式(11)で表される。
Figure 0004824471
出力波形y(t)をラプラス変換したY(s)は、式(12)で表される。
Figure 0004824471
このY(s)を変形すると、式(13)となる。
Figure 0004824471
よって、応答波形y(t)の解析表現は、式(14)のようになる。
Figure 0004824471
ここで、制御対象であるクラッチ油圧P(s)に対し単位ステップ入力を加えた時の時間応答y1(t)を求めてみる。
まず、y1(t)をラプラス編変改したY1(t)は、式(15)のようになる。
Figure 0004824471
よって、応答波形y1(t)の解析表現は、式(16)のようになる。
Figure 0004824471
つぎに、制御対象P(s)に対し単位インパルス入力を加えた時の時間応答y2(t)を求めて見る。
まず、y2(t)をラプラス編変改したY2(s)は、式(17)のように表される。
Figure 0004824471
よって、応答波形y2(t)の解析表現は、式(18)のようになる。
Figure 0004824471
以上の準備をふまえて、式(14)をみると、式(19)のような形になっている。
Figure 0004824471
これより、制御対象P(s)に対し、傾きkのランプ入力を加えた際の応答波形は、 加えられたランプ入力に対して、(a)P(s)に大きさk×(T1+T2)のステップ入力を加えた際の応答波形y1(t)、(b)P(s)に大きさk×T1×T2のインパルス入力を加えた際の応答波形y2(t)を差し引いた応答となる。
そして、重ね合わせの原理より、定常状態から、指定された傾きk、指定されたタイミングで、油圧をスイープアップさせるには、油圧指令値は図16のようにすればよいことがわかる。
すなわち、指令値の波形は、時間幅τであってその+方向高さがk×T1×T2のインパルス入力(k×T1×T2/τ)、+方向高さk(T1+T2)のステップ入力、傾きkのランプ入力の加算で形成され、傾きkのスイープ開始指示に応答し、k(T1+T2)のステップ入力と、k×T1×T2/τのインパルス入力がなされることによって、傾きkのランプ波形が得られる。なお、k(T1+T2)は目標油圧に対するオフセット量となっている。また、τは、できるだけ小さい方がよく、現実的には32msec(1制御周期)程度に設定される。
また、重ね合わせの原理より、指定された傾きkでスイープアップ中に、別の指定された傾き(傾きが減る方向であって下記例ではk=0)、指定されたタイミングで、油圧をスイープアップさせるには、油圧指令値は図17のようにすればよいことがわかる。
すなわち、指令値の波形は、時間幅τであってそのマイナス方向高さがk×T1×T2のインパルス入力(k×T1×T2/τ)、−方向高さk(T1+T2)のステップ入力、新しい傾き(この例ではk=0)のランプ入力の加算で形成され、傾き変更開始指示に応答し、−k(T1+T2)のステップ入力と、−k×T1×T2/τのインパルス入力がなされることによって、傾き0のランプ波形が得られる。なお、−k(T1+T2)によりオフセット入力が0になる。また、τは、上述の場合と同様に、できるだけ小さい方がよく、現実的には32msec(1制御周期)程度に設定される。
このようにして、定常状態から傾きkで上昇し、所定値に達した場合にまた一定の定常状態になる波形を得ることができる。
ここで、下記の要件にて、シミュレーションを実施した結果を図18に示す。すなわち、(a)時刻0.5[sec]に300[kpa/sec]の傾きでスイープアップ開始し、(b)時刻0.9[sec]で、スイープアップ中止(油圧を一定に保つ)する、という目標油圧波形を実現する為の、指令油圧を上述したアルゴリズムに基づき生成し、上述したモデルによる油圧シミュレータにてシミュレーションを実施した。
図18より、本実施形態のクラッチ油圧指令値を用いることで目標波形が得られることがわかる。
このように、本実施形態によれば、自動変速機の変速時における油圧応答は、クラッチの詰り開始状態からランプ状に昇圧させる(あるいはその逆の)ある決められたパターンしか採らないことに着目し、このパターンに対応し予め定めた指令値の時系列パターン(インパルス、ランプ、ステップの組合せ)の値(時間軸方向の長さ、指令値の大きさ)を決定するようにした。このため、制御目標における傾きkと、制御対象における2つの時定数T1,T2とから、指令値の波形を求めることができる。従って、少ない演算負荷で、油圧指令値を計算することが可能になる。システマティックな指令値導出により、適合工数を削減できるというメリットがある。
クラッチ油圧制御系の構成を示すブロック図である。 クラッチ油圧制御系の全体構成の概要を示す図である。 油圧系のブロック図である。 油圧系の制御内容を示す図である。 油圧指令値の生成を示すフローチャートである。 モデルの周波数応答を示す図である。 一次簡易モデルの構成を示す図である。 一次簡易モデルと詳細モデルの周波数特性の比較を示す図である。 一次簡易モデルと詳細モデルのシミュレーション(ランプ)結果の比較を示す図である。 一次簡易モデルと詳細モデルのシミュレーション(ステップ)結果の比較を示す図である。 二次簡易モデルと詳細モデルの周波数特性の比較を示す図である。 ステップ指令値入力時の二次簡易モデルと詳細モデルの比較を示す図である。 油圧制御系の二次簡易モデルを示す図である。 所定の傾きでランプ状にアップする油圧を説明する図である。 所定の傾きでアップしている状態から一定の状態に移行する油圧を説明する図である。 所定の傾きでランプ状にアップする油圧を発生させるための油圧指令値を説明する図である。 所定の傾きでアップしている状態から一定の状態に移行する油圧を発生させるための油圧指令値を説明する図である。 油圧をランプ状に上昇させ一定値とするための指令値を説明する図である。
符号の説明
10 コントローラ、12 クラッチ油圧制御系、20 テーブル、22 簡易モデル、22a テーブル、30 エンジン、32 自動変速機、34 タイヤ、36 油圧制御系、42 リニアソレノイド弁、44 オリフィス・流路、46 クラッチパック。

Claims (5)

  1. 自動変速機のクラッチ油圧指令値生成方法であって、
    油圧系の動作についての詳細モデルを用意し、
    クラッチ油圧の変化についての要求指令に基づき、その要求指令に基づくクラッチ油圧変化を達成するためにクラッチ油圧制御系における応答に求められる必要周波数帯域を求め、
    前記詳細モデルの周波数応答が前記必要な周波数帯域に該当する簡易モデルの次数を決定し、
    決定された次数の簡易モデルを利用して、前記要求指令に応じたクラッチ油圧を達成するためのクラッチ油圧指令値を算出することを特徴とするクラッチ油圧指令値生成方法。
  2. 請求項1に記載のクラッチ油圧指令値生成方法において、
    前記簡易モデルにおける係数を出力であるクラッチ油圧のレベルに応じて変更することを特徴とするクラッチ油圧指令値生成方法。
  3. クラッチ油圧を決定する油圧系のクラッチ油圧指令値を矩形、ランプおよびステップの3つの波形を重ね合わせた時系列パターンとし、
    目標クラッチ油圧に応じて、矩形の高さ、ランプの傾き、ステップの高さを決定する自動変速機のクラッチ油圧指令値生成方法であって、
    前記油圧系についての下式で表される簡易モデルを用い、目標クラッチ油圧に応じて、矩形の高さをk×T ×T 、ランプの傾きをk、ステップの高さをk(T +T )に基づき決定することを特徴とするクラッチ油圧指令値生成方法。
    P(s)=[{1/(T ・s+1)}・{1/(T ・s+1)}]
    ここで、P(s)はクラッチ油圧、T は第1時定数、T は第2時定数、sはラプラス演算子である。
  4. 油圧クラッチのクラッチ油圧指令値生成装置であって、
    油圧系の動作についての詳細モデルを用意し、
    クラッチ油圧の変化についての要求指令に基づき、その要求指令に基づくクラッチ油圧変化を達成するためにクラッチ油圧制御系における応答に求められる必要周波数帯域を求め、
    前記詳細モデルの周波数応答が前記必要な周波数帯域に該当する簡易モデルの次数を決定し、
    決定された次数の簡易モデルを利用して、前記要求指令に応じたクラッチ油圧を達成するためのクラッチ油圧指令値を算出することを特徴とするクラッチ油圧指令値生成装置。
  5. クラッチ油圧を決定する油圧系のクラッチ油圧指令値を矩形、ランプおよびステップの3つの波形を重ね合わせた時系列パターンとし、
    目標クラッチ油圧に応じて、矩形の高さ、ランプの傾き、ステップの高さを決定する自動変速機のクラッチ油圧指令値生成装置であって、
    前記油圧系についての下式で表される簡易モデルを用い、目標クラッチ油圧に応じて、矩形の高さをk×T ×T 、ランプの傾きをk、ステップの高さをk(T +T )に基づき決定することを特徴とするクラッチ油圧指令値生成装置。
    P(s)=[{1/(T ・s+1)}・{1/(T ・s+1)}]
    ここで、P(s)はクラッチ油圧、T は第1時定数、T は第2時定数、sはラプラス演算子である。
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