JP4812691B2 - 埋設パイプラインのカソード防食状況計測評価装置及び計測評価方法 - Google Patents

埋設パイプラインのカソード防食状況計測評価装置及び計測評価方法 Download PDF

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本発明は、カソード防食された埋設パイプラインに対して、カソード防食状況を計測評価する方法及び装置に関するものである。
埋設された鋼製パイプラインの腐食防止対策として、鋼製パイプラインに塗覆装を施し、それに加えてカソード防食を行うことが最も確実であることが認められている。この際、塗覆装の経年変化や埋設状況の変化、或いは直流迷走電流及び/又は交流迷走電流の発生原因となる周辺環境変化などに対応すべく、定期的にカソード防食状況を計測・評価することがパイプラインの健全性維持のために不可欠である。
カソード防食基準は、金属の腐食速度を維持管理上問題とならない0.01mm/year未満にするもので、ISO国際基準としては、分極電位を指標としたものと、最小100mVカソード分極を指標としたものがある。
分極電位を指標としたカソード防食基準によると、計測された分極電位が防食電位以下であるか否かでカソード防食状況の良否を評価する。ISO国際基準(下記非特許文献1参照)では、通常の埋設環境において、防食電位Epは−850mVCSE(飽和硫酸銅電極CSE電位基準)と定められており、分極電位が防食電位以下であればカソード防食状況は良好と判定している。分極電位の実際上の計測方法としては、a)オン電位計測、b)インスタントオフ電位計測、c)プローブ(クーポン)インスタントオフ電位計測の3つが挙げられている(「プローブ」と「クーポン」は同義語である)。
一方、最小100mVカソード分極を指標としたカソード防食基準は、埋設パイプラインが腐食電位を示す状態において、すべてのカソード防食システムの電源オンによってパイプラインへ防食電流を印加し、その印加後のカソード分極を計測して、計測されたカソード分極量が100mV以上であればカソード防食基準に合格であると判定する。
分極電位を指標としたカソード防食基準は、新設された構造物に対して適用されるが、最小100mVカソード分極を指標としたカソード防食基準は、経年化によって塗覆装が劣化した構造物又は裸の構造物に対して適用される。実際上、後者の基準は、歴青質塗覆装パイプライン又は裸管を対象にして、全てのカソード防食システムをオフにすることができる状況下で適用される。
ISO 15589-1:International Standard,Part1:On-land Pipeline ,First Edition(2003)
最小100mVカソード分極を指標としたカソード防食基準は、通常の埋設状況における防食電流の効果を評価するものであるため、特に、下記a)〜f)のケースにおいては適用してはならないとされている。
a)高温で操業するパイプライン、b)硫酸塩還元菌が生息する土壌に埋設されたパイプライン、c)干渉電流が存在する環境に埋設されたパイプライン、d)ボンド電流が存在する配管系、e)地電流が存在する環境に埋設されたパイプライン、f)複合金属と接続されているか、又は複合金属からなるパイプライン。
しかしながら、このカソード防食基準を採用する際の計測手段としては、従来、パイプラインの対地電位の時間変化をカソード防食電流のオン・オフに合わせて計測しているにすぎず、その計測時の状況が如何なる状況下であるかを把握できない問題があった。特に、前述した、b),c),e)のようなケースは、計測環境の外観やパイプラインの敷設状況の把握からは判断できないことが多く、実際の計測結果がカソード防食基準を適用できる状況下におかれたパイプラインから計測されたものであるか否かを判断できない問題があった。
本発明は、このような事情に対処するために提案されたものであって、歴青質塗覆装パイプライン或いは裸管を対象にしたカソード防食状況の計測評価を適正な状況の下で行うことができること等が本発明の目的である。
このような目的を達成するために、本発明は、カソード防食された埋設パイプラインに対して、カソード防食状況を計測評価する装置であって、前記埋設パイプラインの管対地電位を計測する管対地電位計測手段と、前記埋設パイプラインに作用するカソード防食電流源を、全てオフした状態からオンした後、設定時間経過後に再びオフするタイミングに合わせて、前記管対地電位計測手段で計測された計測値を演算処理する演算処理手段とを備え、前記演算処理手段は、前記計測値を単位計測時間毎に平均処理して、時系列毎の評価値を抽出する評価値抽出手段、前記評価値に基づいて、カソード分極基準によるカソード防食状況の評価が適正であるか否かを判断する評価適正判断手段、前記評価適正判断手段の判断結果が適正である場合に、前記評価値から求めたカソード分極量をカソード分極基準と照査するカソード防食状況評価手段、を備えることを特徴とする。
また、カソード防食された埋設パイプラインに対して、カソード防食状況を計測評価する方法であって、前記埋設パイプラインの管対地電位を計測する管対地電位計測工程と、前記埋設パイプラインに作用するカソード防食電流源を、全てオフした状態からオンした後、設定時間経過後に再びオフするタイミングに合わせて、前記管対地電位計測工程で計測された計測値を演算処理する演算処理工程とを有し、前記演算処理工程は、前記計測値を単位計測時間毎に平均処理して、時系列毎の評価値を抽出する評価値抽出工程、前記評価値に基づいて、カソード分極基準によるカソード防食状況の評価が適正であるか否かを判断する評価適正判断工程、前記評価適正判断工程の判断結果が適正である場合に、前記評価値から求めたカソード分極量をカソード分極基準と照査するカソード防食状況評価工程、を有することを特徴とする。
このような特徴の本発明によると、カソード防食された埋設パイプラインに対して、カソード防食状況を計測評価するに際して、最小100mVカソード分極を指標としたカソード防食基準を適用した計測評価を、適正な状況下で行われているか否かの判断を踏まえて実行することができるので、信頼性の高い評価結果を得ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る埋設パイプラインのカソード防食状況計測評価装置を説明する概念図である。ここで計測評価対象となるパイプラインPは、カソード防食電流が全てオフになった状態で腐食電位を示すものであり、歴青質塗覆装パイプライン或いは裸管が対象となる。このパイプラインPには、例えば、外部電源カソード防食システム1等のカソード防食電流源が接続されており、外部電極1A等からカソード防食電流がパイプラインPに供給される状況になっている。この外部電源カソード防食システム1は、スイッチSによってパイプラインPとの接続が遮断できるようになっており、パイプラインPに作用するカソード防食電流源を全てオン・オフすることができるようになっている。
また、パイプラインPの管対地電位を計測するために、パイプラインPは電圧計2を介して地表面に設置された照合電極3(例えば、飽和硫酸銅電極)に接続されている。
そして、カソード防食状況計測評価装置10は、電圧計2からの計測値をサンプリングしてパイプラインPの管対地電位を計測する管対地電位計測手段11と、管対地電位計測手段11で計測された計測値を演算処理する演算処理手段12を備えている。
管対地電位計測手段11は、電圧計2からの計測値を設定されたサンプリング間隔(例えば、0.1msec)でサンプリングして、演算処理手段12に出力するものである。カソード防食状況計測評価装置10の作動(計測開始)と同時に、計測値のサンプリングを常時行うか、或いは演算処理手段からの信号に応じて設定された計測期間内で計測値のサンプリングを行う。
演算処理手段12は、パイプラインPに作用するカソード防食電流源を、全てオフした状態からオンした後、設定時間経過後に再びオフするタイミングに合わせて、管対地電位計測手段11で計測された計測値を演算処理する。このために、スイッチSによってカソード防食電流源(例えば、外部電源カソード防食システム1)をオン・オフするタイミング信号が演算処理手段12に入力されるようにしているか、或いは、演算処理手段12からの出力信号によってスイッチSのオン・オフ動作を行うことができるようにしている。
また、演算処理手段12がカソード防食電流源のオン・オフ動作との連携を取っていない場合には、カソード防食電流源のオン・オフ動作タイミングを独立して記憶手段に記憶させ、それと同時に管対地電位計測手段11が常時サンプリングを行った計測値データを全て記憶手段に記憶させておく。そして、記憶手段に記憶させたカソード防食電流源のオン・オフ動作タイミングに同期させて、記憶手段に記憶させた計測値データの演算処理を行う。
演算処理手段12は、評価値抽出手段13、評価適正判断手段14、カソード防食状況評価手段15の各機能を有しており、管対地電位計測手段11によって実行される管対地電位計測工程に引き続いて行われる演算処理工程では、評価値抽出工程、評価適正判断工程、カソード防食状況評価工程が実行されることになる。
評価値抽出手段13(評価値抽出工程)は、管対地電位計測手段11で計測された計測値を単位計測時間毎に平均処理して、時系列毎の評価値を抽出する。図2は、本発明の実施形態における評価値抽出手段13或いは評価値抽出工程の具体例を説明するための説明図である。
この例では、0.1msecのサンプリング間隔で計測される計測値に対して、20msec毎の単位計測時間を設定しており、更に20msecの単位計測時間が25個連なった0.5sec毎の単位計測時間(区切り時間)を設定している。計測開始は、パイプラインPに作用する全てのカソード防食電流源をオフした状態で行われ、計測開始から0.5sec経過した時点でカソード防食電流源をオンにし、その後設定時間(ここでは8.5sec)経過後に再びパイプラインPに作用する全てのカソード防食電流源をオフにする。更に、その後設定時間(ここでは1.5sec)経過後に再びカソード防食電流源をオンし、以後同様のオン・オフタイミングを所定回数(例えば、3回)繰り返す。この例では、カソード防食電流源をオンしてから次に再びカソード防食電流源をオンするまでの1サイクルを10secに設定している。
そして、評価値抽出手段13は、20msecの単位計測時間毎に200個の計測値を平均処理して単位計測時間毎の平均値を求め、更に、20msecの単位計測時間が25個連なった0.5secの単位計測時間(区切り時間)毎に5000個の計測値を平均処理してこの区切り時間毎の平均値を求める。
ここで、評価値抽出手段13は、カソード防食電流源を全てオフした状態からオンするまでの間、当該オン後の安定時からカソード防食電流源全てを再びオフするまでの間、当該オフから再びカソード防食電流源をオンするまでの間で、各評価値を抽出する。具体例では、計測開始からカソード防食電流源をオンするまでの区切り時間の平均値として第1の評価値(1)が求められる。次に、カソード防食電流源オンから0.5sec後にスタートする20msecの単位計測時間の平均値として第2の評価値(2)が求められる。その後は、カソード防食電流源オンから0.5sec後にスタートする0.5secの区切り時間毎の平均値として、第3の評価値(3)〜第18の評価値(18)が求められる。更に、計測開始から9.0sec後に動作するカソード防食電流源オフから0.5sec後にスタートする20msecの単位計測時間の平均値として第19の評価値(19)が求められ、カソード防食電流源オフから0.5sec後にスタートする0.5secの区切り時間毎の平均値として、第20の評価値(20)〜第21の評価値(21)が求められる。
すなわち、この例では、計測開始から10secの第1サイクルが終了する時点で合計21個の評価値(1)〜(21)が抽出され、その後、第2サイクルが終了する時点で評価値(22)〜(41)、第3サイクルが終了する時点で評価値(42)〜(61)が抽出されることになる。この際、評価値の抽出タイミングとしては、評価値(1)〜(20)と評価値(21)〜(40)と評価値(41)〜(60)がカソード防食電流源のオン・オフタイミングからみて同等のタイミングで抽出されることになるので、以後の説明では、評価値(21)〜(40)或いは評価値(41)〜(60)を評価値(1)〜(20)に代えて説明する。
パイプラインPのカソード防食電流源が外部電源方式によりなされている場合には、変圧器・整流器のオン直後とオフ直後にスパイクが発生することがあるので、この例では、カソード防食電流源のオン時とオフ時(変圧器・整流器のオン時とオフ時)から0.5secの期間における計測値は評価値に反映しないようにしている。スパイクはパイプラインのカソード分極現象或いは復極現象とは無関係に起きるので、スパイクを評価値に含めると誤評価を生じることになるが、本発明の実施形態では、このような誤評価を排除して適正な評価値を抽出することができる。よって、精度の高いカソード防食状況の計測評価が可能になる。
次に、評価適正判断手段14(評価適正判断工程)について説明する。評価適正判断手段14(評価適正判断工程)は、評価値抽出手段13によって抽出された評価値に基づいて、カソード分極基準によるカソード防食状況の評価が適正であるか否かを判断する。
最小100mVカソード分極を指標としたカソード防食基準が採用できる状況としては、前述したように、a)高温で操業するパイプライン、b)硫酸塩還元菌が生息する土壌に埋設されたパイプライン、c)干渉電流が存在する環境に埋設されたパイプライン、d)ボンド電流が存在する配管系、e)地電流が存在する環境に埋設されたパイプライン、f)複合金属と接続されているか、又は複合金属からなるパイプライン、のいずれでもないことが条件となるが、前述したb),c),e)の条件に該当するか否かは計測結果からしか判断できないことが多い。本発明の実施形態では、計測値から求めた評価値を利用することで、客観的に評価適正の判断を行うことができる。
図3は、本発明の実施形態における評価適正判断手段14或いは評価適正判断工程を説明するための説明図である。評価適正判断が開始されると、先ずSTEP1で、カソード防食電流源を全てオフした状態からオンするまでの間で抽出された評価値(1)を腐食電位の基準値(−650mVCSE(飽和硫酸銅電極CSE電位基準))と比較して、評価値(1)が腐食電位の基準値(−650mVCSE)以上でない場合に不適正と判断する。
最小100mVカソード分極基準は、腐食電位が−650mVCSE以上のパイプラインに適用される。腐食電位は、プラスの値を示す土壌ほど、土壌抵抗率が高くなり、好気性であることが明らかにされている。腐食電位が−650mVCSE以上の土壌は、好気性のシルトから砂であるから、硫酸塩還元菌の活性は低く、この微生物の腐食・防食に及ぼす影響は低いものと判断されている。STEP1で不適正と判断された場合には、最小100mVカソード分極基準は適用できないので、以後の計測評価は行わない。
ステップ1で適正(YES)と判断された場合にはSTEP2の判断を行う。STEP2では、カソード防食電流源をオン後の安定時からカソード防食電流源全てを再びオフするまでの間で抽出された評価値(2)〜(18)を、時系列順に比較して、後の評価値(n+1)が先の評価値(n)以上の場合に不適正と判断する。
カソード防食電流源を安定的にオンしている状況下では、干渉電流が存在しない、地電流が存在しない、といった条件下で、カソード分極現象が発生していれば、パイプラインPの管対地電位は時間経過と共に徐々に低下することになる。したがって、評価値(2)から(18)において、評価値(n+1)≧評価値(n)の場合、当該パイプラインPは、カソード分極現象が発生していない、或いは干渉電流や地電流の影響を受けているとして不適正と判断することができる。STEP2で不適正と判断された場合には、最小100mVカソード分極基準は適用できないので、以後の計測評価は行わない。
ステップ1,2で適正(YES)と判断された場合にはSTEP3の判断を行う。STEP3では、カソード防食電流源をオンした後に再びオフする直前に抽出された評価値(18)を求めるための計測値波形から交流腐食リスクがあると認められる場合に不適正と判断する。
評価値(18)を求めるための0.5sec区切り時間内には20msecの単位計測時間が25個存在するが、この25個の単位計測時間毎の計測値波形(200個の計測値データからなる波形)からパイプラインPに交流干渉リスクが有るか否かを判断する。具体的には、計測値波形が商用周波数(例えば50Hz)の正弦波を示すか否かを判定し、示す場合には単位計測時間毎に交流管対地電位ACPSを求め、その最大値が3.0V以上であれば、パイプラインPに交流腐食リスクがあるとして不適正と判断する。STEP3で不適正と判断された場合には、最小100mVカソード分極基準は適用できないので、以後の計測評価は行わない。
ステップ1〜3で適正(YES)と判断された場合には、カソード防食状況評価工程に移行する(STEP4)。
次に、カソード防食状況評価手段15(カソード防食状況評価工程)について説明する。カソード防食状況評価手段15(カソード防食状況評価工程)は、評価適正判断手段14の判断結果が適正である場合に、評価値から求めたカソード分極量をカソード分極基準と照査する。具体的には、計測時間内で求めたカソード分極量の最小値が100mV以上であれば、基準に合格していると評価する。
ここで先ず、この100mVカソード分極基準の技術的な意味を説明する。電気化学分野において、アノード電流密度Iは、下記式(1)で表されることが知られている。
Figure 0004812691
アノード電流密度Iは、腐食速度に相当する。100mVカソード分極であると、ΔEは−100mV、また、アノードターフェル勾配bは約100mVであるので、式(1)のΔEに100、bに100を代入すると、I(−100mV)=Icorr/10となる(I(−100mV)は、100mVカソード分極時のアノード電流密度)。この式から明らかなように、100mVカソード分極によって、分極前の自然腐食速度であるIcorrの1/10になることが分かる。したがって、100mVカソード分極は、自然腐食速度を1桁小さくする腐食防止効果があることを技術的に意味している。
図4は、本発明の実施形態におけるカソード防食状況評価手段15或いはカソード防食状況評価工程の具体例を示す説明図である。カソード防食状況評価工程は、カソード分極量を求める工程S1と求めたカソード分極量を基準値と照査する工程S2からなる。カソード分極量を求める工程S1では、図2で示した具体的な評価値抽出工程では、下記式(2)によってカソード分極量を求めることができる。
Figure 0004812691
すなわち、カソード防食電流源全てをオンした後の安定時の管対地電位を評価値(2)で求め、カソード防食電流源全てを再びオフする直前の管対地電位を評価値(18)で求めて、その電位差からカソード分極量を求める。
図5は、カソード防食電流源のオン・オフタイミングに伴うパイプラインの管対地電位変化(カソード分極と復極挙動)と評価値との関係を表す説明図である(同図(a)がカソード防食電流源のオン・オフタイミング、同図(b)がパイプラインの管対地電位変化(カソード分極と復極挙動)、同図(c)が評価値の時系列変化をそれぞれ表している)。
カソード防食電流源のオン・オフタイミングに伴うパイプラインの管対地電位変化は、同図(b)に示すように、カソード防食電流源を全てオフした状態が腐食電位になり、この状態からオンした直後、或いはカソード防食電流源をオンした状態からオフした直後にIRドロップが現れる。IRドロップとは、カソード防食電流Iと土壌抵抗Rの積からなる電位差であり、IRドロップを除いた管対地電位の変化がカソード分極・復極挙動になる。
したがって、計測開始からカソード防食電流源をオンするまでの区切り時間(0.5sec)で計測された管対地電位の計測値を平均処理した評価値(1)とカソード防食電流源をオンしてから0.5sec後にスタートする単位計測時間20msecで計測された管対地電位の計測値を平均処理した評価値(2)との差、或いは、カソード防食電流源を再びオフする前の区切り時間(0.5sec)で計測された管対地電位の計測値を平均処理した評価値(18)とカソード防食電流源をオフしてから0.5sec後にスタートする単位計測時間20msecで計測された管対地電位の計測値を平均処理した評価値(19)の差がIRドロップになり、IRドロップが生じた後の評価値(2)と十分なオン時間(8sec)経過後の評価値(18)との差がカソード分極量になる。
特に、本基準は好気性の土壌環境で適用されることから、適正な状況下では土壌抵抗Rは高い値となる。土壌抵抗Rが高いとIRドロップは大きくなるので、これを確実に除いてカソード分極量を求めることが必要になるが、本発明の実施形態では、カソード防食電流源のオン・オフから十分な間隔を開けて評価値(2)を抽出しているので、精度の高いカソード分極量を求めることができる。
カソード防食状況評価手段15は、式(2)によってカソード分極量を求め(図4;S1)、求めたカソード分極量を基準値(100mV)と比較し(図4;S2)、カソード分極量≧100mVがNOの場合はカソード防食基準に不合格と評価し、カソード分極量≧100mVがYESの場合にはカソード防食基準に合格と判定する。複数の計測サイクルで求めたカソード分極量の最小値を求め、この最小値を基準値(100mV)と比較することで、評価の精度をより高めることができる。
このような本発明の実施形態によると、100mVカソード分極基準を適用して良いかの判断を計測値から行うことができるので、客観性の高い評価計測が可能になる。また、カソード分極自体は直流成分の電位であるが、本発明の実施形態では、単位計測時間(或いは区切り時間)で計測値を平均処理して評価値を求めているので、交流成分を除去した評価値を得ることができる。
本発明の実施形態に係る埋設パイプラインのカソード防食状況計測評価装置を説明する概念図である。 本発明の実施形態における評価値抽出手段或いは評価値抽出工程の具体例を説明するための説明図である。 本発明の実施形態における評価適正判断手段或いは評価適正判断工程を説明するための説明図である。 本発明の実施形態におけるカソード防食状況評価手段或いはカソード防食状況評価工程の具体例を示す説明図である。 カソード防食電流源のオン・オフタイミングに伴うパイプラインの管対地電位変化(カソード分極挙動と復極挙動)と評価値との関係を表す説明図である(同図(a)がカソード防食電流源のオン・オフタイミング、同図(b)がパイプラインの管対地電位変化(カソード分極挙動と復極挙動)、同図(c)が評価値の時系列変化をそれぞれ表している)。
符号の説明
1 外部電源カソード防食システム
2 電圧計
3 照合電極(飽和硫酸銅電極)
10 カソード防食状況計測評価装置
11 管対地電位計測手段
12 演算処理手段
13 評価値抽出手段
14 評価値適正判断手段
15 カソード防食状況評価手段
P パイプライン
S スイッチ

Claims (5)

  1. カソード防食された埋設パイプラインに対して、カソード防食状況を計測評価する装置であって、
    前記埋設パイプラインの管対地電位を計測する管対地電位計測手段と、
    前記埋設パイプラインに作用するカソード防食電流源を、全てオフした状態からオンした後、設定時間経過後に再びオフするタイミングに合わせて、前記管対地電位計測手段で計測された計測値を演算処理する演算処理手段とを備え、
    前記演算処理手段は、
    前記計測値を単位計測時間毎に平均処理して、時系列毎の評価値を抽出する評価値抽出手段、
    前記評価値に基づいて、カソード分極基準によるカソード防食状況の評価が適正であるか否かを判断する評価適正判断手段、
    前記評価適正判断手段の判断結果が適正である場合に、前記評価値から求めたカソード分極量をカソード分極基準と照査するカソード防食状況評価手段、
    を備えることを特徴とする埋設パイプラインのカソード防食状況計測評価装置。
  2. 前記評価適正判断手段は、前記カソード防食電流源を全てオフした状態からオンするまでの間で抽出された前記評価値を腐食電位の基準値と比較して、当該評価値が前記腐食電位の基準値以上でない場合に不適正と判断することを特徴とする請求項1に記載された埋設パイプラインのカソード防食状況計測評価装置。
  3. 前記評価適正判断手段は、前記カソード防食電流源をオン後の安定時から前記カソード防食電流源全てを再びオフするまでの間で抽出された前記評価値を、時系列順に比較して、後の評価値が先の評価値以上の場合に不適正と判断することを特徴とする請求項1または2に記載された埋設パイプラインのカソード防食状況計測評価装置。
  4. 前記評価適正判断手段は、前記カソード防食電流源をオンした後に再びオフする直前に抽出された前記評価値を求めるための計測値波形から交流腐食リスクがあると認められる場合に不適正と判断することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載された埋設パイプラインのカソード防食状況計測評価装置。
  5. カソード防食された埋設パイプラインに対して、カソード防食状況を計測評価する方法であって、
    前記埋設パイプラインの管対地電位を計測する管対地電位計測工程と、
    前記埋設パイプラインに作用するカソード防食電流源を、全てオフした状態からオンした後、設定時間経過後に再びオフするタイミングに合わせて、前記管対地電位計測工程で計測された計測値を演算処理する演算処理工程とを有し、
    前記演算処理工程は、
    前記計測値を単位計測時間毎に平均処理して、時系列毎の評価値を抽出する評価値抽出工程、
    前記評価値に基づいて、カソード分極基準によるカソード防食状況の評価が適正であるか否かを判断する評価適正判断工程、
    前記評価適正判断工程の判断結果が適正である場合に、前記評価値から求めたカソード分極量をカソード分極基準と照査するカソード防食状況評価工程、
    を有することを特徴とする埋設パイプラインのカソード防食状況計測評価方法。
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