JP4821981B2 - ダイカスト装置及びダイカスト装置のガス巻込み検出方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、上述した従来技術では、ガスの巻込みを検出できず、また、その定量的な判断について行えるものになっていなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、ガスの巻込みの検出及びその定量的な判断を行うことができるダイカスト装置及びダイカスト装置のガス巻込み検出方法を提供することを目的とする。
すなわち、型内に金属溶湯が供給される際、ガスが溶湯内へ巻き込まれ、溶湯と巻き込んだガスの体積分で型内が全て充填され、巻込んだガスがプランジャの推力により圧縮されはじめると、ガスを巻込んでいる溶湯は、プランジャの推力に対して反力を発揮することになる。このように溶湯がプランジャの推力に対して反力を発揮するようになることを、上述したように「溶湯が圧縮性の状態になる」という。
図1ないし図3において、ダイカスト装置1は、キャビティCを有する金型2と、金型2に金属溶湯(以下、溶湯Mという。)を充填するための射出装置1Aと、から大略構成されている。
射出装置1Aは、金型2に結合された射出スリーブ3と、射出スリーブ3に嵌装されたプランジャ4と、プランジャ4のロッド5に連結された油圧シリンダ6と、油圧シリンダ6に作動油を給排する油圧装置7と、油圧シリンダ6に対して並列に配置されて、プランジャ4のロッド5に連結されたボールねじ機構8(回転−直線動変換機構)と、ボールねじ機構8を駆動する射出用サーボモータ(以下、射出モータという。)9〔請求項2の電動モータ〕と、油圧装置7及び射出モータ9を制御する射出制御装置10と、品質モニタ部11とを備えている。
射出スリーブ3には、プランジャ4が摺動可能に嵌装されている。プランジャ4のロッド5の基端部には、射出モータ9によって直線動可能なスライダ12を介して油圧シリンダ6の作動ロッド16の先端部が連結されている。プランジャ4のロッド5の基端部と作動ロッド16の先端部と間にはロードセル15が介在されており、プランジャ4のロッド5及び油圧シリンダ6の作動ロッド16間の伝達力を検出するようにしている。スライダ12は、プランジャ4の移動方向に沿って直動可能に案内され得るようになっている。
増圧切換用パイロット弁24は、油圧ポンプ20とアキュムレータ22とを連通させる蓄圧位置と、増圧切換バルブ23にパイロット圧を供給する増圧位置とを切換可能な電磁弁である。そして、増圧切換用パイロット弁24からのパイロット圧によって、増圧切換バルブ23が開くと、アキュムレータ22に蓄圧された油圧が油圧シリンダ6の油室18に供給されて作動ロッド16に推力が発生する。アキュムレータ22の蓄圧圧力は、圧力センサ31によって検出することができる。
プレフィル弁25は、パイロット型逆止弁であり、通常は、タンク19から油圧シリンダ6の油室18への作動油の流通のみを許容し、また、パイロット弁26からのパイロット圧によって開弁して、油室18からタンク19への作動油の流れを許容する。
油室18の圧力は、圧力センサ32によって検出することができる。
射出制御装置10は、上記処理の実現のために、射出モータ9の発生トルク、油圧シリンダ6のヘッド側圧力、プランジャ4の位置、プランジャ4の速度及び射出圧力が所望のパターンを呈するように速度制御モード及びトルク制御モードを設定して、各部を制御する。
本実施の形態では、プランジャ4の速度(プランジャ速度)は、時間の経過と共に大きくされる一方、溶湯Mの充填完了が近付くと、プランジャ4の慣性により大きなサージ圧が発生することを回避できるように小さくされている。そして、プランジャ速度は、図4に示すように、大略、山形の波形を示す。
このプランジャ速度パターンに対応した制御により、プランジャ速度が予め定められた最終充填速度になる。プランジャ速度が最終充填速度になるプランジャ4の位置を以下、最終充填速度到達位置といい、符号Aで示す。
ここで、前記制御モード切替位置Eは、最終充填速度到達位置A(図4)から巻込みガスゼロ時充填完了位置B(図3)までの範囲内に設定されている。この巻込みガスゼロ時充填完了位置Bは、基準給湯量でガスの巻込みが無い場合に充填が完了することになると理論上予め求められるプランジャ4の位置である。
本実施の形態では、最終充填速度10%低下ポイントH(図4)でガス巻込み量測定を行い、最終充填速度10%低下ポイントHが、請求項1の「プランジャが一定の力を受けた状態で充填完了寸前において前記プランジャ位置検出手段が検出するプランジャ位置であるプランジャ充填完了寸前位置」に相当している。また、本実施の形態では、巻込みガスゼロ時充填完了位置Bが請求項1の「プランジャ基準位置」に相当している。
まず、射出モータ9を速度制御モードで稼働してプランジャ4が前進し、プランジャ4の位置が最終充填速度到達位置Aに達すると、プランジャ速度は最終充填速度になる。この後、プランジャ4の位置が制御モード切替位置Eになることを位置センサ40が検出すると、射出モータ9は、トルク制御モードに切替えて稼働され、この稼働により射出モータ9は一定のトルクを発生し、この発生トルクによりプランジャ4を前進させる。
このプランジャ4の作動により、溶湯Mの充填がさらに進行する。この際、仮にガスが巻込まれていると、キャビティCに充填された溶湯Mは、ガスが巻込まれたことにより圧縮性の状態になる。そして、プランジャ4は、圧縮性の状態になっている溶湯Mの反力を受けることにより減速され、その後、停止することになる。また、ガスが巻込まれた溶湯Mは、ガスが巻込まれていない溶湯Mに比して、その体積が大きくなっている。
品質判定部44(射出制御装置10)は、上記演算を実行し、さらに、次式(1)に基づいて、巻込みガス体積Vを算出する(巻込み量検出工程)。
この判定結果は、上述したように品質モニタ部11に表示される。判定結果が、ワークが良品であることを示す場合には、該ワークに対する加工を施す後工程に進み、判定結果が、ワークが不良品であることを示す場合には、該ワークを不良品置場に送り出すようにしている。
また、型内充填時にガスを巻込むことにより溶湯Mの体積変化が変化する現象を検知し、最終的にプランジャ位置で巻込み量を判断するため、定量的な品質判断が可能となる。
従来技術では、ガスの巻込みについて、定量的な判断が困難であるが、これに比して本実施の形態によれば、定量的な判断を行うことにより、ワークの良否判定を精度高く実施できる。さらに、精度高くワークの良否判定を行えることで、品質が良であるワークを誤って不良とするような事態を適切に回避でき、かつ上述したように後工程への不良品流出を防止できる。
増圧切替バルブ23は開き信号の入力を受けて一定の応答遅れをもって開弁する。そして、アキュムレータ22に蓄圧されたエネルギが放出され、油圧シリンダ6のヘッド側が昇圧され、これに伴い、図4の「油圧シリンダヘッド側圧力」の欄の動力パターンで示されるように、プランジャ4を介して型内が所定の射出圧力へ昇圧・保持される。
上記実施の形態では、最終充填速度10%低下ポイントHでガス巻込み量測定位置GPを検出する場合を例にしたが、本発明はこれに限らず、プランジャ速度が5%、15%低下したポイント等、他の低下ポイントでガス巻込み量測定位置GPを検出するようにしてもよい。
上記実施の形態では、検出されるガス巻込み量測定位置GPから(1)式を用いてガス体積Vを算出し、ガス体積Vを用いてワークの良否判定を行う場合を例にしたが、本発明はこれに限らない。例えば、位置データを閾値に用い、ガス体積Vを算出せずに、ガス巻込み量測定位置GPと位置データの閾値との比較によりワークの良否判定を行うようにしてもよい。
Claims (2)
- 金型のキャビティへの金属溶湯の充填に用いられるプランジャの位置を検出するプランジャ位置検出手段と、
前記プランジャのロッドに連結された油圧シリンダに作動油を給排する油圧装置と、前記油圧シリンダと並列に配置された回転−直線動変換機構を駆動する射出モータと、前記油圧装置及び射出モータを制御する射出制御装置と、
設定されたプランジャ速度パターンにおいて金属溶湯の充填完了が近付きプランジャの慣性によるサージ圧を回避し得るように設定された最終充填速度から所定量低下したときの、前記プランジャ位置検出手段によって検出されたプランジャの位置と、ガス巻込みがない場合の金属溶湯の充填が完了するプランジャ位置であるプランジャ基準位置とに基づいて、前記金属溶湯へのエア又はガスの巻込み量を検出するガス巻込み量検出手段とを備えており、
前記射出制御装置が、設定されたプランジャ速度パターンにしたがって、前記射出モータを最初に速度制御し、金属溶湯の充填完了が近付くと、プランジャの慣性によるサージ圧を回避し得るように設定された最終充填速度でトルク制御するとともに、前記金属溶湯が充填完了すると、充填された金属溶湯を前記油圧シリンダにより昇圧させるように前記油圧装置を制御し、
前記ガス巻込み量検出手段は、前記射出制御装置が前記射出モータを速度制御からトルク制御に切り換えて最終充填速度とし、充填完了が近付いてプランジャの速度が最終充填速度から所定量低下したときの、前記プランジャ位置検出手段によって検出された前記プランジャの位置と、前記プランジャ基準位置とに基づいて、前記金属溶湯へのエア又はガスの巻込み量を検出することを特徴とするダイカスト装置。 - プランジャのロッドに連結された油圧シリンダに作動油を給排する油圧装置と、前記油圧シリンダと並列に配置された回転−直線動変換機構を駆動する射出モータと、前記油圧装置及び射出モータを制御する射出制御装置とを備えており、
前記射出制御装置が、設定されたプランジャ速度パターンにしたがって、前記射出モータを最初に速度制御し、金属溶湯の充填完了が近付くと、プランジャの慣性によるサージ圧を回避し得るように設定された最終充填速度でトルク制御するとともに、前記金属溶湯が充填完了すると、充填された金属溶湯を前記油圧シリンダにより昇圧させるように前記油圧装置を制御するダイカスト装置において、
設定されたプランジャ速度パターンにしたがってプランジャが金型のキャビティに金属溶湯を充填する際に、金属溶湯の充填完了が近付きプランジャの慣性によるサージ圧を回避し得るように設定された最終充填速度から所定量低下したときの前記プランジャの位置を求めるプランジャ位置検出工程と、
該プランジャ位置検出工程で求められた前記プランジャの位置と、ガス巻込みがない場合の金属溶湯の充填が完了するプランジャ位置であるプランジャ基準位置とに基づいて前記金属溶湯へのエア又はガスの巻込み量を検出するガス巻込み量検出工程と、
を含み、
前記ガス巻込み量検出工程は、前記射出制御装置が前記射出モータを速度制御からトルク制御に切り換えて最終充填速度とし、充填完了が近付いてプランジャの速度が最終充填速度から所定量低下したときの、前記プランジャ位置検出工程で検出された前記プランジャの位置と、前記プランジャ基準位置とに基づいて、前記金属溶湯へのエア又はガスの巻込み量を検出することを特徴とするダイカスト装置のガス巻込み検出方法。
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