JP4813570B2 - 金属印刷回路基板の原板及び原板の製造方法 - Google Patents

金属印刷回路基板の原板及び原板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、金属印刷回路基板の原板及びその製造方法に関し、詳細には、金属基板上に物理気相蒸着のためのスパッタリング(sputtering)方法により絶縁層及び厚膜の高密度電気伝導層を形成し、優れた放熱特性及び電気的な特性を有する金属印刷回路基板の原板及び原板の製造方法に関する。
最近の電子機器は、集積化及び小型化の流れに適合するよう製造されている。電子機器の小型化に伴う様々な問題の1つは、内部品において発生する熱の効果的な発散である。小型化及び集積化された電子機器内では、多くのエネルギーが熱として消費され、このような熱は、再度内部電子部品の劣化を起こすことで、誤動作及び寿命の短縮などの問題を引き起こす恐れがある。
電子機器内で発生する熱を排出するために、従来から幅広く採用される方法として、ファン(fan)を利用した機器内の強制対流方法、熱源にヒートシンク(heat sink)を取り付けて熱の発散を極大化する方法などが一般的であり、その中でも最近発表されている金属印刷回路基板は、電気的な熱の発生が多い高電圧電力の電子分野、LED(Light−Emitting Diode)照明及びLCDバックライト(LCD Back Light Unit)などの分野を始めとして注目を浴びている。
従来の一般的な金属印刷回路基板における原板の製造方法として、金属基板に湿式メッキを介して銅膜を形成する湿式メッキ法、及び金属基板と銅箔との間に接着層を挿入した後に積層する積層法がある。主に積層法が従来の金属印刷回路基板の製造に採用されている。
図1は、従来の湿式メッキによって基板の表面に形成された厚膜の構造を示す断面図であり、図2は、湿式メッキによって厚膜を形成する過程を説明するフローチャートである。
図1の印刷回路基板の原板は、メッキ処理する対象となる基板11と、高分子樹脂で備えられて基板11の上面に均一した膜を形成し、連続的な界面を形成する接着層13と、該接着層13の上面に表面処理される銅膜15とから構成される。
図2を参照すると、湿式メッキによる原板の製造は、メッキ処理する基板11を備えるS201ステップと、備えられた基板11の表面に接着層13を形成するS203ステップと、接着層13上に湿式メッキ法により銅膜15を形成するS205ステップとから構成される。
ところが、かかる湿式メッキは、膜の残留応力の制御が難しいことから銅膜の厚さに制限がある。したがって、数百μmの厚膜を形成しようとする場合、残留応力による接着性の低下により膜が剥離される現象が現れる。また、メッキ厚膜は、その密度が低いだけでなく、低いメッキ率による長時間の工程及びこれによる複雑な工程、毒性のある電解液の使用による環境汚染といった問題があった。
図3は、従来の積層法により製造される金属印刷回路基板の原板を示す分解斜視図である。積層法の場合、原板は、金属基板(Base Layer)31と、該金属基板31の表面に塗布された樹脂(resin)である接着層(Dielectric Layer)33と、該接着層33により基板31に接着された銅薄板(Circuit Layer)35から構成される。接着層33は、接着機能と共に放熱及び絶縁機能を有する。
積層法は、別途に製造された銅薄板を基板に接着させるための厚い接着層33が求められ、別途に製造された銅板そのものを接着することから、銅薄板の厚さも制限される。
その他にも銅膜の形成のみを考慮すると、半導体の製造工程上のスパッタリングを用いて銅薄膜を蒸着する方法が考慮される。しかし、従来に知らされたスパッタリング方法は、半導体の集積程度に使われる数nm程度の薄膜に過ぎず、印刷回路基板のための数十μmないし数百μmの厚膜は不可能であるとみなされている。これは、形成される膜の応力を制御するにあたって限界があるからである。
本発明の目的は、金属基板上に物理気相蒸着のためのスパッタリング方法により絶縁層及び厚膜の高密度の電気伝導層を形成し、優れた放熱特性及び電気的な特性を有する金属印刷回路基板の原板及び原板の製造方法を提供することにある。
前述した目的を達成するために、印刷回路基板の裏面に放熱のための金属基板が形成された金属印刷回路基板における原板の製造方法であって、金属基板を備えるステップと、前記金属基板上に物理気相蒸着のためのスパッタリング方法により絶縁層を形成するステップと、前記絶縁層上にスパッタリング方法により伝導性金属からなり、圧縮残留応力を有する第1薄膜を蒸着するステップと、前記第1薄膜上にスパッタリング方法により伝導性金属からなり、引張残留応力を有する第2薄膜を蒸着するステップと、前記第1薄膜及び第2薄膜を蒸着するステップを繰り返し、全体の残留応力が予め設定された範囲内で制御された厚膜の電気伝導層を蒸着するステップと、を含む。
ここで、前記絶縁層が、熱の伝達特性及び電気的な絶縁特性に優れた低誘電率の物質である酸化物、窒化物、ダイヤモンドライクカーボン(DLC:Diamond−Like Carbon)、高分子樹脂、または炭化物の中から選択された少なくとも1つの物質の単一膜または多層膜から形成され、前記基板及び電気伝導層と化学的に結合することが好ましい。
また、前記第1薄膜が、−10GPaないし−0.0001GPaの圧縮応力の範囲内で形成され、前記第2薄膜が、0.0001GPaないし10GPaの引張応力の範囲内で形成されることが好ましい。
この場合、前記第1薄膜を蒸着するステップは、前記第1薄膜が前記圧縮応力の範囲を有するよう、スパッタリングのためのプラズマを直流電源を用いて生成することができる。このため、前記プラズマによりスパッタリングされた粒子のエネルギーが、5eV以下になるよう前記直流電源が制御されることが好ましい。
また、前記第2薄膜を蒸着するステップは、前記第2薄膜が前記引張応力の範囲を有するよう、スパッタリングのためのプラズマを直流パルス電源または交流電源を用いて生成することができる。このため、前記プラズマによりスパッタリングされた粒子のエネルギーが、5eV以上、100eV以下になるよう、前記直流パルス電源または交流電源が制御されることが好ましい。
実施形態に応じて、前記第1薄膜及び第2薄膜が、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、タングステン(W)、またはニッケルクロム(NiCr)の中から選択されたいずれか1つであるか、その合金であることが好ましい。
他の実施形態に応じて、本発明の製造方法は、前記絶縁層上に第2薄膜を先に蒸着し、第2薄膜に第1薄膜を蒸着する順で繰り返し蒸着して電気伝導層を形成することもできる。
本発明の更なる実施形態に係る金属印刷回路基板の原板は、金属基板と、該金属基板上に物理気相蒸着された絶縁層と、該絶縁層上に物理気相蒸着された電気伝導層と、を備える。ここで、該電気伝導層が、物理気相蒸着されて圧縮残留応力を有する伝導性金属の第1薄膜と、物理気相蒸着されて引張残留応力を有する伝導性金属の第2薄膜とが交番に繰り返して蒸着されることによって形成され得る。
本発明の金属印刷回路基板における原板の製造方法は、電気伝導層を厚膜に形成するにあたって、その残留応力を容認できる範囲内で制御することができる。これを介して、高密度の絶縁層及び電気伝導層の製造が可能となる。
したがって、絶縁層は、樹脂で形成された従来の接着層とは異なって蒸着により形成されることから、その接着力が極めて優秀で、かつ高密度の絶縁層による良好な放熱特性を有する。
電気伝導層においても従来のメッキ法と比べられないレベルの高密度で形成され、良好な放熱特性と共に優れた電気伝導性を有することで、従来の積層法とは異なって厚い接着層を必要としない。
スパッタリングによる絶縁層及び電気伝導層の形成は、対面的な金属印刷回路基板の原板製造を可能にする。
従来の湿式メッキによって基板の表面に形成された厚膜の構造を示す断面図である。 湿式メッキによって厚膜を形成する過程を説明するフローチャートである。 従来の積層法により製造される金属印刷回路基板の原板を示す分解斜視図である。 本発明の方法によって製造される金属印刷回路基板における原板の断面図である。 図4における金属印刷回路基板における原板の製造方法を説明するために提供される製造工程図である。 本発明の製造工程に採用されるスパッタ構造を簡略に示す図面である。 相異なるデューティサイクルを有する直流パルス電圧でスパッタリングされた粒子を撮影した写真である。 相異なるデューティサイクルを有する直流パルス電圧でスパッタリングされた粒子のエネルギーを測定したグラフである。 本発明の方法により製造された金属印刷回路基板における原板の断面写真である。 電気導線のパターンが形成された本発明の金属印刷回路基板を示す図面である。
以下、図面を参照して本発明を更に詳説する。
図4は、本発明の方法に基づいて製造される金属印刷回路基板における原板の断面図である。
同図を参照すると、本発明により製造される金属印刷回路基板の原板400は、金属基板410と、該金属基板410の表面に形成された絶縁層430と、該絶縁層430の上面に形成された電気伝導層450とを備える。電気伝導層450は、第1薄膜451及び第2薄膜453を備え、原板の製造工程が完了した後、上面に実装される電気、電子、または機械素子間の電気的な接続のための導線として加工される。第1薄膜451及び第2薄膜453は、少なくとも1回以上、交番に繰り返して蒸着されることによって電気伝導層450が形成される。
また、本発明に係る金属印刷回路基板の原板は、金属基板410の裏面に第2絶縁層及び第2電気伝導層を形成することによって、両面の印刷回路基板の原板としても製造され得る。
図5は、図4の金属印刷回路基板における原板の製造方法を説明するために提供される製造工程図であって、以下は図5を参照して本発明の金属印刷回路基板における原板の製造方法を説明する。
<基板の準備、S501ステップ>
本発明の原板400の製造のために、金属素材の基板410が備えられる。金属基板410の材料は、放熱特性に優れた金属材料であればいずれのものも可能であるが、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、及び銅(Cu)の中から選択された少なくとも1つの金属またはその合金、またはステンレス、炭素鋼などが好ましい。このような金属基板410は耐久性及び放熱特性に優れ、印刷回路基板に実装された機械、電気または電子素子で発生する熱の排出に優れる性能を有する。
<絶縁層の形成、S503ステップ>
絶縁層430は、本発明の物理気相蒸着(PVD:Physical Vapor Deposition)のためにスパッタリング(sputtering)方法によって金属基板410上に形成される。絶縁層430は、電気伝導層450と金属基板410との間の電気的な絶縁と共に、電気伝導層450で発生する熱を金属基板410に伝達する役割を果たす。
スパッタリング方法による絶縁層430は、熱の伝達特性と電気的な絶縁特性に優れた低誘電率の物質から形成され、金属基板410及び電気伝導層450の種類とその化学的な特性に応じて、酸化物、窒化物、ダイヤモンドライクカーボン(DLC:Diamond−Like Carbon)、または炭化物などの様々な物質が使用され得る。
ここで、酸化物は、シリコン系の酸化物(SiOx)、チタニウム系の酸化物(TiOx)、アルミニウム系の酸化物(Alxy)、またはクロム系の酸化物(CrOx)に該当し、窒化物は、シリコン系の窒化物(Sixy)、チタニウム系の窒化物(Tixy)、アルミニウム系の窒化物(AlN)、またはホウ素系の窒化物(BN)に該当され得る。炭化物は、炭化ケイ素(SiC)、炭化チタニウム(TiC)、または炭化クロム(CrC)に該当され得る。
必要に応じて、絶縁層430は、同じ物質または相異なる物質の多層膜として形成され得る。相異なる物質の多層膜として形成する場合は、金属基板410及び電気伝導層450両方のすべてに優れた化学的な結合を有する 絶縁層430の物質がない場合、金属基板410との結合性が良い物質と、電気伝導層450との結合性が良好な物質の多層膜を形成する。
絶縁層430の厚さは、所定の耐電圧特性を有し得るよう考慮されることが好ましく、略1nm〜50μmの厚さが好ましい。
絶縁層430を形成するためのスパッタリング方法は、後述する電気伝導層450の形成のためのスパッタリング方法について対応される方式で適用することができる。絶縁層430が多層膜として形成される場合、電気伝導層450の蒸着方法と同じ応力制御が求められる。
<電気伝導層の形成、S505ステップ>
電気伝導層450は、所定の伝導性導電体の金属をスパッタリング方法に基づいて絶縁層430に蒸着することによって形成され得る。
電気伝導層450の素材は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、タングステン(W)、またはニッケルクロム(NiCr)の中から選択されたいずれか1つであるか、その合金であるが、これに限定せず伝導性金属のいずれも可能である。更に、前記金属の中でも銅(Cu)をターゲット(target)にして使用した銅(Cu)の厚膜として形成されることが好ましい。言い換えれば、第1薄膜451及び第2薄膜453は伝導性金属から形成され、第1薄膜451と第2薄膜453とが同じ物質(例えば、銅)で形成されることが好ましい。
電気伝導層450は、略5μm〜500μmの厚さの厚膜で形成されることが好ましく、このような厚さの厚膜形成は、1nmないし10μmの厚さの第1薄膜451及び第2薄膜453を交番に繰り返して蒸着することにより、電気伝導層450または原板400全体の残留応力を容認できる範囲の分だけ相殺させることで可能にする。これを介して、本発明は、従来の厚膜形成に係る応力問題を解消することができる。
第1薄膜451及び第2薄膜453は、物理気相蒸着のためのスパッタリング方法により形成され、マグネトロンのスパッタリング方法が好ましい。
一般に、スパッタリングは、半導体集積回路の製造工程において薄膜コーティングのために幅広く採用される方法である。
以下、図6を参照して本発明の絶縁層及び電気伝導層の形成方法について説明する。同図は、本発明の製造工程で使用され得るスパッタの構造を簡略に示す図面であって、真空のためのポンプ装置、チャンバ内に充填する不活性ガスの吸/排気手段、冷却のための冷却手段、その他の部分は図示せず、かつその説明も省略する。
同図を参照すると、スパッタ600は、チャンバ610に備えられた第1蒸着源630及び第2蒸着源650を備える。第1蒸着源630は、第1薄膜451のための第1ターゲット631、該第1ターゲット631に直流電源を供給するための直流電源装置633、及びマグネトロン635を備える。第2蒸着源650は、第2薄膜453のための第2ターゲット651、該第2ターゲット651に直流パルス(DC pulse)を供給するための直流パルス電源装置653、及びマグネトロン655を備える。スパッタ600は、第1蒸着源630及び第2蒸着源650を複数備えることができ、蒸着源の全体が1つの同じチャンバ610内に備えられ得る。また、各蒸着源ごとに別個のチャンバに分離された形を有することもできる。チャンバ610内部は、プラズマを生成する不活性気体、例えば、アルゴン(Ar)などが充填される。
第2蒸着源650は、直流パルス電源装置653の代わりに交流電源装置を備え、第2ターゲット651に交流電源を供給することができる。ただし、以下では直流パルス電源装置653が備えられた場合について主に説明する。
マグネトロン635、655は、チャンバ610内で生成されるプラズマをターゲット631、651の近い領域に拘束するための磁界を形成する。前述したように、第1ターゲット631及び第2ターゲット651は、同じ物質、例えば、銅で形成することが好ましい。
化学的に不活性ガスであるアルゴン(Ar)がチャンバ610内に流入し、直流電源装置633と直流パルス電源装置653とが順次に第1ターゲット631及び第2ターゲット651に電源を供給しつつ、スパッタリングによる蒸着が行なわれる。
直流電源装置633が動作すると、チャンバ610内のアルゴンがプラズマ化する。このプラズマは、マグネトロン635による磁界によって第1ターゲット631の近い領域に拘束される。正帯電されたアルゴンイオンは、負帯電された第1ターゲット631により引き寄せられて衝突し、その衝撃によって第1ターゲットの粒子が第1ターゲット631からスパッタリングされる。第1ターゲット631からスパッタリングされた粒子は、金属基板410の絶縁層430に蒸着されることによって、第1ターゲット物質の膜である第1薄膜451が形成される。この場合、スパッタリング工程上のチャンバ610の圧力は、約1mTorr〜10mTorrであることが好ましい。
同じ圧力の条件で、金属基板410が所定の速度で移動することに関わって、第2蒸着源650が動作し、同じ方法で第2薄膜453が第1薄膜451上に蒸着される。
直流電源により動作する第1蒸着源630によって、第1ターゲット631からスパッタリングされた粒子が蒸着して形成される第1薄膜451は、圧縮残留の応力の特性を有する。
直流電源により形成されるプラズマは、直流パルスまたは交流電源によるプラズマよりも相対的に低いエネルギー及び小さなイオン線束(flux)を有することから、第1ターゲット631からスパッタリングされた粒子も低い運動エネルギー及び線速を有することになる。かかる低いエネルギー粒子が絶縁層430に蒸着されると、圧縮残留応力を有する第1薄膜451が形成される。圧縮応力は、略−10GPaないし−0.0001GPa(ギガパスカル)の範囲内で制御され得る。このために、直流プラズマによりスパッタリングされた粒子のエネルギーEが5eV未満になるよう、直流電源装置の直流電源を制御することが好ましい。
直流パルス電源により動作する第2蒸着源650によって、第2ターゲット651からスパーリングされた粒子が蒸着して形成される第2薄膜453は、引張残留応力の特性を有する。
直流パルス電源により形成されるプラズマは、直流プラズマに比べて相対的に高いエネルギー及び大きいイオン線速を有することから、第2ターゲット651からスパッタリングされた粒子も高いエネルギー及び線速を有することになる。かかる粒子が第1薄膜451に蒸着され、引張残留応力を有する第2薄膜453が形成される。第2薄膜453が有する引張応力は、略0.0001GPaないし10GPaの範囲内で制御され得る。このために、直流パルス(または交流)プラズマによりスパッタリングされた粒子のエネルギーEが、次の数式1を満足するよう、直流パルス(または交流)電源装置の直流パルス(または交流)電源を制御することが好ましい。
[数式1]5eV≦E≦100eV
直流パルス電源の制御は、その電圧のサイズ、デューティサイクル(duty cycle)、周波数のいずれか1つを制御する。
図7は、相異なるデューティサイクルを有する直流パルス電圧でスパッタリングされた粒子を撮影した写真であって、直流パルス電圧のデューティサイクル(Pulse duty Cycle)が30%の状態で発生したスパッタリングされた粒子の線速が、デューティサイクルが50%の状態で発生した粒子の線速よりも大きいことが分かる。結局、デューティサイクルが100%になる直流電源よりも直流パルス電圧でスパッタリングされた粒子の線速がはるかに大きいことが分かる。同様に、図8は、相異なるデューティサイクル(duty cycle)を有する直流パルス電圧でスパッタリングされた粒子のエネルギー(electron temperature)を測定したグラフであって、直流電源よりも直流パルス電圧でスパッタリングされた粒子のエネルギーがはるかに大きいことが分かる。したがって、互いに対比して相殺される第1薄膜451の圧縮残留応力値及び第2薄膜453の引張残留応力値、またはその応力値のための直流電源装置633、及び直流パルス電源装置653の制御変数は実験的に求められ得る。
第1薄膜451の圧縮残留応力は、第2薄膜453の引張残留応力により全体または一部が相殺される。このような第1薄膜451及び第2薄膜453は、その応力が互いに相殺されるよう交番に繰り返して形成されることによって、その応力が全体的に制御される厚膜の電気伝導層450が形成される。図9は、本発明の方法に基づいて製造された金属印刷回路基板における原板の断面写真であって、酸化アルミニウム(Al23)の絶縁層上に150μm厚さの高密度の伝導層厚膜が蒸着されていることが分かる。
第1薄膜451及び第2薄膜453による電気伝導層450の残留応力は、次の数式2の通りである。
[数式2]
σ=n(Sc+St)
ここで、σは電気伝導層450の総残留応力であり、Scは第1薄膜451の圧縮応力であり、Stは第2薄膜453の引張応力である。そして、nは第1薄膜及び第2薄膜の対の数である。図4における原板400は、nが4の場合であって、第1薄膜451及び第2薄膜453が4回繰り返して蒸着されることが分かる。同じ厚さの電気伝導層450であっても、第1薄膜451及び第2薄膜453そのものの厚さ、または全体の電気伝導層450の厚さに応じて、nは異なり得る。Sc及びStにおいても同じ値でない場合もあり得る。
電気伝導層450全体の応力σは厚膜の特性に応じて異なり、完全に相殺されて0になることもあり得る。
図6のスパッタリング装置は、2つの蒸着源を配置した一例であって、必ずこれに限定されるのではない。例えば、チャンバ610には複数の蒸着源が配置され、全体の蒸着源が同時に動作することができる。このとき、チャンバ610には複数の基板が配置され、所定の速度で移動しつつ、複数の蒸着源により同時に蒸着過程が進行されることもあり得る。
実施形態によって、絶縁層430に引張残留応力を有する第2薄膜453が先に蒸着され、その上に圧縮残留応力を有する第1薄膜451が蒸着されるという順で厚膜が形成されることもあり得る。
絶縁層430も電気伝導層450の形成と同じ方法により行なわれる。ただし、絶縁層430を形成する前の金属基板410が使用され、ターゲットの物質が異なる。
スパッタリングによる膜は高密度で形成されるため、電気伝導層450は、優れた電気的な特性及び熱の伝達特性を有する。また、スパッタリングによる電気伝導層450の形成は高速で対面的な膜を形成することによって、LCDバックライト回路などに使用され得る対面的な金属印刷回路基板の製造にも適する。
本発明により製造された原板400上に、最終的に形成される印刷回路のパターンは、写真工程(lithograph)、エッチング工程などの半導体製造工程によって第1薄膜451及び第2薄膜453に形成され得る。したがって、第1薄膜451及び第2薄膜453のうち、電気的な導線またはパッドを形成しない部分は除去され、図10に示すように電気導線のパターンが形成された金属印刷回路基板が形成されるのである。
上述した本発明の好ましい実施の形態は、例示の目的のために開示されたものであり、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で、様々な置換、変形、及び変更が可能であり、このような置換、変更などは、特許請求の範囲に属するものである。
400 金属印刷回路基板の原板
410 金属基板
430 絶縁層
450 電気伝導層
451 第1薄膜
453 第2薄膜
600 スパッタ
610 チャンバ
630 第1蒸着源
631 第1ターゲット
633 直流電源装置
635 マグネトロン
650 第2蒸着源
651 第2ターゲット
653 直流パルス電源装置 (または交流電源装置)
655 マグネトロン

Claims (13)

  1. 印刷回路基板の裏面に放熱のための金属基板が形成された金属印刷回路基板における原板の製造方法であって、
    金属基板を備えるステップと、
    前記金属基板上に物理気相蒸着のためのスパッタリング方法により絶縁層を形成するステップと、
    前記絶縁層上にスパッタリング方法により伝導性金属からなり、圧縮残留応力を有する第1薄膜を蒸着するステップと、
    前記第1薄膜上にスパッタリング方法により伝導性金属からなり、引張残留応力を有する第2薄膜を蒸着するステップと、
    前記第1薄膜及び第2薄膜を蒸着するステップを繰り返し、全体の残留応力が予め設定された範囲内で制御された厚膜の電気伝導層を蒸着するステップと、
    を含むことを特徴とする金属印刷回路基板における原板の製造方法。
  2. 印刷回路基板の裏面に放熱のための金属基板が形成された金属印刷回路基板における原板の製造方法であって、
    金属基板を備えるステップと、
    前記金属基板上に物理気相蒸着のためのスパッタリング方法により絶縁層を形成するステップと、
    前記絶縁層上にスパッタリング方法により伝導性金属からなり、引張残留応力を有する第2薄膜を蒸着するステップと、
    前記第2薄膜上にスパッタリング方法により伝導性金属からなり、圧縮残留応力を有する第1薄膜を蒸着するステップと、
    前記第2薄膜及び第1薄膜を蒸着するステップを繰り返し、全体の残留応力が予め設定された範囲内で制御された厚膜の電気伝導層を蒸着するステップと、
    を含むことを特徴とする金属印刷回路基板における原板の製造方法。
  3. 前記絶縁層が、熱の伝達特性及び電気的な絶縁特性に優れた低誘電率の物質である酸化物、窒化物、ダイヤモンドライクカーボン(DLC:Diamond−Like Carbon)、または炭化物の中から選択された少なくとも1つの物質の単一膜または多層膜から形成され、前記基板及び電気伝導層と化学的に結合することを特徴とする請求項1または2に記載の金属印刷回路基板における原板の製造方法。
  4. 前記第1薄膜及び第2薄膜が、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、タングステン(W)、またはニッケルクロム(NiCr)の中から選択されたいずれか1つであるか、その合金であることを特徴とする請求項1または2に記載の金属印刷回路基板における原板の製造方法。
  5. 前記第1薄膜が、−10GPaないし−0.0001GPaの圧縮応力の範囲内で形成され、
    前記第2薄膜が、0.0001GPaないし10GPaの引張応力の範囲内で形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の金属印刷回路基板における原板の製造方法。
  6. 前記第1薄膜を蒸着するステップは、前記第1薄膜が前記圧縮応力の範囲を有するよう、スパッタリングのためのプラズマを直流電源を用いて生成することを特徴とする請求項5に記載の金属印刷回路基板における原板の製造方法。
  7. 前記プラズマによりスパッタリングされた粒子のエネルギーが、5eV以下になるよう前記直流電源が制御されることを特徴とする請求項6に記載の金属印刷回路基板における原板の製造方法。
  8. 前記第2薄膜を蒸着するステップは、前記第2薄膜が前記引張応力の範囲を有するよう、スパッタリングのためのプラズマを直流パルス電源または交流電源を用いて生成することを特徴とする請求項5に記載の金属印刷回路基板における原板の製造方法。
  9. 前記プラズマによりスパッタリングされた粒子のエネルギーが、5eV以上、100eV以下になるよう、前記直流パルス電源または交流電源が制御されることを特徴とする請求項8に記載の金属印刷回路基板における原板の製造方法。
  10. 金属基板と、
    該金属基板上に物理気相蒸着された絶縁層と、
    該絶縁層上に物理気相蒸着された電気伝導層と、を備え、
    該電気伝導層が、
    物理気相蒸着されて圧縮残留応力を有する伝導性金属の第1薄膜と、物理気相蒸着されて引張残留応力を有する伝導性金属の第2薄膜とが交番に繰り返して蒸着されたものであることを特徴とする金属印刷回路基板の原板。
  11. 前記絶縁層が、
    熱の伝達特性及び電気的な絶縁特性に優れた低誘電率の物質である酸化物、窒化物、ダイヤモンドライクカーボン、または炭化物の中から選択された少なくとも1つの物質の単一膜または多層膜から形成され、前記基板及び電気伝導層と化学的に結合したものであることを特徴とする請求項10に記載の金属印刷回路基板の原板。
  12. 前記第1薄膜及び第2薄膜が、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、タングステン(W)、またはニッケルクロム(NiCr)の中から選択されたいずれか1つであるか、その合金であることを特徴とする請求項10に記載の金属印刷回路基板の原板。
  13. 前記第1薄膜が、−10GPaないし−0.0001GPaの圧縮応力の範囲内で形成され、
    前記第2薄膜が、0.0001GPaないし10GPaの引張応力の範囲内で形成されることを特徴とする請求項10に記載の金属印刷回路基板の原板。
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