JP4824154B2 - 粘着剤及びその粘着剤を用いた光学部材用表面保護フィルム - Google Patents

粘着剤及びその粘着剤を用いた光学部材用表面保護フィルム Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、粘着剤及びその粘着剤を用いた光学部材用表面保護フィルムに属する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置のパネルは液晶セルに粘着剤を介して偏光板や波長板などの光学部材を貼り合わされることにより形成されている。液晶セルに貼り合わせるこれらの光学部材は傷や汚れなどから保護するため表面保護フィルムが粘着剤を介して貼り合わされている。そして、光学部材を液晶セルに貼り合わせるなどして表面保護が不要となった段階で表面保護フィルムは剥離して除去される。
【0003】
従って、表面保護フィルムと光学部材との間に介在する粘着剤としては、光学部材間や光学部材と液晶セルとの間に介在する粘着剤よりも粘着力の弱いものが適用されるとともに、剥離後に光学部材の表面に残ることのないように表面保護フィルム側に形成されている。
尚、パネルの組み立て工程等では光学部材と液晶セルの接着状態の安定化を目的に加熱によるエージング処理が施されるときもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、液晶表示装置が大型化してきているため、偏光板等の上記の光学部材を液晶セルに貼り合わせた後に、表面保護フィルムを剥離する際に、粘着力が強くて剥離するのに大きな力を要し、作業性が悪い等の不具合が生じている。また、剥離に必要な力が極度に大きい場合には液晶セルのセルギャップが変わり表示品位を落とす等の問題がある。特に前記したエージング処理を施した場合にはその処理時の加熱で光学部材と保護フィルムとの接着力も大きく上昇しているので剥離不良を生じやすい。
【0005】
それ故、この発明の第一の課題は、表面保護が不要となる段階までは必要な粘着力を有するとともに、表面保護が不要となった時には保護フィルムを光学部材から容易に剥離できるような粘着剤を提供することにある。第二の課題は、そのような適度の粘着性と剥離性とを兼ね備えた表面保護フィルムを提供することにある。第三の課題は、表面保護フィルムを剥離後も光学部材を清浄に保つことのできる表面保護フィルム及びそのための粘着剤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
その課題を解決するために、この発明は
光学部材保護フィルムにおける粘着層を形成する粘着剤において、その主成分ポリマーが、
アルキル基の炭素数が3〜10個の第一のアクリル酸系アルキルエステルと、アルキル基の炭素数が12〜20個であってそのアルキル基が分岐している第二のアクリル酸系アルキルエステルとの共重合物であり、前記第二のアクリル酸系アルキルエステルのモノマー分率が5重量%以上28.8重量%以下であり、該粘着剤は、架橋構造を有する粘着層を形成するものであることを特徴とする。
【0007】
本発明においては粘着剤の主成分ポリマーの側鎖として単に長鎖アルキル基を導入するだけでなく、その長鎖アルキル基を分岐しているものとする。アルキル基が分岐しているアクリル酸系アルキルエステルは、結晶化しにくいので、重合時に未反応物として残存しても粘着層中で白点とならない。従って、分岐した長鎖アルキル基を側鎖として導入することにより軽剥離性を達成すると同時に粘着層の外観を向上させることができる。
【0008】
前記第二のアクリル酸系アルキルエステルのモノマー分率は、5重量%以上である。5重量%に満たないと、剥離をしやすくする作用が乏しくなるからである。同じく第二のアクリル酸系アルキルエステルのモノマー分率は、28.8重量%以下である。28.8重量%を超えると粘着力が乏しくなるからである。
【0009】
更に前記主成分ポリマーを構成する第三のモノマーとして、炭素数が7以下のヒドロキシアルキル基を有するアクリル酸ヒドロキシアルキルエステルを含むと好ましい。保護フィルムに形成される粘着剤は、保護フィルムを剥がした後に相手側光学部材の表面に粘着剤が残らないようにするために、架橋点として水酸基を有するモノマーを共重合することが多い。
【0010】
しかし、配合によってはモノマー溶液が均一に溶解せず、重合が均一に進行しない問題があった。重合の不均一性は反応率の低下を招き、結局、未反応物の結晶化を生じやすくする。そこで本発明では、架橋剤となるモノマーエステルのアルキル基の炭素数を7個以下、好ましくは5個以下とすることで、モノマー溶液が均一に溶解し、重合が均一に進行するようにした。尚、このモノマーエステルの水酸基はアルキル基の末端に結合しているのが架橋率の点で好ましい。
【0011】
上記の粘着剤と、この粘着剤を表面に形成した保護基材とからなるものは、光学部材の表面を保護するための保護フィルムとして有用である。
前記光学部材としては、以下に詳述するが反射型偏光板、半透過型偏光板、偏光分離偏光板などの各種偏光板、波長板及びそれらの積層体が挙げられる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1に断面図として示すように、表面保護フィルム1は、保護基材11に粘着剤による粘着層12を設けてその粘着層と共に保護基材11を光学部材2より剥離できるように形成されている。光学部材2の反対側の面には液晶セルに貼り合わせるために別の粘着剤からなる粘着層21が形成されており、この粘着層21が液晶セルに装着するまでに予定外の箇所に接着することのないように離型フィルム3で覆われている。
【0013】
保護基材としては、従来に準じた適宜な薄葉体を用いることができ、特に限定はない。一般には透視性による光学部材の検査性や管理性などの点より例えば、ポリエステル系樹脂やアセテート系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂やポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂やポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂やアクリル系樹脂の如き透明なポリマーからなるフィルムやゴムシート、それらのラミネート体などよりなる保護基材が用いられる。保護基材の厚さは、強度等に応じて適宜に決定でき、一般には500μm以下、就中5〜300μm、特に10〜200μmとされる。
【0014】
粘着層12、21の形成には、透視性や耐候性や耐熱性などの点より一般的にアクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤が用いられるが、表面保護フィルムに適用される粘着層12について以下に詳述する。
粘着剤の主成分ポリマーを構成するモノマーのうち、前記第一のアクリル酸系アルキルエステルとしては適宜なものを用いることができ、特に限定はないが一般には例えば、メチル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などの炭素数3〜10個の直鎖アルキル基を有するアクリル酸もしくはメタクリル酸のエステルからなるものの1種又は2種以上が用いられる。
【0015】
また、前記第二のアルキルエステルとしては、ラウリル基やトリデシル基、テトラデシル基やステアリル基、オクタデシル基などの炭素数が12〜20個であって分岐しているアルキル基を有するアクリル酸やメタクリル酸のエステルからなるものの1種又は2種以上が用いられる。この第二のアクリル酸系アルキルエステルの好ましい含有量は、前記の通りである。
【0016】
また、官能基や極性基を導入することによる粘着性の改良、生成共重合体のガラス転移温度の制御による凝集力や耐熱性の改良、架橋反応性の付与による分子量の増大などのように粘着特性を改質することもできる。これらの改質手段として、アクリル酸やメタクリル酸、カルボキシエチルアクリレートやカルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸やマレイン酸、フマール酸やクロトン酸の如きカルボキシル基含有モノマー、無水マレイン酸や無水イタコン酸の如き酸無水物モノマー、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルや(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチルや(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキシルの如きヒドロキシル基含有モノマーなども用いることができる。
【0017】
さらに(メタ)アクリルアミドやN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミドやN−メチロール(メタ)アクリルアミドの如き(N置換)アミド系モノマー、(メタ)アクリル酸アミノエチルや(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチルの如き(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキル系モノマー、(メタ)アクリル酸メトキシエチルや(メタ)アクリル酸エトキシエチルの如き(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー、N−シクロヘキシルマレイミドやN−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミドやN−フェニルマレイミドの如きマレイミド系モノマーなども用いることができる。
【0018】
また更にN−メチルイタコンイミドやN−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミドやN−オクチルイタコンイミドの如きイタコンイミド系モノマー、N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミドやN−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンメチレンスクシンイミドの如きスクシンイミド系モノマー、酢酸ビニルやプロピオン酸ビニル、N−ビニルピロリドンやメチルビニルピロリドン、ビニルピリジンやビニルピペリドン、ビニルピリミジンやビニルピペラジン、ビニルピラジンやビニルピロール、ビニルイミダゾールやビニルオキサゾール、ビニルモルホリンやN−ビニルカルボン酸アミド類、スチレンやα−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタムの如きビニル系モノマーなども用いることができる。
【0019】
加えてアクリロニトリルやメタクリロニトリルの如きシアノアクリレート系モノマー、(メタ)アクリル酸グリシジルの如きエポキシ基含有アクリル系モノマー(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールや(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコールや(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールの如きグリコール系アクリルエステルモノマー、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルやフッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートや2−メトキシエチルアクリレートの如きアクリル酸エステル系モノマーなども用いることができる。
【0020】
更に加えてジビニルベンゼンやブチルジアクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートや(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートやネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートやトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートやジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレートやポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどの多官能モノマーなども用いることができる。
【0021】
上記モノマーの共重合物であって粘着剤の主成分となるアクリル系ポリマーの調製は、例えば成分モノマーの混合物に溶液重合方式や乳化重合方式、塊状重合方式や懸濁重合方式等の適宜な方式を適用して行うことができる。本発明において好ましく用いうるアクリル系ポリマーは、耐熱性や粘着特性等の点より重量平均分子量が10万以上、就中20万以上、特に30万〜200万のものである。
【0022】
粘着層は、内部架橋方式や外部架橋方式等の適宜な方式で粘着剤を架橋処理することで形成される。一般には粘着剤に分子間架橋剤を配合して架橋処理する外部架橋方式が採られる。その分子間架橋剤としては、例えば多官能イソシアネート系架橋剤やエポキシ系架橋剤、メラミン樹脂系架橋剤や金属塩系架橋剤、金属キレート系架橋剤やアミノ樹脂系架橋剤、過酸化物系架橋剤などの適宜なものを用いうる。
【0023】
表面保護フィルムは、保護基材に粘着層を設けることにより得られる。例えばトルエンや酢酸エチル等の溶剤にベースポリマー等を溶解又は分散させて10〜40重量%程度のアクリル系粘着剤液を調製し、それを流延や塗工等の展開手段で保護基材上に直接付設する、あるいは一旦離型フィルム上に粘着層を形成してそれを保護基材上に転写するなどの方法により粘着層が形成される。なお粘着層を設ける保護基材面には、粘着層との密着力の向上等を目的にコロナ処理等の表面処理を施すことができる。
【0024】
粘着層には必要に応じて、前記特性や接着力等の制御を目的に例えば粘着性付与の如き天然物や合成物の樹脂類、酸化防止剤などの添加剤を配合することができる。また粘着層は、異なる組成又は種類等のものを重畳して保護基材に設けることもできる。粘着層の厚さは、粘着力や光学部材の表面粗さなどに応じて決定でき、一般には1〜500μm、就中5〜200μm、特に10〜100μmとされる。
【0025】
本発明においては光学部材に対する粘着力を、常温での20m/分の剥離速度による180度ピールに基づいて400gf/50mm以下、就中50〜350gf/50mm、特に100〜300gf/50mmに調節した粘着層であることが好ましい。なお表面保護フィルム、特にその保護基材の片面又は両面には、剥離時の帯電防止を目的に帯電防止層を設けることもできる。
【0026】
表面保護フィルムによる接着被覆対象の光学部材は、例えば偏光板や位相差板、それらを積層した楕円偏光板や反射型偏光板、半透過型偏光板や反射型楕円偏光板、半透過型楕円偏光板等の液晶パネルの形成などに用いられる適宜なものであってよく、その種類について特に限定はない。
従って、位相差板も1/2や1/4等の波長板や視角補償などの適宜な目的を有するものであってよい。なお光学部材が前記した楕円偏光板のような積層体の場合、その積層は粘着層等の適宜な接着手段で行うことができる。
【0027】
前記した偏光板の具体例としては、ポリビニルアルコール系フィルムや部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムの如き親水性高分子フィルムにヨウ素及び/又は二色性染料を吸着させて延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物の如きポリエン配向フィルムからなる偏光フィルムなどがあげられる。また偏光板は、偏光フィルムの片面又は両面に透明保護層を有するものなどであってもよい。
【0028】
反射型偏光板は、偏光板に反射層を設けたもので、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶パネルなどを形成するためのものであり、それによってバックライト等の光源の内蔵を省略できて液晶パネルの薄型化をはかることができる。
【0029】
なお上記した偏光板における透明保護層の形成には、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性等に優れるポリマーなどが好ましく用いられる。その例としては、ポリエステル系樹脂やアセテート系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂やポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂やポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂やアクリル系樹脂、あるいはアクリル系やウレタン系、アクリルウレタン系やエポキシ系やシリコーン系等の熱硬化型、ないし紫外線硬化型の樹脂などがあげられる。
【0030】
一方、上記した波長板の具体例としては、ポリカーボネートやポリビニルアルコール、ポリスチレンやポリメチルメタクリレート、ポリプロピレンやその他のポリオレフィン、ポリアレートやポリアミドの如き適宜なポリマーからなるフィルムを延伸処理してなる複屈折性フィルムや液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したものなどがあげあれる。
波長板は、液晶層の複屈折による着色の補償や視野角拡大等の視角の補償を目的としたものなどの使用目的に応じた適宜な位相差を有するものであってよく、厚さ方向の屈折率を制御した傾斜配向フィルムであってもよい。また2種以上の波長板を積層して位相差等の光学特性を制御したものなどであってもよい。
【0031】
なお前記の傾斜配向フィルムは、例えばポリマーフィルムに熱収縮性フィルムを接着して加熱によるその収縮力の作用化にポリマーフィルムを延伸処理又は/及び収縮処理する方式や液晶ポリマーを斜め配向させる方式などにより得ることができる。
光学部材は、上記した楕円偏光板や反射型偏光板や波長板の積層体の如く、2層又は3層以上の光学層を積層したものからなっていてもよい。従って反射型偏光板や半透過型偏光板と波長板を組合せた反射型楕円偏光板や半透過型楕円偏光板などであってもよい。
【0032】
2層又は3層以上の光学層を積層した光学部材は、液晶パネル等の製造過程で順次別個に積層する方式にても形成しうるものであるが、予め積層して光学部材としたものは、品質の安定性や組立作業性等に優れて液晶パネルなどの製造効率を向上させうる利点がある。
前記の粘着層21は、従来に準じた適宜な粘着剤にて形成することができる。就中、吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる液晶パネルの形成性などの点より、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着層であることが好ましい。
【0033】
光学部材に設けた粘着層が表面に露出する場合には、その粘着層を実用に供するまでの間、汚染防止等を目的に図例の如く離型フィルム3にて暫定的に被覆することが好ましい。離型フィルムは、上記の保護基材等と同様の材質のシート乃至フィルムの表面に、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離剤を設けることにより形成することができる。
【0034】
【実施例】
−実験例(モノマー溶液の溶解性)−
これは本発明の粘着剤の前駆体であるモノマー溶液の溶解性を調べる実験例である。
アクリル酸イソノニル90重量部、アクリル酸ステアリル10重量部及びアクリル酸2−ヒドロキシエチル4重量部を酢酸エチル100重量部を溶媒として混合し、本発明粘着剤の前駆体としてのモノマー溶液No.1を調整した。
また、アクリル酸2−ヒドロキシエチルの変わりにアクリル酸ヒドロキシブチルを用いた他はモノマー溶液No.1に準じてモノマー溶液No.2を調整した。
更にまた、アクリル酸2−ヒドロキシエチルの変わりにアクリル酸ヒドロキシヘキシルを用いた他はモノマー溶液No.1に準じてモノマー溶液No.3を調整した。
【0035】
別途、アクリル酸イソノニル50重量部、アクリル酸ステアリル50重量部及びアクリル酸2−ヒドロキシエチル4重量部を酢酸エチル100重量部を溶媒として混合し、モノマー溶液No.4を調整した。
また、アクリル酸2−ヒドロキシエチルの変わりにアクリル酸ヒドロキシブチルを用いた他はモノマー溶液No.4に準じてモノマー溶液No.5を調整した。
更にまた、アクリル酸2−ヒドロキシエチルの変わりにアクリル酸ヒドロキシヘキシルを用いた他はモノマー溶液No.4に準じてモノマー溶液No.6を調整した。
【0036】
上記モノマー溶液No.1〜6との比較のために、アクリル酸イソノニル90重量部、アクリル酸ステアリル10重量部及びアクリル酸ヒドロキシオクチル4重量部を酢酸エチル100重量部中で混合し、モノマー溶液No.R1を調整した。
同じく比較のために、アクリル酸イソノニル50重量部、アクリル酸ステアリル50重量部及びアクリル酸ヒドロキシオクチル4重量部を酢酸エチル100重量部中で混合し、モノマー溶液No.R2を調整した。
【0037】
[評価試験]
以上のモノマー溶液No.1〜6及びNo.R1、R2を20℃〜60℃の種々の温度に保持し、目視で観察した結果を表1に示す。
【表1】
Figure 0004824154
【0038】
No.1〜6とNo.R1、R2とを比較すれば、架橋剤となる第三のアクリル酸系ヒドロキシアルキルエステルのアルキル基の炭素数が7個以下であるときに、モノマー溶液が均一に溶解することが判る。尚、No.3と6では、低温ではやや白濁しているが、重合反応を行う高温領域では均一に溶解し、実使用上問題がない。
【0039】
−実施例1−
アクリル酸イソノニル90部(重量部、以下同じ)、アクリル酸イソステアリル10部及びアクリル酸2−ヒドロキシエチル4部をアゾビスイソブチロニトリル0.5部を開始剤として酢酸エチル150部中、約60℃で8時間重合反応させることによって、側鎖に分岐した長鎖アルキル基を有するポリマーの溶液を得た。このアクリル系ポリマー溶液にその固形分100部あたりイソシアネート系架橋剤(商品名:コロネートL、日本ポリウレタン工業株式会社社製)3部を加えて粘着剤シロップとし、それを厚さ38μmのポリエステルフィルム(保護基材)上に塗布して乾燥させ厚さ25μmのアクリル系粘着層を形成し、長尺の表面保護フィルムを製造した。
【0040】
別途、ポリビニルアルコールをヨウ素水溶液中で5倍に延伸した後に乾燥させ、両面にトリアセチルセルロースフィルムを接着剤を介して接着することにより偏光板を製造した。この偏光板の片面にアクリル酸ブチル100部とアクリル酸5部との共重合物からなる粘着剤を塗布し乾燥させて厚さ25μmの粘着層を形成し、その反対側に上記保護フィルムを貼り合わせた。
【0041】
−実施例2−
アクリル酸イソノニル70部、アクリル酸イソステアリル30部及びアクリル酸2−ヒドロキシエチル4部をアゾビスイソブチロニトリル0.5部を開始剤として酢酸エチル150部中、約60℃で8時間重合反応させることによって、側鎖に分岐した長鎖アルキル基を有するポリマーの溶液を得た。その他は実施例1に準じた。
【0042】
−比較例1−
アクリル酸イソノニル100部及びアクリル酸2−ヒドロキシエチル4部をアゾビスイソブチロニトリル0.5部を開始剤として酢酸エチル150部中、約60℃で8時間重合反応させることによって、ポリマーの溶液を得た。その他は実施例1に準じた。
【0043】
−比較例2−
アクリル酸イソステアリルに代えてアクリル酸ステアリルを用いた以外は実施例1に準じた。
−比較例3−
アクリル酸イソステアリルに代えてアクリル酸ステアリルを用いた以外は実施例2に準じた。
【0044】
[評価試験]
表面保護フィルムを貼り合わせた偏光板を300mm×200mmのサイズに切り出して、ガラス板に貼り付け、表面保護フィルムの角部を粘着テープでピックアップすることにより表面保護フィルムを偏光板から剥離した。このときガラス板自体が持ち上げられるなどの不具合が作業中に生じないかを確認した。また、表面保護フィルムを剥離した後に偏光板表面の汚染の有無を目視で観察した。これらの評価結果を表2に示す。評価枚数は各例とも5枚とした。
【0045】
【表2】
Figure 0004824154
【0046】
表2に示す結果からわかるように、粘着剤の主成分ポリマーが、側鎖に分岐した長鎖アルキル基を有することにより、表面保護フィルムを剥離するときの作業性に優れ、且つ表面保護フィルムで保護されていた光学部材を表面保護フィルム剥離後も清浄に保つことができる。
【0047】
【発明の効果】
以上のように、本発明粘着剤は、適度な粘着力と剥離時の優れた作業性を備えるので、液晶パネル組立における作業効率を改善するとともに液晶パネルの生産歩留まりを向上させることができる。また、光学部材の要求品質の向上に伴い、表面保護フィルムを剥離しなければ観察できない微小傷も不良と判定される検査工程がある場合において、一旦表面保護フィルムを剥離して検査工程を経た後に再度表面保護フィルムを貼り合わせることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態の表面保護フィルムを偏光板に貼り合わせた状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 表面保護フィルム
11 保護基材
12 粘着層(粘着剤の層)
2 光学部材(偏光板)
21 粘着層(粘着剤の層)
3 離型フィルム

Claims (5)

  1. 光学部材保護フィルムにおける粘着層を形成する粘着剤において、その主成分ポリマーが、
    アルキル基の炭素数が3〜10個の第一のアクリル酸系アルキルエステルと、アルキル基の炭素数が12〜20個であってそのアルキル基が分岐している第二のアクリル酸系アルキルエステルとの共重合物であり、前記第二のアクリル酸系アルキルエステルのモノマー分率が5重量%以上28.8重量%以下であり、該粘着剤は、架橋構造を有する粘着層を形成するものであることを特徴とする粘着剤。
  2. 更に前記主成分ポリマーを構成する第三のモノマーとして、炭素数が7以下のヒドロキシアルキル基を有するアクリル酸ヒドロキシアルキルエステルを含む請求項1に記載の粘着剤。
  3. 前記アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの水酸基がアルキル基の末端に結合している請求項2に記載の粘着剤。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の粘着剤と、この粘着剤を表面に形成した保護基材とからなり、光学部材の表面を保護するための保護フィルム。
  5. 前記光学部材が、反射型偏光板、半透過型偏光板、偏光分離偏光板などの各種偏光板、波長板及びそれらの積層体のいずれかである請求項4に記載の保護フィルム。
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