JP4819764B2 - 不可視情報印刷シート - Google Patents
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Description
しかし、上記のスクラッチインキを取り除く際に発生する削りカスがゴミとなってしまう欠点が有り、使用される用途や場所が限定される。さらにスクラッチインキの色は暗色であり、暗い感じになりやすくデザイン上の問題となりやすい。
情報部分の印刷面積率が40%以上かつ90%以下であり、
非情報部分の印刷面積率が、10%以上かつ60%以下である
ことを特徴とする不可視情報印刷シート。
(但し、非情報部分のうち有色または無色の印刷用インキが占める面積の割合を印刷面積率とする。)
また、非情報部分がある事により、不可視性が顕著に良いものである。それにより本発明の不可視情報印刷シートに、例えば、視認されやすい大きな文字などを情報部分の不可視情報として印刷してもなお不可視性がよい。
また、本発明の不可視情報印刷シートは、不可視情報を可視化した後の判読が容易である。すなわち、可読性がよい。
更に、印刷部分を知ったり推測したりするだけでは情報部分やその情報内容が分からないため、各種不正行為や誤操作などによる、情報部分にある不可視情報の推測や判読の防止も容易である。
電子供与性染料前駆体及び電子受容性化合物が実質的に未発色の状態であるためには、それぞれが固体粒子としてスクラッチ発色用インキ中に含有される事がより好ましい。
(1)トリアリールメタン系化合物またはインドリル基を持つ化合物:3,3−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−メチルピロール−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド等、
なお、本発明においては、不揮発性有機液体を油、揮発性有機液体を溶剤と呼ぶ。
また、パラフィン、ナフテン系を主成分とした芳香族成分1%以下の石油系溶剤は不揮発性であるが、揮発性溶剤と同様に必要に応じて含有される。
これらの溶剤を2種以上、併用してもよい。
また、印刷適性の面からは、スクラッチ発色用インキ中の電子供与性染料前駆体含有量にも好ましい範囲がある。電子供与性染料前駆体を、スクラッチ発色用インキの10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、特に好ましくは5質量%以下とする事が好ましい。一方、発色性を保つためには、電子供与性染料前駆体を、スクラッチ発色用インキの0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、特に好ましくは2質量%以上とする事が好ましい。
なお、スクラッチ発色用インキ製造時、個々の含有成分を別々に混練りした場合、それらをインキベースと呼ぶ。
混練りの方法としては、3本ロールによる練肉など、印刷用インキ製造において公知の方法を用いる事が出来る。3本ロールは、インキベースを混ぜ合わせる撹拌機としても用いる事が出来る。
また、パラフィン、ナフテン系を主成分とした芳香族成分1%以下の脂肪族炭化水素は不揮発性であるが、揮発性溶剤と同様に必要に応じて含有される。
これらの溶剤を2種以上、併用してもよい。
有色顔料を2種以上併用してもよい。あるいは、有色染料を2種以上併用してもよい。また、有色顔料と有色染料とをそれぞれ1種以上併用してもよい。
一方、印刷用インキを無色とする場合、本発明における非情報部分の視認性を高めるため、例えば、蛍光増白剤、光沢付与剤などを含有させる事が好ましい。
なお、本発明に用いる印刷用インキ製造の手間を省く場合は、例えばオフセット印刷用などの市販の各種印刷用インキを用いてもよい。
以上の中でも、汎用性やスクラッチ操作時における触感の面から紙を用いる場合が多い。紙としては上質紙、中質紙、あるいは塗工紙などが用いられる。板紙や厚紙も用途により適宜用いられる。
なお、紙を用いる場合、不可視情報の透かし読み防止のため、填料配合増、塗工紙の採用、坪量の多い紙の採用、あるいは段ボール紙の採用なども好ましい。
また、一定の品質の紙を得るため、認証林から得た林材を用いた認証紙、例えば、FSC認証紙を用いる事が好ましい。認証林では、同じ環境条件の場所に同一樹種を植林し、一定期間後伐採するので、結果として天然林からの場合より、得られる原木もより一定したものとなる。
或いは、汎用性を重視するなら、再生紙を用いてもよい。再生紙は、古紙ないし故紙とも称される。印刷済み印刷用紙から再生紙を得る場合には、古紙パルプを得る際、脱墨しておくのが白色度を高めるため好ましい。使用済みのコピー用紙や各種記録用紙を原料として再生紙を得る場合も同様である。
不正防止や電子情報付与のため、支持体中にICチップ埋込みや、支持体上にICタグ貼り付け、バーコード印刷など公知の技術を用いてもよい。
また、本発明の不可視情報印刷シートには、スクラッチ発色用インキを用いた情報部分に加え、非情報部分も設けられているため、地紋等の印刷を行なう場合、非情報部分の絵柄も考慮する事が好ましい。(以下、絵柄とは、文字、数字、絵模様から単なるベタや網点に至るまでを包括する広い意味である。)
また、非情報部分の絵柄は特に限定されない。例えば、様々な地紋の模様、数字の1,2,3などを配列したものであったり、ことわざや商号などであったり、あるいは花柄の様な複雑な模様などがあげられる。一例として非情報部分の絵柄が単純な図形の連続である網点印刷による場合、網点の線数および網点の形状は任意に選択できる。例えば網点の形状に関しては円、楕円、四角などを使用することができる。網点の線数は、好ましくは25〜175線である。25線より少ないと目の良い者には個々の網点が判別出来る恐れがある。175線より多いと印刷条件の少しの変化により印刷物の出来映えにムラが出る恐れがある。
この事を図面による例示を用いて更に説明する。図3に示される様に非情報部分と情報部分の絵柄を、重ね合わせた(合成した)ものに相当する印刷物が本発明の不可視情報印刷シートの理解しやすい例である。図3では説明のため、情報部分も可視化したものとして図示しているが、実際には図1に例示した非情報部分の正方形のみが可視情報であり、図2に示す情報部分の「当」の字は不可視である。従って、図3は実際には、図1と同様に見える。図3の非情報部分内の下層露出領域全体に情報部分を形成する必要は特になく、非情報部分内の下層露出領域の一部に情報部分を形成すれば良い。或いは、情報部分と非情報部分は重なり合わないように構成する事も好ましい。また、非情報部分と情報部分との間には適宜空白を設けても良い。また、不可視情報印刷シートの一つの面に、情報部分、非情報部分のいずれもそれぞれ複数あってもよい。
作製例1は、ワニス、各インキベース、スクラッチ発色用インキの作製例である。
(ワニスの作製)
植物油としてアマニ油20質量部、ロジン変性フェノール樹脂(質量平均分子量60000、酸価20mgKOH/g)50質量部、スピンドル油20質量部を配合して約200℃で約1時間加熱して樹脂を溶解させた後、スピンドル油10質量部、アルミニウムキレート剤1質量部を添加して約180℃で約1時間加熱し、ワニスを得た。
(スクラッチ発色用電子供与性染料前駆体インキベースの調製)
上記ワニス50質量部、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン30質量部、スピンドル油5質量部を3本ロールミルで練肉し、上記ワニス10質量部、スピンドル油10質量部を添加することによってスクラッチ発色用電子供与性染料前駆体インキベース(a)を調製した。
(スクラッチ発色用電子受容性化合物インキベースの調製)
上記ワニス50質量部、4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン30質量部、スピンドル油5質量部を3本ロールミルで練肉し、上記ワニス10質量部、スピンドル油10質量部を添加することによってスクラッチ発色用電子受容性化合物インキベース(b)を調製した。
(スクラッチ発色用インキの調製)
上記2種のインキベース(a)、(b)をそれぞれ1:2の質量比率で混合し、ドライヤーのナフテン酸マンガンを該インキベース合計の0.2質量%添加し、十分撹拌して均質化することによって、スクラッチ発色用インキを得た。
次の条件で不可視情報印刷シートを得る条件を定めた。製図の都合上、非情報部分の印刷面積率と情報部分の印刷面積率の和が100%になるようにした。
なお、作製例2は、非情報部分(線数50の網点印刷)内の下層露出領域に情報部分(線数50の網点印刷)が設けられる様に絵柄を設計した。
(印刷速度)
150m/min
(印刷に使用した用紙)
三菱IJフォーム用紙 157g/m2(三菱製紙株式会社製)
(給湿液)
5%IPA−0.2%SEVENSTAR(大日精化社製)の混合液
(使用刷版)
HPF 0.24mm(富士フイルム社製)
(非情報部分の印刷用インキ)
SCR SOY TF墨(東洋インキ製造株式会社製)
(非情報部分の網点の線数、網点の角度、網点の形状)
50線、45度、円形 (図1の例示とは網点形状が異なる。)
(情報部分のスクラッチ発色用インキ)
作製例1で得たものを用いた。
(情報部分の網点の線数、網点の角度、網点の形状)
50線、45度、円形 (図2の例示とは網点形状が異なる。)
(絵柄)
非情報部分:20mm角の正方形。
情報部分:非情報部分の中央部にゴシック体太字全角で「当」、24ポイント。
なお、情報部分の網点は正確に非情報部分の網点とは重ね合わないように製図した。図3はその一例。
(インキ膜厚)
1.4μm
(印刷機)
MVF−18D(株式会社ミヤコシ製)
(印刷順序)
先に非情報部分、次いで情報部分を印刷した。
次の条件で不可視情報印刷シートを得る条件を定めた。
(印刷速度)
150m/min
(印刷に使用した用紙)
三菱IJフォーム用紙 157g/m2(三菱製紙株式会社製)
(給湿液)
5%IPA−0.2%SEVENSTAR(大日精化社製)の混合液
(使用刷版)
HPF 0.24mm(富士フイルム社製)
(非情報部分の印刷用インキ)
SCR SOY TF墨(東洋インキ製造株式会社製)
(非情報部分の網点の線数、網点の角度、網点の形状、印刷面積率)
50線、45度、円形、50%
(情報部分のスクラッチ発色用インキ)
作製例1で得たものを用いた。
(情報部分の印刷面積率)
100%(ベタ印刷)
(絵柄)
非情報部分:20mm角の正方形
情報部分:非情報部分の中央部にゴシック体太字全角で「当」、24ポイント
(インキ膜厚)
1.4μm (情報部分のために用いたスクラッチ発色用インキのみとしての膜厚)
(印刷機)
MVF−18D(株式会社ミヤコシ製)
(印刷順序)
先に非情報部分、次いで情報部分を印刷した。
作製例1記載のインキを作製例2の条件で印刷し、不可視情報印刷シートを得た。ただし、非情報部分及び情報部分の印刷面積率を次のように定めた。
非情報部分:印刷面積率60%
情報部分 :印刷面積率40%
作製例1記載のインキを作製例2の条件で印刷し、不可視情報印刷シートを得た。ただし、非情報部分及び情報部分の印刷面積率を次のように定めた。なお、実施例2においては、作製例2で示した情報部分の網点形状を下記の様に変更した。
非情報部分:印刷面積率50%
情報部分 :印刷面積率50% (網点形状は四角形)
作製例1記載のインキを作製例2の条件で印刷し、不可視情報印刷シートを得た。ただし、非情報部分及び情報部分の印刷面積率を次のように定めた。
非情報部分:印刷面積率40%
情報部分 :印刷面積率60%
作製例1記載のインキを作製例2の条件で印刷し、不可視情報印刷シートを得た。ただし、非情報部分及び情報部分の印刷面積率を次のように定めた。
非情報部分:印刷面積率30%
情報部分 :印刷面積率70%
作製例1記載のインキを作製例2の条件で印刷し、不可視情報印刷シートを得た。ただし、非情報部分及び情報部分の印刷面積率を次のように定めた。
非情報部分:印刷面積率20%
情報部分 :印刷面積率80%
作製例1記載のインキを作製例2の条件で印刷し、不可視情報印刷シートを得た。ただし、非情報部分及び情報部分の印刷面積率を次のように定めた。
非情報部分:印刷面積率10%
情報部分 :印刷面積率90%
作製例1記載のインキを作製例2の条件で印刷し、不可視情報印刷シートを得た。ただし、非情報部分及び情報部分の印刷面積率を次のように定めた。
非情報部分:印刷面積率70%
情報部分 :印刷面積率30%
作製例1記載のインキを作製例2の条件で印刷した。ただし、非情報部分及び情報部分の印刷面積率を次のように定めた。
非情報部分:印刷面積率5%
情報部分 :印刷面積率95%
作製例1記載のスクラッチ発色用インキを、作製例3の条件で印刷し、不可視情報印刷シートを得た。ただし、非情報部分及び情報部分の印刷面積率を次のように定めた。
非情報部分:印刷面積率10%
情報部分 :印刷面積率100%(ベタ印刷 非情報部分上に重ね刷り)
作製例1記載のスクラッチ発色用インキを、作製例3の条件で印刷し、不可視情報印刷シートを得た。ただし、非情報部分及び情報部分の印刷面積率を次のように定めた。
また、非情報部分の正方形の絵柄中に、情報部分の絵柄の輪郭よりはわずかに大きい、小さな正方形の白抜け部分を設け、非情報部分と情報部分とが重ならないようにした。
非情報部分:印刷面積率10%
情報部分 :印刷面積率100%(ベタ印刷)
作製例1記載のスクラッチ発色用インキを、作製例3の条件(但し、非情報部分は印刷しない)で印刷した。非情報部分及び情報部分の印刷面積率を次のように定めた。
非情報部分:印刷面積率0%(非情報部分を設けていない。)
情報部分 :印刷面積率100%(ベタ印刷)
実施例1〜6、参考例7〜10及び比較例1で得られた不可視情報印刷シートの支持体表面を目視観察により、不可視性を以下の3段階で評価した。○は情報が全く視認されない。△は情報が視認されにくいが不可視情報があることが分かる。×は情報が視認される。なお、○が、特に不正行為や誤操作による視認を防ぐ必要のある用途での実用に供するレベルのものである。
実施例1〜6、参考例7〜10及び比較例1で得られた不可視情報印刷シートの印刷部分を爪で擦り、可読性を以下の3段階で評価した。○は情報の読み取りも良好である。△は情報の読み取りは可能であるがやや不鮮明である。×は情報の読み取りは不可能である。なお、○と△が、実用に供するレベルのものである。
しかしながら、実施例1〜6、参考例7〜10及び比較例1の不可視情報印刷シートにおいて、作製例2、作製例3に示した情報部分の文字のポイント数を12ポイントにして同様に評価すると、いずれも不可視性、可読性の評価が○であった。
また、大きな絵柄でもなお不可視性がよい事から、塗り絵(スクラッチ操作により絵柄が可視化される。)などの用途にも有効である。
2.情報部分 (四角網点による「当」の字。網点は理解のため大きくしている。)
3.支持体
Claims (1)
- 支持体の同一面上に、電子供与性染料前駆体、電子受容性化合物及びワニスを含有するスクラッチ発色用インキで印刷される情報部分と、有色または無色の印刷用インキで印刷される非情報部分とで構成される印刷部分が設けられ、
情報部分の印刷面積率が40%以上かつ90%以下であり、
非情報部分の印刷面積率が、10%以上かつ60%以下である
ことを特徴とする不可視情報印刷シート。
(但し、非情報部分のうち有色または無色の印刷用インキが占める面積の割合を印刷面積率とする。)
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