JP4822815B2 - 樹脂容器の製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、特許文献1記載の発明のような2色成形では、射出成形の工程が2工程必要となり、そのための設備コストや生産時間がかかるため、生産性が悪いという問題がある。
本発明の第2は、前記樹脂組成物が、ポリブチレンテレフタレート樹脂30〜95重量%、ポリエチレンテレフタレート樹脂5〜70重量%を含む樹脂成分100重量部に対して、結晶化促進剤0.1〜3重量部を含有するものである請求項1記載の樹脂容器の製造方法に関する。
本発明の第3は、前記樹脂組成物が、着色剤を含有するものである請求項1又は2記載の樹脂容器の製造方法に関する。
また、成形手段としては射出成形を用いる。具体的には、成形品の胴部に肉厚の差を与える形状を有する金型内に所定の樹脂組成物を射出成形することによって、金型内で射出された樹脂が冷却される時に、薄肉の部分は速く冷却され、厚肉の部分は遅く冷却され、これによって、薄肉の部分は熱容量が小さいため樹脂組成物が結晶化される前に冷えて固化し、透明度が高くなるのに対し、厚肉の部分は熱容量が大きいため樹脂組成物が結晶化された後に固化し、透明度が低く白色の外観を示し、陶器調の地肌となる。
このように、肉厚の厚い部分と肉厚の薄い部分の結晶化度の違いによる透明性の変化を利用して容器に任意の模様を付与することができ、1種類の所定の樹脂組成物を1回射出成形するだけで、部分的に白色と透明の2色の異なる色彩を有する容器を得ることができ、同時に複数の樹脂を多層に射出する共射出を行うこともなく、また、複数回射出成形を行ったりすることもなしに、簡素な設備で生産性良く美装性に優れた容器を得ることができる。
更に、胴部の肉厚分布を複雑に変化させたり、肉厚の違いを厚い部分と薄い部分の2段階だけでなく、3段階以上の違いを設けたりすることで、外観の無限の組み合わせを作り出すこともできる。
これにより容器胴部は、その肉厚に差が設けられており、胴部外面の多面形状部分において、角部が最も厚肉で、隣り合う角部間の中間部が最も薄肉となっている。この肉厚の差は、好ましくは厚肉部と薄肉部とで、1.1〜10倍の肉厚の差を設けると良く、さらに好ましくは、厚肉部と薄肉部とで1.5〜3倍の肉厚の差を設けると良い。肉厚の差をこの範囲内とすることにより、肉厚の差による結晶化度の違いを十分に生じさせることができ、結晶化度に基づく透明性の差を確実に表すことができると共に、肉厚の差を設けすぎることによる成形性や生産性の低下を抑制することができる。本実施例では、容器胴部のフランジの近傍部分では、全周において肉厚が約1.5mmに成形されており、容器胴部のフランジ近傍部分よりも下の部分では、容器の高さ方向の肉厚は、容器外面の角部においては、容器底部近傍が約1.7mmで最も厚肉となっており、容器上方に達するにつれて徐々に薄肉となっていき、胴部上方が約1.1mmで最も薄肉となり、一方、容器外面の隣り合う角部間の中間部では、上方から下方まで約1mmでほぼ均一となっている。つまり、容器胴部の角部と隣り合う角部間の中間部とでは、最大で約1.7倍の肉厚の差が設けられている。これにより、容器胴部の角部は、肉厚が厚くなっているため、射出成形後に金型内で冷却されるのが遅く、結晶化されて透明度が低い白色の外観を示すのに対し、容器胴部の隣り合う角部間の中間部は、肉厚が薄くなっているため、冷却されるのが速く、結晶化される前に固化し透明度が高くなることとなる。したがって、本実施例の容器は、容器胴部の周方向に透明部分と白色部分とが交互に配された外観を有することとなる。
また、内容物のフレーバー性に優れたPET樹脂と耐熱性に優れたPBT樹脂を双方の特性を生かし、美装性と内容物保存性を兼ね具えた容器を得ることができる。すなわち、PET樹脂は、加熱しても臭気を発せず内容物に悪影響を与えないため、フレーバー性に優れており、一方、PBT樹脂は、耐熱性が高く、内容物を100℃以上に加熱するレトルト殺菌にも耐えることができるため、高温殺菌による長期保存が可能であり、内容物の保存性に優れているため、PET樹脂とPBT樹脂とをブレンドすることにより、容器にPET樹脂とPBT樹脂の双方の良い特性を付与することができる。
本発明により製造される樹脂容器を構成する樹脂組成物に添加する着色剤は、透明性を十分に確保するためには染料を使用することが好ましいが、透明性を損なわない程度に添加量を少なくすれば、顔料を使用しても良い。
なお、一般的なPET樹脂とPBT樹脂の結晶化速度として、1/2結晶化時間(到達結晶化度の半分の結晶化度が得られる時間)は、PET樹脂では結晶化温度200℃で約60秒であるのに対し、PBT樹脂では結晶化温度200℃で約25秒となっており、PBT樹脂の結晶化速度の方が速くなっている。
樹脂組成物をこのような組成とすることで、容器肉厚の厚い部分と薄い部分との結晶化度の違いによる透明度の差を明確に表すことができる。
すなわち、PBT樹脂や結晶化促進剤が上記範囲よりも少ないと結晶化度が低くなり、厚肉の部分も白色を呈さず透明となる可能性があり、また、PET樹脂が上記範囲よりも少ないと結晶化度が高くなり薄肉の部分も白色を呈する可能性があり、いずれにせよ2色の色彩を有する容器を得ることができない可能性がある。
また、容器の機能面では、PBT樹脂は、30重量%以上配合することで飲料用容器の分野で使用するのに充分な耐熱性を得ることができ、また、PET樹脂を、5重量%以上配合することによって、PBT樹脂による内容物の味やフレーバー等への影響を充分に抑制することができる。
すなわち、PBT樹脂が30重量%より少ないと、耐熱性が低くなるため、70〜80℃程度のホットパックならば耐えることができても、100℃以上のレトルト殺菌処理等の高温殺菌を行った際に、容器が変形する恐れがあり、また、PET樹脂が5重量%より少ないと、レトルト殺菌処理等の高温殺菌を行った場合に、PBT樹脂と内容物の間に化学的、物理的な反応が進み、内容物の味やフレーバーに影響する恐れがある。
なお、本発明により製造される樹脂容器は、容器胴部に肉厚の差を設けられた形状を有する樹脂容器であれば、どのような形状のものでも良く、例えば、胴部の外面が胴部の上方から下方まで横断面が円形である円筒形となっており、容器の内面が胴部のほぼ上方から下方まで横断面が正十二角形である多面形状となっていても良い。
ることができるようになった。
PET樹脂(商品名 ユニペット) 60重量部
PBT樹脂(商品名 ノバデュラン) 40重量部
タルク粉末 2重量部
よりなる樹脂組成物(260℃に加熱、溶融されている)を、図1〜図7に示すカップ状樹脂容器を与える金型を有する射出成形機を用いて、30℃に調温された金型内に射出成形し、金型内に15秒間冷却保持した後、金型から取り出し、樹脂容器を得た。
樹脂容器は、図に示すもっとも肉厚な部分は白色を呈し、もっとも薄い部分は透明であり、その中間部分は半透明であり、1回の射出成形により白色〜透明に変化する模様を有する樹脂容器を得ることできた。
Claims (3)
- ポリエチレンテレフタレート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂を含む樹脂組成物を用い、1回の射出成形で、胴部に肉厚の差を設けた形状に成形することにより、肉厚の厚い部分と肉厚の薄い部分の結晶化度の違いによる透明性の変化を利用して任意の模様を付与したことを特徴とする樹脂容器の製造方法。
- 前記樹脂組成物が、ポリブチレンテレフタレート樹脂30〜95重量%、ポリエチレンテレフタレート樹脂5〜70重量%を含む樹脂成分100重量部に対して、結晶化促進剤0.1〜3重量部を含有するものである請求項1記載の樹脂容器の製造方法。
- 前記樹脂組成物が、着色剤を含有するものである請求項1又は2記載の樹脂容器の製造方法。
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