JP4817229B2 - イオン伝導性組成物およびその利用 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウム二次電池の電解質等として好適な組成物であって、常温で液状のイオン伝導性組成物に関する。また本発明は、かかる組成物を用いて構築されたリチウム二次電池に関する。
常温で液状の塩(常温溶融塩、イオン性液体等と称されることもある。)を主体とするイオン伝導性組成物を、リチウム二次電池等の電解質(常温溶融塩電解質)等として用いることが提案されている。常温溶融塩としては、イミダゾリウム系、アンモニウム系、ピリジニウム系等のカチオンを有するものが一般的である。
一方、特許文献1には、オリゴエーテル基および電子求引性基をもつアルミネート構造を有するリチウム塩が記載されている。そのようなリチウム塩は、室温において単独で(例えば、非水溶剤を混合することなく)良好なイオン導電率およびリチウムイオン輸率を示す。また、常温において液状の塩、すなわちLiをカチオンとする常温溶融塩(以下、「リチウム溶融塩」ということもある。)であり得る。
なお、特許文献2〜4には、二次電池の構成要素等として用いられる固体電解質またはイオン伝導構造体が記載されている。
特開2003−146941号公報 特開平10−340618号公報 特開平1−124967号公報 特開2002−252037号公報
本発明の一つの目的は、オリゴエーテル基および電子求引性基をもつリチウム塩を利用して、より良好な特性(例えば、イオン導電率、リチウムイオン輸率等のうち一または二以上の特性)を示す液状のイオン伝導性組成物を提供することである。本発明の他の目的は、そのような組成物を電解質として用いたリチウム二次電池を提供することである。関連する他の目的は、オリゴエーテル基をもつリチウム塩を利用して、より良好な特性を示す液状電解質を提供することである。さらに他の目的は、広い温度域において良好な特性(イオン導電率、リチウムイオン輸率等)を示すイオン伝導材料を提供することである。
本発明により提供される一つのイオン伝導性組成物は、一般式(1):LiMXn(OY)4-nで表されるリチウム塩を含有する。ここで、式(1)中のnは1〜3である。Mはアルミニウム(Al)またはホウ素(B)である。Xは電子求引性基である。Yはオリゴエーテル基である。この組成物は、一般式(2):Z1−O(R0O)p−Z2で表される化合物をさらに含有する。ここで、式(2)中のR0は炭素数2〜4のアルキレン基である。Z1およびZ2炭素数1〜4のアルキル基(それぞれ活性水素を持たない有機置換基)である。pは1〜12である。この組成物は、上記式(1)で表されるリチウム塩中の基Yに含まれるエーテル酸素の原子数および上記式(2)で表される化合物に含まれるエーテル酸素の原子数の和と、リチウムの原子数との比(O/Li比)が7/1〜30/1の範囲にある。この組成物は、典型的には常温(例えば、凡そ25℃)において液状(液体の状態)である。
上記一般式(1)で表されるリチウム塩(以下、「リチウム塩(I)」と表記することもある。)は、常温において良好なイオン導電率およびリチウムイオン輸率を示す。ここで開示される組成物は、該リチウム塩(I)に加えて、一般式(2)で表される化合物(以下、「化合物(II)」と表記することもある。)を含有する。このような組成物は、化合物(II)を含有しない組成とした場合に比べて、より良好な特性を示すイオン伝導性組成物となり得る。例えば、イオン導電率、リチウムイオン輸率等のうち、少なくとも一つの特性が改善されたものとなり得る。また、かかる組成物を電解質に用いて電池(例えばリチウム二次電池)を構築した場合、電極との界面抵抗値、該界面抵抗値の安定性等のうち、少なくとも一つの特性が改善されたものとなり得る。そして、リチウム塩(I)および化合物(II)を上記O/Li比が所定の範囲内となる割合で含有する組成物によると、特に顕著な効果(例えば、上記特性のうち少なくとも一つを改善する効果)が得られる。かかる効果は、常温付近(例えば20〜30℃)またはそれ以下の温度域において特によく発揮され得る。
ここで開示される発明の好ましい態様では、前記式(2)におけるRがエチレン基である。このような化合物(II)は、分子中に−OCHCHO−で表される構造部分を少なくとも一つ(一単位)有する。そのような構造部分はリチウムイオンに対する配位性に優れる。したがって、かかる構造部分を有する化合物(II)を用いた組成物は、より良好な特性(イオン導電率等)を示すものとなり得る。
前記式(2)におけるZ1およびZ2は、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基である。このような化合物(II)はリチウムイオンとの間に適切な配位構造を形成しやすい。したがって、かかる化合物(II)を用いた組成物は、より良好な特性を示すものとなり得る。前記式(2)におけるZ1およびZ2が同一のアルキル基である化合物(II)を用いた組成物は、特に良好な特性(イオン導電率等)を示すものとなり得る。このことは、化合物(II)の分子構造において対称性が高いことに関連しているものと推察される。好ましい化合物(II)の一具体例として、エチレングリコールジメチルエーテル(CH3OCH2CH2OCH3)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(CH3O(CH2CH2O)2CH3)等が挙げられる。
ここで開示される組成物は、リチウム塩(I)と化合物(II)とを、質量比(リチウム塩(I):化合物(II))が50:50〜95:5の範囲となる割合で含有することが好ましい。そのような組成物は、リチウムイオン濃度と組成物の粘度とのバランスの良いものとなり得る。このため、より良好な特性(イオン導電率等)を示すものとなり得る。
上記リチウム塩(I)としては、前記一般式(1)におけるnが2であるものが好ましい。また前記一般式(1)におけるYが一般式(3):(RO)−Rで表されるオリゴアルキレンオキシド基であるものが好ましい。ここで、式(3)中のmは1〜20である。Rは炭素数2〜4のアルキレン基である。Rは炭素数1〜8のアルキル基、アリール基またはアルキルアリール基である。
上述したいずれかの組成物において、一般式(1)におけるXの好適例としては、N(SOCF,N(SO,OCOCF,OCおよびOB(OY)(ここで、Yはオリゴエーテル基である。)が挙げられる。また、一般式(1)におけるYの好適例としては、一般式(2):(RO)m−Rで表されるオリゴアルキレンオキシド基が挙げられる。ここで、mは1〜20であり、Rは炭素数2〜4のアルキレン基である。また、Rは、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基またはアルキルアリール基である。
本発明によると、さらに、上述したいずれかの組成物を電解質に用いて構築されているリチウム二次電池(典型的には、リチウムイオン二次電池)が提供される。かかるリチウム二次電池は、上述した良好な特性を示す組成物を電解質として備えることから、電池性能(例えば充放電特性)に優れたものとなり得る。また、より広い温度範囲で良好な電池性能を示すものとなり得る。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書において特に言及している内容以外の技術的事項であって本発明の実施に必要な事項は、従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書によって開示されている技術内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここで開示される組成物を構成するリチウム塩(I)は、一般式(1):LiMX(OY)4−nで表される。この一般式(1)におけるnは0<n<4であり得る。典型的にはnが1〜3である。リチウム塩(I)として特に好ましいものは、一般式(1)におけるnが2であるリチウム塩である。また、一般式(1)におけるMは13族元素であって、典型的にはアルミニウム(Al)またはホウ素(B)である。
一般式(1)におけるXは電子求引性基であり、例えばRCO,RSO,(RSONで表される基であり得る。ここで、Rはアルキル基(例えば、炭素数1〜8のアルキル基)、フェニル基、またはそれらの基における水素(H)の一部または全部をフッ素(F)で置換したものに相当する基(パーフルオロアルキル基、ペンタフルオロフェニル基等)である。また、Xはペンタフルオロフェノキシ基(FO)、F、シアノ基(CN)等であり得る。これらのうち、XがRCO,RSO,(RSONで表される基であって、Rがアルキル基またはパーフルオロアルキル基であるものが好ましい。また、好ましいXの他の例としてFOおよび(OY)BOが挙げられる。ここで、(OY)BOにおけるYはオリゴエーテル基であり、好ましくは一般式:(RO)−Rで表されるオリゴアルキレンオキシド基である。この一般式におけるmは1〜20(好ましくは2〜12、より好ましくは2〜9、さらに好ましくは3〜8)であり、Rは炭素数1〜8(好ましくは2〜4、より好ましくは2〜3、特に好ましくは2)のアルキレン基である。また、Rは、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基またはアルキルアリール基(例えばベンジル基)であり、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基である。好ましいXの具体例としては、(CFSON,(CSON,CFCO,FOおよび(OY)BOが挙げられる。
一般式(1)で表されるリチウム塩は、nの数に応じて1〜3個のXを有し得る。nが1よりも大きい場合、このリチウム塩は中心元素(M)上に同種のXを複数有してもよく、一つの中心元素上に異なる種類の(二種以上の)Xを有してもよい。
また、一般式(1)におけるYはオリゴエーテル基である。例えば、分子量が103〜凡そ550程度(より好ましくは103〜400)のオリゴエーテル基であることが好ましい。Yの好適例としては、一般式(3):(RO)−Rで表されるオリゴアルキレンオキシド基が挙げられる。ここで、式(3)中のmは1〜20であり、好ましくは2〜12、より好ましくは2〜9、さらに好ましくは3〜8である。また、Rは炭素数1〜8、好ましくは炭素数2〜4、より好ましくは炭素数2〜3のアルキレン基である。Rがエチレン基(すなわち、Yがオリゴエチレンオキシド基)であることが特に好ましい。また、Rは、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基またはアルキルアリール基(例えばベンジル基)であり得る。Rが炭素数1〜3のアルキル基(例えばメチル基)であることが特に好ましい。
一般式(1)で表されるリチウム塩は、nの数に応じて1〜3個のYを有し得る。一般式(1)におけるnが1よりも大きい場合、このリチウム塩は中心元素(M)上に同種のYを複数有してもよく、一つの中心元素上に異なる種類の(二種以上の)Yを有してもよい。例えば、一般式(1)におけるnが2であり、一般式(3)におけるm、RおよびRのうち少なくともいずれかが異なる二種類のYを一つの中心元素上に有するリチウム塩であってもよい。
また、ここで開示される組成物を構成する化合物(II)は、一般式(2):Z−O(RO)−Zで表される。この一般式(2)におけるRは、炭素数2〜4のアルキレン基である。Rが炭素数2のアルキレン基(すなわちエチレン基)であることが特に好ましい。一般式(2)におけるZおよびZはそれぞれ(すなわち、同一のまたは異なる)、活性水素を持たない有機置換基である。ZとZとが同一の置換基であることが好ましい。Zおよび/またはZとして選択し得る置換基としては、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基(例えばベンジル基)、アセチル基等を例示することができる。それらの基における炭素数は1〜8であることが好ましい。化合物(II)としては、ZおよびZがそれぞれアルキル基である化合物(オリゴアルキレングリコールジアルキルエーテル類)が好ましく、そのうちZおよびZの炭素数がそれぞれ1〜4(より好ましくは1〜2)であるものがより好ましい。特に好ましい例として、ZおよびZがいずれもメチル基である化合物、いずれもエチル基である化合物が挙げられる。ZおよびZがいずれもメチル基である化合物が最も好ましい。また、一般式(2)におけるpは、典型的には1〜12であり、好ましくは1〜6であり、より好ましくは1〜3である。
ここで開示される組成物に用いられる化合物(II)の好適例として、一般式(2)におけるRがエチレン基であり、ZとZとが同一の基である化合物(すなわち、一般式:Z−O(CHCHO)−Zで表される化合物)を例示することができる。そのような化合物は、「対称グリコールジエーテル」または「グライム化合物」と総称されることがある。具体的には、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等の対称グリコールジエーテル(ジアルキルエーテル)を化合物(II)として用いることができる。これらのうち特に好ましいものとして、エチレングリコールジメチルエーテルおよびジエチレングリコールジメチルエーテルが挙げられる。
ここで開示される組成物は、リチウム塩(I)中の基Y(オリゴエーテル基)に含まれるエーテル酸素の原子数および化合物(II)に含まれるエーテル酸素の原子数の和と、リチウムの原子数と、の原子数の比(O/Li比)が7/1〜30/1の範囲にある。例えば、一般式(1)におけるnが2であり、Yが(RO)−Rで表されるオリゴアルキレンオキシド基である場合、このリチウム塩(I)は一分子当たり2m個のエーテル酸素を有する。また、式(2)で表される化合物(II)は、典型的には一分子当たりp+1個のエーテル酸素を有する。ここで開示される組成物は、リチウム塩(I)と化合物(II)とのモル比が1/xであって、これらのエーテル酸素の原子数の和[2m+x(p+1)]が、リチウムの原子数に対して7倍〜30倍(好ましくは15〜25倍)の範囲となる割合で、リチウム塩(I)および化合物(II)を含有する。このような組成物は、例えば化合物(II)を含有しない(典型的には、実質的にリチウム塩(I)から構成される)組成物に比べて、明らかに良好な特性(例えばイオン導電率)を示すものとなり得る。
ここで開示される組成物は、典型的には、リチウム塩(I)および化合物(II)以外の成分(例えば非水溶剤。ただし、化合物(II)に該当する化合物からなるものを除く。)を実質的に含有しない状態で、常温(例えば約25℃)において液状である。すなわち、リチウム塩(I)および化合物(II)のみから実質的に構成された液状組成物とすることが可能である。そのような液状組成物は、イオン導電率および/またはリチウムイオン輸率の高いものとなり得る。そのような液状組成物は、電池の電解質等の用途に適している。例えば、リチウム二次電池の電解質(常温溶融塩電解質)として好適に用いることができる。
該組成物を構成するリチウム塩(I)は、少なくとも化合物(II)と混合された状態において常温で液状の組成物を構成するものであればよい。すなわち、リチウム塩(I)単独では、常温において液状であってもよく固体状であってもよい。常温で液状のリチウム塩(I)(リチウム溶融塩)を含む組成物は、該組成物の調製が容易であるので好ましい。二種以上のリチウム塩(I)を含む組成物(例えば、nの数の異なる複数種類のリチウム塩(I)を含有する組成物)の場合には、それらのリチウム塩(I)のうち少なくとも一種が常温で液状であることが好ましい。なお、ここで開示される組成物は、例えば、リチウム塩(I)と化合物(II)とを常温で、あるいは必要に応じて加熱下で(例えば40〜80℃程度で)混合することにより好適に調製することができる。
ここで開示される組成物は、リチウム塩(I)と化合物(II)とを、上記O/Li比が上述した所定の範囲内となる割合であって、かつ、リチウム塩(I)と化合物(II)との質量比が凡そ50:50〜95:5(より好ましくは、凡そ55:45〜85:15)の範囲となる割合で含有することが好ましい。化合物(II)の含有割合が高くなると組成物の粘度は低下する傾向にある。一般に、粘度が低下するとカチオンおよびアニオンの移動度が高くなる。このことはイオン導電率の向上にとって有利である。一方、化合物(II)の含有割合が過剰に高くなると、組成物中のリチウムイオン濃度が低下することによってイオン導電率の向上効果が少なくなることがある。リチウム塩(I)と化合物(II)との質量比が上記範囲にある組成物は、イオン導電率向上の観点から、リチウムイオン濃度と組成物の粘度とのバランスに優れたものとなりやすいので好ましい。
ここで開示される組成物は、上述した所定の割合(O/Li比および/または質量比)で化合物(II)を含有することにより、単なる粘度低下によって得られる程度を超えて、顕著に改善された特性を示すものとなり得る。例えば、一般的な非水溶剤として知られている化合物(例えば、エチルメチルカーボネートのようなカーボネート類、フルオロメチルアセテートのようなフッ素系有機溶媒等。ただし、化合物(II)に該当するものを除く。)とリチウム塩(I)とから実質的に構成される組成物に比べて、化合物(II)とリチウム塩(I)とから実質的に構成される組成物は、より良好な特性(イオン導電率、リチウムイオン輸率等)を示すものとなり得る。また、かかる組成物と電極材料(例えば、リチウム二次電池の正極および/または負極)との界面抵抗を、より低下および/または安定化させることができる。
本発明を適用することによる効果(例えば、イオン導電率、リチウムイオン輸率、界面抵抗等の少なくとも一つの特性を向上させる効果)は、常温付近(例えば20〜30℃)またはそれ以下の温度域において特によく発揮され得る。また、本発明によると、特に0℃以下の温度域における特性が顕著に改善された組成物が提供され得る。そのような組成物は、より広い温度域で、より良好な特性を示すものとなり得る。
ここで開示される組成物において、化合物(II)は、粘度低下および導電性向上のための添加剤として把握され得るものである。この化合物(II)を所定の割合で含有させる(添加する)ことにより、組成物の粘度を低下させることによる効果と、この化合物(II)が特定の構造(すなわち、一般式(2)で示される構造)を有することによる効果とが相乗的に発揮される。その結果、化合物(II)によると、他の化合物(例えば、上述のカーボネート類、フッ素系有機溶媒等)を用いた場合に比べて、より少ない含有割合で(リチウム塩(I)の含有割合がより高い組成、すなわちリチウムイオン濃度がより高い組成において)、より良好な特性を示す組成物が実現され得るものと推察される。
上述したいずれかの組成物は、リチウム電池(典型的には、リチウムイオン二次電池)等の構成要素として好適に用いることができる。例えば、上述したいずれかの組成物をそのまま(単独で、すなわち実質的にリチウム塩(I)および化合物(II)のみを含有する状態で)、リチウム二次電池等の電解質(常温溶融塩電解質)として使用することができる。また、該組成物を例えば非水溶剤(化合物(II)に該当するものを除く。以下同じ。)と混合したものをリチウム二次電池等の電解質として使用してもよい。非水溶剤としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等の一種または二種以上を用いることができる。あるいは、リチウム溶融塩以外の常温溶融塩(例えば、イミダゾリウム系、アンモニウム系、ピリジニウム系等)と混合して使用してもよい。
さらに、ここで開示される組成物は、例えばポリエチレンオキシド(PEO)、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体(EO−PO)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVdF−HFP)等の支持体とともに成形(成膜)することにより、固体電解質として利用することも可能である。
そのようなリチウム二次電池を構成する正極としては、正極集電体に正極活物質を付着させたものを用いることができる。正極集電体としては、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)等を主体とする棒状体、板状体、箔状体等を使用することができる。あるいは、カーボンペーパー等を用いてもよい。正極活物質としては、一般的なリチウム二次電池に用いられる層状構造の酸化物系正極活物質、スピネル構造の酸化物系正極活物質等を用いることができる。例えば、リチウムコバルト系複合酸化物(典型的にはLiCoO)、リチウムニッケル系複合酸化物(典型的にはLiNiO)、リチウムマンガン系複合酸化物(LiMn)等を主成分とする正極活物質を用いることができる。このような正極活物質を、必要に応じて導電材、結着剤(バインダ)等とともに正極合材として正極集電体に付着させた形態の正極とすることができる。導電材としては、カーボンブラック(アセチレンブラック等)のような炭素材料、ニッケル粉末等の導電性金属粉末等を用いることができる。結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVdF−HFP)、スチレンブタジエンブロック共重合体(SBR)等を用いることができる。特に限定するものではないが、正極活物質100質量部に対する導電材の使用量は、例えば1〜15質量部の範囲とすることができる。また、正極活物質100質量部に対する結着剤の使用量は、例えば約1〜10質量部の範囲とすることができる。
また、負極としては、負極集電体に負極活物質を付着させたものを用いることができる。負極集電体としては、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)等を主体とする棒状体、板状体、箔状体等を使用することができる。あるいは、カーボンペーパー等を用いてもよい。負極活物質としては、アモルファス構造および/またはグラファイト構造の炭素材料を用いることができる。例えば、天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、高配向性グラファイト(HOPG)、ハードカーボン、ソフトカーボン等を負極活物質として用いることができる。また、負極活物質としてSi,Sn等を用いてもよい。負極活物質としてチタン酸リチウム(例えばLiTi12)を用いてもよい。このような負極活物質を、必要に応じて結着剤(バインダ)等とともに負極合材として負極集電体に付着させた形態の負極とすることができる。結着剤としては、正極と同様のもの等を使用することができる。負極の他の構造として、Li(金属)箔、Si蒸着膜、Snメッキ箔等を採用することも可能である。
セパレータとしては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルムを用いることができる。また、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布または不織布を用いてもよい。
上述したいずれかの組成物を電解質に用いて構築されたリチウム二次電池は、例えば−30℃以上(典型的には、−30℃〜100℃)の温度域で好適に使用し得る。特に、常温以下(例えば−20℃〜常温、特に−20℃〜0℃)の温度範囲において、より改善された特性(例えば、イオン導電率、リチウムイオン輸率、電極との界面抵抗等のうち一つまたは二つ以上の特性)を示すリチウムイオン二次電池となり得る。
以下、本発明に関する実験例につき説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。
<使用した材料の説明>
まず、以下の実施例において使用したリチウム塩(I)および化合物(II)について説明する。
[Al−Salt A(7.2)]
リチウム塩(I)の一例として、下記式(A1)で表されるリチウム塩を使用した。
LiAl(O(CHCHO)7.2CH(OCOCF
・・・(A1)
この式(A1)で表されるリチウム塩は、一般式(1)におけるnが2であり、MがAlであり、XがOCOCFであり、Yが一般式(3)で表されるオリゴエーテル基である化合物に相当する。ここで、式(3)におけるRはエチレン基であり、Rはメチル基であり、m(平均重合度、すなわちエーテル鎖の平均ユニット数)は7.2である。式(A1)で表されるリチウム塩は、常温(25℃)で高粘性の透明な液状を呈するリチウム溶融塩(常温溶融塩)である。以下、式(A1)で表されるリチウム溶融塩を「Al−Salt A(7.2)」と表記することがある。
以下の実施例では、次のようにして得られたAl−Salt A(7.2)を使用した。すなわち、10mLのテトラヒドロフラン(THF)に、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH)の1.0M THF溶液8mL(8.0mmolのLiAlHを含有する)を加えた。系を−78℃に冷却し、m=7.2のオリゴエチレングリコールモノメチルエーテル(CHO(CHCHO)7.2H)5.6g(16.0mmol)を8mLのTHFに溶かしたものをゆっくりと滴下した。いったん系を室温まで戻して3時間攪拌した後、その反応液を、−78℃に冷却したトリフルオロ酢酸1.82g(16.0mmol)のTHF溶液中にゆっくりと滴下した。さらに、系を室温に戻して12時間攪拌した。その後、反応液を精製してAl−Salt A(7.2)を得た。
[Al−Salt A(3)]
リチウム塩(I)の他の例として、下記式(A2)で表されるリチウム塩を使用した。
LiAl(O(CHCHO)CH(OCOCF
・・・(A2)
この式(A2)で表されるリチウム塩は、上記式(A1)で表されるリチウム塩とはm(エーテル鎖のユニット数)が異なる。すなわち、式(A1)で表されるリチウム塩ではm=7.2であったのに対して、式(A2)でで表されるリチウム塩ではm=3である。式(A2)で表されるリチウム塩は、常温(25℃)で高粘性の透明な液状を呈するリチウム溶融塩(常温溶融塩)である。以下、式(A2)で表されるリチウム溶融塩を「Al−Salt A(3)」と表記することがある。
以下の実施例では、上述したAl−Salt A(7.2)と同様の手法により、ただしCHO(CHCHO)7.2Hに代えて同モル数のCHO(CHCHO)Hを用いて得られたAl−Salt A(3)を使用した。
以上で説明したAl−Salt A(7.2)およびAl−Salt A(3)の合成スキームを以下に示す。
Figure 0004817229
[B−Salt A(7.2)]
リチウム塩(I)の他の例として、下記式(B)で表されるリチウム塩を使用した。
LiB(O(CHCHO)7.2CH(OCOCF
・・・(B)
上記式(B)で表されるリチウム塩は、一般式(1)におけるnが2であり、MがBであり、XがOCOCFであり、Yが一般式(3)で表されるオリゴエーテル基である化合物に相当する。ここで、式(3)におけるRはエチレン基であり、Rはメチル基であり、mは7.2である。式(B)で表されるリチウム塩は、常温(25℃)で高粘性の透明な液状を呈するリチウム溶融塩(常温溶融塩)である。以下、式(B)で表されるリチウム溶融塩を「B−Salt A(7.2)」と表記することがある。
以下の実施例では、上述したAl−Salt A(7.2)とほぼ同様の手法により、ただしLiAlHに代えて水素化ホウ素リチウム(LiBH)を用いて得られたB−Salt A(7.2)を使用した。
[DMDG]
化合物(II)の一例として、ジエチレングリコールジメチルエーテル(CHO(CHCHO)CH)を使用した。具体的には、日本乳化剤株式会社製の商品名「ジメチルジグリコール」(以下、「DMDG」と表記することもある。)を使用した。
<実験例1>
上述したリチウム塩(I)および化合物(II)を用いて液状組成物を調製し、そのイオン導電率を測定した。
すなわち、リチウム塩(I)としてのAl−Salt A(7.2)と、化合物(II)としてのDMDG(CHO(CHCHO)CH)とを、リチウム塩(I):化合物(II)の質量比が90:10となる割合で量り取り、これらを常温で約1時間攪拌して試料1の液状組成物を調製した。また、リチウム塩(I):化合物(II)の質量比を変更した点以外は試料1と同様にして、試料2(質量比80:20)、試料3(70:30)および試料4(60:40)の各液状組成物を調製した。これらの試料1〜5の組成(質量比)およびO/Li比を表1に示す。なお、表中の比較試料1は、Al−Salt A(7.2)を単独で用いた(すなわち、化合物(II)を含有しない)試料である。
Figure 0004817229
これらの試料1〜4および比較試料1につき、それぞれイオン導電率σ(S/cm)を測定した。測定は、ステンレススチール電極を用いた交流インピーダンス法により、25℃(1000/T=約3.4[K-1]、ここでTは絶対温度(K)を表す。)、40℃(1000/T=約3.2[K-1])、60℃(1000/T=約3.0[K-1])および80℃(1000/T=約2.8[K-1])の各温度条件下で行った。イオン導電率測定用セルは、アルゴン雰囲気下、90℃で1時間加熱した後に3時間室温で冷却したものを用いた。その結果を図1に示す。図の横軸は、DMDGの含有割合(wt%)を表す。また、25℃におけるイオン導電率の測定結果については表1にも併せて示している。
図示するように、DMDGの含有割合が10〜40質量%(O/Li比=16.8/1〜28.7/1に相当する。)の範囲で、いずれの測定温度においても比較試料1(DMDGの含有割合=0)に比べてイオン導電率を明らかに向上させる効果が得られた。そのイオン導電率向上効果は、測定温度が低くなるにつれてより大きくなる傾向にあった。例えば室温(ここでは25℃)の場合、DMDGの含有割合が10〜40質量%の範囲にある試料1〜4では、DMDGを含有しない比較試料1に対して、log σの値が概ね1.0またはそれ以上に向上した。すなわち、O/Li比が16.8〜28.7となる割合でDMDGを含有させることにより、DMDGを含有しない組成(O/Li比=14.4)に比べて一桁以上(10倍以上)高いイオン導電率を達成することができた。特に、DMDGの含有割合が15〜40質量%(O/Li比=18.2〜28.7に相当する。)の範囲ではより大きな効果が得られ、該割合が15〜25質量%(O/Li比=18.2〜21.6に相当する。)の範囲ではさらに大きな効果が得られた。
また、試料1〜4および比較試料1につき、上記と同様にして−20〜80℃の温度範囲で各組成物のイオン導電率σ(S/cm)を測定した。その結果を図2に示す。
図示するように、DMDGを含有する試料1〜4は、いずれも比較試料1に比べて使用可能な温度域が低温側に(図2の右側に)広がっていた。すなわち、比較試料1に比べて、より広い温度範囲で良好なイオン伝導性を示した。また、試料1〜4はいずれも測定温度が低くなるにつれてイオン導電率の向上効果が大きくなる傾向にあった。特に、10質量%を超える割合でDMDGを含有する試料2〜4では、DMDGの含有割合が0〜10質量%である試料1および比較試料1に対して、常温以下(さらには0℃以下)の温度範囲において顕著な効果(低温特性改善の効果)が得られた。
<実験例2>
この実験例2は、エーテル鎖の平均ユニット数の異なるリチウム塩(I)を用いて実験例1と同様に液状組成物を調製し、そのイオン導電率を測定した例である。
すなわち、リチウム塩(I)としてAl−Salt A(3)を用いた点以外は実験例1と同様にして、リチウム塩(I):化合物(II)の質量比がそれぞれ90:10(試料5)、80:20(試料6)、70:30(試料7)、60:40(試料8)および50:50(試料9)である液状組成物を調製した。これらの試料5〜9の組成(質量比)およびO/Li比を表2に示す。なお、表中の比較試料2は、Al−Salt A(3)のみを含有する(すなわち、化合物(II)を含有しない)試料である。
Figure 0004817229
これらの試料5〜9および比較試料2につき、実験例1と同様にしてイオン導電率σ(S/cm)を測定した。その結果を図3および表2に示す。図3の横軸は、DMDGの含有割合(wt%)を表す。なお、比較試料2については、25℃ではイオン導電率が低すぎて測定が困難であったため、表2には30℃における測定値を示している。
図示するように、DMDGの含有割合が10〜50質量%(O/Li比=7.5/1〜19.1/1に相当する。)の範囲で、いずれの測定温度においても比較試料2(DMDGの含有割合=0)に比べてイオン導電率を明らかに向上させる効果が得られた。そのイオン導電率向上効果は、測定温度が低くなるにつれて(すなわち、1000/T[K-1]が大きくなるにつれて)より大きくなる傾向にあった。例えば測定温度40℃の場合、DMDGの含有割合が25〜50質量%の範囲にある試料7〜9では、DMDGを含有しない比較試料2に対して、log σの値が概ね2.0またはそれ以上に向上した。すなわち、O/Li比が9.3〜19.1となる割合でDMDGを含有させることにより、DMDGを含有しない組成(O/Li比=6.0)に比べて二桁以上(100倍以上)高いイオン導電率を達成することができた。また、室温(ここでは25℃)の場合、DMDGの含有割合が10質量%の(すなわち、O/Li比が7.5の)試料5に比べて、DMDGの含有割合が30〜50質量%の範囲にある試料7〜9ではイオン導電率の値が概ね40倍またはそれ以上に向上した。DMDGの含有割合が10〜50質量%(O/Li比=7.5〜19.1に相当する。)の範囲ではより大きな効果が得られ、該割合が20〜50質量%(O/Li比=9.3〜19.1に相当する。)の範囲ではさらに大きな効果が得られ、該割合が30〜50質量%(O/Li比=11.6〜19.1に相当する。)の範囲では特に大きな効果が得られた。
試料5〜9および比較試料2につき、上記と同様にして各組成物のイオン導電率σ(S/cm)を−20〜80℃の温度範囲で測定した。その結果を図4に示す。
図示するように、DMDGを含有する試料5〜9は、いずれも比較試料2に比べて使用可能な温度域が低温側に(図2の右側に)広がっていた。すなわち、比較試料1に比べて、より広い温度範囲で良好なイオン伝導性を示した。また、試料5〜9はいずれも測定温度が低くなるにつれてイオン導電率の向上効果が大きくなる傾向にあった。特に、20質量%を超える割合でDMDGを含有する試料7〜9では、DMDGの含有割合が0〜20質量%である試料5,6および比較試料2に対して、常温以下(さらには0℃以下)の温度範囲において顕著な効果(低温特性改善の効果)が得られた。
<実験例3>
Al−Salt A(7.2)およびDMDGを質量比80:20(O/Li比=19.7/1)の割合で含有する液状組成物(試料2)につき、リチウム金属箔との界面抵抗を測定した。このリチウム金属箔は、リチウム電池の負極として用いられる材料の一例である。セパレータとしては、厚さ約30μmのメチルセルロース製不織布を用いた。電解質としての試料2をセパレータに含浸させ、それを二枚のリチウム金属箔(負極)の間に挟んで測定用のセルを組み立てた。そして、組成物と負極との間の界面抵抗を交流インピーダンス法により測定した。測定は70℃で200時間行った。
また、電解質として試料2の代わりに比較試料1を用い、他の点については上記と同様にして界面抵抗を測定した。得られた結果を図5に示す。
図示するように、O/Li比が所定範囲となる割合でDMDGを含有する試料2では、DMDGを含有しない比較試料1に比べて、より低い界面抵抗値を示した。また、比較試料1に比べて試料2では界面抵抗値がより安定していた。特に、測定開始から100時間以降は優れた安定性を示した。
また、試料2および比較試料1につき、一般的なリチウム電池の正極との界面抵抗を測定した。正極としては、一般式:LiCo0.2Ni0.8で表される複合酸化物(活物質)を80質量%、アセチレンブラック(導電材)を10質量%、ポリメチルメタクリレート(PMMA;バインダ)を10質量%の割合で含有する正極合材の層をアルミニウム箔の表面に形成したものを用いた。セパレータとしては、厚さ約30μmのメチルセルロース製不織布を用いた。電解質としての試料2または比較試料1をセパレータに含浸させ、それを二枚の正極の間に挟んで測定用のセルを組み立てた。そして、組成物と正極との間の界面抵抗を交流インピーダンス法により測定した。測定は70℃で200時間行った。得られた結果を図6に示す。
図示するように、比較試料1では測定開始後に界面抵抗値の急激な上昇がみられた。これに対して試料2の界面抵抗値は低く、かつ安定していた。
<実験例4>
Al−Salt A(3)およびDMDGを質量比60:40(O/Li比=14.7/1)の割合で含有する液状組成物(試料8)およびAl−Salt A(3)のみを含有する組成物(比較試料2)につき、実験例3と同様にしてリチウム金属箔(負極)との界面抵抗を測定した。
その結果を図7に示す。図示するように、O/Li比が所定範囲となる割合でDMDGを含有する試料8では、DMDGを含有しない比較試料2に比べて、より低い界面抵抗値を示した。また、比較試料2に比べて試料8では界面抵抗値がより安定していた。特に、測定開始から50時間以降は優れた安定性を示した。
<実験例5>
この実験例5は、実験例1および2とは異なるリチウム塩(I)を用いて同様に液状組成物を調製し、そのイオン導電率を測定した例である。
すなわち、リチウム塩(I)としてのB−Salt A(7.2)と、化合物(II)としてのDMDGとを用いて、実験例1と同様にしてリチウム塩(I):化合物(II)の質量比がそれぞれ下記表3に示す割合である液状組成物(試料10〜12)を調製した。これらの試料10〜12の組成(質量比)およびO/Li比を表3に示す。
Figure 0004817229
試料10〜12およびB−Salt A(7.2)を単独で用いた試料(比較試料3)につき、実験例1と同様にして−20〜80℃の温度範囲でイオン導電率σ(S/cm)を測定した。その結果を図8に示す。
図示するように、DMDGの含有割合が10〜30質量%(O/Li比=16.7/1〜23.4/1に相当する。)の範囲で、比較試料3に比べてイオン導電率を明らかに向上させる効果が得られた。例えば、DMDGの含有割合が20〜30質量%の範囲にある試料11および12では、DMDGを含有しない比較試料3に対して、室温(ここでは25℃)におけるイオン導電率のσ値を概ね半桁向上させることができ、−20℃におけるイオン導電率のσ値については概ね二桁以上高くすることができた。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
組成とイオン導電率との関係を示すグラフである。 イオン導電率の温度依存性を示すグラフである。 組成とイオン導電率との関係を示すグラフである。 イオン導電率の温度依存性を示すグラフである。 組成物と負極との界面抵抗を示すグラフである。 組成物と正極との界面抵抗を示すグラフである。 組成物と負極との界面抵抗を示すグラフである。 組成とイオン導電率との関係を示すグラフである。

Claims (7)

  1. 常温で液状の組成物であって、
    下記一般式(1):
    LiMXn(OY)4-n (1)
    (ここで、nは1〜3であり、MはAlまたはBであり、Xは電子求引性基であり、Yはオリゴエーテル基である。);
    で表されるリチウム塩と、
    下記一般式(2):
    1−O(R0O)p−Z2 (2)
    (ここで、R0は炭素数2〜4のアルキレン基であり、Z1およびZ2はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基であり、pは1〜12である。);
    で表される化合物とを含有し、かつ、
    前記リチウム塩中の基Yに含まれるエーテル酸素の原子数および前記式(2)で表される化合物に含まれるエーテル酸素の原子数の和と、リチウムの原子数との比(O/Li比)が7/1〜30/1の範囲にあるイオン伝導性組成物。
  2. 前記式(2)におけるR0がエチレン基である請求項1に記載の組成物。
  3. 前記式(2)におけるZ1およびZ2が同一のアルキル基である請求項1または2に記載の組成物。
  4. 前記式(1)で表されるリチウム塩と前記式(2)で表される化合物とを、質量比(該リチウム塩:該化合物)が50:50〜95:5となる割合で含有する請求項1に記載の組成物。
  5. 前記一般式(1)におけるnが2であり、
    前記一般式(1)におけるYが下記一般式(3):
    (R1O)m−R2 (3)
    (ここで、mは1〜20であり、R1は炭素数2〜4のアルキレン基であり、R2は炭素数1〜8のアルキル基、アリール基またはアルキルアリール基である。);
    で表されるオリゴアルキレンオキシド基である請求項1に記載の組成物。
  6. 前記Xは、(CF3SO22N,(C25SO22N,CF3CO2,F56Oおよび(OY)2BO(ここで、Yはオリゴエーテル基である。)からなる群から選択される少なくとも一種である請求項1に記載の組成物。
  7. 請求項1からのいずれか一項に記載の組成物を電解質に用いて構築されていることを特徴とするリチウム二次電池。
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