JP4820019B2 - 蛍光発光性長尺体、標識体及び人工芝状体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蛍光発光性長尺体、標識体及び人工芝状体に関し、さらに詳しくは、発光物質の発光効率に優れた蛍光発光性長尺体、並びにそれを用いた標識体及び人工芝状体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ゴルフ練習場が夜間にも開場されて、夜間に練習する風景が多くみられるようになっている。しかし、夜間のゴルフ場においては、グリーンに照明が照射されていても離れた位置からはグリーンが見え難く、ホールの位置を確認することが難しい問題があり、芝が夜間においても容易に見ることができるように改良することが要請されている。
【0003】
また、夜間工事現場、河川、道路等危険が伴うところが多々あり、このような場所には、夜間においても明瞭に看視でき、注意を喚起し得る標識の需要が増加している。
【0004】
かかる要請に応じるためには、夜間に発光する人工芝、標識が有力となる。
夜間に発光する材料としては、熱可塑性合成樹脂に蛍光発光物質を分散して糸、ロープ、ネット、芝生等として使用する試みが行なわれている(特開平9−111531)。
【0005】
しかし、蛍光発光物質のみを添加したものは、蛍光発光物質の発光が微弱であるために昼間においては視覚で認識することができず、標識が単に白濁物質として見え、グリーンの芝生あるいは標識としての機能を果たし得ない問題がある。
【0006】
これに対しては、蛍光発光物質と共に同色調の顔料を添加して昼間においても同色に見えるようにすることにより、かかる欠陥を解決することも考えられている。
【0007】
しかし、熱可塑性合成樹脂に蛍光発光物質と同時に顔料を添加した場合、入射する紫外線を顔料が遮断し、また発光した蛍光を隠蔽するために蛍光が弱くなり、その機能が低下する問題がある。
【0008】
このため、昼間においても夜間においても同じ様に見え、かつ、蛍光の発光が強く、夜間においても明瞭に看視し得る標識等の開発が要請されている。
【0009】
本発明者等はこれを改良するため、蛍光発光物質の蛍光と同色調の顔料を添加した合成樹脂製の芯材の表面に蛍光発光物質を含有した合成樹脂を積層することによって昼間にも同系色に見えるようにすることを提案した(特願2001−107580)。
【0010】
この方法においては、蛍光は顔料を添加した芯材によって反射されるため蛍光の強さが向上し、蛍光発光物質の効果を高めることができるが、顔料を添加した芯材の裏面側は蛍光の発光効果が生じないことになり、更にその改良が要請されていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、夜間、昼間を問わず同様に看視され、かつ、蛍光の発光が強く夜間においても明瞭に認識し得る蛍光発光性長尺体、標識体、及び、人工芝状体を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果なされたもので、蛍光を発光する発光物質が主に分散し一軸延伸された熱可塑性合成樹脂製テープと、前記発光物質の発光色と同色の顔料が主に分散し一軸延伸された熱可塑性合成樹脂製テープとを、基布に、一方向に間隔を置いて交互にタフティングすることによって芝状体を形成してなることを特徴とする人工芝状体を提供するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の蛍光発光性長尺体1は、図1に示すように、蛍光を発光する発光物質が分散された熱可塑性合成樹脂製テープ2と、前記発光物質の発光色と同系統の顔料が分散された熱可塑性合成樹脂製テープ6とが混合されて構成される。
【0016】
蛍光を発光する発光物質が分散された熱可塑性合成樹脂製テープ2を形成する合成樹脂としては、延伸効果の大きい樹脂、一般には結晶性樹脂が用いられ、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレンブロック共重合体等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66のポリアミド等を用いることができる。中でも加工性と経済性からポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが望ましい。
【0017】
蛍光を発光する発光物質としては、特に制限はなく、目的に応じて自体公知の蛍光発光物質を使用することができ、例えば、ハロリン酸カルシウム、:Sb:Mn、Zn2SiO4:Mn、ZnCdS:Ag、Zn3(PO42:Mn、ZnS:Pb、SrS:Sm:Eu:Bi、その他有機蛍光顔料を使用することができる。
【0018】
中でも好ましくは、青色としてはBaMg2Al1027:Eu、緑色としてはBaMg2Al1027:EuMn、赤色としては、Y22S:Euが使用される。これらの発光物質の添加量は、0.3〜10.0重量%、好ましくは0.5〜8.0重量%程度が適当である。
【0019】
なお、本発明においては、目的に応じて、図2に示すように、熱可塑性合成樹脂製テープ2の発光物質が配合された層3の外側に保護層4a、4bを形成することができ、また、図3に示すように、発光物質が配合された層3の中心部に補強層5を介装することができる。
【0020】
補強層5は、上述の発光物質が配合された層3と同様の合成樹脂を使用することができ、発光物質あるいはフィラーの添加を省略し、あるいは、配合割合を少なくして用いられる。
【0021】
保護層4a、4b、は上記の結晶性樹脂の他、高圧法低密度ポリエチレン、線状ポリエチレンを用いることができ、特に、蛍光を発光する発光物質が配合された層3に使用された合成樹脂より融点の低い樹脂を用いることにより、成形されたテープ2を顔料が分散された熱可塑性合成樹脂製テープ6と混合して長尺体とする際、各テープ間を結合する接着剤としての機能を果たすことができ、発光物質が配合されたテープ2と顔料が分散された熱可塑性合成樹脂製テープ6とを合わせて束ね、加熱することによって一体化することができる。
【0022】
顔料が分散された熱可塑性合成樹脂製テープ6を形成する合成樹脂は、発光物質が分散された熱可塑性合成樹脂製テープ2を構成する合成樹脂と同様の結晶性樹脂を用いることができる。
【0023】
顔料が分散された熱可塑性合成樹脂製テープ6に配合される顔料としては、黄鉛、クロムバーミリオン、亜鉛黄、バリウム黄、紺青、銀朱、リトポン、ベンガラ、鉄黒、チタンイエロー、コバルトブルー、群青、金属粉、その他フタロシアニン系、キナクリドン系等の有機顔料を使用することができ、また、これら顔料と共に硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、チタンホワイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸カルシウム、クレー、マイカ等を使用することができる。
【0024】
これらの顔料は、発光物質から発光される蛍光の色調と同系統の色調となるように調合して配合される。なお、本発明において、同系統の色調とは、似た印象を与える色調であることを意味し、精度の高い同一性は必要とするものでない。
【0025】
発光物質と顔料は、それぞれ専用のテープに独立して添加される。しかし、蛍光を発光する発光物質が分散された熱可塑性合成樹脂に若干の顔料を添加し、また、顔料が分散された熱可塑性合成樹脂に若干の発光物質を添加することを排除するものではない。
【0026】
なお、本発明においては、目的に応じて、発光物質が分散された熱可塑性合成樹脂製テープ2と同様に、顔料が分散された熱可塑性合成樹脂製テープ6の外側に保護層を形成し、また、顔料が分散された層の中心部に補強層を介装することができる(図示せず)。
【0027】
発光物質が分散された熱可塑性合成樹脂、顔料が分散された熱可塑性合成樹脂、あるいは、これらの保護層、補強層を構成する熱可塑性合成樹脂には、必要に応じて各種の添加材を配合することができ、例えば、フェノール系、有機ホスファイト系、ホスナイトなどの有機リン系、チオエーテル系等の酸化防止剤;ノニオン系、カチオン系、アニオン系等の帯電防止剤;ビスアミド系、ワックス系、有機金属塩系等の分散剤;アルカリ土類金属塩のカルボン酸塩系等の塩素補足剤;アミド系、ワックス系、有機金属塩系、エステル系等の滑剤;ヒドラジン系、アミンアシド系等の金属不活性剤;含臭素有機系、リン酸系、三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、赤リン等の難燃剤;金属イオン系などの無機、有機抗菌剤等が挙げられる。
【0028】
発光物質が分散される熱可塑性合成樹脂、顔料が分散される熱可塑性合成樹脂、あるいは、これらの保護層、補強層を構成する熱可塑性合成樹脂は、それぞれ、これらの成分を必要に応じて適宜配合し、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、Vブレンダー、タンブラーミキサー、リボンミキサー、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー、一軸又は二軸の押出機等の通常の混合又は混練機にて混合或いは溶融混練された後、フィルム状に成形される。
【0029】
発光物質が分散された熱可塑性合成樹脂もしくは顔料が分散された熱可塑性合成樹脂と、保護層もしくは補強層を構成する熱可塑性合成樹脂の積層は、各層を形成するフィルムをそれぞれ成形した後熱ロールで圧着することによって行なうことができ、また、一方の層を形成する熱可塑性合成樹脂をフィルム状に成形した後、該フィルム上に他の層を形成する熱可塑性合成樹脂を溶融押出しすることによってラミネートすることもできる。さらに、発光物質が分散された熱可塑性合成樹脂もしくは顔料が分散された熱可塑性合成樹脂と保護層もしくは補強層を構成する熱可塑性合成樹脂を共押出しすることによって積層することもできる。
【0030】
各フィルムは、それぞれ所定幅にスリットされた後で、又は、スリットされる前に、一軸延伸される。延伸方法としては、熱ロールによる延伸、熱板による延伸、熱風炉内のロールによる延伸等によって行なうことができる。延伸倍率は、3〜12倍、好ましくは5〜10倍程度が適当である。
【0031】
蛍光発光性長尺体1を製造する場合は、蛍光を発光する発光物質が分散された熱可塑性合成樹脂製テープ2と、前記発光物質の発光色と同系統の顔料が分散された熱可塑性合成樹脂製テープ6とを合わせて混合した状態の長尺体とされる。この場合、必要に応じて各テープ間を接着剤で接合し、あるいは、熱溶着することによって一体化することができる。
【0032】
蛍光発光性長尺状体1は、そのまま標識等として使用することができる。また、発光物質が分散された熱可塑性合成樹脂製テープ2と、顔料が分散された熱可塑性合成樹脂製テープ6は各種の形状に加工して使用することができる。発光物質が分散された熱可塑性合成樹脂製テープ2と、顔料が分散された熱可塑性合成樹脂製テープ6は、両者を用いて束ね、撚りをかけ、あるいは、綱成、編組、編網、織成することによって、綱、組紐、網、帯状体、織布、又は、布状体として使用される。本発明において布状体は、パイル糸が植生されたものを含み、カーペット状体を含むものとする。
【0033】
発光物質が分散された熱可塑性合成樹脂製テープ2と、顔料が分散された熱可塑性合成樹脂製テープ6の混合は、綱成、編組、編網する場合は、発光物質が分散された熱可塑性合成樹脂製テープ2と、顔料が分散された熱可塑性合成樹脂製テープ6の両者を組成材料糸として併用することによって混合することができ、また、織成する場合は、発光物質が分散された熱可塑性合成樹脂製テープ2と、顔料が分散された熱可塑性合成樹脂製テープ6とを経糸、緯糸として使用することによって適宜混合することができる。
【0034】
また、発光物質が分散された熱可塑性合成樹脂製テープ2と、顔料が分散された熱可塑性合成樹脂製テープ6は人工芝状体10として使用することができ、人工芝状体10を形成するときは、図4に示すように、基布8に発光物質が分散された熱可塑性合成樹脂製テープ2と、顔料が分散された熱可塑性合成樹脂製テープ6とを交互にタフティングすることによって両者が混合したパイルを形成せしめることによって行なうことができ、裏面にSBR等のバッキング剤9を塗布してパイル糸を固定することによって、人工芝状体とすることができる。タフティングされたパイル糸はループ状パイルとしてそのまま使用することができるが、ループ状パイルの上端部を切断してカットパイルとすることもできる。
【0035】
こうして得られた蛍光発光性長尺体1、綱、組紐、網、織布、その他布状体は、立ち入り禁止区域の仕切り、危険個所の注意喚起表示等の標識体として使用することができ、また、人工芝状体は夜間に使用されるゴルフ練習場のグリーン、球技場のライン表示、その他のゾーン表示として使用することができる。これら標識体、人工芝状体は、夜間には、紫外線燈、ブラックライト等を照射することによって、環境を壊すことなく、くっきりと映し出すことができる。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、夜間、昼間を問わず同色に観察され、また、蛍光の発光が強く夜間においても明瞭に認識し得る蛍光発光性長尺体、標識体及び人工芝状体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明蛍光発光性長尺体の一例を示す斜視図
【図2】本発明蛍光発光性テープの例を示す縦断面図
【図3】本発明蛍光発光性テープの他の例を示す縦断面図
【図4】人工芝状体の例を示す斜視図
【符号の説明】
1:蛍光発光性長尺体
2:熱可塑性合成樹脂製テープ
3:発光物質が配合された層
4a、4b:保護層
5:補強層
6:熱可塑性合成樹脂製テープ

Claims (1)

  1. 蛍光を発光する発光物質が主に分散し一軸延伸された熱可塑性合成樹脂製テープと、
    前記発光物質の発光色と同色の顔料が主に分散し一軸延伸された熱可塑性合成樹脂製テープとを、
    基布に、一方向に間隔を置いて交互にタフティングすることによって芝状体を形成してなることを特徴とする人工芝状体。
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