JP4821687B2 - 磁気センサおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
このGMR素子は、磁化の向きが所定の向きにピン止めされたピンド層と、磁化の向きが外部磁界に対応して変化するフリー層とを備え、外部磁界が加わった場合に、ピンド層の磁化の向きとフリー層の磁化の向きとの相対関係に応じた抵抗値を呈するもので、この抵抗値を測定することで外部磁界を検出するようになっている。
この磁気センサは、所定の厚みを有する石英またはシリコンウエハからなる基板101と、この基板101上に配されたGMR素子からなる磁気抵抗効果素子102と、この磁気抵抗効果素子102の両端にそれぞれ接続され、基板101上に非磁性材料からなる下地膜103を介して配された永久磁石膜からなるバイアス磁石層104と、磁気抵抗素子102およびバイアス磁石層104の上面を全て被覆するように設けられた酸化ケイ素膜からなる第一保護膜105と、窒化ケイ素膜からなる第二保護膜106とから概略構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
ここで、第一保護膜105と第二保護膜106を併せて保護膜107と言うこともある。
本発明の磁気センサにおいては、前記磁気抵抗効果素子およびバイアス磁石層の側面が、それぞれ基板および前記磁気抵抗効果素子の上面に対して傾斜していることが好ましい。
また、本発明は、磁気センサの製造方法であって、基板にCoCrPt合金からなるバイアス磁石層を形成する工程と、前記バイアス磁石層の上面に、リフローにより端部が曲面をなしたレジスト膜を形成する工程と、イオンミリングにより、前記レジスト膜で覆われていない部分の前記バイアス磁石層を除去して、側面が基板に対して傾斜したバイアス磁石層を形成する工程と、前記基板の上面と、前記バイアス磁石層の上面および側面とに、磁気抵抗効果素子を形成する工程と、前記磁気抵抗効果素子の上面に、リフローにより端部が曲面をなしたレジスト膜を形成する工程と、イオンミリングにより、前記レジスト膜で覆われていない部分の前記磁気抵抗効果素子を除去して、側面が基板に対して傾斜した磁気抵抗効果素子を形成する工程と、端部を除いた前記磁気抵抗効果素子の上面と、前記バイアス磁石層の側面および上面の一部とにレジスト膜を形成する工程と、クロムからなる中間層を形成する工程と、前記レジスト膜を除去し、前記磁気抵抗効果素子の端部の上面および側面の一部と、前記バイアス磁石層の上面とを覆う、厚みが5nm以上の中間層を形成し、この時の前記中間層の側面と、前記バイアス磁石層の側面との間隔が1μmを超えないようにする工程と、前記基板、磁気抵抗効果素子、中間層およびバイアス磁石層を酸化ケイ素からなる保護膜で覆い、プラスチックモールドパッケージを行う工程と、を有することを特徴とする磁気センサの製造方法を提供する。
図1は、本発明の磁気センサの第一の実施形態を示す概略断面図である。
この実施形態の磁気センサ10は、所定の厚みを有する石英またはシリコンウエハからなる基板11と、この基板11上に配されたGMR素子をなす磁気抵抗効果素子12と、この磁気抵抗効果素子12の両端部にそれぞれ接続され、基板11上に非磁性材料からなる下地膜13を介して配された永久磁石膜からなるバイアス磁石層14と、磁気抵抗素子12およびバイアス磁石層14の上面を全て被覆するように設けられた第一保護膜15と、この第一保護膜15の上面に設けられた第二保護膜16と、磁気抵抗効果素子12および第一保護膜15と、バイアス磁石層14との間に、バイアス磁石層14の上面14aの全域を覆うように設けられた中間層18とから概略構成されている。
ここで、第一保護膜15と第二保護膜16を併せて保護膜17と言うこともある。
中間層18の厚みは5nm以上、15nm以下であることが好ましい。
一方、中間層18の厚みが15nmを超えると、磁気抵抗効果素子12に対して、バイアス磁石層14により所定の方向にバイアス磁界が付与されない。
このフリー層には、その一軸異方性を維持するために、所定の方向にバイアス磁石層14によりバイアス磁界が付与されている。
ピンド層は、コバルト−鉄(CoFe)磁性層により構成されている。このCoFe磁性層は、後述する反強磁性膜に交換結合的に裏打されることにより磁化の向きがピン止め(固着)されている。
これらピンド層とピニング層を併せてピン層と称する。
バイアス磁石層14は、膜厚90nm程度のコバルト−白金−クロム(CoCrPt)合金からなる金属薄膜である。
第二保護膜16は、窒化ケイ素(SiNy膜)からなる薄膜である。
図2は、本発明の磁気センサの第二の実施形態を示す概略断面図である。
この実施形態の磁気センサ20は、所定の厚みを有する石英またはシリコンウエハからなる基板21と、この基板21上に配されたGMR素子をなす磁気抵抗効果素子22と、この磁気抵抗効果素子22の両端部にそれぞれ接続され、基板21上に非磁性材料からなる下地膜23を介して配された永久磁石膜からなるバイアス磁石層24と、磁気抵抗素子22およびバイアス磁石層24の上面を全て被覆するように設けられた第一保護膜25と、この第一保護膜25の上面に設けられた第二保護膜26と、磁気抵抗効果素子22に覆われていないバイアス磁石層24の上面24aのほぼ全域を覆うように設けられた中間層28とから概略構成されている。
ここで、第一保護膜25と第二保護膜26を併せて保護膜27と言うこともある。また、磁気抵抗素子22およびバイアス磁石層24の上面を保護膜27が被覆するとは、接続用の開口部を除くほぼ全域を覆っていることを意味している。
磁気抵抗効果素子22の側面22aと、中間層28の側面28aとの間隔が3μmを超えると、バイアス磁石層24と保護膜27との密着性が不十分となり、熱冷サイクル試験などによって、外部から剪断応力を繰り返し加えた場合、バイアス磁石層24と保護膜27の界面において、保護膜27が剥離するおそれがある。
バイアス磁石層24は、膜厚90nm程度のコバルト−白金−クロム(CoCrPt)合金からなる金属薄膜である。
第二保護膜26は、窒化ケイ素(SiNy膜)からなる薄膜である。
図3は、本発明の磁気センサの第三の実施形態を示す概略断面図である。
この実施形態の磁気センサ30は、所定の厚みを有する石英またはシリコンウエハからなる基板31と、この基板31上に配されたGMR素子をなす磁気抵抗効果素子32と、この磁気抵抗効果素子32の両端部にそれぞれ接続され、基板31上に非磁性材料からなる下地膜33を介して配された永久磁石膜からなるバイアス磁石層34と、磁気抵抗素子32およびバイアス磁石層34の上面を全て被覆するように設けられた第一保護膜35と、この第一保護膜35の上面に設けられた第二保護膜36と、磁気抵抗効果素子32に覆われていないバイアス磁石層34の上面34aのほぼ全域を覆い、かつ、磁気抵抗効果素子32の両端部の側面32bおよび上面32aの一部を覆うように設けられた中間層38とから概略構成されている。
ここで、第一保護膜35と第二保護膜36を併せて保護膜37と言うこともある。
バイアス磁石層34は、膜厚90nm程度のコバルト−白金−クロム(CoCrPt)合金からなる金属薄膜である。
第二保護膜36は、窒化ケイ素(SiNy膜)からなる薄膜である。
次に、図4および図5〜図13を用いて本発明の第一の実施形態に係る磁気センサの製造方法について説明する。
図4は、本発明の第一の実施形態に係る磁気センサの製造方法の手順を示すフローチャートである。図5〜図13は、本発明の第一の実施形態に係る磁気センサの製造方法を示す概略断面図である。
ここで、図13に、磁気抵抗効果素子12の上面から見た平面図を示す。なお、図13では、第一保護膜15を省略した。
ここで、第一保護膜15および第二保護膜16の上に、さらにポリイミド樹脂からなる第三保護膜を設けてもよい。
次に、図14および図15〜図26を用いて本発明の第二の実施形態に係る磁気センサの製造方法について説明する。
図14は、本発明の第二の実施形態に係る磁気センサの製造方法の手順を示すフローチャートである。図15〜図26は、本発明の第二の実施形態に係る磁気センサの製造方法を示す概略断面図である。
続いて、バイアス磁石層24の上面にスパッタリング法により、厚み5nm〜15nm程度のクロムからなる中間層28を形成する(工程E−1)。
ここで、図26に、磁気抵抗効果素子22の上面から見た平面図を示す。なお、図26では、第一保護膜25を省略した。
ここで、第一保護膜25および第二保護膜26の上に、さらにポリイミド樹脂からなる第三保護膜を設けてもよい。
次に、図27および図28〜図39を用いて本発明の第三の実施形態に係る磁気センサの製造方法について説明する。
図27は、本発明の第三の実施形態に係る磁気センサの製造方法の手順を示すフローチャートである。図28〜図39は、本発明の第三の実施形態に係る磁気センサの製造方法を示す概略断面図である。
ここで、図39に、磁気抵抗効果素子32の上面から見た平面図を示す。なお、図39では、第一保護膜35を省略した。
ここで、第一保護膜35および第二保護膜36の上に、さらにポリイミド樹脂からなる第三保護膜を設けてもよい。
上述の本発明に係る磁気センサの製造方法に従って、磁気抵抗効果素子の幅は各7.5μm、磁気抵抗効果素子同士の間隔は3μm、バイアス磁石層の幅は18μmの磁気センサを作製した。
本実施例では、バイアス磁石層の上に、厚み5nmの中間層を有する磁気センサを作製した。この中間層の、バイアス磁石層の磁気抵抗効果素子と接合していない端部からの長さ(中間層のパターンの幅)は3μmとした。
そして、得られた磁気センサを用いて、プラスチックモールドパッケージを作製した。
磁気センサの上面(保護膜が設けられている側の面)にスコッチ3M社製のメンディングテープを貼付した後、このメンディングテープを引き剥がして、磁気センサのバイアス磁石層と保護膜の界面における剥離の有無を調べた。同様の試験を磁気センサ100個について行い、界面における剥離が生じた磁気センサの数を数えた。結果を表1に示す。
磁気センサのプラスチックモールドパッケージを、−65℃で30分間保持、5分間で室温まで昇温、室温で30分間保持、5分間で150℃まで昇温、150℃で30分間保持、5分間で室温まで降温、室温で30分間保持、5分間で−65℃まで降温の温度サイクルを1サイクルとして500回繰り返し温度変化させる環境に放置した。
その後、このプラスチックモールドパッケージを、発煙硝酸を用いるエッチングにより開封し、磁気センサのバイアス磁石層と保護膜の界面における剥離の有無を調べた。同様の試験を磁気センサのプラスチックモールドパッケージ20個について行い、界面における剥離が生じた磁気センサの数を数えた。
上述の本発明に係る磁気センサの製造方法に準じて、従来の中間層を有さない磁気センサを作製した。
また、得られた磁気センサを用いて、プラスチックモールドパッケージを作製した。
一方、比較例の磁気センサは、密着性試験では100個中32個、熱冷サイクル試験では100個中7個に剥離が見られた。
一方、比較例の磁気センサは、バイアス磁石層と保護膜との密着性が不十分で耐環境性が劣ることが分かる。
Claims (3)
- 基板上にスピンバルブ型の磁気抵抗効果素子が配され、該磁気抵抗効果素子の両端部下面に接続された永久磁石膜からなる複数のバイアス磁石層と、該バイアス磁石層の上面を覆うとともに該磁気抵抗効果素子の両端部の上面および側面の一部を覆う中間層が設けられ、
該磁気抵抗効果素子および該バイアス磁石層の上面と、該中間層とを被覆する保護膜が設けられ、プラスチックモールドパッケージされた磁気センサであって、
前記中間層は、クロム(Cr)、タンタル(Ta)またはチタン(Ti)からなり、厚みが5nm以上であり、
前記中間層は、その側面と、前記バイアス磁石層の側面との間隔が1μmを超えないように、前記バイアス磁石層の上面を覆い、
前記保護膜は、酸化ケイ素からなり、
前記バイアス磁石層は、CoCrPt合金からなることを特徴とする磁気センサ。 - 前記磁気抵抗効果素子およびバイアス磁石層の側面が、それぞれ基板および前記磁気抵抗効果素子の上面に対して傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の磁気センサ。
- 磁気センサの製造方法であって、
基板にCoCrPt合金からなるバイアス磁石層を形成する工程と、
前記バイアス磁石層の上面に、リフローにより端部が曲面をなしたレジスト膜を形成する工程と、
イオンミリングにより、前記レジスト膜で覆われていない部分の前記バイアス磁石層を除去して、側面が基板に対して傾斜したバイアス磁石層を形成する工程と、
前記基板の上面と、前記バイアス磁石層の上面および側面とに、磁気抵抗効果素子を形成する工程と、
前記磁気抵抗効果素子の上面に、リフローにより端部が曲面をなしたレジスト膜を形成する工程と、
イオンミリングにより、前記レジスト膜で覆われていない部分の前記磁気抵抗効果素子を除去して、側面が基板に対して傾斜した磁気抵抗効果素子を形成する工程と、
端部を除いた前記磁気抵抗効果素子の上面と、前記バイアス磁石層の側面および上面の一部とにレジスト膜を形成する工程と、
クロムからなる中間層を形成する工程と、
前記レジスト膜を除去し、前記磁気抵抗効果素子の端部の上面および側面の一部と、前記バイアス磁石層の上面とを覆う、厚みが5nm以上の中間層を形成し、この時の前記中間層の側面と、前記バイアス磁石層の側面との間隔が1μmを超えないようにする工程と、
前記基板、磁気抵抗効果素子、中間層およびバイアス磁石層を酸化ケイ素からなる保護膜で覆い、プラスチックモールドパッケージを行う工程と、
を有することを特徴とする磁気センサの製造方法。
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