JP4812058B2 - Fifo管理方法及びパイプラインプロセッサシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はFIFO管理方法とパイプラインプロセサシステム、特にパイプラインプロセサ装置におけるFIFO装置の使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
パイプラインプロセサ装置における個々のサブモジュールの性能は、入力コマンドやデータレート、前記サブモジュールが実行しなければならないコマンドやデータにおける処理の複雑さに依存する。サブモジュールがコマンドを実行するために要する時間は、コマンドの複雑さと、さらに下流のサブモジュールの停止(stall)指示および頻度に応じて変化する。隣接するパイプラインサブモジュール間でコマンドを実行するレートが異なる場合、通常、所定長の先入先出レジスタ装置(FIFO)がそのサブモジュール間に挿入され、第2(下流)のサブモジュールが停止しているかあるいはビジーの間における、第1(上流)のサブモジュールの待ち時間を吸収する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、通常、FIFOのサイズは性能とコストの妥協点にあり、残念なことに、関係する2つのサブモジュールについて停止のパターンが非常に異なる場合最適なサイズとされることは決してない。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は既存の装置のひとつあるいは複数の欠点を実質的に克服し、少なくとも改善することを目的とする。
【0005】
本発明の構成のひとつは、情報を処理するパイプライン内において上流の処理モジュールと下流の処理モジュールとの間にFIFOが結合されており、前記処理モジュールの各々は先入れ先だし式にバッファリングする共通の外部メモリにアクセスするパイプラインシステムにおけるFIFO管理方法であって、前記FIFOからの、該FIFOの空きが第1の所定数にまで減少したことを示すフル信号に応じて前記上流の処理モジュールが、前記下流の処理モジュールに対して前記上流の処理モジュールの格納した情報を前記外部メモリから読み出すように指示する第1の特別コマンドを前記FIFOに書き込み、後続の前記下流の処理モジュールへの情報を前記外部メモリへ出力する第1出力工程と、前記FIFOから前記上流の処理モジュールからの情報を読み出している下流の処理モジュールが、前記FIFOから前記第1の特別コマンドを受信すると、後続の情報を前記外部メモリから読み出すようにする第1入力工程とを有することを特徴とする方法にある。
【0006】
あるいは、本発明の他の構成は、上流のプロセッサモジュールと、下流のプロセッサモジュールと、前記上流のプロセッサモジュールの出力と前記下流のプロセッサモジュールの入力との間に連結することで、情報を処理するプロセッサパイプラインを形成するFIFOと、前記プロセッサモジュールの各々からアクセス可能な、先入れ先だし式にバッファリングする外部メモリとを有し、前記上流の処理モジュールは前記FIFOからの、該FIFOの空きが第1の所定数にまで減少したことを示す信号に応じて、前記下流の処理モジュールに対して前記上流の処理モジュールの格納した情報を前記外部メモリから読み出すように指示する第1の特別コマンドを前記FIFOに書き込み、後続の前記下流の処理モジュールへの情報を前記外部メモリへ出力し、前記FIFOから前記上流の処理モジュールからの情報を読み出している下流の処理モジュールは、前記FIFOから前記第1の特別コマンドを受信すると後続の情報を前記外部メモリから読み出すことを特徴とするパイプラインプロセッサシステムにある。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1は、上流サブモジュール12と下流サブモジュール16と、2つのサブモジュール12と16との間に配置されてコネクション17,19によって結合されたFIFO14とを有する従来のパイプラインシステム10を示す。サブモジュール12及び16は、コマンドの実行あるいは生成のために要する遅延時間(latency)が異なる。FIFO14は多数の内部レジスタあるいはメモリ18を有し、それによる従来の動作の結果、上流サブモジュール12は、少なくともレジスタ18がいっぱいになるまで自由にコマンドを生成し、その時点でサブモジュール12は停止するはずである。遅延時間が可変であれば、下流のサブモジュール16は最短の遅延時間でコマンドを処理でき、その結果、上流モジュール12がFIFO14の内容を生成あるいは供給し得るよりも速いレートで排出することができる。このような環境において、本装置の全体的な性能は、下流サブモジュール16は上流サブモジュール12によってさらに多くのコマンドが生成されるのを待たねばならないために、サブモジュール12及び16を直接結合した構成に比べてほんのわずか改善されるだけである。また、システム10の性能は、通常性能とコストの妥協点で選ばれるレジスタ18の数であるFIFO14のサイズへの依存度が高い。
【0008】
図2は、上流モジュール22及び下流モジュール26それぞれと、その間のローカルFIFOとを有する、好適な実施例によるシステム20を示す。サブモジュール22及び26はまた、共通の外部メモリ32へアクセスする。これは、特にサブモジュール22及び26がそれぞれ同一の集積回路のパッケージ内に形成される場合における多くのサブモジュール構成の特徴である。外部ローカルメモリ32は、典型的には、プロセササブモジュール22及び26により個別的あるいは集団的に遂行される動作のためのランダムアクセスできる局所化された格納部を提供している。本説明においては、サブモジュール22と26の間で受け渡される「コマンド」に言及しているが、この言及は、サブモジュール22,26それぞれの機能により要求されたり或いは判定されるときにそれらの間で受け渡される命令やデータ、信号あるいはあらゆる情報を含むと限定なしで解釈されるべきである。
【0009】
FIFO24に空きがある間、上記検討した従来の方法で、上流サブモジュール22はコマンドをFIFO24に渡し、下流サブモジュール26はFIFO24からコマンドを取り出す。FIFO24の空きがなくなるか、あるいは実質的に空きがなくたった場合、上流サブモジュール22は図1の従来の方法のように停止せず、下流サブモジュール26に対してコマンドの生成を続行する。しかしながら、上流サブモジュール22は生成したコマンドをFIFO24に渡す代わりに、コマンドをローカルメモリ32に転送する。
【0010】
最高性能のために、外部メモリ32への転送は、メモリ利用技術においてはよく知られた、ひとつのメモリトランザクションについて8あるいは16コマンドを一組とする「バーストモード方式」で行われる。この動作は、FIFO24に実質的に空きがない間は繰り返し行われる。バーストモード転送を容易にするために、上流サブモジュール22はコネクション50を介して、所定のバーストサイズを受容できる保持バッファ30にコマンドを出力する。この方法により、ローカルメモリ32へのアクセスに関するあらゆる遅延時間が短縮される。このようにせず、もしも各メモリアクセスごとに扱われるコマンド数がほんのわずかであるとすれば、非常に厳しいだろう。
【0011】
FIFO24の状態は、2つの信号38,46によって上流モジュール22に伝達される。FIFO24が実質的にいっぱいになった場合、例えば空のままのロケーションが1あるいは2あるいは他のなんらかの所定数の場合、信号46はアサートされ、上流サブモジュール22に、コネクション48を介してFIFO24内へと第1の特別コマンド60を渡させる。このとき直ちに、サブモジュール22は保持バッファ30を介して外部メモリに対するコマンドの送信を開始する。第1の特別コマンド60は、"fetch_from_RAM"命令であり、図3に示すようにFIFO24内にロードされる。下流サブモジュール26によってFIFO24を介して受け取られた場合、第1の特別コマンド60は、下流サブモジュールがFIFO24の代わりに外部メモリ32から後続のコマンドを取り込むよう命じる。外部メモリ32内のコマンドを取り込むアドレスは、第1の特別コマンド60内のパラメータのひとつとして特定される。
【0012】
上流サブモジュール22は、FIFO24が使用可能となるときまで、保持バッファを介して外部メモリ32にコマンドの格納を続ける。FIFO24はまた、FIFO24内に、或る数の空き或いは利用可能なロケーション28があることを上流サブモジュール22に認識させる信号38を生成する。これは例えば、FIFO24の、例えばおよそ4分の3しかふさがっていない場合に生じるようにしても良い。
【0013】
このFIFO24の「利用可能」状態が検出されたとき、上流サブモジュール22は外部メモリ32に第2の特別コマンド62"fetch_from_FIFO"を書き込む。図3にも示されているとおり、外部メモリ32の最後のコマンドの直後に格納される。第2の特別コマンド62は、下流サブモジュール26にFIFO24から後続のコマンドを取り込ませ、別の"fetch_from_RAM"コマンド60に行き当たるまでFIFO24から取り込み続けさせる命令として作用する。
【0014】
この方式では、FIFO24が例えば24のロケーションを有し、保持バッファ30が8つのロケーションを有する場合、保持バッファ30には、6つのコマンドとそれに続く第2の特別コマンド62(fetch_from_FIFO)をロードできる。それによって、更なるコマンドを格納するためにFIFO24内の空間を解放するには十分な1回のバーストモードメモリトランザクションをメモリ32に行わせることができる。
【0015】
この構成により、FIFO24のメモリ空間あるいは外部メモリ32のメモリ空間は、実際のコマンドに挿入された特別コマンド60及び62によって消費されることはない。
【0016】
下流サブモジュール26の動作は、上流サブモジュール22の動作と同様、あるいは反対である。下流サブモジュール26の受信コマンドの出所としては2つあり得る。ひとつはFIFO24からであり、もうひとつは外部メモリ32からである。ここでも最高性能のためにもうひとつの保持バッファ34が用意され、下流サブモジュール26によって外部メモリ32からバーストモード方式によってコネクション44を介して取り込まれたコマンドが格納される。
【0017】
図3を参照すると、サブモジュール26は、後続のコマンド66が所与のアドレスから始まる外部メモリ32にあることを示す"fetch_from_RAM"コマンド60に行き当たるまで、(通常)コマンド64をFIFO24から取り込む。下流サブモジュール26はコマンド66をメモリ32から取り込み、そのコマンドを保持バッファ34に入れ、それと同時にコマンドの出所をFIFO24から保持バッファ34に切り替えなければならない。
【0018】
この動作は、FIFO24と保持バッファ34との間におかれたマルチプレクサ36と、下流サブモジュール26とによって実行される。マルチプレクサ36は、第1の特別コマンド60の受信時に下流サブモジュール26により生成される信号58によって制御される。保持バッファ34は、予備取り込み(pre−fetching)によって空きのない状態に保持できる。これで外部メモリ32へのアクセスに関するあらゆる遅延をさらに短縮できる。そうして、下流サブモジュール26は、特別コマンド62"fetch_from_FIFO"が見つかるまで、保持バッファ34を介して外部メモリ32から取り込みを続行し、見つかると直ちにFIFO24をコマンドの出所とするよう信号58を介してマルチプレクサ36を切り替える。
【0019】
システム20において、従来のFIFO14と比較すると、上流サブモジュール22の出力50および下流サブモジュール26の入力54において必要とされる保持バッファ30及び34を備えることと引き替えにFIFO24のサイズを小さくできる。このようなFIFO24のサイズの縮小は、本発明者にとっては、典型的なアプリケーションにおける全体性能上においては小さな効果であると考えられる。それというのは、システム20の正味の効果は、上記特別コマンドの転送及び処理により課せられる遅延を除けばいかなる実質的な遅延も伴わずに動作するということではなく、FIFOが動的な容量を有することにあるためである。
【0020】
FIFOシステム20は、パイプラインの構成メンバにより使用することのできるローカルメモリを与えられたパイプライン処理システム装置に用途を見いだせる。典型的には、このメモリは、多くの場合従来のFIFOにより構成あるいは利用されるであろうメモリより大きな容量を有する。この装置の例には、その内部においてなんらかのレンダリングプロセスがパイプライン化され、パイプラインに沿って渡される命令やメモリに格納されたデータ、例えばパイプライン化された処理により生成や変更あるいは使用されるデータに応じて動作し、グラフィックオブジェクトをレンダリングするハードウエアを含む。本好適な実施例は、2あるいはそれ以上のサブモジュールを含み、各サブモジュールが遂行すべき異なるタスクを有している、同期式グラフィックパイプラインプロセサ内への実施を含む。
【0021】
なお上記説明は本発明の単なる一例であり、本発明の範囲を離れることなくそこに変更を施しても良い。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、FIFOの容量を、上流と下流のサブモジュールの処理パターンに応じて動的に変えることができるという効果を奏する。
【0023】
また、そのために、上流モジュールによるFIFOの空き待ち時間をなくすことができる。
【0024】
また、FIFOのサイズを小さくできる。
【0025】
また、いかなる実質的な遅延も伴わずにFIFOを動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】中間FIFOを用いてパイプライン化されたモジュールの従来のアプローチを示すブロック図である。
【図2】本発明の好適な実施形態による中間FIFOを用いてパイプライン化されたシステムを示すブロック図である。
【図3】2つの特別コマンドを含む、外部メモリと図2のFIFOの内容の一例を示す図である。
Claims (8)
- 情報を処理するパイプライン内において上流の処理モジュールと下流の処理モジュールとの間にFIFOが結合されており、前記処理モジュールの各々は先入れ先だし式にバッファリングする共通の外部メモリにアクセスするパイプラインシステムにおけるFIFO管理方法であって、
前記FIFOからの、該FIFOの空きが第1の所定数にまで減少したことを示す信号に応じて前記上流の処理モジュールが、前記下流の処理モジュールに対して前記上流の処理モジュールの格納した情報を前記外部メモリから読み出すように指示する第1の特別コマンドを前記FIFOに書き込み、後続の前記下流の処理モジュールへの情報を前記外部メモリへ出力する第1出力工程と、
前記FIFOから前記上流の処理モジュールからの情報を読み出している下流の処理モジュールが、前記FIFOから前記第1の特別コマンドを受信すると、後続の情報を前記外部メモリから読み出すようにする第1入力工程と
を有することを特徴とするFIFO管理方法。 - 前記FIFOの空きが第2の所定数にまで増加したことを示す信号に応じて、前記上流の処理モジュールが、前記下流の処理モジュールに対して前記上流の処理モジュールの格納した情報を前記FIFOから読み出すように指示する第2の特別コマンドを前記外部メモリに書き込み、後続の前記下流の処理モジュールへの情報を前記FIFOへ出力する第2出力工程と、
前記外部メモリから前記上流の処理モジュールからの情報を読み出している下流の処理モジュールが、前記外部メモリから前記第2の特別コマンドを受信すると、後続の情報を前記FIFOから読み出すようにする第2入力工程と
を更に有することを特徴とする請求項1に記載のFIFO管理方法。 - 上流のプロセッサモジュールと、
下流のプロセッサモジュールと、
前記上流のプロセッサモジュールの出力と前記下流のプロセッサモジュールの入力との間に連結することで、情報を処理するプロセッサパイプラインを形成するFIFOと、
前記プロセッサモジュールの各々からアクセス可能な、先入れ先だし式にバッファリングする外部メモリとを有し、
前記上流の処理モジュールは前記FIFOからの、該FIFOの空きが第1の所定数にまで減少したことを示す信号に応じて、前記下流の処理モジュールに対して前記上流の処理モジュールの格納した情報を前記外部メモリから読み出すように指示する第1の特別コマンドを前記FIFOに書き込み、後続の前記下流の処理モジュールへの情報を前記外部メモリへ出力し、前記FIFOから前記上流の処理モジュールからの情報を読み出している下流の処理モジュールは、前記FIFOから前記第1の特別コマンドを受信すると後続の情報を前記外部メモリから読み出すことを特徴とするパイプラインプロセッサシステム。 - 前記FIFOの空きが第2の所定数にまで増加したことを示す信号に応じて、前記上流の処理モジュールは、前記下流の処理モジュールに対して前記上流の処理モジュールの格納した情報を前記FIFOから読み出すように指示する第2の特別コマンドを前記外部メモリに書き込み、後続の前記下流の処理モジュールへの情報を前記FIFOへ出力し、
前記外部メモリから前記上流の処理モジュールからの情報を読み出している下流の処理モジュールは、前記外部メモリから前記第2の特別コマンドを受信すると、後続の情報を前記FIFOから読み出すことを特徴とする請求項3に記載のパイプラインプロセッサシステム。 - 前記FIFOまたは外部メモリの出力を前記下流のプロセッサモジュールの入力に選択的に連結する切替手段を更に有し、
前記下流のプロセッサモジュールは、前記FIFOから受け取った第1の特別コマンドまたは前記外部メモリから受け取った第2の特別コマンドに従って前記切替手段を制御することで、前記FIFOまたは前記外部メモリから前記上流の処理モジュールによる情報を読み出すことを特徴とする請求項4に記載のパイプラインプロセッサシステム。 - 前記プロセッサモジュールの各々と前記外部メモリとを連結する保持バッファを更に備え、前記保持バッファを介して前記外部メモリのバーストモードのメモリ転送を実行することを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載のパイプラインプロセッサシステム。
- 前記システムは単一の集積回路内に形成されることを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載のパイプラインプロセッサシステム。
- 前記FIFOは、前記FIFOの空きが第1の所定数に達したことを示す信号を該FIFOがいっぱいになったとして前記上流の処理モジュールにアサートすることを特徴とする請求項3乃至7のいずれか1項に記載のパイプラインプロセッサシステム。
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