しかしながら、特許文献1に示すセンサ処理装置は、個別ガス室に対して1つのガスセンサを取付けてセンサ処理を行うため、1回のセンサ処理で行えるガスセンサは個別ガス室と同個数となる。すると、従来型のセンサ処理装置901が1回で行えるガスセンサの個数(例えば35個)と同個数のガスセンサを特許文献1のセンサ処理装置を行う場合、個別ガス室が、例えば35個必要となり、センサ処理装置が巨大化を招くおそれがある。また、特許文献1のセンサ処理装置は、従来のセンサ処理装置901よりもセンサ処理用ガスの使用量を低減することができるが、上述のように個別ガス室が増えることなり、更なるガスセンサの使用量を低減することが難しい。
そこで、本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、複数のガスセンサに対してセンサ処理を同時に行うにあたり、巨大化を防止し、更なるガスセンサの使用量を低減することができるガスセンサ処理方法およびガスセンサ処理装置を提供することを目的とする。
かかる目的のためになされた請求項1に記載のガスセンサ処理方法は、測定対象ガス中の特定ガスの濃度変化に応じて電気抵抗値が変化する感ガス体を含むセンサ素子と、測定対象ガスを該センサ素子まで導入するガス導入部と、を備えるガスセンサに対し、一定濃度の前記特定ガスを含むエージング用ガスを前記ガス導入部に供給して前記ガスセンサの特性を安定化させるエージング処理を行うにあたり、複数の前記ガスセンサに対して前記エージング処理を同時に行うガスセンサ処理方法であって、ガス配管を介して直列に並置されて連結される複数のガスチャンバの個々に2つ以上の前記ガスセンサを前記ガス導入部を臨ませるようにして取り付け、前記ガス配管を通じて複数の前記ガスチャンバの個々に対して前記エージング用ガスを充填させて、前記エージング処理を行う構成を有し、前記ガスチャンバに取り付けられる2つ以上の前記ガスセンサの前記ガス導入部が前記ガスチャンバに対して同じ高さに配置されるようにして、前記ガスセンサを前記ガスチャンバに取り付けることを特徴とする。
同様に、請求項2に記載のガスセンサ処理方法は、測定対象ガス中の特定ガスの濃度変化に応じて電気抵抗値が変化する感ガス体を含むセンサ素子と、測定対象ガスを該センサ素子まで導入するガス導入部と、を備えるガスセンサに対し、前記特定ガスを含む検査用ガスを前記ガス導入部に供給して該検査用ガスに含まれる前記特定ガスの濃度を変化させて、その濃度変化に対する前記ガスセンサの出力の状態を検査するセンサ特性検査処理を行うにあたり、複数の前記ガスセンサに対して前記センサ特性検査処理を同時に行うガスセンサ処理方法であって、ガス配管を介して直列に並置されて連結される複数のガスチャンバの個々に2つ以上の前記ガスセンサを前記ガス導入部を臨ませるようにして取り付け、前記ガス配管を通じて複数の前記ガスチャンバの個々に対して前記検査用ガスを充填させて、前記センサ特性検査処理を行う構成を有し、前記ガスチャンバに取り付けられる2つ以上の前記ガスセンサの前記ガス導入部が前記ガスチャンバに対して同じ高さに配置されるようにして、前記ガスセンサを前記ガスチャンバに取り付けることを特徴とする。
このガスセンサ処理方法では、各ガスセンサのガス導入部を複数の個別ガス室でそれぞれ個別に覆うように取付けるのではなく、ガス配管を介して連結される複数のガスチャンバの個々にガス導入部を臨ませるようにして複数のガスセンサを取付けている。このように、1個のガスチャンバに対して複数のガスセンサのガス導入部を覆うことで、1個のガスチャンバに対して1個のガスセンサを取り付けるセンサ処理装置よりも、ガスチャンバの個数を減らすことができ、センサ処理装置の巨大化を防止できる。また、ガスチャンバの個数を減らすことができるので、更なるセンサ処理用ガスの使用量を低減することもできる。
なお、このガスセンサの処理方法では、複数のガスセンサの全てを収容する大型ガス室ではなく、ガス配管を介して連結される複数のガスチャンバの個々にガス導入部を臨ませるようにして複数のガスセンサを取付け、センサ処理用ガス開口部からガス配管を通じて複数のガスチャンバの個々に対してセンサ処理用ガスを充填させて、センサ処理を行っている。よって、ガスチャンバの容積を小さくできることでセンサ処理用ガスの使用量を減少でき、ガスチャンバに対してセンサ処理用ガスを充填する際のガス置換時間を短縮できていることは言うまでもない。さらに、ガスチャンバに充填されるセンサ処理用ガスの濃度勾配が大型ガス室を用いるセンサ処理に比べて敏感になり、精度の良い所定のセンサ処理を一括して実行することができることも言うまでもない。
そして、このガスセンサの処理方法では、複数の前記ガスセンサの前記ガス導入部を、前記ガスチャンバに対して水平方向に臨ませている。センサ処理用ガスの自重により、ガスチャンバ内の鉛直方向にセンサ処理用ガスの濃度差が発生することがある。すると、1つのガスチャンバに取付けた複数のガスセンサであっても、ガス導入部の鉛直方向の取付け位置によってガスセンサ毎にセンサ処理の評価にバラツキが生じることがある。そこで、ガスセンサのガス導入部をガスチャンバに対して水平方向に臨ませることで、ガスセンサ毎にセンサ処理の評価にバラツキが生じるのを抑制できる。
なお、センサ処理としては、例えば、請求項1に記載のように、センサ処理用ガスとして一定濃度の特定ガスを含むエージング用ガスを用いることにより、ガスセンサの特性を安定化させるエージング処理を行うことができる。これにより、ガスセンサに対してエージング処理を行うにあたり、センサ処理装置の巨大化を抑制しつつ、エージング用ガスの更なる使用量が低減できる。さらに、複数のガスセンサの個々に対して、精度の良いエージング処理を一括して実行することができる。
また、センサ処理の他の例としては、請求項2に記載のように、センサ処理用ガスとして特定ガスを含む検査用ガスを用い、検査用ガスに含まれる特定ガスの濃度に変化させて、その濃度変化に対するガスセンサの出力の状態を検査するセンサ特性検査処理を行うことができる。これにより、ガスセンサに対してセンサ特性検査処理を行うにあたり、センサ処理装置の巨大化を抑制しつつ、更なる検査用ガスの使用量が低減できる。さらに、複数のガスセンサの個々に対して、精度のよいセンサ特性検査処理を一括して実行することができる。
ところで、各ガスセンサに対して供給されるセンサ処理用ガスの濃度(詳細には、特定ガスの濃度)がそれぞれ異なる場合、ガスセンサ毎にセンサ処理の評価にばらつきが生じることとなる。そして、センサ処理用ガスのガスタンクから各ガスチャンバに対してそれぞれ並列にガス配管を接続してセンサ処理用ガスを充填する場合、ガス配管の長さ寸法や曲げ角度の違いに起因して、各ガス配管のガス流通抵抗がそれぞれ異なる値となる場合がある。このようにガス流通抵抗が異なると、ガスチャンバ毎にセンサ処理用ガスの濃度が一定濃度となるまでの濃度勾配に差が生じる虞がある。
そこで、上述のガスセンサの処理方法においては、請求項1または2に記載のように、複数の前記ガスチャンバは、前記ガス配管を介して直列に並置されており、前記センサ処理用ガス開口部から前記ガス配管を通じて複数の前記ガスチャンバの個々に対して順に前記センサ処理用ガスを充填させるとよい。
つまり、複数のガスチャンバをガス配管に介して直列に接続することで、ガスチャンバおよびガス配管からなるガス流通経路を複数ではなく単数(1本)に限定するのである。このようにガス流通経路1本に限定にすることで、複数のガス流通経路を備える場合のようにガス流通抵抗の差異によってガスチャンバごとの濃度勾配に差が生じ難くなり、所定のセンサ処理に対する信頼性をより向上させることができる。
よって、本発明のガスセンサ処理方法によれば、複数のガスセンサに対してセンサ処理を行うにあたり、ガスチャンバに充填されるセンサ処理用ガスの濃度勾配を略均一にすることができ、その結果、各ガスチャンバ内のセンサ処理用ガスによる置換を安定してかつ敏感に行うことができ、ガスセンサ毎にセンサ処理の評価にバラツキが生じるのを防止できる。
ところで、本発明のガスセンサ処理を行うガスセンサとして、感ガス体が実装される配線基板と、該配線基板を収納する箱状のケースと、配線基板に電気的に接続する金属端子の径方向周囲を包囲するともに、該ケースの一面の外側面から突出した筒状のコネクタ外装部とを有し、ガス導入部は前記ケースの一面と交差する交差面に形成されているものがある。このようなガスセンサを複数個ガスチャンバに無作為に取付けると、ガスチャンバに対してコネクタ外装部が様々な方向に向くことになる。このとき、コネクタ外装部に取付けられる外部回路に繋がるコネクタ部は様々な方向から取付ける必要があり、作業効率が低下することがある。
そこで、上述のガスセンサの処理方法においては、請求項3に記載のように、前記ガスセンサは、前記感ガス体が実装される配線基板と、該配線基板を収納する箱状のケースと、前記配線基板に電気的に接続される金属端子の径方向周囲を包囲するともに、該ケースの一面の外側面から突出した筒状のコネクタ外装部とを有し、前記ガス導入部は前記ケースの前記一面と交差する交差面に形成されており、前記ガスチャンバに前記ガス導入部を臨ませるようにして複数の前記ガスセンサを取付けるときに、複数の前記ガスセンサの前記コネクタ外装部が同じ方向に向かって配置させることが好ましい。このように、ガスチャンバに対してコネクタ外装部が同じ方向に向かって配置させることで、外部回路に繋がるコネクタ部をコネクタ外装部に同方向から取付けることができ、作業効率が向上する。
また、本発明のガスセンサ処理を行うガスセンサには、感ガス体が実装される配線基板と、該配線基板を収納する箱状のケースと、配線基板に電気的に接続する金属端子の径方向周囲を包囲するともに、該ケースの一面の外側面から突出した筒状のコネクタ外装部とを有し、ガス導入部は前記ケースの一面に形成されているガスセンサがある。このようなガスセンサを複数個ガスチャンバに無作為に取付けると、コネクタ外装部同士が接触するおそれがある。また、コネクタ外装部が接触しないまでも接近しており、そのコネクタ外装部に取付けられる外部回路に繋がるコネクタ部同士が接触したり、接近したコネクタ外装部にコネクタ部を取り付けることが困難となる虞がある。
そこで、上述のガスセンサの処理方法においては、請求項4に記載のように、前記ガスセンサは、前記感ガス体が実装される配線基板と、該配線基板を収納する箱状のケースと、前記配線基板に電気的に接続される金属端子の径方向周囲を包囲するともに、該ケースの一面の外側面から突出した筒状のコネクタ外装部とを有し、前記ガス導入部は前記ケースの前記一面に形成されており、前記ガスチャンバに前記ガス導入部を臨ませるようにして複数の前記ガスセンサを取付けるときに、複数の前記ガスセンサの前記コネクタ外装部が鉛直方向に異なる位置に配置させることが好ましい。このように、ガスチャンバに対して複数のガスセンサのコネクタ外装部が鉛直方向に異なる位置に配置させることで、コネクタ外装部同士が接触することがなくなる。また、そのコネクタ外装部に取り付く外部回路に繋がるコネクタ部同士が接触することがなくなり、さらにはコネクタ外装部に容易にコネクタ部を取り付けることができ、作業効率が向上する。
次に、上述の目的を達成するためになされた請求項5に記載の発明は、特定ガスの濃度変化に応じて電気抵抗値が変化する感ガス体と、前記感ガス体に電気的に接続された金属端子と、測定対象ガスを該感ガス体まで導入するガス導入部と、を備えるガスセンサに対し、一定濃度の前記特定ガスを含むエージング用ガスを前記ガス導入部に供給して前記ガスセンサの特性を安定化させるエージング処理を行うにあたり、複数の前記ガスセンサに対して前記エージング処理を同時に行うガスセンサ処理装置であって、ガスセンサを保持するセンサ保持部と、前記ガスセンサの前記金属端子に電気的に接続されるコネクタ部と、自身の個々に対して複数の前記ガスセンサの前記ガス導入部を鉛直方向に同じ高さに配置されるようにして自身の水平方向から臨ませることができ、ガス配管を介して個々が直列に並置されて連結された複数のガスチャンバと、を備え、複数の前記ガスチャンバは、エージング用ガス開口部から前記ガス配管を通じて複数の前記ガスチャンバの個々に対して順に前記エージング用ガスが充填される構成であることを特徴とする。
同様に、請求項6に記載のガスセンサ処理方法は、特定ガスの濃度変化に応じて電気抵抗値が変化する感ガス体と、前記感ガス体に電気的に接続された金属端子と、測定対象ガスを該感ガス体まで導入するガス導入部と、を備えるガスセンサに対し、前記特定ガスを含む検査用ガスを前記ガス導入部に供給して該検査用ガスに含まれる前記特定ガスの濃度を変化させて、その濃度変化に対する前記ガスセンサの出力の状態を検査するセンサ特性検査処理を行うにあたり、複数の前記ガスセンサに対して前記センサ特性検査処理を同時に行うガスセンサ処理装置であって、ガスセンサを保持するセンサ保持部と、前記ガスセンサの前記金属端子に電気的に接続されるコネクタ部と、自身の個々に対して複数の前記ガスセンサの前記ガス導入部を鉛直方向に同じ高さに配置されるようにして自身の水平方向から臨ませることができ、ガス配管を介して個々が直列に並置されて連結された複数のガスチャンバと、を備え、複数の前記ガスチャンバは、検査用ガス開口部から前記ガス配管を通じて複数の前記ガスチャンバの個々に対して順に前記検査用ガスが充填される構成であることを特徴とする。
このガスセンサ処理装置は、請求項1の発明方法と同様に、各ガスセンサのガス導入部を複数の個別ガス室でそれぞれ個別に覆うように取付ける構成ではなく、自身の個々に対して複数の前記ガスセンサの前記ガス導入部を臨ませることができるとともに、ガス配管を介して個々が連結された複数のガスチャンバを有している。このように、1個のガスチャンバに対して複数のガスセンサのガス導入部を覆うことで、1個のガスチャンバに対して1個のガスセンサを取り付けるセンサ処理装置よりも、ガスチャンバの個数を減らすことができ、センサ処理装置の巨大化を防止できる。また、ガスチャンバの個数も減らすことができるので、更なるセンサ処理用ガスの使用量を低減することができる。
さらに、複数のガスセンサの全てを収容する大型ガス室ではなく、自身の個々に対して複数の前記ガスセンサの前記ガス導入部を臨ませることができるとともに、ガス配管を介して個々が連結された複数のガスチャンバを有している。よって、ガスチャンバの容積を小さくできることでセンサ処理用ガスの使用量を減少でき、ガスチャンバに対してセンサ処理用ガスを充填する際のガス置換時間を短縮できていることは言うまでもない。さらに、ガスチャンバに充填されるセンサ処理用ガスの濃度勾配が大型ガス室を用いるセンサ処理に比べて敏感になり、精度の良い所定のセンサ処理を一括して実行することができることもいうまでもない。
そして、このガスセンサの処理装置では、複数の前記ガスセンサの前記ガス導入部を、前記ガスチャンバに対して水平方向に臨ませている。センサ処理用ガスの自重により、ガスチャンバ内の鉛直方向で濃度差が発生することがある。すると、1つのガスチャンバに取付けた複数のガスセンサであっても、ガス導入部の鉛直方向の取付け位置によってガスセンサ毎にセンサ処理の効果にバラツキが生じることがある。そこで、ガスセンサのガス導入部をガスチャンバに対して水平方向に臨ませることで、ガスセンサ毎にセンサ処理の評価にバラツキが生じるのを抑制できる。
なお、センサ処理としては、例えば、エージング処理があり、上述のセンサ処理装置は、請求項5に記載のように、センサ処理用ガスが一定濃度の特定ガスを含むエージング用ガスであり、センサ処理がガスセンサの特性を安定化させるエージング処理となるセンサ処理装置であるとよい。
このセンサ処理装置によれば、ガスセンサに対してエージング処理を行うにあたり、センサ処理装置の巨大化を抑制しつつ、更なるエージング用ガスの使用量低減によるコストの低減を図ることができる。なお、エージング処理を行うにあたり、ガスセンサに対する通電が必要な場合には、コネクタ部を介して通電を行うことができる。
また、センサ処理の他の例としては、センサ特性検査処理があり、上述のセンサ処理装置は、請求項6に記載のように、センサ処理用ガスが特定ガスを含む検査用ガスであり、センサ処理が、検査用ガスに含まれる特定ガスの濃度変化に対するガスセンサの出力の状態を検査するセンサ特性検査処理となるガスセンサ処理装置であるとよい。
このガスセンサ処理装置によれば、センサ特性検査処理を行うにあたり、センサ処理装置の巨大化を抑制しつつ、更なる検査用ガスの使用量を低減できる。また、センサ特性検査処理を行うにあたり、ガスセンサからの出力は、コネクタ部を介して検出することができる。
ところで、各ガスセンサに対して供給されるセンサ処理用ガスの濃度(詳細には、特定ガスの濃度)がそれぞれ異なる場合、ガスセンサ毎にセンサ処理の効果にバラツキが生じることになる。そして、センサ処理用ガスのガスタンクから各ガスチャンバに対してそれぞれ並列にガス配管を接続してセンサ処理用ガスを充填する場合、ガス配管の長さ寸法や曲げ角度の違いに起因して、各ガス配管のガス流通抵抗がそれぞれ異なる値となる場合がある。このようにガス流通抵抗が異なると、ガスチャンバ毎にセンサ処理用ガスの濃度が一定濃度となるまでの濃度勾配に差が生じる虞がある。
そこで、上述のガスセンサ処理装置は、請求項5または6に記載のように、複数のガスチャンバが、ガス配管を介して直列に配置され、ガス配管を通じてセンサ処理用ガスが充填される構成であるとよい。つまり、ガスチャンバをガス配管を介して直列に接続することで、ガスチャンバおよびガス配管からなるガス流通経路を複数ではなく単数(1本)に限定するのである。このようにガス流通経路を1本に限定することで、複数のガス流通経路を備える場合のようにガス流通抵抗の差異によってガスチャンバごとの濃度勾配に差が生じ難くなり、所定のセンサ処理に対する信頼性をより向上させることができる。
よって、本発明のガスセンサ処理装置によれば、複数のガスセンサに対してセンサ処理を行うにあたり、ガスチャンバに充填されるセンサ処理用ガスの濃度勾配を略均一にすることができ、その結果、各ガスチャンバ内のセンサ処理用ガスによる置換を安定してかつ敏感に行うことができ、ガスセンサ毎にセンサ処理の評価にバラツキが生じるのを防止できる。
ところで、本発明のガスセンサ処理を行うガスセンサとして、感ガス体が実装される配線基板と、該配線基板を収納する箱状のケースと、配線基板に電気的に接続する金属端子の径方向周囲を包囲するともに、該ケースの一面の外側面から突出した筒状のコネクタ外装部とを有し、ガス導入部は前記ケースの一面と交差する交差面に形成されているものがある。このようなガスセンサをセンサ保持部を用いて複数個ガスチャンバに無作為に取付けると、ガスチャンバに対してコネクタ外装部が様々な方向に向くことになる。このとき、コネクタ外装部に取付けられる外部回路からのコネクタ部を様々な方向から取付ける必要があり、作業効率が低下することがある。
そこで、上述のガスセンサの処理装置においては、請求項7に記載のように、前記センサ保持部として複数の前記ガスセンサを同時に保持する保持用治具を備え、前記ガスセンサは、前記感ガス体が実装される配線基板と、該配線基板を収納する箱状のケースと、前記配線基板に電気的に接続される金属端子の径方向周囲を包囲するともに、該ケースの一面の外側面から突出した筒状のコネクタ外装部とを有し、前記ガス導入部は前記ケースの前記一面と交差する交差面に形成されており、前記保持用金具は、前記ガスチャンバに前記ガス導入部を臨ませるようにして複数の前記ガスセンサを取付けるときに、複数の前記ガスセンサの前記コネクタ外装部が同じ方向に向かって配置させるように前記ガスセンサを保持することが好ましい。このように、保持用金具にてガスチャンバに対してコネクタ外装部が同じ方向に向かって配置させることで、外部回路に繋がるコネクタ部をコネクタ外装部に同方向から取付けることができ、作業効率が向上する。
また、本発明のガスセンサ処理を行うガスセンサには、感ガス体が実装される配線基板と、該配線基板を収納する箱状のケースと、配線基板に電気的に接続する金属端子の径方向周囲を包囲するともに、該ケースの一面の外側面から突出した筒状のコネクタ外装部とを有し、ガス導入部は前記ケースの一面に形成されているガスセンサがある。このようなガスセンサをセンサ保持部を用いて複数個ガスチャンバに無作為に取付けると、コネクタ外装部同士が接触するおそれがある。また、そのコネクタ外装部が接触しないまでも接近しており、そのコネクタ外装部に取付けられる外部回路に繋がるコネクタ部同士が接触したり、接近したコネクタ外装部にコネクタ部を取り付けることが困難となる虞がある。
そこで、上述のガスセンサの処理装置においては、請求項8に記載のように、前記センサ保持部として、複数の前記ガスセンサを同時に保持する保持用治具を備え、前記ガスセンサは、前記感ガス体が実装される配線基板と、該配線基板を収納する箱状のケースと、前記配線基板に電気的に接続される金属端子の径方向周囲を包囲するともに、該ケースの一面の外側面から突出した筒状のコネクタ外装部とを有し、前記ガス導入部は前記ケースの前記一面に形成されており、前記保持用治具は、前記ガスチャンバに前記ガス導入部を臨ませるようにして複数の前記ガスセンサを取付けるときに、複数の前記ガスセンサの前記コネクタ外装部が鉛直方向に異なる位置に配置させるように前記ガスセンサを保持することが好ましい。このように、ガスチャンバに対して複数のガスセンサのコネクタ外装部が鉛直方向に異なる位置に配置させることで、コネクタ外装部同士が接触することがなくなる。また、そのコネクタ外装部に取り付く外部回路に繋がるコネクタ部同士が接触することがなくなり、さらにはコネクタ外装部に容易にコネクタ部を取り付けることができ、作業効率が向上する。
以下に本発明の実施例を図面と共に説明する。
実施例として、ガスセンサ11のセンサ特性検査を行うガスセンサ検査装置1について説明する。図1は、20個のガスセンサ11がガスセンサ検査装置1に取り付けられた概略構成を表している。なお、本実施例では、1個のガスチャンバ101に対して2個のガスセンサ11が取り付けられている。
ガスセンサ検査装置1は、20個のガスセンサ11に対して、特定ガスを含む検査用ガスを供給し、特定ガスの濃度変化に対するガスセンサ11の出力の状態を検査するセンサ特性検査処理を行うためのセンサ処理装置である。
なお、ガスセンサ11は、特定ガスの濃度変化に応じて電気抵抗値が変化する感ガス体を有する検知素子を内部に備えており、具体的には、CO等の還元性ガスの濃度変化に応じて電気抵抗値が変化する第1感ガス体と、NO2等の酸化性ガスの濃度変化に応じて電気抵抗値が変化する第2感ガス体とを有する検知素子を内部に備えている。ガスセンサ11の分解斜視図を図2に示し、ガスセンサ11の平面図(上面図)を図3に示す。
図2及び図3に示すように、ガスセンサ11は、基本的にセンサユニット9とケーシング19との2つの部分からなる。センサユニット9は、センサ基板3と、該センサ基板3に一体的に組み付けられるセンサ素子モジュール5及び該センサ素子モジュール5からの出力信号を処理するためのセンサ出力処理回路部7とを有する。また、ケーシング19は、センサ素子モジュール5に組み込まれたガスセンサ素子11が被検知ガスと接触することを許容するためのケーシングガス入口13、ガスセンサ素子11からの出力信号を、センサ出力処理回路7を介して取り出すための金属端子を取り囲むコネクタ外装部15、センサユニット9の収容空間17等を有している。
図2に示すように、センサ素子モジュール5は、被検知ガス取入口53aが形成されたプラスチックないし金属製のキャップ53の内部に排気ガス成分(NOxなどの酸化性ガス成分やCO,HCなどの還元性ガス成分)の吸着により電気抵抗値を変化させるSnO2やWO3といった公知の金属酸化物半導体からなるガスセンサ素子(図示せず)が組み込まれている。ガスセンサ素子は、センサ基板3に一体的に組み付けられたセンサ出力処理回路7に接続されている。
一方、ケーシング19は、本体部21と中蓋22と上蓋23とを有する。上蓋23には、被検知ガスを収容空間17に取り込むためのケーシングガス入口13が開口し、また、収容空間17から被検知ガスを流出させるケーシングガス出口14(図2の点線部分)が開口している。図2に示すように、ケーシングガス出口14は、収容空間17を挟んでケーシングガス入口13と反対側に形成されている。
中蓋22には、収容空間17へ被検知ガスを直接流入させる収容空間ガス入口55が形成されている。この収容空間ガス入口55は、シート状のフィルタ70にて覆われている。収容空間ガス入口55から収容空間17内に導入する被検知ガスは、薄いシート状のフィルタ70を厚さ方向に透過することで、収容空間17内のガス交換を効率的に行なうことができる。フィルタ70は、例えばポリテトラフルオロエチレンの多孔質繊維構造体等の撥水性高分子材料からなる撥水性フィルタである。
本体部21は、底壁31及び側壁32により上述する収容空間17を形成している。そして、センサユニット9のセンサ出力処理回路部7からの信号を外部に取り出すための金属端子(図示せず)が側壁32の外面から突出しており、金属端子を覆うように、コネクタ外装部15が形成されている。また、自動車の外気取入ダクト側あるいは自動車のフロントグリル後部等に形成された図示しない取付部にガスセンサ11を取り付けるためのセンサ取付部73も、側壁32の外面から突出している。
図1に戻り、ガスセンサ検査装置1は、10個のガスチャンバ101がガス配管104を介して直列に接続している。具体的には、5個のガスチャンバ101が直線状にガス配管104を介して接続している。そして、このガス配管104で接続された5個のガスチャンバ101をそれぞれ図1の上下方向に2列に並べ、その2列に並べられた10個のガスチャンバ101のうち、図1の最右端のガスチャンバ101を図1の上下方向に配置したガス配管104を介して接続させている。また、ガスセンサ検査装置1は、ガスセンサ11をガスチャンバ101に取り付ける際に、ガスセンサ11を載置する板状の載置台102と、ガスチャンバ101に取り付けられるガスセンサ11に当接し、ガスチャンバ101との間でガスセンサ11を挟持する板状のセンサ挟持部103とを備えている。なお、本実施例では、センサ挟持部103は、1列に並べられた5個のガスチャンバ101に取り付けられる10個のガスセンサ11のうち、ガスチャンバに対して同方向に取り付けられる5個のガスセンサ11に対して同時に保持できるようになっている。さらに、ガスセンサ検査装置1には、検査用ガスを供給するためのセンサ処理用ガス開口部105が備えられている。
このうち、ガスチャンバ101について具体的に説明する。図4(a)はガスチャンバ101の斜視図であり、図4(b)は、ガスチャンバ101の側面図であり、図4(c)はガスチャンバ101の断面図である。なお、図4(b)は、図4(a)の矢印方向から見たときの側面図であり、図4(c)は、図4(b)のc−c´の断面図である。
図4(a)、図4(b)、図4(c)に示されるように、ガスチャンバ101は略円筒状を有しており、内部に検査用ガスを充填するガス室110が形成されている。また、ガス室110とガスチャンバ101に接続するガス配管104(図1参照)とを繋ぎ、検査用ガスをガス室110に取り入れ、または取り出すためのガス挿通孔111が形成されている(図4(c)の左右方向)。さらに、ガス室110と連通して、ガスセンサ11に被測定ガスを流入するためのガスセンサ挿通孔112が形成されている(図4(c)の上下方向)。なお、ガスセンサ挿通孔112を取り囲むガスチャンバ101の外表面には、ガスセンサ11とガスチャンバ101との密着性を向上させるためのパッキン113が配置されている。
次に、ガスセンサ検査装置1へのガスセンサ11の装着手順について説明する。装着に際して、まず、ガスセンサ11のうち、上蓋23を取り外す。そして、露出した中蓋22がガスチャンバ101のパッキン113に当接するようにしてガスセンサ11を載置台102上に配置する。この際、中蓋22の収容空間ガス入口55がガスチャンバ101のガスセンサ挿通孔112と対応するように配置する。また、1個のガスチャンバ101に取り付けられる2個のガスセンサ11のコネクタ外装部15は、同一方向を向くようにして配置する。そして、複数のガスセンサ11が載置台102上に配置した状態で、ガスセンサ11の本体部21に対してセンサ挟持部103を当接させ、さらにはセンサ挟持部103をガスチャンバ101側に押圧しつつ、載置台102に対してセンサ挟持部103を係止させることで、ガスセンサ11をガスチャンバ101とセンサ挟持部103とにより挟持する。この際、ガスチャンバ101のパッキン113が弾性変形するので、後述するガス室101の検査用ガスが外部に漏れることがない。そして、20個のガスセンサ11のコネクタ外装部15に対して外部回路に繋がる雌コネクタ部120を接続する。
図5には、図1における矢印の方向から見た側面図を示す。図5は、2個のガスセンサ11が1個のガスチャンバ101に対して配置されており、ガスセンサ11が載置台102に載置され、さらには、センサ挟持部103によりガスチャンバ101との間でガスセンサ11を挟持している。なお、この2個のガスセンサ11の収容空間ガス入口55は互いにガスチャンバ101に対して水平方向に同一面に配置されている。そして、2個のガスセンサ11のコネクタ外装部15は、いずれも同方向(図5の上方向)を向いて配置され、さらに外部回路と接続する雌コネクタ部120に接続している。
次に、ガスセンサ検査装置1を用いてガスセンサ11のセンサ特性検査処理を行う際の、作業手順について説明する。まず、ガスセンサ検査装置1に対して作業員から検査処理開始指令が入力されると、制御部(図示省略)で実行される制御処理が開始されて、制御処理の処理内容に従い、制御部から各部に駆動指令が出力される。なお、制御部は、マイクロコンピュータ(以下、マイコンともいう)を主体に構成されており、作業員からの指令やガスセンサ検査装置1の各部の状態に応じて、各種制御処理を実行可能に構成されている。
次に、図示しない検査用ガス供給部が、制御部からの駆動指令に基づき、センサ処理用ガス開口部105、ガス配管104を介して直列接続された10個のガスチャンバ101に対して、検査用ガスを供給する。なお、検査用ガス供給部は、ガス配管104およびガスチャンバ101からなるガス流通経路のうち、一端(ガス入力端)から目標濃度の特定ガスを含む検査用ガスを注入し、他端(ガス出力端)での特定ガス濃度を検出するよう構成されている。そして、検査用ガス供給部は、ガス出力端での特定ガス濃度が目標濃度に達すると、全てのガスチャンバ101が目標濃度に達したと判断するよう構成されている。
検査用ガス供給部は、制御部からの駆動指令に基づき、ガスチャンバ101での特定ガス濃度を一定濃度に設定した後、特定ガス濃度が異なる検査用ガスを注入してガスチャンバ101における特定ガス濃度を変化させる。本実施例のガスセンサ検査装置1に備えられる検査用ガス供給部は、特定ガスとしてCOおよびNO2をそれぞれ供給するよう構成されており、COの濃度を変化させた後、NO2濃度を変化させるという順番で検査用ガスを供給する。
このとき、コネクタ外装部15に接続される検査機器は、ガスセンサ11それぞれのガス濃度信号の状態を検出し、COの濃度を変化させた場合にガス濃度信号がローレベルからハイレベルに変化したか否か、およびNO2の濃度を変化させた場合にガス濃度信号がローレベルからハイレベルに変化したか否かに基づき、各ガスセンサ11が正常であるか異常であるかを判定する。なお、検査機器は、特定ガスの濃度変化に応じてガス濃度信号がローレベルからハイレベルに変化するガスセンサ11を正常と判定し、特定ガスの濃度変化が生じてもローレベルの出力を維持するガスセンサ11を異常と判定する。また、この特定ガスの濃度変化に対するガスセンサ11の出力の状態を検査する工程においては、各ガスセンサ11の感ガス体が活性化状態になるように、各ガスセンサ11に内蔵されたヒータ(図示せず)はコネクタ外装部15内の金属端子を介して通電状態とされ、両感ガス体を加熱している。
特定ガスの濃度変化に対するガスセンサ11の出力の状態を検査する工程が終了すると、コネクタ外装部15から雌コネクタ120を取り外し、さらにセンサ挟持部103を載置台102から取り外して、さらにガスセンサ11取り除くことにより、一連のセンサ特性検査処理が終了する。
このように、本実施例のガスセンサ検査装置1は、ガス配管104を介して連結される複数のガスチャンバ101の個々に収容空間ガス入口55(ガス導入部)を臨ませるようにして複数のガスセンサ11を取付けている。このように、1個のガスチャンバ101に対して複数のガスセンサ11の収容空間ガス入口55を覆うことで、1個のガスチャンバ101に対して1個のガスセンサ101を取り付けるガスセンサ検査装置よりも、ガスチャンバ101の個数を減らすことができ、ガスセンサ検査装置1の巨大化を防止できる。また、ガスチャンバ101の個数を減らすことができるので、更なる検査用ガスの使用量を低減することもできる。
また、本実施例のガスセンサ検査装置1では、複数のガスセンサ11の収容空間ガス入口55を、ガスチャンバ101に対して水平方向に臨ませている。よって、複数のガスセンサ11の取り付け位置により、ガスセンサ11毎にセンサ特性検査処理の評価にバラツキが生じることを抑制できる。
また、本実施例のガスセンサ検査装置1は、複数のガスチャンバ101が、ガス配管104を介して直列に並置されており、センサ処理用ガス開口部105からガス配管105を通じて複数のガスチャンバ101の個々に対して順に検査用ガスを充填させている。このようにガス流通経路1本に限定にすることで、複数のガス流通経路を備える場合のようにガス流通抵抗の差異によってガスチャンバ101ごとの濃度勾配に差が生じ難くなり、センサ特性検査処理に対する信頼性をより向上させることができる。
よって、複数のガスセンサ11に対してセンサ特性検査処理を行うにあたり、ガスチャンバ101に充填される検査用ガスの濃度勾配を略均一にすることができ、その結果、各ガスチャンバ101内の検査用ガスによる置換を安定してかつ敏感に行うことができ、ガスセンサ11毎にセンサ特性検査処理の評価にバラツキが生じるのを防止できる。
さらに、本実施例のガスセンサ検査装置1では、ガスチャンバ101に収容空間ガス入口55に臨ませるようにして複数のガスセンサ11を取付けるときに、複数のガスセンサ11のコネクタ外装部15が同じ方向に向かって配置させているので、外部回路に繋がる雌コネクタ部120をコネクタ外装部15に同方向から取付けることができ、作業効率が向上する。
なお、ガスセンサ検査装置1においては、収容空間ガス入口55が特許請求の範囲に記載のガス導入部に相当し、載置台102及びセンサ挟持部103がセンサ保持部、保持用治具に相当し、雌コネクタ部120がコネクタ部に相当し、センサ基板3が配線基板に相当し、ケーシング19がケースに相当するものである。
次に、第2実施例として、ガスセンサ11に対してエージング処理を行うエージング処理装置2について説明する。なお、エージング処理装置2は、上述のガスセンサ検査装置1のうち、検査用ガス供給部をエージング用ガス供給部に変更し、制御部で実行される制御処理の処理内容をエージング処理用に変更して構成されている。
エージング用ガス供給部は、予め定められた一定濃度のCOおよびNO2を含むエージング用ガスを供給するよう構成されている。制御部で実行される制御処理は、ガスセンサ11のヒータに対してコネクタ外装部15内の金属端子を介して通電しつつ両感ガス体を活性化させ、エージング用ガスを供給する状態を、一定時間継続する処理を行うように構成されている。
このように、第2実施例のエージング処理装置2は、ガス配管104を介して連結される複数のガスチャンバ101の個々に収容空間ガス入口55(ガス導入部)を臨ませるようにして複数のガスセンサ11を取付けている。このように、1個のガスチャンバ101に対して複数のガスセンサ11の収容空間ガス入口55を覆うことで、1個のガスチャンバ101に対して1個のガスセンサ101を取り付けるエージング処理装置よりも、ガスチャンバ101の個数を減らすことができ、エージング処理装置2の巨大化を防止できる。また、ガスチャンバ101の個数を減らすことができるので、更なるエージング用ガスの使用量を低減することもできる。
また、第2実施例のエージング処理装置2では、複数のガスセンサ11の収容空間ガス入口55を、ガスチャンバ101に対して水平方向に臨ませている。よって、複数のガスセンサ11の取り付け位置により、ガスセンサ11毎にエージング処理の評価にバラツキが生じることを抑制できる。
ところで、ガスセンサ11は、出荷前処理として、エージング処理およびセンサ特性検査処理が実行される。このため、上述したエージング処理装置2およびガスセンサ検査装置1を用いることで、ガスセンサ11に対する出荷前処理を行うことができる。
なお、出荷前処理は、先にエージング処理を実行した後に、センサ特性検査処理を実行するという順序で実行される。このため、エージング処理装置2とガスセンサ検査装置1とが、互いに異なる形状に構成されている場合には、エージング処理完了後、ガスセンサ11をエージング処理装置2からガスセンサ検査装置1に移し替える必要が生じる。
これに対し、本発明のエージング処理装置2およびガスセンサ検査装置1は、エージング処理工程からセンサ特性検査処理工程に移行するにあたり、ガスセンサ11を取り外す作業を省略することができるため、作業の簡略化を図ることができる。
このため、ガスセンサ11に対してエージング処理およびセンサ特性検査処理を実行するにあたり、異なるセンサ処理位置間のガスセンサ11の移動時間を短縮することができ、一連のセンサ処理作業(エージング処理作業およびセンサ特性検査処理作業)における作業時間を短縮できる。
次に、第3実施例として、ガスセンサ検査装置1を用いて、ガスセンサ500対してセンサ特性検査処理を行うことについて説明する。
まず、第3実施例に使用されるガスセンサ500について説明する。ガスセンサ500においても、特定ガスの濃度変化に応じて電気抵抗値が変化する感ガス体を有する検知素子を内部に備えており、具体的には、CO等の還元性ガスの濃度変化に応じて電気抵抗値が変化する第1感ガス体と、NO2等の酸化性ガスの濃度変化に応じて電気抵抗値が変化する第2感ガス体とを有する検知素子を内部に備えている。ガスセンサ500の分解斜視図を図6に示し、ガスセンサ500の平面図(上面図)を図7に示す。
図6及び図7に示すように、ガスセンサ500は、被検知ガス取入口581bが形成されたセンサ素子モジュール581の内部に、図示しない検知素子と、その検知素子の検知能を活性化させるためのヒータとを組み込んだものである。そして、この検知素子およびヒータが、センサ出力処理回路583とともに、センサ基板587に一体的に組み付けられている。センサ基板587は、プラスチック製のケーシング590に封入される。ケーシング590は、本体部593と、蓋591を有しており、蓋591にはセンサ出力処理回路583と電気的に接続する金属端子519(図7参照)を覆うコネクタ外装部517と、検知素子およびヒータを内部に有するセンサ素子モジュール581を内側に収容すると共に複数の収容空間ガス入口513が設けられたセンサ収容部515が形成されている。
ガスセンサ検査装置1は、図8に示すように、10個のガスチャンバ101がガス配管104を介して直列に接続している。具体的には、5個のガスチャンバ101が直線状にガス配管104を介して接続している。そして、このガス配管104で接続された5個のガスチャンバ101をそれぞれ図8の上下方向に2列に並べ、その2列に並べられた10個のガスチャンバ101のうち、図1の最右端のガスチャンバ101を図1の上下方向に配置したガス配管104を介して接続させている。また、ガスセンサ検査装置1は、ガスセンサ11をガスチャンバ101に取り付ける際に、ガスセンサ11を載置する板状の載置台502と、ガスチャンバ101に取り付けられるガスセンサ11に当接し、ガスチャンバ101との間でガスセンサ11を挟持する板状のセンサ挟持部503とを備えている。さらに、ガスセンサ検査装置1には、検査用ガスを供給するためのセンサ処理用ガス開口部105が備えられている。
次に、ガスセンサ検査装置1へのガスセンサ500の装着手順について説明する。ガスセンサ500の収容空間ガス入口55がガスセンサ挿通孔112内に配置されるように、かつ、載置台502に載置されるようにガスチャンバ101にセンサ収容部515を差し込む。この際、1個のガスチャンバ101に取り付けられる2個のガスセンサ500のコネクタ外装部517は、鉛直方向(図8の表裏方向)に異なる位置となるように配置する。そして、複数のガスセンサ500のセンサ収容部515を差し込んだ状態で、ガスセンサ500の本体部593に対してセンサ挟持部503を当接させ、さらにセンサ挟持部503をガスチャンバ101側に押圧することで、ガスセンサ500をガスチャンバ101とセンサ挟持部103とにより挟持する。この際、ガスチャンバ101のパッキン113が弾性変形するので、ガス室101の検査用ガスが外部に漏れることがない。そして、20個のガスセンサ500のコネクタ外装部15に対して外部回路に繋がる雌コネクタ部120を接続する。
図9には、図8における矢印の方向から見た側面図を示す。図9は、2個のガスセンサ500が1個のガスチャンバ101に対して配置されており、さらには、センサ挟持部503によりガスチャンバ101との間でガスセンサ500を挟持している。なお、この2個のガスセンサ500の収容空間ガス入口55は互いにガスチャンバ101に対して水平方向に同一面に配置されている。そして、2個のガスセンサ500のコネクタ外装部15は、いずれも鉛直方向(図9の上下方向)に異なる位置となるように配置され、さらに外部回路と接続する雌コネクタ部120に接続している。
その後は、実施例と同様の作業手順に従って、センサ特性検査処理を行う。
このように、第3実施例のガスセンサ検査装置1は、ガス配管104を介して連結される複数のガスチャンバ101の個々に収容空間ガス入口55(ガス導入部)を臨ませるようにして複数のガスセンサ500を取付けている。このように、1個のガスチャンバ101に対して複数のガスセンサ500の収容空間ガス入口55を覆うことで、1個のガスチャンバ101に対して1個のガスセンサ101を取り付けるガスセンサ検査装置よりも、ガスチャンバ101の個数を減らすことができ、ガスセンサ検査装置1の巨大化を防止できる。また、ガスチャンバ101の個数を減らすことができるので、更なる検査用ガスの使用量を低減することもできる。
また、本実施例のガスセンサ検査装置1では、複数のガスセンサ500の収容空間ガス入口55を、ガスチャンバ101に対して水平方向に臨ませている。よって、複数のガスセンサ500の取り付け位置により、ガスセンサ500毎にセンサ特性検査処理の評価にバラツキが生じることを抑制できる。
また、本実施例のガスセンサ検査装置1は、複数のガスチャンバ101が、ガス配管104を介して直列に並置されており、センサ処理用ガス開口部105からガス配管105を通じて複数のガスチャンバ101の個々に対して順に検査用ガスを充填させている。このようにガス流通経路1本に限定にすることで、複数のガス流通経路を備える場合のようにガス流通抵抗の差異によってガスチャンバ101ごとの濃度勾配に差が生じ難くなり、センサ特性検査処理に対する信頼性をより向上させることができる。
よって、複数のガスセンサ11に対してセンサ特性検査処理を行うにあたり、ガスチャンバ101に充填される検査用ガスの濃度勾配を略均一にすることができ、その結果、各ガスチャンバ101内の検査用ガスによる置換を安定してかつ敏感に行うことができ、ガスセンサ11毎にセンサ特性検査処理の評価にバラツキが生じるのを防止できる。
さらに、本実施例のガスセンサ検査装置1では、ガスチャンバ101に収容空間ガス入口55に臨ませるようにして複数のガスセンサ11を取付けるときに、複数のガスセンサ500のコネクタ外装部15が鉛直方向に異なる位置に配置させているので、コネクタ外装部15同士が接触することがなくなる。また、そのコネクタ外装部15に取り付く外部回路に繋がる雌コネクタ部120同士が接触することがなくなり、さらにはコネクタ外装部に容易に雌コネクタ部120を取り付けることができ、作業効率が向上する。
なお、ガスセンサ検査装置1においては、収容空間ガス入口55が特許請求の範囲に記載のガス導入部に相当し、載置台502、及びセンサ挟持部503がセンサ保持部、保持用治具に相当し、雌コネクタ部120がコネクタ部に相当し、センサ基板587が配線基板に相当し、ケーシング590がケースに相当するものである。
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
例えば、同時に装着可能なガスセンサの個数は10個に限ることはなく、より多数のガスセンサを装着可能となるように、ガスセンサ処理装置を構成しても良い。つまり、用途に応じてガスセンサの装着個数を設定し、ガスセンサの装着個数に応じたガスチャンバを備えるようにすればよい。
また、ガスセンサ検査装置1は、特性検査時における特定ガスの供給順序は、COの後にNO2という順序に限ることはなく、NO2の後にCOという順序でもよい。また、特定ガスの種類は、2種類に限らず、1種類でも良いし、3種類以上であっても良い。
また、第3実施例では、ガスセンサ500に対してセンサ特性検査のみを行ったが、エージング処理を行っても良いし、センサ特性検査及びエージング処理の両方を行っても良い。