JP2004181075A - ポリエステル製タフティングマット及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】人工芝生、敷物として好適な、生産性に優れ、軽量で、耐水性、柔軟性に優れ、また、リサイクル性がよく、排水性のよいポリエステル製タフティングマットの提供。
【解決手段】ポリエステル製の布状体からなる一次基布に、ポリエステル製のパイル糸をタフテイングしたパイル布を形成し、該パイル布の裏面に、加熱溶融された外面接合ポリエステルシートを空気圧を利用して添着することによって、外面接合ポリエステルシートがパイル糸による凹凸に沿って賦形され、実質的にパイル布の裏面全面に密着し、パイル糸を固定してなることを特徴とするポリエステル製タフティングマット。
【選択図】 図1
【解決手段】ポリエステル製の布状体からなる一次基布に、ポリエステル製のパイル糸をタフテイングしたパイル布を形成し、該パイル布の裏面に、加熱溶融された外面接合ポリエステルシートを空気圧を利用して添着することによって、外面接合ポリエステルシートがパイル糸による凹凸に沿って賦形され、実質的にパイル布の裏面全面に密着し、パイル糸を固定してなることを特徴とするポリエステル製タフティングマット。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステル製タフティングマット、さらに詳しくは、軽量で、耐水性、柔軟性に優れ、かつ、リサイクル性のよいポリエステル製タフティングマットに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、人工芝生、敷物としてパイル糸を植生したタフティングマットが広く使用されている。かかるタフティングマット20は、図6に示すように、一次基布21にパイル糸22をタフティングしてパイル布23を形成し、パイル布23の裏面にラテックス24を塗布することによってパイル糸を固定して人工芝生等に使用されている。
【0003】
しかし、かかるタフティングマット20は、パイル糸22がポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等によって製造され、一次基布21にポリエステル、ポリプロピレン等が用いられて、タフティングマット20は多彩な材料で形成されており、また、パイル糸を固定する接着剤にラテックスが使用されるため、得られたタフティングマット20は多種の材料が混在することになり、タフティングマット20の回収、再生を難しくしていた。
【0004】
この問題の解決を目的とし、一次基布及びパイル糸にポリプロピレンを用い、裏面にポリエチレンフィルムを接合することによって、ラテックスの使用を排除したタフティングマットが提案されている(特許文献1)。
【0005】
しかし、同文献タフティングマットには、依然としてポリエチレンとポリプロピレンとが混合使用されており、回収、再生にまだ問題を残しており、また、パイル糸の接合性にも難点を有している。
【0006】
すなわち、パイル糸22をタフティングしたパイル布20の裏面は、パイル糸22によって無数の凹凸が形成されており、ポリエチレンをフィルム状にしてこれを加熱溶融してロール等で押圧添着するときは、パイル糸22による凸部によってフィルム全面の押圧が阻害され、凸部の周りには非接着部が残存することとなって、視覚的に外観を損ね、商品価値を低下すると共にパイル糸の固定機能が充分発揮されず、使用中にパイル糸22が抜け落ちるおそれがある。
【0007】
これを回避する方法として、特許文献1は、裏打するポリエチレンとして、粉末のポリエチレンを用い、パイル布の裏面に敷き広げた後、これを加熱溶融する方式を提案している。しかし、ポリエチレンを粉末化するためには手数がかかりコスト高となる外、敷き広げられたポリエチレンを加熱溶融してパイル布の裏面に接合するためには時間を要し、生産性を上げることができないという問題がある。
【0008】
また、敷き広げられた粉末ポリエチレンを加熱溶融した場合、ポリエチレン表面が平坦になるため、コンクリート等の非透水性の平坦面に敷設すると、雨水等の排水性が悪いという問題もある。
【0009】
かかる事情から、生産性に優れ、パイル糸の固定が確実なタフティングマットの開発が要請されている。
【0010】
さらに、タフティングマットの材料としては、ポリプロピレンは耐候性や耐へたり性に問題があり、ナイロンは柔軟性が乏しく屈曲性が悪いためタフティング効率が劣る難点があり、これらの問題に対して優れた特性を持つポリエステル製のタフティングマットが望まれている。しかし、全体をポリエステルで構成したタフティングマットは開発されるに到っていない。
【0011】
【特許文献1】特開2000−17605
【特許文献2】特開2001−234443
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、人工芝生、敷物として好適な、生産性に優れ、軽量で、耐水性、柔軟性に優れ、また、耐久性、排水性に優れたポリエステル製タフティングマットを提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果なされたもので、具体的には、ポリエステル製の布状体からなる一次基布に、ポリエステル製のパイル糸をタフテイングしたパイル布を形成し、該パイル布の裏面に、加熱溶融された外面接合ポリエステルシートを空気圧を利用して添着することによって、外面接合ポリエステルシートがパイル糸による凹凸に沿って賦形され、実質的にパイル布の裏面全面に密着してパイル糸を固定せしめてなることを特徴とするポリエステル製タフティングマットを提供するものである。
【0014】
また、本発明は、ポリエステル製の布状体の裏面に低融点の内面接合ポリエステルシートが積層された一次基布を用いてパイル糸をタフテイングしてなる上記のポリエステル製タフティングマット、タフティングマットに所定の間隔をおいて多数の排水孔が穿設されてなる上記のポリエステル製タフティングマット、タフティングマットが人工芝生である上記のポリエステル製タフティングマット、及び、タフティングマットがカーペットである上記のポリエステル製タフティングマットを提供するものである。
【0015】
さらに、本発明は、ポリエステル製の布状体からなる一次基布に、ポリエステル製のパイル糸を植生してパイル布を形成した後、外面接合ポリエステルシートを輻射熱によって加熱溶融し、空気圧を利用して添着することによってパイル糸による凹凸に沿って賦形せしめ、パイル布の裏面の実質的全面に密着せしめることを特徴とするポリエステル製タフティングマットの製造方法、ポリエステル製の布状体の裏面に低融点の内面接合ポリエステルシートを積層して一次基布とし、該一次基布にパイル糸を植生してパイル布を形成し、次いで、内面接合ポリエステルシート側を熱処理すると共に外面接合ポリエステルシートを輻射熱によって加熱溶融し、空気圧を利用して添着することによって、外面接合ポリエステルシートをパイル糸による凹凸に沿って賦形せしめ、パイル布の裏面の実質的全面に密着せしめることを特徴とするポリエステル製タフティングマットの製造方法、及び、輻射熱吸収性の微粉末を配合した外面接合ポリエステルシートを使用する上記のポリエステル製タフティングマットの製造方法を提供するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明のタフティングマット1は、図1に示すように、ポリエステル製の布状体からなる一次基布2にポリエステル製のパイル糸3をタフティングしてパイル布4を形成し、該パイル布4の裏面に、加熱溶融された外面接合ポリエステルシート6を添着することによって得られる。外面接合ポリエステルシート6は、タフティングされたパイル糸3の外面から当てられる接合用ポリエステルシートを意味し、布状体及びパイル布の表裏は、パイルが形成される側の面を表とする。
【0017】
一次基布2としては、ポリエステルからなる線条体5による布状体が用いられる。本発明において布状体とは、ポリエステル製の線条体5からなる可撓性のシート状体を総称するものとし、線条体5は、ヤーン、テープ、スプリットヤーン、モノフィラメント、短繊維、長繊維等を用いることができ、これらは必要に応じて撚りがかけられる。
【0018】
本発明の線条体5に使用されるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートのホモポリマーを主たる対象とするが、テレフタル酸成分の一部を例えばイソフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、フェニールエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環式ジカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン酸、P‐β−ヒドロキシエトキシ安息香酸等のオキシ酸等の二官能性カルボン酸の一種以上で、及び/又は、エチレングリコール成分の一部を例えば、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロール、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸等のグリコール、及び、これらの機能的誘導体の多官能性化合物の一種以上で15モル%以内、好ましくは、5モル%以内で置換して共重合せしめたコポリマーであってもよい。これらポリエステルは、新規に製造されたものであってもよく、また、PETボトル等の回収再生品であってもよい。
【0019】
また、本発明において線条体5は、ポリエステルの単層体であってもよいが、ポリエステルからなる基層の表面に、低融点のポリエステルからなる表層を積層することができ、例えば、図4(A)に示すように、ポリエステルからなる単層体を用いることができ、また、図4(B)に示すように、ポリエステルからなる基層8の片面に低融点のポリエステルからなる表層9が積層された構造とすることができ、さらに、図4(C)に示すように、基層8の両面に表層9が積層された構造とすることができる。また、図4(D)に示すように、シースコア構造、図4(E)に示すように、サイドバイサイド構造とすることもできる。中でも、図4(C)に示すように、テープ状基層8の両面に表層9を積層したものが望ましい。
【0020】
本発明において、低融点とは、基層8を構成するポリエステルより融点が低いことを意味し、表層9としては、基層8を構成するポリエステルの融点より低い、好ましくは、10℃以上、さらに好ましくは15℃以上融点の低いポリエステルが選択される。
【0021】
本発明において、表層9は、線条体5となったとき、基層8を構成するポリエステルより融点が低いものであればよい。したがって、ポリエステルを構成する単量体の組成、あるいは、ポリエステルの分子量によって、融点の異なるポリエステルを調製して用いることができ、また、乾燥度の異なるポリエステルを用いて共押出し成形し、線条体5となったとき表層9が基層8を構成するポリエステルより融点が低い状態となるようにしてもよい。
【0022】
これらポリエステルには、無機充填材を添加することができる。無機充填材の種類としては、熱可塑性樹脂添加材として自体公知の無機充填材を使用することができ、例えば、タルク、クレー、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ウオラストナイト、ゼオライト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪酸カルシウム等を使用することができる。無機充填材を配合することによって難燃性を向上することができ、無機充填材の配合量は、1〜40重量%、好ましくは3〜30重量%である。
【0023】
また、ポリエステルには、目的に応じて各種の添加剤を添加することができる。具体的には、フェノール系、有機ホスファイト系、ホスナイトなどの有機リン系、チオエーテル系等の酸化防止剤;ヒンダードアミン系等の光安定剤;ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系等の紫外線吸収剤;ノニオン系、カチオン系、アニオン系等の帯電防止剤;ビスアミド系、ワックス系、有機金属塩系等の分散剤;アミド系、ワックス系、有機金属塩系、エステル系等の滑剤;含臭素有機系、リン酸系、三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、赤リン等の難燃剤;有機顔料;無機顔料;金属イオン系などの無機、有機抗菌剤等が挙げられる。
【0024】
これら添加剤は、適宜組み合わされて、線条体5の材料組成物を製造するいずれかの工程で配合される。添加剤の配合は、従来の公知の二軸スクリュー押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロール等の混練装置を用いて所定割合に混合して、これを溶融混練して調製してもよいし、高濃度のいわゆるマスターバッチを調製し、これを希釈して使用するようにしてもよい。
【0025】
線条体5として積層体が使用される場合、その成形材料となる積層フィルムを成形する手段としては、予め基層8となるフィルムと表層9となるフィルムを形成してドライラミネート法や熱ラミネート法を用いて複層化する手段や、基層8となるフィルムの表面に表層9となる熱可塑性樹脂をコーティングする方法、予め形成した基層8となるフィルムに表層9を押出ラミネートする方法、あるいは、多層共押出法によって積層フィルムとして押出成形するなどの公知の手段から適宜選択して用いればよいが、成形の容易さやコスト面、並びに、製品の各層間の接着性及び光透過性の点では、多層共押出法によって基層8と表層9の積層体を一段で得る方法が望ましい。
【0026】
また、延伸して線条体2とする手段としては、基層8となるフィルムを一軸方向に延伸した後、表層9となる熱可塑性樹脂を積層し、これをテープ状にスリットしてもよく、あるいは、基層8と表層9とが積層された積層フィルムをスリットする前、又は、スリットした後に、一軸方向に延伸することによって得ることもできる。
【0027】
また、延伸は、熱ロールによる延伸、熱板による延伸、熱風炉による延伸等によって行なうことができる。延伸倍率は通常3〜10倍程度とされる。
【0028】
線条体5として一軸延伸テープ(フラットヤーン)を用いるときは、一般的には、75〜2000デシテックス、糸幅が0.3〜10mmの範囲とされる。こうして得られた一軸延伸フラットヤーンは、縦方向に小さな切れ目を入れてスプリットヤーンとすることもできる。スプリットヤーンとすることによって風合い、手触りを改良することができる。
【0029】
また、線条体5としては、延伸されたモノフィラメントを使用することもでき、さらに、不織布とするときは短繊維を使用することができる。また、短繊維を紡績して得られた撚糸を使用することも可能である。
【0030】
こうして得られた一軸延伸テープ等の線条体5は、図2に示すように、平織、綾織、斜文織、畦織、二重織、模紗織等の方法で織製し、あるいは、図3に示すように、多数の線条体5aを並列し、その上に交差するように線条体5bを配設してその交点を接合した交差結合布(ソフ)とした一次基布2を用いることができ、また、タテ編み、ヨコ編み、ラッセル編み、トリコット編み等に編込むことによって一次基布2とすることができる。
【0031】
なお、一次基布2としてソフを用いるときは、図3に示すように、高融点のポリエステルからなる基層8の表面に、基層8より低融点の表層9を積層した線条体5を用いることが望ましく、低融点の表層9を積層することによって熱融着によって交点を接合することができる。
【0032】
パイル糸3は、一軸延伸されたポリエステルによって形成され、ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレートのホモポリマーを主たる対象とするが、テレフタル酸成分の一部を例えばイソフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、フェニールエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸等如き芳香族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の如き脂環式ジカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸、P‐β−ヒドロキシエトキシ安息香酸等の如きオキシ酸等の二官能性カルボン酸の一種以上で、及び/又はエチレングリコール成分の一部を例えば、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロール、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸等のグリコール、及び、これらの機能的誘導体の多官能性化合物一種以上で15モル%以内、好ましくは、5モル%以内で置換して共重合せしめたコポリマーであってもよい。
【0033】
なお、本発明においてパイル糸3の構造は、線条体5と同様に構成することができ、ポリエステルの単層体であってもよいが、ポリエステルからなる基層の表面に、低融点のポリエステル層、顔料又は無機フィラーを配合した表層等を積層することができる。
【0034】
例えば、図4(A)のように、結晶性のポリエステルの単層体を用いることができ、また、図4(B)のように、ポリエステルからなる基層の片面に表層が積層された構造とすることができ、さらに、図4(C)のように、基層の両面に表層が積層された構造とすることができる。また、図4(D)に示すように、シースコア構造、図4(E)に示すようにサイドバイサイド構造とすることもできる。
【0035】
これらパイル糸3を構成するポリエステルには、目的に応じて各種の添加剤を添加することができる。具体的には、フェノール系、有機ホスファイト系、ホスナイトなどの有機リン系、チオエーテル系等の酸化防止剤;ヒンダードアミン系等の光安定剤;ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系等の紫外線吸収剤;ノニオン系、カチオン系、アニオン系等の帯電防止剤;ビスアミド系、ワックス系、有機金属塩系等の分散剤;アルカリ土類金属塩のカルボン酸塩系等の塩素補足剤;アミド系、ワックス系、有機金属塩系、エステル系等の滑剤;ヒドラジン系、アミンアシド系等の金属不活性剤;含臭素有機系、リン酸系、三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、赤リン等の難燃剤;金属イオン系などの無機、有機抗菌剤等が挙げられる。
【0036】
これら添加剤は、適宜組み合わせて、パイル糸3の成形材料組成物を製造するいずれかの工程で配合される。添加剤の配合は、従来の公知の二軸スクリュー押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロール等の混練装置を用いて所定割合に混合して、これを溶融混練して調製してもよいし、高濃度のいわゆるマスターバッチを調製し、これを希釈して使用するようにしてもよい。
【0037】
得られたパイル糸3は、一次基布2にタフティングされてパイル布4とされ、パイル布4の裏面には、外面接合ポリエステルシート6が添着されてパイル糸3が固定され、パイル糸3の抜け出しが防止される。パイル糸3のタフティングは、従来公知のタフティングカーペットの製造方法と同様の方法によって行うことができる。パイル糸3は、カットパイルであっても、ループ状パイルであってもよい。
【0038】
外面接合ポリエステルシート6としては、線条体5の表層9で述べたポリエステルと同様のポリエステルを使用することができる。
【0039】
中でも、MFRが10以上、好ましくはMFRが15以上、さらに好ましくはMFRが20以上のポリエステルが望ましい。MFRが10未満では空気圧による接合が難しくなり、接合温度を高くする必要が生じて、パイル糸3が収縮するおそれが生じる。
【0040】
外面接合ポリエステルシート6の厚さは、任意であり、目的に応じて選定することができるが、一般には、20μm以上、好ましくは50μm以上2mm以下程度とされる。
【0041】
外面接合ポリエステルシート6の添着は、空気圧を用いて押圧する形式が採用され、例えば、図5に示すように、パイル糸3が植設されたパイル布4を裏面が上面となるようにして接合装置に供給し、その上に外面接合ポリエステルシート6を重ねると共に、加熱ヒーター等の輻射熱加熱方式の加熱装置15を用いて加熱することによって外面接合ポリエステルシート6を溶融し、ついで、エアーナイフ等の熱風噴き出し装置16を用いて外面接合ポリエステルシート6を押圧することによって添着される。なお、外面接合ポリエステルシート6とパイル布4の接合は、パイル糸3が収縮しない温度範囲で行なわれる。
【0042】
空気圧を用いて外面接合ポリエステルシート6を接合することによって、外面接合ポリエステルシート6は、パイル布4裏面の凹凸に沿って賦形されてパイル布4の裏面全面にぴったりと添着されることとなり、パイル糸3は強固に固定される。また、パイル糸3によって形成された凸部の間に連続した凹部が形成され、凹部はタフティングマット1が敷設された際に雨水等を排水する排水路として機能する。なお、必要に応じて、外面接合ポリエステルシート6に所定の間隔をおいて小孔を設けることによってタフティングマット1に多数の排水孔を形成し、敷設した際の上面に流れた水の排水を図ることも可能である。
【0043】
本発明においては、外面接合ポリエステルシート6に輻射熱吸収性物質の微粉末を配合することによって、外面接合ポリエステルシート6を添着する場合、輻射熱による加熱効率を向上することができる。輻射熱吸収性物質としては、カーボンブラック、グラファイトが好ましい。
【0044】
なお、本発明においては、図1に示すように、布状体の裏面に低融点の内面接合ポリエステルシート7が積層された一次基布2を用いることができる。内面接合ポリエステルシート7は、一次基布2とタフティングされたパイル糸3の間に介装されてパイル糸3を接合固定する接合用のポリエステルシートである。
【0045】
布状体の裏面に低融点の内面接合ポリエステルシート7を積層し、得られた積層体にタフティングをした後、熱処理することによってパイル糸3を布状体2に強固に固定することができ、パイル糸3の抜け出しのないタフティングマット1を得ることができる。内面接合ポリエステルシート7としては、線条体5の表層9で述べたポリエステルと同様のポリエステルを使用することができる。
【0046】
本発明タフティングマットは、野球、サッカー、ラグビー等の多目的グランド、テニスコート、ゴルフ練習場の芝生として用いることができ、また、歩行路、車、飛行機、ホール等の敷物として用いることができる。
【0047】
【発明の効果】
本発明タフティングマットは、かかる構造からなるから、染色性がよく、軽量で耐久性に優れ、また、ポリエステルのみで構成されるから、回収、再生のリサイクルが容易となる。さらに、本発明タフティングマットは、原料ポリエステルとして、PETボトル等の回収再生品を使用することができるから、安価に製造することが可能となると共にPETボトル等の回収再生を促進させることができる。また、バイル糸の固定にラテックスを使用することがないから、ラテックスの加水分解等の問題もなく、耐久性に優れたタフティングマットが得られる。
【0048】
さらに、パイル布に裏打された外面接合ポリエステルシートは、パイル布裏面の凹凸に沿って賦形され接合されるから、パイル糸の固定が確実で、また、凸部の間に連続した凹部が形成され、凹部が排水路を形成され、コンクリート上に敷設した際にも迅速に排水される利点を有し、実用的なタフティングマットが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明タフティングマットの例を示す縦断面図
【図2】布状体の例を示す(A)は平面図、(B)は縦断面図
【図3】布状体の他の例を示す縦断面図
【図4】パイル糸の例を示す縦断面図
【図5】タフティングマットの製造方法の例を示す側面図
【図6】従来のタフティングマットを示す縦断面図
【符号の説明】
1.タフティングマット
2.一次基布
3.パイル糸
4.パイル布
5.線条体
6.外面接合ポリエステルシート
7.内面接合ポリエステルシート
8.基層
9.表層
15.加熱装置
16.熱風噴出し装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステル製タフティングマット、さらに詳しくは、軽量で、耐水性、柔軟性に優れ、かつ、リサイクル性のよいポリエステル製タフティングマットに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、人工芝生、敷物としてパイル糸を植生したタフティングマットが広く使用されている。かかるタフティングマット20は、図6に示すように、一次基布21にパイル糸22をタフティングしてパイル布23を形成し、パイル布23の裏面にラテックス24を塗布することによってパイル糸を固定して人工芝生等に使用されている。
【0003】
しかし、かかるタフティングマット20は、パイル糸22がポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等によって製造され、一次基布21にポリエステル、ポリプロピレン等が用いられて、タフティングマット20は多彩な材料で形成されており、また、パイル糸を固定する接着剤にラテックスが使用されるため、得られたタフティングマット20は多種の材料が混在することになり、タフティングマット20の回収、再生を難しくしていた。
【0004】
この問題の解決を目的とし、一次基布及びパイル糸にポリプロピレンを用い、裏面にポリエチレンフィルムを接合することによって、ラテックスの使用を排除したタフティングマットが提案されている(特許文献1)。
【0005】
しかし、同文献タフティングマットには、依然としてポリエチレンとポリプロピレンとが混合使用されており、回収、再生にまだ問題を残しており、また、パイル糸の接合性にも難点を有している。
【0006】
すなわち、パイル糸22をタフティングしたパイル布20の裏面は、パイル糸22によって無数の凹凸が形成されており、ポリエチレンをフィルム状にしてこれを加熱溶融してロール等で押圧添着するときは、パイル糸22による凸部によってフィルム全面の押圧が阻害され、凸部の周りには非接着部が残存することとなって、視覚的に外観を損ね、商品価値を低下すると共にパイル糸の固定機能が充分発揮されず、使用中にパイル糸22が抜け落ちるおそれがある。
【0007】
これを回避する方法として、特許文献1は、裏打するポリエチレンとして、粉末のポリエチレンを用い、パイル布の裏面に敷き広げた後、これを加熱溶融する方式を提案している。しかし、ポリエチレンを粉末化するためには手数がかかりコスト高となる外、敷き広げられたポリエチレンを加熱溶融してパイル布の裏面に接合するためには時間を要し、生産性を上げることができないという問題がある。
【0008】
また、敷き広げられた粉末ポリエチレンを加熱溶融した場合、ポリエチレン表面が平坦になるため、コンクリート等の非透水性の平坦面に敷設すると、雨水等の排水性が悪いという問題もある。
【0009】
かかる事情から、生産性に優れ、パイル糸の固定が確実なタフティングマットの開発が要請されている。
【0010】
さらに、タフティングマットの材料としては、ポリプロピレンは耐候性や耐へたり性に問題があり、ナイロンは柔軟性が乏しく屈曲性が悪いためタフティング効率が劣る難点があり、これらの問題に対して優れた特性を持つポリエステル製のタフティングマットが望まれている。しかし、全体をポリエステルで構成したタフティングマットは開発されるに到っていない。
【0011】
【特許文献1】特開2000−17605
【特許文献2】特開2001−234443
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、人工芝生、敷物として好適な、生産性に優れ、軽量で、耐水性、柔軟性に優れ、また、耐久性、排水性に優れたポリエステル製タフティングマットを提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果なされたもので、具体的には、ポリエステル製の布状体からなる一次基布に、ポリエステル製のパイル糸をタフテイングしたパイル布を形成し、該パイル布の裏面に、加熱溶融された外面接合ポリエステルシートを空気圧を利用して添着することによって、外面接合ポリエステルシートがパイル糸による凹凸に沿って賦形され、実質的にパイル布の裏面全面に密着してパイル糸を固定せしめてなることを特徴とするポリエステル製タフティングマットを提供するものである。
【0014】
また、本発明は、ポリエステル製の布状体の裏面に低融点の内面接合ポリエステルシートが積層された一次基布を用いてパイル糸をタフテイングしてなる上記のポリエステル製タフティングマット、タフティングマットに所定の間隔をおいて多数の排水孔が穿設されてなる上記のポリエステル製タフティングマット、タフティングマットが人工芝生である上記のポリエステル製タフティングマット、及び、タフティングマットがカーペットである上記のポリエステル製タフティングマットを提供するものである。
【0015】
さらに、本発明は、ポリエステル製の布状体からなる一次基布に、ポリエステル製のパイル糸を植生してパイル布を形成した後、外面接合ポリエステルシートを輻射熱によって加熱溶融し、空気圧を利用して添着することによってパイル糸による凹凸に沿って賦形せしめ、パイル布の裏面の実質的全面に密着せしめることを特徴とするポリエステル製タフティングマットの製造方法、ポリエステル製の布状体の裏面に低融点の内面接合ポリエステルシートを積層して一次基布とし、該一次基布にパイル糸を植生してパイル布を形成し、次いで、内面接合ポリエステルシート側を熱処理すると共に外面接合ポリエステルシートを輻射熱によって加熱溶融し、空気圧を利用して添着することによって、外面接合ポリエステルシートをパイル糸による凹凸に沿って賦形せしめ、パイル布の裏面の実質的全面に密着せしめることを特徴とするポリエステル製タフティングマットの製造方法、及び、輻射熱吸収性の微粉末を配合した外面接合ポリエステルシートを使用する上記のポリエステル製タフティングマットの製造方法を提供するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明のタフティングマット1は、図1に示すように、ポリエステル製の布状体からなる一次基布2にポリエステル製のパイル糸3をタフティングしてパイル布4を形成し、該パイル布4の裏面に、加熱溶融された外面接合ポリエステルシート6を添着することによって得られる。外面接合ポリエステルシート6は、タフティングされたパイル糸3の外面から当てられる接合用ポリエステルシートを意味し、布状体及びパイル布の表裏は、パイルが形成される側の面を表とする。
【0017】
一次基布2としては、ポリエステルからなる線条体5による布状体が用いられる。本発明において布状体とは、ポリエステル製の線条体5からなる可撓性のシート状体を総称するものとし、線条体5は、ヤーン、テープ、スプリットヤーン、モノフィラメント、短繊維、長繊維等を用いることができ、これらは必要に応じて撚りがかけられる。
【0018】
本発明の線条体5に使用されるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートのホモポリマーを主たる対象とするが、テレフタル酸成分の一部を例えばイソフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、フェニールエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環式ジカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン酸、P‐β−ヒドロキシエトキシ安息香酸等のオキシ酸等の二官能性カルボン酸の一種以上で、及び/又は、エチレングリコール成分の一部を例えば、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロール、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸等のグリコール、及び、これらの機能的誘導体の多官能性化合物の一種以上で15モル%以内、好ましくは、5モル%以内で置換して共重合せしめたコポリマーであってもよい。これらポリエステルは、新規に製造されたものであってもよく、また、PETボトル等の回収再生品であってもよい。
【0019】
また、本発明において線条体5は、ポリエステルの単層体であってもよいが、ポリエステルからなる基層の表面に、低融点のポリエステルからなる表層を積層することができ、例えば、図4(A)に示すように、ポリエステルからなる単層体を用いることができ、また、図4(B)に示すように、ポリエステルからなる基層8の片面に低融点のポリエステルからなる表層9が積層された構造とすることができ、さらに、図4(C)に示すように、基層8の両面に表層9が積層された構造とすることができる。また、図4(D)に示すように、シースコア構造、図4(E)に示すように、サイドバイサイド構造とすることもできる。中でも、図4(C)に示すように、テープ状基層8の両面に表層9を積層したものが望ましい。
【0020】
本発明において、低融点とは、基層8を構成するポリエステルより融点が低いことを意味し、表層9としては、基層8を構成するポリエステルの融点より低い、好ましくは、10℃以上、さらに好ましくは15℃以上融点の低いポリエステルが選択される。
【0021】
本発明において、表層9は、線条体5となったとき、基層8を構成するポリエステルより融点が低いものであればよい。したがって、ポリエステルを構成する単量体の組成、あるいは、ポリエステルの分子量によって、融点の異なるポリエステルを調製して用いることができ、また、乾燥度の異なるポリエステルを用いて共押出し成形し、線条体5となったとき表層9が基層8を構成するポリエステルより融点が低い状態となるようにしてもよい。
【0022】
これらポリエステルには、無機充填材を添加することができる。無機充填材の種類としては、熱可塑性樹脂添加材として自体公知の無機充填材を使用することができ、例えば、タルク、クレー、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ウオラストナイト、ゼオライト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪酸カルシウム等を使用することができる。無機充填材を配合することによって難燃性を向上することができ、無機充填材の配合量は、1〜40重量%、好ましくは3〜30重量%である。
【0023】
また、ポリエステルには、目的に応じて各種の添加剤を添加することができる。具体的には、フェノール系、有機ホスファイト系、ホスナイトなどの有機リン系、チオエーテル系等の酸化防止剤;ヒンダードアミン系等の光安定剤;ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系等の紫外線吸収剤;ノニオン系、カチオン系、アニオン系等の帯電防止剤;ビスアミド系、ワックス系、有機金属塩系等の分散剤;アミド系、ワックス系、有機金属塩系、エステル系等の滑剤;含臭素有機系、リン酸系、三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、赤リン等の難燃剤;有機顔料;無機顔料;金属イオン系などの無機、有機抗菌剤等が挙げられる。
【0024】
これら添加剤は、適宜組み合わされて、線条体5の材料組成物を製造するいずれかの工程で配合される。添加剤の配合は、従来の公知の二軸スクリュー押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロール等の混練装置を用いて所定割合に混合して、これを溶融混練して調製してもよいし、高濃度のいわゆるマスターバッチを調製し、これを希釈して使用するようにしてもよい。
【0025】
線条体5として積層体が使用される場合、その成形材料となる積層フィルムを成形する手段としては、予め基層8となるフィルムと表層9となるフィルムを形成してドライラミネート法や熱ラミネート法を用いて複層化する手段や、基層8となるフィルムの表面に表層9となる熱可塑性樹脂をコーティングする方法、予め形成した基層8となるフィルムに表層9を押出ラミネートする方法、あるいは、多層共押出法によって積層フィルムとして押出成形するなどの公知の手段から適宜選択して用いればよいが、成形の容易さやコスト面、並びに、製品の各層間の接着性及び光透過性の点では、多層共押出法によって基層8と表層9の積層体を一段で得る方法が望ましい。
【0026】
また、延伸して線条体2とする手段としては、基層8となるフィルムを一軸方向に延伸した後、表層9となる熱可塑性樹脂を積層し、これをテープ状にスリットしてもよく、あるいは、基層8と表層9とが積層された積層フィルムをスリットする前、又は、スリットした後に、一軸方向に延伸することによって得ることもできる。
【0027】
また、延伸は、熱ロールによる延伸、熱板による延伸、熱風炉による延伸等によって行なうことができる。延伸倍率は通常3〜10倍程度とされる。
【0028】
線条体5として一軸延伸テープ(フラットヤーン)を用いるときは、一般的には、75〜2000デシテックス、糸幅が0.3〜10mmの範囲とされる。こうして得られた一軸延伸フラットヤーンは、縦方向に小さな切れ目を入れてスプリットヤーンとすることもできる。スプリットヤーンとすることによって風合い、手触りを改良することができる。
【0029】
また、線条体5としては、延伸されたモノフィラメントを使用することもでき、さらに、不織布とするときは短繊維を使用することができる。また、短繊維を紡績して得られた撚糸を使用することも可能である。
【0030】
こうして得られた一軸延伸テープ等の線条体5は、図2に示すように、平織、綾織、斜文織、畦織、二重織、模紗織等の方法で織製し、あるいは、図3に示すように、多数の線条体5aを並列し、その上に交差するように線条体5bを配設してその交点を接合した交差結合布(ソフ)とした一次基布2を用いることができ、また、タテ編み、ヨコ編み、ラッセル編み、トリコット編み等に編込むことによって一次基布2とすることができる。
【0031】
なお、一次基布2としてソフを用いるときは、図3に示すように、高融点のポリエステルからなる基層8の表面に、基層8より低融点の表層9を積層した線条体5を用いることが望ましく、低融点の表層9を積層することによって熱融着によって交点を接合することができる。
【0032】
パイル糸3は、一軸延伸されたポリエステルによって形成され、ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレートのホモポリマーを主たる対象とするが、テレフタル酸成分の一部を例えばイソフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、フェニールエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸等如き芳香族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の如き脂環式ジカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸、P‐β−ヒドロキシエトキシ安息香酸等の如きオキシ酸等の二官能性カルボン酸の一種以上で、及び/又はエチレングリコール成分の一部を例えば、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロール、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸等のグリコール、及び、これらの機能的誘導体の多官能性化合物一種以上で15モル%以内、好ましくは、5モル%以内で置換して共重合せしめたコポリマーであってもよい。
【0033】
なお、本発明においてパイル糸3の構造は、線条体5と同様に構成することができ、ポリエステルの単層体であってもよいが、ポリエステルからなる基層の表面に、低融点のポリエステル層、顔料又は無機フィラーを配合した表層等を積層することができる。
【0034】
例えば、図4(A)のように、結晶性のポリエステルの単層体を用いることができ、また、図4(B)のように、ポリエステルからなる基層の片面に表層が積層された構造とすることができ、さらに、図4(C)のように、基層の両面に表層が積層された構造とすることができる。また、図4(D)に示すように、シースコア構造、図4(E)に示すようにサイドバイサイド構造とすることもできる。
【0035】
これらパイル糸3を構成するポリエステルには、目的に応じて各種の添加剤を添加することができる。具体的には、フェノール系、有機ホスファイト系、ホスナイトなどの有機リン系、チオエーテル系等の酸化防止剤;ヒンダードアミン系等の光安定剤;ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系等の紫外線吸収剤;ノニオン系、カチオン系、アニオン系等の帯電防止剤;ビスアミド系、ワックス系、有機金属塩系等の分散剤;アルカリ土類金属塩のカルボン酸塩系等の塩素補足剤;アミド系、ワックス系、有機金属塩系、エステル系等の滑剤;ヒドラジン系、アミンアシド系等の金属不活性剤;含臭素有機系、リン酸系、三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、赤リン等の難燃剤;金属イオン系などの無機、有機抗菌剤等が挙げられる。
【0036】
これら添加剤は、適宜組み合わせて、パイル糸3の成形材料組成物を製造するいずれかの工程で配合される。添加剤の配合は、従来の公知の二軸スクリュー押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロール等の混練装置を用いて所定割合に混合して、これを溶融混練して調製してもよいし、高濃度のいわゆるマスターバッチを調製し、これを希釈して使用するようにしてもよい。
【0037】
得られたパイル糸3は、一次基布2にタフティングされてパイル布4とされ、パイル布4の裏面には、外面接合ポリエステルシート6が添着されてパイル糸3が固定され、パイル糸3の抜け出しが防止される。パイル糸3のタフティングは、従来公知のタフティングカーペットの製造方法と同様の方法によって行うことができる。パイル糸3は、カットパイルであっても、ループ状パイルであってもよい。
【0038】
外面接合ポリエステルシート6としては、線条体5の表層9で述べたポリエステルと同様のポリエステルを使用することができる。
【0039】
中でも、MFRが10以上、好ましくはMFRが15以上、さらに好ましくはMFRが20以上のポリエステルが望ましい。MFRが10未満では空気圧による接合が難しくなり、接合温度を高くする必要が生じて、パイル糸3が収縮するおそれが生じる。
【0040】
外面接合ポリエステルシート6の厚さは、任意であり、目的に応じて選定することができるが、一般には、20μm以上、好ましくは50μm以上2mm以下程度とされる。
【0041】
外面接合ポリエステルシート6の添着は、空気圧を用いて押圧する形式が採用され、例えば、図5に示すように、パイル糸3が植設されたパイル布4を裏面が上面となるようにして接合装置に供給し、その上に外面接合ポリエステルシート6を重ねると共に、加熱ヒーター等の輻射熱加熱方式の加熱装置15を用いて加熱することによって外面接合ポリエステルシート6を溶融し、ついで、エアーナイフ等の熱風噴き出し装置16を用いて外面接合ポリエステルシート6を押圧することによって添着される。なお、外面接合ポリエステルシート6とパイル布4の接合は、パイル糸3が収縮しない温度範囲で行なわれる。
【0042】
空気圧を用いて外面接合ポリエステルシート6を接合することによって、外面接合ポリエステルシート6は、パイル布4裏面の凹凸に沿って賦形されてパイル布4の裏面全面にぴったりと添着されることとなり、パイル糸3は強固に固定される。また、パイル糸3によって形成された凸部の間に連続した凹部が形成され、凹部はタフティングマット1が敷設された際に雨水等を排水する排水路として機能する。なお、必要に応じて、外面接合ポリエステルシート6に所定の間隔をおいて小孔を設けることによってタフティングマット1に多数の排水孔を形成し、敷設した際の上面に流れた水の排水を図ることも可能である。
【0043】
本発明においては、外面接合ポリエステルシート6に輻射熱吸収性物質の微粉末を配合することによって、外面接合ポリエステルシート6を添着する場合、輻射熱による加熱効率を向上することができる。輻射熱吸収性物質としては、カーボンブラック、グラファイトが好ましい。
【0044】
なお、本発明においては、図1に示すように、布状体の裏面に低融点の内面接合ポリエステルシート7が積層された一次基布2を用いることができる。内面接合ポリエステルシート7は、一次基布2とタフティングされたパイル糸3の間に介装されてパイル糸3を接合固定する接合用のポリエステルシートである。
【0045】
布状体の裏面に低融点の内面接合ポリエステルシート7を積層し、得られた積層体にタフティングをした後、熱処理することによってパイル糸3を布状体2に強固に固定することができ、パイル糸3の抜け出しのないタフティングマット1を得ることができる。内面接合ポリエステルシート7としては、線条体5の表層9で述べたポリエステルと同様のポリエステルを使用することができる。
【0046】
本発明タフティングマットは、野球、サッカー、ラグビー等の多目的グランド、テニスコート、ゴルフ練習場の芝生として用いることができ、また、歩行路、車、飛行機、ホール等の敷物として用いることができる。
【0047】
【発明の効果】
本発明タフティングマットは、かかる構造からなるから、染色性がよく、軽量で耐久性に優れ、また、ポリエステルのみで構成されるから、回収、再生のリサイクルが容易となる。さらに、本発明タフティングマットは、原料ポリエステルとして、PETボトル等の回収再生品を使用することができるから、安価に製造することが可能となると共にPETボトル等の回収再生を促進させることができる。また、バイル糸の固定にラテックスを使用することがないから、ラテックスの加水分解等の問題もなく、耐久性に優れたタフティングマットが得られる。
【0048】
さらに、パイル布に裏打された外面接合ポリエステルシートは、パイル布裏面の凹凸に沿って賦形され接合されるから、パイル糸の固定が確実で、また、凸部の間に連続した凹部が形成され、凹部が排水路を形成され、コンクリート上に敷設した際にも迅速に排水される利点を有し、実用的なタフティングマットが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明タフティングマットの例を示す縦断面図
【図2】布状体の例を示す(A)は平面図、(B)は縦断面図
【図3】布状体の他の例を示す縦断面図
【図4】パイル糸の例を示す縦断面図
【図5】タフティングマットの製造方法の例を示す側面図
【図6】従来のタフティングマットを示す縦断面図
【符号の説明】
1.タフティングマット
2.一次基布
3.パイル糸
4.パイル布
5.線条体
6.外面接合ポリエステルシート
7.内面接合ポリエステルシート
8.基層
9.表層
15.加熱装置
16.熱風噴出し装置
Claims (8)
- ポリエステル製の布状体からなる一次基布にポリエステル製のパイル糸をタフテイングしたパイル布を形成し、該パイル布の裏面に、加熱溶融された外面接合ポリエステルシートを空気圧を利用して添着することによって、外面接合ポリエステルシートがパイル糸による凹凸に沿って賦形され、実質的にパイル布の裏面全面に密着してパイル糸を固定せしめてなることを特徴とするポリエステル製タフティングマット。
- ポリエステル製の布状体の裏面に低融点の内面接合ポリエステルシートが積層された一次基布を用いてパイル糸をタフテイングしてなる請求項1に記載のポリエステル製タフティングマット。
- タフティングマットに所定の間隔をおいて多数の排水孔が穿設されてなる請求項1又は2に記載のポリエステル製タフティングマット。
- タフティングマットが、人工芝生である請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル製タフティングマット。
- タフティングマットが、カーペットである請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル製タフティングマット。
- ポリエステル製の布状体からなる一次基布に、ポリエステル製のパイル糸を植生してパイル布を形成した後、外面接合ポリエステルシートを輻射熱によって加熱溶融し、空気圧を利用して添着することによって、外面接合ポリエステルシートをパイル糸による凹凸に沿って賦形せしめ、パイル布の裏面の実質的全面に密着せしめることを特徴とするポリエステル製タフティングマットの製造方法。
- ポリエステル製の布状体の裏面に低融点の内面接合ポリエステルシートを積層して一次基布とし、該一次基布にパイル糸を植生してパイル布を形成し、次いで、内面接合ポリエステルシート側を熱処理すると共に外面接合ポリエステルシートを輻射熱によって加熱溶融し、空気圧を利用して添着することによって、外面接合ポリエステルシートをパイル糸による凹凸に沿って賦形せしめ、パイル布の裏面の実質的全面に密着せしめることを特徴とするポリエステル製タフティングマットの製造方法。
- 輻射熱吸収性の微粉末を配合した外面接合ポリエステルシートを使用する請求項6又は7に記載のポリエステル製タフティングマットの製造方法。
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