JPH06265414A - 温度測定素子及び温度測定方法 - Google Patents
温度測定素子及び温度測定方法Info
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- JPH06265414A JPH06265414A JP5056067A JP5606793A JPH06265414A JP H06265414 A JPH06265414 A JP H06265414A JP 5056067 A JP5056067 A JP 5056067A JP 5606793 A JP5606793 A JP 5606793A JP H06265414 A JPH06265414 A JP H06265414A
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Landscapes
- Measuring Temperature Or Quantity Of Heat (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 熱電変換性能の高い新規な材料を用いた温度
測定素子及び温度測定方法を提供する。 【構成】 本発明による温度測定素子は、シリコン基板
上にBi薄層とSb薄層を交互に積層したBi/Sb超
格子層とを形成して構成されている。Bi/Sb超格子
層上の異なる部位間に発生する熱起電力に基づいて温度
を測定する。バルク材料の場合に比べて異常に大きい熱
電変換性能を示した。
測定素子及び温度測定方法を提供する。 【構成】 本発明による温度測定素子は、シリコン基板
上にBi薄層とSb薄層を交互に積層したBi/Sb超
格子層とを形成して構成されている。Bi/Sb超格子
層上の異なる部位間に発生する熱起電力に基づいて温度
を測定する。バルク材料の場合に比べて異常に大きい熱
電変換性能を示した。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱電変換性能の高い新規
な材料を用いた温度測定素子及び温度測定方法に関す
る。
な材料を用いた温度測定素子及び温度測定方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】熱電効果の研究の歴史は非常に長く、ま
た、熱電効果を応用した発電、冷却は、大きな経済的・
社会的効果が期待されたにもかかわらず、1950年代
のBi 2 Te3 系半導体熱電材料の開発以来、著しい発
展をみせていない。これは熱電変換性能指数の向上が頭
打ちになっていることに起因しており、熱電変換性能が
高い新たな材料の出現が望まれいた。また、熱電効果を
利用した温度測定素子の場合も同様であって、熱電変換
性能が高く、温度測定精度が優れた新たな熱電材料の出
現が望まれていた。
た、熱電効果を応用した発電、冷却は、大きな経済的・
社会的効果が期待されたにもかかわらず、1950年代
のBi 2 Te3 系半導体熱電材料の開発以来、著しい発
展をみせていない。これは熱電変換性能指数の向上が頭
打ちになっていることに起因しており、熱電変換性能が
高い新たな材料の出現が望まれいた。また、熱電効果を
利用した温度測定素子の場合も同様であって、熱電変換
性能が高く、温度測定精度が優れた新たな熱電材料の出
現が望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、熱電
変換性能の高い新規な材料を用いた温度測定素子及び温
度測定方法を提供することにある。
変換性能の高い新規な材料を用いた温度測定素子及び温
度測定方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的は、シリコン基
板と、前記シリコン基板上に形成され、Bi薄層とSb
薄層を交互に積層したBi/Sb超格子層とを有し、前
記Bi/Sb超格子層上の異なる部位間に発生する熱起
電力に基づいて温度を測定することを特徴とする温度測
定素子によって達成される。
板と、前記シリコン基板上に形成され、Bi薄層とSb
薄層を交互に積層したBi/Sb超格子層とを有し、前
記Bi/Sb超格子層上の異なる部位間に発生する熱起
電力に基づいて温度を測定することを特徴とする温度測
定素子によって達成される。
【0005】また、上記温度測定素子は、約−89℃か
ら約+77℃の範囲の温度を測定することが望ましい。
また、上記目的は、シリコン基板と、前記シリコン基板
上に形成され、Bi薄層とSb薄層を交互に積層したB
i/Sb超格子層とを有する温度測定素子を用い、前記
Bi/Sb超格子層の第1の部位を基準温度とし、前記
第1の部位と異なる第2の部位を測定部位とし、前記第
1の部位と前記第2の部位の間の熱起電力を測定するこ
とにより、約−89℃から約+77℃の範囲の温度を測
定することを特徴とする温度測定方法によって達成され
る。
ら約+77℃の範囲の温度を測定することが望ましい。
また、上記目的は、シリコン基板と、前記シリコン基板
上に形成され、Bi薄層とSb薄層を交互に積層したB
i/Sb超格子層とを有する温度測定素子を用い、前記
Bi/Sb超格子層の第1の部位を基準温度とし、前記
第1の部位と異なる第2の部位を測定部位とし、前記第
1の部位と前記第2の部位の間の熱起電力を測定するこ
とにより、約−89℃から約+77℃の範囲の温度を測
定することを特徴とする温度測定方法によって達成され
る。
【0006】
【作用】本発明によれば、シリコン基板上にBi/Sb
超格子層を形成した熱電変換性能の高い新規な熱電材料
を用い、Bi/Sb超格子層の異なる部位間に発生する
熱起電力に基づいて温度を測定するようにしたので、温
度測定精度に優れた温度測定を実現することができる。
超格子層を形成した熱電変換性能の高い新規な熱電材料
を用い、Bi/Sb超格子層の異なる部位間に発生する
熱起電力に基づいて温度を測定するようにしたので、温
度測定精度に優れた温度測定を実現することができる。
【0007】
【実施例】本願発明者等は、従来の熱電材料の熱電変換
性能指数が頭打ちになっている現状を打開するものとし
て、従来のバルク材料の代わりに、超格子材料について
着目した。単結晶基板上に、バルク材料として用いられ
ている熱電材料の構成元素の薄層を交互に積層して超格
子層を形成し、その超格子層について熱電変換性能を測
定した。その結果、バルク材料の場合に比べて異常に大
きい熱電変換性能を有する単結晶基板と超格子材料の組
み合わせを見出だし、それを温度測定に用いることに思
い至った。
性能指数が頭打ちになっている現状を打開するものとし
て、従来のバルク材料の代わりに、超格子材料について
着目した。単結晶基板上に、バルク材料として用いられ
ている熱電材料の構成元素の薄層を交互に積層して超格
子層を形成し、その超格子層について熱電変換性能を測
定した。その結果、バルク材料の場合に比べて異常に大
きい熱電変換性能を有する単結晶基板と超格子材料の組
み合わせを見出だし、それを温度測定に用いることに思
い至った。
【0008】本願発明者等は、単結晶基板としてシリコ
ン(Si)基板、弗化バリウム(BaF2 )基板を用
い、熱電材料としてビスマス(Bi)、アンチモン(S
b)を用い、分子線セルMBE法により試料を製造し
た。表面が(111)面のSi基板と、劈開面が(11
1)面のBaF2 基板に、Bi薄層とSb薄層を交互に
積層したBi/Sb超格子層、Biバルク単層、Biと
12%SbのBi・12%Sb合金層を形成し、それぞ
れの試料に対して熱電能の温度依存性を測定した。
ン(Si)基板、弗化バリウム(BaF2 )基板を用
い、熱電材料としてビスマス(Bi)、アンチモン(S
b)を用い、分子線セルMBE法により試料を製造し
た。表面が(111)面のSi基板と、劈開面が(11
1)面のBaF2 基板に、Bi薄層とSb薄層を交互に
積層したBi/Sb超格子層、Biバルク単層、Biと
12%SbのBi・12%Sb合金層を形成し、それぞ
れの試料に対して熱電能の温度依存性を測定した。
【0009】製造した試料は次の通りである。 [実施例1] Si基板上に、5.2nm厚のBi薄層
と0.8nm厚のSb薄層とを交互に合計20層積層
し、120nm厚のBi/Sb超格子層を形成した。 [実施例2] Si基板上に、5.2nm厚のBi薄層
と1.6nm厚のSb薄層とを交互に合計20層積層
し、136nm厚のBi/Sb超格子層を形成した。 [実施例3] Si基板上に、2.6nm厚のBi薄層
と0.4nm厚のSb薄層とを交互に合計40層積層
し、120nm厚のBi/Sb超格子層を形成した。 [比較例1] BaF2 基板上に、10.3nm厚のB
i薄層と6.0nm厚のSb薄層とを交互に合計30層
積層し、490nm厚のBi/Sb超格子層を形成し
た。 [比較例2] BaF2 基板上に、23nm厚のBi薄
層と6nm厚のSb薄層とを交互に合計30層積層し、
870nm厚のBi/Sb超格子層を形成した。 [比較例3] BaF2 基板上に、23nm厚のBi薄
層と6nm厚のSb薄層とを交互に合計30層積層し、
870nm厚のBi/Sb超格子層を形成した。 [比較例4] BaF2 基板上に、360nm厚のBi
バルク層を形成した。 [比較例5] Si基板上に、360nm厚のBiバル
ク層を形成した。 [比較例6] Si基板上に、74nm厚のBi・12
%Sb合金層を形成した。
と0.8nm厚のSb薄層とを交互に合計20層積層
し、120nm厚のBi/Sb超格子層を形成した。 [実施例2] Si基板上に、5.2nm厚のBi薄層
と1.6nm厚のSb薄層とを交互に合計20層積層
し、136nm厚のBi/Sb超格子層を形成した。 [実施例3] Si基板上に、2.6nm厚のBi薄層
と0.4nm厚のSb薄層とを交互に合計40層積層
し、120nm厚のBi/Sb超格子層を形成した。 [比較例1] BaF2 基板上に、10.3nm厚のB
i薄層と6.0nm厚のSb薄層とを交互に合計30層
積層し、490nm厚のBi/Sb超格子層を形成し
た。 [比較例2] BaF2 基板上に、23nm厚のBi薄
層と6nm厚のSb薄層とを交互に合計30層積層し、
870nm厚のBi/Sb超格子層を形成した。 [比較例3] BaF2 基板上に、23nm厚のBi薄
層と6nm厚のSb薄層とを交互に合計30層積層し、
870nm厚のBi/Sb超格子層を形成した。 [比較例4] BaF2 基板上に、360nm厚のBi
バルク層を形成した。 [比較例5] Si基板上に、360nm厚のBiバル
ク層を形成した。 [比較例6] Si基板上に、74nm厚のBi・12
%Sb合金層を形成した。
【0010】本願発明者等は、これら試料に対して熱電
変換性能を測定した。本願発明者等が行った測定方法に
ついて図1を用いて説明する。液体窒素を入れた容器1
0内に試料台12が設けられている。試料台12下部に
は試料加熱用のヒータ14が設けられ、試料台12上の
試料の右端部を基板下から加熱する。試料の上面の左部
位と右部位の温度を測定するために熱電対18、20が
それぞれ設けられている。試料の上面の左部位と右部位
間に、熱起電力を測定するための電圧計22を設ける。
変換性能を測定した。本願発明者等が行った測定方法に
ついて図1を用いて説明する。液体窒素を入れた容器1
0内に試料台12が設けられている。試料台12下部に
は試料加熱用のヒータ14が設けられ、試料台12上の
試料の右端部を基板下から加熱する。試料の上面の左部
位と右部位の温度を測定するために熱電対18、20が
それぞれ設けられている。試料の上面の左部位と右部位
間に、熱起電力を測定するための電圧計22を設ける。
【0011】測定すべき試料を試料台12上に載置す
る。試料の左部位と右部位に熱電対18、20をセット
すると共に、電圧計22の測定端子をセットする。ヒー
タ14により試料の右部位を加熱し、そのときの熱起電
力を電圧計22により測定する。試料の左部位の温度を
T1[°K]、右部位の温度をT2[°K]とし、試料
に温度差ΔT[°K]=T2−T1が与えられたとし
て、そのときの熱起電力をΔV[μV]とすると、ゼー
ベック(Seebeck)係数αは次式 α=ΔV/ΔT[μV/°K] のようになる。実施例1乃至3及び比較例1及び比較例
3乃至6のそれぞれに対してヒータによる加熱温度を変
更して熱起電力を測定した。図2乃至図4にその測定結
果を示す。図2乃至図4の横軸は、左部位の温度T1
[°K]と右部位の温度T2[°K]の算術平均の温度
((T1+T2)/2[°K])であり、縦軸は、ゼー
ベック(Seebeck)係数α[μV/°K]であ
る。
る。試料の左部位と右部位に熱電対18、20をセット
すると共に、電圧計22の測定端子をセットする。ヒー
タ14により試料の右部位を加熱し、そのときの熱起電
力を電圧計22により測定する。試料の左部位の温度を
T1[°K]、右部位の温度をT2[°K]とし、試料
に温度差ΔT[°K]=T2−T1が与えられたとし
て、そのときの熱起電力をΔV[μV]とすると、ゼー
ベック(Seebeck)係数αは次式 α=ΔV/ΔT[μV/°K] のようになる。実施例1乃至3及び比較例1及び比較例
3乃至6のそれぞれに対してヒータによる加熱温度を変
更して熱起電力を測定した。図2乃至図4にその測定結
果を示す。図2乃至図4の横軸は、左部位の温度T1
[°K]と右部位の温度T2[°K]の算術平均の温度
((T1+T2)/2[°K])であり、縦軸は、ゼー
ベック(Seebeck)係数α[μV/°K]であ
る。
【0012】図2に実施例1、実施例2、実施例3、比
較例1、比較例3の測定結果を示し、図3に比較例4、
比較例5の測定結果を示し、図4に比較例6の測定結果
を示す。図2乃至図4からわかるように、Si基板上に
Bi/Sb超格子層を形成した実施例のゼーベック係数
が、比較例と比較して、液体窒素温度から室温に向かっ
て急激に増大していることがわかった。特に、Si基板
に形成したBi/Sb超格子層の積層数の多い実施例3
の熱電変換性能は非常に高くなることがわかった。
較例1、比較例3の測定結果を示し、図3に比較例4、
比較例5の測定結果を示し、図4に比較例6の測定結果
を示す。図2乃至図4からわかるように、Si基板上に
Bi/Sb超格子層を形成した実施例のゼーベック係数
が、比較例と比較して、液体窒素温度から室温に向かっ
て急激に増大していることがわかった。特に、Si基板
に形成したBi/Sb超格子層の積層数の多い実施例3
の熱電変換性能は非常に高くなることがわかった。
【0013】これに対して、Bi/Sb超格子層をBa
F2 基板上に形成した比較例1及び3は、図2に示すよ
うに、液体窒素温度から室温にわたってゼーベック係数
が極めて小さい。これは、p型層(Sb薄層)とn型層
(Bi薄層)が互いにキャンセルしていることに起因し
ているようである。また、BaF2 基板上にBiバルク
層を形成した比較例4及びSi基板上にBiバルク層を
形成した比較例5は、図3に示すように、液体窒素温度
から室温にわたってゼーベック係数がほぼ一定の値とな
り、Biのバルク材に近い測定結果となった。
F2 基板上に形成した比較例1及び3は、図2に示すよ
うに、液体窒素温度から室温にわたってゼーベック係数
が極めて小さい。これは、p型層(Sb薄層)とn型層
(Bi薄層)が互いにキャンセルしていることに起因し
ているようである。また、BaF2 基板上にBiバルク
層を形成した比較例4及びSi基板上にBiバルク層を
形成した比較例5は、図3に示すように、液体窒素温度
から室温にわたってゼーベック係数がほぼ一定の値とな
り、Biのバルク材に近い測定結果となった。
【0014】また、Si基板上にBi・12%Sb合金
層を形成した比較例6は、図4に示すように、液体窒素
温度から室温にわたってゼーベック係数がほぼ一定の値
となり、Bi・12%Sb合金のバルク材に近い測定結
果となった。測定の上限温度を室温までに止めて反復す
る限り、上述した測定結果は再現されたが、測定の上限
温度を400°K程度まで広げると測定の再現性がはか
れなくなった。
層を形成した比較例6は、図4に示すように、液体窒素
温度から室温にわたってゼーベック係数がほぼ一定の値
となり、Bi・12%Sb合金のバルク材に近い測定結
果となった。測定の上限温度を室温までに止めて反復す
る限り、上述した測定結果は再現されたが、測定の上限
温度を400°K程度まで広げると測定の再現性がはか
れなくなった。
【0015】特に、ゼーベック係数の大きい実施例1乃
至3の場合には、測定の上限温度を400°K程度まで
広げると、大きなゼーベック係数が得られるものの、測
定を反復するにつれてゼーベック係数が低くなった。図
5は、ゼーベック係数が最も大きい実施例3の試料に対
して、測定の上限温度を400°K程度まで広げて反復
した場合のゼーベック係数の測定結果である。A(第1
回目)は最初に室温まで昇温した場合の測定結果であ
り、B(第2回目)、C(第3回目)、D(第4回目)
は400°Kまで反復昇温した場合の測定結果である。
第2回目(曲線B)では350°Kにゼーベック係数の
大きなピーク(−400μV/°K)が表れたが、第3
回目(曲線C)、第4回目(曲線D)と反復回数が多く
なるにつれてピーク値が低下し、ついには消失した。
至3の場合には、測定の上限温度を400°K程度まで
広げると、大きなゼーベック係数が得られるものの、測
定を反復するにつれてゼーベック係数が低くなった。図
5は、ゼーベック係数が最も大きい実施例3の試料に対
して、測定の上限温度を400°K程度まで広げて反復
した場合のゼーベック係数の測定結果である。A(第1
回目)は最初に室温まで昇温した場合の測定結果であ
り、B(第2回目)、C(第3回目)、D(第4回目)
は400°Kまで反復昇温した場合の測定結果である。
第2回目(曲線B)では350°Kにゼーベック係数の
大きなピーク(−400μV/°K)が表れたが、第3
回目(曲線C)、第4回目(曲線D)と反復回数が多く
なるにつれてピーク値が低下し、ついには消失した。
【0016】次に、試料の電気抵抗の温度依存性につい
て測定した。実施例1乃至3の電気抵抗の温度依存性は
いずれも半導体的傾向を示した。実施例3の電気抵抗の
温度依存性を図6に示す。横軸は測定温度T[°K]で
あり、縦軸は電気抵抗の抵抗値(任意単位)である。A
(第1回目)が成膜したままの抵抗値の測定結果であ
り、B(第2回目)、C(第3回目)は400°Kまで
反復昇温した後の抵抗値の測定結果である。なお、曲線
A、B、Cを見易くするために、縦軸の抵抗値を任意単
位とし、上下にずらして記載している。
て測定した。実施例1乃至3の電気抵抗の温度依存性は
いずれも半導体的傾向を示した。実施例3の電気抵抗の
温度依存性を図6に示す。横軸は測定温度T[°K]で
あり、縦軸は電気抵抗の抵抗値(任意単位)である。A
(第1回目)が成膜したままの抵抗値の測定結果であ
り、B(第2回目)、C(第3回目)は400°Kまで
反復昇温した後の抵抗値の測定結果である。なお、曲線
A、B、Cを見易くするために、縦軸の抵抗値を任意単
位とし、上下にずらして記載している。
【0017】図6から明らかなように、電気抵抗の温度
依存性にも400°Kまでの加熱処理の効果があらわれ
ている。成膜したままの曲線Aは、バンドギャップEg
=41meVを与える典型的な曲線形状であるのに対
し、400°Kに昇温した後の曲線B、曲線Cは、図6
から明らかなように、3段に折れ曲がった曲線となる。
曲線B(第2回目)のバンドギャップEgは42.69
meV、曲線C(第3回目)のバンドギャップEgは3
2.66meVとなる。
依存性にも400°Kまでの加熱処理の効果があらわれ
ている。成膜したままの曲線Aは、バンドギャップEg
=41meVを与える典型的な曲線形状であるのに対
し、400°Kに昇温した後の曲線B、曲線Cは、図6
から明らかなように、3段に折れ曲がった曲線となる。
曲線B(第2回目)のバンドギャップEgは42.69
meV、曲線C(第3回目)のバンドギャップEgは3
2.66meVとなる。
【0018】本願発明者等は、上述した測定結果から次
のように考察した。Biは伝導体と価電子帯とが僅かに
(約20meV)重畳する半金属であるが、薄膜の電気
抵抗は半導体的振る舞いをすることが知られている。そ
の理由については、実際にバンドの重量が解けるとする
考えと、散乱の自由行程が膜厚によって制限されるため
に過ぎないというとする考えがある。上述した測定結果
は前者の実際にバンドの重量が解けるとする考えを支持
するように思われる。Bi/Sb超格子層のBi薄層と
Sb薄層間の界面が異常熱電能に重要な役割を果たし、
400°K加熱での相互拡散による構造変化が熱電能・
電気抵抗変化を起こした可能性を示唆している。基板材
料の相違による差が、成膜条件の差として効くのか、ま
たは基板自体が何らかの効果を持つのかは明らかではな
いが、応用の可能性の観点からも重要な課題である。
のように考察した。Biは伝導体と価電子帯とが僅かに
(約20meV)重畳する半金属であるが、薄膜の電気
抵抗は半導体的振る舞いをすることが知られている。そ
の理由については、実際にバンドの重量が解けるとする
考えと、散乱の自由行程が膜厚によって制限されるため
に過ぎないというとする考えがある。上述した測定結果
は前者の実際にバンドの重量が解けるとする考えを支持
するように思われる。Bi/Sb超格子層のBi薄層と
Sb薄層間の界面が異常熱電能に重要な役割を果たし、
400°K加熱での相互拡散による構造変化が熱電能・
電気抵抗変化を起こした可能性を示唆している。基板材
料の相違による差が、成膜条件の差として効くのか、ま
たは基板自体が何らかの効果を持つのかは明らかではな
いが、応用の可能性の観点からも重要な課題である。
【0019】次に、上述した実施例1乃至3の試料を実
際に温度測定素子として応用することを考え、本発明の
温度測定素子の温度測定範囲について考察する。温度測
定範囲の下限の温度は、温度測定素子として実用的なゼ
ーベック係数が得られる温度である。実用的なゼーベッ
ク係数は約40[μV/°K]であるから、図2のグラ
フから、本発明の温度測定素子の温度測定範囲の下限温
度は約184°K程度となる。
際に温度測定素子として応用することを考え、本発明の
温度測定素子の温度測定範囲について考察する。温度測
定範囲の下限の温度は、温度測定素子として実用的なゼ
ーベック係数が得られる温度である。実用的なゼーベッ
ク係数は約40[μV/°K]であるから、図2のグラ
フから、本発明の温度測定素子の温度測定範囲の下限温
度は約184°K程度となる。
【0020】温度測定範囲の上限の温度は、反復昇温し
てもゼーベック係数が低下して劣化することがない最も
高い温度である。図5のグラフから、本発明の温度測定
素子の温度測定範囲の上限温度は約350°K程度とな
る。したがって、本発明の温度測定素子の測定範囲は約
184°Kから約350°Kの範囲の温度となる。
てもゼーベック係数が低下して劣化することがない最も
高い温度である。図5のグラフから、本発明の温度測定
素子の温度測定範囲の上限温度は約350°K程度とな
る。したがって、本発明の温度測定素子の測定範囲は約
184°Kから約350°Kの範囲の温度となる。
【0021】次に、本発明の温度測定素子で温度測定す
るためには、シリコン基板上に形成されたBi/Sb超
格子層の異なる部位に温度差が生ずるような構成にする
必要がある。本発明の温度測定素子の具体例を図7及び
図8に示す。第1の具体例は、図7に示すように、Si
基板30上にBi/Sb超格子層32が形成された温度
測定素子チップ34が外囲器36内に載置されている。
外囲器36下部には熱起電力を測定するための外部端子
38、40が設けられている。これら外部端子38、4
0と、温度測定素子チップ34の左右の部位とは、ボン
ディングワイヤ42、44によりワイヤボンディングさ
れている。外囲器36の上面には熱線を遮蔽する遮蔽板
46が設けられている。この遮蔽板46には、温度測定
素子チップ34の右半部が露出するような窓48が形成
されている。
るためには、シリコン基板上に形成されたBi/Sb超
格子層の異なる部位に温度差が生ずるような構成にする
必要がある。本発明の温度測定素子の具体例を図7及び
図8に示す。第1の具体例は、図7に示すように、Si
基板30上にBi/Sb超格子層32が形成された温度
測定素子チップ34が外囲器36内に載置されている。
外囲器36下部には熱起電力を測定するための外部端子
38、40が設けられている。これら外部端子38、4
0と、温度測定素子チップ34の左右の部位とは、ボン
ディングワイヤ42、44によりワイヤボンディングさ
れている。外囲器36の上面には熱線を遮蔽する遮蔽板
46が設けられている。この遮蔽板46には、温度測定
素子チップ34の右半部が露出するような窓48が形成
されている。
【0022】外部からの熱線は遮蔽板46により遮蔽さ
れるので、遮蔽板46の窓48下の温度測定素子チップ
34の右半部だけが加熱され、温度測定素子チップ34
の左右部位間に温度差を生じさせることができる。第2
の具体例は、図8に示すように、図7に示す第1の具体
例と基本的な構成は同じであるが、遮蔽板46を設ける
代わりに、温度測定素子チップ34の左半部に反射膜5
0を設けている点が第1の具体例と異なる。外部からの
熱線は反射膜50により反射されるので、反射膜50に
覆われていない温度測定素子チップ34の右半部だけが
加熱され、温度測定素子チップ34の左右部位間に温度
差を生じさせることができる。
れるので、遮蔽板46の窓48下の温度測定素子チップ
34の右半部だけが加熱され、温度測定素子チップ34
の左右部位間に温度差を生じさせることができる。第2
の具体例は、図8に示すように、図7に示す第1の具体
例と基本的な構成は同じであるが、遮蔽板46を設ける
代わりに、温度測定素子チップ34の左半部に反射膜5
0を設けている点が第1の具体例と異なる。外部からの
熱線は反射膜50により反射されるので、反射膜50に
覆われていない温度測定素子チップ34の右半部だけが
加熱され、温度測定素子チップ34の左右部位間に温度
差を生じさせることができる。
【0023】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、シリコン
基板上にBi/Sb超格子層を形成した熱電変換性能の
高い新規な熱電材料を用い、Bi/Sb超格子層の異な
る部位間に発生する熱起電力に基づいて温度を測定する
ようにしたので、温度測定精度に優れた温度測定を実現
することができる。
基板上にBi/Sb超格子層を形成した熱電変換性能の
高い新規な熱電材料を用い、Bi/Sb超格子層の異な
る部位間に発生する熱起電力に基づいて温度を測定する
ようにしたので、温度測定精度に優れた温度測定を実現
することができる。
【図1】実施例と比較例の試料に対する熱電変換性能の
測定方法の説明図である。
測定方法の説明図である。
【図2】基板上にBi/Sb超格子層を形成した実施例
1、実施例2、実施例3、比較例1、比較例3のゼーベ
ック係数の温度依存性を示すグラフである。
1、実施例2、実施例3、比較例1、比較例3のゼーベ
ック係数の温度依存性を示すグラフである。
【図3】基板上にBiバルク層を形成した比較例4、比
較例5のゼーベック係数の温度依存性を示すグラフであ
る。
較例5のゼーベック係数の温度依存性を示すグラフであ
る。
【図4】Si基板上にBi・12%Sb合金層を形成し
た比較例6のゼーベック係数の温度依存性を示すグラフ
である。
た比較例6のゼーベック係数の温度依存性を示すグラフ
である。
【図5】実施例3の試料に対して、測定の上限温度を4
00°K程度まで広げて反復した場合のゼーベック係数
の温度依存性を示すグラフである。
00°K程度まで広げて反復した場合のゼーベック係数
の温度依存性を示すグラフである。
【図6】実施例3の試料の電気抵抗の温度依存性を示す
グラフである。
グラフである。
【図7】本発明の温度測定素子の第1の具体例を示す図
である。
である。
【図8】本発明の温度測定素子の第2の具体例を示す図
である。
である。
10…容器 12…試料台 14…ヒータ 18、20…熱電対 22…電圧計 30…Si基板 32…Bi/Sb超格子層 34…温度測定素子チップ 36…外囲器 38、40…外部端子 42、44…ボンディングワイヤ 46…遮蔽板 48…窓 50…反射膜
Claims (3)
- 【請求項1】 シリコン基板と、前記シリコン基板上に
形成され、Bi薄層とSb薄層を交互に積層したBi/
Sb超格子層とを有し、前記Bi/Sb超格子層上の異
なる部位間に発生する熱起電力に基づいて温度を測定す
ることを特徴とする温度測定素子。 - 【請求項2】 請求項1記載の温度測定素子において、
約−89℃から約+77℃の範囲の温度を測定すること
を特徴とする温度測定素子。 - 【請求項3】 シリコン基板と、前記シリコン基板上に
形成され、Bi薄層とSb薄層を交互に積層したBi/
Sb超格子層とを有する温度測定素子を用い、前記Bi
/Sb超格子層の第1の部位を基準温度とし、前記第1
の部位と異なる第2の部位を測定部位とし、前記第1の
部位と前記第2の部位の間の熱起電力を測定することに
より、約−89℃から約+77℃の範囲の温度を測定す
ることを特徴とする温度測定方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5056067A JP2730662B2 (ja) | 1993-03-16 | 1993-03-16 | 温度測定素子及び温度測定方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5056067A JP2730662B2 (ja) | 1993-03-16 | 1993-03-16 | 温度測定素子及び温度測定方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06265414A true JPH06265414A (ja) | 1994-09-22 |
JP2730662B2 JP2730662B2 (ja) | 1998-03-25 |
Family
ID=13016742
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5056067A Expired - Lifetime JP2730662B2 (ja) | 1993-03-16 | 1993-03-16 | 温度測定素子及び温度測定方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2730662B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2000076006A1 (en) * | 1999-06-02 | 2000-12-14 | Asahi Kasei Kabushiki Kaisha | Thermoelectric material and method for manufacturing the same |
US6902317B2 (en) * | 2001-03-16 | 2005-06-07 | Japan Science And Technology Corporation | Method and device for measuring thermoelectric characteristics of combinatorial specimen |
-
1993
- 1993-03-16 JP JP5056067A patent/JP2730662B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2000076006A1 (en) * | 1999-06-02 | 2000-12-14 | Asahi Kasei Kabushiki Kaisha | Thermoelectric material and method for manufacturing the same |
US6710238B1 (en) | 1999-06-02 | 2004-03-23 | Asahi Kasei Kabushiki Kaisha | Thermoelectric material and method for manufacturing the same |
KR100465661B1 (ko) * | 1999-06-02 | 2005-01-13 | 아사히 가세이 가부시키가이샤 | 열전 재료 및 그 제조 방법 |
JP4814464B2 (ja) * | 1999-06-02 | 2011-11-16 | 旭化成株式会社 | 熱電材料およびその製造方法 |
US6902317B2 (en) * | 2001-03-16 | 2005-06-07 | Japan Science And Technology Corporation | Method and device for measuring thermoelectric characteristics of combinatorial specimen |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2730662B2 (ja) | 1998-03-25 |
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