JP4812605B2 - 圧粉コアの製造方法、ステータコアおよびモータ - Google Patents

圧粉コアの製造方法、ステータコアおよびモータ Download PDF

Info

Publication number
JP4812605B2
JP4812605B2 JP2006320512A JP2006320512A JP4812605B2 JP 4812605 B2 JP4812605 B2 JP 4812605B2 JP 2006320512 A JP2006320512 A JP 2006320512A JP 2006320512 A JP2006320512 A JP 2006320512A JP 4812605 B2 JP4812605 B2 JP 4812605B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
temperature
powder
coating
core
manufacturing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006320512A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008135560A (ja
Inventor
栄介 保科
一浩 川島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fine Sinter Co Ltd
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Fine Sinter Co Ltd
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fine Sinter Co Ltd, Toyota Motor Corp filed Critical Fine Sinter Co Ltd
Priority to JP2006320512A priority Critical patent/JP4812605B2/ja
Publication of JP2008135560A publication Critical patent/JP2008135560A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4812605B2 publication Critical patent/JP4812605B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/60Other road transportation technologies with climate change mitigation effect
    • Y02T10/64Electric machine technologies in electromobility

Landscapes

  • Soft Magnetic Materials (AREA)
  • Iron Core Of Rotating Electric Machines (AREA)

Description

本発明は、圧粉コアの製造方法と製造された圧粉コアからなるステータコア、および該ステータコアを具備するモータに係り、特に、低鉄損で高強度の圧粉コアを製造することのできる圧粉コアの製造方法と、この圧粉コアからなるステータコアおよびモータ効率とトルク性能に優れたモータに関するものである。
自動車産業においては、ハイブリッド自動車や電気自動車のさらなる走行性能の向上を目指して、駆動用モータの高性能化、軽量化、小型化への開発が日々進められている。また、家電製品メーカーにおいても、各種家電製品に内蔵されるモータのさらなる小型化、高性能化への開発に余念がない。
モータ性能を向上させるには、モータ内部で発生する各種損失を如何に低減できるかが課題である。例えば、電気入力後においては、モータを構成するコイルにおいて導体抵抗損失に起因する銅損が生じ、ロータやステータには渦電流損失やヒステリシス損失に起因する鉄損(または高周波鉄損)が生じ、これらの損失に応じてモータ効率やトルク性能が低下することとなる。
ところで、上記するステータコアを軟磁性粉末を加圧成形して得られる圧粉コアから製造する方法は一般におこなわれており、この圧粉コアにてステータコアを製作することにより、鋼板を積層してかしめ等をおこなう方法に比して工程短縮を図ることができるというメリットがある。この圧粉コアの製造方法に関する従来の技術は多岐に亘っており、例えば以下に示す特許文献1〜4を挙げることができる。
特許文献1には、酸化処理後の鉄粉とシリコン樹脂とを混合し、乾燥することによって鉄粉にシリコン樹脂による絶縁被膜を形成し、この鉄粉を高圧成形して圧縮成形体を製造する方法が開示されている。また、特許文献2には、磁性粉とシリカ系ゾルを主体とする結合剤を混合した後に加熱し、得られた磁性粉を成形してから焼結する製造方法が開示されている。また、特許文献3には、軟磁性粉末とシリコン樹脂とから圧粉コアを製造するに当たり、所望の磁気特性等を得るためにシリカゾルや有機チタン、エチルセルロースなどの添加剤を別途加える製造方法が開示されている。さらに、特許文献4には、鉄粉にシリコン樹脂を被覆し、乾燥させた後で粉末を再加熱し、加熱状態の粉末を高温の金型で成形する製造方法が開示されている。
特開平6−342714号公報 特開2001−196217号公報 特開平9−260126号公報 特開2005−133168号公報
特許文献1の製造方法では、鉄粉にシリコン樹脂を被覆する方法が混合と乾燥のみであり、そのほかの条件の開示がない。混合および乾燥のみでは樹脂によって鉄粉同士が凝集してしまい、解砕等の工程が必要となってしまい、さらには、この解砕によって樹脂が剥離するといった問題が生じる。また、特許文献2の製造方法では、結合剤にゾルを使用しているが、ゾルは一般に液体よりも流動性に乏しく、粉末表面の絶縁被膜形成時の厚みにばらつきが生じ易いという問題をもっている。また、加熱によるゲル化時の体積変動により、被膜の不均一性は否めない。この不均一な絶縁被膜は磁気特性に悪影響を与える。また、ゲル化の際の加熱工程が余分に必要となり、製造コストの高騰に繋がる。
特許文献3の製造方法では、シリコン樹脂以外にも多くの添加剤を添加することから、製造工程が極めて複雑となり、製造歩留まりの低下とそれに起因する製造コストの高騰、原材料費高に伴なう製造コストの高騰という問題を抱えている。また、この製造方法では、鉄粉とシリコン樹脂を混合した後に熱硬化処理がおこなわれるものであるが、このような製造方法では、各粉体が均一にコーティングされないことに加えて粉体同士が凝集されてしまい、この状態で熱硬化処理した場合には解砕処理をおこなう必要が生じる。この解砕処理による工程増加もさることながら、鉄粉からシリコン樹脂コーティングが剥がされてしまうという大きな問題が生じる。また、特許文献4の製造方法では、再加熱の際の温度制御、時間制御の困難性と、これらの制御が十分でない場合には鉄粉の酸化や凝集が生じるといった問題がある。なお、付言すると、当該文献における金型の昇温の目的は金型表面に塗布した潤滑油の乾燥と温間成形による高密度化のためであり、圧粉コアの強度向上を目的としたものではない。
本発明は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、低鉄損かつ高強度の圧粉コアを低コストで製造することのできる圧粉コアの製造方法と、この製造方法によって製造された圧粉コアからなるステータコアおよびモータを提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明による圧粉コアの製造方法は、軟磁性粉末とシリコン樹脂を該シリコン樹脂の縮重合開始温度よりも20〜50℃高い温度雰囲気下にて混合攪拌することによりシリコン樹脂がコーティングされた軟磁性粉末を生成する第1の工程と、シリコン樹脂がコーティングされた軟磁性粉末を所定の形状に圧縮成形することによって圧粉コアを製造する第2の工程と、からなることを特徴とするものである。
本発明の製造方法は、適宜素材の軟磁性粉末をシリコン樹脂にて絶縁コーティングし、コーティングされた軟磁性粉末を圧縮成形することにより、例えばモータ用ステータコアを製造する方法である。このシリコン樹脂は、メチル系シリコン樹脂、メチルフェニル系シリコン樹脂等を使用することができる。本発明の製造方法では、シリコン樹脂コーティング時の温度条件を使用するシリコン樹脂の縮重合開始温度よりも20〜50℃高い温度雰囲気に設定し、この温度雰囲気下にて所定時間継続して混合攪拌することにより、上記従来技術に開示するようにシリコン樹脂以外の添加剤を一切添加しなくとも、要求される所定の磁気特性や強度特性を具備する圧粉コアを製造できるものである。
メチル系シリコン樹脂の縮重合開始温度は80〜160℃程度、メチルフェニル系シリコン樹脂の縮重合開始温度は130〜250℃程度である。発明者等の実験によれば、使用されるシリコン樹脂の縮重合開始温度よりも20〜50℃高い温度雰囲気にて軟磁性粉末と該シリコン樹脂を混合攪拌することにより、圧粉コアに生じる鉄損を最小限に抑制できることが実証されている。より具体的には、鉄損を構成する渦電流損とヒステリシス損のうち、ヒステリシス損はコーティング時の温度上昇に伴なって大きくなる傾向を呈する一方で、渦電流損は低下する傾向にある。したがって、そのトータル値である鉄損が最も低減できるコーティング温度を検証した結果、最適範囲としてシリコン樹脂の縮重合開始温度よりも20〜50℃高い温度雰囲気が特定されたものである。なお、この温度雰囲気下にて軟磁性粉末とシリコン樹脂とを混合攪拌することも必須の要件であり、混合攪拌した後にこの温度雰囲気下に残置するのみでは、上記特許文献3と同様の問題が生じることとなる。
軟磁性粉末成分である金属磁性粒子としては、たとえば、鉄、鉄−シリコン系合金、鉄−窒素系合金、鉄−ニッケル系合金、鉄−炭素系合金、鉄−ホウ素系合金、鉄−コバルト系合金、鉄−リン系合金、鉄−ニッケル−コバルト系合金および鉄−アルミニウム−シリコン系合金などを用いることができる。
上記する温度雰囲気下にて十分に混合攪拌されることにより、シリコン樹脂にてコーティングされた軟磁性粉末を得ることができ、この軟磁性粉末を例えばステータコア形状のキャビティを画成する成形型内に充填して圧縮成形(プレス成形)することで所望形状の圧粉コアが製造される。
また、本発明による圧粉コアの製造方法の他の実施の形態において、前記シリコン樹脂はメチル系シリコン樹脂からなり、その縮重合開始温度が150℃であることを特徴とするものである。発明者等は、シリコン樹脂として縮重合開始温度が150℃のメチル系シリコン樹脂を使用し、コーティング時の温度条件を170〜200℃の範囲内に設定しながら鉄粉と混合攪拌することにより、鉄損を可及的に低減できる圧粉コアを成形できることを実証することができた。
ここで、上記する軟磁性粉末として扁平状の鉄粉を使用した場合には、通常の粒状、球状の鉄粉に比してその表面積が広くなるため、上記する特許文献3のように凝集してしまう製造方法の場合には、解砕処理時において鉄粉からコーティング層が剥がれる可能性がより顕著になる。本発明の製造方法によれば、扁平状の鉄粉を使用した場合においても、所定のコーティング温度条件下において軟磁性粉末とシリコン樹脂とを混合攪拌しながら加熱処理することにより、粉末同士の凝集が起きず、その結果として解砕処理工程をおこなう必要もないことからかかるコーティング層の剥がれという問題は生じ得ない。
また、本発明による圧粉コアの製造方法の好ましい実施の形態は、前記混合攪拌に要する時間が10〜40分間の範囲内に設定されていることを特徴とするものである。
発明者等によれば、鉄粉とシリコン樹脂を混合攪拌しながらコーティングする際の時間が10分未満の場合、および40分を超える場合には、ともに圧粉コアの渦電流損失が大きくなるということが実証されている。したがって、上記するコーティング時の温度条件に加えてコーティング時間を10〜40分間の範囲内に設定することにより、鉄損をより一層効果的に低減することができる。
また、本発明による圧粉コアの製造方法の好ましい実施の形態は、前記第1の工程において、シリコン樹脂のコーティング後にシリコン樹脂がコーティングされた軟磁性粉末の温度を常温まで攪拌しながらクーリングし、前記第2の工程における圧縮成形が成形型にておこなわれるようになっており、該成形型の型温度が少なくとも100℃以上であってシリコン樹脂の縮重合開始温度未満に調整されていることを特徴とするものである。
本発明の製造方法は、上記する温度条件(または、上記する温度条件および上記するコーティング時間)において生成されたコーティング済みの軟磁性粉末を成形型内にて圧縮成形するに際し、この成形型の温度を使用されるシリコン樹脂の縮重合開始温度未満でかつ100℃以上の高温雰囲気に設定しておくものである。
成形型の温度を上記温度条件としておくことにより、JIS規格(JIS Z 2507)による破壊試験に規定される圧環強度を高めることができる。シリコン樹脂が鉄粉表面に均一にコーティングされていることにより、鉄粉同士の絡み合いによる強度や樹脂による接着強度が高められる結果、この圧環強度も増加することになる。
なお、上記する縮重合開始温度が150℃である上記のメチル系シリコン樹脂を使用する場合には、成形型の温度を120〜130℃の範囲内に設定しておくのが好ましい。例えば、成形型の内壁面には鉄粉充填前に適宜の潤滑剤(例えばステアリン酸リチウムと水とからなる潤滑剤)を塗布しておき、プレス成形時に粉末が型に固着しないようにしている。成形時には型表面から潤滑剤を蒸発させておく必要があることから、成形型の温度が低すぎてもいけない。一方、成形型の温度が高すぎると成形時に鉄粉の酸化が齎されることから、メチル系シリコン樹脂を使用する場合には上記温度が最適な条件となる。
発明者等の実験によれば、成形型の温度を120〜130℃の範囲内に設定しておくことにより、コーティング時の温度が170〜200℃の場合において、従来の製造方法と比較して圧環強度を20〜60%程度高めることができるという結果が得られている。
また、本発明によるステータコアは、上記する圧粉コアの製造方法によって製造された圧粉コアからなることを特徴とするものであり、さらには、本発明によるモータは、このステータコアとロータコアとを具備することを特徴とするものである。
上記するように、本発明の製造方法によって圧粉コアを製造し、この圧粉コアをステータコアに適用することにより、該ステータコアにおける鉄損が可及的に抑制されるため、従来のモータに比してモータ効率やトルク性能の高いモータを得ることができる。
以上の説明から理解できるように、本発明の圧粉コアの製造方法によれば、軟磁性粉末とシリコン樹脂を該シリコン樹脂の縮重合開始温度よりも20〜50℃高い温度雰囲気下にて混合攪拌することにより、他の添加剤を一切混合することなく、磁気特性や強度特性に優れた圧粉コアを得ることができる。また、この圧粉コアが適用されるステータコアを具備する本発明のモータによれば、従来のモータに比してモータ効率やトルク性能の高いモータを得ることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の製造方法を説明したフロー図であり、図2は従来の製造方法と本発明の製造方法における渦電流損失と比抵抗の測定結果を示したグラフであり、図3はメチル系シリコン樹脂のコーティング時の温度と比抵抗の関係の実験結果を示したグラフである。図4は従来のコーティング方法による扁平鉄粉表面のSEM画像写真であり、図5は本発明のコーティング方法による扁平鉄粉表面のSEM画像写真である。図6はコーティング温度と鉄損との関係の実験結果を示したグラフであり、図7は鉄粉の加熱温度と酸素増加量との関係の実験結果を示したグラフである。図8はコーティング温度と圧環強度との関係の実験結果を示したグラフであり、図9はコーティング時間とヒステリシス損失の関係の実験結果を示したグラフである。図10はコーティング時間と渦電流損失の関係の実験結果を示したグラフであり、図11は成形型温度と圧環強度との関係の実験結果を示したグラフである。
図1は、本発明の圧粉コアの製造方法の概要を説明したフロー図である。本発明の製造方法は、まず、ステップS10として、軟磁性扁平粉末とメチル系シリコン樹脂(その縮重合開始温度が150℃である)の単体もしくはメチル系シリコン樹脂を溶剤に溶かしたものを170〜200℃の温度雰囲気下にて30分間混合攪拌することにより、軟磁性扁平粉末表面にメチル系シリコン樹脂がコーティングされてなるシリコン樹脂コーティング粉末を生成する。この軟磁性扁平粉末としては、例えば、鉄、鉄−シリコン系合金、鉄−窒素系合金、鉄−ニッケル系合金、鉄−炭素系合金、鉄−ホウ素系合金、鉄−コバルト系合金、鉄−リン系合金、鉄−ニッケル−コバルト系合金および鉄−アルミニウム−シリコン系合金などからなるものである。
高温状態のシリコン樹脂コーティング粉末は継続して混合され、常温までクーリングされることで型内成形用の粉末が生成される(ステップS20)。
次に、例えばモータのステータコア形状のキャビティ空間を有する成形型を用意する。この成形型のキャビティ面に、例えばステアリン酸リチウムと水とからなる潤滑剤を塗布しておき、この成形型(のキャビティ)を120℃の温度条件に設定する。この状態で成形型内にシリコン樹脂コーティング粉末を充填して圧縮成形(プレス成形)することでステータコア形状の圧粉コアが製造される(ステップS30)。最後に、ステップS30で成形された圧縮成形体を非酸化性雰囲気内で500〜800℃の温度にて熱処理する(ステップS40)。
ステップS10におけるコーティング時の温度条件およびコーティング時間と、該温度条件下で混合攪拌を継続することで、軟磁性扁平粉末表面には均一なメチル系シリコン樹脂からなるコーティング層が形成される。また、かかるコーティング方法によって生成された粉末からなる圧粉コア(でできたステータコア)とすることで、ヒステリシス損失と渦電流損失のトータル値である鉄損を最小限に抑えることができる。さらに、ステップS30における温度条件の成形型内にてプレス成形することで粉末の圧環強度を従来の製造方法に比して2倍程度まで高めることができる。なお、図1に示す製造方法においては、コーティング時の温度条件やコーティング時間、および成形型の温度条件を制御するだけの簡易な製造方法であるため、製造歩留まりを低下させることもなく、製造コストを高騰させることもない。
[従来の製造方法と本発明の製造方法における渦電流損失と比抵抗の測定結果]
本発明者等は、軟磁性扁平粉末とメチル系シリコン樹脂とを単純に混合した後に加熱処理した従来のコーティング方法によってシリコン樹脂コーティング粉末を生成し、これをプレス成形してなる圧粉コアと、図1の製造方法による圧粉コアとでそれぞれの渦電流損失と比抵抗を測定した。その結果を図2に示している。なお、本実験で用いたメチル系シリコン樹脂としては、GE東芝シリコーン株式会社製のYR3370である。
図2より、従来の方法に比して比抵抗が格段に向上する結果となり、絶縁性が十分に確保されることが確証された。絶縁性の確保に起因して渦電流損失は従来の製造方法のものに比して1/5程度まで低減させることができた。
[メチル系シリコン樹脂のコーティング時の温度と比抵抗の関係に関する実験結果]
次に、縮重合開始温度が150℃であるメチル系シリコン樹脂のコーティング時の温度条件を変化させながら、各温度条件にて成形された圧粉コアの比抵抗を測定した。その結果を図3に示している。
図より、コーティング時の温度が170℃手前から比抵抗の値が急増し始め、220℃程度でその最大値が得られることが分かった。この実験のみからすると、220℃程度のコーティング温度条件が最適と判断できるが、後述するように、鉄損の最小値を与える温度条件は200℃程度になる。
ここで、図4,5に従来のコーティング方法による扁平鉄粉表面、および本発明のコーティング方法による扁平鉄粉表面の各SEM画像写真を示している。両図とも、鉄粉表面の黒色部分はメチル系シリコン樹脂のコーティング層であり、相対的に薄色の部分はコーティング層のない鉄粉表面である。図4より、従来のコーティング方法ではほとんどのコーティング層が剥離していることが分かる。一方、図5より、本発明のコーティング方法ではコーティング層の剥離はほとんど観察されない。
[コーティング温度と鉄損との関係に関する実験結果]
縮重合開始温度が150℃であるメチル系シリコン樹脂のコーティング時の温度条件を変化させながら、各温度条件にて成形された圧粉コアの渦電流損失とヒステリシス損失およびそれらをトータルした鉄損を求めた。その結果を図6に示しており、図中、X1は鉄損を、X2はヒステリシス損失を、X3は渦電流損失をそれぞれ示している。
図より、温度上昇に伴なって渦電流損失は減少し、150℃以上でその傾向は顕著となる。一方、ヒステリシス損失は170℃以上で上昇する傾向にある。その結果、トータルの鉄損としては200℃前後で最小値となる。
ここで、鉄粉の加熱温度と鉄粉中の酸素増加量との関係に関する実験結果を図7に示している。図より酸素増加量は170℃以上で顕著となる。酸素量がヒステリシス損失を増大させる要因であることは周知であるが、この実験結果からも図6のヒステリシス損失の傾向の妥当性が証明できる。
図6の実験結果より、縮重合開始温度が150℃であるメチル系シリコン樹脂を使用する場合には、その縮重合開始温度よりも50℃高いコーティング温度(200℃)と、ヒステリシス損失が増加する手前の温度である縮重合開始温度よりも20℃高いコーティング温度(170℃)の間の温度範囲にてコーティングをおこなうことが望ましいと結論付けることができる。
[コーティング温度と圧環強度との関係の実験結果]
次に、縮重合開始温度が150℃であるメチル系シリコン樹脂のコーティング時の温度条件を変化させながら、各温度条件にて成形された圧粉コアの圧環強度を測定した。その結果を図8に示しており、図中、Y1は各温度ごとの圧環強度を示しており、Y2は従来のコーティング方法によって期待できる圧環強度値を示すラインであってその値は63MPaである。
コーティング温度を200℃以下とすることで、従来法よりも大きな圧環強度を得ることができ、例えば170℃の温度条件では110MPa程度となり、圧環強度を8割程度増大させることができる。
この圧環強度をも勘案すれば、縮重合開始温度が150℃であるメチル系シリコン樹脂を使用する場合において、そのコーティング時の温度条件を170〜200℃の温度範囲に設定するのが好ましいと結論付けることができる。
[コーティング時間とヒステリシス損失および渦電流損失の関係に関する実験結果]
次に、縮重合開始温度が150℃であるメチル系シリコン樹脂のコーティング時の温度条件を170℃に設定した状態で、コーティング時間を変化させながら各時間条件にて成形された圧粉コアのヒステリシス損失と渦電流損失を求めた。その結果を図9,10に示している。
図9より、ヒステリシス損失はコーティング時間が長くなるにしたがって微増する傾向にあることがわかった。一方、図10より、渦電流損失はコーティング時間が25〜30分程度で最小値を示し、10分未満ではその値が顕著に大きく、30分以降は増大する傾向にあることが分かった。
図9,10の結果を総合勘案すれば、コーティング時間としては10〜40分が好ましく、中でも30分程度が望ましい条件であると結論付けることができる。
[成形型温度と圧環強度との関係に関する実験結果]
次に、コーティング温度が170℃の場合、および200℃の場合において生成されたシリコン樹脂コーティング粉末を50℃、120℃の温度条件に設定された各成形型(金型)内でプレス成形して圧粉コアを成形し、それぞれの圧環強度を測定した。図中、P1,Q1はコーティング温度が170℃の場合であり、P2,Q2はコーティング温度が200℃の場合である。また、Y2は従来のコーティング方法による場合の圧環強度を示すラインであってその値は63MPaである。
図より、成形型が120℃の温度条件の場合には、コーティング温度が170℃、200℃いずれの場合でも従来の圧環強度を上回る結果となり、プレス成形時の成形型温度も圧粉コアの強度に大きく影響することが分かった。成形型を120℃程度の高温雰囲気下に設定することでコーティング工程後の粉末の再加熱工程も不要となる。
上記する各実験結果より、使用されるシリコン樹脂の縮重合開始温度よりも20〜50℃高い温度で、かつ30分前後の時間に亘って鉄系粉末とシリコン樹脂とを混合攪拌することで、鉄損が少なく、強度特性に優れた圧粉コアを製造することができる。また、プレス成形時の成形型の温度条件を120℃程度とすることで圧粉コアの強度特性をより一層高めることができる。
上記する本発明の製造方法によって製造される圧粉コアからなるステータコアを具備するモータは、ハイブリッド自動車用の次世代型SRモータ等への適用は勿論のこと、各種家電製品や模型遊具等に使用されるモータなど、あらゆるモータに適用することができる。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
本発明の製造方法を説明したフロー図である。 従来の製造方法と本発明の製造方法における渦電流損失と比抵抗の測定結果を示したグラフである。 メチル系シリコン樹脂のコーティング時の温度と比抵抗の関係の実験結果を示したグラフである。 従来のコーティング方法による扁平鉄粉表面のSEM画像写真である。 本発明のコーティング方法による扁平鉄粉表面のSEM画像写真である。 コーティング温度と鉄損との関係の実験結果を示したグラフである。 鉄粉の加熱温度と酸素増加量との関係の実験結果を示したグラフである。 コーティング温度と圧環強度との関係の実験結果を示したグラフである。 コーティング時間とヒステリシス損失の関係の実験結果を示したグラフである。 コーティング時間と渦電流損失の関係の実験結果を示したグラフである。 成形型温度と圧環強度との関係の実験結果を示したグラフである。

Claims (6)

  1. 軟磁性粉末とメチル系シリコン樹脂を該メチル系シリコン樹脂の縮重合開始温度よりも20〜50℃高い温度雰囲気下にて10〜40分間の範囲内で混合攪拌することによりメチル系シリコン樹脂がコーティングされた軟磁性粉末を生成する第1の工程と、
    メチル系シリコン樹脂がコーティングされた軟磁性粉末を少なくとも100℃以上の温度雰囲気下で所定の形状に圧縮成形することによって圧粉コアを製造する第2の工程と、からなることを特徴とする圧粉コアの製造方法。
  2. 前記第1の工程において、メチル系シリコン樹脂のコーティング後にメチル系シリコン樹脂がコーティングされた軟磁性粉末の温度を常温まで攪拌しながらクーリングし、
    前記第2の工程における圧縮成形が成形型にておこなわれるようになっており、該成形型の型温度が少なくとも100℃以上であってメチル系シリコン樹脂の縮重合開始温度未満に調整されていることを特徴とする請求項1に記載の圧粉コアの製造方法。
  3. 前記成形型の内壁面には軟磁性粉末が充填される前にステアリン酸リチウムと水からなる潤滑剤が塗布されていることを特徴とする請求項2に記載の圧粉コアの製造方法。
  4. 前記成形型の型温度が100〜130℃の範囲内に設定されていることを特徴とする請求項2または3に記載の圧粉コアの製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法によって製造された圧粉コアからなるモータ用のステータコア。
  6. 請求項5に記載のステータコアとロータコアとを具備するモータ。
JP2006320512A 2006-11-28 2006-11-28 圧粉コアの製造方法、ステータコアおよびモータ Active JP4812605B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006320512A JP4812605B2 (ja) 2006-11-28 2006-11-28 圧粉コアの製造方法、ステータコアおよびモータ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006320512A JP4812605B2 (ja) 2006-11-28 2006-11-28 圧粉コアの製造方法、ステータコアおよびモータ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008135560A JP2008135560A (ja) 2008-06-12
JP4812605B2 true JP4812605B2 (ja) 2011-11-09

Family

ID=39560202

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006320512A Active JP4812605B2 (ja) 2006-11-28 2006-11-28 圧粉コアの製造方法、ステータコアおよびモータ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4812605B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010183056A (ja) * 2009-01-07 2010-08-19 Sumitomo Electric Ind Ltd 軟磁性材料の製造方法、軟磁性材料、及び圧粉磁心
JP5208881B2 (ja) * 2009-08-07 2013-06-12 株式会社タムラ製作所 圧粉磁心及びその製造方法
JP5474251B1 (ja) * 2013-02-04 2014-04-16 Necトーキン株式会社 磁芯およびインダクタ
KR101734913B1 (ko) * 2015-01-27 2017-05-12 조선대학교산학협력단 전동기의 스테이터 코어 어셈블리 및 이의 제조방법
EP4292198A1 (en) * 2021-02-12 2023-12-20 Empowering The Future (Etf) Flexible stator for electric motor

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04328805A (ja) * 1991-04-30 1992-11-17 Tokin Corp 形状異方性軟磁性合金粉末及びその製造方法
JPH0845724A (ja) * 1994-07-28 1996-02-16 Tdk Corp 圧粉コア
JP2004319652A (ja) * 2003-04-15 2004-11-11 Tamura Seisakusho Co Ltd 磁心の製造方法およびその磁心
JP2005133168A (ja) * 2003-10-31 2005-05-26 Mitsubishi Materials Corp 磁気特性に優れ、高強度および低鉄損を有する複合軟磁性材の製造方法
US7678174B2 (en) * 2004-09-01 2010-03-16 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Soft magnetic material, compressed powder magnetic core and method for producing compressed power magnetic core

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008135560A (ja) 2008-06-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5218567B2 (ja) 圧粉磁心の製造方法
JP2008270539A (ja) 圧粉磁心とその製造方法、電動機およびリアクトル
US20100045120A1 (en) Magnetic powder, dust core, motor, and reactor
WO2010073590A1 (ja) 複合軟磁性材料とその製造方法
JP4812605B2 (ja) 圧粉コアの製造方法、ステータコアおよびモータ
JP6503058B2 (ja) 圧粉コア、当該圧粉コアの製造方法、該圧粉コアを備えるインダクタ、および該インダクタが実装された電子・電気機器
CN110600239A (zh) 芯、电抗器、芯的制造方法及电抗器的制造方法
JPH07254522A (ja) 圧粉コアおよびその製造方法
US20090051475A1 (en) Embedded inductor and manufacturing method thereof
JP4837700B2 (ja) 圧粉磁心並びにその製造方法
JP2006097124A (ja) Mg含有酸化膜被覆軟磁性金属粉末の製造方法およびこの粉末を用いて複合軟磁性材を製造する方法
JP4847977B2 (ja) 磁心用粉末および圧粉磁心並びにそれらの製造方法
JP7066586B2 (ja) 複合磁性材料、メタルコンポジットコア、リアクトル、及びメタルコンポジットコアの製造方法
JP2004319652A (ja) 磁心の製造方法およびその磁心
TWI652700B (zh) 壓粉芯、該壓粉芯之製造方法、具備該壓粉芯之電氣電子零件及安裝有該電氣電子零件之電氣電子機器
JP6545734B2 (ja) 複合磁性粉末材料、メタルコンポジットコア及びメタルコンポジットコアの製造方法
JP2002064027A (ja) 圧粉磁心の製造方法
JP2006100292A (ja) 粉末磁性体コアの製造方法及びそれを用いてなる粉末磁性体コア
JPH0845724A (ja) 圧粉コア
JP2004214418A (ja) 圧粉磁芯とその合金粉末並びに製造方法
JP6111524B2 (ja) 圧粉磁心の製造方法
JP2007287848A (ja) 磁心とその製造方法
JP2005268685A (ja) 圧粉磁芯及びその製造方法
JP2012172172A (ja) 圧粉成形用粉体およびこれを用いた圧粉成形体ならびにその製造方法
JP2010185126A (ja) 複合軟磁性材料とその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090410

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100906

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100914

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101102

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110322

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110419

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110809

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110823

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4812605

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140902

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140902

Year of fee payment: 3

R154 Certificate of patent or utility model (reissue)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R154

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250