JP2007237133A - 有機化合物汚染土壌の原位置洗浄方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】有機化合物で汚染された土壌に過酸化水素水を注入することで、有機化合物で汚染された土壌の透水性を原位置で改善することができる。
また、原位置曝気方法は以下の通りである。まず、曝気用井戸に過酸化水素水を注入して、この土壌に過酸化水素水を供給し、所定時間放置後、曝気用井戸から、曝気用井戸に存在する液体又は気体を回収する。最後に、曝気用井戸に対して曝気を行う。
【選択図】図1
Description
以下の実施例に記載する通り、汚染土に過酸化水素水を添加すると、数分後に、汚染土が土粒子の層(土粒子の層は、さらに細粒分と粗粒分とに分離する)と液体の層とに分離した(図1を参照のこと)。これは、有機化合物が汚染土の土粒子から剥がれ、有機化合物が水溶化して、水溶性有機物と土粒子とが分離したためであると考えられる。このように、土壌中で水溶性有機物と土粒子とを分離させれば、土壌中の透過性及び透気性を改善できることになる。従って、本発明の方法は、土壌中の透水性を原位置で改善するのに有用である。なお、汚染土に使用する過酸化水素水の量は、汚染土から有機化合物を分離できる量であればよく、特に限定されない。
上記のような、有機化合物汚染土壌の透水性を改善する過酸化水素水の効果を利用した、有機化合物汚染土壌を浄化する方法を以下に述べる。
原位置曝気法の基本的な現場のイメージを図2に示す。本実施形態において、原位置曝気システム10は、過酸化水素水を貯留するための過酸化水素タンク8と、空気を注入するための曝気用井戸12と、バルブ16付きのコンプレッサー18を備えている。曝気用井戸12は、原位置曝気システム10にいくつ設置してもよい。また、これら曝気用井戸は、汚染土に接していることが好ましい。
原位置洗浄法の基本的な現場のイメージを図3に示す。本実施形態において、原位置洗浄システム20は、注水用井戸4へ水を注入するための水処理設備2と、注水用井戸4と、土壌中の液体を除去するための揚水用井戸6と、過酸化水素水を貯留するための過酸化水素タンク8と、空気を注入するための曝気用井戸12と、バルブ16付きのコンプレッサー18を備えている。注水用井戸4、揚水用井戸6、曝気用井戸12は、原位置洗浄システム20にいくつ設置してもよい。また、これらの井戸は、汚染土に接していることが好ましい。
汚染土に過酸化水素水を入れた場合の汚染土と過酸化水素との反応性を検討するために、本実施例では、反応系外への揮散がないバッチ系で以下の実験を行った。
(1)気相部のガスに存在するベンゼン濃度の測定方法
汚染土と過酸化水素水とを反応させ、1時間後にガス抜きを行った。その後、ガスタイトシリンジを用いて気相部のガスを50μL採取し、GC-PID(JEOL_GC-8610)を用いてベンゼン濃度を測定した。ガスを溶かした試料液は、必要に応じて希釈した。また、ピーク面積が小さい場合はガス採取量を増やして、もう一度測定した。
1日後も同様にガス抜きを行ってから、ガスタイトシリンジを用いて、気相部のガスを50μL採取し、GC-PIDを用いてベンゼン濃度を測定した。なお、ガスを溶かした試料液は、必要に応じて希釈した。
(1)と同様に気相部のガスを50μL採取し、GC-TCD(SHIMADZU_GC-9A)を用いて酸素濃度を測定した。
1.5mL微量遠心チューブにデカン(関東化学株式会社)を約600μL入れ、その重量を記録した。
次に、1mLシリンジを用いて、試料ビンのセプタム部から各試料液を1mLずつ、新しい1.5mL微量遠心チューブに入れ、素早く蓋をした。これらの微量遠心チューブを遠心器でフラッシングし、氷上に移した後、上清を600μLずつ、用意したデカン入りの微量遠心チューブに移し、よく撹拌した。
しばらく放置して二層に分離させた後、上層のデカンをGC-MS測定機(HP_MSD5973)に入れ、ベンゼン濃度を測定した。
ベンゼン測定用の試料採取が終わった試料ビン中の上清にpH計電極を差し込んで、液相部のpHを測定した。
次に、再び試料ビンのセプタム部から試料液を5mL程度採取してポアサイズ0.2μmのフィルターに通した。この際、最初の1mLは廃棄した。フィルターに通した液をTOC計(SHIMADZU_TOC-5000A)に入れ、dTOCを測定した。
汚染土に過酸化水素水を入れた場合の汚染土と過酸化水素との反応性を検討するために、本実施例では、開放系で以下の実験を行った。なお、ここでは、過剰量の過酸化水素水(10%)を用い、実施例と同様の測定以外に、過酸化水素水で洗浄した洗浄土に残存しているベンゼンの測定を行った。試験に用いた試料及び反応条件等は、表3に記載する通りである。
(1)土中に存在するベンゼンの溶出試験
200mLの磨りガラス栓付きのフラスコに、約20gの湿土を入れ、その10倍量(w/v)に当たる水を加えて、ベンゼンを水に溶出させた。次に、フラスコにガラス栓をし、スターラーを用いてこの土を4時間攪伴し、30分静置した後、上清を採取した(環告46号に準拠した)。
ベンゼン含有量はメタノール抽出法で実施した。
まず、40mLのHSボトルを用意し、メタノールを10mL入れて重量を測定した。次に、このHSボトルに約1gの各洗浄土を入れ、ボトルの蓋をして、よく攪拌し、25℃で1〜2日放置した。次に、各試料について2本ずつ、40mLのHSボトルを用意し、このボトルの中にデカンを1.3mL(1.67g)入れた。次に、メタノールで洗浄した試料の上清を6.5mL量り取り、このHSボトルに入れ、水を26mL加えてよく攪拌した。数分静置後、デカンを含む上層を1.5mL微量遠心チューブに移し、遠心分離(×12000rpm、1分)した。遠心後の上清をGC-MS測定機に入れ、ベンゼン含有量を測定した。
曝気処理前に過酸化水素水を汚染土に添加した場合、汚染土にどのような影響を与えるかを調べるために、以下の実験を行った。なお、本実施例では、過酸化水素水を添加しないで汚染土を曝気するケース(これをコントロールとする)と、過酸化水素水で汚染土を処理した後に曝気するケースとを比較した。
4 注水用井戸
6 揚水用井戸
8 過酸化水素水貯留タンク
10 原位置曝気システム
12 曝気用井戸
14 ポンプ
16 バルブ
18 コンプレッサー
20 原位置洗浄システム
22 フラスコ
24 ガス流量計
26 ポンプ
28 ブチルゴム栓
Claims (7)
- 有機化合物で汚染された土壌の透水性を原位置で改善する方法であって、
前記土壌に過酸化水素水を注入し、
前記土壌を曝気すること、
を特徴とする透水性改善方法。 - 有機化合物で汚染された土壌の透気性を原位置で改善する方法であって、
前記土壌に過酸化水素水を注入し、
前記土壌を曝気すること、
を特徴とする透気性改善方法。 - 有機化合物で汚染された土壌を原位置で曝気する方法であって、
前記土壌を曝気するための曝気用井戸を設け、
前記曝気用井戸に過酸化水素水を注入して、前記土壌に前記過酸化水素水を供給し、
所定時間放置後、前記曝気用井戸から、前記曝気用井戸に存在する液体又は気体を回収し、
前記曝気用井戸に対して曝気を行うこと、
を特徴とする原位置曝気方法。 - 前記曝気用井戸に過酸化水素水を注入して、前記土壌に前記過酸化水素水を供給し、所定時間放置後、前記曝気用井戸から、前記曝気用井戸に存在する液体又は気体を回収する工程を、少なくとも2回以上行うことを特徴とする請求項3に記載の原位置曝気方法。
- 有機化合物で汚染された土壌を原位置で洗浄する方法であって、
前記土壌に通水洗浄を行うための注水用井戸及び揚水用井戸と、前記土壌を曝気するための曝気用井戸を設け、
前記注水用井戸、前記揚水用井戸、又は前記曝気用井戸のうちいずれか1つ以上の井戸に過酸化水素水を注入して、前記土壌に前記過酸化水素水を供給し、
所定時間放置後、前記過酸化水素水を注入した井戸から、前記井戸に存在する液体又は気体を回収し、
前記曝気用井戸に対して曝気を行い、
前記注水用井戸及び前記揚水用井戸を用いて通水洗浄を行うこと、
を特徴とする原位置洗浄方法。 - 前記注水用井戸、前記揚水用井戸、又は前記曝気用井戸のうちいずれか1つ以上の井戸過酸化水素水を注入して、前記土壌に前記過酸化水素水を供給し、所定時間放置後、前記過酸化水素水を注入した井戸から、前記井戸に存在する液体又は気体を回収する工程を、少なくとも2回以上行った後で、前記通水洗浄を行うことを特徴とする請求項5に記載の原位置洗浄方法。
- 前記有機化合物が、タール、ベンゼン、トルエン、キシレン、又はエチルベンゼンを含むことを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の原位置洗浄方法。
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