JP4818561B2 - クロスフロー精密濾過による封入体の精製 - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は、高度に濃厚化された粒状物(粒子)含有溶液中の封入体(inclusion body)(屈折性物体)を濃縮及び/又は精製する方法であって、封入体を含有する液体(溶液及び懸濁液を含む)を、1又はそれ以上の半透膜(semi-permeable membranes)に対して接線方向に案内し、封入体は膜の後方に留めさせ、相対的により小さな分子量の物質には膜を通過させ及び/又は膜に吸着させて、濃縮(濃厚化)された及び/又は精製された封入体液(溶液及び懸濁液を含む)を得る方法に関する。同様にして、封入体懸濁液から細胞壁粒状物が除かれる。本発明は更に、懸濁液中の封入体を濃縮及び/又は精製するため、並びに封入体製剤から細胞壁粒状物を除くためにクロスフロー精密濾過装置(crossflow microfiltration unit)を使用することにも関する。
【0002】
本発明は、高度に濃厚化された粒状物含有液(溶液及び懸濁液を含む)中の封入体を濃縮及び/又は精製する方法、封入体含有液から細胞壁粒状物を除去する方法、並びに、封入体含有液中の封入体を濃縮及び/又は精製するため、並びに封入体製剤から細胞壁粒状物を除くためにクロスフロー精密濾過装置を使用することに関する。
【0003】
用語の定義
「封入体(屈折性物体)」は、Escherichia coli中の異種又は同種タンパク質を高度に圧出する場合にしばしば形成され、リボソーム及びタンパク質生合成の酵素、核酸、高度に集合したタンパク質からなる。封入体は電子密度の高い非晶質の粒状物であって、細胞質とは区別される境界を有している(Schoemaker JM et al.(1985):EMBO J4:775-780)。封入体が形成される際、種々の相互作用によって、その他の種々の汚染物質、例えば、エンドトキシン(endotoxin)、細胞崩壊物(debris)及び脂質を二次的に吸着させ(又は吸収する)可能性がある(Marston FAO(1986):Biochem.J.240:1-12)。
【0004】
「バイオマス(biomass)」とは、本発明に関して、細胞溶解産物(lysate)中に生じる種々の高分子量及び低分子量成分の総和を示す。特に、細胞崩壊物(細胞壁粒状物)と封入体との割合によって、更に核酸、エンドトキシン、可溶性タンパク質及び低分子量成分などの成分も含めて、濾過すべき物質の物理化学的特性が決定される。バイオマス濃厚物(concentrations)(又は濃縮物)の情報は、細胞溶解前における湿潤状態の細胞重量の濃度に常に基づく。これをバイオマス当量と称する。
【0005】
「膜間差圧(transmembrane pressure)」(TMP)は、
【数1】
TMP=(入口圧力+出口圧力)/2−透過圧力 [バール]
で表される。「入口圧力」は、保持液入口(カセットの入口開口部)における圧力である。「出口圧力」は、保持液出口(カセットの出口開口部)における圧力である。「透過圧力」は、透過液(濾液)出口の圧力である。
【0006】
「透過率、トランスミッション(transmission)」は、本発明に関して、膜を通して透過液中へ可溶性成分を取り出すことを意味する。このために、濾過の間の種々の時間(X)にて保持液(retentate)及び透過液(permeate)からサンプルを採取し、遠心処理(14000×g、15分)して、可溶性の上澄みを、適度に希釈した後、280nmにて光度測定(280nmにおける光学濃度(OD)の測定)を行う。各時間Xにおける透過液のOD280データ(OD280(透過液(X)))を、以下の式:
【数2】
透過率=OD280(透過液(X))/OD280(保持液(X))×100
に基づいて、各時間Xにおける保持液のOD280データ(OD280(保持液(X)))に関連付ける。透過率は、一般に、ダイアフィルトレーション(diafiltration)の間で変化する。最初は、膜には吸着成分が付着しておらず、被覆層も形成されていない。従って、濾過を開始した時点での透過率は、定義により100%である。しかし、濾過の間で、徐々に被覆層が形成され、これは可溶性成分が膜を通って透過物の中へ移動するのを妨害するので、透過率は一般に低下する。従って、透過率は全体での平均として(平均透過率)表現することができる。
【0007】
「除去率(removal)」は、本発明に関して、保持液から可溶性成分を除くことを意味する。この事項に関して、ダイアフィルトレーションの間の種々の時間(X)にて保持液から試料を取り出し、適切な希釈を行った後、遠心処理(14000×g、15分)された可溶性の上澄み(supernatant)を、280nmにて光度的測定(280nmにおける光学濃度(OD)の測定)を行う。OD280データ(OD280(透過液(X)))を、保持液中に最初から存在していた値である可溶性上澄みのOD280値に、式:
【数3】
除去率=100−(OD280(保持液(X))/OD280(保持液(0))×100)
によって関連付ける。除去率は、一般に、ダイアフィルトレーションの最後まで最大値に近づく。従って、このデータは、可溶性成分の達成した最大除去率を表す。
【0008】
従来の技術
タンパク質の化学において、封入体の精製方法は経験的なものであった。従来技術における既知の実験室的方法において、得られる生物学的物質(例えば、E.coli細菌細胞)は、例えば、溶解(lysis)(一般に、リゾチーム(lysozyme)による酵素的溶解、超音波処理又は高圧均質化が用いられる)の後で遠心処理され、得られる沈殿物(一般に、封入体及び非溶解細胞、例えば細胞外被及び細胞壁フラグメントを含む)は、沈殿作用を利用する緩衝液により洗浄されるか、又はその代わりとしてのクロスフロー精密濾過に付される。沈殿プロセスは、一般に、封入体を細胞から放出させた後の精製に用いられている(例えば、Schoner RGら(1985年):Biotechnology 3:151-154頁;Sharma SKら(1986年):J.Biotechnol.4:119〜124頁)が、この方法はラージスケールでは問題を生じるおそれがある(Forman SMら(1994年):J.Membr.Sci.48:263〜279頁)。封入体は、所望する純度までクロスフロー精密濾過を利用して洗浄することができる(Meagher MMら(1994年):Biotechnol. Bioeng.43:969〜977頁;Forman SMら(1990年):J.Membr.Sci.48:263〜279頁)。
【0009】
封入体の平均粒子寸法は、発現される(expressed)特定のターゲットタンパク質、使用される培地、発現システム(expressed system)、宿主種(host strain)などに依存し、ヒト成長ホルモン(human growth hormone)についての0.07μm(Blum Pら(1992年):Bio/Technology 10:301〜304頁)から、β−ラクタマーゼ(lactamase)についての1.5μm(Bowden GAら(1991年):Bio/Technology 9:725〜730頁)までの範囲をとり得る。文献からのその他の例には、1.26μm(±1.2μm)の粒子直径のプロキモシン(prochymosin)封入体、及び0.81μm(±0.4μm)の粒子直径のインターフェロン(Taylor Gら(1986年):Bio/Technology 4:553〜557頁)がある。しかしながら、細胞壁崩壊物は、溶解プロセスに応じて、0.05μm〜1μmの範囲の粒子寸法を有する(Bailey SM及びMeagher MM(1997年):Biotechnol. Bioeng. 56(3):304-310頁)。更に、溶解の程度も粗ホモジェネート(crude homogenate)中の粒子寸法分布に影響を及ぼす。従って、多くの粗ホモジェネートは、封入体、細胞壁崩壊物及び非溶解細胞とオーバーラップする粒子寸法分布を有している。
【0010】
Formanらは、濾過しようとする生成物溶液中の増加するバイオマス濃度と透過流束(又は透過液フラックス(permeate flux))との間の対数的関係を規定している。即ち、濾過しようとする生成物溶液中の初期バイオマス濃度が増大すると、透過流束は急速に低下するのである。Formanらは、0.45μmの排除限界を有するDurapore膜(Millipore)について、25g/l(2.5%)バイオマス当量にて14l/hm、50g/l(5%)バイオマス当量にて12l/hm、並びに100g/l(10%)バイオマス当量にて8l/hm以下という最大透過流束を規定している。これらの実験における膜のバイオマス負荷(load)は、約1.4kgの湿潤細胞塊当量(wet cell mass equivalent)/mであった。生成物溶液中における所定のバイオマス濃度で、透過流束をTMPの急激な上昇を生じさせる特定の限度まで増大させると、膜の細孔に詰まり(fouling)が生じる。逆に言えば、所定のTMPにおける透過流束は濾過時間を通して降下する。
【0011】
他の研究グループ(Bailey SM及びMeagher MM(1997年)):J.Membr.Sci.131:29-38頁)は、ポリスルホン中空繊維モジュール又はポリビニリデンフルオリド(PVDF)カセット・モジュールの場合、4〜6%(40〜60g/l)のバイオマス負荷であっても、時間の経過に従って透過率及び透過流束は低下すること、及びこれはカオトロピック剤(chaotropic agent)、例えばグアニジンヒドロクロリドを添加することによってより顕著になることを述べている。
【0012】
Maegher及び共同研究者(Maegher MMら(1994年):Biotechnol. Bioeng. 43:969-977頁)は、Durapore膜(ポリエーテルスルホン、0.1μm)で、IL−2封入体を精製することについて同様の結果を報告している。保持液中の7%(70g/l)湿潤細胞塊当量のバイオマス濃度にて、タンパク質透過率及び透過流束(20〜10l/hm)の両者が濾過時間を通して顕著に低下し、これは膜被覆層の生成及び圧縮のためであるとされていた。膜へのタンパク質の吸着は、タンパク質溶液及び膜自体の両者の物理化学的特性に依存する。
【0013】
このように、従来技術においては、一定の操作パラメーター(圧力、透過流束、保持液流れ)及び非常に高いバイオマス濃度にて封入体溶液を濾過することができる既知の方法はなかったのである。多くの濾過サイクルにわたって特徴的な濾過パラメーターの再現性に関する直接的な情報を、文献には見出すことができない。封入体を含む懸濁液を高度に精製するためにクロスフロー精密濾過プロセスを工業的規模に適用することはこれまでは妨げられていた。
【0014】
発明の主題
本発明の目的は、クロスフロー精密濾過に基づく精製及び濃縮方法であって、簡単な手法にて、1つ及び多くの濾過サイクルの間に、一定の操作パラメーターにより工業的に妥当な量の封入体を精製する方法を提供することである。本発明のもう1つの目的は、特に変性したターゲットタンパク質の再フォールディング(refolding)及びクロマトグラフィー的最終精製によって、その後の工程にて、工業的に妥当な収率での再現性が達成されるように、細胞壁粒状物及び他の低分子量成分の濃度を低下させることである。
【0015】
第1の要旨において、本発明は、溶液中の封入体を精製及び/又は濃縮する方法であって、タンパク質封入体含有液を1又はそれ以上の半透膜に対して接線方向に導き、膜は封入体を留め、比較的小さな分子量若しくは粒子直径を有する成分若しくは物質には膜を通過させて、濃縮された及び/又は精製された封入体溶液を得ることを特徴とする方法に関する。
【0016】
もう1つの要旨において、本発明は、封入体含有製剤から細胞壁粒子を除去する方法であって、封入体含有製剤を1又はそれ以上の半透膜に対して接線方向に導き、封入体は膜に留めさせ、比較的小さな分子量若しくは粒子直径を有する成分若しくは物質には膜を通過及び/又は吸着させて、粒状物が本質的に除かれた封入体溶液を得ることを特徴とする方法に関する。
【0017】
本発明の方法によって、クロスフロー精密濾過装置を用いて封入体を精製及び濃縮することができることが見出された。この点に関して、驚くべき新しい事項は、
出発製剤中の可溶性及び粒状物成分(バイオマス)が高負荷である場合であっても、被覆層を形成して濾過能力を低減させたり及び/又は膜を閉塞させたりすることなく、安定な操作ポイントにて封入体を濾過することができるということである。今日まで、保持液中で達成し得るバイオマス濃度は低かった。しかしながら、高いバイオマス濃度の場合には、保持液チャンネルの閉塞は、濾過サイクル中又は複数の操作サイクルでの操作ポイントの変化が増大する原因となり、保持液フロー及び透過流束が着実に低下する原因となっていた。複数のサイクルの後で、達成され得る透過流束は、経済的に魅力がある操作をもたらすことができない。このように閉塞される膜の清浄化は、複雑であって、通常は完全なものではないということが見出されている。
【0018】
一方で、膜のバイオマス負荷が低い場合には、膜の閉塞を比較的生じにくいが、特に工業的に妥当な規模において、極端に大きな濾過面積が必要とされ、このことはクロスフロー精密濾過工程の経済性に負の効果(マイナス要因)となっている。
【0019】
従って、クロスフロー精密濾過はこれまで、工業的に妥当な規模で及び高いバイオマス濃度にて、封入体製剤の精製及び濃縮に用いられていなかった。
【0020】
しかしながら、本発明に用いられる変性セルロースハイドレート膜カセットによれば、驚くべきことに、出発製剤中の可溶性及び粒状物成分(バイオマス)の高負荷であっても、被覆層が生成することによって膜を閉塞したり及び/又は濾過能力を低下させることなく、安定な操作ポイントにて封入体の濾過を容易に行うことができる。安定な操作ポイントは、驚くべきことに、多くの濾過サイクルにわたって保たれる。
【0021】
本発明の方法は、50g/lから2500g/lの範囲、好ましくは500g/lから1500g/lの範囲の高いバイオマス濃度にて、封入体を精製及び/又は濃縮する。膜のカットオフ(cut-off)の選択は、封入体の粒子寸法分布及び平均粒子直径に依存する。本発明において用いられる変性された親水性セルロースハイドレート膜について、カットオフは0.1〜0.65μm、好ましくは0.45μmである。
【0022】
種々の体積を処理することができ、好ましくは1〜100000lの体積、特に好ましくは1〜2000lの体積を有する溶液を処理することができる。好適な圧力条件下で、封入体を含有する溶液を膜に案内し、オーバーフロー圧を膜間差圧(TMP(transmembrane pressure)、又は膜間差圧)よりも大きくすることが好ましい。操作圧力は、好ましくは0.05〜3バールのTMP、特に好ましくは0.1〜0.5バールのTMP、最も好ましくは0.2〜0.4バールのTMPであって、オーバーフロー圧は膜間差圧よりも大きい。保持液フローは広い範囲で変動してよく、乱流(レイノルズ数30以上、Meyeroltmanns F(1991年):BioTech 5:918-921)が達成されるように選択されるべきである。乱流が達成される際の最小保持液フローを小さくするため、本発明に用いられる膜モジュールの中にスクリーンが形成される。そのようなスクリーンの形状及び幾何学的配置は、本願と同日に出願された「Crossflow filter cassettes in the form of improved wide-gap modules」という発明の名称の別の特許出願の中で説明されている。
【0023】
バイオマス負荷について、保持液中のバイオマス濃度(g/l単位)と、面積−比バイオマス負荷(kg/m)との間での区別をする必要がある。保持液中のバイオマス濃度は、非常に高い場合には、保持液チャンネルの閉塞をもたらし得るが、一方、面積−比バイオマス負荷は、非常に高い場合には、膜への被覆層の生成(詰まり(fouling))をもたらす。
【0024】
本発明に用いられる変性セルロースハイドレートモジュールの保持液バイオマス濃度は1500g/lまでであり得るが、面積−比バイオマス負荷は30kg/mまで上昇し得る。
【0025】
本発明の方法は、温度を変化させて実施することもできる。4℃〜40℃の温度範囲が好ましい。
【0026】
本発明のもう1つの要旨では、本発明によって調製される封入体製剤は、出発物質と対比して、著しく低いエンドトキシン汚染を示す。
【0027】
実施例
ここに記載する実験では、種々の方法で変性され、変性セルロースハイドレートで形成されたヒドロザルト(Hydrosart)(登録商標)膜(Sartorius AG、ドイツ)を有するスクリーン・チャンネル・モジュールを用いた。各モジュールは、マトリックスの幾何学的形態に実質的な差異がある。ヒドロザルト(登録商標)膜は、0.1μm、0.2μm、0.45μm及び0.65μmの排除限界のものが市販されている。
【0028】
【表1】
使用したヒドロザルト・モジュールの特性データ
Figure 0004818561
【0029】
1.出発溶液の調製
従来技術における発酵技術(Riesenbergら、1990年:Appl.Microbiol.Biotechnol.34:77-82頁)によって、封入体の形態(例えば、インターロイキン−4 R121D Y124D)で、ターゲットタンパク質を含有するE. Coli W3110細胞塊を調製した。酵素的溶解(リゾチーム(lysozyme)1mg/g乾燥細胞塊)の後、標準的ホモジナイザー(Bran&Luebbe、ドイツ)を用いて30〜40%の湿潤バイオマス濃度にて細胞を粉砕した。使用した緩衝液は、5mM エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含む100mM トリス−HCl(pH8)であった。500バールで3つの均質化サイクルにて機械的細胞溶解を達成した。溶解の程度は、画像解析(image analysis)を用いて測定して、約80〜90%であった。得られた粗ホモジェネートは、分離装置(Westfalia、ドイツ)を用いて引き続いて濃縮し、乾燥物質全体をスラッジで集めた。続いて、流動性の沈殿を液体窒素中で冷凍ペレット化(cryopelleted)し、更なる濾過実験に用いるまで−70℃にて貯蔵した。
上述の方法を用いて、粗ホモジェネートの3つの独立したバッチを調製し、更に使用するまで−70℃にて冷凍ペレットとして貯蔵した。
【0030】
2.クロスフロー精密濾過後のエンドトキシン除去の測定
European Pharmacopoeia(Pharm. Eur.)によるリムルス(カブトガニ)変形細胞分解産物(limulus amoebocyte lysate)プロセスを用いて、封入体含有溶液(ダイアフィルトレーション前の保持液、ダイアフィルトレーション後の保持液)及び透過液全体の試料を分析した。エンドトキシンの試験は、エンドトキシン含有溶液をリムルス変形細胞分解産物溶液(LAL溶液)に添加することによって混合物をゲル化する「solid gel」プロセスに基づいて行った。ゲルの生成は数段階でカスケード式に進行する凝固に基づいて行われる。
【0031】
3.標準ヒドロザルト(登録商標)モジュールを有するクロスフロー精密濾過
装置の構成:
クロスフロー精密濾過装置は一般に、図10に示す要素を有して構成される。水の値(water value)の測定:
水の値を測定するためには、脱イオン水を用いて装置を運転し、フロー・リストリクタ弁(4及び5)を用いて以下の圧力を設定する。
R(入):2バール TMP:1バール
R(出):1バール
P:0.5バール
【0032】
いずれの場合にも、フローは保持液出口及び透過液出口にて測定する。測定は、最初に使用する前及び各生成物サイクルの前若しくは後でカセットの状態を調べるためのものである。
その後、洗浄緩衝液(0.05M トリス−HCl pH7、5mM(エチレンジアミン四酢酸)Na、0.1%両性イオン化剤(zwittergent)3−14)を用いて、装置全体の適度な濯ぎを行う。透過液出口(5)のフロー・リストリクタ弁を閉じ、ポンプを停止する。保持液溜めを空にし、その後封入体懸濁液を導入する。
【0033】
粗ホモジェネート内での濯ぎ及び装置の始動
冷凍ペレット化(cryopelleted)した粗ホモジェネートの一部(例えば最初の湿潤細胞塊(wet cell mass)の300gに相当)を解凍し、独立の保持液溜めへ導入する。洗浄緩衝液(0.05M トリス−HCl pH7、5mM(エチレンジアミン四酢酸)Na、0.1%両性イオン化剤(zwittergent)3−14(Fluka))を、懸濁液に対して上述の全保持液体積引く死体積(dead volume)まで添加し、保持液溜めをポンプ入口へ接続する。装置の死体積(dead volume)は0.55lである。透過液フロー・リストリクタ弁(5)を閉じてポンプを始動させ、保持液を約5分間循環させる。ポンプ出口(R(入))を調節して、又はフロー・リストリクタ弁を用いて以下の圧力を設定する:
R(入):1バール TMP:0.35バール
R(出):0.5バール
P:0.4バール
【0034】
これに関して、膜上に存在し得る被覆層を圧縮することを防止するために、透過バルブを特に注意深く開く。上述の設定から、0.35バールの膜間差圧(TMP(transmembrane pressure))が計算され、その圧力は予め行われていた操作ポイント測定において最適であることが見出された。
【0035】
ダイアフィルトレーション
その後に続くダイアフィルトレーションの間、保持液体積(retentate volume)は5回まで交換される。水緩衝液を連続的に添加することによって、保持液体積を一定のレベルに保持する。
それぞれ0.5lの透過液体積の場合の後で、圧力設定をチェックし、記録し(0.35バールの一定TMP)、保持液及び透過液からサンプルを採取する。更に、保持液フロー及び透過液フローを測定する。
【0036】
濃縮
ダイアフィルトレーションの後で、場合により、水緩衝液の供給を中断することによって、保持液を元の体積の約50%まで濃縮することもできる。
【0037】
保持液の除去
保持液を除去するため、透過液フロー・リストリクタ弁(5)をゆっくりと閉じ、保持液を循環させてポンプ送りする。その後、装置内に0.5〜1lの洗浄緩衝液(=死体積の1〜2倍)を導入し、保持液溜めの中に保持液をあける。
【0038】
装置の清浄化
透過液フロー・リストリクタ弁(5)を閉じたままにして、装置を最初に2リットルの0.9%NaCl溶液を用いて濯ぐ。ポンプ出力を保持液装置入口(R(入))の圧力を3バールになるように設定する。R(出)(7b)のフロー・リストリクタ弁を完全に開く。それから、更に2リットルの0.9%NaCl溶液を保持液循環部において約10分間ポンプ送りする。
その後、2.5リットルの2%強度のクエン酸溶液を用いて装置を濯ぐ。圧力設定は同じ状態に保つ。装置から1番目の0.5リットルを排出し、その後、約10分間で保持液循環部で溶液の運転を行う。
【0039】
約20リットルの脱イオン水を用いてクエン酸洗浄溶液を濯ぎ出す。その後、約40℃に加熱した2.5リットルの1%強度ウルトラシル(Ultrasil)-62溶液(Henkel AG、ドイツ)を入れて濯ぐ。圧力設定は同じ状態の保持する。最初の0.5リットルを装置から排出し、その後、約10分間保持液循環部で溶液の運転を行う。約20リットルの脱イオン水を用いてUltrasil清浄化溶液を再び濯ぎ出す。
【0040】
最終的に、40℃に加熱された2.5リットルの1N NaOH溶液を用いて、装置を濯ぐ。圧力設定は同じ状態の保持する。最初の0.5リットルを装置から排出し、その後、約10分間保持液循環部で溶液の運転を行う。それから、透過液出口(5)におけるフロー・リストリクタ弁を完全に開く。続いて、約20リットルの脱イオン水を用いて濯ぐことによって、装置から水酸化ナトリウム溶液を除去する。
最後に、(上述のようにして)水の値を再度測定する。
【0041】
カセットの貯蔵
短期間の間(7日まで)、組込み式カセットを含む装置全体を脱イオン水中で保存する。それより長い期間(7日以上)の不使用には、組込み式カセットを含む装置全体を20%水性エタノール中で保存する。
【0042】
イン−プロセス(in-process)モニタリング
試料を遠心処理(14000×g、15分間)し、洗浄緩衝液(wash buiffer)を用いて適度に希釈する。続いて、280nmにて、市販の分光光度計において対象キュベット(洗浄緩衝液)に対する光学濃度(OD))を測定する。
記載した実験プロトコルを用い、粗ホモジェネート(実施例1参照)の均一な部分から出発して、複数の濾過サイクルを実施した。
【0043】
結果
インターロイキン−4 R121D Y124Dの封入体を有するE.Coli粗ホモジェネート(部分#1)の第1のダイアフィルトレーション・サイクル(新しいヒドロザルト・スライス膜(0.1m、0.45μm))の結果を、図1に示す。除去時間と共に、保持液からの可溶性成分の除去率は向上し、55%のプラトーでの3.3体積交換の後で終了する。(完全に自由な膜に対応する)100%から出発し、3.3体積交換の後で、透過率は9%の最終値へ向かって徐々に降下する。保持液フローは46〜48l/hで実質的に一定である。透過流束は、3.3体積交換の後で、82l/hmから27l/hmへ徐々に低下している。
【0044】
生成物ランの前に、新しい膜モジュールの水の値を37.2l/h(保持液フロー)及び1968l/hm(透過流束)として測定した。生成物ラン及びモジュールの清浄化(上記参照)の後、22.8l/h(保持液フロー)及び1800l/hm(透過流束)が測定された。
【0045】
直ぐに続く生成物サイクルにおいて、正確に同じ出発条件を形成し、同じ出発生成物を用いた。最初の水の値は22.8l/h(保持液フロー)及び1848l/hm(透過流束)であった。粗ホモジェネート中での濯ぎの後、1.5l透過液体積後に、保持液フローは2.5l/hに、透過流束は2l/hmに低下した。その結果、生成物ランを打ち切り、上記プロトコルに基づいて装置を初期状態へリセットした。装置を洗浄した後の水の値は、19.4l/h(保持液フロー)及び1704l/hmであった。
【0046】
直後に続く生成物サイクルにおいて、正確に同じ出発条件を形成し(上記参照)、同じ出発生成物を用いた。生成物ランの前の水の値は、19.6l/h(保持液フロー)及び1680l/hm(透過流束)であった。このサイクルでは、装置の中へ粗ホモジェネート懸濁液を濯ぎ込むことはできなかった。保持液チャンネルは直ぐに閉塞した。その結果、生成物ランを打ち切り、上記プロトコルに基づいて装置を初期状態へリセットした。上述した標準的な清浄化プロトコルに基づいてカセットを清浄化することはできなかった。
【0047】
結論
保持液フロー及び透過流束について説明した水の値に基づいて、並びに生成物ランについて上述した保持液フロー及び透過流束に基づいて、230gの湿潤細胞塊(wet cell mass)当量/リットルにて、粒状物付着によって保持液チャンネルが閉塞したことは明らかである。膜自体は、3回のサイクルでの300gの湿潤細胞塊(wet cell mass)/mの膜のバイオマス負荷にて、被覆層の生成により著しい閉塞を生じた。
【0048】
4.変性ヒドロザルト(登録商標)モジュールによるクロスフロー精密濾過
実験の構成、手順及び清浄化プロトコルは実施例1に示すように選択した。出発物質の調製(実施例1参照)、並びに膜のバイオマス負荷(3kgの湿潤細胞塊当量/m)及びバイオマス濃度(230gの湿潤細胞塊当量/リットル)は、実施例2に示す条件と同様とした。
種々の型のスクリーン及びチャンネル構成を有する3種の変性ヒドロザルト(登録商標)モジュールについて試験した(実施例の部の一般的項目を参照)。膜自体は変えなかった(0.45μmの排除限界を有するヒドロザルト)。
【0049】
4.1 タイプ#1モジュールの結果
図2は、一例として、インターロイキン−4 R121D Y124Dの封入体を有するE.Coli粗ホモジェネート(部分#1)の第1のダイアフィルトレーション・サイクル(新しいヒドロザルト・スライスモジュール・タイプ#1(0.1m、0.45μm))を示している。保持液からの可溶性成分の除去率は濾過時間に伴って上昇し、3.3体積交換の後で、61%のプラトーにて終了している。(完全に自由な膜に対応する)100%から出発し、3.3体積交換の後で、透過率は9%の最終値へ向かって徐々に降下する。保持液フローは81〜86l/hで実質的に一定である。透過流束は、3.3体積交換の後で、82l/hmから21l/hmへ徐々に低下している。
【0050】
生成物ランの前に、新たに購入した変性膜モジュールの水の値を52.8l/h(保持液フロー)及び2136l/hm(透過流束)として測定した。生成物ラン及びモジュールの清浄化(上記参照)の後、46.8l/h(保持液フロー)及び1968l/hm(透過流束)が測定された。
【0051】
7回の生成物ランが続く生成物ランにおける保持液フロー及び透過流束を図3aに示している。生成物サイクルにおける保持液フローは、最初のサイクルの86l/hから、8回目のサイクルの19l/hへ低下している。第1と第2のサイクルの間で、生成物ランにおける最も大きい保持液フローの低下が観察された。平均透過流束は、15l/hm〜35l/hmの間で変動している。
すべての生成物ランにおいて、保持液からの可溶性成分の除去率は60%〜80%である。平均透過率は40%〜80%である。
【0052】
ヒドロザルトタイプ#1モジュールの清浄化からの結果、従って、生成物ランの前及び後での保持液フロー及び透過流束についての水の値を、図3bに示している。保持液の水の値はサイクルを通して着実に低下しており、5回目のサイクルにおいて急激に低下していることが明らかに観察される。標準的なヒドロザルトカセットの場合のように、これは保持液入口での閉塞の問題を示している。
8回のサイクルの間で、透過流束についての水の値は、2136l/hmから1344l/hmへ、即ち37%低下している。個々の清浄化工程の効率は、87%(最も低い工程効率)から100%(最良の工程効率)の間である。
【0053】
結論
変性ヒドロザルトカセットタイプ#1は、向上した性能のデータを既に明らかに示しており、それを8回の生成物ランにわたって用いることができた。しかし、標準的ヒドロザルトカセットタイプ#1は、同じ条件で、わずかに3回の生成物ランの後で不可逆的な閉塞を生じた。
複数のサイクルにわたる保持液チャンネルの閉塞の問題点は、タイプ#1に用いたスクリーンの構成及びチャンネルの幾何形状に表れている。生成物サイクルの間及び複数のサイクルにわたる連続的な変化のために、タイプ#1モジュールについて一定の操作ポイントを維持することも困難である。
【0054】
4.2 タイプ#2モジュールの結果
図4は、一例として、インターロイキン−4 R121D Y124Dの封入体を有するE.Coli粗ホモジェネート(部分#1)の第1のダイアフィルトレーション・サイクル(新しいヒドロザルト・スライスモジュール・タイプ#2(0.05m、0.45μm))を示している。保持液からの可溶性成分の除去率は濾過時間に伴って上昇し、3.8体積交換の後で、75%のプラトーにて終了している。(完全に自由な膜に対応する)100%から出発し、3.8体積交換の後で、透過率は25%の最終値へ向かって徐々に降下する。平均透過率は53%である。保持液フローは190l/hで実質的に一定である。透過流束は、156l/hmの初期値から出発して、定常的に低下し、38l/hmの値で終了している。生成物ランの前に、新たに購入した変性膜モジュールの水の値を648l/h(保持液フロー)及び3744l/hm(透過流束)として測定した。生成物ラン及びモジュールの清浄化(上記参照)の後、708l/h(保持液フロー)及び3720l/hm(透過流束)が測定された。
【0055】
6回の生成物ランが続く生成物ランにおける保持液フロー及び透過流束を図5aに示している。生成物ランにおける保持液フローは、実質的に一定であって、185l/h付近で変動している。生成物ランにおいて保持液フローの急激な低下は観察されない。平均透過流束は50l/hm付近で変動している。
すべての生成物ランにおいて、保持液からの可溶性成分の除去率は60%〜80%である。平均透過率は45%〜75%である。
ヒドロザルトタイプ#2モジュールの清浄化からの結果、従って、生成物ランの前及び後での保持液フロー及び透過流束についての水の値を、図5bに示している。保持液フローの水の値は最初のサイクルでの650〜700l/hと、最後のサイクルでの580l/hとの間でわずかに変動している。このことは、標準的なヒドロザルトカセット及び変性ヒドロザルトタイプ#1モジュールと対比して、保持液入口での閉塞の問題が明らかに低下したことを示している。
7回のサイクルの間で、透過流束についての水の値は、3744l/hmから3408l/hmへ、即ちわずかに9%低下している。個々の清浄化工程の効率は、92%(最も低い工程効率)から105%(最良の工程効率)の間である。
【0056】
結論
変性ヒドロザルトカセットタイプ#2は、標準的ヒドロザルトモジュールと比較して、及びヒドロザルトタイプ#1モジュールと比較して、明らかに向上した性能のデータを示しており、それを7回の生成物ランにわたって用いることができた。しかし、標準的なヒドロザルトカセットは、同じ条件で、わずかに3回の生成物ランの後で不可逆的な閉塞を生じた。
ヒドロザルトタイプ#2モジュールに用いたスクリーンの構成及びチャンネルの幾何形状について、複数のサイクルにわたる保持液チャンネルの閉塞の問題点は著しく低下している。1回の生成物ラン及び複数のサイクルで一定の条件であるため、バイオマス負荷が3kgの湿潤細胞塊当量/m(230gの湿潤細胞塊当量/リットル)であっても、ヒドロザルトタイプ#2モジュールの場合には安定した操作ポイントを保つことができる。
【0057】
4.3 タイプ#3モジュールの結果
図6は、一例として、インターロイキン−4 R121D Y124Dの封入体を有するE.Coli粗ホモジェネート(部分#2)の第1のダイアフィルトレーション・サイクル(新しいヒドロザルト・スライスモジュール・タイプ#3(0.1m、0.45μm))を示している。これらの実験では、保持液体積は3.1l(0.55l死体積)に低下している。保持液からの可溶性成分の除去率は濾過時間に伴って上昇し、3.8体積交換の後で、77%のプラトーにて終了している。(完全に自由な膜に対応する)100%から出発し、3.8体積交換の後で、透過率は25%の最終値へ向かって着実に降下している。保持液フローは129〜132l/hで実質的に一定である。透過流束は、31.7l/hm(±2.95)の平均値で実質的に一定である。
【0058】
生成物ランの前に、新たに購入した変性膜モジュールの水の値を105.6l/h(保持液フロー)及び1320l/hm(透過流束)として測定した。生成物ラン及びモジュールの清浄化(上記参照)の後、110.4l/h(保持液フロー)及び1344l/hm(透過流束)が測定された。
【0059】
Durapore V−スクリーン・カセット(排除限界0.45μm、濾過面積0.1m、親水性化されたポリビニリデンフルオリド(PVDF)、オープンチャンネルモジュール)を用いて、同じ条件下で平行実験を行った。実施例2に記載したものと同じ実験の構成を採用したが、カセットホルダーはDurapore膜用の対応するホルダーに交換した。この実験において、バイオマス負荷(粗ホモジェネート部分#2)は3kgの湿潤細胞塊当量/m又は230gの湿潤細胞塊当量/リットルであった。保持液体積は1.3lであり、3.8体積交換を行った(5l透過液体積)。保持液フローは90l/hであった。初期TMPは0.3バールに固定した。この実験では、他の実験のように、TMPを一定に保つことはせず、透過流束を38l/hmの値に固定した。TMPの上昇は、他の実験において透過流束の低下を示したのと同様に、膜細孔の閉塞が同程度であることを示している。
3.8体積の交換の後、70%の除去率が得られた。透過率は100%から10%へ低下した。濾過の間にTMPは0.3バールから0.65バールへ上昇した。この実験では、保持液フローを追跡しなかった。
【0060】
結論
ヒドロザルトタイプ#3は、同じ条件下で、Durapore V−スクリーンモジュールと比較して、より良好な性能データを示している。ヒドロザルトタイプ#3モジュールは保持液から約80%の可溶性タンパク質含量を除去しているが、Durapore V−スクリーンモジュールは約70%の除去率を達成している。2つの場合における透過率の変化は対応している。しかしながら、特に、透過流束(及びTMP)はヒドロザルトタイプ#3モジュールについてはほぼ定常的であり、一方、Durapore V−スクリーンモジュールの場合には、試験した他のタイプのものについて観察されたのと同様に、TMPは明らかに上昇(及び透過流束は低下)している。
【0061】
4.3.1 膜のバイオマス負荷の段階的増加
ヒドロザルトタイプ#3モジュールを用いる場合には、保持液フロー及び透過流束は濾過期間にわたって実際に一定に保たれ、以下の一連の実験において、保持液のバイオマス濃度及び膜のバイオマス負荷は5のファクターまで段階的に上昇した。第2の部分の粗ホモジェネート(#2)を用いた。
【0062】
膜のバイオマス負荷を増大させながら、4回の生成物ランが続く生成物ランにおける保持液フロー及び透過流束を図7aに示している。生成物ランにおける保持液フローは、3kgの湿潤細胞塊当量/mの第1のサイクルでの130l/hから、15kgの湿潤細胞塊当量/mの第4のサイクルでの100l/hへ低下している。従って、バイオマス負荷の500%の増加について、保持液フローは23%だけ低下している。平均透過流束は、3kgの湿潤細胞塊当量/mの第1のサイクルでの30l/hmから、15kgの湿潤細胞塊当量/mの第4のサイクルでの10l/hmへ低下している。従って、バイオマス負荷の500%の増加について、透過流束は50%だけ低下している。
【0063】
保持液からの可溶性成分の除去率は、3kgの湿潤細胞塊当量/mでの75%から、バイオマス負荷を5、10及び15kgの湿潤細胞塊当量/mへ増加させると、約60%変動している。平均透過率は30%から40%の間である。ヒドロザルトタイプ#3モジュールの清浄化からの結果、従って、生成物ランの前及び後での保持液フロー及び透過流束についての水の値を、図7bに示している。保持液フロー及び透過流束の両者についての水の値は実質的に一定であるが、膜のバイオマス負荷は500%増大した。このことは、保持液入口における閉塞の問題及び膜細孔における閉塞の問題点は、モジュールへの構造的変化によって著しく低下したことを示している。
各清浄化工程の効率は、93%(最も低い工程効率)から100%(最良の工程効率)の間である。
【0064】
もう1つの実験によって、ヒドロザルトタイプ#3モジュールの可能なバイオマス負荷の正確な限界を調べた。このために、ダイアフィルトレーションの開始のために用いた15kgの湿潤細胞塊当量/mから出発し、保持液中の封入体の濃度を特定の時間で上昇させた。この実験の結果を図8(A)に示す。保持液中のバイオマス濃度を1153gの湿潤細胞塊当量/lから1733g/lへ50%上昇させると、保持液フローは108l/hから72l/hへ、従って33%低下している。15kgの湿潤細胞塊当量/mから26kg/mへ膜のバイオマス負荷が70%上昇すると、透過流束は約16l/hmから約7l/hmへ、従って56%低下している。従って、膜のバイオマス負荷についての上限は、約22kgの湿潤細胞塊当量/mである。この限度以上では、まず透過流束が10l/hm以下に低下し、次いで、保持液フローは明らかに更に低下する。
【0065】
以下のサイクルにおいて、可能なバイオマス負荷を30kgの湿潤細胞塊当量/mに更に上昇させることは、これは2307gの湿潤細胞塊当量/lに対応するが、できず、濯ぎ工程の間で保持液入口の閉塞をもたらした。しかしながら、モジュールはまだ十分に清浄化可能であって、標準的清浄化プロトコル(実施例2参照)を行った後、122l/hの保持液水値及び1320l/hmの透過液水値を示した。
【0066】
標準的ヒドロザルトモジュール(0.1m、スライスフォーマット、ロット番号(Lot No.)96108741/No.008)を用いる比較実験において、第3の部分の粗ホモジェネート(#3)を用いて、3kgの湿潤細胞塊当量/m(230gの湿潤細胞塊当量/リットル)から出発すると、保持液のバイオマス濃度を10kgの湿潤細胞塊当量/mへ段階的に上昇させた(図8(B))。生成物ランにおける保持液フロー及び透過流束は、1つのバイオマス濃縮工程であっても、著しく低下している。10kgの湿潤細胞塊当量/m(769gの湿潤細胞塊当量/リットル)で、透過流束は既にわずかに12〜13l/hmであるが、わずかな透過液体積をダイアフィルトレーションに付した。
【0067】
結論
変性ヒドロザルトカセットタイプ#3は、著しく向上した性能のデータを示しており、バイオマス負荷を500%増大させて、それを5回の生成物ランにわたって用いることができた。標準的なヒドロザルトカセットは、同じ実験条件で、3kgの湿潤細胞塊当量/mのバイオマス負荷で、3回の生成物ランの後、既に不可逆的な閉塞を生じていた。
【0068】
タイプ#3に用いたスクリーンの構成及びチャンネルの幾何形状について、複数のサイクルにわたる保持液チャンネルの閉塞の問題はもはや明らかである。1回の生成物サイクル及び複数のサイクルにわたって、一定の条件であるために、22kgの湿潤細胞塊当量/m(1466gの湿潤細胞塊当量/リットル)までのバイオマス負荷であっても、ヒドロザルトタイプ#3を用いて安定な操作ポイントを維持することができる。
直接の比較では、標準的ヒドロザルトモジュールは、著しく低下したバイオマス負荷にて、明らかにより低い性能を示している。
【0069】
4.3.2 種々の粗ホモジェネート部分の効果
一連の実験において、異なるバッチの粗ホモジェネートによって生じる効果を同様に記録するため、15kgの湿潤細胞塊当量/mのバイオマス負荷にて、異なる粗ホモジェネートの部分(#3)と共にヒドロザルトタイプ#3モジュールを用いた。
新しい粗ホモジェネート部分#3についての生成物ランの保持液フローは、3サイクルで35l/hと一定であった。3サイクルで透過流束は10〜15l/hmの範囲で一定であった。除去率は40%〜50%であり、平均透過率は20%〜30%である。
標準的な清浄化プロトコルを行った後、水の値は、透過液水値が1300l/hm及び保持液水値が100l/hであった。
【0070】
結論
異なるバッチの粗ホモジェネート(#3)に替えても、粗ホモジェネート(#1)の第1のバッチを用いた前の実験において得られたものと対比し得る透過流束が得られている。保持液フラックスは、前の実験のように明らかに低い。ヒドロザルトタイプ#3モジュールの清浄化性は一定の高いレベルに保たれた。
【0071】
4.3.3 ヒドロザルトタイプ#3モジュールの操作ポイント測定
図9a/9bは、3kgの湿潤細胞塊当量/m(230g/リットルに対応)のバイオマス負荷にてヒドロザルトタイプ#3モジュールの操作ポイント測定を示している。図9aにおけるグラフ表示は、25gの湿潤細胞塊当量/lから100gの湿潤細胞塊当量/lでのDurapore膜(0.45μm)についての操作ポイント測定について記載したFormanらによって選択されたものに対応している。これらの文献のデータを、変性ヒドロザルトタイプ#3モジュールについての図9aに示されたデータと比較すると、以下の特徴が注目に値する:
変性ヒドロザルトタイプ#3モジュールについての最適TMPは0.35バールであること。この最適値を越えて増大すると透過流束が低下すること、及びこのことは膜の被覆層の肥厚化によって説明できること。
【0072】
ヒドロザルトタイプ#3モジュールを用いるこの実験において得られた透過流束は約20l/hmである。100gの湿潤細胞塊当量のバイオマス濃度にてDuraporeモジュールにより得られた最大透過流束は、8l/hm以下である。Durapore膜についての最適TMPは、約0.1バールである。
図9bは、3次元表示での同じ操作ポイント測定を示している。全体的な最適値は、0.35のTMP及び100l/hのフィルターに存在している。更に、70l/h及び150l/hであって、やはり0.35バールのTMPに、局部的な最適値が観察された。最適な操作ポイントの一覧を表2にまとめる。
【0073】
【表2】
Figure 0004818561
ヒドロザルトタイプ#3モジュールについての全体的及び部分的操作ポイント最適値。全体的最適値は太字で示している。2つの他の操作ポイントは、満足できる透過液フラックスが得られる部分的最適値を示している。バイオマス負荷:3kgの湿潤細胞塊当量/m。バイオマス濃度:230gの湿潤細胞塊当量/リットル 保持液。
【0074】
0.35バールの膜間差圧は、標準的ヒドロザルトモジュールについても最適であることが既に見出されている(データは特に示さない)。
【0075】
4.3.4 クロスフロー精密濾過によるエンドトキシン除去
濾過面積の15kg又は45kgの湿潤細胞塊当量/mのバイオマス負荷で、ヒドロザルトタイプ#3モジュール(フィルター面積0.1m)を用いる別の実験において、以下の結果及びエンドトキシン除去が得られた。
【0076】
【表3】
Figure 0004818561
全エンドトキシンの回収率はおよそ90%である。保持液から透過液へのエンドトキシンの除去率は約50%であって、0.3対数単位に対応する。
【0077】
4.3.5 0.6mモジュールフォーマットへのスケールアップ
表4(原表3)は、スケールアップ十ヶの結果を示している。これらの実験では、モジュールあたりのフィルター面積(Sartocon 2/3フォーマット)が0.6mであるヒドロザルトタイプ3モジュールを用いた。使用した装置は、基本的に、実施例2に説明したものと同様の構成を有している。しかしながら、スライスカセットホルダーはSartocon3カセットホルダーに交換しており、ポンプを適度な大きさ(4m/h)で、二重面シール(Johnson)を有する回転ピストンポンプに交換した。保持液溜め体積は5リットルへ拡大し、装置の死体積は2.5リットルであった。他の体積(例えば、清浄化用及び洗浄緩衝液体積)はそれに応じて調節した。
【0078】
【表4】
(原表3)E.Coli粗ホモジェネート精密濾過のスケール・アップについての実験結果のまとめ。例として、インターロイキン−4 R121D Y124Dの封入体を使用した。
Figure 0004818561
データは、同じ標準的条件(濾過及び清浄化条件、実施例2を参照)にて行った3つの実験からのそれぞれの場合の平均を示している。
【0079】
結果
表4(原表3)に適合するデータは、Sartocon3モジュールフォーマットを用いて、Sliceモジュールフォーマットのデータに従って変更して、ヒドロザルトタイプ3モジュールについて均等目盛を用いてことができることを示している。6の係数でスケール・アップすることによって、生成物ランにおける保持液フローのほぼ正確な6倍への上昇が得られた。これに対応して、保持液水値は6倍で上昇した。他の性能データ、例えば生成物ランの透過流束、透過液水値、除去率及び塗料は、特定の測定の精度限界の中で同程度に保たれた。
【0080】
引用文献
Apeler H, Wehlmann H (1998): Plasmids, their construction and their use in the manufacture of interleukin-4 and Interleukin-4 muteins. Europeran Patent application EP00100129.6, 2000年1月7日出願。
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Bowden GA、Paredes AM.Georgious G(1991年):Bio/Technology 9:725〜730頁
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Reisenberg D、Menzel K、Schluz V、Schumann K、Veith G、Zuber G、Knorre WA(1990年):Appl.Microbiol.Biotechnol.34:77-82
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Sharma SK(1986):J.Biotechnol. 4:119-124
Taylor G(1986):Bio/Technology 4:553-557

【図面の簡単な説明】
【図1】 インターロイキン−4 R121D Y124Dの封入体を有するE.Coli粗ホモジェネート(部分#1)のダイアフィルトレーション。新たに購入したヒドロザルト Slice標準モジュール(0.1m)3051860601 W-SG、Lot No.96108741/13を用いた1番目の生成物サイクル。300gの湿潤細胞塊当量(3kg湿潤細胞塊当量/m)。全保持液体積2.55l(117gの湿潤細胞塊当量/リットル)。
【図2】 インターロイキン−4 R121D Y124Dの封入体を有するE.Coli粗ホモジェネート(部分#1)のダイアフィルトレーション。新たに購入した変性ヒドロザルト Sliceモジュールタイプ#1(0.1m)Lot No.98025101を用いた1番目の生成物サイクル。300gの湿潤細胞塊当量(3kg湿潤細胞塊当量/m)。全保持液体積2.55l(117gの湿潤細胞塊当量/リットル)。
【図3a】 サイクル数の関数としての生成物ランの保持液フロー(l/h)及び平均透過流束(l/hm)。インターロイキン−4 R121D Y124Dの封入体を有するE.Coli粗ホモジェネート(部分#1)のダイアフィルトレーション。新たに購入した変性ヒドロザルト Sliceモジュールタイプ#1(0.1m)Lot No.98025101を用いた1番目〜9番目の生成物サイクル。300gの湿潤細胞塊当量(3kg湿潤細胞塊当量/m)。全保持液体積2.55l(117gの湿潤細胞塊当量/リットル)。
【図3b】 生成物ランの前後における水値。サイクル数の関数としての保持液フロー(l/h)及び透過流束(l/hm)。インターロイキン−4 R121D Y124Dの封入体を有するE.Coli粗ホモジェネート(部分#1)のダイアフィルトレーション。新たに購入した変性ヒドロザルト Sliceモジュールタイプ#1(0.1m)Lot No.98025101を用いた1番目〜9番目の生成物サイクル。300gの湿潤細胞塊当量(3kg湿潤細胞塊当量/m)。全保持液体積2.55l(117gの湿潤細胞塊当量/リットル)。
【図4】 インターロイキン−4 R121D Y124Dの封入体を有するE.Coli粗ホモジェネート(部分#1)のダイアフィルトレーション。新たに購入した変性ヒドロザルト Sliceモジュールタイプ#2(0.05m)Lot No.98055101を用いた1番目の生成物サイクル。300gの湿潤細胞塊当量(3kg湿潤細胞塊当量/m)。全保持液体積1 .3l(230gの湿潤細胞塊当量/リットル)。
【図5a】 サイクル数の関数としての生成物ランの保持液フロー(l/h)及び平均透過流束(l/hm)。インターロイキン−4 R121D Y124Dの封入体を有するE.Coli粗ホモジェネート(部分#1)のダイアフィルトレーション。新たに購入した変性ヒドロザルト Sliceモジュールタイプ#2(0.05m)Lot No.98055101を用いた1番目〜7番目の生成物サイクル。300gの湿潤細胞塊当量(3kg湿潤細胞塊当量/m)。全保持液体積1.3l(230gの湿潤細胞塊当量/リットル)。
【図5b】 生成物ランの前後における水値。サイクル数の関数としての保持液フロー(l/h)及び透過流束(l/hm)。インターロイキン−4 R121D Y124Dの封入体を有するE.Coli粗ホモジェネート(部分#1)のダイアフィルトレーション。新たに購入した変性ヒドロザルト Sliceモジュールタイプ#2(0.05m)Lot No.98055101を用いた1番目〜7番目の生成物サイクル。300gの湿潤細胞塊当量(3kg湿潤細胞塊当量/m)。全保持液体積1.3l(230gの湿潤細胞塊当量/リットル)。
【図6】 インターロイキン−4 R121D Y124Dの封入体を有するE.Coli粗ホモジェネート(部分#2)のダイアフィルトレーション。新たに購入した変性ヒドロザルト Sliceモジュールタイプ#3(0.1m)Lot No.98015111を用いた1番目の生成物サイクル。300gの湿潤細胞塊当量(3kg湿潤細胞塊当量/m)。全保持液体積1.3l(230gの湿潤細胞塊当量/リットル)。
【図7a】 膜のバイオマス負荷の増大についてのサイクル数の関数としての生成物ランの保持液フロー(l/h)及び平均透過流束(l/hm)。インターロイキン−4 R121D Y124Dの封入体を有するE.Coli粗ホモジェネート(部分#2)のダイアフィルトレーション。新たに購入した変性ヒドロザルト Sliceモジュールタイプ#3(0.1m)Lot No.99015111を用いた1番目〜5番目の生成物サイクル。230g湿潤細胞塊当量/l、384g/l、770g/l、1153g/lにそれぞれ対応する、3kg/m、5kg/m、10kg/m、15kg/mの湿潤細胞塊当量。
【図7b】 生成物ランの前後における水値。サイクル数の関数としての保持液フロー(l/h)及び透過流束(l/hm)。インターロイキン−4 R121D Y124Dの封入体を有するE.Coli粗ホモジェネート(部分#2)のダイアフィルトレーション。新たに購入した変性ヒドロザルト Sliceモジュールタイプ#3(0.1m)Lot No.99015111を用いた1番目〜5番目の生成物サイクル。230g湿潤細胞塊当量/l、384g/l、770g/l、1153g/lにそれぞれ対応する、3kg/m、5kg/m、10kg/m、15kg/mの湿潤細胞塊当量。
【図8】 バイオマス負荷の段階的増大
A.変性ヒドロザルト Sliceモジュールタイプ#3(0.1m)Lot No.98015111を用いたインターロイキン−4 R121D Y124Dの封入体を有するE.Coli粗ホモジェネート(部分#2)のダイアフィルトレーション。開始条件:1500gの湿潤細胞塊当量(15kgの湿潤細胞塊当量/m)。保持体積1.3l(1153gの湿潤細胞塊当量/リットル)。ダイアフィルトレーションを続ける間、グラフに示す時間で、膜のバイオマス負荷を20、22、24、そして最終的には26kg/mへ段階的に増大させる。保持液の体積変化のため、この結果は1176gの湿潤細胞塊当量/l、1466g/l、1600g/l、そして最終的には1733g/lに対応する。
B.標準的ヒドロザルト Sliceモジュール(0.1m)Lot No.96108741/008を用いたインターロイキン−4 R121D Y124Dの封入体を有するE.Coli粗ホモジェネート(部分#3)のダイアフィルトレーション。開始条件:300gの湿潤細胞塊当量(3kgの湿潤細胞塊当量/m)。保持体積1.3l(230gの湿潤細胞塊当量/リットル)。ダイアフィルトレーションを続ける間、グラフに示す時間で、膜のバイオマス負荷を5kg/mへ、そして最終的には10kg/mへ段階的に増大させる。低い透過流束のため、実験を打ち切った。保持液体積を1.3Lで一定に保持した。この結果は、384g及び769gの湿潤細胞塊当量/lに対応する。
【図9a】 変性ヒドロザルト タイプ#3モジュールの操作ポイントの測定 バイオマス負荷3kgの湿潤細胞塊当量/m(230gの湿潤細胞塊当量/リットル)、粗ホモジェネート(部分#2)。膜間差圧(TMP)の関数として、透過流束をプロットしている。保持液フロー(Fr)は約110l/h及び約140l/hに固定した。実験は、全体積フローを完全にリサイクルして行った。
【図9b】 変性ヒドロザルト タイプ#3モジュールの操作ポイントの測定 バイオマス負荷3kgの湿潤細胞塊当量/m(230gの湿潤細胞塊当量/リットル)、粗ホモジェネート(部分#2)。膜間差圧(TMP)及びフィード(=保持液フロー+透過液フロー)の関数として、透過流束をプロットしている。実験は、全体積フローを完全にリサイクルして行った。
【図10】 クロスフロー精密濾過装置の実験的構成(setup)の模式図である。使用したシステムの死体積は0.55Lである。
【符号の説明】
1:レベルインジケータを有する(撹拌式の)保持液溜め(洗浄緩衝液ポンプ(9)で制御)
2:ロータリーピストンポンプ
3:ヒドロザルト Sliceカセット(0.1m濾過面積)を備えたカセットホルダ(Sartocon Slice フォーマット、Sartorius AG、ドイツ)
4:フロー・リストリクタ弁保持液側出口
5:フロー・リストリクタ弁透過液側出口
6:透過液受器
7:圧力ゲージ R(入)=7a、R(出)=7b、P=7c
8:洗浄緩衝液ポンプ
9:洗浄緩衝液溜め

Claims (3)

  1. 30kgまでの湿潤細胞塊当量/m のバイオマス負荷を有する溶液中の封入体を濃縮及び/又は精製する方法であって、封入体を含有する溶液を1又はそれ以上の半透膜に対して接線方向に導き、膜は封入体を留めて、0.1〜0.65μmの範囲の粒子直径を有する成分若しくは物質には膜を通過させて、濃縮された及び/又は精製された封入体(溶)液を得ること、並びに、半透膜上に縦方向フィラメントと横方向フィラメントとを交差させて形成されメッシュのマトリックスが配されており、前記マトリックスにおいて隣接する縦方向フィラメント及び横方向フィラメントの相互の間隔は、それぞれ150〜600μmの範囲のフィラメント厚みよりも5〜15倍大きい間隔であることを特徴とする方法。
  2. 膜のバイオマス負荷は、65g以上の湿潤細胞塊当量/mであることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 膜のバイオマス負荷は、650g以上の湿潤細胞塊当量/mであることを特徴とする請求項1記載の方法。
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