JP4821384B2 - 有機化合物汚染土壌の原位置洗浄方法 - Google Patents

有機化合物汚染土壌の原位置洗浄方法 Download PDF

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Description

本発明は、有機化合物で汚染された土壌を原位置で洗浄するための方法に関する。
ベンゼンやトルエン等の有害な揮発性有機化合物で汚染された土壌から有機化合物を除去する際、掘削し難い理由がある場合には、原位置において浄化処理が行われる。その浄化処理方法の一つとして、エアースパージング法(曝気処理法)がある。これは、汚染土に空気を送り込んで、汚染土に含まれる揮発性の有機化合物の気化を促進させ、揮発したガスを回収する手法である(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−254062
しかしながら、上記エアースパージング法を用いて原位置を浄化しても、土壌中に残留している有機化合物を効率よく除去することができなかった。
そこで、本発明は、過酸化水素水を用いた、汚染された土壌の透水性を原位置で改善する方法、汚染された土壌の透気性を原位置で改善する方法、及びそれらの方法により、汚染された土壌を原位置で効率の良く浄化する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、汚染土に過酸化水素水を添加すると、数分後に、汚染土が土粒子の層(土粒子の層は、さらに細粒分と粗粒分とに分離する)と液体の層とに分離することを見出した(図1を参照のこと)。これは、有機化合物が汚染土の土粒子から剥がれ、有機化合物が水溶化して、水溶性有機物と土粒子とが分離したためであると考えられる。土壌中で、このようにして水溶性有機物と土粒子とを分離させれば、土壌中の透過性を改善できることになる。こうして、発明者らは、本発明の完成に至った。
発明にかかる原位置曝気方法は、有機化合物で汚染された土壌を原位置で曝気する方法であって、前記土壌を曝気するための曝気用井戸を設け、前記曝気用井戸に過酸化水素水を注入して、前記土壌に前記過酸化水素水を供給し、所定時間放置後、前記曝気用井戸から、前記曝気用井戸に存在する液体又は気体を回収し、前記曝気用井戸に対して曝気を行うことを特徴とする。
ここで、前記原位置曝気方法において、前記曝気用井戸に過酸化水素水を注入して、前記土壌に前記過酸化水素水を供給し、所定時間放置後、前記曝気用井戸から、前記曝気用井戸に存在する液体又は気体を回収する工程を、少なくとも2回以上行うことが好ましい。
また、本発明にかかる原位置洗浄方法は、有機化合物で汚染された土壌を原位置で洗浄する方法であって、前記土壌に通水洗浄を行うための注水用井戸及び揚水用井戸と、前記土壌を曝気するための曝気用井戸を設け、前記注水用井戸、前記揚水用井戸、又は前記曝気用井戸のうちいずれか1つ以上の井戸に過酸化水素水を注入して、前記土壌に前記過酸化水素水を供給し、所定時間放置後、前記過酸化水素水を注入した井戸から、前記井戸に存在する液体又は気体を回収し、前記曝気用井戸に対して曝気を行い、前記注水用井戸及び前記揚水用井戸を用いて通水洗浄を行うことを特徴とする。
ここで、前記原位置洗浄方法において、前記注水用井戸、前記揚水用井戸、又は前記曝気用井戸のうちいずれか1つ以上の井戸過酸化水素水を注入して、前記土壌に前記過酸化水素水を供給し、所定時間放置後、前記過酸化水素水を注入した井戸から、前記井戸に存在する液体又は気体を回収する工程を、少なくとも2回以上行った後で、前記通水洗浄を行うことが好ましい。
なお、前記有機化合物は、例えば、タール、ベンゼン、トルエン、キシレン、又はエチルベンゼン等を含んでいてもよい。
本発明によって、過酸化水素水を用いた、汚染された土壌の透水性を原位置で改善する方法、汚染された土壌の透気性を原位置で改善する方法、及びそれらの方法により、汚染された土壌を原位置で効率の良く浄化する方法を提供することができる。
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、詳細に説明する。なお、本発明の目的、特徴、利点、及びそのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば、容易に本発明を再現できる。以下に記載された発明の実施の形態などは、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をそれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図並びに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々な改変並びに修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
===有機化合物汚染土壌の透水性及び透気性を改善する方法===
以下の実施例に記載する通り、汚染土に過酸化水素水を添加すると、数分後に、汚染土が土粒子の層(土粒子の層は、さらに細粒分と粗粒分とに分離する)と液体の層とに分離した(図1を参照のこと)。これは、有機化合物が汚染土の土粒子から剥がれ、有機化合物が水溶化して、水溶性有機物と土粒子とが分離したためであると考えられる。このように、土壌中で水溶性有機物と土粒子とを分離させれば、土壌中の透過性及び透気性を改善できることになる。従って、本発明の方法は、土壌中の透水性を原位置で改善するのに有用である。なお、汚染土に使用する過酸化水素水の量は、汚染土から有機化合物を分離できる量であればよく、特に限定されない。
本発明によれば、過酸化水素は比較的安価であるため、少ない費用で有機化合物汚染土壌の透水性及び透気性を改善することができる。
===有機化合物汚染土壌を浄化する方法===
上記のような、有機化合物汚染土壌の透水性を改善する過酸化水素水の効果を利用した、有機化合物汚染土壌を浄化する方法を以下に述べる。
(1)過酸化水素処理を用いた曝気方法
原位置曝気法の基本的な現場のイメージを図2に示す。本実施形態において、原位置曝気システム10は、過酸化水素水を貯留するための過酸化水素タンク8と、空気を注入するための曝気用井戸12と、バルブ16付きのコンプレッサー18を備えている。曝気用井戸12は、原位置曝気システム10にいくつ設置してもよい。また、これら曝気用井戸は、汚染土に接していることが好ましい。
まず、ポンプ14等を利用して、過酸化水素タンク8に貯留している過酸化水素水を曝気用井戸12に注入し、曝気用井戸12周囲の土壌に過酸化水素水を供給し、この状態で所定時間放置する。その後、曝気用井戸12からこの井戸に存在する液体(例えば、化学反応が起きなかった過酸化水素や、化学反応後の水、可溶化した有機化合物(鉄、重金属等)等)や気体(例えば、酸素、気化した揮発性の有機化合物(ベンゼン、トルエン、キシレン、又はエチルベンゼン等)等)を、吸引等によって回収する。次に、コンプレッサー18のバルブ16を開放して、曝気用井戸12に空気を注入し、曝気する。
ここで、浄化効果を高めるために、過酸化水素タンク8に貯留している過酸化水素水を曝気用井戸12に注入し、所定時間経過後、曝気用井戸12からこの井戸に存在する液体や気体を吸引等によって回収する工程を、少なくとも2回以上行うことが好ましい。
なお、汚染土に使用する過酸化水素水の濃度は、1〜2%程度が好ましい。
また、原位置浄化を行っている土壌周辺の設備に、ボーリング孔等があれば、それらに過酸化水素水を注入してもよい。この場合、過酸化水素水の注入後は、所定時間経過後に、これらの井戸に存在する液体又は気体等を回収することが好ましい。
曝気用井戸12は、曝気を行うことができるものであれば、その形態は特に限定されない。
本発明によって汚染土壌から除去する対象としての有機化合物は、例えば、タール、ベンゼン、トルエン、キシレン、又はエチルベンゼン等の揮発性の有機化合物、あるいはそれらを含んだ有機化合物等が挙げられる。
本発明の方法は、汚染土に過酸化水素水を注入した後に曝気処理を行うので、以下の実施例に示す通り、揮発性有機化合物の土壌への残留を減少させることができる。従って、本発明の方法は、過酸化水素又は揮発性有機化合物による土壌汚染を考える必要がなく、環境面において有用である。
(2)過酸化水素処理、曝気及び通水洗浄を用いた洗浄方法
原位置洗浄法の基本的な現場のイメージを図3に示す。本実施形態において、原位置洗浄システム20は、注水用井戸4へ水を注入するための水処理設備2と、注水用井戸4と、土壌中の液体を除去するための揚水用井戸6と、過酸化水素水を貯留するための過酸化水素タンク8と、空気を注入するための曝気用井戸12と、バルブ16付きのコンプレッサー18を備えている。注水用井戸4、揚水用井戸6、曝気用井戸12は、原位置洗浄システム20にいくつ設置してもよい。また、これらの井戸は、汚染土に接していることが好ましい。
まず、ポンプ14等を利用して、過酸化水素タンク8に貯留している過酸化水素水を注水用井戸4に注入し、注水用井戸4周囲の土壌に過酸化水素水を供給し、この状態で所定時間放置する。その後、注水用井戸4からこの井戸に存在する液体(例えば、化学反応が起きなかった過酸化水素や、化学反応後の水、可溶化した有機化合物(鉄、重金属等)等)や気体(例えば、酸素、気化した揮発性の有機化合物(ベンゼン、トルエン、キシレン、又はエチルベンゼン等)等)を、吸引等によって回収する。次に、コンプレッサー18のバルブ16を開放して、曝気用井戸12に空気を注入し、曝気する。最後に、注水用井戸4から水を入れ、通水洗浄を行い、揚水用井戸6から水溶性有機物が含まれている液体等を回収する。井戸に存在する液体又は気体等の回収は、ポンプ等を用いて吸引すればよい。
ここで、洗浄効果を高めるために、過酸化水素タンク8に貯留している過酸化水素水を注水用井戸4に注入し、所定時間経過後、注水用井戸4からこの井戸に存在する液体や気体を吸引等によって回収する工程を、少なくとも2回以上行うことが好ましい。
なお、汚染土に使用する過酸化水素水の濃度は、前述の通りである。
また、過酸化水素水は、注水用井戸4だけでなく、揚水用井戸6や曝気用井戸12に注入してもよいし、注水用井戸4、揚水用井戸6及び曝気用井戸12全てに注入してもよい。また、原位置浄化を行っている土壌周辺の設備に、ボーリング孔、曝気用噴射口等があれば、それらに過酸化水素水を注入してもよい。この場合、過酸化水素水の注入後は、所定時間経過後に、これらの井戸に存在する液体又は気体等を回収することが好ましい。
曝気用井戸12は、曝気を行うことができるものであれば、その形態は特に限定されない。
なお、曝気用井戸12への空気の注入は、通水洗浄後に行ってもよい。
本発明によって汚染土壌から除去する対象としての有機化合物は、例えば、タール、ベンゼン、トルエン、キシレン、又はエチルベンゼン等の揮発性の有機化合物、あるいはそれらを含んだ有機化合物等が挙げられる。
本発明の方法は、汚染土と過酸化水素水を所定時間接触させた後に、注水用井戸又は揚水用井戸から、これらの井戸に存在する過酸化水素水や可溶化した有機化合物を回収する手法を取り入れている。また、本発明の方法は、汚染土に過酸化水素水を注入した後に曝気処理を行うので、以下の実施例に示す通り、揮発性有機化合物の土壌への残留を減少させることができる。従って、本発明の方法は、過酸化水素又は揮発性有機化合物による土壌汚染を考える必要がなく、環境面において有用である。また、本発明の方法は、可溶化した有機化合物を土壌に拡散させたり再吸着させたりする心配もない。また、実施例1で示すように、過酸化水素水は汚染土から有機化合物を短時間で分離するので、洗浄後も汚染土に付着し残存している有機化合物が地下水に染み出す可能性も極めて低くなる。
以下に、本発明を実施例によって具体的に説明する。なお、これらの実施例は、本発明を説明するためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。なお、以下の実施例で用いた土は、コールタール精製工場跡地の掘削現場から採取したものである(深さ3.5〜5.5m、性状:砂質土)。採取後の土は、密閉のステンレス缶(20L)に入れ、土に存在するベンゼン等が揮発しないよう、この缶の中に採取地点に近い場所から得た地下水を入れ、これらの土を4℃で搬送し、5℃に保管した。
<実施例1>閉鎖系における汚染土と過酸化水素との反応性
汚染土に過酸化水素水を入れた場合の汚染土と過酸化水素との反応性を検討するために、本実施例では、反応系外への揮散がないバッチ系で以下の実験を行った。
まず、100mL容量の耐圧瓶(実容積:約160mL)内に汚染土2gと水58mLを入れて混合し、薄いスラリーを作製した。その後、以下の表1に記載の通り、湿性土の添加量に対し、1%または10%の過酸化水素をこの瓶に添加し、すばやく蓋をして、20℃の恒温器で振盪した。コントロールとして、過酸化水素水を添加しない実験も同時に行なった。
なお、ガス抜きは、注射針を付けた10mLのガラスシリンジを蓋のセプタム部に差し込み、内圧で押される分だけを計量しながら行った。内圧で押される分量が10mL以上の場合には、一旦、針ごとガラスシリンジをセプタム部から抜き、ガラスシリンジ内を空にし、再度、針とガラスシリンジを差し込んだ。そして、内圧が収まったら、針を抜いて、シリンジによる針穴をテフロン(登録商標)材でシールした。ガス抜きは、1時間後に行い、ガスを抜いた後、この瓶を20℃で2日間振盪した。
その後、以下の方法を用いて、各種測定を行った。
(1)気相部のガスに存在するベンゼン濃度の測定方法
汚染土と過酸化水素水とを反応させ、1時間後にガス抜きを行った。その後、ガスタイトシリンジを用いて気相部のガスを50μL採取し、GC-PID(JEOL_GC-8610)を用いてベンゼン濃度を測定した。ガスを溶かした試料液は、必要に応じて希釈した。また、ピーク面積が小さい場合はガス採取量を増やして、もう一度測定した。
1日後も同様にガス抜きを行ってから、ガスタイトシリンジを用いて、気相部のガスを50μL採取し、GC-PIDを用いてベンゼン濃度を測定した。なお、ガスを溶かした試料液は、必要に応じて希釈した。
(2)気相部のガスに存在するO2濃度の測定方法
(1)と同様に気相部のガスを50μL採取し、GC-TCD(SHIMADZU_GC-9A)を用いて酸素濃度を測定した。
(3)液相部に存在するベンゼン濃度の測定方法
1.5mL微量遠心チューブにデカン(関東化学株式会社)を約600μL入れ、その重量を記録した。
次に、1mLシリンジを用いて、試料ビンのセプタム部から各試料液を1mLずつ、新しい1.5mL微量遠心チューブに入れ、素早く蓋をした。これらの微量遠心チューブを遠心器でフラッシングし、氷上に移した後、上清を600μLずつ、用意したデカン入りの微量遠心チューブに移し、よく撹拌した。
しばらく放置して二層に分離させた後、上層のデカンをGC-MS測定機(HP_MSD5973)に入れ、ベンゼン濃度を測定した。
(4)液相部のpH測定方法、及び液相部に存在するdTOC(水溶性有機物)の測定方法
ベンゼン測定用の試料採取が終わった試料ビン中の上清にpH計電極を差し込んで、液相部のpHを測定した。
次に、再び試料ビンのセプタム部から試料液を5mL程度採取してポアサイズ0.2μmのフィルターに通した。この際、最初の1mLは廃棄した。フィルターに通した液をTOC計(SHIMADZU_TOC-5000A)に入れ、dTOCを測定した。
各種測定の結果は、表2に示す通りである。なお、気相中のガスに存在するベンゼン濃度は1時間後及び2日後に測定したが、その他は全て2日後に測定した。
10%過酸化水素処理及び1%過酸化水素処理において、気相中及び液相中のガスに存在するベンゼンの濃度は、コントロールと有意な差は認められなかった。従って、過酸化水素水によるベンゼンの酸化分解は、生じないことが明らかになった。
一方、過酸化水素濃度の増加に伴って、液相中の水溶性有機物量は増加した。従って、過酸化水素水の添加は、汚染土に付着する有機化合物を土粒子から分離するのに有効であることが示された。
<実施例2>開放系における汚染土と過酸化水素との反応性
汚染土に過酸化水素水を入れた場合の汚染土と過酸化水素との反応性を検討するために、本実施例では、開放系で以下の実験を行った。なお、ここでは、過剰量の過酸化水素水(10%)を用い、実施例と同様の測定以外に、過酸化水素水で洗浄した洗浄土に残存しているベンゼンの測定を行った。試験に用いた試料及び反応条件等は、表3に記載する通りである。
なお、洗浄土に残存しているベンゼンの測定は、以下の方法を用いた。
(1)土中に存在するベンゼンの溶出試験
200mLの磨りガラス栓付きのフラスコに、約20gの湿土を入れ、その10倍量(w/v)に当たる水を加えて、ベンゼンを水に溶出させた。次に、フラスコにガラス栓をし、スターラーを用いてこの土を4時間攪伴し、30分静置した後、上清を採取した(環告46号に準拠した)。
採取した上清に対し、土粒子を取り除くために遠心分離(×12000rpm、1分)を2回行った。遠心分離後、1.2mLのデカンを入れた10mLの遠心管に各々の上清を移して、ベンゼンを抽出し、GC-MS測定機に入れて、ベンゼン濃度を測定した。
(2)ベンゼン含有量の測定
ベンゼン含有量はメタノール抽出法で実施した。
まず、40mLのHSボトルを用意し、メタノールを10mL入れて重量を測定した。次に、このHSボトルに約1gの各洗浄土を入れ、ボトルの蓋をして、よく攪拌し、25℃で1〜2日放置した。次に、各試料について2本ずつ、40mLのHSボトルを用意し、このボトルの中にデカンを1.3mL(1.67g)入れた。次に、メタノールで洗浄した試料の上清を6.5mL量り取り、このHSボトルに入れ、水を26mL加えてよく攪拌した。数分静置後、デカンを含む上層を1.5mL微量遠心チューブに移し、遠心分離(×12000rpm、1分)した。遠心後の上清をGC-MS測定機に入れ、ベンゼン含有量を測定した。
結果は、図1及び表3に示す通りである。
過酸化水素水を汚染土に添加すると、添加直後(2分後、10分後)から発泡したが、添加1日後には、その発泡はほぼ消失した。反応後、試料ビン内を観察すると、試料ビン内の内容物は、3つの層(澄んだ液体、細粒分画、粗粒分画)に分離していた(図1)。このような層が形成されたのは、有機化合物が汚染土の土粒子から剥がれ、水溶化して、水溶性有機物と土粒子とが分離したためであると考えられる。
また、表3に示す通り、過酸化水素水で洗浄後、液体中のベンゼン濃度は96%減少し、土中のベンゼン濃度は69%減少した。本実施例は開放系で行なっているため、溶解しているベンゼンが揮発したためであり、過酸化水素による洗浄は、汚染土中のベンゼンの揮発を促進すると考えられる。
以上より、過酸化水素を汚染土に添加することにより、汚染土中の揮発性有機化合物の揮発が促進され、一方、汚染土中の有機化合物は水溶化したことが明らかになった。従って、有機化合物で汚染されている土壌に過酸化水素水を注入することは、土壌中の有機化合物を水溶化させるとともに、揮発を促進するのに有用であると考えられる。その結果、土壌中の土粒子間の間隙が増加し、透過性が改善される。
<実施例3>過酸化水素処理が曝気処理に与える影響
曝気処理前に過酸化水素水を汚染土に添加した場合、汚染土にどのような影響を与えるかを調べるために、以下の実験を行った。なお、本実施例では、過酸化水素水を添加しないで汚染土を曝気するケース(これをコントロールとする)と、過酸化水素水で汚染土を処理した後に曝気するケースとを比較した。
まず、500mL容量の密閉フラスコ22内に汚染土200gと水200mLを入れて混合し、攪拌しながら曝気(0.5L/分)した(図4)。詳細な実験手順は、図5に示す通りである。
この実験手順に基づいて実験を行い、過酸化水素処理直後、過酸化水素処理2時間後、過酸化水素処理4時間後に試料を採取し、液相部のベンゼンの濃度を測定した。なお、液相部のベンゼンの濃度は、実施例1に記載の測定方法に従って測定した。
図6に示すように、曝気処理を行えば、液相部のベンゼン濃度は減少することが明らかになった。
次に、過酸化水素水添加前と過酸化水素水添加後(一晩振盪後)の試料において、各種測定を行った。なお、測定方法は、実施例1及び2に記載した通りである。結果を、表4に示す。
コントロールと比較すると、2.5%過酸化水素処理及び1%過酸化水素処理では、液相部に存在するベンゼン濃度の上昇及びdTOC濃度の上昇、及び土に残存するベンゼン含有量の低下が認められた。曝気処理をしなければ、液相中のベンゼン量は増えないことから、過酸化水素添加と曝気処理を組み合わせることにより、汚染土中のベンゼン及び有機化合物の水溶化が促進されたと考えられる。
以上より、有機化合物で汚染されている土壌への過酸化水素水の注入は、土壌の透過性及び透気性を改善し、その後の曝気処理は、土壌中のベンゼン及び有機化合物を水溶化させることから、これらの処理を組み合わせることで、相乗的な土壌の浄化効果があると考えられる。
本発明の一実施例において、汚染土と過酸化水素水との反応を示す図である。 本発明の一実施例において、原位置曝気法の基本的な現場のイメージを示す図である。 本発明の一実施例において、原位置洗浄法の基本的な現場のイメージを示す図である。 本発明の一実施例において、過酸化水素処理及び曝気処理を示した図である。 本発明の一実施例において、実験手順を示した図である。 本発明の一実施例において、曝気処理の効果を示した図である。
符号の説明
2 水処理設備
4 注水用井戸
6 揚水用井戸
8 過酸化水素水貯留タンク
10 原位置曝気システム
12 曝気用井戸
14 ポンプ
16 バルブ
18 コンプレッサー
20 原位置洗浄システム
22 フラスコ
24 ガス流量計
26 ポンプ
28 ブチルゴム栓

Claims (6)

  1. 有機化合物で汚染された土壌を原位置で曝気する方法であって、
    前記土壌を曝気するための曝気用井戸を設け、
    前記曝気用井戸に過酸化水素水を注入して、前記土壌に前記過酸化水素水を供給し、
    所定時間放置後、前記曝気用井戸から、前記曝気用井戸に存在する液体又は気体を回収し、
    前記曝気用井戸に対して曝気を行うこと、
    を特徴とする原位置曝気方法。
  2. 前記曝気用井戸に過酸化水素水を注入して、前記土壌に前記過酸化水素水を供給し、所定時間放置後、前記曝気用井戸から、前記曝気用井戸に存在する液体又は気体を回収する工程を、少なくとも2回以上行うことを特徴とする請求項1に記載の原位置曝気方法。
  3. 前記有機化合物が、タール、ベンゼン、トルエン、キシレン、又はエチルベンゼンを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の原位置曝気方法
  4. 有機化合物で汚染された土壌を原位置で洗浄する方法であって、
    前記土壌に通水洗浄を行うための注水用井戸及び揚水用井戸と、前記土壌を曝気するための曝気用井戸を設け、
    前記注水用井戸、前記揚水用井戸、又は前記曝気用井戸のうちいずれか1つ以上の井戸に過酸化水素水を注入して、前記土壌に前記過酸化水素水を供給し、
    所定時間放置後、前記過酸化水素水を注入した井戸から、前記井戸に存在する液体又は気体を回収し、
    前記曝気用井戸に対して曝気を行い、
    前記注水用井戸及び前記揚水用井戸を用いて通水洗浄を行うこと、
    を特徴とする原位置洗浄方法。
  5. 前記注水用井戸、前記揚水用井戸、又は前記曝気用井戸のうちいずれか1つ以上の井戸過酸化水素水を注入して、前記土壌に前記過酸化水素水を供給し、所定時間放置後、前記過酸化水素水を注入した井戸から、前記井戸に存在する液体又は気体を回収する工程を、少なくとも2回以上行った後で、前記通水洗浄を行うことを特徴とする請求項4に記載の原位置洗浄方法。
  6. 前記有機化合物が、タール、ベンゼン、トルエン、キシレン、又はエチルベンゼンを含むことを特徴とする請求項4又は5に記載の原位置洗浄方法。
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