JP4823002B2 - 光学異方性フィルム、およびその製造方法 - Google Patents

光学異方性フィルム、およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光照射によって光学異方性を発現されたフィルム、その製造方法に関する。
ワードプロセッサやノートパソコン、パソコン用モニターなどのOA機器、携帯端末、テレビなどに用いられる画像表示装置としては、CRT(Cathode Ray Tube)がこれまで主に使用されてきた。近年、液晶表示装置が、薄型、軽量、且つ消費電力が小さいことからCRTの代わりに広く使用されてきている。そして、様々な高分子フィルムが、これらの画像表示装置に様々な用途で用いられるようになってきた。液晶表示装置は、液晶セルおよび偏光板を有する。偏光板は、通常、保護フィルムと偏光子とからなり、ポリビニルアルコールフィルムからなる偏光子をヨウ素にて染色し、延伸を行い、その両面を保護フィルムにて積層して得られる。また、画像表示装置のコントラスト向上や視野角範囲の拡大を実現するのに、光学補償フィルムや位相差フィルムが、多くの場合に用いられている。そのような光学補償フィルムや位相差フィルムとしては、屈折率異方性を有する延伸フィルムや液晶化合物を配向させて重合したフィルムが用いられている。液晶化合物を配向させて重合したフィルムの例としては、高分子液晶のメソゲン側鎖の末端にスペーサーを介してオキセタニル基等の重合性基を導入した材料の配向状態を固定化して形成したフィルム等が知られている(特許文献1)
近年、これらの液晶表示装置に用いられる高分子フィルムに関しては、液晶表示装置の視野角特性やコントラストをさらに高めるために、より精密な屈折率異方性の制御が求められている。同時に、製造面では製造コストの削減が課題となっている。このような現状において、前記延伸フィルムは、製造時の延伸方向が限定され、かつ精密な屈折率異方性の制御が難しいという問題を有している。一方、液晶化合物を配向させて重合したフィルムは、一般に配向膜、あるいは配向基板を用いて液晶化合物を配向させている。したがって、例えば、配向膜や配向基板を別途製造する必要があるため、製造工程が煩雑になるという問題を有している。さらに、精密な屈折率異方性の制御という観点においても、その屈折率異方性は前記配向膜、あるいは配向基板に大きく依存する。
そこで、近年、配向膜や配向基板を必要としない、屈折率異方性を有するフィルムの製造方法が開発されている。例えば、アゾベンゼン等の光異性化基を有する高分子化合物からなるフィルム、あるいは該高分子化合物と液晶化合物からなるフィルムに偏光を斜め方向から照射し、屈折率異方性を有するフィルムを製造する方法が知られている(例えば、特許文献2、3)。しかしながら、このように製造されたフィルムでは、前記光異性化基の配向や前記液晶化合物の配向が固定化されておらず、安定性の面で問題を有していた。
次に、架橋性基を有する液晶性モノマー(あるいはプレポリマー)と光反応性モノマー(あるいはオリゴマー、ポリマー)からなる混合物のフィルム状成形物に偏光を照射し、前記液晶モノマーを光配向させた後、再び光照射により該液晶モノマーを架橋して、その配向状態を固定化する屈折率異方性を有するフィルムの製造方法が知られている(例えば、特許文献4)。しかしながら、この方法では、偏光照射時に前記液晶モノマーの一部が重合してしまい、得られたフィルムの光学特性に問題が生じる問題がおこる場合がある。そのような問題を解決するために、偏光照射時に前記液晶モノマーの重合反応を抑える状態で光反応性モノマーを反応させる方法が採用されるが、このような方法は製造工程が煩雑になるとともに、得られたフィルムの架橋が十分でなく、傷つきやすくなる等の問題があると言われている。
一方、液晶ポリマーと光反応性化合物との混合物のフィルム状成形物を準備し、該フィルム状成形物に光を照射して前記光反応性化合物の分子構造を変化させ、前記液晶ポリマーが液晶状態を示す温度以上に加熱することにより液晶ポリマーを配向させた後、前記液晶ポリマーが液晶状態を示す温度未満に冷却して、その配向状態を固定する光学フィルムの製造方法が報告されている(例えば、特許文献5)。しかしながら、このような方法で製造された光学フィルムは、熱に対する安定性が弱く、液晶状態を示す温度以上に加熱すると屈折率異方性が減少、消失する等の問題を有していた。
さらに、メソゲン側鎖の末端にスペーサーを介して、あるいは直接シンナモイル基等の光反応性基を導入した高分子液晶において、偏光を照射した後、アニーリングを施すことにより再配向させてなる屈折率異方性を有するフィルムが開示されている(例えば、特許文献6〜8等)。しかしながら、これらの方法に関しても、アニーリングを施すことにより再配向できることから明らかなように、加熱によりその光学特性が大きく変動することから、熱に対する安定性が本質的に低い点が問題となる。
特開2004−123882号公報 特許第3315476号公報 特許第3312063号公報 特表2002−517605号公報 特開2005−62765号公報 特開2004−258426号公報 特開2002−90539号公報 特開平11−189665号公報
本発明は、上記課題を解決することを目的とするものであって、光学異方性が制御された高分子フィルムにおいて、熱に対する安定性が改善された光学異方性フィルムおよびその製造方法を提供することである。
かかる状況のもと、本発明者が鋭意検討した結果、下記手段により上記課題を解決しうることを見出した。
(1)重合性基とメソゲン基の両方を有する繰り返し単位と、光反応性基を有する繰り返し単位とを構成単位として含む高分子重合体を含む組成物。
(2)前記重合性基とメソゲン基の両方を有する繰り返し単位が下記一般式(1)で表される繰り返し単位である、(1)に記載の組成物。
一般式(1)
Figure 0004823002
(式中、R1は水素原子または置換基を表し、S1およびS2はそれぞれ独立して二価の連結基を表し、Mはメソゲン基を表し、P1は重合性基を示す。)
(3)前記重合性基が、カチオン重合性基である、(1)または(2)に記載の組成物。
(4)前記重合性基が、環状エーテル基、オキセタニル基またはビニルエーテル基である、(1)または(2)に記載の組成物。
(5)前記光反応性基を有する繰り返し単位が下記一般式(2)で表される繰り返し単位である、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の組成物。
一般式(2)
Figure 0004823002
(式中、R1は水素原子または置換基を表し、Y1は酸素原子または−NR2−(R2は、水素原子またはアルキル基を表す。)を表し、Ar1およびAr2は、それぞれ独立して炭素数1〜10の芳香環を示し、Ar1およびAr2は、それぞれ置換基を有していてもよい。nは1〜3の整数を表す。)
(6)前記光反応性基を有する繰り返し単位が下記一般式(3)で表される繰り返し単位であることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の組成物。
一般式(3)
Figure 0004823002
(式中、R1は水素原子または置換基を表し、R3は置換基を表し、Y1は酸素原子または−NR2−(R2は、水素原子またはアルキル基を示す。)を表し、Ar3は、ベンゼン環、フラン環またはナフタレン環を示し、置換基を有していてもよい。mは0〜4の整数を表す。)
(7)(1)〜(6)のいずれか1項に記載の組成物を、光照射により光学異方性を発現させた後、前記重合性基を架橋してなることを特徴とする光学異方性フィルム。
(8)偏光子と、該偏光子の少なくとも片面に設けられた保護フィルムを有し、該保護フィルムが、(7)に記載の光学異方性フィルムを有する、偏光板。
(9)(7)に記載の光学異方性フィルム、または、(8)に記載の偏光板を有する液晶表示装置。
(10)重合性基とメソゲン基の両方を有する繰り返し単位と、光反応性基を有する繰り返し単位を構成単位として含む高分子重合体を含む組成物を膜状に形成する工程、該膜状に形成した組成物に光を照射する工程、該光を照射した組成物に架橋重合開始剤を塗布する工程、および、重合性基を架橋させる工程を含む、光学異方性フィルムの製造方法。
(11)前記架橋重合開始剤が光酸発生剤である、(10)に記載の光学異方性フィルムの製造方法。
(12)前記光照射工程の後に熱処理を施す工程を含む、(10)または(11)に記載の光学異方性フィルムの製造方法。
(13)前記膜状に成形する工程において、前記組成物を含む溶液を吹き付けることにより膜状とすることを特徴とする(10)〜(12)のいずれか1項に記載の光学異方性フィルムの製造方法。
(14)下記一般式(1)で表される繰り返し単位と、下記一般式(2)で表される繰り返し単位とを構成単位として含む高分子重合体。
一般式(1)
Figure 0004823002
(式中、R1は水素原子または置換基を表し、S1およびS2はそれぞれ独立して二価の連結基を表し、Mはメソゲン基を表し、P1は重合性基を示す。)
一般式(2)
Figure 0004823002
(式中、R1は水素原子または置換基を表し、Y1は酸素原子または−NR2−(R2は、水素原子またはアルキル基を表す。)を表し、Ar1およびAr2は、それぞれ独立して炭素数1〜10の芳香環を示し、Ar1およびAr2は、それぞれ置換基を有していてもよい。nは1〜3の整数を表す。)
本発明では、光学特性と安定性に優れた光学異方性フィルムを提供することが可能になった。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
また、本願明細書において、重合体には、1種類のモノマーからなる重合体のほか、2種類以上のモノマーからなるいわゆる共重合体も含む趣旨である。
本発明において、アルキル基等の「基」は、特に述べない限り、置換基を有していてもよいし、置換基を有していなくてもよい。よって、例えば、「炭素数A〜Bのアルキル基」と言う場合、該アルキル基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。また、置換基を有する場合は、該置換基の数も、炭素数AおよびBに含まれると解釈する。
本発明の光学異方性フィルムは、重合性基とメソゲン基の両方を有する繰り返し単位と、光反応性基を有する繰り返し単位をその構成単位として少なくとも含む高分子重合体(以下、「本発明で用いる高分子重合体」ということがある)からなる組成物において、光照射により光学異方性を発現させた後、該重合性基を架橋してなることを特徴とする。
ここで、本発明で用いる高分子重合体には、重合性基とメソゲン基の両方を有する繰り返し単位と、光反応性基を有する繰り返し単位とが、直接または連結基を介して連結したものを1の繰り返し単位(すなわち、1種類のモノマー由来の繰り返し単位)として含む高分子重合体も含む。
高分子とは一般に分子量が10000以上のものを指し、分子量が1000以上10000未満の化合物は準高分子として扱われる。また、その重合度が2〜20ぐらいのものをオリゴマーとよび、高分子とは区別されている(岩波理化学辞典、第3版増補版、玉虫文一ら編集、449頁、岩波書店、1982)。しかしながら、本発明において高分子とは、準高分子を含み、分子量が1000以上で、かつ重合度が20以上のものを指すこととする。
本発明で用いる高分子重合体の、重合性基とメソゲン基の両方を有する繰り返し単位において、重合性基としては特に限定されないが、カチオン重合する重合性基が好ましい。カチオン重合性基としては、一般に知られているカチオン重合性を用いることができ、具体的には、脂環式エーテル基、環状アセタール基、環状ラクトン基、環状チオエーテル基、スピロオルソエステル基、ビニルオキシ基などを挙げることができる。好適なものとして、例えば、オキセタン環を挙げることができる。なかでも脂環式エーテル基、ビニルオキシ基が好適であり、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルオキシ基が特に好ましい。
本発明で用いる高分子重合体の、重合性基とメソゲン基の両方を有する繰り返し単位において、メソゲン基とは一般に液晶化合物における剛直部位を指す。ただし、本発明で用いる高分子重合体が必ずしも液晶性を有する必要はない。メソゲン基としては、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)などに記載の構造を用いることができる。
より好ましくは、下記一般式(4)にて表されるメソゲン基である。
一般式(4)
Figure 0004823002
(一般式(4)中、L1およびL2は、それぞれ、単結合または二価の連結基を表し、Cy1、Cy2およびCy3は、それぞれ、二価の環状基を表し、pは0〜2の整数を表す。pが2の場合、2つのL2は同じであっても異なっていてもよく、2つのCy2も同じであっても異なっていてもよい。)
一般式(4)中、L1またはL2は、好ましくは、それぞれ、−O−、−S−、−CO−、−NR4−、二価の鎖状基、二価の環状基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基、または、単結合である。上記R4は、炭素数1〜7のアルキル基または水素原子であり、炭素数1〜4のアルキル基または水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
二価の鎖状基は、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基が好ましく、これらは、置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子が好ましい。アルキレン基またはアルケニレン基が好ましく、無置換のアルキレン基または無置換のアルケニレン基がさらに好ましい。アルキレン基は、分岐を有していてもよい。アルキレン基の炭素数は1〜12であることが好ましく、2〜10であることがより好ましく、2〜8であることがさらに好ましい。アルケニレン基は、分岐を有していてもよい。アルケニレン基の炭素数は2〜12であることが好ましく、2〜10であることがより好ましく、2〜8であることがさらに好ましい。
アルキニレン基は、分岐を有していてもよい。アルキニレン基の炭素数は2〜12であることが好ましく、2〜10であることがより好ましく、2〜8であることがさらに好ましい。
二価の鎖状基の具体例としては、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、2−メチル−テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、2−ブテニレン基、2−ブチニレン基などが挙げられる。
二価の環状基は、後述するCy1、Cy2およびCy3と同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(4)においてpは、0または1であることが好ましい。
一般式(4)において、Cy1、Cy2およびCy3は、それぞれ独立に二価の環状基である。環状基に含まれる環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがより好ましく、6員環であることがさらに好ましい。環状基に含まれる環は、単環でも縮合環でもよく、単環が好ましい。環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環および複素環のいずれでもよい。芳香族環の例には、ベンゼン環およびナフタレン環が含まれる。脂肪族環の例には、シクロヘキサン環が含まれる。複素環の例には、ピリジン環およびピリミジン環が含まれる。ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレン基が好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,5−ジイル基およびナフタレン−2,6−ジイル基が好ましい。シクロヘキサン環を有する環状基としては1,4−シクロへキシレン基であることが好ましい。ピリジン環を有する環状基としてはピリジン−2,5−ジイル基が好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン−2,5−ジイル基が好ましい。
環状基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜5のアルキルチオ基、炭素数2〜6のアシルオキシ基、炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素数2〜6のアルキル基で置換されたカルバモイル基および炭素数が2〜6のアシルアミノ基が含まれる。
より具体的には、重合性基とメソゲン基の両方を有する繰り返し単位は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
一般式(1)
Figure 0004823002
(式中、R1は水素原子または置換基を表し、S1およびS2はそれぞれ独立して二価の連結基を表し、Mはメソゲン基を表し、P1は重合性基を示す。)
1が置換基を表す場合、アルキル基またはハロゲン基を好ましい例として挙げることができる。
1は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、クロロ基が好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、クロロ基がより好ましく、水素原子がさらに好ましい。
1、S2は、好ましくは、それぞれ独立して、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、2価の複素環残基、−CO−、−NR5−(R5は炭素数が1〜6のアルキル基または水素原子)、−O−、−S−、−SO−、−SO2−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基であることが好ましい。アルキレン基の炭素数は、1〜12であることが好ましい。アルケニレン基の炭素数は、2〜12であることが好ましい。アリーレン基の炭素数は、6〜10であることが好ましい。アルキレン基、アルケニレン基およびアリーレン基は、可能であれば、置換基(アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、アルコキシ基、アシルオキシ基等)によって置換されていてもよいが、無置換であることが好ましい。
1、S2としては、−O−、−CO−、−NR5−(R5は炭素数が1〜6のアルキル基または水素原子)、アルキレン基またはアリーレン基を含んでいることが好ましく、−O−、アルキレン基またはアリーレン基を含んでいることが特に好ましい。さらに、S1、S2は、−O−、アルキレン基またはアリーレン基のみから構成されていることが好ましい。
Mはメソゲン基、P1は重合性基を示す。メソゲン基、重合性基に関しては前述のメソゲン基および重合性基の説明と同義であり、好ましい範囲も同義である。
本発明で用いる高分子重合体の光反応性基を有する繰り返し単位において、光反応性基とは、例えば、単一方向からの光の照射によって官能基の化学構造または該官能基を有する分子の配向状態に変化が起こり、これにより分子の異方性を特定の方向へ変化させることができる官能基を指す。
具体的には、クマリン誘導体、スチリルピリジン誘導体、アゾベンゼン誘導体、桂皮酸誘導体、カルコン誘導体、スチルベン類、α−ヒドラゾノ−β−ケトエステル類、ベンジリデンフタルイミジン類、レチノイン酸誘導体、スピロピラン類、スピロオキサジン類、アントラセン誘導体、ベンゾフェノン誘導体が好ましく用いられ、桂皮酸誘導体、カルコン誘導体がより好ましく、桂皮酸誘導体が特に好ましい。
光反応性基を有する繰り返し単位としては、下記一般式(2)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
一般式(2)
Figure 0004823002
(式中、R1は水素原子または置換基を表し、Y1は酸素原子または−NR2−(R2は、水素原子またはアルキル基を表す。)を表し、Ar1およびAr2は、それぞれ独立して炭素数1〜10の芳香環を示し、Ar1およびAr2は、それぞれ置換基を有していてもよい。nは1〜3の整数を表す。)
1が置換基を表す場合、アルキル基、ハロゲン基が好ましい例として挙げることができる。R1は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、クロロ基が好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、クロロ基がより好ましく、水素原子がさらに好ましい。
1は酸素原子または−NR2−(R2は、水素原子またはアルキル基(好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基)を示す。)を表し、酸素原子または−NH−であることが好ましく、酸素原子であることがより好ましい。
Ar1は、ベンゼン環、チオフェン環、フラン環、ナフタレン環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
Ar1が置換基を有する場合、該置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数1〜6のアルキルカルボニル基、炭素数1〜6のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数1〜6のアルキルカルボニルチオ基、炭素数1〜6のアルキルカルボニルアミノ基、ハロゲン基、シアノ基、ニトロ基、シアノ基等を挙げることができ、より好ましい置換基としてはメチル基、エチル基、メトキシ基、フッ素基、クロロ基、ブロモ基、シアノ基を挙げることができる。
これらの置換基は、他の置換基によって、置換されていても良く、この場合の好ましい置換基も上述と同義である。また、置換基を2つ以上有する場合は、それぞれの置換基は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には置換基同士が互いに結合して環を形成していてもよい。
Ar2は、ベンゼン環、フラン環、ナフタレン環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。Ar2が置換基を有する場合の置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシル基、アルキルチオ基、アルキルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルチオ基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルオキシカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニルチオ基、アルキルオキシカルボニルアミノ基、アルキルチオカルボニルオキシ基、アルキルアミノカルボニルアミノ基、アルキルアミノカルボニルオキシ基、ハロゲン基、シアノ基、ニトロ基、アリール基等を挙げることができ、より好ましい置換基としては炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシル基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜20のアルキルカルボニル基、炭素数1〜20のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数1〜20のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数1〜20のアルキルオキシカルボニルオキシ基、炭素数1〜20のアルキルオキシカルボニルチオ基、炭素数1〜20のアルキルオキシカルボニルアミノ基、炭素数1〜20のアルキルアミノカルボニルオキシ基、フッ素基、クロロ基、ブロモ基、シアノ基、ニトロ基等を挙げることができる。
これらの置換基は、他の置換基によって、置換されていても良く、この場合の好ましい置換基も上述と同義である。また、置換基を2つ以上有する場合は、それぞれの置換基は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には置換基同士が互いに結合して環を形成していてもよい。
nは1〜3の整数を表し、1または2であることが好ましい。
上記一般式(2)で表される繰り返し単位のうち、特に好ましいものは、下記一般式(3)で表される繰り返し単位である。
一般式(3)
Figure 0004823002
(式中、R1は水素原子または置換基を表し、R3は置換基を表し、Y1は酸素原子または−NR2−(R2は、水素原子またはアルキル基を示す。)を表し、Ar3は、ベンゼン環、フラン環またはナフタレン環を示し、置換基を有していてもよい。mは0〜4の整数を表す。)
1、Y1に関する説明は上記一般式(2)で述べたものと同義であり、好ましい範囲も同義である。
3は、置換基を表し、好ましい置換基としては炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数1〜6のアルキルカルボニル基、炭素数1〜6のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数1〜6のアルキルカルボニルチオ基、炭素数1〜6のアルキルカルボニルアミノ基、ハロゲン基、シアノ基、ニトロ基、シアノ基等を挙げることができ、特に好ましい置換基としてはメチル基、エチル基、メトキシ基、フッ素基、クロロ基、ブロモ基、シアノ基を挙げることができる。
これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、置換基を二つ以上有する場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
Ar3は、ベンゼン環、フラン環、ナフタレン環を示し、ベンゼン環が好ましい。Ar3が置換基を有する場合、置換基としてはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシル基、アルキルチオ基、アルキルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルチオ基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルオキシカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニルチオ基、アルキルオキシカルボニルアミノ基、アルキルチオカルボニルオキシ基、アルキルアミノカルボニルアミノ基、アルキルアミノカルボニルオキシ基、ハロゲン基、シアノ基、ニトロ基、アリール基等を挙げることができ、特に好ましい置換基としては炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシル基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数1〜20の、炭素数1〜20のアルキルカルボニル基、炭素数1〜20のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数1〜20のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数1〜20のアルキルオキシカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニルチオ基、アルキルオキシカルボニルアミノ基、炭素数1〜20のアルキルアミノカルボニルオキシ基、フッ素基、クロロ基、ブロモ基、シアノ基、ニトロ基等を挙げることができる。
これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、置換基を二つ以上有する場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
mは0〜4の整数を表す。なお、mが2〜4の整数である場合、複数あるR3はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。mは、好ましくは0〜2の整数である。
本発明で用いる高分子重合体の構成に用いることができる重合性モノマーは、既知の合成方法を用い、合成することができる。例えば下記の合成スキーム1に示す方法を例に挙げることができる。
スキーム1
Figure 0004823002
上記スキーム1において、X1およびX2は離脱基を示す。好ましい離脱基の例としては、ハロゲン原子、メシル基、トシル基等を挙げることができる。その他、R1、Y1、Ar1、Ar2およびnは、前記一般式(1)の定義と同義である。
工程1において、式S−2で示される化合物を溶媒に溶解し、塩基存在下において式S−1で示される化合物と反応させることにより式S−3で示される中間体を合成する。溶媒としては、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、ジメチルアセトアミドのようなアミド系溶媒、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒が好適である。塩基は、無機、有機いずれの塩基が採用できるが、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等の無期塩基が好適である。塩基の使用量は、S−1に対して0.5〜10当量の範囲で用いることが好ましく、0.7〜2量の範囲で用いることがさらに好ましい。反応温度は、通常、−10℃から溶媒の沸点であり、0℃から室温がさらに好ましい。反応温度は、通常、10分〜1日間であり、好ましくは1時間〜12時間である。
工程2において、上記で得られた式S−3で示される化合物を溶媒に溶解し、塩基存在下において式S−4で示される化合物と反応させることにより目的とする本発明で用いることができる重合性モノマーを合成できる。溶媒としては、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、ジメチルアセトアミドのようなアミド系溶媒、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒が好適である。塩基は、無機、有機いずれの塩基が採用できるが、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等の無機塩基が好適である。塩基の使用量は、S−3に対して0.5から10当量の範囲で用いることが好ましく、0.7から2量の範囲で用いることがさらに好ましい。反応温度は、通常、−10℃から溶媒の沸点であり、0℃から室温がさらに好ましい。反応温度は、通常、10分から1日間であり、好ましくは1時間から12時間である。
本発明で用いる高分子重合体としては、前記一般式(1)で表される繰り返し単位と前記一般式(2)で表される繰り返し単位をその構成単位として含む高分子重合体が特に好ましい。
以下にその具体例を挙げるが、本発明は以下の具体例に制限されるものではない。尚、式中のx、y、zは各繰り返し単位のモル百分率を示す。
Figure 0004823002
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本発明で用いる高分子重合体は、好ましいものは前記一般式(1)で表される繰り返し単位と、一般式(2)で表される繰り返し単位とを含む共重合体である。該高分子重合体を構成する繰り返し単位のうち、上記一般式(1)で表される繰り返し単位は、60〜99モル%であるのが好ましく、70〜95モル%であるのがより好ましく、80〜90モル%であるのがさらに好ましい。また, 上記一般式(2)で表される繰り返し単位は、1〜40モル%であるのが好ましく、5〜30モル%であるのがより好ましく、10〜20モル%であるのがさらに好ましい。
また、本発明で用いる高分子重合体は、上記繰り返し単位の他、一般的に知られている任意の繰り返し単位を含むことができる。使用する任意の繰り返し単位の種類、および、当該任意の繰り返し単位のモル%は、使用するモノマーの種類もしくは、所望の物性等の条件により、適宜選択することとなる。例えば、当該任意の繰り返し単位の含有量は、高分子重合体を構成するモノマー総モル数に対し、好ましくは50モル%以下、より好ましくは40モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下である。
本発明で用いる高分子重合体の重量平均分子量(Mw)は、1000〜100万であることが好ましく、5000〜20万であることがより好ましく、10000〜10万であることがさらに好ましい。上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレン(PS)換算の値として測定できる。
また、本発明で用いる高分子重合体のガラス転移温度(Tg)は、室温〜50℃であることが好ましい。
本発明で用いる高分子重合体は、例えば各々の繰り返し単位に相当するモノマーの重合により製造することができる。これらのモノマーは、周知の方法により合成することができる。また、各種市販モノマーを用いることもできる。重合方法としては、ラジカル重合が汎用に利用でき、特に好ましい。ラジカル重合のためのモノマー重合開始剤としては、ラジカル熱重合開始剤やラジカル光重合開始剤などの公知の化合物を使用することができるが、特に、ラジカル熱重合開始剤を使用することが好ましい。ここで、ラジカル熱重合開始剤は、分解温度以上に加熱することにより、ラジカルを発生させる化合物である。このようなラジカル熱重合開始剤としては、例えば、ジアシルパーオキサイド(アセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなど)、ケトンパーオキサイド(メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドなど)、ハイドロパーオキサイド(過酸化水素、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなど)、ジアルキルパーオキサイド(ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイドなど)、パーオキシエステル類(tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレートなど)、アゾ系化合物(アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリルなど)、過硫酸塩類(過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなど)が挙げられる。このようなラジカル熱重合開始剤は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
上記ラジカル重合方法は、特に制限されるものではなく、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法、溶液重合法等の公知の方法により行うことができる。典型的なラジカル重合方法である溶液重合については、さらに具体的に説明する。他の重合方法についても概要は同等であり、その詳細は例えば「高分子化学実験法」高分子学会編(東京化学同人、1981年)などに記載されている。
上記溶液重合を行うためには有機溶媒を使用する。これらの有機溶媒は本発明の目的、効果を損なわない範囲で任意に選択可能である。これらの有機溶媒は通常、大気圧下での沸点が50〜200℃の範囲内の値を有する有機化合物であり、各構成成分を均一に溶解させる有機溶媒が望ましい。好ましい有機溶媒の例を示すと、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、γ−ブチロラクトン等のエステル類、ジメチルアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類が挙げられる。なお、これらの有機溶媒は、一種単独または二種以上を組み合わせて用いることができる。さらに、モノマーや生成するポリマーの溶解性の観点から上記有機溶媒に水を併用した水混合有機溶媒も適用可能である。
また、溶液重合条件も特に制限されるものではないが、例えば、50〜200℃の温度範囲内で10分〜30時間加熱することが望ましい。さらに、発生したラジカルが失活しないように、溶液重合中はもちろんのこと、溶液重合開始前にも不活性ガスパージを行うことが望ましい。不活性ガスとしては通常窒素ガスが好適に用いられる。
本発明で用いる高分子重合体を好ましい分子量範囲で得るためには、連鎖移動剤を用いたラジカル重合法が特に有効である。上記連鎖移動剤としては、メルカプタン類(例えば、オクチルメルカプタン、デシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、オクタデシルメルカプタン、チオフェノール、p−ノニルチオフェノールなど)、ポリハロゲン化アルキル(例えば、四塩化炭素、クロロホルム、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,1−トリブロモオクタンなど)、低活性モノマー類(α−メチルスチレン、α−メチルスチレンダイマーなど)のいずれも用いることができるが、好ましくは炭素数4〜16のメルカプタン類である。これらの連鎖移動剤の使用量は、連鎖移動剤の活性やモノマーの組み合わせ、重合条件などにより著しく影響され、精密な制御が必要である。好ましくは、使用するモノマーの全モル数に対して0.01mol%〜50mol%であり、より好ましくは0.05mol%〜30mol%であり、さらに好ましくは0.08mol%〜25mol%である。これらの連鎖移動剤は、重合過程において重合度を制御するべき対象のモノマーと同時に系内に存在させればよく、その添加方法については特に問わない。モノマーに溶解して添加してもよいし、モノマーと別途に添加することも可能である。
本発明で用いる高分子重合体からなる組成物において、該高分子重合体以外に、必要に応じて種々の添加剤を併用することができる。例えば、可塑剤、界面活性剤等を併用することで、塗工膜の均一性、膜の強度、光反応性基を有する高分子化合物の配向性等を向上することができる。これらの添加量の総量は、光反応性基を有する高分子化合物に対して、30質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
可塑剤としては、従来公知の可塑剤が挙げられる。具体的には、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジオクチルフタレート、オクチルカプリルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジアリールフタレートなどのフタル酸エステル類、ジメチルグリコールフタレート、エチルフタリールエチルグリコレート、メチルフタリールエチルグリコレート、ブチルフタリールブチルグリコレート、トリエチレングリコールジカプリル酸エステルなどのグリコールエステル類、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェートなどの燐酸エステル類、ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルマレートなどの脂肪族二塩基酸エステル類、クエン酸トリエチル、グリセリントリアセチルエステル、ラウリン酸ブチルなどが挙げられる。
界面活性剤としては、従来公知のアニオン系、カチオン系、ノニオン系および両性界面活性剤が挙げられる。特にフッ素系化合物が好ましく、パーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキル基および親水性基含有ポリマー、パーフルオロアルキル基、親水性基および親油性基含有ポリマーなどが挙げられる。
本発明の光学異方性フィルムは、本発明の組成物を光照射により光学異方性を発現させた後、該組成物に含まれる重合性基を架橋してなるものである。本発明の光学異方性フィルムは、通常、支持体上に形成される。ここで、光学異方性フィルムの厚さは、例えば、1〜4μmとすることができる。支持体は、例えば、特開2002−38157号公報等に記載のもの等を採用できる。特に、支持体上に、本発明の組成物を塗布して光学異方性を発現させた後、剥ぎ取りを行わずに支持体と一体化して用いる場合には、支持体はガラス基板、あるいは光透過率が80%以上であるポリマーフィルムが好ましい。支持体の厚みは10〜500μmが好ましく、20〜200μmがより好ましく、35〜110μmがさらに好ましい。
本発明の光学異方性フィルムには、必要に応じて配向層、剥離層、粘着層、別なる光学異方性層などを設けてもよい。
配向層には例えば一般に液晶分野で用いられるような周知の配向膜を採用することができる。具体的な例としては、ラビング配向処理されたポリイミドやポリビニルアルコールなどの配向膜や光配向処理されたアゾベンゼン誘導体、桂皮酸誘導体、あるいはクマリン誘導体などを採用することができる。
剥離層には、周知の剥離剤等を用いることができる。剥離剤には、シリコン系、リン酸エステル系、フッ素系などの剥離剤が挙げられる。
粘着層には、周知の粘着剤等を用いることができる。具体的な例としては、例えばアクリル系、シリコン系、ビニルエーテル系などの粘着剤が挙げられる。粘着剤としては、光学的に透明な粘着剤が好ましい。
別なる光学異方性層には、例えば配向した棒状、あるいは円盤状の液晶化合物の重合体などにより構成される光学異方性層などを挙げることができる。
本発明の光学異方性フィルムは、例えば、本発明で用いる高分子重合体からなる組成物の膜を形成する工程(膜形成工程)、光を照射して光学異方性を発現する工程(光照射工程)、光を照射した膜に架橋重合開始剤を塗布する工程(開始剤塗布工程)、重合性基を架橋する工程(架橋工程)を経て製造することができる。以下に、本発明の光学異方性フィルムの製造方法の各工程に関し、具体的な例により説明する。
(膜形成工程)
本発明で用いる高分子重合体を溶媒に溶解しドープとして用い、適切な支持体上に前記ドープを塗布した後に乾燥する方法により高分子フィルムを作製することができる。塗布方式としては、公知の方法、例えば、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、インクジェット法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法等が採用される。また、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成するソルベントキャスト法を用いてもよい。一般的なソルベントキャスト法については、米国特許2336310号の各明細書、特公昭45−4554号の公報等に記載がある。
ドープの調製において、溶解させる溶媒は特に限定されないが、例えば酢酸エチル等のエステル類系溶剤、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン系溶媒、またはシクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド等の溶媒、およびこれらの混合溶剤等が挙げられる。ドープは、固形分量が10〜40重量%となるように濃度を調整することが好ましい。固形分量は18〜35重量%であることがさらに好ましい。ドープは必要に応じて、ろ過工程を加えてもよい。
ドープを2層以上流延することもできる。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。得られたフィルムは、ドラムまたはバンドから剥ぎ取り、高分子フィルムを作製する。前記剥ぎ取り工程は、必要に応じて次工程である光照射後、あるいは後工程の塗布工程、架橋工程の後に行ってもよい。また、剥ぎ取りを行わず、支持体と一体化して光学異方性フィルムとして提供してもよい。
また、パーターニングの観点から、本発明で用いる高分子重合体を含む組成物を含む溶液を基板に吹き付けて膜を形成する方法(スプレーコーティング法やインクジェット法等)も好ましい例として挙げられる。インクジェット法について説明すると、インクジェット法は塗液の小滴をノズルから噴出させて支持体上に所定量付着させる方法である。前記溶液の調製において、固形分量が0.5〜40重量%となるように濃度を調整することが好ましい。固形分量は1〜30重量%であることがさらに好ましい。調液には必要に応じて、ろ過工程を加えてもよい。塗布する際の温度は、通常、室温から溶液に用いる溶媒の沸点より低い温度である。
(光照射工程)
前記で得られた高分子フィルム、あるいは支持体上に形成した高分子フィルムに光照射を施し、該高分子フィルムの屈折率異方性を発現させ、光学異方性が制御された高分子フィルムを製造する。光照射は、必要に応じて高分子フィルムに延伸を施しながら照射してもかまわない。
本発明における光照射とは、前記光反応性化合物に光反応を生じせしめるための操作である。用いる光の波長は、用いる光反応性化合物により異なり、その光反応に必要な波長であれば特に限定されるものではない。好ましくは、光照射に用いる光のピーク波長が200nm〜700nmであり、より好ましくは光のピーク波長が400nm以下の紫外光である。光強度は、必要とされる光学特性、本発明で用いる高分子重合体の種類により異なり、特に限定されない。通常、1mJ/cm2〜600J/cm2の範囲が好ましく、10mJ/cm2〜300J/cm2の範囲がより好ましい。
光照射に用いる光源は、通常使われる光源、例えば、タングステンランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、キセノンフラッシュランプ、水銀ランプ、水銀キセノンランプ、カーボンアークランプ等のランプ、各種のレーザー(例えば、半導体レーザー、ヘリウムネオンレーザー、アルゴンイオンレーザー、ヘリウムカドミウムレーザー、YAGレーザー)、発光ダイオード、陰極線管などを挙げることができる。
光照射は非偏光でも偏光でもよいが、偏光を用いることが好ましく、直線偏光を用いることがさらに好ましい。直線偏光を得る手段としては、偏光板を(例えば、ヨウ素偏光板、二色色素偏光板、ワイヤーグリッド偏光板)用いる方法、プリズム系素子(例えば、グラントムソンプリズム)やブリュースター角を利用した反射型偏光子を用いる方法、または偏光を有するレーザー光源から出射される光を用いる方法が採用できる。また、フィルターや波長変換素子等を用いて必要とする波長の光のみを選択的に照射してもよい。
照射する光は、前記高分子フィルムに対して上面、あるいは裏面から該高分子フィルムに対して垂直、あるいは斜めから光を照射する方法が採用される。好ましくは垂直照射である。光照射後、必要に応じて加熱操作を行ってもよく、さらに前記と同じ、あるいは異なる光を照射してもよい。
(加熱処理工程)
前記、偏光照射工程の後、必要に応じて加熱処理を施してもよい。架橋温度、加熱時間は特に限定されないが、必要とする光学特性を損なわない範囲、あるいは必要とする光学特性を発現できる範囲で設定される。通常、加熱温度は、0〜300℃の範囲が好ましく、室温から150℃の範囲がより好ましい。加熱時間は、通常、1秒間〜1日間の範囲が好ましく、10秒間〜6時間の範囲がさらに好ましい。
(開始剤塗布工程)
前記で得られた光学異方性を発現させたフィルムに架橋重合開始剤の溶液を塗布する。架橋重合開始剤を溶解させる溶媒は特に限定されないが、前記光学異方性を発現させたフィルムを溶解しない溶媒が採用される。具体的には、例えば酢酸エチル等のエステル類系溶剤、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン系溶媒、またはメタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、アクリロニトリル等のニトリル溶媒およびこれらの混合溶剤等が挙げられる。メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、アクリロニトリル等のニトリル溶媒が特に好ましい。また、必要に応じて必要な添加剤を加えてもよい。用いる溶液の固形分量は、0.1〜35重量%であることが好ましく、0.5〜25重量%であることがさらに好ましい。用いる溶液は必要に応じて、ろ過工程を加えてもよい。塗布方式としては、公知の方法、例えば、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、インクジェット法、印刷コーティング法等が採用される。
架橋重合開始剤は、本発明で用いる高分子重合体の重合性基の種類等により、適切な架橋重合開始剤が採用される。例えば、重合性基が環状エーテル基、オキセタニル基、またはビニルエーテル基等のカチオン重合性基である場合、周知の光酸発生剤、光カチオン開始剤が特に好ましい例として挙げられる。光酸発生剤としては、ジアゾジスルホン系、トリアリールスルホニウム系の光酸発生剤等を用いることができる。具体的には、WPAG-145、WPAG-170、WPAG-199(いずれも和光純薬製)等のジアゾジスルホン系光酸発生剤、WPAG-281、WPAG-336、WPAG-367(いずれも和光純薬製)、SB 1A、SB 2B、SB 2B F、SB 3C(いずれも日本シイベルヘグナー製)、UVI-6974, UVI-6990(Union Carbide製)、FX512(3M製)、KI-85(Degussa製)等のトリアリールスルホニウム系光酸発生剤等、市販の光酸発生剤を用いることができる。光カチオン開始剤としては、ジフェニルヨードニウム塩等を用いることができる。具体的には、WPI-113(和光純薬製)、MC AA、MC BB、MC CC、MC CC PF、MC CC F(いずれも日本シイベルヘグナー製)等の光カチオン開始剤を用いることができる。
(架橋工程)
架橋重合開始剤を塗布した光学異方性を発現させたフィルムに対し、再び光を照射して架橋を施す。光照射は非偏光でも偏光でもよいが、非偏光を用いることが好ましい。用いる光の波長は、用いる光酸発生剤により異なり、その光反応に必要な波長であれば特に限定されるものではない。好ましくは光のピーク波長が400nm以下の紫外光である。架橋温度、加熱時間は特に限定されないが、必要とする光学特性を損なわない範囲、あるいは必要とする光学特性を発現できる範囲で設定される。通常、加熱温度は、0℃から300℃の範囲が好ましく、室温から150℃の範囲がより好ましい。加熱時間は、通常、1秒間から1日間の範囲が好ましく、10秒間から6時間の範囲がさらに好ましい。
以上の工程を経て、本発明の光学異方性フィルムが製造できる。
〈光学異方性フィルムの用途〉
本発明の光学異方性フィルムは、例えば、偏光子と組み合わせて偏光板(楕円偏光板)の用途に供することができる。また、透過型液晶表示装置に、偏光子と組み合わせて適用することにより、視野角の拡大に寄与する。本発明の偏光板は、偏光子と該偏光子の少なくとも片面に設けられた保護フィルムとからなり、該保護フィルムが、本発明の光学異方性フィルムであることを特徴とするものである。また、本発明の液晶表示装置は、上記本発明の光学異方性フィルムを有することを特徴するものである。以下に、本発明の光学異方性フィルムを利用した楕円偏光板および液晶表示装置について詳述する。
[楕円偏光板]
上記楕円偏光板は、本発明の光学異方性フィルムと偏光子とを積層することによって作製することができる。本発明の光学異方性フィルムを利用することにより、液晶表示装置の視野角を拡大しうる楕円偏光板を提供することができる。上記偏光子には、ヨウ素系偏光子、二色性染料を用いる染料系偏光子やポリエン系偏光子がある。ヨウ素系偏光子および染料系偏光子は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造することができる。偏光子の偏光軸は、フィルムの延伸方向に垂直な方向に相当する。
上記偏光子は上記光学異方性フィルムの光学異方性層側に積層する。偏光子の光学異方性フィルムを積層した側と反対側の面には、保護膜として、光透過率が80%以上の保護膜(透明保護膜)を設けることが好ましい。透明保護膜としては、好ましくはセルロースエステルフィルム、より好ましくはトリアセチルセルロースフィルムが用いられる。セルロースエステルフィルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。保護膜の厚さは、20〜500μmであることが好ましく、50〜200μmであることがさらに好ましい。
[液晶表示装置]
本発明の光学異方性フィルムの利用により、視野角が拡大された液晶表示装置を提供することができる。また、表示ムラのない高品位の画像を表示し得る液晶表示装置を提供することができる。Twisted Nematic(TN)モードの液晶セル用光学異方性フィルムとしては、例えば、特開平6−214116号公報、米国特許第5,583,679号、同第5,646,703号の明細書、ドイツ特許公報3911620A1号公報等の記載に従って利用することができる。また、In−Plane Switching(IPS)モードまたはFerroelectric Liquid Crystal(FLC)モードの液晶セル用光学異方性フィルムとしては、特開平10−54982号公報の記載に従って利用することができる。さらに、Optically Compensatory Bend(OCB)モードまたはHybrid Aligned Nematic(HAN)モードの液晶セル用光学異方性フィルムとしては、米国特許第5,805,253号明細書および国際公開WO96/37804号パンフレット等の記載に従って利用することができる。さらにまた、Super Twisted Nematic(STN)モードの液晶セル用光学異方性フィルムとしては、特開平9−26572号公報の記載に従って利用することができる。そして、Vertically Aligned(VA)モードの液晶セル用光学異方性フィルムとしては、特許番号第2866372号公報の記載に従って利用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
合成例1 光反応性基を有するモノマー(LM−1)の合成
2L三つ口フラスコに、ヒドロキノン134g(1.22mol)、トリエチルアミン54mL(0.39mol)をテトラヒドロフラン1200mLに溶解し、氷冷下、アクリル酸クロリド27.18g(0.3mol)を100mLのテトラヒドロフランに溶かした溶液を滴下した。常温に戻して5時間攪拌した後、500mLの水を加え、分液して、水層から300mLのヘキサンで3回抽出した。有機層と抽出層を合わせて、硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶剤を減圧で留去した。得られた化合物をヘキサン−酢酸エチルの混合溶媒(容量比でヘキサン−酢酸エチル=3/1)を展開溶媒としたシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、16gのアクリル酸4−ヒドロキシフェニルを得た(収率32%)。
1H-NMR(CDCl3、δ)7.00(2H,d)、6.80(2H,d),6.60(1H,dd),6.35(1H,dd),6,00(1H,dd),5.20(1H,s)
1L三つ口フラスコに、前記で得られたアクリル酸4−ヒドロキシフェニル13g(79mmol)、トリエチルアミン22mL(158mmol)、ニトロベンゼン0.1gをテトラヒドロフラン200mLに溶解し、氷冷下、桂皮酸クロリド14.5g(87mmol)を50mLのテトラヒドロフランに溶かした溶液をゆっくり加えた。常温に戻して3時間攪拌した後、100mLの飽和食塩水と100mLの酢酸エチルを加えて分液を行い、水層から100mLの酢酸エチルで2回抽出した。有機層と抽出層を合わせて、硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶剤を減圧で留去した。得られた化合物をヘキサン−酢酸エチルの混合溶媒(容量比でヘキサン−酢酸エチル=3/1)を展開溶媒としたシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、13gの光反応性基を有するモノマー(LM−1)を得た(収率57%)。
LM−1
Figure 0004823002
1H-NMR(CDCl3、δ):7.90(1H,d),7.60(2H,m),7.40(3H,m),7.30〜7.10(4H,m),6.62(2H,m)、6.35(1H,dd),6,00(1H,dd)。
上記の方法に準じて、下記の光反応性基を有するモノマー(LM−2)〜(LM−4)を合成した。
LM−2
Figure 0004823002
1H-NMR(CDCl3、δ):7.90(1H,d),7.60(2H,m),7.40(3H,m),7.20〜7.10(4H,m),6.60(1H,d)、6.35(1H,s),5.78(1H,s)、2.05(3H,s)。
LM−3
Figure 0004823002
1H-NMR(CDCl3、δ):7.90(1H,d),7.65(6H,m),7.58(2H,m),7.40(1H,t),7.20〜7.10(4H,m),6.60(2H,m)、6.35(1H,dd),6,00(1H,dd)。
LM−4
Figure 0004823002
1H-NMR(CDCl3、δ):7.84(1H,d),7.55(2H,d),7.20〜7.10(4H,m),6.92(2H,d),6.50(1H,d)、6.35(1H,s),5.75(1H,s)、3.85(3H,s),2.05(3H,s)。
合成例2 重合性基とメソゲン基の両方を有するモノマーの合成
特開2004−315736号公報(段落番号0075〜0087)に記載の方法に準じて、下記の重合性基とメソゲン基の両方を有するモノマー(MM−1)〜(MM−13)を合成した。
Figure 0004823002
Figure 0004823002
Figure 0004823002
合成例3
重合性基とメソゲン基の両方を有するモノマー(MM−1)の9部(モル比)と光反応性基を有するモノマー(LM−1)1部(モル比)とから、2,2−アゾビスイソブチロニトリルを開始剤(2モル%)、無水N,N−ジメチルアセチルアミドを溶媒として、窒素下、70℃、10時間、ラジカル重合を行い、メタノールに再沈して精製することで、本発明の化合物P−1を合成した。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定したP−1の重量平均分子量は、14,000であった。示差走査熱測定(DSC測定、Differential Scanning Calorimetry)により、ガラス転移温度(Tg)は40℃であった。
合成例4
モノマー(MM−1)を、MM−2〜MM−13に、変更し他は合成例3と同様に行って、化合物P−2〜P−13を合成した。
実施例1 光学異方性フィルムの作製
上記合成例において合成した本発明で用いる高分子重合体3gを、10gのテトラヒドロフランに溶解して、孔経0.45μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで不溶分をろ過して塗布液を調製した。1mmの厚さを有するガラス基板を支持体とし、調製した塗布液をスピンコーティング法により支持体上に塗布した。室温で120秒間乾燥した後、紫外線照射器(HOYA CANDEO OPTRONICS社製、EXECURE3000)より出射される紫外光より出射される光を、偏光板を介して直線偏光に変換し、支持体に対して垂直の方向から100mW/cm2(365nm)の強度で300秒間照射し、ガラス基板上に光異性フィルムを作製した。この時の光学異方性フィルムの厚さは2.0μmであった。
この光学異方性フィルムの上に、さらに1質量%光酸発生剤 (Chiba製、UVI-6974)のメタノール溶液を塗布した後、紫外線照射器(HOYA CANDEO OPTRONICS社製、EXECURE3000)より出射される紫外光を支持体に対して垂直の方向から260mW/cm2(365nm)の強度で120秒間照射し、本発明の光学異方性フィルムを作製した。
実施例1と同様にして下記化合物からなる光学異方性フィルム比較例1を作製し、評価した。下記化合物中xは0.1を、yは0.9を示す。
Figure 0004823002
実施例2 光学異方性の評価と直交偏光照射による光耐久性の評価
本明細書において、Re(λ)は波長λにおける面内のレターデーション(正面レターデーション)を表す。得られたフィルムの589nmにおける正面レターデーションReはKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定した。
次に、その作製した光学異方性フィルムに対して、紫外線照射器(HOYA CANDEO OPTRONICS社製、EXECURE3000)より出射される紫外光より出射される光を、偏光板を介して直線偏光に変換し、支持体に対して垂直の方向から100mW/cm2(365nm)の強度で1200秒間照射した。この時の偏光方向が光異方性発現時の場合に対して、直交方向に照射し、その589nmにおける正面レターデーションReを、KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)により、測定した。
これらの結果を表1に示す。その結果、本発明の光学異方性フィルムは比較例1と比較して直交偏光照射に対して高い光安定性を有していることが明らかとなった。
Figure 0004823002
実施例3 熱耐久性の評価
実施例1および2で作製した光学異方性フィルムを150℃において、10分間静置した後、その589nmにおける正面レターデーションReを、KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)により測定し、熱安定性を評価した。
これらの結果を表2に示す。その結果、本発明の光学異方性フィルムは比較例1と比較して高い熱安定性を有していることが明らかとなった。
Figure 0004823002
本発明により、製造適性が優れ、かつ安定性が改善された光学異方性フィルムを提供することができる。特に、本発明では、光反応基と光学特性に大きく影響するメソゲン基を分離することでより精密に複雑な屈折率異方性の制御が可能であり、該メソゲン基の配向を重合により固定できることから、光学特性と安定性に優れた光学異方性フィルムが得られる。
本発明の光学異方性フィルムは、平面方向の最大屈折率をnx、平面方向の最小屈折率をny、厚さ方向の屈折率をnzとした場合、nx>nz>nyの関係式を有し、VAモードやIPSモード用の光学補償フィルムに適用できる。

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)で表される繰り返し単位と、下記一般式(2)で表される繰り返し単位とを構成単位として含む高分子重合体を含む組成物。
    一般式(1)
    Figure 0004823002
    (式中、R 1 は水素原子または置換基を表し、S 1 およびS 2 はそれぞれ独立して二価の連結基を表し、Mはメソゲン基を表し、P 1 は重合性基を示す。)
    一般式(2)
    Figure 0004823002
    (式中、R 1 は水素原子または置換基を表し、Y 1 は酸素原子または−NR 2 −(R 2 は、水素原子またはアルキル基を表す。)を表し、Ar 1 およびAr 2 は、それぞれ独立して炭素数1〜10の芳香環を示し、Ar 1 およびAr 2 は、それぞれ置換基を有していてもよい。nは1〜3の整数を表す。)
  2. 一般式(2)で表される繰り返し単位が下記一般式(3)で表される繰り返し単位であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
    一般式(3)
    Figure 0004823002
    (式中、R1は水素原子または置換基を表し、R3は置換基を表し、Y1は酸素原子または−NR2−(R2は、水素原子またはアルキル基を示す。)を表し、Ar3は、ベンゼン環、フラン環またはナフタレン環を示し、置換基を有していてもよい。mは0〜4の整数を表す。)
  3. 請求項1または2に記載の組成物を、光照射により光学異方性を発現させた後、前記重合性基を架橋してなることを特徴とする光学異方性フィルム。
  4. 偏光子と、該偏光子の少なくとも片面に設けられた保護フィルムを有し、該保護フィルムが、請求項に記載の光学異方性フィルムを有する、偏光板。
  5. 請求項に記載の光学異方性フィルム、または、請求項に記載の偏光板を有する液晶表示装置。
  6. 請求項1または2に記載の組成物を膜状に形成する工程、該膜状に形成した組成物に光を照射する工程、該光を照射した組成物に架橋重合開始剤を塗布する工程、および、重合性基を架橋させる工程を含む、光学異方性フィルムの製造方法。
  7. 前記架橋重合開始剤が光酸発生剤である、請求項に記載の光学異方性フィルムの製造方法。
  8. 前記光照射工程の後に熱処理を施す工程を含む、請求項またはに記載の光学異方性フィルムの製造方法。
  9. 前記膜状に成形する工程において、前記組成物を含む溶液を吹き付けることにより膜状とすることを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の光学異方性フィルムの製造方法。
  10. 下記一般式(1)で表される繰り返し単位と、下記一般式(2)で表される繰り返し単位とを構成単位として含む高分子重合体。
    一般式(1)
    Figure 0004823002
    (式中、R1は水素原子または置換基を表し、S1およびS2はそれぞれ独立して二価の連結基を表し、Mはメソゲン基を表し、P1は重合性基を示す。)
    一般式(2)
    Figure 0004823002
    (式中、R1は水素原子または置換基を表し、Y1は酸素原子または−NR2−(R2は、水素原子またはアルキル基を表す。)を表し、Ar1およびAr2は、それぞれ独立して炭素数1〜10の芳香環を示し、Ar1およびAr2は、それぞれ置換基を有していてもよい。nは1〜3の整数を表す。)
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