JP4813401B2 - 成形装置及び該成形装置を用いた成形方法 - Google Patents
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図4は、従来のバンパ芯材(1)の斜視図である。バンパ芯材(1)は取り付けられるべき車体の形状に合わせて、長手方向が車体の幅に対応して円弧状に形成される。また、バンパ芯材(1)はバンパの形状に応じて、前面が、丸みを帯びた形状に形成されることが多い。バンパ芯材(1)は長手方向の中央部が突出しているから、該中央部に衝突等の衝撃が加わりやすい。従って、該中央部には、高い強度が要求される。一方、バンパ芯材(1)の長手方向の両端部は、中央部に比して衝撃が加わることが少ないと考えられ、低い強度でも良い。
そこで、バンパ芯材(1)の長手方向の中央部を、高い強度、即ち密度の高い樹脂にて形成し、両端部を密度の低い樹脂にて形成することが提案されている。バンパ芯材(1)の長手方向の中央部が、粒径の小さな発泡樹脂ビーズからなる密度の高い高強度部(11)であり、長手方向の両端部が、粒径の大きな発泡樹脂ビーズからなる密度の低い低強度部(12)(12)である。これにより、バンパ芯材(1)の重量を軽くするとともに、コスト上昇を防いでいる。
金型(3)は周知の如く、固定型(4)と移動型(5)を合わせて構成される。移動型(5)はスライド機構(図示せず)によって、固定型(4)に対して横向きに接近離間する。固定型(4)には発泡樹脂材のビーズを注入するフィーダ(42)(42)(42)が設けられている。
固定型(4)内にて凹型(43)の外側、移動型(5)内にて凸型(52)の外側には、加熱蒸気が導入される加熱室(45)(53)が夫々形成され、該加熱蒸気によってキャビティ(30)内の発泡樹脂ビーズが発泡・融着する。
キャビティ(30)は、キャビティ(30)内に出没する仕切板(31)(31)によって複数の空間S1、S2に分割され、空間S1が粒径の小さな発泡樹脂ビーズから構成される高強度部(11)、空間S2が粒径の大きな発泡樹脂ビーズから構成される低強度部(12)となる。前記フィーダ(42)(42)(42)は、空間S1、S2に応じて配備される。仕切板(31)は金属製の平板であって、その厚みは粒径の小さな方の発泡樹脂ビーズの粒径よりも薄く、シリンダ機構(39)に連繋しており、固定型(4)に開設された第1スリット(46)、及び凹型(43)に開設された第2スリット(44)(図7参照)を通って、キャビティ(30)内に出没する。
図8は、このときの図6のF部の拡大図であり、粒径の大きな発泡樹脂ビーズ(6)と粒径の小さな方の発泡樹脂ビーズ(60)の境界面を示す。図8では、充填したビーズ(6)(60)が第2スリット(44)に向けて流れ出るようにも見える。しかし、仕切板(31)の厚み及び第2スリット(44)の幅は粒径の小さな方の発泡樹脂ビーズ(60)の粒径よりも薄く設けられているから、第2スリット(44)に向けてビーズ(6)(60)が突出する量は殆ど無い。
シリンダ機構(39)によって、仕切板(31)がキャビティ(30)から抜かれると、加熱冷却室(45)(53)に加熱蒸気が導入される。凹型(43)及び凸型(52)を加熱して、空間S1、S2内の発泡樹脂ビーズを更に発泡させて、且つ融着させる。高強度部(11)と低強度部(12)(12)とが一体となったバンパ芯材(1)が形成される。
両型(43)(52)の冷却後に、移動型(5)が後退して離型する。このようにして、バンパ芯材(1)を得る。
また、かかる成形装置に於いては、加熱冷却室(45)に加熱蒸気を導入して、キャビティ(30)内の樹脂ビーズを加熱するが、この加熱蒸気が第1スリット(46)から噴出する。加熱蒸気は高圧であるから、加熱蒸気の噴出音が大きく、騒音となる。
本発明の目的は、クラッキング時に異種材料、具体的には粒径の異なるビーズが混じ合わない成形装置を提供することにある。また、加熱蒸気の噴出音による騒音防止も目的とする。
また、シリンダ機構(39)が設けられた方の型には、加熱蒸気が導入される加熱室(45)が設けられ、該加熱室(45)の側壁にはシリンダ機構(39)によって出没される仕切板(31)が通過するスリット(46)が開設され、該加熱室(45)の外側には、該スリット(46)に被さるカバー体(9)が取り付けられる。
型締め後、固定型(4)と移動型(5)を僅かに離したクラッキング時には、バネ機構(8)により仕切板(31)は第1の位置よりも先端部が更に押された第2の位置に達し、キャビティ(30)内を仕切った状態を保つ。
これにより、クラッキング時にも、キャビティ(30)内は仕切板(31)によって隙間無く仕切られ、異種材料、例えば発泡樹脂ビーズは混じり合わない。
2.加熱室(45)の側壁には開設された仕切板(31)通過用のスリット(46)には、カバー体(9)が被さる。スリット(46)から噴出する加熱蒸気の噴出音は、カバー体(9)内に籠もる。これにより、加熱蒸気の噴出音による騒音を緩和することができる。
図1は、本例の成形装置(7)の断面平面図であり、図2は図1の成形装置(7)をH方向から見た拡大図である。成形装置(7)の全体構造は、図6に示す従来のものに近似しているが、シリンダ機構(39)と仕切板(31)の間にバネ機構(8)を設けた点、及び仕切板(31)が通過する第1スリット(46)にカバー体(9)が被さる点が従来とは異なる。
図1に示すように、固定型(4)上にて、加熱室(45)の側壁(45a)には、従来と同様に、仕切板(31)が通過する第1スリット(46)が開設され、仕切板(31)の基端部はシリンダ機構(39)に繋がる。シリンダ機構(39)により、仕切板(31)は往復動し、キャビティ(30)内を出没する。
隔離板(92)と加熱室(45)の側壁(45a)との間の正面と背面は、塞ぎ板(93)にて塞がれ、隔離板(92)とフレーム(90)の上面と下面、塞ぎ板(93)にて第1スリット(46)に被さるカバー体(9)を構成する。
前記の如く、第1スリット(46)からは加熱蒸気が噴出するが、この噴出音が大きく騒音となる。従って、第1スリット(46)にカバー体(9)を被せて、騒音がそのまま外に漏れることを防いでいる。尚、塞ぎ板(93)がフレーム(90)の正面と背面開口の一部である隔離板(92)と加熱室(45)の側壁(45a)との間だけを覆っている理由は後記する。
このパッキング(96)に大量の蒸気が、直接当たると腐食して劣化しやすくなる。そこで、パッキング(96)と加熱室(45)の側壁(45a)との間に、隔離板(92)を設けて大量の蒸気がパッキング(96)に直接当たることを防いでいる。
ガイドピン(82)は第1板材(80)側の端部に、抜止め用の鍔(83)を具え、該鍔(83)によって第1板材(80)がガイドピン(82)から外れることを防止する。
以下に、図3(a)、(b)、(c)を用いて、バネ機構(8)の動作を説明する。
充填時
発泡樹脂ビーズをキャビティ(30)内に充填する際には、図3(a)に示すように、シリンダ機構(39)のピストン(38)によって、仕切板(31)がキャビティ(30)に挿入される。ピストン(38)は圧縮バネ(84)の付勢力に抗して、第1板材(80)を押し、鍔(83)が第1板材(80)から離れる。圧縮バネ(84)の付勢力によって、仕切板(31)の先端部は凸型(52)の先端面に圧接される。発泡樹脂ビーズの充填時に、粒径の異なるビーズが混じり合う虞れはない。このときの仕切板(31)の位置を第1の位置とする。
クラッキング時には、前記の如く、凸型(52)が距離L1だけ固定型(4)から離れる。図3(b)に示すように、仕切板(31)は圧縮バネ(84)に押されて、凸型(52)に向けて移動し、先端部が凸型(52)の先端面に接した状態を保つ。換言すれば、仕切板(31)は第1の位置よりも先端部が移動型(5)に向けて押されており、このときの仕切板(31)の位置を第2の位置とする。
即ち、クラッキング動作時にも、仕切板(31)の先端部と凸型(52)との間に隙間はできず、仕切板(31)にて隔てられた粒径の異なるビーズが混じり合う虞れはない。
仕切板の脱出時
成形後は、図3(c)に示すように、シリンダ機構(39)のピストン(38)が引き込まれる。ピストン(38)に繋がった第1板材(80)は鍔(83)に接してガイドピン(82)を引き込む。ガイドピン(82)の先端部は第2板材(81)に螺合しているから、第2板材(81)が引き込まれ、仕切板(31)がキャビティ(30)から抜かれる。
凹型(43)及び凸型(52)が加熱されて、発泡樹脂ビーズを更に発泡させて、且つ融着させ、成形品が形成される。
再び、キャビティ(30)内に発泡樹脂ビーズを充填する場合は、ピストン(38)を移動型(5)に向けて押す。仕切板(31)の先端部が凸型(52)に接してからも尚、ピストン(38)は第1板材(80)を押す。ガイドピン(82)の鍔(83)が第1板材(80)から離れ、圧縮バネ(84)の付勢力によって、仕切板(31)は先端部が凸型(52)の先端面に接する第1の位置に達する。
1.固定型(4)と移動型(5)の型締め時には、バネ機構(8)により、仕切板(31)は第1の位置に達して、先端部が移動型(5)に接し、キャビティ(30)内を仕切る。
固定型(4)と移動型(5)を僅かに離したクラッキング時には、バネ機構(8)により仕切板(31)は第1の位置よりも先端部が更に移動型(5)に押された第2の位置に達し、キャビティ(30)内を仕切った状態を保つ。
これにより、クラッキング時にも、キャビティ(30)内は仕切板(31)によって隙間無く仕切られ、異種材料、例えば発泡樹脂ビーズは混じり合わない。
2.加熱室(45)の側壁には開設された仕切板(31)通過用のスリット(46)には、カバー体(9)が被さる。スリット(46)から噴出する加熱蒸気の噴出音は、カバー体(9)内に籠もる。これにより、加熱蒸気の噴出音による騒音を緩和することができる。
また、仕切板(31)は固定型(4)側から出没するとしたが、移動型(5)側から出没してもよい。従って、シリンダ機構(39)も移動型(5)上に設けられてもよく、この場合、仕切板(31)の先端部は固定型(4)の凹型(43)に接する。更に、移動型(5)は横向きに移動するとしたが、上下に移動してもよい。
(5) 移動型
(8) バネ機構
(9) カバー体
(30) キャビティ
(31) 仕切板
(39) シリンダ機構
(45) 加熱室
(46) 第1スリット
Claims (4)
- 固定型と移動型の間に、樹脂材料が充填されるキャビティを設け、該キャビティ内に、複数の仕切板を出没可能に設け、固定型と移動型の何れか一方に仕切板を出没させるシリンダ機構を設け、仕切板にて仕切られるキャビティ内の隣り合った空間に、互いに異種の樹脂材料を充填して成形する成形装置であって、
仕切板とシリンダ機構の間には、仕切板をキャビティに向けて付勢するバネ機構が設けられ、
仕切板は、固定型と移動型の型締め時に、該バネ機構の圧縮により、先端部が固定型又は移動型に押圧力を持って接する第1の位置と、
型締め後、固定型と移動型を僅かに離した際に、バネ機構により第1の位置よりも先端部が更に押された第2の位置の間を往復動可能に設けられたことを特徴とする成形装置。 - バネ機構は、シリンダ機構のピストンに接する第1板材と、仕切板の基端部に繋がった第2板材と、両板材の間に介挿されたバネ部材とを具える、請求項1に記載の成形装置。
- 固定型又は移動型の何れか一方にて、シリンダ機構が設けられた方の型には、加熱蒸気が導入される加熱室が設けられ、該加熱室の側壁にはシリンダ機構によって出没される仕切板が通過するスリットが開設され、該加熱室の外側には、該スリットに被さるカバー体が取り付けられる、請求項1又は2に記載の成形装置。
- 固定型と移動型の間に、樹脂材料が充填されるキャビティを設け、該キャビティ内に、複数の仕切板を出没可能に設け、固定型と移動型の何れか一方に仕切板を出没させるシリンダ機構を設け、仕切板にて仕切られるキャビティ内の隣り合った空間に、互いに異種の樹脂材料を充填して成形する成形方法であって、
仕切板とシリンダ機構の間には、仕切板をキャビティに向けて付勢するバネ機構が設けられた成形装置を用い、
固定型と移動型を型締めして、バネ機構の圧縮により、仕切板を、先端部が固定型又は移動型に押圧力を持って接する第1の位置に到達させる工程と、
型締め後、固定型と移動型を僅かに離し、バネ機構により、仕切板を、第1の位置よりも先端部が更に押された第2の位置に到達させる工程と、
仕切板をキャビティから抜き出す工程を有する成形方法。
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