JP4814464B2 - 熱電材料およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
[技術分野]
本発明は、ペルチエ効果を利用した冷却装置、温度調節装置や、ゼーベック効果により温度差を用いて発電を行う発電装置、熱起電力を利用した熱電対や各種センサー等に用いられる熱電素子、およびそれらの熱電素子を構成する熱電材料、およびその製造法に関する。
【0002】
[背景技術]
異種の半導体を接合して電気回路を形成し、直流電流を流すと一方の接合部で発熱、他方の接合部で吸熱現象が生じる。この現象はペルチエ効果と呼ばれる。ペルチエ効果を利用して対象物を電子的に冷却することを熱電冷却と呼び、これらの目的で構成されたデバイスを熱電冷却素子、あるいは一般にペルチエ素子と言う。また、2つの接合部間に温度差を生じさせると、温度差に比例した起電力が発生する。その現象をゼーベック効果と呼び、生じた起電力を利用して行う発電は、熱電発電と呼ばれている。
【0003】
さらに、異種の金属を接合して電気回路を形成し、2つの接合部間に生じる熱起電力を測定することにより、2つの接合部間の温度差を知るセンサーを熱電対と呼ぶ。ゼーベック効果を利用した各種センサーとは、熱電対のみならず、温度差に1対1に対応する示強性量の変化(強度変数)を、温度差を電位差によって検知することで捉え、各種機能にフィードバックさせることを目的とするデバイス、モジュール、またはシステムのことである。
以上のような異種の金属あるいは半導体を接合した基本構造を持つ素子は総称して熱電素子、これに用いられる熱電性能の高い金属あるいは半導体は熱電材料と呼ばれている。
熱電冷却は、固体素子による冷却であるため、有害な冷媒ガスを用いる必要が無く、騒音発生もないうえ、局部冷却も可能であるという特徴を有する。さらに、電流方向の切り換えでペルチエ効果による加熱も可能であるため、精密な温度調節ができる。このような特徴を生かした用途としては、電子部品の冷却・精密温調、温度管理の大切なワインクーラーなどの貯蔵庫があり、室温以下の低温で性能の高い熱電材料を利用すれば、フロンなどの有害ガスを用いない冷蔵庫や冷凍冷蔵庫の実現も可能である。
【0004】
他方、熱電発電は、工場、発電所、自動車等の熱機関の廃熱利用による発電、豊富な太陽エネルギーを利用した発電等のように、エネルギーの有効利用を可能にする。さらに、熱起電力が大きく抵抗が小さい金属系熱電材料は、熱電対など高感度の温度センサーとしても利用価値が高い。
熱電素子の性能が高いことは、通常、熱起電力(V)、ゼーベック係数(α)、ペルチエ係数(π)、トムソン係数(τ)、ネルンスト係数(Q)、エッティングスハウゼン係数(P)、電気伝導率(σ)、出力因子(PF)、性能指数(Z)、無次元性能指数(ZT)の何れかが高いか、熱伝導率(κ)、ローレンツ数(L)、電気抵抗率(ρ)が低いことで表すことができる。これらの熱電素子の性能を各種熱電性能という。なお、ゼーベック係数は熱電能とも言う。
【0005】
特に無次元性能指数(ZT)はZT=ασT/κ(ここで、Tは絶対温度である)で表され、熱電冷却における成績係数、熱電発電における変換効率など熱電変換エネルギー効率を決定する重要な要素である。そのため性能指数(Z=ασ/κ)の値が大きい熱電材料を用いて熱電素子を作製することにより、冷却および発電の効率を高めることが可能となる。
【0006】
即ち、熱電材料としては、ゼーベック係数(α)が大きいものが望ましく、さらに電気伝導率が大きく、従って出力因子(PF=ασ)が大きいものが特に望ましく、加えて熱伝導率(κ)が低い材料であれば最も好ましい。また、ゼーベック係数(α)が大きく、電気伝導率と熱伝導率の比σ/κ(=1/TL;主に金属の場合)が大きい材料が好ましいと言い換えることもできる。
しかしながら、従来の方法を用いて単一の熱電材料を用いる限り、性能指数(Z)、とりわけ出力因子(PF)やゼーベック係数(α)は材料を構成する元素の種類、組成比でほぼ決まってしまい、従来から使われている熱電半導体BiTe、PbTe、あるいはSi−Geを各種熱電性能において、大幅に上回る材料は見出されていない。
【0007】
そのため、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法などの薄膜形成技術を用いて積層構造とすることにより無次元性能指数(ZT)を向上させる検討がなされており、最近の検討では、2次元量子井戸構造(特表平8−505736)により電荷担体(電子、正孔)を2次元に閉じ込めることによって、BiTe半導体の場合、無次元性能指数(ZT)がバルク材料の約7倍に達するという理論的考察(L.D.Hicks and M.S.Dresselhaus,Phys.Rev.B,47,(1993)p12727)がなされ、実験的にも性能指数(Z)の向上が実証されている。
【0008】
また、超格子構造のごとく数十nm程度の単位で異種の材料からなる層が接する界面が多数存在すると、熱伝導をつかさどるフォノンが界面で散乱されることによって、バルク材料よりも熱伝導率を低減することも提案されている(R.Venkatasubramanian and T.Colpitts,Materials Research Society Symposium Proceedings Vol.478(1997)p73)。
しかしながら、上記手法による性能指数または無次元性能指数の向上のために量子サイズの規則正しい繰り返し多層構造を製造するには、MBE法やCVD法等でnmオーダーの膜を一層ずつ交互に積み重ねる必要があるので、膜形成の速度が遅く工業的には問題があった。具体的には、通常、熱電素子は図1に示すように、P型半導体とN型半導体がその両端を金属電極で挟み込まれた構造を有しており、高温側から低温側の電極へ熱の戻りがあるために半導体の厚みをある程度厚くする必要があり、例えば、0.02μm/分の膜形成速度では量子井戸構造を有した厚さ200μmの熱電材料を作製するには約1週間の連続成膜を必要とするといった問題があった。
【0009】
熱電発電の用途では、性能指数はもとより、出力因子の大きい材料が求められる場合がある。性能指数(Z)は、出力因子(PF=ασ)を熱伝導率(κ)で除した値であって、κが小さいと同じ出力因子であっても、性能指数が大きくなる。しかし、あまりκが小さいと、温度差のある部分に素子を挿入するので、熱抵抗が増大する。これが原因となって、システム全体が大きくなり、資本コストや運転コストが大きくなるという問題点が指摘されている。例えば、山口らによる「熱電変換シンポジウム’99(1999.8.6、東京)論文集、p.44)」を参照。
各種センサーとして用いられる材料としては、検出感度や精度を高める上で、ゼーベック係数が高いことが求められ、アルメル−クロメル、白金−白金ロジウムなどの金属系熱電材料が常用されるが、貴金属のみで構成されていたり、多成分系の合金を使用するため、材料費や安定性能を維持するための製造コストが高かったりする問題があった。
以上のように熱電材料においては、高いゼーベック係数、それに伴って向上する高い出力因子を達成し、性能指数を向上せしめることが必要であるが、それ以外にも、耐衝撃性、耐熱歪性、成形加工特性も同時に要求される。
【0010】
ところで、熱電発電素子は、高温側と低温側の温度差を利用して発電し、また、熱電冷却素子は電流により、低温側から高温側へ熱量を移動することによって機能を果たすので、上述のように、温度差のある部分に素子が挿入されることになる。従って、低温側と高温側で熱膨張差が生じ、素子内に熱せん断応力が発生する。
また、現在熱電冷却素子としては、BiTe半導体を利用するが、はんだを高温側での電気的接合に用いた場合、はんだ組織の粒塊の粗大化が起こり、不均一な熱せん断応力が素子内に生じる(梶川委員長、電気学会技術報告第624号、1997、電気学会編、p.35)。これらのせん断応力の発生によって、熱サイクルによる熱電半導体素子の寿命が極端に劣化する。
従来より、用途に応じ、各種熱電性能を犠牲にしてもせん断応力に比較的強く劈開性のない、溶融多結晶体や粉末焼結体の熱電半導体材料を用いること、接合を行うこと等、様々の素子構造が提案されてきた。しかしながら、これらの提案では工程や構造が複雑となるため、コストパフォーマンスが劣る問題点があった。上記熱せん断応力に満足に耐えうる熱電材料の出現が望まれている。
【0011】
また、熱電発電、熱電冷却用途に用いられる素子の材料として、従来は、例外なく半導体材料が用いられている。そのため、素子が脆くて割れや欠けが生じやすく、ペルチエ素子などに利用される2mm立方体や0.6□×1.3mmなどの小さな形状に切削加工する場合、工程上歩留まりが悪かったり、振動や衝撃の多い用途では品質が保証されにくい問題点もあった。
このように、半導体材料を用いた場合には、熱電素子の形状を複雑にすることができない。そのため、従来の熱電材料は、例えば、既存の熱機関に無理なく熱電材料を設置するために、熱電素子の形状を、円筒形などの曲率を有したパイプに装着できる形状にしたい場合や、設計上の他の理由で平板の熱電素子やモジュールが使用し難い場合に、十分な効率を得ることができなかった。
本発明の課題は、熱電素子としての高い性能が期待できる、即ち、ゼーベック係数(α)が高くて出力因子(PF)の大きな熱電材料であって、しかも、耐衝撃性、耐熱歪性、および成形加工性に優れたものを提供することである。
【0012】
[発明の開示]
上記課題を解決するために、本発明は、金属または合成樹脂からなる層状体と、半金属からなる層状体とを備え、これらの層状体が交互に積層された積層体で構成され、これらの層状体の厚さの平均値が0.3nm以上1000nm以下である熱電材料を提供する。この熱電材料を、第1の熱電材料と定義する。
本発明において「半金属」とは、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、セレン(Se)を指す。珪素(Si)やゲルマニウム(Ge)は半導体であるため、炭素(C)や硼素(B)は延展性が不十分であるため、本発明では用いない。
【0013】
金属としては、鉄(Fe)、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、金(Au)、白金(Pt)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、希土類元素、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、鉛(Pb)、またはスズ(Sn)等の延展性のある金属、あるいはこれらの金属同士の固溶体が使用できる。
合成樹脂として使用できるものを以下に例示する。
12−ナイロン、6−ナイロン、6,6−ナイロン、4,6−ナイロン、6,12−ナイロン、非晶性ポリアミド、半芳香族ポリアミドのようなポリアミド系樹脂。ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂。ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリビニル系樹脂。
エチレン−エチルアクリレート共重合体、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂。ポリアクリルニトリル、アクリルニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体等のアクリロニトリル系樹脂。ポリウレタン系樹脂。ポリテトラフルオロエチレン等の弗素系樹脂。
ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリスルホン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルフィド、ポリアミドイミド、ポリオキシベンジレン、ポリエーテルケトン等のエンジニアリングプラスチックと呼称される合成樹脂。
【0014】
全芳香族ポリエステル等の液晶樹脂を含む熱可塑性樹脂。ポリアセチレン等の導電性ポリマー。エポキシ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ変性ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、熱硬化アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂。ニトリルゴム、ブタジエン−スチレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、ポリアミドエラストマー等のエラストマー。
本発明はまた、半金属からなる層状体と金属からなる層状体とを備えた積層体で構成され、これらの層状体の厚さの平均値が0.3nm以上1000nm以下である熱電材料を提供する。この熱電材料を、第2の熱電材料と定義する。
【0015】
この熱電材料において、金属からなる層状体は、前述のいずれの金属からなる層状体であってもよいが、Ag、Fe、Cu、Ni、Al、Au、Pt、Cr、Zn、Pb、およびSnのいずれかの金属からなる層状体であることが好ましい。これらの金属を用いることにより、得られる積層体の成形加工性と電気伝導率が特に良好となる。
この熱電材料において、半金属からなる層状体はビスマス(Bi)からなる層状体であり、金属からなる層状体はAg、Fe、Cu、Al、Zn、およびSnのいずれかの金属からなる層状体であることが好ましい。その理由を以下に述べる。
Biは、半金属の中で塑性変形性能が比較的良い材料であるため、ゼーベック係数と出力因子が特に高くなる。また、Biと、Ag、Fe、Cu、Al、Zn、またはSnとは、室温でも圧延温度でも、全率固溶体や金属間化合物にならない。そのため、圧延または1軸プレスを製法とした場合に、熱電性能の良好な積層体が容易に得られる。
この第2の熱電材料では、積層体で隣接する層状体の界面層にアモルファス相が生じたり、一方の層状体の金属または半金属からなる微結晶が他相に微分散して混合相が生じる場合がある。これらの相の存在が出力因子の向上作用に寄与していると考えられるが、現時点ではそのメカニズムは明らかではない。
【0016】
本発明はまた、半金属からなる層状体と合成樹脂からなる層状体とを備えた積層体で構成され、これらの層状体の厚さの平均値は0.3nm以上1000nm以下である熱電材料を提供する。この熱電材料を、第3の熱電材料と定義する。
この熱電材料は、合成樹脂からなる層状体の可撓性により、曲げ応力やせん断応力に強い熱電材料となる。すなわち、半導体からなる従来の熱電材料と比較して、この熱電材料は、遙かに耐衝撃性や耐熱歪性に優れていて、成形加工性にも富む。また、カッターや鋏で簡単に切断することができ、切断面の崩れも生じ難い。
【0017】
また、合成樹脂からなる層状体を備えていることによって、半導体からなる従来の熱電材料と比較して、複雑な形状とすることができる。例えば、この熱電材料を、円筒形などの曲率を有するパイプに装着すること等も可能であるため、設計上の自由度が大きくなる。また、この熱電材料は、熱履歴がある場合でも耐久性が高い。
この熱電材料において、前記合成樹脂は、前述のいずれの合成樹脂であってもよいが、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはエラストマーであることが好ましく、ポリアミド系樹脂が特に好ましい。これにより、強度、可撓性、耐久性のいずれの点でも良好な積層体が得られる。
【0018】
また、前述のように、Biが半金属の中で塑性変形性能が比較的良い材料であるため、第1および第3の熱電材料においても、半金属としてBiを用いることが好ましい。これにより、ゼーベック係数と出力因子が特に高くなる。
第1〜第3の熱電材料においては、層状体の厚さの平均値を0.3nm以上1000nm以下とする。この値が0.3nm未満になると、各層状体間の界面エネルギーが急速に高くなるため、熱的に不安定な材料になる。この値が1000nmを越えると、十分に高い熱電性能が得られない。
【0019】
これらの熱電材料において、層状体の厚さの平均値は0.3nm以上100nm以下であることが好ましく、1nm以上50nm以下であることがより好ましい。
第3の熱電材料において、電気伝導率が極めて低い合成樹脂からなる層状体と、Biからなる層状体とからなり、半金属層の厚さが0.3〜10nmである積層体は、キャリア状態密度の低次元化が可能となって飛躍的な熱電性能の向上が期待できる。この積層体を得る為には、層状体の扁平比と積層構造の制御、及び圧延、熱処理などの条件に格別な工夫が必要である。
この積層体を構成する層状体の厚さの平均値が10〜1000nm、好ましくは10〜100nmであれば、可撓性とゼーベック係数の向上または熱伝導度の低減を、同時に実現することができる。この場合、各層状態の厚さを数nmまで薄くすることは必須ではない。
第1〜第3の熱電材料には、半金属からなる層状体、金属からなる層状体、および合成樹脂からなる層状体を全て備えた積層体も含まれる。この積層体は、熱電性能と成形加工性の両方に特に優れた熱電材料となる。
【0020】
本発明はまた、第1〜第3の熱電材料からなる熱電素子を提供する。この熱電素子は、積層体の厚さ方向に電流を流して使用される、または積層体の厚さ方向の両端に温度差を与えて使用される熱電素子であることが好ましい。
本発明は、また、金属からなる層状体を2種類以上備えた積層体で構成され、これらの層状体の厚さの平均値が0.3nm以上100nm以下である熱電素子であって、積層体の厚さ方向に電流を流して使用される、または積層体の厚さ方向の両端に温度差を与えて使用される熱電素子を提供する。
【0021】
この熱電素子においては、層状体の厚さの平均値が0.3nm未満になると、各層状体間の界面エネルギーが急速に高くなるため、熱的に不安定な材料になる。また、この値が100nmを越えると、十分に高い熱電性能が得られない。
この熱電素子において、層状体の厚さの平均値は1nm以上50nm以下であることが好ましい。
この熱電素子において、前記層状体は前述のいずれの金属からなる層状体であってもよいが、Ag、Fe、Cu、Ni、Al、Au、Pt、Cr、Zn、Pb、およびSnのいずれかの金属からなる層状体であることが好ましい。これらの金属を用いることにより、得られる積層体の成形加工性と電気伝導率が特に良好となる。
この熱電素子において、前記積層体は、Fe、Ni、Al、Pt、Cr、およびSnのいずれかの金属からなる層状体と、Ag、Cu、Au、Zn、およびPbのいずれかの金属からなる層状体と、を備えていることが好ましい。その理由を以下に述べる。
ゼーベック係数αは、一般に、下記の[1]式に示すように、電子拡散項αe、フォノンドラッグ項αph、磁気スピンとの相互作用に関与する項αmagの和で表される。
α=αe+αph+αmag‥‥[1]
【0022】
常磁性、強磁性のような磁気スピンを有する材料、または正の磁化率χを有する材料であるFe、Ni、Al、Pt、Cr、Sn等からなる層状体を1種以上含む積層体は、αmagの項によるゼーベック係数の向上が得られる。また、この層状体と、の磁化率χを有する材料であるAg、Cu、Au、Zn、Pb等からなる層状体とを備えた積層体は、積層体の厚さ方向に電流を流して使用される、または積層体の厚さ方向の両端に温度差を与えて使用される熱電素子である場合に、特に良好なゼーベック係数が得られる。
さらに、Ag−Niのように、単体室温でゼーベック係数が正と負である組み合わせ、あるいは使用温度領域でゼーベック係数が正と負である組み合わせも、積層体の構造によっては好ましい場合がある。
本発明はまた、2層以上の層状体を備えた積層体で構成され、これらの層状体の厚さの平均値が0.3nm以上1000nm以下である熱電材料の製造方法において、前記積層体を構成する全ての種類の層状体からなる初期積層体を形成した後に、この初期積層体を複数枚重ねて圧延または1軸プレスを行うことにより、前記積層体を形成する熱電材料の製造方法を提供する。
この製造方法において、初期積層体を複数枚重ねて圧延または1軸プレスを行って得られた2次積層体を、複数枚重ねて圧延または1軸プレスを行うことを1回行うか複数回繰り返すことが好ましい。
【0023】
これらの製造方法において、層状体の材料として平均粒径0.1μm以上500μm以下の粉体を用い、この粉体を予備焼結した後に、前記初期積層体を形成することが好ましい。
本発明の熱電材料を構成する積層体は、これらの製造方法によって製造することができる。本発明の製造方法によって、積層体の平均の厚さが200μm以上である積層体を作製することができる。すなわち、本発明の製造方法によって、図1に示す構造の熱電素子用の積層体を作製することができる。
【0024】
本発明には、本発明の熱電素子および熱電材料において、積層体を構成する層状体が膜面内で不連続である熱電素子および熱電材料も含まれる。この熱電素子および熱電材料は、積層体を構成する層状体が膜面内で不連続であっても各種熱電性能が高いものである。この積層体は、例えば上記本発明の製造方法によって製造される。MBE法やCVD法などの薄膜形成技術を用いて製造された積層体は、通常、膜面内で連続な層状体で構成されている。
【0025】
[層状体について]
本発明の熱電素子は積層体からなり、この積層体を構成する層状体の厚さの平均値は0.3nm以上1000nm以下である。この積層体が圧延または1軸プレスを行う前記方法で製造された場合、この積層体をなす各層状体の厚さを次のように定義する。
先ず、圧延の場合には、図13の平面Sまたはこれに平行な面を基準面とする。1軸プレスの場合には、プレス方向(図14のZ軸方向)と平行な平面(図14に平面Sを例示)を基準とする。
前記方法で製造された積層体の層状体は、極めて扁平な直方体または回転楕円体と見做すことができる。この層状体を極めて扁平な直方体と見做すことができる場合、この層状体を前記基準面で切断した断面(長方形)の短辺を、層状体の厚さと定義する。この層状体を極めて扁平な回転楕円体と見做すことができる場合、この層状体を前記基準面で切断した断面(楕円)の短軸の2倍を、層状体の厚さと定義する。
【0026】
層状体を極めて扁平な直方体と見做した場合、層状体の扁平比は、直方体の底面積(A)の平方根に対する高さ(d)の比(d/√A)である。本発明においては、層状体の扁平比が102〜10-9であることが好ましい。
積層体が前記方法で製造された場合、層状体の扁平比ψは、前記断面から知ることができる。層状体を扁平な直方体と見做した場合には、前記断面に相当する長方形の長辺(l)に対する短辺(d)の比(d/l)を、層状体の扁平比ψと定義する。層状体を扁平な回転楕円体と見做した場合には、前記断面に相当する楕円の長軸(a)に対する短軸(b)の比(b/a)を、層状体の扁平比ψと定義する。
本発明では、積層体が前記方法で製造された場合、この扁平比ψが0.2〜10-11であるものを「層状体」と定義する。
【0027】
以下、「積層体断面」は、前記基準面(S、S等)で、積層体の中心に近い部分を切った断面を指す。通常、積層体断面において、圧延方向あるいはプレス方向と垂直な方向に、長方形の長辺(l)または楕円の長軸(a)の向きが揃っている。
扁平比ψ=1に近ければ層状体断面は正方形若しくは円に近似でき、扁平比がψ=0に近ければ近いほど、その断面をSEMまたはTEMで観察した時に、有限の観察域に層状体の両端部が入る確率が低くなり、層状体が平行に並んだような層構造が観察される。
本発明の層状体は、積層体内での平均の扁平比Ψが0.2≧Ψ≧10-11の範囲内に含まれるものである。平均の扁平比Ψは、ゼーベック係数の向上や熱伝導率の低減の観点から好ましくは10-2≧Ψ≧10-11、生産性の観点から好ましくは0.2≧Ψ≧10-9、さらに好ましくは10-2≧Ψ≧10-9とする。金属同士の層状体からなる積層体では、平均の扁平比Ψが0.02以下であることが、ゼーベック係数の向上の観点から最も好ましい。
【0028】
平均の扁平比Ψを求める際は、統計学上材料の組織を十分代表しうる数を母集団とするのが理想であるが、10程度のψを調べれば、平均の扁平比Ψが前記範囲内にあるか否かを判定できる場合が多い。
前述の本発明の製造方法では、層状体の扁平比ψが10-11であって平均の扁平比Ψも10-11である積層体が得られることは、通常考えられない。その理由は以下の通りである。圧延または1軸プレス法では、主として積層体が滑り面に沿ってすべり変形していくことにより、層状体の扁平比ψが小さくなっていく。扁平比ψが10-11であると単位体積当たり膨大な界面を有している為、圧延操作の最終段階で膜面方向に界面が全て平行な状態を保ったまま、理想的な変形を生じさせることは極めて困難である。
【0029】
前述の本発明の製造方法では、積層体断面が、隣り合う2つの層状体の一方が直方体や回転楕円体と見做せる形になっていて、他方がその周辺に連続して分布しているような微構造になる場合がある。この微構造は、3次元の自由度を有した実空間に置かれた材料がある特定の1軸方向に強い圧力を受けるような圧延操作を加えて積層体を作製しているために、圧延方向とほぼ平行または1軸プレス方向とほぼ垂直な方向に層状体の長手方向が揃うような微構造を有している。すなわち、この微構造は、広義の海−島構造であると考えられるが、マトリックスの中に単に組織が等方的に微分散しているだけものとは異なる。
【0030】
この特殊な微構造が、本発明の効果を奏する本質的な要件のひとつとなっており、熱電性能の異方性の起源にもなっている。特に金属同士の組み合わせにおいては、膜面と垂直方向に電流を流す素子構造、あるいは、厚さ方向に温度差を与えることで生じる電位差を利用する構造としなければ、十分な熱電性能を発揮することができない。
なお、海−島構造を成しているように観察された場合、連続層に当たる要素の厚さは任意の膜面垂直方向で、最も近接している島と島、或いは島と材料の端部との距離を、その部分の連続層の厚さdとする。もちろん連続層として観察される層も層状体の範疇に属して考え、その扁平比は、連続層の厚さと、観察領域の膜面方向の長さ(即ち、連続層の厚さを測定する方向と垂直な方向で、厚さd内にある直線のうち他の層で区切られる線分の長さの最小値)又は積層体の一端から他端まで連続となっていると予想される場合は、積層体全体の長さとの比をもって定義する。
【0031】
平均の層状体の厚さを計算するときなど、層状体の積層数を数える必要がある場合には、たとえ島に当たる層状体を囲む平曲面を回避して、膜面垂直方向に成分を持つ空間ベクトルを伝い進むことができ、1層と認識しうる領域であったとしても、任意の膜面垂直方向において2つの島に当たる層状体の間隙の数がn個含まれる場合には、nを層の数と考える。実際の数え方に則して述べると、膜面垂直方向に沿った任意の長さuを取り、界面の数mを数えて、mを厚さuの中の層の数、u/mを平均の層の厚さとする方法と同じ考え方である。即ち、閉じた平曲面に囲まれた1つの領域が複数の層として数えられる場合があるということである。
【0032】
極端な例として、連続したマトリックスMの中に同一形状の2つの楕円体様の層状体L、Lが膜面垂直方向に並んで浮いている場合(図2)を考えよう。この時、図中点線部(図の符号10)に沿って層の数を数える場合、M部はひとつの連続層であるにも関わらず、全体で3層(図の符号7、8、9の部分の計3層)とは数えず、試料端部−L、L、L−L、L、L−試料端部の合計5層を全体の層の数として計上する。
以上のような、mから層の厚みを計算する、層状体或いは微構造の捉え方は、扁平比の大きな層状体が多く分布する本発明の微構造において、熱電性能を支配する因子を考える場合、非常に合理的である。例えばゼーベック係数や熱伝導率が界面の面積に大きく依存する本発明の場合、界面の総面積の指標は、u/mで計算するような層の厚さとすることが好ましく、例えば閉曲面に囲まれた連続部分の数が積層体全体でいくつあるかを問うのは実際的ではない。もちろん、上記の取り扱いは、扁平比ψが0.2以下と1に比べ小さく、膜面方向に層状体の長手方向が揃っているような層状体が支配的に存在する材料でなくては成立しない。
【0033】
本発明における層状体の厚さの平均値:Dは、例えば以下の方法で算出される。1枚または2枚以上の積層体断面において、膜面垂直方向に沿った長さuiの任意の線分N個を取り、それぞれの線分において、界面の数miを数えて、ui/mi層状体の厚みdiとする(iは、1≦i≦Nの自然数)。なお、実際には、積層体断面の切削面または研磨面などを透過型電子顕微鏡(TEM)又は走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した写真を基にする。
このとき、uiはmi≧10となるようにとり、uiは十分全体の組織を反映するだけの数N個を取る必要があるので、通常積層体断面から10以上選ばれるべきである。
di=ui/mi [mi≧10] ‥‥[2]
D=(ΣN i=1di)/N [N≧10] ‥‥[3]
【0034】
[2]式と[3]式より層状体の厚さの平均値Dを計算する。但し、十分組織が均一な材料と認められる場合、必ずしもmi≧10、N≧10でなくても良い。
本発明の熱電材料および熱電素子においては、積層体を構成する層状体の厚さの平均値を前述の範囲に限定することによって、良好な熱電性能が得られる。
積層体を構成する層状体の厚さの平均値Dが前述の範囲にあれば、各層状体の厚さdは、必ずしも一定である必要はない。しかし、同一組成の層状体同士を比べた場合、上記Dを計算する際に用いた積層体断面を観察する範囲内において「最大の厚さ/最小の厚さ」が1〜100であることが好ましい。「最大の厚さ/最小の厚さ」が100を越えると、最大厚さの層状体の性質が物性全般に大きく影響する。最大厚さ及び平均厚さが共に1000nmを超えると、金属のみで構成された積層体の場合は100nmを超えると、本発明の効果が十分に発現されず、各種熱電特性はバルク状材料に対して大きな向上が望めなくなる。「最大の厚さ/最小の厚さ」は1〜10であることが好ましい。
【0035】
層状体は熱電材料の積層面全域を覆っている構造が最も理想的な場合であるが、必ずしも、熱電材料を構成する層状体が熱電材料の一端から他端まで連続体を成している必要はなく、熱電材料の各部分で本発明の積層構造を成していればよい。本発明の積層体は膜面内で不連続であったとしても、十分各種熱電性能が高いことが特徴である。さらにまた、膜面方向に平行でなく、若干波打った構造であっても問題なく各種熱電性能は発揮され、これより、積層体を任意の形に湾曲させたり、折り曲げたりして使用することもできる。
【0036】
[製造方法について]
次に本発明の熱電材料の製造方法について記載するが、特にこれらに限定されるものではない。
本発明の製造方法のフローチャートを図3に示し、これに基づき本発明の製造方法を説明する。
最初に本発明における積層前駆体の製造方法について説明する。
粉体状の原料を2種類以上用いる場合は、以下の[I]、[II]2通りの何れか、または両方の工程を経て積層前駆体を形成する。
[I]圧縮成形法
原料粉体を(1)混合(混合工程)し、(2)圧縮成形(圧縮成形工程)し、その後(3)圧延{圧延工程(成形体圧延工程)}して、積層前駆体とする。
【0037】
[II]溶融成形法
原料粉体を(1)混合(混合工程)し、(2’)溶融成形(溶融成形工程)し、その後(3)圧延{圧延工程(成形体圧延工程)}して、積層前駆体とする。
また、圧縮成形工程や溶融成形工程を経ない(1)混合工程→(3)圧延工程(成形体圧延工程)を経て積層前駆体を得る方法、混合工程を経ず(2)圧縮成形工程→(3)圧延工程(成形体圧延工程)を経て積層前駆体を得る方法、または(2’)溶融成形工程→(3)圧延工程(成形体圧延工程)を経て積層前駆体とする方法、(2)圧縮成形工程を経たのも(2’)溶融成形工程を含む工程を経て積層前駆体とする方法も可能である。
【0038】
一方、用いる原料が1種類の粉体状の原料から、積層前駆体を作製する場合は、(1)混合工程を省き、(2)圧縮成形工程→(3)圧延工程(成形体圧延工程)、(2’)溶融成形工程→(3)圧延工程(成形体圧延工程)、(2)圧縮成形工程→(2’)溶融成形工程→(3)圧延工程(成形体圧延工程)、あるいは(3)圧延工程(成形体圧延工程)だけで積層前駆体を製造することが可能となる。
【0039】
本発明において、粉体状の原料の粒径は、0.1μmから500μmまでの塑性変形可能な原料が好適に用いられる。0.1μm未満では圧縮成形または混合がしづらく、500μmを超えると、層状体の厚みを適切な範囲とするのに繰り返して圧延する回数を増やさねばならず、生産性が良くない。さらに、優れた生産性が要求される場合は、平均粉体粒径を1〜100μmの範囲にすることが望ましい。
以下、2種類以上の粉体状の原料を用いた積層前駆体を作製するための各工程について、さらに詳細に説明する。
【0040】
(1)混合工程
2種類以上の粉体状の原料を混合する場合、その方法としては、通常の混合機を用いる方法で良い。混合機は特に限定されるものではなく、自動乳鉢、V型ミキサ、タンブラ、リボンミキサ、ロータリーミキサ、ヘンシェルミキサ、フラッシュミキサ、ナウタミキサ、スーパーミキサなどである。市販の原料粉体を上記混合機にて混合する方法に加えて、粉砕や解砕、表面改質を伴いながら混合する方法として、回転ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ウエットミル、ジェットミル、カッタミル、ハンマーミルなどの粉砕機や表面改質機を用いることも有効である。
【0041】
(2)圧縮成形工程
粉体状原料を油圧プレス等で圧縮成形し、一旦成形体を作製する方法である。圧縮成形は、金型に粉体を詰め拘束下で1軸方向に圧を加える方法、金型の間に挟み1軸方向以外は開放状態で圧縮する方法、等方的に圧力を付与するCIP法などが挙げられる。
成形体は積層前駆体に圧延しやすい形状、例えば平板状、短冊状、リボン状、シート状、コイン状、ボタン状などの扁平な直方体や円盤に近い形に成形した方が好ましい。
【0042】
(2’)溶融成形工程
混合した粉体状原料を溶融処理して、インゴットまたはコンパウンドに成形する方法である。上記のように、粉体状原料を油圧プレス等で圧縮成形し、一旦成形体を作製し、溶融処理する方法もよく用いられる。さらに、溶融させるのは、全部の原料粉体成分の場合もあり、また一部の成分の場合もある。
溶融成形は、粉体原料をアルミナ、ジルコニアなどのセラミックス、カーボンなど還元性材料、白金、ステンレス、ニッケル、アルミニウムなどの金属、硬ガラス、パイレックス、石英などのガラス製のボート、坩堝、チューブ、リアクター、セパラブルフラスコなどに仕込むか封じ込めて、真空炉、管状炉、るつぼ炉、マッフル炉、塩浴、油浴、湯浴など通常用いられる外部から熱を加える炉で、真空中、アルゴンガス、窒素ガスなどの非酸化性雰囲気中、水素ガスなど還元ガス雰囲気中或いはフロー中で溶融することによって得る。
【0043】
その他、金属−金属、金属−半金属の組合せの場合、高周波溶解炉、アーク溶解炉などによっても作製可能である。これらの溶融成形する雰囲気は選ばれる材料にもよるが、500℃以下なら大気中でも可能な場合がある。
この工程を経て作製した成形体は、最終的に積層前駆体として圧延しやすい形状、例えば平板状、短冊状、リボン状、シート状、コイン状、ボタン状などの扁平な直方体や円盤に近い形に成形した方が好ましい。
【0044】
(3)圧延工程(成形体圧延工程)
この工程はロール圧延、1軸圧縮機による冷間圧延やホットプレスなどの一般的な方法が挙げられるが、中でもロール圧延は、圧延効率が高く好ましい方法である。ロール圧延は温間、常温下、あるいは常温未満いずれでも可能であるが、特に常温下でロール圧延を用いる方法が、生産性が高く好ましい。
本発明の積層前駆体の厚みには特に制限がないが5μm〜1mmまでであることが好ましい。5μm未満であると均質な積層が困難となり、また1mmより厚いと後述する積層体の圧延工程における圧延回数が多くなって生産性が低下し好ましくない。さらに好ましい積層前駆体の厚みの範囲は10〜500μmである。
その他、積層前駆体の製造方法には、シート状の原料と粉体状の原料を組み合わせて圧延する方法や、ロール圧延を用いる場合において混合粉体を直接ロール間やプレス間に供給して圧延する方法も用いられる。混合粉体を直接圧延する場合は、混合粉体を金属製の板で挟み込んだり、金属製シートで包み込むか、または金属製の管の中に入れた状態、さらにはその両端を封印したものでロール圧延をするシース圧延法が好ましい。これらの製造方法によれば圧縮成形工程を省くことが可能となる場合があり、その場合工業生産性が向上する。
【0045】
以上の製造方法で積層前駆体を製造することができるが、市販品にあるような、既にシート状の原料となっている場合にはそのまま積層前駆体として用いることが可能である。
これらの例に従って製造した積層前駆体を、以下に示す方法により熱電材料とする。
先ず必要に応じて寸法を切り揃えた積層前駆体を積層{(4)積層工程}して初期積層体とし、圧延{(5)圧延工程}して圧延積層体を得る。当該圧延積層体をさらに積層{(6)多重積層工程}し、圧延{(7)多重圧延工程}して多重圧延積層体とする工程を行えば、さらに層状体の平均厚みが小さい構造とすることができる。この(6)、(7)の多重積層工程、多重圧延工程を繰り返すことも可能である。
【0046】
本発明では(6)、(7)の多重積層工程、多重圧延工程を経る操作を繰り返し圧延と呼び、繰り返し回数は、(6)、(7)の多重積層工程、多重圧延工程を経る回数に(5)の圧延工程1回分を加算して数える。例えば(4)積層工程→(5)圧延工程と経たのち、熱電材料とする場合繰り返し圧延回数は1回であり、(4)積層工程→(5)圧延工程→(6)多重積層工程→(7)多重圧延工程を経る場合繰り返し圧延回数は2回、(4)積層工程→(5)圧延工程→(6)多重積層工程→(7)多重圧延工程→(6)多重積層工程→(7)多重圧延工程を経る場合、繰り返し圧延回数は3回となる。
一般に繰り返し圧延回数を増やすほど熱電材料を構成する各層状体の平均厚みDは薄くなるが、ある厚みになると繰り返し圧延を行っても層状体の平均厚みDが変化しなくなる場合がある。例えば、数十μmの厚みのAgとNiのそれぞれからなるシート状の積層前駆体を交互に数百枚積層して室温下でロール圧延する場合、3回を越えて繰り返し圧延を行っても、層状体の厚みは1〜5nmの間で一定となり、それ以上薄くなることはない。
また、繰り返し圧延回数を増やすことにより、層状体の厚みd、或いは平均の層状体厚みDはあまり変化しなくても、層状体厚みが揃い、組織が均質化することがある。その効果により、各種熱電性能を向上させることも可能である。
以下にさらに詳しく積層前駆体から熱電材料を製造する方法を説明する。
【0047】
(4)積層工程
本発明の熱電材料を形成する層状体は先にも述べたように、塑性変形可能な材料からなり、金属、半金属、熱可塑性樹脂からなる積層前駆体は中でも塑性変形が特に容易なため好ましい。
市販のシート状の積層前駆体を用いる場合は、そのまま、あるいは適当な大きさに切断したり、洗浄処理、熱処理、カップリング処理、酸処理や脱脂処理、などの各種表面処理を行ってから使用することが可能である。例えばFe、Agの数十μmのシート状原料の表面を酸処理により清浄なものとしてから、数cm角に切断して、さらに炭化水素系溶剤で脱脂処理を行ってから積層する方法、1軸プレス機やロール圧延機による温間または冷間の圧延工程で接合を良くする方法は有効である。
【0048】
単一原料からなる積層前駆体を選んだ場合、2種類以上の積層前駆体をまず交互に積層し初期積層体を形成する。積層する積層前駆体の枚数は、厚みにもよるが2枚〜10000枚とすることが好ましく、より好ましくは10〜1000枚の範囲である。10枚未満であると本発明の構造を得るのに圧延の繰り返し回数が増えるし、1000枚を越えると積層工程に長い時間が必要な割りには圧延回数が低減されないので、ともに生産性が低下する。10000枚を越えると、その傾向は顕著になり、さらに生産性が劣り、実用性に乏しくなる。
一方、2種以上の粉体状の原料から製造した積層前駆体では、必ずしも異種の積層前駆体を組み合わせる必要なく積層工程を行うことが可能である。
【0049】
(5)圧延工程
本発明において、圧延する方法としては、(3)の圧延工程(成形体圧延工程)と同様にロール圧延、1軸圧縮機による冷間圧延やホットプレスなどの一般的な方法が挙げられるが、中でもロール圧延は、圧延効率が高く好ましい方法である。ロール圧延は温間、常温下、あるいは常温未満いずれでも可能であるが、特に常温下でロール圧延を用いる方法が、生産性が高く好ましい。
本発明において、圧延積層体の平均の厚みは、圧延開始前の初期積層体の平均厚みの1/4〜1/1000とすることが必要である。上記厚み比が、1/4より大きいと積層−圧延のサイクルが多く必要となり、1/1000より小さいと材料が脆化したり、積層構造が極端に不規則となったりして好ましくない。
【0050】
ロール圧延を用いた場合においては、圧延工程終了時の圧延積層体の平均厚みDはロール間のギャップ若しくはクリアランス、その変化率である圧下率、ロール温度、試料温度、圧延時にかかる荷重、ロール回転速度、ロール間通過回数などで決定され、これらの条件を制御し、目標とする圧延積層体の厚み若しくは積層構造を達成した時点で圧延工程が終了する。本発明においてロール圧延の圧延回数を数えるとき、ロール間通過回数ではなく、予め設定した目標の厚みまで圧延した時点で、1回の圧延が終了したこととする。
圧延後に圧延積層体を構成する層状体の厚さの平均値Dが1000nm以下になる場合は、繰り返し積層された層状体の積層構造が破壊される場合がある。金属同士の組み合わせであれば、D=100nmまでは繰り返された積層構造が崩れることはほぼないが、100nmより小さい場合には同様な危険性がある。このような場合は、先述したシース圧延法を用いることで上記のような現象を防ぐことができる。なお、ホットプレスなど1軸圧縮機を用いたシース圧延法も可能であるが、試料調整法はロール圧延によるシース圧延と同様である。
【0051】
圧延工程は室温で行うことが生産性の点で好ましいが、原料によっては温間で圧延することが好ましい場合が有る。温間ロール圧延の方法としては、ロール自体を加熱する方法、ロールを含めロール前後の雰囲気又は試料の保持台を加熱する方法、圧下率を調整することにより圧延体自身が変形する際に生じる熱を利用する方法、ホットプレート、恒温槽、熱炉、塩浴、油浴、湯浴等で予め試料を加熱してロール圧延する方法、または以上の方法を組み合わせた方法が用いられる。
【0052】
(6)多重積層工程
この工程では(4)の積層工程と同様な操作を施すが、圧延積層体を再び積層する工程である。通常、圧延して得たリボン状の圧延積層体を切断し、同種の圧延積層体を多数重ね合わせる工程であり、必ずしも(4)の積層工程のように異種の圧延積層体を交互に重ねる必要はない。勿論、異種の積層前駆体と圧延積層体、圧延積層体と圧延積層体、積層前駆体と圧延積層体と多重圧延積層体など、積層前駆体、圧延積層体、多重圧延積層体の中から選ばれる2種以上{異種の積層前駆体同士の積層は(4)の積層工程に含まれる}を適宜選択して多重積層することも可能である。
【0053】
(7)多重圧延工程
繰り返し圧延回数2回以上の圧延工程を多重圧延工程と呼ぶ。通常、初期積層体の替わりに、多重積層体を圧延すること以外は、(5)圧延工程と同様な操作により行われる。
但し、通常繰り返し圧延回数が増えると層状体の平均の厚みが薄くなるので、圧延時に温度が上昇し過ぎないように注意する。例えば、層状体の平均厚みが100nm以下であるAg−Cuの組み合わせの場合については、圧延工程では600℃までの温度で圧延しても層状体の構造が崩れないが、多重圧延工程では250℃を越えないように温度制御する必要がある。
【0054】
本発明においては、積層と圧延を繰り返し行うことで層状体の平均厚さDが所定の範囲である積層体であって、例えば、この積層体の平均の厚さが200μm以上である熱電材料を得る。そのためには図3に示した工程を経て熱電材料とすることは勿論であるが、図3に示した工程の途中であっても、上記積層体を得られれば積層前駆体の状態、初期積層体の状態、圧延積層体の状態、多重積層体の状態で熱電材料とすることも可能である。
本発明においては先にも記したが混合粉体状原料を圧縮成形した後、溶融成形した後、圧縮成形体を圧延した後、積層前駆体を積層した後、初期積層体を圧延した後、圧延積層体を積層した後、多重積層体を圧延した後で熱処理を行うことでより効果を奏する。
【0055】
本発明に言う熱処理とは具体的には、常圧または100tonf/cm以下の加圧下で50〜1000℃の間で処理を施すことである。熱処理の雰囲気は、真空下、Ar、He、窒素ガスなどの不活性雰囲気下、水素ガスやその水素/不活性ガスの混合ガスなどの還元性雰囲気下のいずれでも良く、500℃以下の低温下では大気中でも可能である。
但し、熱処理の最適温度、圧力、時間、雰囲気は、原料によって異なる。熱処理温度は各層で最も融点が低い層の融点未満とすることが好ましい。少なくとも各層で最も高い層融点未満とすることが必須の要件となる。さらに、各層の構成によっては、熱処理により反応する層が隣接する場合がある。反応により半導体のような脆い層が析出する場合は、その反応温度より低い温度で処理することが必要となる。
【0056】
加圧下での熱処理はホットプレス等を用いて行うが、このときにも熱処理の前後で全体の平均厚みが1/4より大きく1未満の範囲となる程度圧延され、積層構造を成す各層状体の面積が増加して厚みが低下する場合がある。加圧力は100tonf/cmを越えても本発明の積層材料は作製されるが、工業的に利用が容易な範囲に制限した方が良く、50tonf/cm以下の方が好ましい。
熱処理を行うと(1)粉体および/または層状体の表面接合、(2)粉体および/または層状体の加工硬化の緩和、(3)粉体および/または層状体の反応或いは相互拡散などが生じる。
熱処理により粉体および/または層状体の表面接合が行われると、圧延処理において界面の捲れが生じにくくなるために望ましい。特に金属材料を含む本発明の熱電材料の場合は、圧縮成形体、初期積層体、多重積層体を水素雰囲気下で熱処理すると、界面が還元され活性化されて接合強度が増すので好ましく、層状体の種類によっては必須な工程になる場合がある。
金属−金属または半金属−金属混合粉体を圧縮成形した後の熱処理のうちで上記の(1)、(3)の現象がおこる場合を特に予備焼結と言うが、その後の圧延工程(成形体圧延工程)で積層前駆体を調製する際に亀裂やめくれが生じにくく好ましい熱処理法である。但し、隣接する層状体が反応或いは相互拡散を起こして、半導体などのような脆い層が生じる場合は後続の圧延工程で、その反応層から剥離や破壊が生じて逆に好ましくない。
予備焼結は圧縮成形と同時に熱処理を加えることで達成されることがあり、この場合常圧焼結法、ホットプレス法、HIP法、SPS法(放電プラズマ焼結法)などの通常用いられる方法が選ばれる。
【0057】
粉体および/または層状体の加工硬化の緩和は、原料の組み合わせと目的とする層状体の厚み、積層体の構造によっては、この熱処理が必須になる場合があり、熱処理条件の選択は、本発明の熱電材料の性能と構造に決定的な要件となることがある。Ag−Cuなどの高融点同士の遷移金属からなる原料を選び、圧延処理時に亀裂を生じさせず、10nm 以下の層状体の積層構造を得るためには、熱処理条件を厳密に制御した方が望ましい。
熱処理条件の1例として、出発原料50μmのシート状の積層前駆体を(1)Ag−Fe、(2)Ag−Cu、(3)Cu−Feの組み合わせで交互に積層した初期積層体の場合について述べると、それぞれ積層後に、(1)Ag−Feの組み合わせでは(水素雰囲気下、600℃、1hr加熱)→(真空中、14tonf/cm加圧、300℃、1min加熱)→(水素雰囲気下、600℃、1hr加熱)(2)Ag−Cuの組み合わせでは(水素雰囲気下、350℃、1hr加熱)→(真空中、7tonf/cm加圧、250℃、1min加熱)→(水素雰囲気下、350℃、1hr加熱)(3)Cu−Feの組み合わせでは(水素雰囲気下、350℃、1hr加熱)→(真空中、12tonf/cm加圧、300℃、1min加熱)→(水素雰囲気下、350℃、1hr加熱)なる熱処理を施した後、3回繰り返し圧延を行うことによって、それぞれ5〜20nmの層状体厚みを有する積層構造を有した熱電材料を得ることができる。
【0058】
熱処理は、粉体および/または層状体界面を反応あるいは相互拡散させ、界面領域のみまたは粉体および/または層状体全体を金属間化合物や固溶体とすることにより、最終的に、交互積層材料を成すことができる。しかし、例えば、Sb、Te、Biのそれぞれより成る3種類の積層前駆体をSb→Te→Bi→Te→Sbの順番で積層し、圧延したのち、適当な条件で熱処理を行えば、BiとTe、SbとTeが界面より反応し、BiTe、SbTeの2種類の層状体の積層構造とすることも考えられるが、これらの材料は非常に脆く、実際の熱電材料に適用することができない。
本発明において熱処理は(3)圧延工程(成形体圧延工程)、(5)圧延工程、(7)多重圧延工程において圧延と同時に行うことも可能であり、その場合は、圧縮成形体、初期積層体または多重積層体を金属製及び/またはセラミックス製の金型で挟み、好ましくは、真空排気した状態または不活性ガス中で、圧延に要する時間にもよるが、50〜1000℃の高温、0.01〜100tonf/cm以下の加圧下で上記熱処理を行うことが好ましい。特に、金属同士の組み合わせの場合は圧力を1〜100tonf/cm以下の加圧下で行うとより好ましく、25〜100tonf/cm以下とすれば、さらに好ましい。
【0059】
[発明を実施するための最良の形態]
[熱電素子の実施形態]
図1は、本発明の熱電素子の一実施形態を示す断面図である。この熱電素子は、熱電冷却用素子、熱電発電用素子、各種センサー用素子の単位構造である。この熱電素子は、ゼーベック係数が正である熱電材料1と、ゼーベック係数が負である熱電材料2と、電極3〜5とで構成されている。
【0060】
本発明の熱電素子には、本発明の積層体からなる熱電材料として、ゼーベック係数が正または負である単独の熱電材料を用い、積層体の厚さ方向の両端または積層体の膜面に沿った方向の両端に電極を付与した素子も含まれる。積層体の厚さ方向の両端に、または積層体の膜面に沿った方向の両端に、温度差を与えて使用される素子も含まれる。
本発明の熱電材料を用いてなる熱電冷却用途の素子が、実用面で如何に従来の薄膜形成技術を利用して製造される熱電素子に比べ有利であるかを説明する。
図1のような熱電素子において、低温接合面での全熱流は下記式[4]で表される。
dQ/dt=πI−κ(A/L)ΔT−1/2Iρ(L/A)‥‥[4]
【0061】
ここに、Qは接合面での吸熱量、πはペルチエ係数(=αT)、Aは接合面の面積、Lは素子の縦方向の長さ、Tは接合面の温度、ρは電気抵抗率である。上記式[4]の右辺の第1項はペルチエ熱、第2項は熱伝導による熱逆流、第3項はジュール熱である。上記[4]式から定性的にも分かるように、ジュール熱の発生はA/Lが大きい程小さく、熱逆流はA/Lが小さいほど低減できる。
したがって、A/Lには最適値がある。冷却効率を表す指標である成績係数COPは下記式[5]で表される。
【0062】
COP=(dQ/dt)/入力パワー
=(dQ/dt)/IV
=(dQ/dt)/(I(IR+|αΔT|))‥‥[5]
上記式[5]が電流の2次関数となっているので、吸熱量が最大になる電流値I0が存在し、d(dQ/dt)/dI=0から下記式[6]となる。
I0=π(A/L)/ρ ‥‥[6]
上記式[6]から、A/Lが大きい素子では大電流を流す必要がある。さらに、低温部と高温部の温度差ΔTは下記式[7]で表される。
ΔT=Q/(κ・A/L) ‥‥[7]
【0063】
上記式[7]からA/Lが大きい程、得られる温度差が小さくなる。このように、素子のA/Lには最適値が存在し、最適値に固定した場合は、Lが大きいほどAは大きくすることができる。室温からの温度差を一定以上に保つような冷蔵庫用途における要求性能を満たすためには、Lが小さい場合、Aを十分小さくしてA/Lを最適値に近くする必要がある。また、家電製品のように電流量が制限されている場合、実際にはA/Lが小さいほど有利であることが多い。
本発明の熱電材料は、Lとして200μm以上となるような熱電素子を形成できるため、Aを機械的に切削・研磨することにより調整する場合、コスト面で十分製造が許される形状、例えば0.25mm以上としても十分大きなΔTを取ることができるし、熱電材料のπやρの値によってはA/Lを最適値とすることも可能である。
【0064】
一方、従来の薄膜形成技術を用い、層状体の厚さ方向に電流を流して使用する熱電材料を仮に形成しようとした場合、実用的に可能なLが2μm以下であるため、Aは0.0025mm以下となり、機械的な切削・研磨によって加工することは困難である。
従って、実用上本発明の熱電材料においてのみ、層状体の厚さ方向に電流を流す熱電冷却素子を構成することが可能なのであって、従来技術にない大きな効果を奏する要素を含むものであることが言える。換言すれば、薄膜技術によってしか成しえなかったサブナノあるいはナノ〜数十ナノ、さらには数十ナノ〜数百ナノオーダーの繰り返し積層構造を有する熱電材料およびそれを用いた素子が、古典的な圧延法を用いることによって、バルク材料においても、工業的に実現可能になったということである。
【0065】
なお、金属同士を組み合わせた本発明の熱電材料を各種センサーに用いる場合は、膜面垂直方向におけるゼーベック係数(α)を利用するものでなくては、十分な機能を果たさない。しかし、Ag−Fe積層体を初め本発明の構成であれば、材料を貴金属だけで構成しなくても良く、また多成分の合金を用いなくても十分高い性能を有するので工業的なメリットがある。さらに薄膜形成技術を使わず、幅広く200μm以上の箔体が簡単にできるので、半金属−金属の組み合わせを含めて、大面積の温度センシングや、曲率を有した部分における熱電冷却、熱電発電などの用途にも有用である。
【0066】
次に、本発明の熱電材料と磁場との相互作用について述べる。
本発明の材料のうち、主に金属を組み合わせた場合、永久磁石やコイルなどにより10[Oe]〜20[kOe]の磁場を発生させ、熱電素子に印加すると、各種熱電性能が1%〜200%程度高くなることも観測されている。Ag−Feの場合、10[kOe]の磁場の印加でゼーベック係数が20%程度増加することが判っている。原料の組み合わせにより、ネルンスト係数やエッティングスハウゼン係数の増加が確認される場合もある。本発明の熱電材料に磁場を印加してさらに各種熱電性能を向上させるためには、磁性を有する成分、特に磁気スピンを有する金属成分を含むことが重要である。
【0067】
[実施例1、比較例1〜3]
積層前駆体として、Agからなる厚さ30μm、縦横が20mm×15mmのシートを100枚と、Feからなる厚さ25μm、縦横が20mm×15mmのシートを100枚を用意した。これらのシートを交互に積層することにより初期積層体を形成した。この初期積層体をアルミナ板の間に挟んだ状態で、600℃で1時間、真空中で熱処理した。
次に、この初期積層体を、真空中、300℃でホットプレスすることにより、この初期積層体の厚さを約1/2にした。次に、この積層体を再び600℃で1時間、真空中で熱処理した。これにより、層状体が表面接合(予備焼結)された初期積層体を得た。
【0068】
次に、この初期積層体を、室温下、ロール圧延機で約1/50の厚さとなるまで圧延した。この被圧延物(圧延積層体)、すなわち繰り返し圧延回数が1回である積層体を、第1の積層体と定義する。
また、この圧延積層体を切断して、10mm×15mmの大きさの圧延積層体を多数枚得た。これらの圧延積層体を100枚積層したもの(多重積層体)を、前記条件でホットプレスして多重圧延積層体の厚さを約1/2にした。次に、この圧延積層体を600℃で1時間、真空中で熱処理した後、室温下、ロール圧延機で約1/50の厚さとなるまで圧延した。この被圧延物(多重圧延積層体)、すなわち繰り返し圧延回数が2回である積層体を、第2の積層体と定義する。
【0069】
さらに、この積層体を切断して、10mm×15mmの大きさの多重圧延積層体を多数枚得た。これらの多重圧延積層体を100枚積層したもの(多重積層体)を、ステンレス鋼製の管の中に入れ、この多重積層体に対して加熱しないでシース圧延を行った。このシース圧延された多重積層体、すなわち繰り返し圧延回数が3回である積層体を、第3の積層体と定義する。
このようにして作製した第1〜第3の積層体を切断して、熱電能測定用試験片を作製した。熱電能は、積層体の膜面に沿った方向(膜面方向=CIP方向)と、積層体の膜面に垂直な方向(膜面垂直方向=CPP方向)で測定される。CIP方向測定用試料片の大きさは、20mm×3mm×60μmである。CPP方向測定用試料片の大きさは、1×1×7mmである。
図4は、第2の積層体(繰り返し圧延回数が2回である積層体)のCIP方向測定用試験片の断面の金属組織を示す写真(透過型電子顕微鏡で観察した前記断面の一例を示す写真)である。
【0070】
図5は、積層体の圧延回数と、平均層状体厚さD(対応する積層体をなすAg層状体とFe層状体との平均値:nm)との関係を示すグラフである。このグラフで、「○」で示した値は、CIP方向測定用試料片のAg層状体の厚さを実測した値であり、「●」で示した値は、CPP方向測定用試料片のAg層状体の厚さを実測した値である。ここでは、各積層体において、Fe層状体とAg層状体の厚さの大きな差はなかったため、Ag層状体の厚さをそのまま平均層状体厚さDとした。また、圧延回数=0のときの平均層状体厚さDは、積層前駆体であるFeシートおよびAgシートの厚さの平均値である。
第1〜第3の各積層体について、各試験片を用い、熱電性能として、液体窒素温度環境下でゼーベック係数(熱電能)を測定した。図6は、Ag層状体の厚さとゼーベック係数との関係を示すグラフである。このグラフで、第2の層状体および第3の層状体のプロットが2つある理由は、膜面方向の異なる2点で測定を行い、両測定値を平均しないでそのままプロットしたためである。
【0071】
図6の結果から、液体窒素温度での熱電性能について、以下のことが分かる。
(i)AgとFeのいずれについても、単独(バルク)では正のゼーベック係数を示したのに対して、第2の積層体および第3の積層体では負のゼーベック係数を示した。
(ii)Ag層状体の厚さの減少に伴って、ゼーベック係数の絶対値が増大した。
(iii)第2の積層体において、積層体の膜面に垂直な方向(CPP)でのゼーベック係数の絶対値は、積層体の膜面に沿った方向(CIP)での値の約8倍と大きかった。
すなわち、Ag層状体とFe層状体とからなる積層体では、層状体の平均厚さが100nm以下で、熱電素子の構造が、積層体の厚さ方向に電流を流して使用される、または積層体の厚さ方向の両端に温度差を与えて使用されるものである場合に、特に良好な熱電性能が得らる。
なお、第1の積層体が比較例1に、第2の積層体(CIP)が比較例2に、第3の積層体(CIP)が比較例3に、第2の積層体(CPP)が実施例1にそれぞれ相当する。
【0072】
[実施例2]
350メッシュのAg粉末と300メッシュのFe粉末を等モルずつ計20gになるように混合して、乳鉢で攪拌して混合粉体とした。この混合粉体を油圧プレス法で圧縮成形することにより、直径26mm、厚さ5mmの円盤状の圧縮成形体を作製した。この圧縮成形体を、700℃、48時間熱処理することにより、予備焼結を行った。この予備焼結された圧縮成形体を圧延して、その厚さを約1/80にした。この被圧延体(シート)を同じ大きさに切断することにより、60枚の積層前駆体を得た。
【0073】
この積層前駆体を20枚積層することにより初期積層体を得た。この初期積層体はAr雰囲気中で熱処理して加工硬化を取り除いた。次に、この初期積層体を油圧プレスして圧延積層体とした。この圧延積層体はAr雰囲気中で熱処理して、加工硬化を取り除いた。次に、この圧延積層体を切断して、所定厚さの圧延積層体を60枚得た。これらの圧延積層体を20枚積層したもの(多重積層体)を、ステンレス鋼製の管の中に入れ、この多重積層体に対してシース圧延を加熱無しで行った。これにより、多重圧延積層体を得た。
この多重圧延積層体について、実施例1と同様の工程を行うことにより、繰り返し圧延回数が2回である積層体を作製した。図7は、この積層体のCIP方向測定用試験片の断面の金属組織を示す写真(透過型電子顕微鏡で観察した前記断面の一例を示す写真)である。この写真と図4の写真の比較から、この実施例2のように粉体を原料として得られた積層体は、シートを原料として得られた実施例1の積層体と、ほぼ同様の断面構造を持つことが分かる。
【0074】
次に、この積層体にさらに実施例1と同様の工程を行うことにより、繰り返し圧延回数が3回である積層体を作製した。得られた各積層体から熱電能測定用試験片を作製して、CIP方向とCPP方向とでゼーベック係数を液体窒素温度環境下で測定したところ、実施例1とほぼ同様な結果を得た。また、この積層体においても、Fe層状体の厚さとAg層状体とで厚さに大きな差はなかった。
【0075】
[実施例3及び4、比較例4〜8]
200メッシュ以下のBi粉末(純度99.99%)25.8gと、200メッシュ以下のAl粉末(純度99%)14.2gを、体積比でBi:Al=1:2、合計量40gとなるように乳鉢に入れ、ヘキサン湿潤状態で攪拌した。この作業を6回繰り返すことで、合計量240gの混合粉体を作製した。
この混合粉体を油圧プレス法で圧縮成形することにより、直径20mmで厚さ6〜8mmの円盤状の圧縮成形体を30枚作製した。この圧縮成形体を6組に分けてアルミナボートに入れ、水素ガス約0.1atmの雰囲気中で900℃で30分間熱処理することにより、溶融成形体を得た。この熱処理は表面接合処理に相当する。得られた溶融成形体の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、Bi層の中にAlの樹状晶が分散し、Al層の中にBiの球状析出相が分散している微構造が観察された。
【0076】
次に、この溶融成形体を、4〜5Paの真空中、230℃、0.3tonf/cmの条件でホットプレスすることにより、溶融成形体の厚さを約半分にした。この厚さ6mmの溶融成形体を厚さ1.1mmのSUS板2枚に挟んで、160〜190℃に加熱しながら、ロール圧延を施すことにより、厚さ80μmの積層前駆体を作製した。
この積層前駆体を20×20mmの大きさに切断して、100枚の積層前駆体を得た。次に、これらの積層前駆体を、アセトンおよびアルコール系溶媒を用いて超音波洗浄した。この洗浄された100枚の積層前駆体を積層することにより、初期積層体を得た。
次に、この初期積層体を、真空中120℃でホットプレスすることにより、厚さを約1/2にした後、さらに室温にてロール圧延した。これにより、厚さ96μmの圧延積層体を得た。この圧延積層体は、繰り返し圧延回数が1回である第1の積層体に相当する。
この圧延積層体を20mm×20mmに切断して、上記と同様な表面処理を施し、これらを50枚積層することによって多重積層体を得た。次に、この多重積層体を、真空中100℃でホットプレスした後、さらに室温でロール圧延することにより、厚さ110μmの多重圧延積層体を得た。この多重圧延積層体は、繰り返し圧延回数が2回である第2の積層体に相当する。
【0077】
このようにして作製した積層前駆体、第1の積層体、第2の積層体をを切断して、CIP方向用の熱電性能測定用試験片を作製した。図8〜図10に、これらの試験片の断面の金属組織を示す写真(走査型電子顕微鏡で観察した前記断面の一例を示す写真)を示す。図8は積層前駆体の写真であり、図9は第1の積層体の写真であり、図10は第2の積層体の写真である。これらの写真から平均層状体厚さDを測定した。
また、これらの試験片を用いて、室温でのゼーベック係数(=熱電能;α)及び電気抵抗率(ρ)を測定した。また、これらの測定値を用いて、出力因子(PF)を計算した。さらに、電気伝導度(σ)も測定した。また、比較のために、多結晶Bi単体(比較例5)、Al単体(比較例6)、半導体であるBiTe(比較例7)、Ag−Fe圧延体(比較例8)についても、同じ測定を行った。これらの測定値および計算値を表1に示す。
【0078】
【表1】
Figure 0004814464
【0079】
表1に示すように、積層前駆体(比較例4)をなす層状体の平均厚さDは5000nmであった。第1の積層体(実施例3)をなす層状体の平均厚さDは300nmであった。第2の積層体(実施例4)をなす層状体の平均厚さDは100nmであった。
なお、第1の積層体(実施例3)と第2の積層体(実施例4)について、透過型電子顕微鏡によりBi層状体の界面を観察したところ、いずれの積層体のBi層状体にも、ナノオーダーの微結晶が分散しているアモルファス様の異相が観察された。
図11は、平均層状体厚さDと、ゼーベック係数(α)および電気抵抗率(ρ)との関係を示すグラフである。このグラフには、実施例3,4と比較例4,5,6の結果がプロットされている。このグラフにおいて、「○」はゼーベック係数を示し、「●」は電気抵抗率を示す。
【0080】
図12は、平均層状体厚さDと出力因子(PF)との関係を示すグラフである。このグラフには、実施例3,4と比較例4,5,6の結果がプロットされている。
図11および図12の結果から、室温での熱電性能について、以下のことが分かる。
(i)半金属であるBi、金属であるAlのいずれについても、単独(バルク)では負のゼーベック係数を示したのに対して、第1の積層体(実施例3)および第2の積層体(実施例4)では正のゼーベック係数を示した。この関係は、実施例1の結果(液体窒素温度における金属−金属からなる積層体の結果)の関係と全く逆である。
(ii)平均層状体厚さの減少に伴って、ゼーベック係数の絶対値が増大した。
(iii)実施例3、4は比較例4〜8と比較して、積層体の膜面に沿った方向(CIP方向)での出力因子が良好であった。すなわち、実施例3、4の積層体によれば、BiTe(半導体)よりも良好なCIP方向での熱電性能が得られた。特に実施例4の値は、比較例5(多結晶Bi単体)の値の約7倍と大きかった。
(iV)半金属を含む積層体は、金属同士の組み合わせの積層体(比較例8)に比べて、室温における膜面方向(CIP方向)のゼーベック係数(α)、出力因子(PF)ともに大幅に高かった。
【0081】
[実施例5〜7]
200メッシュ以下のBi粉末(純度99.99)200gと、12−ナイロン粉末40gを、体積比でBi:12−ナイロン=1:2、合計量240gとなるように、ガラスのセパラブルフラスコに入れた。Bi粉末としては、カップリング剤で表面処理されたものを使用した。
このフラスコ内にアルゴンを流しながら、約240℃で1時間、フラスコ内容物を撹拌羽根でかき混ぜた。これにより、溶融したナイロン内にBi粉末を分散させた。このようにして得られたBiと12−ナイロンとからなるコンパウンドを、230℃、0.2tonf/cmの条件で3分間加圧成形し、続いて圧力を1.4tonf/cmに変えて3分間加圧成形した。これにより、厚さ約1mmの積層前駆体を形成した。
この積層前駆体を切断して、20×20mmの大きさの積層前駆体を多数枚得た。これらの積層前駆体を25枚積層することにより、初期積層体を得た。この初期積層体を、真空中約150℃でホットプレスすることにより、厚さを約1/3にした。次に、この初期積層体を、恒温槽中で約150〜170℃で加熱しながら、ロール圧延して厚さを約240μmにした。この被圧延物(圧延積層体)は、圧延回数が1回である第1の積層体に相当する。
【0082】
この第1の積層体(圧延積層体)の断面の微構造を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、扁平比Ψ=0.07、平均層状体厚さDが9000nmであることが分かった。
この圧延積層体(第1の積層体)を切断して、20×20mmの大きさの圧延積層体を多数枚得た。これらの圧延積層体を40枚積層し、真空中、150℃、0.3tonf/cmの条件でホットプレスすることにより、約40%厚さが減少するように圧縮した。
次に、この被圧縮物をステンレス鋼製の2枚の板の間に挟んで、150〜160℃に加熱しながらロール圧延を行うことにより、170μmの厚さの多重圧延積層体を得た。この被圧延物(圧延積層体)は、圧延回数が2回である第2の積層体に相当する。
この第2の積層体(多重圧延積層体)の断面の微構造を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、扁平比重Ψ=10-3、平均層状体厚さDが600nmであることが分かった。この第2の積層体を実施例5の積層体と定義する。
この多重圧延積層体(第2の積層体)に対して、以下の相違点を除いて上記圧延積層体(第1の積層体)と同じ工程を行うことにより、150μmの厚さの多重圧延積層体を得た。この相違点は積層枚数が45枚である点と、ホットプレス時の圧力が1.5tonf/cmである点である。得られた多重圧延積層体は、圧延回数が3回である第3の積層体に相当する。
【0083】
この第3の積層体(多重圧延積層体)の断面の微構造を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、扁平比Ψ=10-4、平均層状体厚さDが300nmであることが分かった。この第3の積層体を実施例6の積層体と定義する。第3の積層体は前記第2の積層体よりも、組織の均一性が高かった。
得られた第3の積層体を切断して、約3.5×7mmの大きさの積層体を多数枚得た。これらの積層体(第3の積層体)を100枚、開口面が5×10mmである圧縮成形用の超硬金型に、積層体の膜面と開口面とを合わせて入れて圧縮成形した。この圧縮成形は、120℃、3tonf/cmで3分間の後、70℃、5tonf/cmで5分間の条件で行った。これにより、約5×10×厚さ9mmの大きさの多重積層体を得た。
この多重積層体をさらに半分に切断して重ね、上記と同じ金型を用いて圧縮成形した。この圧縮成形は、70〜120℃の温度条件で圧力をゆっくり上昇させることにより行った。得られた多重積層体を第4の積層体と定義する。
この第4の積層体の断面の微構造を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、扁平比Ψ=10-5、平均層状体厚さDが90nmであることが分かった。この第4の積層体を実施例7の積層体と定義する。
【0084】
このようにして作製した第2〜3の積層体を切断して、CIP方向用の熱電能測定用試験片を作製した。これらの試験片を用いて、室温でのゼーベック係数(=熱電能;α)を測定した。ただし、第1の積層体では電流が導通しなかったため、ゼーベック係数を測定しなかった。第4の積層体は、そのままの形でCPP方向の熱電能測定を行った。
第2の積層体(実施例5)と第3の積層体(実施例6)の熱伝導率(κ)を、以下の方法で測定した。先ず、積層体を5枚重ねて、150℃約1tonf/cmの条件でプレスすることにより接合し、厚さを約0.5mmにする。次に、この接合体を直径10mmの試験片に切り出す。この試験片を用いて、レーザーフラッシュ法で熱伝導率(κ)を測定する。
得られた試験片の扁平率Ψは、対応する積層体とほぼ同じオーダーであり、得られた試験片の平均層状体厚さDは、対応する積層体とほぼ同じであった。そのため、この試験片で測定された熱伝導率は、対応する積層体の熱伝導度とほぼ同じとみなすことができる。なお、熱伝導率は各積層体毎に3つの測定値を得、最も大きな値を使用した。
可撓性試験は、直径10mmで厚さが0.5mmの円板状試験片、および10mm×7mm×厚さ0.5mmの板状試験片を用いて行った。これらの試験片を角度90度まで手で曲げて折れた場合を「×」、折れずに元の形に戻った場合を「○」で示した。
また、比較のために、前出の多結晶Bi単体(比較例5)とBiTe(比較例7)についても、同じ測定を行った。これらの測定値を表2に示す。
【0085】
【表2】
Figure 0004814464
【0086】
表2の結果から以下のことが分かる。
(i)Bi(半金属)と12−ナイロン(合成樹脂)とからなる積層体とすることによって、Bi(半金属)またはBiTe(半導体)のみからなる熱電材料と比較して、良好な可撓性が得られる。
(ii)層状体の厚さの平均値が100nm以下であると、ゼーベック係数の絶対値が大きくなった。
(iii)Bi(半金属)と12−ナイロン(合成樹脂)とからなる積層体の熱伝導率(κ)は、合成樹脂と同等程度に低い。
【0087】
[産業上の利用可能性]
以上説明したように、本発明によれば、ゼーベック係数(α)が高くて出力因子(PF)の大きな熱電材料であって、高性能な熱電素子となり得る可能性を示し、しかも、耐衝撃性、耐熱歪性、および成形加工性に優れたものが提供される。
【0088】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱電素子の一実施形態を示す断面図である。
【図2】層状体の積層数を数える方法を説明する図である。
【図3】本発明の熱電材料および熱電素子をなす積層体の製造方法を説明する図である。
【図4】Ag層状体とFe層状体からなる積層体(積層前駆体としてAgおよびFeのシートを使用したもの)のCIP方向測定用試験片の断面の金属組織を示す写真である。
【図5】積層体の繰り返し圧延回数と平均層状体厚さDとの関係を示すグラフである。
【図6】Ag層状体とFe層状体からなる積層体について、Ag層状体の厚さとゼーベック係数との関係を示すグラフである。
【図7】Ag層状体とFe層状体からなる積層体(積層前駆体を粉末原料から作製したもの)のCIP方向測定用試験片の断面の金属組織を示す写真である。
【図8】比較例4として得られた積層前駆体の、CIP方向測定用試験片の断面の金属組織を示す写真である。
【図9】実施例3として得られた第1の積層体(繰り返し圧延回数1回)の、CIP方向測定用試験片の断面の金属組織を示す写真である。
【図10】実施例4として得られた第2の積層体(繰り返し圧延回数2回)の、CIP方向測定用試験片の断面の金属組織を示す写真である。
【図11】平均層状体厚さDと、ゼーベック係数(α)および電気抵抗率(ρ)との関係を示すグラフである。このグラフには、実施例3,4と比較例4,5,6の結果がプロットされている。このグラフにおいて、「○」はゼーベック係数を示し、「●」は電気抵抗率を示す。
【図12】平均層状体厚さDと出力因子(PF)との関係を示すグラフである。このグラフには、実施例3,4と比較例4,5,6の結果がプロットされている。
【図13】積層体を圧延で製造した場合の積層体断面の基準面(Sr )を説明する図である。
【図14】積層体を1軸プレスで製造した場合の積層体断面の基準面(Sp )を説明する図である。

Claims (21)

  1. 金属または合成樹脂からなる層状体と、半金属からなる層状体とを備え、これらの層状体が交互に積層された積層体で構成され、これらの層状体の厚さの平均値が0.3nm以上1000nm以下である熱電材料。
    但し、前記金属は、鉄(Fe)、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、金(Au)、白金(Pt)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、希土類元素、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、鉛(Pb)、およびスズ(Sn)、並びにこれらの金属同士の固溶体から選択される少なくとも一種である。
    前記合成樹脂は、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニル系樹脂、アクリル系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、弗素系樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリスルホン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルフィド、ポリアミドイミド、ポリオキシベンジレン、ポリエーテルケトン、液晶樹脂、導電性ポリマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ変性ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、熱硬化アクリル樹脂、ニトリルゴム、ブタジエン−スチレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、およびポリアミドエラストマーから選択される少なくとも一種である。
    前記半金属は、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、およびセレン(Se)から選択される少なくとも一種である。
  2. 半金属からなる層状体と金属からなる層状体とを備えた積層体で構成された請求項1記載の熱電材料。
  3. 金属からなる層状体は、Ag、Fe、Cu、Ni、Al、Au、Pt、Cr、Zn、Pb、およびSnのいずれかの金属からなる層状体である請求項1または2記載の熱電材料。
  4. 半金属からなる層状体はビスマス(Bi)からなる層状体であり、金属からなる層状体は、Ag、Fe、Cu、Al、Zn、およびSnのいずれかの金属からなる層状体である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱電材料。
  5. 半金属からなる層状体と合成樹脂からなる層状体とを備えた積層体で構成された請求項1記載の熱電材料。
  6. 前記合成樹脂はポリアミド系樹脂である請求項5記載の熱電材料。
  7. 積層体を構成する層状体は膜面内で不連続である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の熱電材料。
  8. 層状体の厚さの平均値は0.3nm以上100nm以下である請求項1乃至7のいずれか1項に記載の熱電材料。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の熱電材料からなる熱電素子。
  10. 請求項9記載の熱電素子であって、積層体の厚さ方向に電流を流して使用される、または積層体の厚さ方向の両端に温度差を与えて使用される熱電素子。
  11. 金属からなる層状体を2種類以上備えた積層体で構成され、これらの層状体の厚さの平均値が0.3nm以上100nm以下である熱電素子であって、積層体の厚さ方向に電流を流して使用される、または積層体の厚さ方向の両端に温度差を与えて使用される熱電素子。
    但し、前記金属は、鉄(Fe)、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、金(Au)、白金(Pt)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、希土類元素、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、鉛(Pb)、およびスズ(Sn)、並びにこれらの金属同士の固溶体から選択される少なくとも一種である。
  12. 積層体を構成する層状体は膜面内で不連続である請求項11記載の熱電素子。
  13. 前記層状体は、Ag、Fe、Cu、Ni、Al、Au、Pt、Cr、Zn、Pb、およびSnのいずれかの金属からなる請求項11または12記載の熱電素子。
  14. 前記積層体は、Fe、Ni、Al、Pt、Cr、およびSnのいずれかの金属からなる層状体と、Ag、Cu、Au、Zn、およびPbのいずれかの金属からなる層状体と、を備えている請求項11乃至13のいずれか1項に記載の熱電素子。
  15. 請求項1記載の熱電材料の製造方法において、前記積層体を構成する全ての種類の層状体からなる初期積層体を形成した後に、この初期積層体を複数枚重ねて圧延または1軸プレスを行うことにより、前記積層体を形成する熱電材料の製造方法。
  16. 請求項15記載の熱電材料の製造方法において、前記層状体の材料として平均粒径0.1μm以上500μm以下の粉体を用い、この粉体を予備焼結した後に、前記初期積層体を形成する熱電材料の製造方法。
  17. 請求項15または16記載の熱電材料の製造方法において、前記初期積層体を複数枚重ねて圧延または1軸プレスを行って得られた2次積層体を、複数枚重ねて圧延または1軸プレスを行うことを1回行うか複数回繰り返す熱電材料の製造方法。
  18. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の熱電材料であって、請求項15乃至17記載のいずれか1項に記載の製造方法で製造された熱電材料。
  19. 請求項11記載の熱電素子の製造方法において、前記積層体を構成する全ての種類の層状体からなる初期積層体を形成した後に、この初期積層体を複数枚重ねて圧延または1軸プレスを行うことにより、前記積層体を形成する熱電素子の製造方法。
  20. 請求項19記載の熱電素子の製造方法において、前記層状体の材料として平均粒径0.1μm以上500μm以下の粉体を用い、この粉体を予備焼結した後に、前記初期積層体を形成する熱電素子の製造方法。
  21. 請求項19または20記載の熱電素子の製造方法において、 前記初期積層体を複数枚重ねて圧延または1軸プレスを行って得られた2次積層体を、複数枚重ねて圧延または1軸プレスを行うことを1回行うか複数回繰り返す熱電素子の製造方法。
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