JP4819764B2 - 不可視情報印刷シート - Google Patents

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Description

本発明は、予め印刷された不可視情報を外部からの摩擦により発色させることで可視化する不可視情報印刷シートに関するものである。
従来、くじに用いられるシートとして、当落を示す文字、数字、その他の絵柄等の情報を紙などのシートに印刷し、さらに隠蔽層で覆うことで情報を不可視の状態とした不可視情報印刷シートが一般的に用いられている。具体的には、紙等のシートに可視情報等を印刷し、さらに不可視化すべき情報を印刷した後、不可視化すべき情報を覆うように剥離剤層を設け、その上に隠蔽性の銀色等のスクラッチインキを設けた状態であり、硬貨等によりスクラッチインキを削り取ることで不可視情報が現れるようにして用いられている。
しかし、上記のスクラッチインキを取り除く際に発生する削りカスがゴミとなってしまう欠点が有り、使用される用途や場所が限定される。さらにスクラッチインキの色は暗色であり、暗い感じになりやすくデザイン上の問題となりやすい。
上記の問題を解決するために、スクラッチインキを用いることなく不可視情報の発現が容易に行え、削りカスの発生が抑えられるとして、無色または淡色の電子供与性染料前駆体及びワニスを含有するスクラッチ発色用電子供与性染料前駆体インキベースと電子受容性化合物及びワニスを含有するスクラッチ発色用電子受容性化合物インキベースを別個に作製したものをドライヤーと混合して得たものであることを特徴とするスクラッチ発色用インキ及びそれらを用いた不可視情報印刷シートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この文献記載の方法では発色前の不可視情報は全く視認されないものの、例えば不可視情報が比較的太い線から成る場合やインキ膜厚が厚い場合にはわずかながら視認できるため、なお改良すべき点がある。
特開2006−199187号公報
不可視情報が視認されず、不可視情報印刷部分が通常取り扱い時の擦れでは発色しにくく、爪で擦ることでも不可視情報の可視化が容易に行え、不可視情報を可視化する際に削りカスの発生が無い、特に可視化する際に、鮮明な発色画像が得られる不可視情報印刷シートを提供することである。
(1)支持体の同一面上に、電子供与性染料前駆体、電子受容性化合物及びワニスを含有するスクラッチ発色用インキで印刷される情報部分と、有色または無色の印刷用インキで印刷される非情報部分とで構成される印刷部分が設けられ、
情報部分の印刷面積率が40%以上かつ90%以下であり、
非情報部分の印刷面積率が、10%以上かつ60%以下である
ことを特徴とする不可視情報印刷シート。
(但し、非情報部分のうち有色または無色の印刷用インキが占める面積の割合を印刷面積率とする。)
本発明の不可視情報印刷シートは、不可視情報が、爪や硬貨などで擦ることで鮮明に可視化でき、通常取り扱い時に擦れによる発色汚れが発生しにくく、削りカスの発生がなく、さらに発色前の状態での不可視性も良好である。
また、非情報部分がある事により、不可視性が顕著に良いものである。それにより本発明の不可視情報印刷シートに、例えば、視認されやすい大きな文字などを情報部分の不可視情報として印刷してもなお不可視性がよい。
また、本発明の不可視情報印刷シートは、不可視情報を可視化した後の判読が容易である。すなわち、可読性がよい。
更に、印刷部分を知ったり推測したりするだけでは情報部分やその情報内容が分からないため、各種不正行為や誤操作などによる、情報部分にある不可視情報の推測や判読の防止も容易である。
以下、本発明の不可視情報印刷シートを更に具体的に説明する。
本発明に用いるスクラッチ発色用インキは、無色または淡色の電子供与性染料前駆体、電子受容性化合物及びワニスを含有する。
電子供与性染料前駆体及び電子受容性化合物が実質的に未発色の状態であるためには、それぞれが固体粒子としてスクラッチ発色用インキ中に含有される事がより好ましい。
本発明に用いるスクラッチ発色用インキ中の含有成分について説明する。本発明に用いるスクラッチ発色用インキに含有される無色または淡色の電子供与性染料前駆体としては、一般に感圧記録材料や感熱記録材料に用いられているものに代表されるが、特に限定されるものではない。
具体的な電子供与性染料前駆体の例としては、
(1)トリアリールメタン系化合物またはインドリル基を持つ化合物:3,3−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−メチルピロール−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド等、
(2)ジフェニルメタン系化合物:4,4′−ビス(ジメチルアミノフェニル)ベンズヒドリルベンジルエーテル、N−クロロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等、
(3)キサンテン系化合物:ローダミンBアニリノラクタム、ローダミンB−p−クロロアニリノラクタム、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3,4−ジクロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−p−トリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−p−トリル)アミノ−6−メチル−7−フェネチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(4−ニトロアニリノ)フルオラン、3−(N−メチル−N−プロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン等、
(4)チアジン系化合物:ベンゾイルロイコメチレンブルー、4−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等、
(5)スピロ系化合物その他の系統の化合物:3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3,3′−ジクロロスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシベンゾ)スピロピラン、3−プロピルスピロベンゾピラン、2,6−ジフェニル−4−(4−ジメチルアミノフェニル)ピリジン、2,2−ビス(4−(2−(4−ジエチルアミノフェニル)キナゾリル)オキシフェニル)プロパン、4−クロロ−N−(4−(N−(4−メチルベンジル)−N−メチルアミノ)ベンジリデン)アニリン、1−(2−キノリル)−2−(3−メトキシ−4−ドデシルオキシフェニル)エテン等を挙げることができる。また、これらの電子供与性染料前駆体は必要に応じて単独、もしくは2種以上混合して使用することができる。スクラッチ発色用インキの変色防止性や発色感度から、キサンテン系化合物が好ましく、トリアリールメタン系化合物またはインドリル基を持つ化合物も発色色相が鮮やかなため、好ましい。
本発明に用いるスクラッチ発色用インキに含有される電子受容性化合物としては、一般に感圧記録材料、または感熱記録材料に用いられる酸性物質に代表されるが、これらに制限されることはない。例えば、フェノール誘導体、芳香族カルボン酸誘導体、N,N′−ジアリールチオ尿素誘導体、アリールスルホニル尿素誘導体、スルホンアミド誘導体、有機化合物の亜鉛塩などの多価金属塩、ベンゼンスルホンアミド誘導体等を挙げることができる。
具体的な例を挙げれば、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−ベンジルオキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−プロポキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、3,4−ジヒドロキシ−4′−メチルジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−ベンゼンスルホニルオキシジフェニルスルホン、2,4−ジ(フェニルスルホニル)フェノール、4−ヒドロキシ−4′−メチルジフェニルスルホン等のジフェニルスルホン系化合物が挙げられる。
その他の具体例としては、4−フェニルフェノール、4−ヒドロキシアセトフェノン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス〔2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン、1,3−ビス〔2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン、1,4−ビス〔2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン、4,4′−ヒドロキシジフェニルエーテル、
3,3′−ジクロロ−4,4′−ヒドロキシジフェニルスルフィド、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、4,4′−チオビス(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)、
N−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)−p−トルエンスルホンアミド、N−(2,4−ジヒドロキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、N−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−p−トルエンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシナフチル)ベンゼンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシナフチル)−p−トルエンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)−1−ナフタレンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)−2−ナフタレンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシナフチル)−1−ナフタレンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシナフチル)−2−ナフタレンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)−p−クロロベンゼンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)−p−メトキシベンゼンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)−p−アリルベンゼンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)−p−フェニルベンゼンスルホンアミド、4,4′−ビス(2−ヒドロキシフェニルアミノスルホニル)ジフェニルメタン、N−(2−ヒドロキシフェニル)−N−メチルベンゼンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)−N−メチル−p−トルエンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)−N−ベンジル−p−トルエンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)−N−アリル−p−トルエンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)−N−フェニルベンゼンスルホンアミド、
4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4−ヒドロキシ安息香酸メチル、没食子酸ベンジル、没食子酸ステアリル、N,N′−ジフェニルチオ尿素、4,4′−ビス〔3−(4−メチルフェニルスルホニル)ウレイド〕ジフェニルメタン、N−(4−メチルフェニルスルホニル)−N′−フェニル尿素、サリチルアニリド、5−クロロサリチルアニリド、サリチル酸、3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸、3,5−ジ−α−メチルベンジルサリチル酸、4−〔2′−(4−メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸、3−(オクチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸あるいはこれらサリチル酸誘導体の金属塩、N−(4−ヒドロキシフェニル)−p−トルエンスルホンアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフタレンスルホンアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)−2−ナフタレンスルホンアミド、N−(4−ヒドロキシナフチル)−p−トルエンスルホンアミド、N−(4−ヒドロキシナフチル)ベンゼンスルホンアミド、N−(4−ヒドロキシナフチル)−1−ナフタレンスルホンアミド、N−(4−ヒドロキシナフチル)−2−ナフタレンスルホンアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)−p−トルエンスルホンアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)−1−ナフタレンスルホンアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)−2−ナフタレンスルホンアミドなどが挙げられる。特にスクラッチ発色用インキの変色防止性や発色感度からはジフェニルスルホン系化合物が好ましい。
本発明に用いるスクラッチ発色用インキに含有されるワニスには、バインダー樹脂、及び、必要に応じて、油、溶剤等が含まれている。
ワニスに含有されるバインダー樹脂の具体例としては、例えば、ロジンなどの天然樹脂、硬化ロジン、ロジンエステルなどの天然樹脂誘導体、そしてアルキド樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、セルロース誘導体、フェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、キシレン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ケトン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、オレフィン等の不飽和炭化水素を原料とした石油樹脂などの合成樹脂が挙げられる。これらの樹脂を2種以上、併用してもよい。
ワニスに必要に応じて含有される油の具体例としては、例えば、アマニ油、菜種油、ヤシ油、オリーブ油、大豆油、桐油等の植物油、及びこれらを再生処理した植物油、スピンドル油、マシーン油、モビル油等の鉱物油が挙げられる。これらの油を2種以上、併用してもよい。
なお、本発明においては、不揮発性有機液体を油、揮発性有機液体を溶剤と呼ぶ。
ワニスに必要に応じて含有される溶剤の具体例としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール等のアルコール系溶剤、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール系溶剤等が挙げられる。
また、パラフィン、ナフテン系を主成分とした芳香族成分1%以下の石油系溶剤は不揮発性であるが、揮発性溶剤と同様に必要に応じて含有される。
これらの溶剤を2種以上、併用してもよい。
本発明に用いるスクラッチ発色用インキには、更に各種の補助剤を含有させてもよい。例えば、乾燥促進剤としてナフテン酸コバルト、オクチル酸マンガン等のドライヤー、一般的にアルミニウムキレートと呼ばれるキレート化剤、インキの粘度を調整する石油系溶剤やワニス等の調整剤、印刷後の滑りを調節するワックス、界面活性剤、有機や無機の微粒子類、発色濃度を上げるために感熱記録材料で公知の脂肪酸アミド類、脂肪族尿素化合物、エーテル化合物、エステル化合物、ビフェニル誘導体等の増感剤を含有させてもよい。
本発明に用いるスクラッチ発色用インキは、印刷部分の汚れ及び発色性から、電子供与性染料前駆体に対する電子受容性化合物の質量比(%)は、50〜2000質量%が好ましく、100〜1000質量%がより好ましく、更には150〜900質量%が特に好ましい。また、電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物を所定の割合で同時にワニス(ビヒクル)に添加し、混練りすると電子供与性染料前駆体が発色してインキの着色を招く恐れがあるため、別々に混練りしてインキ化した後に、撹拌機等により所定の割合で十分に混ぜ合わせる方が、電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物の接触等によるインキ着色を低減することができ、印刷部分の不可視化には好ましい。ワニス(ビヒクル)の種類やスクラッチ発色用インキ中のワニス含有量は印刷方法により異なるが、好ましくはスクラッチ発色用インキの10〜90質量%、より好ましくは60〜85質量%、更に好ましくは65〜85質量%の範囲で適宜選択される。
また、印刷適性の面からは、スクラッチ発色用インキ中の電子供与性染料前駆体含有量にも好ましい範囲がある。電子供与性染料前駆体を、スクラッチ発色用インキの10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、特に好ましくは5質量%以下とする事が好ましい。一方、発色性を保つためには、電子供与性染料前駆体を、スクラッチ発色用インキの0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、特に好ましくは2質量%以上とする事が好ましい。
なお、スクラッチ発色用インキ製造時、個々の含有成分を別々に混練りした場合、それらをインキベースと呼ぶ。
混練りの方法としては、3本ロールによる練肉など、印刷用インキ製造において公知の方法を用いる事が出来る。3本ロールは、インキベースを混ぜ合わせる撹拌機としても用いる事が出来る。
本発明に用いるスクラッチ発色用インキにおけるワニスの調製は、従来公知の方法で良く、例えばバインダー樹脂、及び、必要に応じて含有させる油等の含有成分を加熱溶解させた後、必要に応じて溶剤、アルミキレート剤等を含有させて得られる。
次に本発明の不可視情報印刷シートにおける非情報部分に用いられる有色または無色の印刷用インキについて説明する。印刷用インキについてはバインダー用樹脂と必要に応じ溶剤、油を含有するワニス、有色顔料、有色染料、添加剤より印刷に適した材料を適宜含有させてなるものである。印刷用インキが有色であるためには、有色顔料、有色染料の少なくとも一方を含有させる事が好ましい。なお、印刷用インキについての有色とは白色も含めた各種の色を持つ事である。そのため、例えば、白色顔料も本発明における有色顔料として印刷用インキに必要に応じて含有される。
印刷用インキに含有されるワニスに含有されるバインダー用樹脂の具体例としては、ロジンなどの天然樹脂、硬化ロジン、ロジンエステルなどの天然樹脂誘導体、そしてアルキド樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、セルロース誘導体、フェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、キシレン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ケトン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、オレフィン等の不飽和炭化水素を原料とした石油樹脂などの合成樹脂が挙げられる。これらの樹脂を2種以上、併用してもよい。
印刷用インキに含有されるワニスに必要に応じて含有される油の具体例としては、例えば、アマニ油、菜種油、ヤシ油、オリーブ油、大豆油、桐油等の植物油、及びこれらを再生処理した植物油、スピンドル油、マシーン油、モビル油等の鉱物油が挙げられる。これらの油を2種以上、併用してもよい。
印刷用インキに含有されるワニスに必要に応じて含有される溶剤の具体例としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール等のアルコール系溶剤、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール系溶剤等が挙げられる。
また、パラフィン、ナフテン系を主成分とした芳香族成分1%以下の脂肪族炭化水素は不揮発性であるが、揮発性溶剤と同様に必要に応じて含有される。
これらの溶剤を2種以上、併用してもよい。
本発明に用いる印刷用インキにおけるワニスの調製は、従来公知の方法で良く、例えばバインダー樹脂、及び、必要に応じて含有させる油等の含有成分を加熱溶解させた後、必要に応じて溶剤、アルミキレート剤等を含有させて得られる。
本発明に用いる印刷用インキの調整は、従来公知の方法で良く、例えば印刷インキ用ワニスに、必要に応じて黄、紅、藍、墨、白色顔料などの有色顔料を直接分散させるか、あらかじめ分散用樹脂に分散されたカラーベースや、フラッシュ法の場合は、フラッシュ用樹脂に分散されたカラーベースと混合する。
有色顔料を2種以上併用してもよい。あるいは、有色染料を2種以上併用してもよい。また、有色顔料と有色染料とをそれぞれ1種以上併用してもよい。
一方、印刷用インキを無色とする場合、本発明における非情報部分の視認性を高めるため、例えば、蛍光増白剤、光沢付与剤などを含有させる事が好ましい。
本発明に用いる印刷用インキには、更に各種の補助剤を必要に応じて含有させてもよい。補助剤の具体例としては、例えば、乾燥促進剤としてナフテン酸コバルト、オクチル酸マンガン等のドライヤー、一般的にアルミニウムキレートと呼ばれるキレート化剤、インキの粘度を調整する石油系溶剤やワニス等の調整剤、印刷後の滑りを調節するワックス、界面活性剤などが挙げられる。
なお、本発明に用いる印刷用インキ製造の手間を省く場合は、例えばオフセット印刷用などの市販の各種印刷用インキを用いてもよい。
本発明の不可視情報印刷シートに用いる支持体は、紙が主として用いられるが、紙の他に各種織布、不織布、合成樹脂フィルム、合成樹脂ラミネート紙、合成紙、金属箔、蒸着シート、或いはこれらを貼り合わせ等で組み合わせた複合シートを目的に応じて任意に用いることができる。
以上の中でも、汎用性やスクラッチ操作時における触感の面から紙を用いる場合が多い。紙としては上質紙、中質紙、あるいは塗工紙などが用いられる。板紙や厚紙も用途により適宜用いられる。
なお、紙を用いる場合、不可視情報の透かし読み防止のため、填料配合増、塗工紙の採用、坪量の多い紙の採用、あるいは段ボール紙の採用なども好ましい。
また、一定の品質の紙を得るため、認証林から得た林材を用いた認証紙、例えば、FSC認証紙を用いる事が好ましい。認証林では、同じ環境条件の場所に同一樹種を植林し、一定期間後伐採するので、結果として天然林からの場合より、得られる原木もより一定したものとなる。
或いは、汎用性を重視するなら、再生紙を用いてもよい。再生紙は、古紙ないし故紙とも称される。印刷済み印刷用紙から再生紙を得る場合には、古紙パルプを得る際、脱墨しておくのが白色度を高めるため好ましい。使用済みのコピー用紙や各種記録用紙を原料として再生紙を得る場合も同様である。
不正防止や電子情報付与のため、支持体中にICチップ埋込みや、支持体上にICタグ貼り付け、バーコード印刷など公知の技術を用いてもよい。
次に、不可視情報印刷シートを得る方法の説明に移る。本発明の不可視情報印刷シートにおけるスクラッチ部及びその周辺には、地紋等を事前に各種印刷用インキを用いて印刷することが可能であるが、スクラッチ発色用インキの発色色相や、支持体面の色相と異なった色相のインキを使用することもできる。支持体面の色相が白色で、スクラッチ発色用インキの発色色相が黒や青色であれば、黄色、橙等の明度の高い色相のインキが好ましい。
また、本発明の不可視情報印刷シートには、スクラッチ発色用インキを用いた情報部分に加え、非情報部分も設けられているため、地紋等の印刷を行なう場合、非情報部分の絵柄も考慮する事が好ましい。(以下、絵柄とは、文字、数字、絵模様から単なるベタや網点に至るまでを包括する広い意味である。)
本発明の不可視情報印刷シートを印刷するには、本発明に用いるスクラッチ発色用インキおよび印刷用インキにより、オフセット印刷、グラビア印刷、凸版印刷等の各種印刷装置及び印刷方法を用いて作製されるが、印刷精度や印刷の作業性からは特にオフセット印刷により作製することが好ましい。オフセット印刷による場合は、通常のオフセット印刷用インキを用いる印刷条件と同様でよく、給湿液を用いる方法又は水無し平版を用いる方法のどちらでもよい。スクラッチ発色用インキおよび印刷用インキの印刷盛量は特に限定されない。
本発明の不可視情報印刷シートにおける印刷部分は情報部分と非情報部分から成る。非情報部分の領域は情報部分の領域と同一面上にある。非情報部分の非印刷部分に情報部分を印刷するため、非情報部分の印刷面積率は60%以下になるように調整する事が発色時のコントラストの点などで好ましい。また、非情報部分の印刷面積率が10%未満になると、情報部分の印刷面積率が大きくなりわずかながら視認できることがあるため好ましくない。
また、非情報部分の絵柄は特に限定されない。例えば、様々な地紋の模様、数字の1,2,3などを配列したものであったり、ことわざや商号などであったり、あるいは花柄の様な複雑な模様などがあげられる。一例として非情報部分の絵柄が単純な図形の連続である網点印刷による場合、網点の線数および網点の形状は任意に選択できる。例えば網点の形状に関しては円、楕円、四角などを使用することができる。網点の線数は、好ましくは25〜175線である。25線より少ないと目の良い者には個々の網点が判別出来る恐れがある。175線より多いと印刷条件の少しの変化により印刷物の出来映えにムラが出る恐れがある。
本発明の不可視情報印刷シートにおける情報部分は、非情報部分内の下層露出領域に印刷する事がより高度な不可視性を得るために好ましく、或いは、情報部分と非情報部分は重なり合わないように構成する事も高度な不可視性を得るために好ましい。ここで、より高度な不可視性とは、見えやすい絵柄、例えば、太字フォントによる文字や大きなポイント数の文字などを情報部分としてもなお不可視性が保たれている事を指す。なお、下層露出領域としては、例えば、網点印刷において、網点と網点の間の印刷用インキが設けられていない領域などが挙げられる。あるいは、非情報部分の内部に、情報部分の絵柄に対応した白抜け部分を設けたものも下層露出領域の例である。他方、非情報部分内に、下層露出領域を考慮せず情報部分を印刷した場合も高度の不可視性は得られるものの、非情報部分と情報部分とを重ね合わせて印刷した領域が出来、情報部分のみの領域とで光沢差などにより不可視情報がわずかながら視認される可能性が残る。本発明における非情報部分の下層露出領域に情報部分を印刷することにより、情報部分は光沢差や凹凸差などが実質的に無い連続したものとなる事は、本発明においてより高度な不可視性が得られる一因とも推測されるが未解明点はなお多い。
この事を図面による例示を用いて更に説明する。図3に示される様に非情報部分と情報部分の絵柄を、重ね合わせた(合成した)ものに相当する印刷物が本発明の不可視情報印刷シートの理解しやすい例である。図3では説明のため、情報部分も可視化したものとして図示しているが、実際には図1に例示した非情報部分の正方形のみが可視情報であり、図2に示す情報部分の「当」の字は不可視である。従って、図3は実際には、図1と同様に見える。図3の非情報部分内の下層露出領域全体に情報部分を形成する必要は特になく、非情報部分内の下層露出領域の一部に情報部分を形成すれば良い。或いは、情報部分と非情報部分は重なり合わないように構成する事も好ましい。また、非情報部分と情報部分との間には適宜空白を設けても良い。また、不可視情報印刷シートの一つの面に、情報部分、非情報部分のいずれもそれぞれ複数あってもよい。
本発明の不可視情報印刷シートにおける不可視情報の印刷方法は、情報部分および非情報部分を異なる版上に描画し何回かに分けて印刷することもできる。何回かに分けて描画する場合でも、最終的に非情報部分の印刷面積率が、10%以上かつ60%以下であれば不可視性と、可視化した情報部分の読み取りやすさ(可読性)の両立のため好ましい。より好ましくは、非情報部分内の下層露出領域に情報部分を設け、或いは、非情報部分と情報部分が重なり合わないように構成されていればより好ましい。
以下、実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(作製例1)
作製例1は、ワニス、各インキベース、スクラッチ発色用インキの作製例である。
(ワニスの作製)
植物油としてアマニ油20質量部、ロジン変性フェノール樹脂(質量平均分子量60000、酸価20mgKOH/g)50質量部、スピンドル油20質量部を配合して約200℃で約1時間加熱して樹脂を溶解させた後、スピンドル油10質量部、アルミニウムキレート剤1質量部を添加して約180℃で約1時間加熱し、ワニスを得た。
(スクラッチ発色用電子供与性染料前駆体インキベースの調製)
上記ワニス50質量部、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン30質量部、スピンドル油5質量部を3本ロールミルで練肉し、上記ワニス10質量部、スピンドル油10質量部を添加することによってスクラッチ発色用電子供与性染料前駆体インキベース(a)を調製した。
(スクラッチ発色用電子受容性化合物インキベースの調製)
上記ワニス50質量部、4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン30質量部、スピンドル油5質量部を3本ロールミルで練肉し、上記ワニス10質量部、スピンドル油10質量部を添加することによってスクラッチ発色用電子受容性化合物インキベース(b)を調製した。
(スクラッチ発色用インキの調製)
上記2種のインキベース(a)、(b)をそれぞれ1:2の質量比率で混合し、ドライヤーのナフテン酸マンガンを該インキベース合計の0.2質量%添加し、十分撹拌して均質化することによって、スクラッチ発色用インキを得た。
(作製例2)
次の条件で不可視情報印刷シートを得る条件を定めた。製図の都合上、非情報部分の印刷面積率と情報部分の印刷面積率の和が100%になるようにした。
なお、作製例2は、非情報部分(線数50の網点印刷)内の下層露出領域に情報部分(線数50の網点印刷)が設けられる様に絵柄を設計した。
(印刷速度)
150m/min
(印刷に使用した用紙)
三菱IJフォーム用紙 157g/m2(三菱製紙株式会社製)
(給湿液)
5%IPA−0.2%SEVENSTAR(大日精化社製)の混合液
(使用刷版)
HPF 0.24mm(富士フイルム社製)
(非情報部分の印刷用インキ)
SCR SOY TF墨(東洋インキ製造株式会社製)
(非情報部分の網点の線数、網点の角度、網点の形状)
50線、45度、円形 (図1の例示とは網点形状が異なる。)
(情報部分のスクラッチ発色用インキ)
作製例1で得たものを用いた。
(情報部分の網点の線数、網点の角度、網点の形状)
50線、45度、円形 (図2の例示とは網点形状が異なる。)
(絵柄)
非情報部分:20mm角の正方形。
情報部分:非情報部分の中央部にゴシック体太字全角で「当」、24ポイント。
なお、情報部分の網点は正確に非情報部分の網点とは重ね合わないように製図した。図3はその一例。
(インキ膜厚)
1.4μm
(印刷機)
MVF−18D(株式会社ミヤコシ製)
(印刷順序)
先に非情報部分、次いで情報部分を印刷した。
(作製例3)
次の条件で不可視情報印刷シートを得る条件を定めた。
(印刷速度)
150m/min
(印刷に使用した用紙)
三菱IJフォーム用紙 157g/m2(三菱製紙株式会社製)
(給湿液)
5%IPA−0.2%SEVENSTAR(大日精化社製)の混合液
(使用刷版)
HPF 0.24mm(富士フイルム社製)
(非情報部分の印刷用インキ)
SCR SOY TF墨(東洋インキ製造株式会社製)
(非情報部分の網点の線数、網点の角度、網点の形状、印刷面積率)
50線、45度、円形、50%
(情報部分のスクラッチ発色用インキ)
作製例1で得たものを用いた。
(情報部分の印刷面積率)
100%(ベタ印刷)
(絵柄)
非情報部分:20mm角の正方形
情報部分:非情報部分の中央部にゴシック体太字全角で「当」、24ポイント
(インキ膜厚)
1.4μm (情報部分のために用いたスクラッチ発色用インキのみとしての膜厚)
(印刷機)
MVF−18D(株式会社ミヤコシ製)
(印刷順序)
先に非情報部分、次いで情報部分を印刷した。
(実施例1)
作製例1記載のインキを作製例2の条件で印刷し、不可視情報印刷シートを得た。ただし、非情報部分及び情報部分の印刷面積率を次のように定めた。
非情報部分:印刷面積率60%
情報部分 :印刷面積率40%
(実施例2)
作製例1記載のインキを作製例2の条件で印刷し、不可視情報印刷シートを得た。ただし、非情報部分及び情報部分の印刷面積率を次のように定めた。なお、実施例2においては、作製例2で示した情報部分の網点形状を下記の様に変更した。
非情報部分:印刷面積率50%
情報部分 :印刷面積率50% (網点形状は四角形)
(実施例3)
作製例1記載のインキを作製例2の条件で印刷し、不可視情報印刷シートを得た。ただし、非情報部分及び情報部分の印刷面積率を次のように定めた。
非情報部分:印刷面積率40%
情報部分 :印刷面積率60%
(実施例4)
作製例1記載のインキを作製例2の条件で印刷し、不可視情報印刷シートを得た。ただし、非情報部分及び情報部分の印刷面積率を次のように定めた。
非情報部分:印刷面積率30%
情報部分 :印刷面積率70%
(実施例5)
作製例1記載のインキを作製例2の条件で印刷し、不可視情報印刷シートを得た。ただし、非情報部分及び情報部分の印刷面積率を次のように定めた。
非情報部分:印刷面積率20%
情報部分 :印刷面積率80%
(実施例6)
作製例1記載のインキを作製例2の条件で印刷し、不可視情報印刷シートを得た。ただし、非情報部分及び情報部分の印刷面積率を次のように定めた。
非情報部分:印刷面積率10%
情報部分 :印刷面積率90%
(参考例7)
作製例1記載のインキを作製例2の条件で印刷し、不可視情報印刷シートを得た。ただし、非情報部分及び情報部分の印刷面積率を次のように定めた。
非情報部分:印刷面積率70%
情報部分 :印刷面積率30%
(参考例8)
作製例1記載のインキを作製例2の条件で印刷した。ただし、非情報部分及び情報部分の印刷面積率を次のように定めた。
非情報部分:印刷面積率5%
情報部分 :印刷面積率95%
(参考例9)
作製例1記載のスクラッチ発色用インキを、作製例3の条件で印刷し、不可視情報印刷シートを得た。ただし、非情報部分及び情報部分の印刷面積率を次のように定めた。
非情報部分:印刷面積率10%
情報部分 :印刷面積率100%(ベタ印刷 非情報部分上に重ね刷り)
(参考例10)
作製例1記載のスクラッチ発色用インキを、作製例3の条件で印刷し、不可視情報印刷シートを得た。ただし、非情報部分及び情報部分の印刷面積率を次のように定めた。
また、非情報部分の正方形の絵柄中に、情報部分の絵柄の輪郭よりはわずかに大きい、小さな正方形の白抜け部分を設け、非情報部分と情報部分とが重ならないようにした。
非情報部分:印刷面積率10%
情報部分 :印刷面積率100%(ベタ印刷)
(比較例1)
作製例1記載のスクラッチ発色用インキを、作製例3の条件(但し、非情報部分は印刷しない)で印刷した。非情報部分及び情報部分の印刷面積率を次のように定めた。
非情報部分:印刷面積率0%(非情報部分を設けていない。)
情報部分 :印刷面積率100%(ベタ印刷)
(印刷部分の不可視性評価)
実施例1〜6、参考例7〜10及び比較例1で得られた不可視情報印刷シートの支持体表面を目視観察により、不可視性を以下の3段階で評価した。○は情報が全く視認されない。△は情報が視認されにくいが不可視情報があることが分かる。×は情報が視認される。なお、○が、特に不正行為や誤操作による視認を防ぐ必要のある用途での実用に供するレベルのものである。
(印刷部分の可読性評価)
実施例1〜6、参考例7〜10及び比較例1で得られた不可視情報印刷シートの印刷部分を爪で擦り、可読性を以下の3段階で評価した。○は情報の読み取りも良好である。△は情報の読み取りは可能であるがやや不鮮明である。×は情報の読み取りは不可能である。なお、○と△が、実用に供するレベルのものである。
Figure 0004819764
表1の結果から、各実施例及び各参考例は可読性が実用レベルであるが、特に、実施例1〜6において、不可視性評価も可読性評価も良好であることがわかった。一方、非情報部分の印刷面積率が大きくなることにより相対的に情報部分の印刷面積率が減少した参考例7では可読性が実施例1〜6にくらべ、わずかに劣った。また、情報部分の印刷面積率が相対的に大きい参考例8では不可視性評価によりわずかながら情報部分を推測できる余地があった。参考例9では非情報部分に情報部分が重なっており、非情報部分の光沢差がわずかではあるが非連続となっていた。この参考例9においては、わずかながらではあるが、情報部分を推測できる余地があった。一方、非情報部分と情報部分とが重なっていない参考例10は、参考例9より、不可視性がより良かったが、なお情報部分を推測できる余地があった。一方、非情報部分を設けていない比較例1は、各実施例に比べ、特に不可視性が劣った。
しかしながら、実施例1〜6、参考例7〜10及び比較例1の不可視情報印刷シートにおいて、作製例2、作製例3に示した情報部分の文字のポイント数を12ポイントにして同様に評価すると、いずれも不可視性、可読性の評価が○であった。
本発明の不可視情報印刷シートは、特別の用具(コイン等)を用いることなく、不可視情報の可視化が可能であり、活用例として、子供の手を汚すことがなく、削りカスの発生も無いので特に乗り物内での使用にも有効である。また、スクラッチ前の不正な読み取りを防止できるため、高額なくじ類、金券、証券などにも有効である。もちろん、コイン等を用いても削りカスは発生しない。
また、大きな絵柄でもなお不可視性がよい事から、塗り絵(スクラッチ操作により絵柄が可視化される。)などの用途にも有効である。
非情報部分の一例。 印刷用インキによる網点印刷用に製図した例。 情報部分の一例。 「当」の文字を製図した例。可視化して示した。 図1と図2とを合成し製図して得た印刷部分を可視化したものの例。 図3の断面図。
符号の説明
1.非情報部分(四角網点による正方形。網点は理解のため大きくしている。)
2.情報部分 (四角網点による「当」の字。網点は理解のため大きくしている。)
3.支持体

Claims (1)

  1. 支持体の同一面上に、電子供与性染料前駆体、電子受容性化合物及びワニスを含有するスクラッチ発色用インキで印刷される情報部分と、有色または無色の印刷用インキで印刷される非情報部分とで構成される印刷部分が設けられ、
    情報部分の印刷面積率が40%以上かつ90%以下であり、
    非情報部分の印刷面積率が、10%以上かつ60%以下である
    ことを特徴とする不可視情報印刷シート。
    (但し、非情報部分のうち有色または無色の印刷用インキが占める面積の割合を印刷面積率とする。)
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