JP4817290B6 - 外部制御式ファンクラッチ装置 - Google Patents
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Description
本発明は、主に車両用内燃機関に適用される冷却ファンを回転制御する低騒音、低燃費で、回転初期時のショックの少ない外部制御式ファンクラッチ装置に関する。
車両用内燃機関などに適用される冷却ファンを回転制御するファンクラッチとしては、液体(流体)ファンクラッチ、油圧駆動式ファンクラッチなどがある。液体クラッチとしては、トルク伝達室に供給された油によって駆動ディスクの駆動トルクをケースに伝達する方式のものが一般的であり、その構造は例えば、密封ケース内を仕切板によりトルク伝達室と油溜り室とに区分し、トルク伝達室内に駆動ディスクを駆動部の駆動によって回転自在に設け、油溜り室の油を仕切り板に形成した流出調整孔からトルク伝達室に供給し、トルク伝達室の油を循環路により油溜り室に戻すようにした構造のカップリング装置(液体クラッチ)が知られている(特許文献1参照)。この種の液体クラッチによると、油溜り室からトルク伝達室に供給される油によって駆動ディスクの駆動トルクがケースに伝達され、ケースに取付けられたファンが回転し、例えば自動車用エンジンのラジエーターの冷却が行われる。また、この種の液体クラッチは、バイメタルによって雰囲気温度を検出し、この温度が上昇すると流出調整孔の開度を増加させてトルク伝達室内の油量を増加させ、ケースの回転数を上げ、ファンを高速度で回転し冷却効果を上げるようにしている。
また、ファンカップリング装置の小型・軽量化と省電力化およびファン回転制御性の向上をはかったものとして、駆動ディスクを固着した回転軸に支承された密封器匣の内部を、仕切板により前記駆動ディスクを内装するトルク伝達室と油溜り室とに区分し、トルク伝達室内に供給された油により駆動トルクを被駆動側に伝達するようにし、電磁石により作動させる弁部材により油の流通路を開閉制御する仕組みとなしたファンカップリング装置において、前記電磁石と弁部材(アーマチャー)との間に一体構造または複数部品で構成された分割構造の磁性体を配置し、電磁石の磁束が該磁性体を介して弁部材(アーマチャー)に伝達されるごとく該磁性体を密封器匣に組込んだ構成となした外部制御式ファンカップリング装置が提案されている(特許文献2参照)。
一方、特許文献3、4には、流体式ファンカップリングと電磁クラッチを組み合わせたファンクラッチ装置が記載されている。特許文献3には、冷却ファンが取付けられた流体継手と、該流体継手を駆動側に吸引する電磁クラッチとからなる冷却装置と、該冷却装置の前記電磁クラッチによる吸引を解いたときに冷却ファンの回転を阻止する磁石を備えた冷却装置が記載され、特許文献4には、電磁クラッチに、アーマチュアディスクと一体で回転するロータと隙間を隔ててトルク伝達面を形成するハウジングを、前記ロータを含む作動室と、スプリングによって内周側へ付勢され半径方向に移動可能なピストンを含む貯蔵室とに分割し、その外周部にオリフィスをもつ仕切板、前記ハウジング内に封入された粘性流体、前記電磁クラッチのON/OFFを制御するセンサとから構成された粘性流体継手付電磁クラッチが記載されている。
特公昭63−21048号公報
特開2004−162911号公報
実開昭57−36317号公報
特開昭62−72933号公報
しかしながら、前記の液体ファンクラッチや外部制御式ファンカップリング装置、流体式ファンカップリングと電磁クラッチを組み合わせたファンクラッチ装置には以下に記載する問題点があった。
すなわち、液体ファンクラッチはトルク伝達室内に油が多量に存在している状態においてエンジン再始動をする時または運転中の急加速時に、駆動側の駆動ディスクの加速に追随してトルク伝達室内に多量に存在する油により被駆動側のケース(冷却ファン)も短時間ではあるが回転の急上昇を引起こす。この現象は一般には“つれ廻り”現象と言われ、ファン騒音やそれに伴う不快感を生じ、かつ燃費も悪くなる。
すなわち、液体ファンクラッチはトルク伝達室内に油が多量に存在している状態においてエンジン再始動をする時または運転中の急加速時に、駆動側の駆動ディスクの加速に追随してトルク伝達室内に多量に存在する油により被駆動側のケース(冷却ファン)も短時間ではあるが回転の急上昇を引起こす。この現象は一般には“つれ廻り”現象と言われ、ファン騒音やそれに伴う不快感を生じ、かつ燃費も悪くなる。
従来の液体ファンクラッチにおけるエンジン再始動の際の“つれ廻り”現象は、トルク伝達室内の油量が多い程顕著に現れる。この問題を解決する手段として、例えば仕切板の流出調整孔から流出する油をいったん直径方向の反対側に導き、そこからトルク伝達室内に供給するようにしたものがしられているが、このような構造は、トルク伝達室内に油がほとんどなく油溜り室内に多量の油が存在している時にエンジンが停止した場合、油が油溜り室からトルク伝達室へ流入しないためエンジン再始動時に“つれ廻り”現象が発生することはない。しかし、トルク伝達室内に多量の油が存在している状況でエンジン停止した場合の再始動時や、運転中の急加速時における“つれ廻り”現象の防止には効果がなかった。
一方、特許文献3、4等に記載されている流体式ファンカップリングと電磁クラッチを組み合わせた従来のファンクラッチ装置は、流体式ファンカップリングと電磁クラッチがそれぞれ別々のシャフトすなわち駆動軸側に電磁クラッチが、従動軸側に流体式ファンカップリングが設けられ、かつ電磁クラッチと流体式ファンカップリングは、回転伝達用アーマチュアを備えた連結部材を介して接続されているため、クラッチを任意に作動させることが不可能であること、低OFFファン回転の維持が困難であること、エンジンの始動および加速時の“つれ廻り”現象を抑制することができないことに加え、構造的に軸方向寸法が長く広いスペースを必要とすること、装置の大型化による重量の増大や軸芯のずれによるアンバランスの危惧があること、等の問題があった。
本発明はこのような従来装置の問題点を解消すべくなされたもので、クラッチの任意作動が可能で、かつ低OFFファン回転の維持が容易であり、エンジンの始動および加速時の“つれ廻り”現象を抑制でき、さらに装置の軸方向寸法の短縮および小型・軽量化、軸芯のずれによるアンバランスの防止をはかった外部制御式ファンクラッチ装置を提供しようとするものである。
本発明に係る外部制御式ファンクラッチ装置は、駆動軸に支承されたクラッチロータ内に外部に支持された励磁コイルが設けられた電磁クラッチと、該電磁クラッチに隣接して前記駆動軸に軸受装置を介して回転可能に支承され、その外周にファンが取着された密封器匣の内部に、該駆動軸に軸受装置を介して回転可能に支承されたドライブディスクを内装するトルク伝達室を備え、該トルク伝達室内の油により回転トルクを密封器匣に伝達する仕組みとなした流体式カップリング装置、および前記駆動軸に外嵌されて前記ドライブディスクに支承された円板に取付けられたアーマチュアとから構成され、前記電磁クラッチにより前記流体式カップリング装置がON/OFF制御される仕組みとなしたものである。
本発明に係る外部制御式ファンクラッチ装置における流体式カップリング装置としては、前記ドライブディスクを空洞にしてトルク伝達室が該ドライブディスク内部に形成された油溜り室と、前記ドライブディスク外周壁面と密封器匣内周壁面間に形成されるトルク伝達間隙とに区劃され、電磁クラッチOFF時に該油溜り室に油が貯溜され、電磁クラッチON時に前記油溜り室に貯溜された油が遠心力でトルク伝達間隙部に吐出される仕組みとなし、かつドライブディスク外周壁近傍に形成された油の流出孔の近傍に該ドライブディスクの所定回転速度以下で該流出孔を開放しかつ所定回転速度を超えると遠心バルブにより該流出孔を閉鎖する感速制御弁機構を備えた流体式カップリング装置、前記ドライブディスクを空洞にしてトルク伝達室が該ドライブディスク内部に形成された油溜り室と、前記ドライブディスク外周壁面と密封器匣内周壁面間に形成されるトルク伝達間隙とに区劃され、さらにトルク伝達室内のドライブディスクに隣接して前記駆動軸に一体に固着され、トルク伝達室内の油を前記油溜り室に強制的に吐出するポンピングディスクを備えた2枚ディスク構成の流体式カップリング装置、トルク伝達室内のドライブディスクに隣接して前記駆動軸に一体に固着され、トルク伝達室内の油を前記油溜り室に強制的に吐出するポンピングディスクと、前記ドライブディスクを空洞にしてトルク伝達室が該ドライブディスク内部に形成された油溜り室と、前記ドライブディスク外周壁面と密封器匣内周壁面間に形成されるトルク伝達間隙とに区劃され、さらに前記トルク伝達室内壁のトルク伝達間隙部近傍に形成された油の循環流通路の近傍に、前記ドライブディスクの所定回転速度以下で該循環流通路を開放しかつ所定回転速度を超えるとドライブディスクに取付けられた遠心バルブにより該循環流通路を閉鎖する感速制御弁機構を備えた2枚ディスク構成の流体式カップリング装置を用いることができる。
なお、本発明に係る外部制御式ファンクラッチ装置における電磁クラッチは、冷却水温、スロットル開度、エンジン回転数、エアコンスイッチに連動させてON/OFF制御するように構成し、この電磁クラッチのON/OFF制御によって流体式カップリング装置すなわちファン回転をコントロールできるように構成される。また、本発明の外部制御式ファンクラッチ装置の回転駆動源としては、エンジンにより直接またはプーリやギヤ等を介してクラッチロータを駆動する方式等を用いることができる。
上記した本発明の外部制御式ファンクラッチ装置は、電磁クラッチのONによりドライブディスクが駆動軸の回転と同期回転し、該ドライブディスクを内装するトルク伝達室内の油により回転トルクが密封器匣に伝達され、かつ電磁クラッチのOFFにより瞬時にドライブディスクおよび密封器匣と駆動軸とがフリーとなりファン回転が低下する仕組みとなしたもので、より具体的に説明すると、電磁クラッチの励磁コイルに通電(ON)するとアーマチュアが吸引されてクラッチロータに吸着し該クラッチロータとアーマチュアおよびドライブディスクが一体に回転することにより、流体式カップリング装置によりファンが回転する。この時流体式カップリング装置は、ドライブディスクと油を封入した密封器匣との間の剪断により回転トルクが伝達されることによりスリップしてクッションスタートとなるため、電磁クラッチがONに入った時負荷が小さく、ファン騒音を著しく低減できる。また電磁クラッチをOFFすると、アーマチュアがクラッチロータより離れることによって瞬時にドライブディスクおよび密封器匣と駆動軸とがフリーとなり流体式カップリング装置の回転速度が低下もしくは停止することによりファン回転速度が低下するか停止する。
本発明の外部制御式ファンクラッチ装置は、電磁クラッチをON/OFFさせることにより瞬時にファン回転をコントロール(降下時、上昇時には徐々に)することができる上、電磁クラッチのOFF時は流体式カップリング装置のドライブディスクが入力回転と同期しないため、すなわちドライブディスクが直結で回転せず、軸受装置のフリクションでしか回転しないため、従来装置よりファン回転を低く保持することができ、またファンの急激な回転上昇を防止できるのでファン騒音を著しく低減でき、さらにエンジンの始動および加速時の“つれ廻り”現象を抑制でき、またさらに装置の軸方向寸法の短縮および小型・軽量化、軸芯のずれによるアンバランスの防止、低燃費、省エネルギーがはかられる。さらにまた、電磁クラッチは冷却水温、スロットル開度、エンジンの回転速度、エアコンスイッチに連動させてON/OFF制御するので、精度よくかつ安定してファン回転を制御することができる。
図1は本発明に係る外部制御式ファンクラッチ装置の第1実施例を示す縦断側面図、図2は同じく外部制御式ファンクラッチ装置の第2実施例を示し、(a)は外部制御式ファンクラッチ装置の縦断側面図、(b)は遠心バルブとその動作説明図、図3は同じく外部制御式ファンクラッチ装置の第3実施例を示す縦断側面図、図4は同じく外部制御式ファンクラッチ装置の第4実施例を示す縦断側面図、図5は図3、図4に示す外部制御式ファンクラッチ装置のポンピングディスクの種類を例示したもので、(a)はリブタイプのポンピングディスクの一部を示す正面図、(b)は孔あきタイプのポンピングディスクの一部を示す正面図、図6は本発明に係る外部制御式ファンクラッチ装置の性能特性曲線図であり、21、31、41、51は駆動軸、22、32、42、52は電磁クラッチ、23、33、43、53は流体式カップリング装置、61はファンである。
図1に示す外部制御式ファンクラッチ装置は、1本の駆動軸21に配置した電磁クラッチ22と流体式カップリング装置23とから構成されており、電磁クラッチ22は駆動軸21に一体に支承されたクラッチロータ22−1と、このクラッチロータ22−1内に軸受装置25を介して相互に回転可能に嵌合されかつブラケット22−3を介して外部に固定された励磁コイル22−2と、後述する流体式カップリング装置23のドライブディスク23−4の前記励磁コイル22−2側に取付けられた円板22−5に前後動可能に保持されたアーマチュア22−4とから構成されている。アーマチュア22−4は、駆動軸21に外嵌されかつその一端側をドライブディスク23−4に固着された円板22−5にばね22−6を介して前後動可能に弾性支持されている。
また、流体式カップリング装置23は、前記駆動軸21にケース23−2とカバー23−3とからなる密封器匣23−1が軸受装置23−5を介して回転可能に支承され、この密封器匣23−1の内部に形成されたトルク伝達室23−6内に、前記駆動軸21に軸受装置23−8を介して回転可能に支承されたドライブディスク23−4が該トルク伝達室23−6の内周面との間にトルク伝達間隙が形成されるように収納され、かつ前記密封器匣23−1のケース23−2側は該ドライブディスク23−4との間に介在させた軸受装置23−9にて回転可能に支承されている。
上記図1に示す構成の外部制御式ファンクラッチ装置において、駆動軸21が回転している状態において電磁クラッチ22をONすると、駆動軸21と一体に回転するクラッチロータ22−1内に設けられた励磁コイル22−2により、流体式カップリング装置23のドライブディスク23−4と一体の円板22−5に保持されているアーマチュア22−4が吸引されてクラッチロータ22−1に吸着し、該クラッチロータ22−1とアーマチュア22−4および円板22−5が一体に回転する。この円板22−5が回転すると、当該円板22−5が取着されているドライブディスク23−4が駆動軸21と同期回転し、トルク伝達室23−6内に封入されている油により駆動トルクが密封器匣23−1に伝達され、該密封器匣23−1のカバー23−3に取付けられているファン61が回転する。この時流体式カップリング装置23はクッションスタートとなるため、電磁クラッチ22がONに入った時の負荷が小さく、かつまたファン騒音を著しく低減できる。また電磁クラッチ22をOFFすると、ばね22−6のばね力によりアーマチュア22−4がクラッチロータ22−1より離れることにより瞬時にドライブディスク23−4および密封器匣23−1と駆動軸21とがフリーとなり密封器匣23−1の回転速度が低下、もしくは停止しファン61の回転速度が大幅に低下、もしくは停止する。すなわち、電磁クラッチ22をON/OFFさせることによりファン61の回転をコントロールすることができる。また電磁クラッチ22は冷却水温、スロットル開度、エンジンの回転速度、エアコンスイッチ等に連動させてON/OFF制御することができるので、精度よくかつ安定してファン回転を制御することができる。
図2に示す外部制御式ファンクラッチ装置は、ドライブディスクを空洞にしてトルク伝達室が該ドライブディスク内部に形成された油溜り室を備え、かつ前記ドライブディスクの油溜り室内に駆動軸の回転数(速度)に感応してファン回転数を制御する感速制御弁機構を備えた流体式カップリング装置を採用したもので、その構成は、前記駆動軸31にケース33−2とカバー33−3とからなる密封器匣33−1が軸受装置33−5を介して回転可能に支承され、この密封器匣33−1の内部に形成されたトルク伝達室33−6内に、前記駆動軸31に軸受装置33−8を介して回転可能に支承された油溜り室33−4aとオリフィス孔33−4bを有するドライブディスク33−4が該トルク伝達室33−6の内周面との間にトルク伝達間隙が形成されるように収納されている。さらにドライブディスク33−4の外周壁近傍に油溜り室33−4aからトルク伝達間隙への流出孔33−4cが貫設され、該流出孔33−4cの付近に駆動部側の所定回転速度を境として遠心力により前記流出孔33−4cを開閉する遠心バルブVが設けられている。この遠心バルブVは図3(b)に示すように、ドライブディスク33−4の外周壁近傍に一端を軸支されるとともに、他端がばね33−10に弾性支持されており、ドライブディスク33−4が所定回転速度を超えると遠心力によりばね33−10に抗して半径方向に摺動しながら該流出孔33−4cを閉鎖し、他方、ドライブディスク33−4が所定回転速度以下になるとばね33−10の作用により該流出孔33−4cを開放するように構成されている。前記密封器匣33−1のケース33−2側は該ドライブディスク33−4との間に介在させた軸受装置33−9にて回転可能に支承されている。この遠心バルブV付きのファンクラッチ装置の場合は、トルク伝達室33−6内におけるドライブディスク33−4の最外周面とトルク伝達室33−6の内周壁とのトルク伝達間隙33−4eを大きくすることにより、ドライブディスク33−4の最外周面でトルクが伝達されず、遠心バルブVが閉じた時の回転速度を低くすることができる。
なお、電磁クラッチ32は前記図1に示す外部制御式ファンクラッチ装置と同様、駆動軸31に一体に支承されたクラッチロータ32−1と、このクラッチロータ32−1内に軸受装置35を介して相互に回転可能に嵌合されかつブラケット32−3を介して外部に固定された励磁コイル32−2と、前記流体式カップリング装置33のドライブディスク33−4の前記励磁コイル32−2側に取付けられた円板32−5にばね32−6を介して前後動可能に弾性支持されている。
なお、電磁クラッチ32は前記図1に示す外部制御式ファンクラッチ装置と同様、駆動軸31に一体に支承されたクラッチロータ32−1と、このクラッチロータ32−1内に軸受装置35を介して相互に回転可能に嵌合されかつブラケット32−3を介して外部に固定された励磁コイル32−2と、前記流体式カップリング装置33のドライブディスク33−4の前記励磁コイル32−2側に取付けられた円板32−5にばね32−6を介して前後動可能に弾性支持されている。
上記図2に示す外部制御式ファンクラッチ装置は、電磁クラッチ32がON時は当然のことながらクッションスタートとなるため、電磁クラッチ32がONに入った時の負荷が小さいだけでなく、油溜り室33−4aの作用により前記図1に示す外部制御式ファンクラッチ装置よりファン61の騒音をさらに低減できる。また、電磁クラッチ32をOFFすると、ばね32−6のばね力によりアーマチュア32−4がクラッチロータ32−1より離れることにより瞬時にドライブディスク33−4および密封器匣33−1と駆動軸31とがフリーとなり密封器匣33−1の回転速度が低下、もしくは停止しファン61の回転速度が大幅に低下、もしくは停止する。さらに、この外部制御式ファンクラッチ装置の場合は、ドライブディスク33−4の回転数が所定以上に高速の場合には遠心バルブVにより流出孔33−4cが閉鎖されるので、トルク伝達はより制限されファン回転数を大幅に減少させる。したがって、高速回転に伴うファン61の騒音をより低減できる。さらに、電磁クラッチ32をONするとドライブディスク33−4が高速回転となり遠心バルブVが閉じることにより、該ドライブディスク33−4内の油は流出孔33−4cからは流出せず、オリフィス孔33−4bからトルク伝達間隙へ徐々に流出するのでつれ廻りはせず、漸次ONになる。また、電磁クラッチ32がONされ、ドライブディスク33−4が高速で回転し遠心バルブVは閉じるが、トルク伝達間隙に残留していた油だけでトルクが伝達されてファン61が増速されていく過程と、遠心バルブVが閉じた後に油溜り室33−4aの油がオリフィス孔33−4bから徐々にトルク伝達間隙へ流出し、ファン61が増速していく過程との境目すなわち変曲点を低くすることにより、電磁クラッチ32がONされた時にアーマチュア32−4とクラッチロータ32−1間で滑りの生じない回転速度としておくことにより、電磁クラッチON時に該電磁クラッチが発する騒音(「キュン」というスリップ音)が消え、アーマチュア32−4やクラッチロータ32−1の摩擦面の摩耗が防止されることにより、電磁クラッチの耐久性の確保や粉塵の発生、飛散を防止できる。なお、遠心バルブVを設けない場合は、トルク伝達間隙の油は流出孔33−4cからドライブディスク33−4の油溜り室33−4aへ逆流しONが維持できなくなるが、遠心バルブVを設けたことにより高速時には該バルブが閉じているのでONが維持できる。
なお、この外部制御式ファンクラッチ装置の場合も、電磁クラッチ32をON/OFFさせることによりファン61の回転をコントロールすることができる上、電磁クラッチ32は冷却水温、スロットル開度、エンジンの回転速度、エアコンスイッチ等に連動させてON/OFF制御することができるので、精度よくかつ安定してファン回転を制御することができる。
なお、この外部制御式ファンクラッチ装置の場合も、電磁クラッチ32をON/OFFさせることによりファン61の回転をコントロールすることができる上、電磁クラッチ32は冷却水温、スロットル開度、エンジンの回転速度、エアコンスイッチ等に連動させてON/OFF制御することができるので、精度よくかつ安定してファン回転を制御することができる。
図3〜図5に示す外部制御式ファンクラッチ装置は、流体式カップリング装置として、トルク伝達室内のドライブディスクに隣接して前記駆動軸に一体に固着され、トルク伝達室内の油を前記油溜り室に強制的に吐出するポンピングディスクを備えた2枚ディスク構成の流体式カップリング装置を用いた外部制御式ファンクラッチ装置である。
即ち、図3に示す外部制御式ファンクラッチ装置は、前記のものと同様、1本の駆動軸41に配置した電磁クラッチ42と流体式カップリング装置43とから構成されており、電磁クラッチ42は駆動軸41に一体に支承されたクラッチロータ42−1と、このクラッチロータ42−1内に軸受装置45を介して相互に回転可能に嵌合されかつブラケット42−3を介して外部に固定された励磁コイル42−2と、後述する流体式カップリング装置43のドライブディスク43−4の前記励磁コイル42−2側に取付けられた円板42−5に前後動可能に保持されたアーマチュア42−4とから構成されている。アーマチュア42−4は、駆動軸41に外嵌されかつその一端側をドライブディスク43−4に固着された円板42−5にばね42−6を介して前後動可能に弾性支持されている。
即ち、図3に示す外部制御式ファンクラッチ装置は、前記のものと同様、1本の駆動軸41に配置した電磁クラッチ42と流体式カップリング装置43とから構成されており、電磁クラッチ42は駆動軸41に一体に支承されたクラッチロータ42−1と、このクラッチロータ42−1内に軸受装置45を介して相互に回転可能に嵌合されかつブラケット42−3を介して外部に固定された励磁コイル42−2と、後述する流体式カップリング装置43のドライブディスク43−4の前記励磁コイル42−2側に取付けられた円板42−5に前後動可能に保持されたアーマチュア42−4とから構成されている。アーマチュア42−4は、駆動軸41に外嵌されかつその一端側をドライブディスク43−4に固着された円板42−5にばね42−6を介して前後動可能に弾性支持されている。
この図3に示す外部制御式ファンクラッチ装置の流体式カップリング装置は、前記駆動軸41にケース43−2とカバー43−3とからなる密封器匣43−1が軸受装置43−5を介して回転可能に支承され、かつ該密封器匣43−1のケース43−2には油の循環流通路43−2aが設けられ、該密封器匣43−1の内部に形成されたトルク伝達室43−6内に、前記駆動軸41に軸受装置43−8を介して回転可能に支承された油溜り室43−4aとオリフィス43−4bを有するドライブディスク43−4が該トルク伝達室43−6の内周面との間にトルク伝達間隙が形成されるように収納され、さらにトルク伝達室43−6内には前記ドライブディスク43−4に隣接して前記駆動軸41に一体に固着され、トルク伝達室43−6内の油を前記油溜り室43−4a内に強制的に吐出するポンピングディスク43−7が収納されている。なお、前記密封器匣43−1のケース43−2側は該ドライブディスク43−4との間に介在させた軸受装置43−9にて回転可能に支承されている。
上記図3に外部制御式ファンクラッチ装置において、駆動軸41が回転している状態において電磁クラッチ42をONすると、流体式カップリング装置43のドライブディスク43−4と一体の円板42−5に保持されているアーマチュア42−4が吸引されてクラッチロータ42−1に吸着し、該クラッチロータ42−1とアーマチュア42−4および円板42−5とドライブディスク43−4が一体に回転し、電磁クラッチ42のON時に油溜り室43−4a内に貯溜されている油が遠心力によりオリフィス43−4bより外側のトルク伝達部に吐出し、この油により駆動トルクが密封器匣43−1に伝達され、該密封器匣43−1のカバー43−3に取付けられているファン61が回転する。他方、電磁クラッチ42をOFFすると、ばね42−6のばね力によりアーマチュア42−4がクラッチロータ42−1より離れることにより瞬時にドライブディスク43−4及び密封器匣43−1と駆動軸41とがフリーとなり密封器匣43−1の回転速度が低下、もしくは停止しファン61の回転速度が大幅に低下、もしくは停止する。この時、ポンピングディスク43−7にて強制的に油が循環流通路43−2aより油溜り室43−4a内に送られる。
図4に示す外部制御式ファンクラッチ装置は、前記図3に示す外部制御式ファンクラッチ装置の流体式カップリング装置に、駆動軸の回転数(速度)に感応してファン61の回転数を制御する感速制御弁機構を備えた流体式カップリング装置を採用したもので、その構成は、駆動軸51にケース53−2とカバー53−3とからなる密封器匣53−1が軸受装置53−5を介して回転可能に支承され、かつ該密封器匣53−1のケース53−2には油の循環流通路53−2aが設けられ、該密封器匣53−1の内部に形成されたトルク伝達室53−6内に、前記駆動軸51に軸受装置53−8を介して回転可能に支承された油溜り室53−4aと吐出孔53−4bを有するドライブディスク53−4が該トルク伝達室53−6の内周面との間にトルク伝達間隙が形成されるように収納され、さらにトルク伝達室53−6内には前記ドライブディスク53−4に隣接して前記駆動軸51に一体に固着され、トルク伝達室53−6内の油を前記油溜り室53−4a内に強制的に吐出するポンピングディスク53−7が収納されている。なお、前記密封器匣53−1のケース53−2側は該ドライブディスク53−4との間に介在させた軸受装置53−9にて回転可能に支承され、さらにドライブディスク53−4の外周壁近傍に前記図2に示すものと同様に、油溜り室53−4aからトルク伝達間隙への流出孔53−4cが貫設され、該流出孔53−4cの付近に駆動部側の所定回転速度を境として遠心力により前記流出孔53−4cを開閉する遠心バルブVが設けられている。この遠心バルブVは前記図2に示すものと同様の手段で設けられ、ドライブディスク53−4が所定回転速度を超えると遠心力により流出孔53−4cを閉鎖し、他方、ドライブディスク53−4が所定回転速度以下になるとばね53−10の作用により該流出孔53−4cを開放するように構成されている。前記密封器匣53−1のケース53−2側は該ドライブディスク53−4との間に介在させた軸受装置53−9にて回転可能に支承されている。
なお、電磁クラッチ52は前記のものと同様、駆動軸51に一体に支承されたクラッチロータ52−1と、このクラッチロータ52−1内に軸受装置55を介して相互に回転可能に嵌合されかつブラケット52−3を介して外部に固定された励磁コイル52−2と、前記流体式カップリング装置53のドライブディスク53−4の前記励磁コイル52−2側に取付けられた円板52−5にばね52−6を介して前後動可能に弾性支持されたアーマチュア52−4とで構成されている。
なお、電磁クラッチ52は前記のものと同様、駆動軸51に一体に支承されたクラッチロータ52−1と、このクラッチロータ52−1内に軸受装置55を介して相互に回転可能に嵌合されかつブラケット52−3を介して外部に固定された励磁コイル52−2と、前記流体式カップリング装置53のドライブディスク53−4の前記励磁コイル52−2側に取付けられた円板52−5にばね52−6を介して前後動可能に弾性支持されたアーマチュア52−4とで構成されている。
上記図3、図4に示す外部制御式ファンクラッチ装置におけるポンピングディスク43−7、53−7は、トルク伝達の機能を有しないので、軽量化するためいわゆるダムを作用させる外周部以外は空間としてもよい。図5(a)(b)はその一例を示したもので、(a)は外周端部43−7a、53−7aとボス部43−7b、53−7b間に複数のリブ43−7c、53−7cを設け、各リブの間を空間43−7d、53−7dとしたリブタイプのポンピングディスクであり、(b)はディスクの全体に複数の円孔43−7e、53−7eを設けた構造の孔あきタイプのポンピングディスクである。
上記した図1〜図4に示す外部制御式ファンクラッチ装置は、その性能特性の一例を図6に示すように、優れたファン回転挙動を示す。
すなわち、曲線Iは図1に示す外部制御式ファンクラッチ装置、曲線IIは図2に示す外部制御式ファンクラッチ装置、曲線IIIは図3に示す外部制御式ファンクラッチ装置、曲線IVは図4に示す外部制御式ファンクラッチ装置の、それぞれのファン回転挙動を示したもので、各外部制御式ファンクラッチ装置はいずれも電磁クラッチON−OFF時のファン回転挙動は良好な傾向を示している。
すなわち、曲線Iは図1に示す外部制御式ファンクラッチ装置、曲線IIは図2に示す外部制御式ファンクラッチ装置、曲線IIIは図3に示す外部制御式ファンクラッチ装置、曲線IVは図4に示す外部制御式ファンクラッチ装置の、それぞれのファン回転挙動を示したもので、各外部制御式ファンクラッチ装置はいずれも電磁クラッチON−OFF時のファン回転挙動は良好な傾向を示している。
本発明の外部制御式ファンクラッチ装置は、ファンの急激な回転上昇を防止できるので、騒音対策として有効であり、また電磁クラッチの負荷を減少できるので、電磁クラッチの耐久性の向上と小型・軽量化、低燃費化、省エネルギー化、軸芯のずれによるアンバランスの防止がはかられ、自動車等における機関冷却用のファン回転を外部周囲の温度変化あるいは回転変化に追従して制御する方式の外部制御式ファンクラッチ装置として、極めて有用性に富むものである。
21、31、41、51 駆動軸
22、32、42、52 電磁クラッチ
23、33、43、53 流体式カップリング装置
61 ファン
22、32、42、52 電磁クラッチ
23、33、43、53 流体式カップリング装置
61 ファン
Claims (4)
- 駆動軸に支承されたクラッチロータ内に外部に支持された励磁コイルが設けられた電磁クラッチと、該電磁クラッチに隣接して前記駆動軸に軸受装置を介して回転可能に支承され、その外周にファンが取着された密封器匣の内部に、該駆動軸に軸受装置を介して回転可能に支承されたドライブディスクを内装するトルク伝達室を備え、該トルク伝達室内の油により回転トルクを密封器匣に伝達する仕組みとなした流体式カップリング装置、および前記駆動軸に外嵌されて前記ドライブディスクに支承された円板に取付けられたアーマチュアとから構成され、前記電磁クラッチにより前記流体式カップリング装置がON/OFF制御される仕組みとなしたことを特徴とする外部制御式ファンクラッチ装置。
- 前記流体式カップリング装置として、前記ドライブディスクを空洞にしてトルク伝達室が該ドライブディスク内部に形成された油溜り室と、前記ドライブディスク外周壁面と密封器匣内周壁面間に形成されるトルク伝達間隙とに区劃され、電磁クラッチOFF時に該油溜り室に油が貯溜され、電磁クラッチON時に前記油溜り室に貯溜された油が遠心力でトルク伝達間隙部に吐出される仕組みとなし、かつドライブディスク外周壁近傍に形成された油の流出孔の近傍に該ドライブディスクの所定回転速度以下で該流出孔を開放しかつ所定回転速度を超えると遠心バルブにより該流出孔を閉鎖する感速制御弁機構を備えた流体式カップリング装置を用いた請求項1に記載の外部制御式ファンクラッチ装置。
- 前記流体式カップリング装置として、前記ドライブディスクを空洞にしてトルク伝達室が該ドライブディスク内部に形成された油溜り室と、前記ドライブディスク外周壁面と密封器匣内周壁面間に形成されるトルク伝達間隙とに区劃され、さらに前記トルク伝達室内にドライブディスクに隣接して前記駆動軸に一体に固着され、トルク伝達室内の油を前記油溜り室に強制的に吐出するポンピングディスクを備えた2枚ディスク構成の流体式カップリング装置を用いることを特徴とする請求項1に記載の外部制御式ファンクラッチ装置。
- 前記流体式カップリング装置として、前記ドライブディスクを空洞にしてトルク伝達室が該ドライブディスク内部に形成された油溜り室と、前記ドライブディスク外周壁面と密封器匣内周壁面間に形成されるトルク伝達間隙とに区劃され、さらに前記トルク伝達室内にドライブディスクに隣接して前記駆動軸に一体に固着され、トルク伝達室内の油を前記油溜り室内に強制的に吐出するポンピングディスクと、前記トルク伝達室内壁のトルク伝達間隙部近傍に形成された油の循環流通路の近傍に、前記ドライブディスクの所定回転速度以下で該循環流通路を開放しかつ所定回転速度を超えると該ドライブディスクに取付けられた遠心バルブにより該循環流通路を閉鎖する感速制御弁機構を備えた2枚ディスク構成の流体式カップリング装置を用いることを特徴とする請求項1に記載の外部制御式ファンクラッチ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005305077A JP4817290B6 (ja) | 2005-10-19 | 外部制御式ファンクラッチ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005305077A JP4817290B6 (ja) | 2005-10-19 | 外部制御式ファンクラッチ装置 |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007113665A JP2007113665A (ja) | 2007-05-10 |
JP4817290B2 JP4817290B2 (ja) | 2011-11-16 |
JP4817290B6 true JP4817290B6 (ja) | 2014-08-06 |
Family
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