以下、発明を実施するための最良の形態を示す実施例について図面に基づいて説明する。以下に示す各実施例では、各請求項の発明を「羽根物型セブン機」に適用した具体例について説明する。
A.実施例1
先ず、実施例1に係る遊技機1について説明する。
(1)機械的な構造
a.遊技機の前面側の全体構造
先ず、この遊技機1の全体構造について、図1〜図5を参照して説明する。この遊技機1は、図1及び図2に示すように、外枠2と、この外枠2に装着された遊技機本体Hと、を備えている。
このうち、外枠2は、図3及び4に示すように、パチンコホールの島設備Sに設けられた設置部位S1に固定されると共に、遊技機本体Hを支持するためのものである。この外枠2は、図1及び2に示すように、略矩形状の枠状体によって構成される外枠本体21と、外枠本体21の前面下部を覆う前板部22と、を備えている。このうち、外枠本体21は、上下に一対の水平板21aと、左右に一対の立設板21bと、を備えている。そして、両水平板21aは、上下に所定の間隔をおいて立設配置されると共に、左右方向に長尺とされている。また、両立設板21bは、左右に所定の間隔をおいて立設配置されると共に、上下方向に長尺とされている。
遊技機本体Hは、図1に示すように、外枠2の左端側上下のヒンジH1、H2を用いて、外枠2の左端側に回動自在に組み付けてられている。この遊技機本体Hは、遊技機1のうちで外枠2を除く部分であって、本体枠3と、ガラス扉枠(前面枠)4と、上皿部材5と、下皿部材6と、遊技盤10(図5を参照)と、裏機構盤102(図36を参照)等を主要部としている。
本体枠3は、全体がプラスチック製であり、図3に示すように、外枠2の内側に嵌めこまれ、外枠2に対して開閉可能に軸支されている。つまり、本体枠3の左端側の上下が、外枠2に対して軸支され、外枠2に対して開閉可能とされている。また、本体枠3のうちで上方側及び中間側の部位には、図4に示すように、この部位を前後を貫通する状態に窓部3Mが設けられている。そして、本体枠3の後面部のうちで、この窓部3Mを取り囲む部位からは、遊技盤10が挿入される保持用突出部33gが突出している。この保持用突出部33gは、本体枠3の後方に突出しつつ、略矩形型の枠形状に構成され、遊技盤10に厚みに相当する奥行き(前後幅)を有している。
この保持用突出部33gは、その後方から、遊技盤10(図5参照)を受け入れて保持する(図4参照)。この保持用突出部33gに保持される遊技盤10は、その前面部(つまり、表面部)10aが前方に向けられる。そして、この前面部10aの主要の部位(遊技領域11を形成する部位を含む主要な部位)が、窓部3Mを通じて、本体枠3の前方から視認可能とされている。
図4に示すように、本体枠3の右端側の後面部であって、保持用突出部33gの右側方に位置する部位に、施錠装置7が装着されている(図1を参照)。この施錠装置7は、上下に長尺状とされており、その前面部を、本体枠3の後面部に当接させた状態で本体枠3に装着されている。この施錠装置7の前面部では、上端部側と中間部とにおいて、係合部7K、7Kを前方に突出させている。
ガラス扉枠(表扉枠)4は、図4に示すように、本体枠3の前面部側において開閉動作可能な状態に配置されている。つまり、ガラス扉枠(表扉枠)4の左端部の上下が、上下一対のヒンジh、hを介して、本体枠3の左端部に支持されている(図1を参照)。このガラス扉枠4は、その後面部を本体枠3の前面部に近接させて、本体枠3に対して閉鎖された状態となる。このガラス扉枠4は、扉枠本体41と、ガラス板43と、ガラス板43を扉枠本体41に保持させる(取り付ける)ための保持部材(図示を省略)と、を備えている。尚、保持部材を扉枠本体41に対して一体的に設けることもできる。
扉枠本体41は、レンズ状のプラスチックを主体に構成され、図4に示すように、円形状の開口部41aを有している。この開口部41aは、扉枠本体41の前面部及び後面部を貫通する状態に設けられている。そして、ガラス扉枠4を閉じた状態としたときに、ガラス扉枠4の奥側(背後)に配置される遊技盤10の盤面(遊技領域11)を、前方(遊技者の側)から視認可能とするためのものである。つまり、この開口部41aは、遊技盤10に形成された遊技領域11(図5参照)の形状に対応して、略円周状に開設されている。また、ガラス板43は、開口部41aにおいて、その後端側に位置する部位に、はめこまれている。このため、ガラス扉枠4の前方から、開口部41aを覗き込むと、ガラス板43を透かして、ガラス扉枠4の後方を視認可能とされている。
尚、扉枠本体41の後面部において、開口部41aの右側方に位置する部位からは、2つの係合突起が突出している(図示を省略)。これらの係合突起は扉枠本体41の後方に突出する状態に配設されている。また、これらの係合突起は、略L字状の板状体を用いて構成され、突端部を、扉枠本体の右側方に向けている。そいて、「本体枠3に対して開放状態」にあるガラス扉枠4を、「本体枠3に対して閉鎖状態」にすると、前述の係合部7Kが係合突起に係合し、ガラス扉枠4は本体枠3に施錠される。また、ガラス扉枠4を解錠する場合、所定の鍵を用いて施錠装置7を操作し、係合部7Kの係合突起に対する係合を解除される。この状態で、ガラス扉枠4を手前に引くと、ガラス扉枠4を本体枠3に対して全開状態とすることができる。
図2に示すように、ガラス扉枠4において、開口部41aの周縁の部位には、各種のLED基板4b、4c、4d、4e、4f、4g、4hが内蔵されている。また、何れのLED基板4b〜4hも、プリント配線基板と、プリント配線基板に搭載された複数のLEDランプと、を備えている。そして、これらのLED基板4b〜4hを構成するLEDランプは、目的(遊技効果を高める目的、賞球を報知する目的、当該遊技機1にエラーを生じたことを報知する目的)に応じて、点灯及び消灯したり、点滅する。
図1及び図2に示すように、ガラス扉枠4の上端部側の左右には、各々、スピーカーSP1、SP2(図33参照)が内蔵されている。また、本遊技機1においては、前板部22の左右両端にも、スピーカーSP3、SP4(図33参照)が内蔵されている。このため、本遊技機1においては、前面部の4隅にスピーカーSP1〜SP4を配置することで、「4ウェイのスピーカーシステム」を構成している。そして、本遊技機1においては、これらのスピーカーSP1〜SP4を用いて、遊技状態に応じた効果音その他の音(音声)を発生させる。
図2に示すように、このガラス扉枠4の右下方側であって、開口部41aの外周縁の外側に位置する部位(つまり、ガラス扉枠の右下の角部寄りの箇所)には、右下窓部41Rが設けられ、ガラス扉枠4の左下方側であって、開口部41aの外周縁の外側に位置する部位(つまり、ガラス扉枠の左下の角部寄りの箇所)には、左下窓部41Lが設けられている。また、右下窓部41R及び左下窓部41Lは、開口形状が略楕円形状とされつつ、ガラス扉枠4の前後を貫通する開口部(窓部)によって構成されている。また、ガラス扉枠4の後面部において、右下窓部41Rと、左下窓部41Lの後方に位置する部位には、透明板(ガラス板)が装着されている。このため、ガラス扉枠4の前方から、右下窓部41R及び左下窓部41Lを観察すると、この透明板(ガラス板)を透かして、ガラス扉枠4の後方を視認可能である。
遊技盤10の前面部10aにおいて、右下窓部41Rの後方に位置する部位には、証紙台500が装着されている(図2を参照)。そして、ガラス扉枠4を閉じた状態としたときに、この証紙台500に貼付された証紙500Sは、右下窓部41Rを通じて、ガラス扉枠4の前方から視認可能(透明板を透かして視認可能)とされている。また、遊技盤10の前面部10aにおいて、左下窓部41Lの後方に位置する部位には、「当該遊技機1のスペック(大当りを生ずる確率、大当り中に実行されるラウンド数等)を表示するための表示部材(ラベル等)550K」が装着されている(図2を参照)。そして、ガラス扉枠4を閉じた状態としたときに、この表示部材550Kは、左下窓部41Lを通じて、ガラス扉枠4の前方から視認可能(透明板を透かして視認可能)とされている。
遊技機本体Hの前面部のうちで、前面枠3の下方の部位が、上皿部材5と下皿部材6とを備える構成とされている。つまり、上皿部材5は、前面枠3の下方に配置され、下皿部材6は上皿部材5の下方に配置されている。また、上皿部材5は、遊技機1の内部の遊技球を、この上皿部材5に排出するための排出口5b等を備えている。尚、上皿部材5の裏側には、球貸表示基板410(図32参照)及び演出ボタン基板228(図33参照)が設けられ、上皿部材5の上面部には「球貸操作部5c」と、操作スイッチSWとが配置されている。また、上皿部材5の外郭部分も、レンズ状のプラスチックを主体され、上皿部材5の内部にも、LED基板4iが内蔵されている(図2を参照)。
図1及び図2に示すように、下皿部材6の略中央には、遊技機1の内部から遊技球を排出するための排出口6aが設けられている。また、下皿部材6の左端には灰皿6bが設けられ、下皿部材6の右端には発射ハンドル9が設けられている。また、下皿部材6の底面には球抜き孔(図示を省略)が設けられている。この球抜き孔は、通常時には、閉鎖されているが、下皿部材6に貯留された遊技球を遊技機1から排出する際に開放状態とされる。また、発射ハンドル9は、発射装置ユニット(図示を省略)に接続されている。この発射ハンドル9には、遊技者がハンドルに触れていることを検出するタッチスイッチ9aが装着されており、その近傍には、遊技球の発射を一時的に停止するための発射停止スイッチ9bが装着されている。また、前述の施錠装置7は、正面視すると鍵穴を備えた略長方形状を呈し、前面枠4を閉鎖した場合に施錠するためのものである。更に、遊技機1の左端側には、プリペイドカードユニットが設けられている(図示を省略)。
b.遊技盤10の構成
次に、遊技盤10の構成について、図5等を用いて説明する。この遊技盤10は、図4及び図5に示すように、中枠3(図1を参照)に保持されるとともに、後述する裏機構盤102(図35参照)によりその背面側が覆われている。また、遊技盤10は、平明形状が略矩形の合板(透明な樹脂板でもよい。)を用いて構成される盤本体10Hと、この盤本体10Hに取り付けられる複数個の盤部品(外側レール12、内側レール13等)とを備えている。
盤本体10Hの前面部(表面部)には、図5に示すように、ともに帯状の金属板を用いて構成される外側レール12と、内側レール13とが配設されている。そして、盤本体10H(遊技盤10)の前面部(表面部)において、この外側レール12及び内側レール13が形成する略円形の周壁によって構成される部位が、遊技領域11を構成している。尚、本実施例では、2本のレール(外側レール12、内側レール13)を用いて、遊技領域11の外縁部を構成する態様を例示したが、例えば、1本のレール(C字状に配設された1本のレール)を用いて遊技領域11の外縁部を構成することもできる
この盤本体10H(遊技盤10)の前面部(表面部)において遊技領域11内に位置する部位には、中央装置20と、2個の普通図柄作動ゲート(普通図柄作動口)16A、16Bと、3つの始動入賞装置17、18、19と、下部装置30と、2個の一般入賞装置40、41と、多数の障害釘(図示を省略)と、風車46等が配設されている。また、この中央装置20には、保留図柄表示装置50と、第1の表示装置60と、第2の表示装置70と、が一体化されている。尚、盤本体10Hには、セル画が印刷されたシートが貼付されているが、図5等においては、その図示を省略する。また、盤本体10H(遊技盤10)の前面部(表面部)において、遊技領域11外に位置する部位には、前述の証紙台500や表示部材550Kが装着されている(図5においては図示を省略)。
中央装置20は、図6等を用いて示されるように、ベース部材(化粧板)21と、収納ボックス(図9及び図10を参照)22と、通過路選択装置23と、第1の通過路形成部材24Aと、第2の通過路形成部材24Bと、第1の誘導装置25と、第2の誘導装置26と、左右一対の開閉部材27A、27Bとを備えている。
ベース部材21は、図6に示すように、盤本体10H(遊技盤10)の前面部の略中央に装着される枠状体によって構成される。つまり、図9及び図10に示すように、遊技盤10の略中央部には、「中央取付孔10d」が設けられている。そして、ベース部材21は、盤本体10Hの前面部において、この中央取付孔10dの周縁に位置する部位に装着されている。また、収納ボックス22は、開口部22aを前方(遊技者の方向)に向け、前端部を、中央取付孔10dに挿通しつつ、ベース部材21の後方に突出する状態とされている。そして、ベース部材21の内縁部は、収納ボックス22の内部を視認可能とするための窓部21aを構成している。
図6及び図9に示すように、ベース部材21の前面部には、周壁部材21bが前方に突出する状態に装着されている。この周壁部材21bは、窓部21aを略包囲する略枠形状とされており、本体壁部21cと、左側庇部21dと、右側庇部21eと、頂壁部21fとを備えている。
図6に示すように、本体壁部21cは、略U字状(正面視。)の経路を描きつつ、窓部21aの左右の左側縁部及び下縁部を包囲している。また、左側庇部21dは、左方向に下り傾斜状とされつつ、窓部21aの上縁部における左側の領域に配設され、右側庇部21eは、右方向に下り傾斜状とされつつ、窓部21aの上縁部における右側の領域に配設さている。但し、左側庇部21dの右端部と、右側庇部21eの左端部とは所定幅(遊技球の直径の約3〜5倍の幅)の空間部(以下、「第1の空間部」という。)21gを挟んだ対向している。
左側庇部21dの左端部と、本体壁部21cの左端部との間には、遊技球が進入可能な空間部(以下、「第2の空間部」という。)21hが設けられ、右側庇部21eの右端部と、本体壁部21cの右端部との間にも、遊技球が進入可能な空間部(以下、「第3の空間部」という。)21iが設けられている。尚、収納ボックス22内には、(a)中央装置20の左側方から取り入れた遊技球を、中央装置20内で誘導させ、後述の始動入賞装置17の上方に位置する部位で遊技領域11に返還する「第1ワープ通路28a」と、(b)中央装置20の右側方から取り入れた遊技球を、中央装置20内で誘導させ、後述の始動入賞装置17の上方に位置する部位で遊技領域11に返還する「第2ワープ通路28b」と、が設けられている。そして、第2の空間部21hは第1ワープ通路28aの入口部に接続され、第3の空間部21iは第2ワープ通路28bの入口部に接続されている。
図6に示すように、頂壁部21fは、略逆U字状(正面視)の経路を描きつつ、第1の空間部21gの上方に配置されている。この頂壁部21fの左方側の下端部と、左側庇部21dの右端部との間には、所定幅(遊技球の直径の約2〜4倍の幅)の空間部(以下、「第4の空間部」という。)21kが設けられ、頂壁部21fの右方側の下端部と、右側庇部21eの左端部との間にも、所定幅(遊技球の直径の約2〜4倍の幅)の空間部(以下、「第5の空間部」という。)21mが設けられている。この第4の空間部21kと、第5の空間部21mが、各々、入球口29A、29Bの具体例を構成している。
図6に示すように、左側の開閉部材27Aは、略羽根形の部材によって構成されると共に、その下端部側が第4の空間部21kにおいて、ベース部材21に軸支され、この第4の空間部21kによって構成される入球口29Aの開閉を行う。つまり、この開閉部材27Aの下端部側の回動軸心を支点として回動可能とされ、「起立状態となりつつ、入球口29Aを閉鎖する閉鎖姿勢」と、「左上がり傾斜状に傾斜して、入球口29Aを開放する開放姿勢」との間で姿勢変更を行うことができる。そして、開閉部材27Aが閉鎖姿勢となると、入球口29Aが閉鎖され、遊技領域11を流下する遊技球が、入球口29Aを通じて、中央装置20内に進入することが不可能となる。一方、開閉部材27Aが開放姿勢となると、入球口29Aが開放され、入球口29Aを通じて、中央装置20内に進入することが可能となると共に、開閉部材27Aの右側面部が入球口29Aに向かって下り傾斜となり、入球口29Aに遊技球を誘導するため、誘導面を構成する。
右側の開閉部材27Bは、左側の開閉部材27Aと鏡面対称な略羽根形の部材によって構成されると共に、その下端部側が第5の空間部21mにおいて、ベース部材21に軸支され、この第5の空間部21mによって構成される入球口29Bの開閉を行う。つまり、この開閉部材27Bの下端部側の回動軸心を支点として回動可能とされ、「起立状態となりつつ、入球口29Bを閉鎖する閉鎖姿勢」と、「右上がり傾斜状に傾斜して、入球口29Bを開放する開放姿勢」との間で姿勢変更を行うことができる。そして、開閉部材27Bが閉鎖姿勢となると、入球口29Bが閉鎖され、遊技領域11を流下する遊技球が、入球口29Bを通じて、中央装置20内に進入することが不可能となる。一方、開閉部材27Bが開放姿勢となると、入球口29Bが開放され、入球口29Bを通じて、中央装置20内に進入することが可能となると共に、開閉部材27Bの左側面部が入球口29Aに向かって下り傾斜となり、入球口29Bに遊技球を誘導するため、誘導面を構成する。
両開閉部材27A、27Bは、所定のリンク機構(図示を省略)を介して、開閉ソレノイド27c(図32を参照)に接続されている。そして、この開閉ソレノイド27cを駆動することで、両開閉部材27A、27Bが開閉動作を行う。例えば、開閉ソレノイド27cを通電したときに、両開閉部材27A、27Bは開放姿勢となり、開閉ソレノイド27cへの通電を停止したときに、両開閉部材27A、27Bは閉鎖姿勢とされる。尚、後述する主制御部200Aによって、「開閉ソレノイド27cの動作を制御する開閉動作制御手段」が構成される。また、開閉部材27A、27Bと、開閉ソレノイド27cと、両者間に介在されるリンク機構(図示を省略)とによって、入球口29A、29Bの開閉を行うための入球口開閉装置を構成する。
通過路選択装置23は、入球口29Bを通じて中央装置20内に進入した遊技球の通過する通過路を、「第1の通過路形成部材24Aによって構成される通過路(以下、「通常通過路」ということがある。)」と、「第2の通過路形成部材24Bによって構成される通過路(以下、「特別通過路」ということがある。)」とのうちの一方に振り分けるための装置である。つまり、入球口29Bを通じて中央装置20内に進入した遊技球は、この通過路選択装置23によって、第1の通過路形成部材24Aと、第2の通過路形成部材24Bとのうちの何れか一方に誘導される。この通過路選択装置23の構造、誘導態様は種々選択可能であるが、本実施例では、図11に示すように、誘導板23aと、カム23bと、伝達部材(スタンパ)23cと、誘導モータ23d(図32を参照)とを備えるものを例示できる。尚、後述する主制御部200Aによって、「誘導モータ23dの動作を制御する誘導動作制御手段」が構成される。
誘導板23aは、第1の空間部21g内において、ベース部材21の前面部に回動可能な状態に支持され、遊技者から視認可能とされている。つまり、この誘導板23aは、左右方向に沿った中間部の回動軸心23eを基準として回動可能な状態に支持されている。但し、この誘導板23aにおいては、左端側には錘231aを装着することで、誘導板23aの重心位置が、回動軸心23eよりも左側に位置している。このため、誘導板23aは、左方向に傾斜するような挙動を示し易くなっている。また、誘導板23aの上面部23fは、入球口29A、29Bを通じて、中央装置20内に進入し、上方から落下する遊技球を受け取り、左端部若しくは右端部に転動させるための転動面を構成している。
伝達部材(スタンパ)23cは、軸心を上下に向け、上下方向中間部に突起部23gを突出させた軸体を用いて構成され、軸受部23h、23iを用いて上下動可能に支持される。但し、伝達部材23cの下方に規制部(規制面)23jが配設され、伝達部材23cの下降範囲は、伝達部材23cの下端部23uが規制部(規制面)23jに当接するまでの範囲とされる。
カム23bは、誘導モータ23dの軸部23kに一体回転可能な状態に装着されると共に、外周部の一カ所から突起部(タペット)23mを突出させている。このカム23bは一回転する間に一度、突起部23mが突起部23gに対して下方から係合し、この突起部(タペット)23mが、突起部23g、ひいては、伝達部材23c全体を上方に跳ね上げることができる。但し、伝達部材23cの長さ(上下方向に沿った長さ)は、以下のように定められている。つまり、(A)突起部23mが突起部23gに係合していない場合には、下端部23uを規制部(規制面)23jに当接させつつ、上端部23wで、左方向に傾斜する姿勢(以下、「通常誘導姿勢」という。)の誘導板23aを支持可能であると共に、(B)突起部23mが突起部23gに係合し、跳ね上げられた場合には、上端部23wで、「誘導板23aが右方向に傾斜する姿勢(以下、「特別誘導姿勢」という。)」となるように、誘導板23aを押し上げ、可能な長さとされている。
誘導板23aの姿勢が「通常誘導姿勢」である場合には、入球口29A、29Bを通じて、「中央装置20内に進入し、誘導板23aの上面部23fに落下する遊技球Y1」は、第1の通過路形成部材24Aに誘導され、この後、第1の誘導装置25に受け入れられる{図11(a)を参照}。一方、誘導板23aの姿勢が「特別誘導姿勢」である場合には、「誘導板23aの上面部23fに落下する遊技球Y2」は、第2の通過路形成部材24Bに誘導され、この後、第2の誘導装置26に受け入れられる{図11(b)を参照}。そして、後述するように、「遊技球が第1の通過路形成部材24Aに誘導される場合」に比べて、「遊技球が第2の通過路形成部材24Bに誘導される場合」の方が、「遊技者にとって有利な遊技結果」が得られる可能性が高くなっている。
本実施例においては、「入球口29A、29Bを通じて中央装置20内に進入した遊技球が、第2の通過路形成部材24Bに誘導される確率(以下、「第2の誘導確率」という。)」は、「入球口29A、29Bを通じて中央装置20内に進入した遊技球が、第1の通過路形成部材24Aに誘導される確率(以下、「第1の誘導確率」という。)」に比べて低くなるように設定されている。蓋し、本実施例において、誘導モータ23dの軸部23k及びカム23bは、常時(遊技機の遊技状態に関わらず、常時)、一定速度で回転している。ところが、カム23bが一回転する毎に、誘導板23aの姿勢を「特別誘導姿勢」とする時間(突起部23gが突起部23mを跳ね上げられる時間)は、誘導板23aの姿勢を「通常誘導姿勢」とする時間に比べて短くなるからである。
但し、「第2の誘導確率」を、「第1の誘導確率」に比べて高くするための方法は、これに限定されない。例えば、開閉部材27A、27Bの姿勢が閉鎖姿勢にあるときには、誘導板23aの姿勢を「通常誘導姿勢」に維持し、開閉部材27A、27Bの姿勢が開放姿勢となると同時に、誘導板23aの姿勢を「特別誘導姿勢」とし、この「特別誘導姿勢」を短時間(例えば、開閉部材27A、27Bの開放時間の半分以下の時間で、特に、0.5〜1.5秒)で終了させる(短時間に通常誘導姿勢に戻す)ように、後述する主制御部200Aが、前述の入球口開閉装置と、通過路選択装置23の駆動を制御する手法(以下、「第2の手法)という。)を例示できる。
この第2の手法においては、例えば、カム23bの外周部の複数カ所(例えば、周方向に等間隔な3〜6カ所)において、突起部(タペット)23mを突出させ、開閉部材27A、27Bの姿勢が開放姿勢となると同時に、誘導モータ(特に、ステッピングモータ)23dを動作させ、何れかの突起部(タペット)23mで、突起部23gを押し上げてもよい。また、第2の手法においては、入球口開閉装置が開放動作(入球口29A、29Bを開放するための動作)を行う度に、通過路選択装置23が、誘導板23aの姿勢を「特別誘導姿勢」とするように動作することは必ずしも、必要とされない。例えば、主制御部200Aは、入球口開閉装置が開放動作(入球口29A、29Bを開放するための動作)を行う旨を決定する度に、「通過路選択装置23に、誘導板23aの姿勢を特別誘導姿勢とするように動作させる否か」を決定してもよい。尚、図示を省略するが、中央装置20内において、「通過路選択装置23と、入球口29A、29Bとの間に位置する部位」には、入賞検出スイッチ20s(図32を参照)が配設されている。このため、「入球口29A、29Bを通じて中央装置20内に進入した遊技球」は、通過路選択装置23に到達する前に、この入賞検出スイッチ20sによって検出される。
第1の通過路形成部材24Aは、図9に示すように、収納ボックス22内に配置される。この第1の通過路形成部材24Aは、「入球口29A、29Bを通じて中央装置20内に進入した遊技球」を、第1の誘導装置25に向かって通過させるためのものである。この第1の通過路形成部材24Aは、断面形状が略四角枠状で、中間部の2カ所に屈曲部を備える筒状体(樋)を用いて構成されている。この第1の通過路形成部材24Aは、図9及び図10を用いて示されるように、第1の筒状部241Aと、第2の筒状部243Aと、第3の筒状部245Aとを備えている。また、第1の筒状部241Aは、右端部を誘導板23aの中間部(回動軸心23eが通過する位置)の直下にを位置させつつ、左右に略水平に配置されている。更に、第2の筒状部243Aは、第1の筒状部241Aの左端部と連通しつつ、この左端部から下方に突出する状態に配置されている。更に、第3の筒状部245Aは、第2の筒状部243Aの下端部と連通しつつ、この下端部の後方に向かって突出する状態に配置されている。
この第1の筒状部241Aの右端部側の上面部は切り欠かれ、入口部246Aを構成している(図9を参照)。そして、この入口部246Aには、通常誘導姿勢とされた誘導板23aの左端側が進入可能とされている。そして、この誘導板23aの上面部23fを転動した遊技球は、この入口部246Aを通じて、第1の通過路形成部材24A内に進入可能となっている。また、第3の筒状部245Aの後端部側の下面部は切り欠かれ、出口部247Aを構成している(図10を参照)。更に、第1の通過路形成部材24Aの床面は、入口部246Aから出口部247Aに向かって下る傾斜面とされている。このため、第1の通過路形成部材24Aは、入口部246Aで受け入れた遊技球を、出口部247Aに向かって通過させることができる。
第2の通過路形成部材24Bは、図9に示すように、収納ボックス22内に配置される。この第2の通過路形成部材24Bは、「入球口29A、29Bを通じて中央装置20内に進入した遊技球」を、第2の誘導装置26に向かって通過させるためのものである。この第2の通過路形成部材24Bも、断面形状が略四角枠状で、中間部の2カ所に屈曲部を備える筒状体(樋)を用いて構成されている。この第2の通過路形成部材24Bは、図9及び図10を用いて示されるように、第1の筒状部241Bと、第2の筒状部243Bと、第3の筒状部245Bとを備えている。また、第2の筒状部241Bは、左端部を誘導板23aの中間部(回動軸心23eが通過する位置)の直下に位置させつつ、左右に略水平に配置されている。更に、第2の筒状部243Bは、第1の筒状部241Bの右端部と連通しつつ、この左端部から下方に突出する状態に配置されている。更に、第3の筒状部245Bは、第2の筒状部243Bの下端部と連通しつつ、この下端部の後方の後方に向かって突出する状態に配置されている。
この第2の筒状部241Bの左端部側の上面部は切り欠かれ、入口部246Bを構成している(図9を参照)。そして、この入口部246Bには、特別誘導姿勢とされた誘導板23aの左端側が進入可能とされている。そして、この誘導板23aの上面部23fを転動した遊技球は、この入口部246Bを通じて、第2の通過路形成部材24B内に進入可能となっている。また、第3の筒状部245Bの後端部側の下面部は切り欠かれ、出口部(図示を省略)を構成している。更に、第2の通過路形成部材24Bの床面も、入口部246Bから出口部に向かって下る傾斜面とされている。このため、第2の通過路形成部材24Bは、入口部246Bで受け入れた遊技球を、出口部に向かって通過させることができる。
第1の誘導装置25は、収納ボックス22内において中央部よりも左側の部位に配置されている。この第1の誘導装置25は、第1の通過路形成部材24Aを通過した遊技球を受け入れ、通常領域部TR(図22を参照)及び第2の誘導装置26のうちの一方に誘導するためのものである。
第1の誘導装置25は、図7に示すように、基体部25aと、移送ローラ装置25bと、を備えている。また、基体部25aは、遊技球を転動させる転動面を構成すると共に、移送ローラ装置25bを支持するための部材であり、「横長の略矩形状」の平面形状を備えている。この基体部25aは、図8に示すように、本体部25cと、モータ取付部25dとを備えている。尚、モータ取付部25dは、基体部25aの左端側を構成し、本体部25cは「基体部25aのその他の部分」を構成する。
図8に示すように、本体部25cにおいて、前後方向に沿った中央部であって、右端側に偏心した位置には、装着部25eが設けられている。この装着部25eは、略樽形の開口形状を呈しつつ、上方に向かって開口する凹部によって構成されている。また、本体部25cの後縁部からは後壁部25fが立ち上げられ、本体部25cの左縁部からは左側壁部25gが立ち上げられている。更に、本体部25cの前縁部からは、前壁部25hが立ち上げられているが、この前壁部25hは、2つの切り欠き部K1、K2を備えている{図18(a)を参照}。
本体部25cの上面部からは仕切壁部25iが立ち上げられている。この仕切壁部25iは、後端部を後壁部25fに一体化させ、左側壁部25gと略平行に配設されている。但し、この仕切壁部25iと、左側壁部25gとの間には遊技球の通過を許容する空間(11mmを超える幅を有する間隔)が設けられている。また、仕切壁部25iの前端部と、前壁部25hとの間にも、遊技球の通過を許容する空間(11mmを超える幅を有する間隔)が設けられている。
本体部25cの上面部において、左側壁部25gと、仕切壁部25iとの間に位置する部位は、球導入路D1を構成する。この球導入路D1は、第1の通過路形成部材24A(通過路)を通過した遊技球を受け取り、後述する受入転動部Eに導入するためのものである。この球導入路D1は、入口部D11を、第1の通過路形成部材24Aの出口部247Aの直下に位置させる(図10を参照)と共に、出口部D12を、後述する受入転動部Eに接続している。また、球導入路D1の床面部は、入口部D11から出口部D12に向かって下り傾斜状とされている(図10を参照)。
本体部25cの上面部において、前壁部25hと、装着部25eとの間の部位は、受入転動部Eを構成している(図8を参照)。この受入転動部Eは、左右方向に形成されると共に、左端部ELが、球導入路D1の出口部D12と略直交する状態で接続されている。このため、受入転動部Eは、第1の通過路形成部材24A(通過路)に球導入路D1を介して接続され、第1の通過路形成部材24A(通過路)、球導入路D1の順に通過した遊技球を受け入れることができる。但し、受入転動部Eの右端部の床面(路面)は、球導入路D1の出口部D12の床面(路面)に比べて段差状に低くされている(図15を参照)。
図7及び図18(a)に示すように、この受入転動部Eは略波形とされつつ、左右方向に転動経路を形成している。つまり、この受入転動部Eは、なだらかな凹凸を形成しつつ、「平面視で略直線状」に設けられた転動面(路面)を用いて構成されると共に、左端部EL(図8等を参照)を、遊技球を導入するための導入部とし、右端部ER(図8等を参照)を、転動した遊技球が折り返す折り返し部としている。この受入転動部Eの転動経路の経路途中には、転動面(路面)を略山形に隆起させて構成される障害用隆起部Vが設けられている。また、この受入転動部Eにおいては、右端部ER及び左端部ELの高さを、他の何れの部位の高よりも高くしている。
以下の説明においては、「受入転動部Eにおいて障害用隆起部Vの頂部VTよりも左側に位置する部位」を通常転動部NTと称し、「受入転動部Eにおいて頂部VTよりも右側に位置する部位」を特別転動部STと称する。
通常転動部NTは、図18(a)に示すように、谷形に凹む(略円弧状に凹む)形状とされ、左右に沿った両端部(受入転動部Eの左端部EL及び障害用隆起部Vの頂部VT)において床面を高くし、中央部において床面を高さを最も低くしている。この通常転動部NTでは、左端部(受入転動部Eの左端部EL)から中央部に向かって、下り傾斜部(緩やかな略円弧状の経路をたどって、右下り傾斜となる下り傾斜部)が形成され、右端部(障害用隆起部Vの頂部VT)から中央部に向かって、下り傾斜部(緩やかな略円弧状の経路をたどって、左下り傾斜となる下り傾斜部)が形成されている。
また、特別転動部STも、図18(a)に示すように、谷形に凹む(略円弧状に凹む)形状とされ、両端部(障害用隆起部Vの頂部VT及び受入転動部Eの右端部ER)において床面を高くし、中央部において床面を高さを最も低くしている。この特別転動部STでは、左端部(障害用隆起部Vの頂部VT)から中央部に向かって、下り傾斜部(緩やかな略円弧状の経路をたどって、左下り傾斜となる下り傾斜部)が形成され、右端部(受入転動部Eの右端部ER)から中央部に向かって、下り傾斜部(緩やかな略円弧状の経路をたどって、左下り傾斜となる下り傾斜部)が形成されている。
また、本実施例では、通常転動部NTの左右方向に沿った経路長は遊技球の直径(11mm)の約6倍とされ、特別転動部STの左右方向に沿った経路長は、遊技球の直径(11mm)の約3倍とされている。そして、以下の説明においては、「通常転動部NTにおいて中央部を中心とする遊技球の直径(11mm)の約2倍の幅の部位」を、「第1の通常誘導部NY1」と称し、「特別転動部STの中央部を中心とする遊技球の1個分の幅の部位」を、第2の通常誘導部NY2と称する(図18を参照)。この第1の通常誘導部NY1及び第2の通常誘導部NY2は、何れも、前方に下り傾斜となる傾斜面によって構成されている(図7等を参照)。
図18に示すように、前述の前壁部25hにおいて、受入転動部Eの前方に位置する部位では、本体部25cの上方(受入転動部Eの上方)への突出量が少なくされ、遊技球の直径(11mm)の約「1/4」の量に相当する突出量とされている。また、前壁部25hに設けられる一方の切り欠き部K1は、第1の通常誘導部NY1の前縁部に相当する部位に設けられる。このため、第1の通常誘導部NY1において、その「前方への下り傾斜」を利用して、前方へ転動する遊技球は、この切り欠き部K1を通過し、受入転動部E外へ排出され、所定の連絡路TR1を介して、通常領域部TRに誘導される(図22を参照)。
前壁部25hに設けられる他方の切り欠き部K2は、第2の通常誘導部NY2の前縁部に相当する部位に設けられる。このため、第2の通常誘導部NY2において、その「前方への下り傾斜」を利用して、前方へ転動する遊技球は、この切り欠き部K2を通過し、受入転動部E外へ排出され、前述の連絡路TR1を介して、通常領域部TRに誘導される(図22を参照)。
図7及び図8に示すように、本体部25cの上面部において、装着部25eと後壁部25fとの間には、球受取転動部Gが設けられ、装着部25eと仕切壁部25iとの間には、連結用転動部Jが設けられている。尚、球受取転動部G及び連結用転動部Jは、1球の遊技球が通過可能な幅(11mmを超える幅)を有している。
球受取転動部Gは、移送ローラ装置25b(後述する。)によって上方に移送される遊技球を受け取り、受入転動部E及び第2の誘導装置26のうちの一方に誘導するための誘導部を構成する。この球受取転動部Gは、図15に示すように、頂部GTの左右に下り傾斜となる下り傾斜面を用いて構成されている。つまり、頂部GTを基準として左方向に下り傾斜となる第1の傾斜部G1と、頂部GTを基準として右方向に下り傾斜となる第2の傾斜部G2と、を備えている。また、「球受取転動部Gの頂部GT」と、「障害用隆起部Vの頂部VT」とは前後に位置合わせされている。また、「球受取転動部Gの頂部GT」の高さは、「障害用隆起部Vの頂部VT」の高さよりも高くされている。
連結用転動部Jは、図7に示すように、後方から前方に向かって下り傾斜となる下り傾斜部を用いて構成されている。そして、連結用転動部Jの後端部(上端部)と、第1の傾斜部G1の左端部(下端部)とが、略直交する状態で連結されると共に、連結用転動部Jの前端部(下端部)と、通常転動部NTとが略直交する状態で連結されている。このように、第1の傾斜部G1と、連結用転動部Jとが連結されることで、下り傾斜状の通路(戻し通路)が形成されるが、この通路(戻し通路)によって、第1の傾斜部G1の遊技球を受入転動部Eに戻すための「返還誘導部N1」が構成される(図8を参照)。
図7に示すように、第2の傾斜部G2の下端部は、本体部25cの右端面の後方側において、第1の誘導装置25の外部に開放され、後述する「第2の誘導装置26の転動面26k」に連結されている。このように、第2の傾斜部G2は、第2の誘導装置26に向かって下り傾斜状の通路(以下、「特別誘導部S1」という。)が構成されるが、この「特別誘導部S1」は「遊技球を第2の誘導装置26の方向に向かって誘導する誘導通路」を構成する。
移送ローラ装置25bは、図12〜図14を用いて示されるように、移送ローラ25mと、移送ローラ25mを回転可能な状態に支持するための支持部25n、25pと、移送ローラ25mを回転駆動させるための移送モータ25rと、を備えている。また、移送ローラ25mは、ローラ本体25sと、ローラ軸25tと、通常吸着片25uと、特別吸着片25vとを備えている。
ローラ本体25sは、樹脂を用いて構成されると共に、略樽形状の外形を備えている。このローラ本体25sの縦断面(回転軸心を通過する縦断面)の形状は、装着部25eの開口形状と略等しくされている。但し、ローラ本体25sの縦断の外縁寸法は装着部25eの開口部の内縁寸法よりも僅かに小さくされている。つまり、このローラ本体25sは、その回転軸心を略水平方向に向け、下方側の部分を装着部25e内に埋没させ、上方側の部分を本体部25cの上方に露呈させた状態とされつつ、回転可能なサイズとされている。
尚、以下の説明においては、ローラ本体25sのうちで、外径が最大となる部分を大径部251sと称し、この大径部251sよりも右側の部分(ローラ本体25sの軸心方向に沿った右側の部分)を右方部252sと称し、この大径部251sよりも左側の部分(ローラ本体25sの軸心方向に沿った左側の部分)を左方部253sと称することがある。
ローラ軸25tは、ローラ本体25sの軸心位置に配設され、ローラ本体25sと一体で回転可能とされている。また、ローラ軸25tの左端部側は、ローラ本体25sの左端面から突出し、ローラ軸25tの右端部側は、ローラ本体25sの右端面から突出している。尚、ローラ軸25tの軸心は、移送ローラ25mの回転軸心に一致する。
通常吸着片25uは、永久磁石を用いて構成される小片を用いて構成されると共に、図16及び図17に示すように、ローラ本体25sの左方部253sに装着されて、この左方部253sの所定の部位の外周部に「通常吸着部X」を形成する。この通常吸着部X(通常吸着片25u)は、左方部253sにおいて、「ローラ本体25sの回転軸心(ローラ軸25tの軸心)」に沿った2箇所において、左方部253s(ローラ本体25s)の外周部を周回する方向に沿って、複数個ずつ、形成間隔をおいた状態で装着されている。
つまり、この左方部253sにおける「2カ所」のうちで、左側に位置する部位(以下、「第1の形成位置d1」という。)には、3個の通常吸着部X(通常吸着片25u)が、左方部253sの外周部を周回する方向に沿って等間隔に設けられている。また、この左方部253sにおける「2カ所」のうちで、右側に位置する部位(以下、「第2の形成位置d2」という。)には、2個の通常吸着部X(通常吸着片25u)が、左方部253sの外周部を周回する方向に沿って等間隔に設けられている。但し、左方部253sに装着される通常吸着部Xの数を更に多くしてもよい。この場合、移送ローラ装置25bと、返還誘導部N1(後述する。)等を用いた演出(前述の返還機能を用いた演出)の実行頻度を高くすることができる。
特別吸着片25vも、通常吸着片25uと同様に、永久磁石を用いて構成される小片を用いて構成されている。そして、この特別吸着片25vは、ローラ本体25sの右方部252sに装着されて、この右方部252sの所定の部位の外周部に「特別吸着部Z」を形成する。この特別吸着部Z(特別吸着片25v)は、右方部252sにおいて、「ローラ本体25sの回転軸心(ローラ軸25tの軸心)」に沿った1箇所において、1個設けられている。但し、右方部252sに装着される特別吸着部Z(特別吸着片25v)の数を多くしてもよい。この場合、移送ローラ装置25bと、特別誘導部S1(後述する。)等を用いた演出の実行頻度を高くすることができる。
尚、吸着片(通常吸着片25u及び特別吸着片25v)のローラ本体25sへの装着方法は特に問わず、例えば、ローラ本体25sの外周部で開口する装着穴やローラ本体25sの外周部で開口する装着溝に装着する態様を例示できる。この場合、装着される吸着片(通常吸着片25u及び特別吸着片25v)は、ローラ本体25sの外周部と面一とされてもよいし、ローラ本体25sの外周部よりも突出してもよし、ローラ本体25sの外周部よりも凹んだ箇所に位置してもよい。更に、移送ローラ25mに吸着部(通常吸着部及び特別吸着部)を設けるための方法は、本実施例に示すものに限定されず、例えば、ローラ本体25sに吸着片(通常吸着片25u及び特別吸着片25v)を埋没させて設けることができる。
支持部25n、25pは、移送ローラ25m(ローラ軸25t)を回転可能な状態で支持する軸受部である。このうち、左側の支持部25nは、導入路D1及び連結用転動部Jの下方に埋設された状態に配置され、右側の支持部25pは、基体部25aの右端側において埋設された状態に配置されている。そして、左側の支持部25nは、ローラ軸25tの左端部側を回転可能な状態に支持し、右側の支持部25pは、ローラ軸25tの右端部側を回転可能な状態に支持している。
移送ローラ25mは、支持部25n、25pで支持されつつ、基体部25aに対して、以下の状態で配置されている。即ち、移送ローラ25mの回転軸心(ローラ軸25t)を左右方向に向け、移送ローラ25m(ローラ本体25s)の下方側の部分を装着部25e内に埋没させ、上方側の部分を基体部25aの上方に露呈させた状態とされつつ、回転可能な状態に配置されている。
移送ローラ25mが、基体部25aに対して、このような状態で配置されると、移送ローラ25mの上方側の部分が、「受入転動部E、球受取転動部G、及び、連結用転動部J」よりも上方に突出する状態とされる。また、受入転動部E及び移送ローラ25mの外周部の距離と、球受取転動部G及び移送ローラ25mの外周部の距離と、連結用転動部J及び移送ローラ25mの外周部の距離は、何れも、遊技球の直径の半分以下(ゼロを含まない。)の距離とされる。
図8に示すように、「ローラ本体25sの大径部251s」は、「障害用隆起部Vの頂部VT」及び「球受取転動部Gの頂部GT」と前後に位置合わせされている。また、「左側の通常吸着片25u」は、「第1の通常誘導部NY1の左端部」と前後に位置合わせされ、「右側の通常吸着片25u」は、「第1の通常誘導部NY1の右端部」と前後に位置合わせされている。更に、「特別吸着片25v」は、「第2の通常誘導部NY2の略中央部」と前後に位置合わせされている。
以下の説明においては、「第1の傾斜部G1(返還誘導部N1)において、左側の通常吸着片25uと前後に位置合わせされる箇所」を第1の通常球受取部F1と称する。また、「第1の傾斜部G1(返還誘導部N1)において、右側の通常吸着片25uと前後に位置合わせされる箇所」を第2の通常球受取部F2と称する。更に、第2の傾斜部G2(特別誘導部S1)において、「特別吸着片25v」と前後に位置合わせされる箇所を特別球受取部Wと称する。
移送モータ25rは、移送ローラ25mを回転させるための「ステッピングモータ」であり、図12に示すように、モータ取付部25dに取り付けられている。そして、図13及び図14に示すように、この移送モータ25rの回転軸251rに装着されたギア252rと、ローラ軸25tに装着されたギア251tとが噛合されている。このため、移送モータ25rによって生ずる回転駆動力が移送ローラ25mに伝達される。尚、後述する主制御部200Aは、移送モータ25rの動作を制御する動作制御手段として機能する。そして、本実施例では、この主制御部200Aが移送モータ25rの動作を制御することで、回転軸251rが、常時、一定速度で回転するため、移送ローラ25mは、常時、一定速度で回転(移送ローラ25mの右側方から見て、右回転方向)している。但し、主制御部200Aは、所定条件が成立したときのみに(例えば、後述する「小当たりを生じたときのみに)、回転軸251rが回転するように、移送モータ25rの動作を制御してもよい。
本実施例においては、図19(a)に示すように、第1の通過路形成部材24A及び球導入路D1を通過し、受入転動部Eに導入される遊技球Yの多くは、通常転動部NTを転動{例えば、1回若しくは複数回、往復動(転動)したり、片道分転動する。}し、勢い(転動速度)が低下したところで、第1の通常誘導部NY1によって、通常領域部TRに誘導される。但し、図17(a)、(b)及び図19(b)に示すように、遊技球Yが通常転動部NTを転動中に(第1の通常誘導部NY1によって通常領域部TRに誘導される前に)、何れかの通常吸着片25u(通常吸着部)によって吸着されると、この遊技球Yは移送ローラ25mと一体で回転する。この遊技球Yは、移送ローラ25mと一体で回転し、受入転動部Eの上方に移送される。
更に、この遊技球Yは、第1の傾斜部G1(返還誘導部N1)の床面(第1の通常球受取部F1、若しくは、第2の通常球受取部F2)に当接したところで、この床面に追従するため、「移送ローラ25mとの一体回転」を禁止され、この床面に移行する。換言すると、この床面(第1の通常球受取部F1、若しくは、第2の通常球受取部F2)は、通常吸着片25uによって吸着された遊技球Yを、通常吸着片25uから剥奪する。更に、この床面(第1の通常球受取部F1、若しくは、第2の通常球受取部F2)に移行した遊技球は、返還誘導部N1の下り傾斜状の床面に沿って転動して、通常転動部NTに誘導される。
このように、返還誘導部N1を通じて、通常転動部NTに誘導される(通常転動部NTに返還される)遊技球Yは、図20(a)に示すように、障害用隆起部Vの頂部VTを超えて、特別転動部STに到達する可能性が高くなっている。蓋し、本実施例では、返還誘導部N1において、遊技球Yを受け取る部位(第1の通常球受取部F1、若しくは、第2の通常球受取部F2)の高さが、障害用隆起部Vの頂部VTの高さよりも、20mm以上高くされている。しかも、返還誘導部N1の経路長及び通常転動部NTの経路長を合わせたもの(以下、「第2の経路長a2」という。)が、短くされている(例えば、150mm以下)とされているからである。
このように、障害用隆起部Vの頂部VTを超えて、特別転動部STに到達した遊技球Yは、特別転動部STを転動{例えば、1回若しくは複数回、往復動(転動)したり、片道分転動する。}する。そして、図17(c)及び図20(b)に示すように、勢い(転動速度)が低下したところで、特別吸着片25v(特別吸着部)によって吸着されると、この遊技球Yは移送ローラ25mと一体で回転する。但し、本実施例では、特別吸着片25v(特別吸着部)に吸着されず、第2の通常誘導部NY2によって、通常領域部TRに誘導される遊技球も存在する。
特別転動部STを転動中に、特別吸着片25v(特別吸着部)によって吸着された遊技球Yは、移送ローラ25mと一体で回転し、受入転動部Eの上方に移送される。この遊技球Yは、第2の傾斜部G2(特別誘導部S1)の床面(特別球受取部W)に当接したところで、この床面に追従するため、「移送ローラ25mとの一体回転」を禁止され、この床面に移行する。換言すると、この床面(特別球受取部W)は、特別吸着片25vから遊技球を剥奪する。更に、この床面(特別球受取部W)に移行した遊技球は、右方向に向かって下り傾斜状の特別誘導部S1に沿って、第2の誘導装置26に誘導される。
尚、第1の通過路形成部材24A及び球導入路D1を通過し、受入転動部Eに導入される際に、遊技球Yの速度が速い場合に、この遊技球Yは、障害用隆起部Vの頂部VTを超えて、特別転動部STに到達することがある。この場合においても、遊技球Yは、特別吸着片25v(特別吸着部)によって吸着され、特別球受取部W、特別誘導部S1を経て第2の誘導装置26に誘導されるか、若しくは、特別吸着片25v(特別吸着部)に吸着されず、第2の通常誘導部NY2によって、通常領域部TRに誘導される。また、本実施例では、遊技球が特別転動部STに到達しても、通常領域部TRに誘導される可能性がある。但し、特別転動部STから、第2の通常誘導部NY2を排除することで、特別転動部STに到達した遊技球は、一律に、第2の誘導装置26に誘導されるものとしてもよい。
第2の誘導装置26は、収納ボックス22内において中央部よりも右側の部位に配置されている(図4及び図7を参照)。この第2の誘導装置26は、(1)第1の誘導装置25から誘導された遊技球を受け入れ、通常領域部TR及び特別領域部SRのうちの一方に誘導したり、(2)第2の通過路形成部材24Bを通過した遊技球を受け入れ、通常領域部TR及び特別領域部SRのうちの一方に誘導するためのものである(図22を参照)。尚、第2の誘導装置26を構成する回転誘導体26bを基準にすると、通常領域部TRが「第1の領域部」の具体例を構成し、特別領域部SRが「第2の領域部」の具体例を構成する。また、第1の誘導装置25を構成する回転誘導体(移送ローラ25m)を基準にすると、通常領域部TRが「第1の領域部」の具体例を構成し、第2の誘導装置26が「第2の領域部」の具体例を構成している。
第2の誘導装置26は、図23に示すように、基体部26a(図7及び図8を参照)と、回転誘導体26bと、誘導モータ26c(図32を参照)と、回転軸80と、ケース90と、回転検出対象体100と、位置検出用センサ装置110と、を備えている。
ケース90は、収納ボックス22内において中央部よりも右側の部位に固定状態で配設されている。このケース90は、図23に示すように、第2の誘導装置26を構成する部品のうちで、遊技者から視認不能な状態に配置されるもの(誘導モータ26c、回転軸80、回転検出対象体100、位置検出用センサ装置110等)を収納するための収納箱として機能すると共に、これらの部品を収納ボックス22に取り付けるための取付部材(取付用のステー)を構成していている。
このケース90は、上方に開口するケース本体91と、ケース本体91の開口部に装着される蓋部92とを備えている。そして、取付金具93を用いて収納ボックス22の内壁部に固定されている。このため、ケース90は収納ボックス22を介して遊技盤10(盤本体10H)に固定された状態となるため、遊技盤10(盤本体10H)に振動が加えられると、このケース90も振動するものとされている。また、ケース90の前壁の後面部からは、位置検出用センサ装置110の取付対象となる取付用突部98が突出している。この取付用突部98は、四角枠状とされつつ後方に向かって突出している。
基体部26aはケース90の上面部(蓋部92)に搭載(固定)され、ケース90と一体で振動可能とされている。また、この基体部26aの上面部には、図7に示すように、上方に開口すると共に、外縁部の形状が略円形の凹部26dが設けられている。この凹部26dは、中心側に位置すると共に平面形状が略円形の装着部26eと、装着部26eを周回状に包囲すると共に平面形状が略リング状の球導入部26fとを備えている。そして、装着部26eの深さは、球導入部26fの深さよりも深くされている。また、球導入部26fの底面部は、装着部26eに向かって下り傾斜となる傾斜面とされている。
装着部26eの底面部においては、図21(b)及び(c)に示すように、遊技球を通常領域部TRに誘導するための通常誘導孔26gと、遊技球を特別領域部SRに誘導するための特別誘導孔26hとが開口している。但し、特別誘導孔26hの開口位置と装着部26eの中心部26jとの距離は、通常誘導孔26gの開口位置と装着部26eの中心部26jとの距離よりも小さくされている。つまり、前者の距離は、後者の距離よりも、「遊技球の直径(11ミリ)」を超える長さの分だけ、小さくされている。
図7に示すように、基体部26aの上面部において、凹部26dの後方に位置する部位には、特別誘導部S1の下端部(出口部)と、球導入部26fとの間を介在する転動面26kが設けられている。この転動面26kは、球導入部26fの方向に下り傾斜とされ、樋部材25cを通じて、第1の誘導装置25から誘導される遊技球を受け入れ、球導入部26fに向かって転動させる。
図7に示すように、基体部26aの上面部において、凹部26dの右側方に位置する部位には、特別誘導溝26pが設けられている。この特別誘導溝26pは、第2の通過路形成部材24B(特別通過路)を通過した遊技球を受け取り、球導入部26fに導入するためのものである。この特別誘導溝26pは、入口部261pを、第2の通過路形成部材24Bの出口部の直下に位置させると共に、出口部261pを球導入部26fに接続している。また、特別誘導溝26pの床面部は、入口部261pから出口部262pに向かって下り傾斜状とされている。このため、特別誘導溝26pを通過した遊技球は、球導入部26fに進入可能となっている。
図23に示すように、回転軸80は軸心を上下方向に向けつつ、ケース90の内外を貫通する状態に配設されている。つまり、この回転軸80は上端部を基体部26aよりも更に上方に配置し、下端部をケース90の底壁部の下方に突出させている。また、この回転軸80は、蓋部92に配設された軸受け部81と、底壁部に配設された軸受け部82とを用いて支持され、その軸心回りに回転可能とされている。
回転誘導体26bは、図7及び図23に示すように、装着部26eに回転可能な状態に配設されている。この回転誘導体26bは、図21に示すように、上面部が曲面部とされた円板に対して、4個の誘導用凹部261b、261b、261b、262bを設けた構成を備え、その軸心位置に回転軸80の上端部側を挿通させている。また、回転誘導体26bは、回転軸80と一体で、この回転軸80の軸心回りに回転可能とされている。尚、回転誘導体26bの上面部には、略球状の装飾部材26mが装着されているが、図7、図8及び図21(a)においては図示を省略する。
図21(a)に示すように、4個の誘導用凹部261b、261b、261b、262bは、回転誘導体26bの周方向に沿って等間隔に形成されると共に、1個の遊技球を受け入れ可能なサイズとされている。また、何れの誘導用凹部261b、262bも、回転誘導体26bの外周部の側から回転誘導体26bの中心部の側に凹む状態に形成されると共に、回転誘導体26bの上面部及び下面部においても開口している。そして、球導入部26f上の遊技球を、受け入れことが可能である。
但し、3個の誘導用凹部261bが、遊技球を通常誘導孔26gに誘導するために用いられ、残りの1個の誘導用凹部262bが、遊技球を特別誘導孔26hに誘導するために用いられる。つまり、誘導用凹部261b、262bに受け入れられた遊技球は、図21(c)に示すように、誘導用凹部261bの出口部265b、266bから、通常誘導孔26g及び特別誘導孔26hのうちの何れか一方に誘導される。そして、この出口部265b、266bは、回転誘導体26bの底面部で開口しているが、(a)3個の誘導用凹部(以下、「通常誘導用凹部」という。)261bが、回転誘導体26bを回転させることで、通常誘導孔26g(入口部)と上下に位置合わせ可能な位置に設けられ、(b)残りの1個の誘導用凹部(以下、「特別誘導用凹部」という。)262bが、回転誘導体26bを回転させることで、特別誘導孔26h(入口部)と上下に位置合わせ可能な位置に設けられているからである。
尚、図21に示すように、通常誘導用凹部261bには、回転誘導体26bの回転中心の側に向かって下り傾斜となる誘導面2611bが形成され、特別誘導用凹部262bには回転誘導体26bの周縁側に向かって下り傾斜となる誘導面2621bが設けられている。また、通常誘導用凹部261bは「第1の捕捉部」の具体例を構成し、特別誘導用凹部262bは「第2の捕捉部」の具体例を構成している。また、第2の誘導装置26には、通常誘導孔26gに進入した遊技球を通常領域部TRに到達させるための通路と、特別誘導孔26hに進入した遊技球を特別領域部SRに到達させるための通路が設けられているが、図23等においてはその図示を省略する。
誘導モータ26cは、回転誘導体26bを回転させるためのモータであり、図23に示すように、ケース90の内部に固定されている。この誘導モータ26cの駆動軸にはギア261cが一体回転可能な状態に装着されている。また、回転軸80にはギア80bが一体回転可能な状態装着され、このギア80bは「誘導モータ26cの駆動軸に装着されたギア261c」と噛合されている。このため、誘導モータ26cから発生する回転駆動力は、これらの伝達部材(ギア261cと、ギア80bと、回転軸80)を介して、回転誘導体26bに伝達される。
尚、後述する主制御部200Aは、誘導モータ26cの動作を制御する動作制御手段として機能する。そして、本実施例では、この主制御部200Aが誘導モータ26cの動作を制御することで、その回転軸が、常時、一定速度で回転するため、回転誘導体26bは、常時、一定速度で回転(上方側から見て、左回転方向)している。また、本実施例では、回転誘導体26b及び回転検出対象体100の駆動源を誘導モータ26cで構成するが、各請求項の発明の回転誘導体及び検出対象体の駆動源はモータに限定されない。例えば、ソレノイド等の他の態様の駆動源であってもよい。
位置検出用センサ装置110は、図24(a)に示すように、支持部材115を用いてケース90の前壁の後面部に装着され、左右に揺動(振り子のように回動)可能とされている。この位置検出用センサ110は、透過型のフォトセンサ装置(例えば、フォトインタラプタ)であり、略コの字状に外形を備える外郭体(外郭部)111と、この外郭体111に装着された発光素子(例えば、赤外線発光ダイオード)112と、受光素子(例えば、フォトトランジスタ)113とを備えている。
このうち、外郭体111は平面形状が略矩形の板状体を略コの字形状として構成されいる。つまり、板状体を用いて構成される基体部111aと、基体部111aの一端部から突出する第1突出部111bと、基体部111aの他端部から突出しつつ第1突出部111bと略平行な第2突出部111cとを備えている。そして、本実施例では、基体部111aを上下に立設配置すると共に、第1突出部111b及び第2突出部111cを略水平に配置している。
発光素子112及び受光素子113は「検出実行部」の具体例を構成するものであり、発光素子112は第1突出部111bに埋設され、受光素子113は第2突出部111cにおいて発光素子112と鉛直上下方向に位置合わせされる箇所に埋設されている。但し、第1突出部111bと、第2突出部111cの相互に対向する面には、各々切り欠き部(図示を省略)が対向する状態に設けられているため、発光素子112の発光面と、受光素子113の受光面とは上下に対向可能とされている。
この位置検出用センサ装置110では、図24(b)に示すように、第1突出部111bと第2突出部111cとの間に遮光性が付与された物体(若しくは、遮光性が有する物体)110Aが挿入されると、発光素子112から発光される光(例えば、赤外光)を受光素子113が受光できなくなる。このとき、位置検出用センサ装置110から「特定検出信号(ONを示すデジタル信号)」が出力され、後述する「回転検出対象体100の動作位置が特定の動作位置である旨」が検出される。
図24(a)に示すように、基体部111aには上下に貫通する状態の貫通孔111dが設けられている。また、支持部材115は、上下に屈曲部115a、115bを備える軸体を用いて構成されている。つまり、支持部材115は、上端側と下端側に軸心を略水平に屈曲させた屈曲部115a、115bを備えるが、その他の部位の軸心を鉛直上下方向に向けている。また、この支持部材115において、上下の屈曲部115a、115bで挟まれた本体部115cは貫通孔111dに挿通され、基体部111aと一体で回動可能とされている。また、支持部材115の上端部115dは取付用突部98の上壁部に埋設された軸受け部材98dによって回動可能な状態に支持され、支持部材115の下端部115eは取付用突部98の下壁部に埋設された軸受け部材98eによって回動可能な状態に支持されている。このため、位置検出用センサ装置110は取付用突部98に対し、支持部材115を用いて左右に回動可能な状態(首振り可能な状態)に支持されている。
この位置検出用センサ装置110は、図24(a)及び図25に示すように、検出実行部(発光素子112及び受光素子113)を貫通孔111dの「真後ろ」に配置する状態(以下、「基本姿勢」といい、図25の実線CKを参照)で、取付用突部98に取り付けられる。また、本実施例では、検出実行部(発光素子112及び受光素子113)が、貫通孔111d(支持部材115)から離れた位置に配設されているため、「基本姿勢」にある位置検出用センサ装置110が、軸受け部材98d、98eを支点に左右に回転すると、検出実行部(発光素子112及び受光素子113)は、軸受け部材98d、98eとの距離に相当する回転半径(回動半径)で、左右に回転可能とされている。換言すると、位置検出用センサ装置110は、軸受け部材98d、98eを支点に振り子状に回転可能とされている。そして、このように、位置検出用センサ装置110が左右に回転すると、検出実行部(発光素子112及び受光素子113)は遊技盤10を基準に変位することになる。
尚、本実施例では、図25に示すように、位置検出用センサ装置110の各側面部と、取付用突部98の対向する側壁部との間に付勢手段(バネ等)118、118を介在させている。このため、位置検出用センサ装置110が右回転方向に回転した状態(以下、「右回転姿勢」といい、図25の実線RKを参照)になったり、左回転方向に回転した状態(以下、「左回転姿勢」といい、図25の実線LKを参照)になると、位置検出用センサ装置110には、付勢手段(バネ等)118、118から「位置検出用センサ装置110を基本姿勢に戻すための付勢力」が負荷される。
回転検出対象体100は透明な円板を用いて構成され、図23に示すように、上面部及び下面部は略水平な状態としつつケース90の上下方向中間部に配設されている。また、図26(a)に示すように、回転検出対象体100の軸心位置には挿通孔100aが設けられ、この挿通孔100aには回転軸80の中間部が挿通されている。この回転検出対象体100は、回転軸80の中間部に固定されると共に、挿通孔100aに連続する状態に設けられたキー溝100bに、回転軸80の中間部に設けられたキー80bを嵌合することで、回転検出対象体100は回転軸80に対して一体回転可能な状態に支持されている。
次に、図25〜図27を用いて、回転検出対象体100に関し、詳細に説明する。ここで、図26(a)は、第1の被検出部W1と、第2の被検出部W2とを誇張して表示する「回転検出対象体100の平面図」であり、図26(b)は、第1の仮想円P1(通常検出対象範囲NH)と、第2の仮想円P2(異常検出対象範囲KH)等の位置関係を説明するための回転検出対象体100の平面図である。
また、図27(a)及び(b)は、位置検出用センサ装置110が「基本姿勢」にあるときに、位置検出用センサ装置110と回転検出対象体100の位置関係等を示す説明図であり、図27(c)は、位置検出用センサ装置110が「右回転姿勢」若しくは「左回転姿勢」にあるときに、位置検出用センサ装置110と回転検出対象体100の位置関係等を示す説明図である。尚、図26(a)及び(b)に示す矢印「RV」は、回転検出対象体100(回転誘導体26b)の回転方向を示す矢印である。
図26(a)に示すように、回転検出対象体100の上面部には遮蔽シールを用いて構成される第1の被検出部W1(ハッチング表示で示す。)と、遮蔽シールを用いて構成される第2の被検出部W2(ハッチング表示で示す。)と、が設けられている。つまり、図27(a)等に示すように、回転検出対象体100の外縁部100G側は、第1突出部111bと第2突出部111cとの間に形成される空間部に遊入されている。そして、位置検出用センサ装置110が「基本姿勢」にあるとき、回転検出対象体100においてその外縁部100G側から所定の距離にある箇所PV1が、「発光素子112の発光面の中心部」及び「受光素子113の受光面の中心部」と位置合わせされる箇所、つまり、検出実行部(発光素子112及び受光素子113)の検出対象となる検出対象範囲(つまり、通常検出対象範囲)NHとされる(図26及び図27に図示)。
この通常検出対象範囲NHは、図26(b)に示すように、回転検出対象体100において回転軸80と同心状に設定される第1の仮想円P1に沿って設定される範囲である。そして、この通常検出対象範囲NHは、中心角(KT)の小さな(例えば、2度〜10度のうちの何れかの角度)略円弧状の部分によって構成される基準範囲部NH1と、残余の部分を構成する非基準範囲部NH2とを備える。このうち、基準範囲部NH1は「第1の形成部位」の具体例を構成すると共に、第1の被検出部W1は、この基準範囲部NH1に沿って円弧状に形成されている。
この基準範囲部NH1は、回転検出対象体100の回転動作位置(位相)が特定の回転位置であるときに、「基本姿勢とされた位置検出用センサ装置110の検出実行部」と位置合わせされる箇所(検出対象とされる箇所)に設けられる。即ち、回転検出対象体100の回転位置(位相)が「特定の回転位置」であるときに、「基本姿勢とされた位置検出用センサ装置110の検出実行部」が、「基準範囲部NH1に設けられる第1の被検出部W1」の端部(検出実行部の検出方向に沿った始端部)WS1{図26(a)を参照}を検出可能とされている。尚、非基準範囲部NH2は、回転検出対象体100の回転位置(位相)が「特定の回転位置(特定範囲の回転位置)」の回転位置であるときに、「基本姿勢とされた位置検出用センサ装置110の検出実行部」と位置合わせ不可能な箇所に設けられる。
回転検出対象体100において通常検出対象範囲NHよりも外側に位置に、「位置検出用センサ装置110が「右回転姿勢」若しくは「左回転姿勢」にあるときに(つまり、回転検出対象体100と検出実行部との相対位置の変更がされたときに)、検出実行部の検出対象となる検出対象範囲(以下、「異常検出対象範囲」という。)KHが設定される。(図26及び図27に図示)。
この異常検出対象範囲KHは、図26(b)に示すように、回転検出対象体100において回転軸80と同心状に設定されると共に第1の仮想円P1よりも半径の大きな第2の仮想円P2に沿って設定される範囲である。この異常検出対象範囲KHも、中心角(例えば、2度〜15度のうちの何れかの角度)の小さな略円弧状の部分によって構成される基準範囲部KH1と、残余の部分を構成する非基準範囲部KH2とを備える。
基準範囲部KH1は「通常検出対象範囲NHを構成する基準範囲部NH1」の半径方向に沿った外側に位置する部位に設けられ、非基準範囲部KH2は「通常検出対象範囲NHを構成する非基準範囲部NH2」の半径方向に沿った外側に位置する部位に設けられている。このうち、「異常検出対象範囲KHの周方向に沿った大部分を構成する非基準範囲部KH2」は、「第2の形成部位」の具体例を構成すると共に、第2の被検出部W2は、この非基準範囲部KH2に沿って円弧状に形成されている。
この基準範囲部KH1は、回転検出対象体100の回転動作位置(位相)が特定の回転位置(特定範囲の回転位置)であるときに、「右回転姿勢若しくは左回転姿勢とされた位置検出用センサ装置110の検出実行部」と位置合わせされる箇所に設けられるが、この基準範囲部KH1には被検出部が設けられていない。また、非基準範囲部KH2は、回転検出対象体100の回転動作位置(位相)が「特定の回転位置(特定範囲の回転位置)」以外の回転位置であるときに、「右回転姿勢若しくは左回転姿勢とされた位置検出用センサ装置110の検出実行部」と位置合わせ可能な箇所に設けられる。
次に、図26(a)及び(b)を用いて、第1の被検出部W1と、第2の被検出部W2について更に詳細に説明する。つまり、第1の被検出部W1は、第1の仮想円P1(通常検出対象範囲NH)に沿って、しかも、第1の仮想円P1の半径内側方向及び半径外側方向に所定幅を備える状態に設けられている。即ち、第1の被検出部W1は、第1の仮想円P1の周方向に所定幅(基準範囲部NH1の周方向に沿った幅)を有しつつ、第1の仮想円P1の半径方向内側に配置される仮想円C1と、第1の仮想円P1の半径方向外側に配置される仮想円C2とで囲まれる領域内に遮蔽シールを装着することによって構成されている。
第2の被検出部W2は、第2の仮想円P2(異常検出対象範囲KH)に沿って、しかも、第2の仮想円P2の半径内側方向及び半径外側方向に所定幅を備える状態に設けられている。即ち、第2の被検出部W2は、第2の仮想円P2の周方向に所定幅(非基準範囲部KH2の周方向に沿った幅)を有しつつ、第2の仮想円P2の半径方向内側に配置される仮想円C2と、第2の仮想円P2の半径方向外側に配置される仮想円C3とで囲まれる領域内に遮蔽シールを装着することによって構成されている。
本実施例においては、図26(a)に示すように、「回転検出対象体100の半径方向に沿って第1の被検出部W1の外側に位置する部位」には第2の被検出部W2は存在せず、「回転検出対象体100の半径方向に沿って第2の被検出部W2の内側に位置する部位」には第1の被検出部W1は存在しない。換言すると、「回転検出対象体100の中心部を通過する任意の半径上」には、第1の被検出部W1及び第2の被検出部W2が併存しないが、必ず、一方が存在するものとされている。つまり、回転検出対象体100の表面部のうちの大部分が、「回転軸80の軸心を通過する仮想的な直線(仮想的な半径RX)に沿って、第1の被検出部W1及び第2の被検出部W2のうちの第2の被検出部W2のみが存在する領域RS」とされている。
本実施例では、位置検出用センサ装置110の姿勢が基本姿勢に維持される場合(図25の符号CKを付けた位置検出用センサ装置110を参照)、図27(a)及び(b)に示すように、検出実行部(発光素子112及び受光素子113)は通常検出対象範囲NHを検出対象とする。そして、回転検出対象体100は、回転誘導体26bの回転動作と一体で回転動作を行うため、図28に示すように、検出実行部(発光素子112及び受光素子113)は、一定の周期(3.84秒)で第1の被検出部W1(端部WS1)を検出し、位置検出用センサ装置110は特定検出信号を出力する。また、検出実行部(発光素子112及び受光素子113)が、第1の被検出部W1を検出する度に、位置検出用センサ装置110は、特定検出信号の出力を0.5秒間(500msecの間)継続する。
一方、位置検出用センサ装置110の姿勢が「基本姿勢」から「右回転姿勢」若しくは「左回転姿勢」に変更されると(図25の符号RK若しくはLKを付けた位置検出用センサ装置110を参照)、検出実行部(発光素子112及び受光素子113)は、図27(c)に示すように、異常検出対象範囲KHを検出する。ところが、この場合、図28に示すように、先に行った第1の被検出部W1の検出から、前述の周期(3.84秒)が経過する前に(例えば、3.84秒よりも短いA秒が経過するときに)、第2の被検出部W2を検出される可能性が高くなる。蓋し、本実施例の回転検出対象体100においては、通常検出対象範囲NHにおいて第1の被検出部W1が形成されていない部位(非基準範囲部NH2)の半径方向に沿った外側に第2の被検出部W2が存在するからである。
このため、遊技盤10に振動が負荷され、位置検出用センサ装置110の姿勢が「右回転姿勢」若しくは「左回転姿勢」に変更されると、特定検出信号が出力される周期が、前述の周期(3.84秒)から外れる(ずれる)可能性が高くなる。また、位置検出用センサ装置110の姿勢が「基本姿勢」から「右回転姿勢」若しくは「左回転姿勢」に変更されると、特定検出信号の出力が継続される継続時間が長くなる可能性がある(例えば、0.5秒よりも長いB秒が経過するまで継続する可能性がある)。蓋し、第2の被検出部W2の経路長(円弧長)は、第1の被検出部W1の経路長(円弧長)に比べて長いからである。
本実施例においては、第1の誘導装置25から誘導された遊技球や、第2の通過路形成部材24Bを通過した遊技球を球導入部26fで受け入れる。この遊技球は、球導入部26fを転動した後、通常誘導用凹部261b、及び、特別誘導用凹部262bのうちの一方に進入する。そして、通常誘導用凹部261bに進入した遊技球は、回転誘導体26bを回転させことで、通常誘導孔26gに誘導され、特別誘導用凹部262bに進入した遊技球は、回転誘導体26bを回転させことで、特別誘導孔26hに誘導される。
図22に示すように、中央装置20に入球した遊技球は、先ず、通過選択装置23によって、その通過方向が選択される。そして、第1の通過路形成部材(通過路)24Aに誘導されると(つまり、通常ルートLNに誘導されると)、球導入路D1を経て受入転動部Eに導入され、この受入転動部Eを転動する(L1)。この受入転動部Eを転動中に、何れの吸着片(通常吸着片25u、特別吸着片25v)にも吸着されない場合、遊技球は、通常誘導部(第1の通常誘導部NY1、第2の通常誘導部NY2)によって、通常領域部TRに誘導される(L2)。
一方、受入転動部Eを転動中に、通常吸着片25uに吸着されると、返還誘導部N1を通じて、通常転動部NTに誘導される(通常転動部NTに返還される)。また、受入転動部Eを転動中(返還誘導部N1による返還履歴の有無を問わない。)に、特別吸着片25vに吸着されると、特別誘導部S1を経て第2の誘導装置26に誘導される(L3)。そして、転動面26k、球導入部26fを経て、通常誘導用凹部261b及び特別誘導用凹部262bのうちの何れかに進入する。更に、通常誘導用凹部261bに進入すると、通常誘導孔26gを経て通常領域部TRに誘導され(L4)、特別誘導用凹部262bに進入すると、特別誘導孔26hを経て特別領域部SRに誘導される(L5)。そして、特別領域部SRに誘導された遊技球は、通過検出スイッチ8t(図32を参照)によって検出され、通常領域部TRに誘導された遊技球は、通過検出スイッチ8n(図32を参照)によって検出される。
ここで、回転誘導体26bには、3個の通常誘導用凹部261bと、1個の特別誘導用凹部262bとが、回転誘導体26bの周方向に沿って等間隔に配置されているため、球導入部26fに到達した遊技球が、特別領域部SRに誘導される確率は、「1/4」とされている。但し、第1の通過路形成部材(通過路)24Aを通過した遊技球が、球導入部26fに到達するためには、特別吸着片25vによって吸着されることが前提となる。このため、第1の通過路形成部材(通過路)24Aを通過した遊技球が、特別領域部SRに誘導される確率は、「1/4」よりも更に小さくなる。
中央装置20に入球した遊技球が、通過選択装置23によって、第2の通過路形成部材(通過路)24Bに誘導されると(つまり、特別ルートLSに誘導されると)、特別誘導溝28p、球導入部26fを経て、通常誘導用凹部261b及び特別誘導用凹部262bのうちの何れかに進入する。このように、第2の通過路形成部材(通過路)24Bに誘導される遊技球は、直接(第2の誘導装置26を経由せずに)、球導入部26fに到達するため、この遊技球が、特別領域部SRに誘導される確率は、「1/4」となる。
本実施例では、遊技球が中央装置20に入球すると、通過選択装置23によって、この遊技球を、特別領域部SRを通過する確率が低い通常ルート(LN)に誘導するか、或いは、特別領域部SRを通過する確率が高い特別ルート(LS)に誘導するかが選択されるため、遊技者の興趣が高められる。しかも、遊技球が、通常ルート(LN)を通過した後、第2の誘導装置26に進入する場合には、この遊技球が、第2の誘導装置26に進入するタイミングを、ランダムなものとすることができる。つまり、特別ルート(LS)を経て第2の誘導装置26に進入する場合、遊技球が中央装置20に入球するタイミングによって、遊技球が第2の誘導装置26に到達するタイミングが定まる。しかも、回転誘導体26bの回転速度が一定であるため、遊技球が中央装置20に入球するタイミングによって、この遊技球が特別領域部SRを通過する否かが概ね、定まる。
一方、遊技球が、通常ルート(LN)を通過し、第2の誘導装置26に進入する場合、「通常転動部NTにおける転動時間の長短」、「遊技球が返還誘導部N1を通過する回数」、「特別転動部STにおける転動時間の長短」、等が不明である」等の理由で、「遊技球が特別吸着片25vに吸着されるタイミング」を一義的に定めることができない。このため、遊技球が中央装置20に入球するタイミングによっては、この遊技球が特別領域部SRを通過する否かを定めることができない。
尚、本実施例の遊技機1では、第2の誘導装置26、第1の誘導装置25の順で不正行為の対象となり得ると考えられる。つまり、第2の誘導装置26においては、例えば、回転誘導体26bの近傍に到達した遊技球が、これから通常誘導孔26gに進入しようとしているときに、ガラス板43(特に、回転誘導体26bの正面前方に位置する部位)、扉枠本体41若しくは上皿部材5等に「不正な振動(例えば、上皿部材上から下、又は、下から上に叩くこと等によって生ずる不正な振動)」を与え、当該遊技球を特別誘導用凹部262bに無理に進入させようとする不正行為がなされる可能性がある。
また、第1の誘導装置25においては、例えば、通常転動部NTを転動する遊技球が、「第1の通常誘導部NY1」を転動して通常領域部TRに誘導されようとしているときに、ガラス板43(特に、第1の誘導装置25の正面前方に位置する部位)、扉枠本体41若しくは上皿部材5等に「不正な振動」を与え、当該遊技球を通常吸着部Xに無理に吸着させようとする不正行為がなされる可能性がある。更に、第1の誘導装置25においては、例えば、特別転動部STを転動する遊技球が、「第2の通常誘導部NY2」を転動して通常領域部TRに誘導されようとしているときに、ガラス板43(特に、第1の誘導装置25の正面前方に位置する部位)、扉枠本体41若しくは上皿部材5等に「不正な振動」を与え、当該遊技球を特別吸着部Zに無理に吸着させようとする不正行為がなされる可能性がある。但し、本実施例では、位置検出用センサ装置110等は、これらの不正行為を防止する上で有効である。
図5に戻り、普通図柄作動ゲート(普通図柄作動口)16A、16Bは、遊技領域11において、中央装置20の下方に位置する部位に配設されている。また、この普通図柄作動ゲート(普通図柄作動口)16A、16Bには普通図柄作動ゲート通過検出用スイッチ16s、16s(図32参照)が配設されている。そして、普通図柄作動ゲート通過検出用スイッチ16sを遊技球が通過することを前提に、「普通図柄の変動開始条件(つまり、普通図柄変動開始条件)」が成立すると、第1の表示装置60において、普通図柄の変動表示(具体的は、普通図柄用のランプ装置の点滅表示)を開始する。そして、普通図柄の変動開始後、所定の変動時間を経過すると、普通図柄の確定表示(点灯、若しくは、消滅)がなされる。そして、普通図柄の当り表示(点灯表示)がなされると、普通電動役物17d(後述する。)が、所定時間(例えば、0.5秒)開放駆動される。
図5に示すように、始動入賞装置17は、遊技領域11において、中央装置20の中央部の直下に配設され、始動入賞装置18は、遊技領域11において中央装置20の左斜め下方に配設され、始動入賞装置19は、遊技領域11において中央装置20の左斜め下方に配設されている。このうち、始動入賞装置17の入口側部分には、普通電動役物17dが配置されている。この普通電動役物17dは、いわゆるチューリップ式で左右に一対の翼片部が開閉するべく形成されている。つまり、この一対の翼片部を作動させるための普通電動役物ソレノイド17c(図32参照)を備えている。そして、この一対の翼片部が左右に開くと、遊技球の入球可能性が大きくなる開放状態となり、一対の翼片部が立設され、遊技球の入球可能性が小さくなる通常状態となる。尚、その他の始動入賞装置18、19は、入球可能性を変化させることができない、通常形式の入賞装置である。
各始動入賞装置17、18、19の内部には、遊技球の通過を検出する始動入賞検出用スイッチ17s、18s、19s(図32参照)が配設されている。但し、全ての始動入賞装置17、18、19に入賞した遊技球を、同一の通路(図示を省略)に導き、この通路の経路途中に配設された共通の「始動入賞検出用スイッチ」を配設してもよい。
図5に示すように、下部装置30は、始動入賞装置17の下方に配設されている。この下部装置30は、可変入賞装置(大入賞装置)31によって構成されている。この可変入賞装置31は、遊技盤10の前面部に装着された取付板部31kを備える。この取付板部31kは、略中央部において平面形状が略帯状の開口部を表裏を貫通する状態に備え、この開口部によって大入賞口31aを構成している。また、取付板部31kの背後には、大入賞口31aから入賞する遊技球を通過させるための「大入賞口入賞通路(図示を省略)」が設けられている。
そして、可変入賞装置(大入賞装置)31は、この大入賞口31aを開放・閉鎖するための開閉板31bと、この開閉板31bを駆動するための大入賞口ソレノイ31c(図32参照)と、大入賞口入賞通路の経路途中若しくは経路端末部に設けられた入賞球検出用スイッチ31s(図32参照)と、を備えている。この可変入賞装置(大入賞装置)31は、開閉板31bが起立姿勢となると、この開閉板31bが大入賞口31aを閉鎖するため、可変入賞装置(大入賞装置)31への遊技球の入賞が不可能となる。一方、開閉板31bが、その下端部を支点に前方に傾動して前傾姿勢となると、大入賞口31aを開放されると共に、開閉板31bの後面部(背面部)が遊技領域11を流下し、可変入賞装置(大入賞装置)31へ到達した遊技球を、大入賞口31aに誘導する誘導部を構成する。
保留図柄表示装置50は、図6に示すように、頂壁部21fの下端側に一体化され、左側に配置される特別図柄保留表示部51と、右側に配置される普通図柄保留表示部52とを備えている。このうち、特別図柄保留表示部51は、図25(a)に示すように、2個のLED51a、51bを用いて構成され、所謂「特別図柄に関する保留数」を、4個を上限として表示するものである。つまり、「始動入賞装置17、18、19に入賞したが、未だ、未消化の遊技球の個数(即ち、保留数)」を、4個上限数として表示すると共に、未消化の遊技球が消化される毎に、「未消化の遊技球の個数(即ち、保留数)」を、順次、デクリメントして表示するものである。ここで、特別図柄に関する「未消化の遊技球(つまり、保留球)」とは、始動入賞装置17、18、19に入賞したが、後述する特別図柄表示部51において、当該通過に伴う当否判定の結果の表示(判定結果図柄の確定表示)と、これに先行する変動表示とがなされていない遊技球を指す。
尚、本実施例では、「遊技球が、普通図柄作動ゲート(普通図柄作動口)16A、16Bを通過すること条件に、主制御部200Aによって実行される判断、つまり、普通電動役物17dを開放状態とすべきか否かの判断を、「当否抽選」と称する。また、「遊技球が、始動入賞装置17に入賞すること条件に、主制御部200Aによって実行される判断」、即ち、「可変入賞装置(大入賞装置)31を開放を許容するか否かの判断」、つまり、「遊技機の遊技状態を、可変入賞装置31を閉鎖状態に維持する通常遊技状態から、可変入賞装置31の開閉を行う特別遊技状態(大当たり遊技状態)にすべきか否かの判断」を、「当否判定」と称する。
普通図柄保留表示部52は、図29(a)に示すように、2個のLED52a、52bを用いて構成され、所謂「普通図柄に関する保留数」を、4個を上限として表示するものである。つまり、「普通図柄作動ゲート(普通図柄作動口)16A、16Bを通過したが、未だ、未消化の遊技球の個数(即ち、保留数)」を、4個上限数として表示すると共に、未消化の遊技球が消化される毎に、「未消化の遊技球の個数(即ち、保留数)」を、順次、デクリメントして表示するものである。ここで、普通図柄に関する「未消化の遊技球(つまり、保留球)」とは、普通図柄作動ゲート(普通図柄作動口)16A、16Bを通過したが、後述する普通図柄表示部52において、当該通過に伴う当否抽選の結果の表示(抽選結果図柄の確定表示)と、これに先行する変動表示(本実施例では、LEDを用いて点滅表示)とがなされていない遊技球を指す。
特別図柄保留表示部51及び普通図柄保留表示部52においては、同様な態様で、保留数の表示を行う。つまり、図29(b)に示すように、2個LEDを消灯させることで、「保留数」が「ゼロ個」であることを示す。また、1個のLEDを点灯させ、1個のLEDを消灯させることで、「保留数」が「1個」であることを示す。更に、2個のLEDを点灯させることで、「保留数」が「2個」であることを示す。また、1個のLEDを点滅させ、1個LEDを点灯させることで、「保留数」が「3個」であることを示す。更に、2個のLEDを点滅させることで、「保留数」が「4個」であることを示す。
第1の表示装置60は、図6に示すように、右側庇部21eに一体化されている。この第1の表示装置60は、図30(a)に示すように、遊技状態表示部62と、特別図柄表示部63と、普通図柄表示部65とを備えている。このうち、遊技状態表示部62は、1個のLEDを用いて構成され、遊技機1の現在の遊技状態を表示するために用いられる。つまり、図30(b)に示すように、1個のLEDを消灯させることで、「遊技機1の現在の遊技状態が通常遊技状態である」旨が表示される。また、LEDを「赤色で点灯すること」で、「遊技機1の現在の遊技状態が、3ラウンド大当り中(後述する。)である」旨が表示される。更に、LEDを「緑色で点灯すること」で、「遊技機1の現在の遊技状態が、8ラウンド大当り中(後述する。)である」旨が表示され、LEDを「青色で点灯すること」で、「遊技機1の現在の遊技状態が、16ラウンド大当り中(後述する。)である」旨が表示される。
普通図柄表示部65は、1個のLEDを用いて構成され、前述の如く、「普通図柄作動ゲート(普通図柄作動口)16A、16Bに伴う当否抽選の結果の表示」を、変動表示(本実施例では、LEDを用いて点滅表示)を経て実行する。つまり、この「当否抽選に関する結果の表示に、先行する変動表示」の実行時期が到来すると、普通図柄表示部65は点滅表示を開始する。そして、「当否抽選に関する結果の表示」の実行時期が到来すると(換言すると、普通図柄の変動時間を終了すると)、普通図柄表示部65を用いて、「当否抽選に関する結果」の確定表示がなされる。具体的には、図31(c)に示すように、LEDを点灯状態とすることで、当該「当否判定に関する結果」が当り(普通図柄に関する当否抽選の結果が当り)であることが確定表示され、LEDを消灯状態とすることで、当該「当否抽選に関する結果」が外れ(普通図柄に関する当否抽選の結果が当り)であることが確定表示される。尚、当該「当否抽選に関する結果」が当り(普通図柄に関する当否抽選の結果が当り)である場合には、前述のように、普通電動役物17d(後述する。)が、所定時間(例えば、0.5秒)開放駆動される。
本実施例では、このように、LEDを点灯状態としたり、消灯状態とすることで、普通図柄の確定表示を示し、LEDを点滅状態とすることで、普通図柄の変動表示を示す。つまり、ランプ装置による点灯表示と、消灯表示と、点滅表示とを用いて、普通図柄の表示を行う。但し、本実施例においては、数字(例えば、1〜9の数字)、アルファベット文字、図形等を用いて普通図柄や、後述する特別図柄の表示を行うこともできる。
特別図柄表示部63は、図30(a)に示すように、略円弧状に配設された「4個のLED63a〜63d」を用いて構成され、「始動入賞装置17、18、19への遊技球の入賞(以下、「始動入賞」という。)に伴う当否判定の結果の表示」を、変動表示(本実施例では、複数のLEDを用いて点灯表示)を経て実行する。つまり、この「当否判定に関する結果の表示に、先行する変動表示」の実行時期が到来すると、図30(a)に示すように、特別図柄表示部63は、「4個のLED63a〜63d」を順次、循環的に点灯させる。この変動表示(以下、「LED63a〜63dを用いた循環表示」という。)を実行し、「特別図柄に関する当否判定に関する結果の表示」の実行時期が到来すると、特別図柄表示部63において、特別図柄の確定表示が実行される。
ここで、この特別図柄の確定表示の表示態様を、図30(b)を用いて説明する。先ず、全てのLED63a〜63dが消灯状態とすることで、「当否判定の結果が外れであること」が示される。また、1個のLED(例えば、63b)を点灯状態とし、残りの3個のLED(例えば、63a、63c、63d)を消灯状態とすることで、「当否判定の結果が小当り(後述する。)であること」が示される。更に、2個のLED(例えば、63a、63b)を点灯状態とし、残りの2個のLED(例えば、63c、63d)を消灯状態とすることで、「当否判定の結果が、3ラウンド大当り(後述する。)であること」が示される。また、3個のLED(例えば、63a〜63c)を点灯状態とし、残りの1個のLED(例えば、63d)を消灯状態とすることで、「当否判定の結果が、8ラウンド大当り(後述する。)であること」が示され、全てのLED63a〜63dが点灯状態とすることで、「当否判定の結果が16ラウンド大当り(後述する。)外れであること」が示される。
第2の表示装置70は、液晶表示装置を用いて構成されると共に、収納ボックス22の後方に装着されている(図9及び図10を参照)。そして、その表示画面71が、収納ボックス22の背面部に設けられた表示窓(図示を省略)を介して、前方から視認可能とされている。この第2の表示装置70の表示画面71は可変状態に用いられ、その全体、若しくは、一部を用いて種々の図柄を表示可能である。この表示画面71には、種々の演出図柄(特別図柄表示部63に表示される確定表示を、演出的に表示する図柄、リーチ演出、発展演出、キャラクター表示等)を表示すること等が可能である。
図5に示すように、2個の一般入賞装置40、41は、遊技領域11において、中央装置20の左側方に位置する部位に配設され、残りの2個の一般入賞装置43、44は、中央装置20の右側方に位置する部位に配設されている。そして、各一般入賞装置40、41の内部には、遊技球の入賞を検出するための入賞検出用スイッチ40s、41s(図32参照)が配設されている。
図5に示すように、風車46は、中央装置20を取り囲む4カ所に配置されている。また、多数の障害釘(図示を省略)は、以上説明した各盤部品との位置バランスを考慮して、遊技領域11にパチンコ遊技に適するべく、配設されている。尚、遊技盤10の下方にはアウト口18が設けられ、そのアウト口18の下部にはバック球防止部材(図示を省略)が設けられている。そして、遊技領域11に到達せず戻ってきた遊技球が再び発射位置に戻ることを防止している。一方、ファール球防止部材15は、内レール13の先端部に取り付けられている。
尚、本遊技機1では、前述のように、上皿部材5に操作スイッチSWを配設している。本実施例の遊技機1では、この操作スイッチSWを操作しても、遊技上の演出に変化を与えることはできないが、各発明においては、この操作スイッチSWを、遊技上の演出に変化を与えるために用いることとしてもよい。例えば、第2の表示装置70の表示画面71で行われる表示に変更を加えるために用いることとしてもよい。
e.遊技機1の裏面構造
次に、本実施例の遊技機1の裏面構造について図35を参照して説明する。つまり、遊技機1の裏面構造は、大きな裏機構盤102の上に各種装置が搭載された構造となっており、裏機構盤102は、一対のヒンジ103によって中枠3に開閉可能に軸支されている。
裏機構盤102には、遊技球が蓄えられる賞球タンク105と、賞球の払出を行う賞球払出装置109と、主制御部200Aを構成する主制御基板200が格納された主制御基板ケースと、発射装置ユニットを制御する発射制御基板260が格納された発射装置制御基板ケース130と、賞球払出装置109を制御する払出制御基板240が格納された払出制御基板ケース118と、主制御基板200と各種スイッチ類とを中継する中継端子板などが搭載されている。
賞球タンク105には底部にタンクスイッチが設けられており、球切れを検出することができる。また、賞球タンク105と賞球払出装置109とは、タンクレール106によって接続されている。更に、図35において、タンクレール106の右側には球抜きレバーが設けられ、タンクレール106の下流側には補給球切れ検知スイッチが設けられている。
また、賞球払出装置109の下流側には、遊技球の振り分け部が設けられている。尚、図35は、図示が煩雑となることを避けるために、振り分け部の表示は省略されている。
主制御基板ケース、中継端子板や、払出制御基板ケース118等の各種基板類は、裏機構盤102に回動自在に懸架された図示しない金属板に、着脱自在に装着されている。
裏機構盤102の右上端部には、ヒューズボックス、電源スイッチ、電源ターミナル基板132及び大当り、発射装置制御、球切れ、扉開放、賞球、球貸し用等の遊技機枠用外部接続端子を備えた中継端子板が設けられている。尚、電源ターミナル基板132には、ラムクリア信号を発生させるためのラムクリアスイッチ132aが接続されている。また、中継端子板の上側には、外部からの電力の供給を受けるための電源ケーブルも配設されている。更に、払出制御基板ケース118からは接続ケーブルが上方へ延出し、電源ケーブルを備えた球貸装置に接続されている。また、裏機構盤102の略中央下端部には、下皿部材用球通路部材が設けられている。
(2)制御回路の構成
次に、図32〜図34を用いて本実施例の遊技機1の制御回路の構成について説明する。本遊技機1の制御回路は、主制御部200Aと、複数の副制御部(220A、222A、240A、260A)とを含んで構成されている。つまり、主制御基板200を用いて構成されると共に遊技の基本的な進行や大当りに関わる当否についての制御を司る主制御部200Aと、複数の副制御部(220A、222A、240A、260A)とを備えている。尚、主制御部200Aは、周期計測手段と、周期データ記憶手段と、報知信号発信手段と、継続時間計測手段と、継続時間データ記憶手段と、周期判断手段と、継続時間判断手段の具体例を構成する。
副制御部としては、(a)演出制御基板220を用いて構成されると共に、「図柄表示」、「ランプの発光」、「効果音」、「可動物の動作」、「演出表示装置23の演出表示」等を用いた遊技の各種の演出の制御を司る演出制御部220Aと、(b)演出表示制御基板222を用いて構成されると共に第2の表示装置70における演出用図柄(疑似図柄や背景図柄など)の表示制御を司る演出表示制御部222Aと、(c)払出制御基板240を用いて構成されると共に貸球や賞球を払い出す動作の制御を司る払出制御部240Aと、(d)発射制御基板260を用いて構成されると共に遊技球の発射に関する制御を司る発射制御部260Aを備える。尚、副制御部には、主制御部140に直に接続された第1次副制御部(220A、240A)と、この第1次副制御部を介して主制御部200Aに接続された第2次副制御部(222A、260A)とが存在する。
これらの制御部(200A、220A、222A、240A、260A)を構成する制御基板(200、220、222、240、260)は、各種論理演算および算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAM、周辺機器とのデータのやり取りを行うための周辺機器インターフェース(PIO)、CPUが演算を行うためのクロックを出力する発振器、CPUの暴走を監視するウォッチドッグタイマ、定期的に割り込み信号を発生させるCTC(カウンター・タイマ・サーキット)など、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。尚、図32〜図34中の矢印の向きは、データあるいは信号を入出力する方向を表している。また、図32においては、主制御基板200に搭載されたCPU201、RAM202、ROM203のみ図示されており、主制御基板200に搭載されているPIO、更には、他の制御基板に搭載されているCPUや、RAM,ROMなどについては図示を省略している。
主制御部200A(主制御基板200)は、普通図柄作動ゲート通過検出用スイッチ16s、入賞検出スイッチ20s、始動入賞検出用スイッチ17s、18s、19s、入賞球検出用スイッチ31s、40s、41s等から遊技球の検出信号を受け取って、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否を決定した後、演出制御部200A(演出制御基板220)や、払出制御部240A(払出制御基板240)、発射制御部260A(発射制御基板260)等に向かって、後述する各種のコマンドを出力する。また、主制御部200A(主制御基板200)には、発射装置ユニットから発射された遊技球を検出するカウントスイッチ8sも接続されている。
更に、前述の「位置検出用センサ装置110」から出力される特定検出信号も、主制御部200A(主制御基板200)に入力されている。
主制御部200A(主制御基板200)は、普通電動役物ソレノイド17cや、大入賞口ソレノイド31c、保留表示装置50、第1の表示装置60、開閉ソレノイド27c等に信号を出力することにより、これらの動作を直接制御している。
演出制御部220A(演出制御基板220)は、主制御部200A(主制御基板200)からの各種コマンドを受け取ると、コマンドの内容を解析して、その結果に応じた遊技の演出を行う。即ち、第2の表示装置(液晶表示装置)70を駆動する演出表示制御基板222やスピーカSP1〜SP4を駆動するアンプ基板224が接続されている。
演出制御部220A(演出制御基板220)は、各種LEDランプ4b〜4f等を駆動する飾駆動基板226に駆動信号を出力することにより、遊技の演出を行う。尚、操作スイッチSWからの操作信号は、演出ボタン基板228を介して、演出制御部220A(演出制御基板220)に入力される。また、演出制御部220A(演出制御基板220)の詳細な入出力関係については後述する。
払出制御部240A(払出制御基板240)は、所謂、貸球や賞球の払い出しに関する各種の制御を司っている。例えば、遊技者が上皿部5に設けられた球貸スイッチ5eや返却スイッチ5fを操作すると、この信号は、球貸表示基板242から中継端子板を介して、球貸装置に伝達される。この球貸装置は、払出制御部240A(払出制御基板240)とデータをやり取りしながら、貸球の払出を行う。
主制御部200A(主制御基板200)が賞球の払出コマンドを出力すると、このコマンドを払出制御部240A(払出制御基板240)が受け取って、払出モータ109mに駆動信号を出力することによって賞球の払い出しが行われる。また、払い出された賞球は、2つの払出スイッチ(前側払出スイッチ109a、後ろ側払出スイッチ109b)によって検出されて、払出制御部240A(払出制御基板240)に入力される。更に、払い出された賞球数はカウントスイッチ109cによっても検出されて、主制御部200A(主制御基板200)でも計数されている。
賞球タンク105に設けられたタンクスイッチ104からの信号や、賞球タンク105に供給する遊技球が蓄えられる図示しない外部タンクに設けられた外部タンクスイッチ7sからの信号も、払出制御部240A(払出制御基板240)に入力されている。このため、払出制御部240A(払出制御基板240)は、球切れのため賞球の払い出しができなくなる前に、前述したエラーLED4g,4hによって異常を報知することが可能となっている。
下皿部6に設けられた下皿満タンスイッチ6sからの信号も払出制御部240A(払出制御基板240)に入力されている。このため、下皿部6が遊技球で一杯となった場合にも、下皿満タンスイッチ6sで検出された信号を受けて、払出制御部240A(払出制御基板240)が賞球の払い出しを一時的に停止することが可能となっている。
加えて、「ガラス扉枠スイッチ4s」から出力される検知信号(ガラス扉枠4が開放動作を行ったことを示す検知信号)も、払出制御部240A(払出制御基板240)に入力されている。このため、何らかの理由でガラス扉枠4が明けられた場合には、賞球の払い出し、或いは、遊技球の球貸し等の動作を中止することが可能となっている。尚、「ガラス扉枠4が明けられる理由」としては、「正当な行為者(パチンコホールの店員等)が、ガラス扉枠4に開放動作を施したという理由」の他に、「不正行為者がガラス扉枠4をこじ開けたという理由」や、「不正行為者が不正に入手した鍵等を利用して、ガラス扉枠4に開放動作を施したという理由」等を例示できる。
また、払出制御部240A(払出制御基板240は、主制御部200A(主制御基板200からの制御の下で、遊技球の発射を許可する信号(発射許可信号)を発射制御部260A(発射制御基板260)に向かって出力している。そして、発射制御部260A(発射制御基板260)は、この発射許可信号を受けて、後述するように、遊技球を発射するための各種制御を行っている。
主制御部200A(主制御基板200)には、遊技機に関する情報(信号)を、遊技機1の外部に出力するための外部端子部(外部出力用端子基板)200Gが接続されている。この外部端子部200Gから出力される情報(信号)としては、大当り情報(大当り信号)、確率変動情報(確率変動信号)、賞球情報(賞球信号)等の遊技状態を示す情報(信号)を例示できる。そして、これらの情報(信号)は、ホールコンピュタHPCに送信され、「不正行為の監視」や「パチンコホールにおける営業上の集計」等のために利用される。
尚、前述の「ガラス扉枠スイッチ4s」は、中継端子板280を介して払出制御部240A(払出制御基板240)に接続されている。しかも、払出制御部240A(払出制御基板240)と主制御部200A(主制御基板200)とが双方向通信可能な状態に接続されている。このため、「ガラス扉枠スイッチ4s」から出力される検知信号(ガラス扉枠4に開放動作が施されたことを示す検知信号)は、中継端子板280と、払出制御部240A(払出制御基板240)とを介して、主制御部200A(主制御基板200)に送信される。
「位置検出用センサ装置110」は、中継端子板281を介して主制御部200A(主制御基板200)に接続されているため、この位置検出用センサ装置110から出力される特定検出信号は、中継端子板281を介して主制御部200A(主制御基板200)に送信される。そして、この特定検出信号を受信した主制御部200A(主制御基板200)は、特定検出信号を受信する周期(特定検出信号の出力が実行される周期)と、特定検出信号の出力が継続される継続時間とに基づいて種々の処理を実行する。
つまり、特定検出信号を受信する周期(特定検出信号の出力が実行される周期)と、特定検出信号の出力が継続される継続時間とが適正範囲にある場合(適正値と判断される場合)、この特定検出信号の受信時に、演出制御部220A(演出制御基板220)に所定の演出コマンドを出力する。換言すると、検出実行部(発光素子112及び受光素子113)が、「第1の被検出部W1」の端部(検出実行部の検出方向に沿った始端部)WS1を検出した時(即ち、特定検出信号の立ち上がり時)に、演出制御部220A(演出制御基板220)に所定の演出コマンドを出力する。
この演出コマンドは、回転検出対象体100(回転誘導体26b)が、特定の回転位置(特定動作位置の具体例を示す。)に到達したときに、演出制御部220A(演出制御基板220)に出力される。そして、演出制御部220A(演出制御基板220)が、この演出コマンドを受信すると、本遊技機1において「特定の演出」を発動させる契機となる。例えば、第2の表示装置70(液晶表示装置)の表示画面71に、「今、中央装置20(入球装置)の内部に入賞(入球)すれば、V入賞するチャンスである旨(特別領域部SRに遊技球が到達するチャンスである旨)」を表示したり、「表示画面71による演出を盛り上げるための効果音」がスピーカーSP1〜SP4から出力される。
一方、特定検出信号を受信する周期(特定検出信号の出力が実行される周期)と、特定検出信号の出力が継続される継続時間とが適正範囲外である場合(適正値値を外れると判断される場合)、主制御部200A(主制御基板200)は報知信号発信手段として機能する。つまり、主制御部200A(主制御基板200)から出力される報知信号が外部端子部(外部出力用端子基板)200Gを経てホールコンピュタHPCに送信される。これにより、「パチンコホール」において、遊技盤10に予定外の振動(不正な振動等)を生じた旨を把握できる。また、この報知信号は演出制御部220A(演出制御基板220)にも送信され、演出制御部220A(演出制御基板220)は、この報知信号を受信すると、第2の表示装置70(液晶表示装置)の表示画面71で「警告表示」を行うと共に、スピーカーSP1〜SP4から警告音が出力させる。
次に、演出制御部220A(演出制御基板220)に対する信号或いはコマンドの入出力関係について説明する。前述のように、演出制御部220A(演出制御基板220)には、演出表示制御基板222と、アンプ基板224、装飾駆動基板226、演出ボタン基板228などの各種基板が接続されている。
演出制御部220A(演出制御基板220)は、前述のように、主制御部200A(主制御基板200)から各種の演出用のコマンドを受け取ると、コマンドの内容を解釈して、(a)第2の表示装置(液晶表示装置)70での具体的な表示内容や、(b)スピーカSP1〜SP4で出力する効果音、更には、(c)各種LEDやランプ類4b〜4fの点灯若しくは点滅の具体的な態様を決定する。次いで、第2の表示装置(液晶表示装置)70の駆動信号(各種の図柄制御コマンド)を演出表示制御部222A(演出表示制御基板222)に出力して、演出用図柄の変動停止表示を行う。このとき、表示されるキャラクタ図柄や背景図柄などの一部データについては、第2の表示装置(液晶表示装置)70、或いは、演出表示制御基板222に内蔵された演出表示ROM27rに格納されているデータを使用する。
また、疑似図柄の変動停止表示に合わせて、音声信号をアンプ基板224に出力することによって、スピーカSP1〜SP4から効果音を出力する。加えて、装飾駆動基板226に信号を供給し、装飾駆動基板226から、各種LED、ランプ類4b〜4f等の駆動信号を出力することによって、各種LEDやランプ類の点灯・点滅動作等を制御する。更に、上皿部5の前面側に設けられた操作スイッチSWを遊技者が操作すると、この操作信号が演出制御部220A(演出制御基板220)に供給される。そして、演出制御部220A(演出制御基板220)は、供給された操作信号に基づいて、第2の表示装置(液晶表示装置)70を初めとする各種の演出内容に操作結果を反映させることが可能に構成されている。
(3)遊技の要点
次に、本実施例の本実施例の遊技機1で行われる遊技の要点について、図36等を用いて簡単に説明する。
「始動入賞に伴う当否判定の結果の表示」の実行時期が到来すると、前述のように、図26(a)に示すように、特別図柄表示部63において変動表示を実行する。そして、「特別図柄に関する当否判定に関する結果の表示」の実行時期が到来すると、特別図柄表示部63において、特別図柄の確定表示が実行される。
この特別図柄の確定表示により、「当否判定の結果が外れである」旨が表示されると、遊技機の遊技状態は通常状態に維持され、大入賞口31a、及び、入球口29A、29Bは閉鎖状態のままとされる。
また、特別図柄の確定表示により、「当否判定の結果が大当りである」旨が表示されると、特別遊技移行手段(主制御部200A)は、遊技機の状態を特別遊技状態に移行させる。これにより、大入賞口31aを所定回数だけ、開放状態とする「大当り遊技」が実行される。つまり、この大当り遊技を開始すると、開閉板31b(開閉部材)に、「単位駆動」が所定回数だけ、施される。この「単位駆動」は、開閉板31b(開閉部材)の姿勢を、大入賞口31aを閉鎖する姿勢(以下、「閉鎖姿勢」という。)から、大入賞口31aを開放する姿勢(以下、「開放姿勢」という。)に移行させ、この開放姿勢を第1の時間(例えば、20秒〜30秒から選択される時間)維持した後、この開閉板31b(開閉部材)の姿勢を、閉鎖姿勢に戻すこと、で構成される「開閉板31b(開閉部材)の開閉動作)」によって構成される。
この「単位駆動」が、所定のインターバル時間を挟みつつ、所定回数実行されると、特別遊技移行手段(主制御部200A)は、遊技機の状態を、特別遊技状態から通常遊技状態に戻す。尚、本実施例では、この大当りとして、「大入賞口31aを3回開放することを内容とする大当り(3ラウンド大当り)」と、「大入賞口31aを8回開放することを内容とする大当り(8ラウンド大当り)」と、「大入賞口31aを16回開放することを内容とする大当り(16ラウンド大当り)」と、を実行することができる。
更に、特別図柄の確定表示により、「当否判定の結果が小当りである」旨が表示されると、開放動作実行条件が成立し、小当り遊技が実行される。この小当り遊技では、所定の動作パターンに従って、開閉部材27A、27Bが開放動作を実行する。この動作パターンは、「開閉部材27A、27Bの姿勢を、短時間(例えば、0.4秒間)の間、開放姿勢とすることを、1回若しくは3回行うこと」を、内容とするものであり、これにより、入球口29A、29Bは、短時間(例えば、0.4秒間)の間、開放状態とされる。このとき、中央装置20に遊技球が入球し、更に、この遊技球が、通常領域部TRを通過すると、「外れ」となり、特別遊技移行手段(主制御部200A)は、遊技機の状態を通常遊技状態に維持する。
一方、中央装置20に遊技球が入球し、更に、この遊技球が、所定の有効期間内に特別領域部SRを通過すると、「大当り」となり、特別遊技移行手段(主制御部200A)は、遊技機の状態を特別遊技状態に移行させる。この「大当り」にも、「3ラウンド大当り」と、「8ラウンド大当り」と、「16ラウンド大当り」と、存在するが、小当り遊技から移行する大当り遊技においては、「そのまま通常遊技状態から、特別遊技状態に移行して実行される大当り遊技」に比べて、ラウンド数(大入賞口31aの開放回数)を1回分減じた状態で実行される。つまり、「3ラウンド大当り」に関わる大当り遊技を実行する場合、大入賞口31aが2回開放され、「8ラウンド大当り」に関わる大当り遊技を実行する場合、大入賞口31aが7回開放され、「16ラウンド大当り」に関わる大当り遊技を実行する場合、大入賞口31aが15回開放される。
ここで、「有効時間」は羽根物型の遊技機(特に、羽根物型セブン機と純粋羽根物)において不正行為の防止等を意図して設定される期間であり、当該「有効時間」外に「特別領域部SRを遊技球が通過したこと」を検出しても、特別遊技移行手段は、当該遊技機の遊技状態を特別遊技状態に移行させることはない。この「有効時間」の「始期」は種々選択でき、例えば、「開閉部材27A、27Bの開放動作の開始時」等を例示できる。また、有効時間の長さは、通常「数秒」を例示できる。例えば、10秒以下の時間(ゼロ秒を含まない。)であって、特に、5〜10秒から選択される時間を例示できる。
尚、この具体例において、「複数回の開放を行う動作パターン」に従って、開閉部材の開放動作を行う場合、この「有効時間」を「最先の開放を行う時点」に開始させる態様を例示できる。また、「複数個の遊技球が連続的に中央装置20に入球し、しかも、これらの複数個の遊技球が、有効時間内に特別領域部を連続的に通過した場合」等においては、一般に、「後続する特別領域部SRの通過」は、「遊技機の遊技状態を特別遊技状態に移行させる契機」とはならない(つまり、特別遊技移行手段によって無視される。)。蓋し、「検出手段による最先の遊技球の検出」によって、「特別遊技移行手段が遊技機の遊技状態を特別遊技状態に移行させるための条件」が成立しているからである。
また、本実施例の遊技機1は、「特別領域部SRを通過する遊技球を検出するための検出手段8t」と、「開閉部材27A、27Bが開放動作を開始したときに、時間の計測を開始する時間計測手段」と、「時間計測手段が、所定の有効時間内の時間を計測しているときに、検出手段8tが、特別領域部SRを遊技球が通過したことを検出すること条件に、遊技機1の遊技状態を特別遊技状態に移行させる特別遊技移行手段」と、を備えてもよい。
(4)異常検出処理
主制御部200Aは、周期計測手段と、周期データ記憶手段と、周期判断手段と、報知信号発信手段と、継続時間計測手段と、継続時間データ記憶手段と、継続時間判断手段として機能しつつ、「遊技盤10に加えられる不正な振動」を検出するための処理(以下、「異常検出処理」という。)を行う。この異常検出処理の流れの概要を、図37及び図38を用いて説明する。
この異常検出処理は遊技機1の電源が投入され、誘導モータ26c(第2の誘導装置26)の駆動を開始することによって開始される(S10)。この誘導モータ26cが開始されると(S10;YES)、主制御部200Aは、最初の「特定検出信号」を受信するまで待機する(S20)。そして、この最初の「特定検出信号」を受信すると(S20;YES)、周期計測タイマーT1と、継続時間計測タイマーT2とを初期化する処理(リセットする処理)を行う(S30)。
ここで、周期計測タイマーT1は主制御部200Aに設けられ、「周期計測手段」の具体例を構成する。また、この周期計測タイマーT1は特定検出信号が出力される周期を計測するためのタイマーであり、所定の特定検出信号の出力の開始時(信号の立ち上がり時)と、後続する特定検出信号の出力の開始時(信号の立ち上がり時)の間隔を計測することで、この「周期」を得るものである。また、継続時間計測タイマーT2は主制御部200Aに設けられ、「継続時間計測手段」の具体例を構成する。また、この継続時間計測タイマーT2は特定検出信号の出力が継続される時間(以下、「継続時間」という。)を計測するためのタイマーであり、個々の特定検出信号の出力の開始時(信号の立ち上がり時)と、当該出力の終了時(信号の立ち下がり時)との間隔を計測することで、「継続時間」を得るものである。
S30の処理の後、後続する「特定検出信号」の受信を開始するまで待機する(S40)。そして、後続する「特定検出信号」の受信を開始すると(S40;YES)、主制御部(周期判断手段)200Aは、「特定検出信号が出力される周期(以下、「出力周期」という。)」が適正値を外れるか否かを判断する(S50)。つまり、主制御部(周期判断手段)200Aは、特定検出信号の受信開始時における周期計測タイマーT1の値と、予め設定された出力周期の適正値とを比較して、出力周期が適正値を外れるか否かを判断する。この「出力周期の適正値に関するデータ」は、RAM202に設けられた「周期データ記憶メモリ202c(図38を参照)」に記憶されている。そして、本実施例においては、「出力周期の適正値」を、回転検出対象体100(回転誘導体26b)の回転周期(本実施例では、3.84秒)に幅を持たせ値(範囲)として設定されている。つまり、回転周期(3.84秒)から0.5秒を減じた値を下限値とし、回転周期(3.84秒)に0.5秒を加えた値を上限値とする範囲に設定されている。尚、この周期データ記憶メモリ202cは、周期データ記憶手段の具体例を構成する。
S50の処理において否定的な判断がなされると(S50;NO)、S55の処理に移行し、S50の処理において肯定的な判断がなされると(S50;YES)、周期計測タイマーT1と、継続時間計測タイマーT2とを初期化する処理(リセットする処理)を行う(S56)。尚、S55の処理に関しては後述する。
S56の処理を実行すると、主制御部200Aが、「現在、判断の対象としている特定検出信号の出力が継続される時間」、つまり、「継続時間を計測すること」が開始されると共に、「当該特定検出信号判断の対象としている特定検出信号に後続する他の特定検出信号が開始されるまでの時間(つまり、出力周期)を計測すること」が開始される。
S56の処理を実行した後、S40の処理で受信を開始した特定検出信号が、受信を終了するまで(位置検出用センサ装置110からの特定検出信号の出力が停止されるまで)、待機する(S60)。そして、S60の処理において肯定的な判断がなされると(S60;YES)、主制御部(周期判断手段)200Aは、当該受信を終了した「特定検出信号の出力が継続されていた時間(つまり、継続時間)が適正値を外れるか否か」を判断する(S65)。つまり、主制御部(継続時間判断手段)200Aは、特定検出信号の受信の終了時における継続時間計測タイマーT2の値と、予め設定された継続時間の適正値とを比較して、継続時間が適正値を外れるか否かを判断する。この「継続時間の適正値に関するデータは、RAM202に設けられた「継続時間データ記憶メモリ202d(図38を参照)」に記憶されている。
そして、本実施例においては、「継続時間の適正値」を、「位置検出用センサ装置110が第1の被検出部W1を検出する度に、検出信号の出力が継続される時間(0.5秒)」を下限値とし、この下限値に、この時間(0.5秒)」と同時間を加えた値を上限値とする範囲に設定されている。尚、この継続時間データ記憶メモリ202dは、継続時間データ記憶手段の具体例を構成する。
S65の処理において否定的な判断がなされると(S65;NO)、S55の処理に移行し、S65の処理において肯定的な判断がなされると(S65;YE)、S80の処理に移行する。このS80の処理において、遊技機1が未だ稼働中と判断されると(電源がOFFされていないと判断されると)、再び、S40以降の処理に移行する。
S55の処理に移行する場合、主制御部200Aが報知信号発信手段として機能することとなる。つまり、前述のように、特定検出信号の出力周期の適正値を外れるか(S50)、特定検出信号の出力の継続時間が適正値を外れると(S65)、主制御部200AはホールコンピュタHPCと、演出制御部220A(演出制御基板220)に報知信号を送信する(S55)。これにより、「パチンコホール」において、遊技盤10に予定外の振動(不正な振動等)を生じた旨を把握できると共に、当該遊技機1の第2の表示装置70(液晶表示装置)と、スピーカーSP1〜SP4等で当該予定外の振動(不正な振動等)に対する警告がなされる。
(5)実施例の効果
本実施例の遊技機1では、中央装置20に改良を施すと共に、主制御部200Aに「周期計測手段」、「周期データ記憶手段」、「周期判断手段」、「報知信号発信手段」、「継続時間計測手段」、「継続時間データ記憶手段」及び「継続時間判断手段」を設けることで、中央装置20に「振動検出用のセンサとしての機能」を付与できる。このため、遊技盤10の背後の空きスペースを徒に狭めることなく、しかも、遊技機1の製造コスト高を招くこともなく、不正行為を的確に防止できる。
つまり、本実施例の遊技機1では、遊技盤10に振動が加えられると、回転検出対象体100と、検出実行部(発光素子112及び受光素子113)と、の相対位置が変更されるため、位置検出用センサ装置110は、「第2の被検出部W2を検出すること」に基づいて特定検出信号を出力可能となる。これにより、位置検出用センサ装置110から出力される「特定検出信号の周期」に「ずれ」を生ずることとなる。そして、この「特定検出信号の周期」が適正範囲外となると、主制御部200A(報知信号発信手段)が報知信号を発信するため、中央装置20に「振動検出用のセンサとしての機能」を担わせることができる。このため、本実施例の遊技機1においては、独立した「振動検出用センサ」を別途、装着することが必要とされず、遊技盤10の背後の空きスペースを徒に狭めることない。
また、本実施例では、中央装置20を構成する回転検出対象体100や位置検出用センサ装置110等によって振動を検出する構成であるため、不正行為の的確な防止を図ることできる。例えば、不正行為者が中央装置20の正面前方に位置する部位(ガラス板43等)を細かく振動させた場合でも、この振動させた部位に近接する回転検出対象体100等を用いて遊技盤10の振動を的確に検出することができる。
更に、本実施例では、検出実行部(発光素子112及び受光素子113)が第1の被検出部W1の検出中に特定検出信号の出力が継続される継続時間と、検出実行部(発光素子112及び受光素子113)が第2の被検出部W2の検出中に特定検出信号の出力が継続される継続時間との間に差異を設けることができる。そして、この差異に基き、不正行為の検出をより的確に行っている。つまり、主制御部200A(報知信号発信手段)が、特定検出信号の出力が継続される継続時間が適正範囲外となったときにも、報知信号を発信するため、不正行為の検出をより的確に行うことができる。
B.実施例2
次に、実施例2に係る遊技機について説明する。この実施例2の遊技機は、位置検出用センサ装置110の支持構造が異なる点と、回転検出対象体100に設ける「第2の被検出部W2」の態様が異なる点を除いて、実施例1の遊技機1と同様である。
即ち、実施例2においては、図39及び図40に示すように、ケース90の前壁の後面部に対して、前後に進退可能な状態に支持されている。この実施例2の位置検出用センサ装置110を構成する基体部111aにも、上下に貫通する状態の貫通孔111fが設けられているが、この貫通孔111fは前後方向に長尺な長孔として構成されている。そして、この貫通孔111fには支持ピン111pが挿入されている。この支持ピン111pは、取付用突部98の上壁部と下壁部との間には軸心を上下方向に設けた状態で掛け渡されており、位置検出用センサ装置110は、支持ピン111pに貫通孔111fの内壁を摺動させた状態で前後に進退可能とされている(図42及び図43を参照)。尚、支持ピン111pの位置は、回転検出対象体100の外周上から一定距離(例えば、2mm)離れた位置に配置されており、位置検出用センサ装置110は、回転検出対象体100の外周上から一定距離に不安定な状態で取り付けられている。
図40(a)に示すように、基体部111aとケース90の前壁の後面部との間には、ゴムの成形体を用いて構成される弾性体111rが介在されている。この弾性体111rの一端部は前壁の後面部に固定され、弾性体111rの他端部は基体部111aの前面部に固定されている。このため、位置検出用センサ装置110に外力(振動)を負荷すると、この位置検出用センサ装置110は前後に進退すること(振動すること)になる。尚、「位置検出用センサ装置110に外力が負荷されていないときにおける「位置検出用センサ装置110の位置(図42に示す位置)」を「原点位置」と称することとする。また、本実施例においては、弾性体111rの構成素材は特に問わず、エラストマー、バネ等であってもよい。
図41(a)に示すように、実施例2の回転検出対象体100においても、実施例1の回転検出対象体100の上面部と同様に、第1の被検出部W1と、第2の被検出部W2とが設けられている。但し、実施例2においては、第2の被検出部W2として、外側被検出部W21と、内側被検出部W22とを備えている。以下、この点について説明する。
即ち、図42に示すように、実施例2の回転検出対象体100においても、その外縁部側が第1突出部111bと第2突出部111cとの間に形成される空間部に遊入されている。そして、位置検出用センサ装置110の位置が原点位置にあるときに、この位置検出用センサ装置110のおいて、検出実行部(発光素子112及び受光素子113)の検出対象となる検出対象範囲、つまり、通常検出対象範囲NHの一部に第1の被検出部W1が設けられている{図41(a)及び図42(b)を参照}。
また、図43(a)に示すように、位置検出用センサ装置110が原点位置から前進し、検出実行部が回転検出対象体100を基準として前方に最大量、位置変更されたときに(以下、この位置検出用センサ装置110の位置を、「前進位置」という。)、検出実行部の検出対象となる検出対象範囲(以下、「外側異常検出対象範囲」という。)SHにおいて、その大部分(非基準範囲部SH2)に「外側被検出部W21」が設けられている。また、このように、位置検出用センサ装置110の位置が「前進位置」とされると、弾性体111rは前方に縮むように変形するため、この弾性体111rから位置検出用センサ装置110に対して、位置検出用センサ装置110を後退させような付勢力が加えられる。
更に、図43(b)に示すように、位置検出用センサ装置110が原点位置から後退し、検出実行部が回転検出対象体100を基準に後方に最大量、位置変更されたときに(以下、この位置検出用センサ装置110の位置を、「後退位置」という。)、検出実行部の検出対象となる検出対象範囲(以下、「内側異常検出対象範囲」という。)UHにおいて、その大部分(非基準範囲部UH2)に「内側被検出部W22」が設けられている。また、このように、位置検出用センサ装置110の位置が「後退位置」とされると、弾性体111rは後方に伸びるように弾性変形するため、この弾性体111rから位置検出用センサ装置110に対して、位置検出用センサ装置110を前進させような付勢力が加えられる。
ここで、通常検出対象範囲NH、外側異常検出対象範囲SH及び内側異常検出対象範囲UH等に関し、図41を用いて更に説明する。尚、図41(a)は、第1の被検出部W1と、外側被検出部W21と、内側被検出部W22とを誇張して表示する「回転検出対象体100の平面図」であり、図41(b)は、第1の仮想円P1(通常検出対象範囲NH)と、外側仮想円P21(外側異常検出対象範囲SH)、内側仮想円P31(内側異常検出対象範囲UH)等の位置関係を説明するための回転検出対象体100の平面図である。尚、図41(a)及び(b)に示す矢印「RV」は、回転検出対象体100(回転誘導体26b)の回転方向を示す矢印である。また、外側仮想円P21と内側仮想円P31には、何れも、「第2の仮想円」の具体例を構成している。
実施例2の通常検出対象範囲NHも、回転検出対象体100において回転軸80と同心状に設定される第1の仮想円P1に沿って設定される範囲である。そして、この通常検出対象範囲NHは、中心角の小さな(例えば、2度〜10度のうちの何れかの角度)略円弧状の部分によって構成される基準範囲部NH1と、残余の部分を構成する非基準範囲部NH2とを備える。このうち、基準範囲部NH1は「第1の形成部位」の具体例を構成すると共に、第1の被検出部W1は、この基準範囲部NH1に沿って円弧状に形成されている。
実施例2の基準範囲部NH1も、回転検出対象体100の回転動作位置(位相)が特定の回転位置(特定範囲の回転位置)であるときに、「基本姿勢とされた位置検出用センサ装置110の検出実行部」と位置合わせされる箇所(検出対象とされる箇所)に設けられる。即ち、回転検出対象体100の回転位置(位相)が「特定の回転位置」であるときに、「基本姿勢とされた位置検出用センサ装置110の検出実行部」が、「基準範囲部NH1に設けられる第1の被検出部W1」の端部(検出実行部の検出方向に沿った始端部)WS1を検出可能とされている{図41(a)を参照}。尚、非基準範囲部NH2は、回転検出対象体100の回転位置(位相)が「特定の回転位置(特定範囲の回転位置)」の回転位置であるときに、「基本姿勢とされた位置検出用センサ装置110の検出実行部」と位置合わせ不可能な箇所に設けられる。
外側異常検出対象範囲SHは、回転検出対象体100において回転軸80と同心状に設定されると共に第1の仮想円P1よりも半径の大きな外側仮想円P21に沿って設定される範囲である。この外側異常検出対象範囲SHも、中心角(例えば、2度〜15度のうちの何れかの角度)の小さな略円弧状の部分によって構成される基準範囲部SH1と、残余の部分を構成する非基準範囲部SH2とを備える。
基準範囲部SH1は「通常検出対象範囲NHを構成する基準範囲部NH1」の半径方向に沿った外側に位置する部位に設けられ、非基準範囲部SH2は「通常検出対象範囲NHを構成する非基準範囲部NH2」の半径方向に沿った外側に位置する部位に設けられている。また、「外側異常検出対象範囲SHの周方向に沿った大部分を構成する非基準範囲部SH2」には、外側被検出部W21がこの非基準範囲部SH2に沿って円弧状に形成されている。
この基準範囲部SH1は、回転検出対象体100の回転動作位置(位相)が特定の回転位置(特定範囲の回転位置)であるときに、「前進位置に到達した位置検出用センサ装置110の検出実行部」と位置合わせされる箇所に設けられるが、この基準範囲部SH1には被検出部が設けられていない。また、非基準範囲部SH2は、回転検出対象体100の回転動作位置(位相)が「特定の回転位置(特定範囲の回転位置)」の回転位置であるときに、「前進位置に到達した位置検出用センサ装置110の検出実行部」と位置合わせされない箇所に設けられる。この「外側異常検出対象範囲SHの大部分を構成する非基準範囲部SH2」は、後述する「内側異常検出対象範囲UHの大部分を構成する非基準範囲部NH2」と共に、「第2の形成部位」の具体例を構成する。
内側異常検出対象範囲UHは、回転検出対象体100において回転軸80と同心状に設定されると共に第1の仮想円P1よりも半径の小さな内側仮想円P31に沿って設定される範囲である。この内側異常検出対象範囲UHも、中心角(例えば、2度〜15度のうちの何れかの角度)の小さな略円弧状の基準範囲部UH1と、残余の部分を構成する非基準範囲部UH2とを備える。
基準範囲部UH1は「通常検出対象範囲NHを構成する基準範囲部NH1」の半径方向に沿った内側に位置する部位に設けられ、非基準範囲部UH2は「通常検出対象範囲NHを構成する非基準範囲部NH2」の半径方向に沿った内側に位置する部位に設けられている。また、「内側異常検出対象範囲UHの周方向に沿った大部分を構成する非基準範囲部SH2」には、内側被検出部W22がこの非基準範囲部UH2に沿って円弧状に形成されている。
この基準範囲部UH1は、回転検出対象体100の回転動作位置(位相)が特定の回転位置(特定範囲の回転位置)であるときに、「後退位置に到達した位置検出用センサ装置110の検出実行部」と位置合わせされる箇所に設けられるが、この基準範囲部SH1には被検出部が設けられていない。また、非基準範囲部SH2は、回転検出対象体100の回転動作位置(位相)が「特定の回転位置(特定範囲の回転位置)」の回転位置であるときに、「後退位置に到達した位置検出用センサ装置110の検出実行部」と位置合わせされない箇所に設けられる。
次に、図41(a)及び(b)を用いて、第1の被検出部W1と、第2の被検出部W2(外側被検出部W21、内側被検出部W22)について更に詳細に説明する。つまり、第1の被検出部W1は、第1の仮想円P1(通常検出対象範囲NH)に沿って、しかも、第1の仮想円P1の半径内側方向及び半径外側方向に所定幅を備える状態に設けられている。即ち、第1の被検出部W1は、第1の仮想円P1の周方向に所定幅(基準範囲部NH1の幅)を有しつつ、第1の仮想円P1の半径方向内側に配置される仮想円C1と、第1の仮想円P1の半径方向外側に配置される仮想円C2とで囲まれる領域内に遮蔽シールを装着することによって構成されている。
外側被検出部W21は、第2の仮想円P2(外側異常検出対象範囲SH)に沿って、しかも、外側仮想円P21の半径内側方向及び半径外側方向に所定幅を備える状態に設けられている。即ち、外側被検出部W21は、外側仮想円P21の周方向に所定幅(非基準範囲部SH2の幅)を有しつつ、外側仮想円P21の半径方向内側に配置される仮想円C2と、外側仮想円P21の半径方向外側に配置される仮想円C3とで囲まれる領域内に遮蔽シールを装着することによって構成されている。
内側被検出部W22は、内側仮想円P31(内側異常検出対象範囲UH)に沿って、しかも、内側仮想円P31の半径内側方向及び半径外側方向に所定幅を備える状態に設けられている。即ち、内側被検出部W22は、内側仮想円P31の周方向に所定幅(非基準範囲部UH2の幅)を有しつつ、内側仮想円P31の半径方向内側に配置される仮想円C0と、内側仮想円P31の半径方向外側に配置される仮想円C1とで囲まれる領域内に遮蔽シールを装着することによって構成されている。
実施例2においては、図41(a)に示すように、「回転検出対象体100の半径方向に沿って第1の被検出部W1の外側位置する部位」には外側被検出部W21は存在せず、「回転検出対象体100の半径方向に沿って第1の被検出部W1の内側に位置する部位」には内側被検出部W22は存在しない。また、「回転検出対象体100の半径方向に沿って外側被検出部W21の内側に位置する部位」と、「回転検出対象体100の半径方向に沿って外側被検出部W21の内側に位置する部位」は一致するが、この部位には第1の被検出部W1は存在しないものとされている。
つまり、実施例2においても、回転検出対象体100の中心部を通過する任意の半径上には、第1の被検出部W1及び第2の被検出部W2(外側被検出部W21、内側被検出部W22)が併存しないが、必ず、一方が存在するものとされている。つまり、図41(a)に示すように、回転検出対象体100の表面部のうちの大部分が、回転軸80の軸心を通過する仮想的な直線(仮想的な半径RX)に沿って、第1の被検出部W1及び第2の被検出部W2(外側被検出部W21、内側被検出部W22)のうちの第2の被検出部W2のみが存在する領域RSとされている。
本実施例では、図42に示すように、位置検出用センサ装置110の位置が原点位置に維持される場合、検出実行部(発光素子112及び受光素子113)は通常検出対象範囲NHを検出対象とする。そして、回転検出対象体100は、回転誘導体26bの回転動作と一体で回転動作を行うため、検出実行部は、一定の周期(3.84秒)で第1の被検出部W1(第1の被検出部W1の端部WS1)を検出し{図42(b)を参照}、位置検出用センサ装置110は特定検出信号を出力する。また、検出実行部が、第1の被検出部W1を検出する度に、位置検出用センサ装置110は、特定検出信号の出力を0.5秒間(500msecの間)継続する。
また、図43(a)に示すように、位置検出用センサ装置110が前進位置に到達すると、検出実行部(発光素子112及び受光素子113)は、外側異常検出対象範囲KH1を検出するが、このとき、先に行った第1の被検出部W1の検出から、前述の周期(3.84秒)が経過する前に、外側被検出部W21を検出されるする可能性が高くなる。更に、図43(b)に示すように、位置検出用センサ装置110が後退位置に到達すると、検出実行部(発光素子112及び受光素子113)は、内側異常検出対象範囲KH2を検出するが、このとき、先に行った第1の被検出部W1の検出から、前述の周期(3.84秒)が経過する前に、内側被検出部W22を検出されるする可能性が高くなる。このため、遊技盤10に振動が付加され、位置検出用センサ装置110が前後に進退すると、特定検出信号が出力される周期が、前述の周期(3.84秒)から外れる(ずれる)可能性が高くなる。
また、位置検出用センサ装置が前後に振動すると、特定検出信号の出力が継続される継続時間が長くなる可能性がある。蓋し、外側被検出部W21及び内側被検出部W22の経路長(円弧長)は、第1の被検出部W1の経路長(円弧長)に比べて長いからである。
この実施例2の遊技機においても、中央装置20に改良を施すと共に、主制御部200Aに「周期計測手段」、「周期データ記憶手段」、「周期判断手段」、「報知信号発信手段」、「継続時間計測手段」、「継続時間データ記憶手段」及び「継続時間判断手段」を設けることで、中央装置20に振動検出用のセンサとしての機能を付与する。このため、遊技盤10の背後の空きスペースを徒に狭めることなく、しかも、製造コスト高を招くこともなく、不正行為を的確に防止できる。
また、実施例2の遊技機においても、中央装置20を構成する回転検出対象体100や位置検出用センサ装置110等によって振動を検出する構成であるため、不正行為の的確に防止を図ることできる。更に、本実施例においても、主制御部200A(報知信号発信手段)が、特定検出信号の出力が継続される継続時間が適正範囲外となったときにも、報知信号を発信するため、不正行為の検出をより的確に行うことができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
即ち、各実施例においては、位置検出用センサ装置110を、第1の被検出部W1の検出が可能な位置(以下、「第1の検出位置」という。)と、第2の被検出部W2の検出が可能な位置(以下、「第2の検出位置」という。)との間を進退(往復動)可能な状態に支持した。つまり、第2の検出位置に位置変更された位置検出用センサ装置110が、弾性支持体(バネ等)の付勢力を用いて第1の検出位置に復帰可能な態様を例示した。
各実施例においては、上下を向いた回転軸心回りに回転する「回転誘導体26b及び回転検出対象体100」への適用例を示したが、回転誘導体26b及び回転検出対象体100の軸心方向はこれに限定されず、例えば、図44に示す変形例1のように、軸心方向を水平方向に向けた「回転誘導体26b及び回転検出対象体100」に対しても、各請求項の発明を適用することができる。
この変形例1においては、ローラ軸25t(移送ローラ25mの回転軸を構成する。)に、回転検出対象体3000(移送ローラ25mと別体の回転検出対象体を用いてもよい。)を一体回転可能な状態に装着する。この回転検出対象体3000は、実施例1の回転検出対象体100と同様な構成を備えるが、ローラ軸25tの軸心方向が、実施例1の回転軸80の軸心方向と90度、異っているため、回転検出対象体3000の装着姿勢は実施例2の回転検出対象体100の装着姿勢と90度、異っている。つまり、この変形例1の回転検出対象体3000では、通常検出対象範囲NH(第1の被検出部W1)及び異常検出対象範囲KH(第2の被検出部W2)が設けられた面が左側方に向けられ、その裏側の面が右側方に向けられた状態とされている。
また、この変形例1においては、位置検出用センサ装置110の姿勢が、回転検出対象体3000の装着姿勢に呼応するものとされている。つまり、変形例1においては、位置検出用センサ装置110を、取付用突部98の下壁部の上面部に対して、弾性支持体(例えば、バネ)1100を介して上下動可能な状態に支持している。また、位置検出用センサ装置110の取付姿勢が、実施例1と比べて90度、回転した姿勢とされている。
この変形例1においては、基体部111aを水平方向に配置すると共に、第1突出部111bが基体部111aの一端部から上方に突出し、第2突出部111cが基体部111aの他端部から上方に突出する状態に配置されている。また、第1突出部111bの真後ろに第2突出部111cが配設された状態とされているため、前方に位置する発光素子112の発光面と、後方に位置する受光素子113の受光面とが前後に対向する状態とされている。
変形例1においては、位置検出用センサ装置110に外力(振動)が加わっておらず、下方に変位していない場合、つまり、位置検出用センサ装置110が「原点位置(つまり、上限位置)」にあるときには、検出実行部(発光素子112及び受光素子113)が通常検出対象範囲NH(第1の被検出部W1)を検出対象とする。一方、位置検出用センサ装置110に外力(振動等)が負荷され、位置検出用センサ装置110の位置が、下方に変位すると、検出実行部(発光素子112及び受光素子113)が異常検出対象範囲KH(第2の被検出部W2)を検出対象とする。
また、各実施例等では、回転誘導体26b及び回転検出対象体100として、1つの回転方向に沿って360度回転する態様を例示したが、各請求項の発明の回転誘導体や検出対象体の周期的な動作の態様はこれに限定されない。例えば、「回転誘導体26b及び回転検出対象体100」が、左回転方向に所定の回転角度(例えば、360度以下の角度であって、ゼロ度を含まない。)だけ回転する動作と、右回転方向に所定の回転角度(例えば、360度以下の角度であって、ゼロ度を含まない。)だけ回転する動作と、を交互に繰り返すことを内容とする周期的な動作(つまり、所定の円弧状の経路に沿って往復動する、回転誘導体26b及び回転検出対象体100)を例示することもできる。
各実施例等では、位置検出用センサ装置110を構成する検出実行部(発光素子112及び受光素子113)が、遊技盤10に施される振動に伴い、「遊技盤10を基準とする変位」を実行可能とされる態様を例示した。ところが、各請求項の発明の遊技機においては、例えば、図45に示す変形例2のように、遊技盤10に施される振動に伴って、回転検出対象体100が「遊技盤10を基準とする変位」を実行してもよい。
この変形例2の遊技機においては、回転軸80と回転検出対象体100との間に弾性体(ブッシュ)6000が介在させる点と、位置検出用センサ装置110が固定状態で配置される点と、が異なる他は実施例2の遊技機と同様である。つまり、変形例2で使用する弾性体6000は、弾性素材(ゴム若しくはエラストマー等)を用いて構成される一体成形品であり、中心部に取付孔6001を備えている。そして、この弾性体6000は、取付孔6001に回転軸80の中間部を挿通させた状態で回転軸80に装着され、回転軸80と一体で回転可能とされている。また、この変形例2においては、回転検出対象体100の挿通孔100aに弾性体6000を嵌め込んで、この弾性体6000と、回転検出対象体100とが一体で回転可能とされている。
この変形例2において、位置検出用センサ装置110はケース90の前壁の後面部に対して固定状態で支持されている。また、変形例2の回転検出対象体100の上面部においても、実施例2の回転検出対象体100の上面部と同様に、第1の被検出部W1と、外側被検出部W21と、内側被検出部22とが設けられている。つまり、この変形例2においても、回転検出対象体100の外縁部側が第1突出部111bと第2突出部111cとの間に形成される空間部に遊入されている。
図45(a)には、通常時(遊技盤10に振動が負荷されていないとき)に、この位置検出用センサ装置110のおいて、検出実行部(発光素子112及び受光素子113)の検出対象となる検出対象範囲、つまり、通常検出対象範囲NHが図示されている。この通常検出対象範囲NHは、回転軸80の軸心と同心状に設定される第1の仮想円P1に沿って形成されている。
また、図45(b)には、遊技盤10に振動が負荷され、回転検出対象体100が回転軸80の軸心を基準に前進した場合において、検出実行部の検出対象となる検出対象範囲、つまり、異常検出対象範囲KHRの具体例が図示されている。この図45(b)に例示する異常検出対象範囲KHRは、回転軸80の軸心と同心状に設定される第2の仮想円P41によって沿って形成されている。この第2の仮想円P41は、第1の仮想円P1と同一の半径を備える仮想円であるが、変形例2では、回転検出対象体100が回転軸80を基準(遊技盤10)に変位するため、「回転検出対象体100において第1の仮想円P1が設定される部位」と、「回転検出対象体100において第2の仮想円P41が設定される部位」とは異なった箇所とされる。そして、回転検出対象体100が回転軸80の軸心を基準に前進した場合において、この異常検出対象範囲KHRの設定範囲内に、内側被検出部W22と外側被検出部W21が存在することになる。尚、図示を省略するが、遊技盤10に振動が負荷され、回転検出対象体100が回転軸80の軸心を基準に後退した場合においても、検出実行部の検出対象となる検出対象範囲の設定範囲内に、内側被検出部W22と外側被検出部W21が存在することになる。
この変形例2においては、遊技盤10に振動が負荷されると、回転軸80も遊技盤10と一体で振動する。このとき、回転検出対象体100も、回転軸80の振動に呼応して振動するが、その際、弾性体6000が弾性変形するため、回転検出対象体100の振動は、回転軸80の振動と異なったものとなる。例えば、回転軸80からの回転検出対象体100に負荷されようとしている振動が、弾性体6000の弾性変形に伴って吸収されるため、回転検出対象体100の振動が回転軸80の振動に比べて小さくなる。つまり、回転検出対象体100は弾性体6000の弾性変形に伴って、遊技盤10や位置検出用センサ装置110を基準に変位する(相対的に変位する)ことになる。
このため、変形例2では、遊技盤10に振動が負荷されない場合、図45(a)に示すように、検出実行部(発光素子112及び受光素子113)は通常検出対象範囲NHを検出対象とする。そして、回転検出対象体100は、回転誘導体26bの回転動作と一体で回転動作を行うため、検出実行部は、一定の周期(3.84秒)で第1の被検出部W1(第1の被検出部W1の端部WS1であって、検出実行部の検出方向に沿った始端部WS1)を検出し、位置検出用センサ装置110は特定検出信号を出力する。また、検出実行部が、第1の被検出部W1を検出する度に、位置検出用センサ装置110は、特定検出信号の出力を0.5秒間(500msecの間)継続する。
一方、遊技盤10に振動が負荷されると、図45(b)に示すように、回転検出対象体100が、弾性体6000の弾性変形に伴って前後に変位する。このため、外側被検出部W21や内側被検出部W22が、検出実行部(発光素子112及び受光素子113)によって検出されることになる。
尚、変形例2では、回転軸80及び回転検出対象体100のうちの回転検出対象体100のみを遊技盤10を基準に変位可能とする態様を例示したが、各請求項の発明においては、回転軸80及び回転検出対象体100の双方を遊技盤10を基準に変位可能としてもよい。