JP4811872B2 - 育苗装置 - Google Patents

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Description

この発明は、例えば植物を発芽、育成するための育苗装置に関するものである。
近年、気候変動,地球の光合成能力の限界等の環境問題への対応の気運が高まっており、それに伴って植物の育成を屋外の自然環境によらず、管理された温度、湿度の下で人工光源及び水耕栽培設備を用いて行う方法が一部で行われている。
この方法による育成対象となる植物には、現在食用に供されている作物だけでなく、品種改良の実験種や希少かつ付加価値の高い薬用・観賞用植物も含まれる。また、この方法による植物育成の目的には、対象となる植物の増産のみならず、その植物の生態研究をも含んでいる。
この方法を実現するためには、各植物の育成に適した波長でかつ十分な強度の光を提供可能な光源と、温度及び湿度を管理するための断熱、密閉された空間が必要になる。
そこで、従来では、上記条件を満たすために、青色光,緑色光及び赤色光の発光素子(LED)の光源を用いた植物の育成方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、光源の反射鏡に特定の波長の光を選択的に反射させるものを用いる植物育成用装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。更に、密閉,断熱された空間内で温度,湿度を管理して植物を育成する方法も知られている(例えば、特許文献3参照)。
特開平8−89084号公報(特許請求の範囲、図1) 特開平8−84号公報(特許請求の範囲) 特開2006−296297号公報(特許請求の範囲、図1,図2)
特許文献3に記載の技術によれば、空間は確かに密閉,断熱されており、この技術に特許文献1及び2で開示されている技術を導入することで、植物の効率的な育成という目的は達成できると考えられる。
しかしながら、特許文献3に記載の方法は、既存の密閉空間に断熱材を覆う方法であるため、植物の育成空間の大きさや形状は、その既存の空間に依存することになり、自由度が利かないという問題がある。これは、希少かつ付加価値の高い薬用・観賞用植物の育成や品種改良のように実小規模の育成空間を多数併存、機能させる場合には特に深刻である。
また、密閉空間を構築した後に断熱材を覆うため、育成空間の構築コストが嵩むという問題がある。更に、断熱材自体は破損し易いため、それを補う表面板にコストが嵩むという問題がある。
この発明は、上記事情に鑑みてなされたのもので、植物育成のために必要な空間を低コストかつその大きさや形状に高い自由度をもたせた育苗装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、この発明の育苗装置は、植物を発芽,育成するための育苗装置であって、 植物及びその種子を配置した育苗床を収容する庫体と、この庫体内に向かって光を照射する光源とを具備し、 上記庫体は、一対の表面板と、これら表面板の周囲に配置された枠材と、両表面板と枠材で形成された空間内に充填された断熱材からなる断熱パネルにて形成される箱体と、この箱体の開口部を開閉する断熱性を有する扉体とからなり、 上記光源は、発光素子の集合群からなる、ことを特徴とする(請求項1)。この場合、上記発光素子を、青色光,緑色光,赤色光又は赤外光を発する発光ダイオードにて形成する方が好ましい(請求項2)。
このように構成することにより、一対の表面板と枠材で形成された空間内に充填された断熱材からなる断熱パネルを用いて庫体が構築されるので、パネルの大きさや形状を適宜変更することで、庫体自体の大きさや形状を変更することができ、植物の育成空間の大きさや形状に自由度をもたせることができる。また、光源を発光素子(発光ダイオード)の集合群とすることで、植物の種類や育成に対応させて光の波長制御や光のパルス制御を行うことができる。しかも、発光素子(発光ダイオード)は発熱しないので、植物に近接照射しても加熱による悪影響がない。
この発明において、上記庫体を構成する断熱パネルの庫内側の表面板が鏡面を有している方が好ましい(請求項3)。この場合、上記鏡面は銀鏡塗装によって形成することができる(請求項4)。
このように構成することにより、光源から照射される光を庫内側の表面板の鏡面によって反射させて植物に光を供給することができる。この場合、鏡面を銀鏡塗装によって形成することにより、光源からの光を効率よく反射することができる。また、銀の特性として、光の反射の波長の依存性が小さいため、全ての波長の光を満遍なく反射させることができる。更には、銀鏡塗装をスプレー塗装にて行う場合であっても、ノンクロムであるので、環境面の安全性が図れる。更にまた、銀の有する抗菌効果により、育苗床で発芽・育成されている植物を疫病や細菌から保護することができる。
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の育苗装置において、上記庫体の内壁に複数の棚受け部を設け、これら棚受け部に育苗床又は光源を載置可能に形成してなる、ことを特徴とする。
このように構成することにより、庫体の内壁に設けた棚受け部に育苗床又は光源を載置することができるので、庫体内に複数の育苗床と光源を配置することができ、上下に位置する棚受け部に育苗床と光源を対向配置することができる。
また、請求項6記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の育苗装置において、上記育苗床と光源とを相対的に接離移動可能に形成してなる、ことを特徴とする。
このように構成することにより、植物の成長に伴う、植物の育成に必要な空間を確保することができる。
また、請求項7記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の育苗装置において、上記表面板及び枠材に抗菌剤を塗布又は含有してなる、ことを特徴とする。
このように構成することにより、庫内に抗菌性をもたせ、細菌の繁殖を抑制することができる。
また、請求項8記載の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載の育苗装置において、上記光源の光量及び波長を制御する制御手段を更に具備してなる、ことを特徴とする。
このように構成することにより、制御手段によって光源の光量例えば光のパルス制御及び波長を制御して、植物の育成に適正な状態に管理することができる。
請求項9記載の発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載の育苗装置において、上記育苗床は、多孔質のシート材からなる定着層と、この定着層の表面に積層されるゲル状の保水層とを具備し、上記多孔質シート材に銀を付着してなることを特徴とする
このように構成することにより、植物の育成に必要な水分を液体として扱う必要がなく、保水層に含まれた水分を植物に供給することができる。この場合、多孔質シート材に銀を付着することにより、銀の有する抗菌効果により、育苗床で発芽・育成されている植物を疫病や細菌から保護することができる。
この発明によれば、上記のように構成されているので、以下のような優れた効果が得られる。
(1)請求項1,2記載の発明によれば、断熱パネルの大きさや形状を適宜変更することで、庫体自体の大きさや形状を変更することができ、植物の育成空間の大きさや形状に自由度をもたせることができる。したがって、植物育成のために必要な空間を低コストかつその大きさや形状に高い自由度をもたせて形成することができ、目的に応じた植物の育成を効率よく行うことができる。また、光源を発光素子(発光ダイオード)の集合群とすることで、植物の種類や育成に対応させて光の波長制御や光のパルス制御を行うことができる。しかも、発光素子(発光ダイオード)は発熱しないので、植物に近接照射しても加熱による悪影響がないので、小規模かつ閉鎖された空間における、植物の発芽・育成に好適である。
(2)請求項3記載の発明によれば、光源から照射される光を庫内側の表面板の鏡面によって反射させて植物に光を供給することができるので、上記(1)に加えて、更に植物の育成を効率よく行うことができる。この場合、鏡面を銀鏡塗装によって形成することにより、光源からの光を効率よく反射することができると共に、全ての波長の光を満遍なく反射させることができ、また、銀鏡塗装をスプレー塗装にて行う場合であっても、ノンクロムであるので、環境面の安全性が図れる(請求項4)。
(3)請求項5記載の発明によれば、庫体内に複数の育苗床と光源を配置することができ、上下に位置する棚受け部に育苗床と光源を対向配置することができるので、上記(1),(2)に加えて、更に庫内の空間の有効利用が図れ、植物の育成を効率よく行うことができる。更に、銀の有する抗菌効果により、育苗床で発芽・育成されている植物を疫病や細菌から保護することができる。
(4)請求項6記載の発明によれば、植物の成長に伴う、植物の育成に必要な空間を確保することができるので、上記(1)〜(3)に加えて、更に植物の育成雰囲気を最適な状態にすることができる。
(5)請求項7記載の発明によれば、庫内に抗菌性をもたせ、細菌の繁殖を抑制することができるので、上記(1)〜(4)に加えて、更に庫内の育成雰囲気を植物の育成に最適な状態にすることができる。
(6)請求項8記載の発明によれば、制御手段によって光源の光量例えば光のパルス数及び波長を制御して、植物の育成に適正な状態に管理することができるので、上記(1)〜(5)に加えて、更に植物の育成を効率よく行うことができる。
(7)請求項9記載の発明によれば、植物の育成に必要な水分を液体として扱う必要がなく、保水層に含まれた水分を植物に供給することができるので、育苗床の破損や育苗庫自体の振動、あるいは、苗床の取扱いミス等による育苗庫内での水漏れやそれに伴う腐食等の環境悪化を防止することができる。この場合、多孔質シート材に銀を付着することにより、銀の有する抗菌効果により、育苗床で発芽・育成されている植物を疫病や細菌から保護することができる
以下に、この発明の最良の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、この発明に係る育苗装置の一例を示す斜視図、図2は、上記育苗装置の概略断面図、図3は、育苗装置の縦断面図、図4は、育苗装置の横断面図である。
この発明に係る育苗装置は、植物及びその種子を配置した育苗床4を収容する庫体1と、この庫体1内に向かって光を照射する光源2と、この光源2の光量及び波長等を制御する制御手段であるコントローラ3を具備している。
上記庫体1は、一対の例えばアルミニウム製あるいは鋼板製の表面板11と、これら表面板11の周囲に配置された例えばアルミニウム製あるいは合成樹脂製の押出形材にて形成される枠材12と、両表面板11と枠材12で形成された空間内に充填された例えば発泡ポリウレタン製の断熱材13からなる断熱パネル10にて形成される箱体14と、この箱体14の開口部14aを開閉する断熱性を有する扉体15とで主に構成されている。
この場合、箱体14は、上記断熱パネル10によって天井部14bと、両側面及び背面の壁部14cと、床部14dとで構成されている。この箱体14の正面の開口部14aには、ヒンジ16を介して扉体15が開閉可能に装着されている。また、箱体14の床部14dの下面の4箇所には、高さ調節用のアジャスタ17が取り付けられ、床部14d下面における正面開口部がわの左右2箇所には、キャスタ18が装着されている。
上記扉体15は、図4に示すように、箱体14(庫体1)の一方の壁部14cにヒンジ16をもって開閉可能に装着され、その自由端側の庫内側下部には、箱体14(庫体1)の床部14dの開口部側に取り付けられたマグネット式のストッパ50に着脱可能に吸着する磁性板51が固着されている。また、扉体15における箱体14(庫体1)の開口部縁に当接する部分にはシールパッキン52が取り付けられている。また、扉体15の自由端側の表面にはハンドル53が取り付けられている。
また、扉体15は、覗き窓54を有する以外は、箱体14を構成する断熱パネル10と同様に、一対の例えばアルミニウム製あるいは鋼板製の表面板11と、これら表面板11の周囲に配置された例えばアルミニウム製あるいは塩化ビニル製の押出形材にて形成される枠材12と、両表面板11と枠材12で形成された空間内に充填された例えば発泡ポリウレタン製の断熱材13からなる断熱パネル10にて形成されている。なお、覗き窓54は、扉体15の中央部に設けられた矩形状の開口部に例えば合成樹脂製の窓枠55を介して取り付けられる透明プレート56にて形成されている。
上記のように構成される庫体1における庫内側の表面板11の表面は、例えば銀鏡塗装によって鏡面11aになっている。このように庫内側の表面板11の表面を鏡面11aとすることにより、光源2から照射される光を庫内側の表面板11の鏡面11aによって反射させて植物に光を供給することができる。また、鏡面11aを銀鏡塗装によって形成することにより、光源2からの光を効率よく反射することができる。また、銀の特性として、光の反射の波長の依存性が小さいため、全ての波長の光を満遍なく反射させることができる。更には、銀鏡塗装をスプレー塗装にて行う場合であっても、ノンクロムであるので、環境面の安全性が図れる。更にまた、銀の有する抗菌効果により、育苗床4で発芽・育成されている植物7を疫病や細菌から保護することができる。
また、断熱パネル10を構成する表面板11,枠材12,扉体15の窓枠55,透明プレート56及びシールパッキン52は、抗菌剤が塗布されるか又は抗菌剤が含有されている。
このように庫体1を構成する部材に抗菌処理を施すことにより、庫体1内に抗菌性をもたせ、細菌の繁殖を抑制することができる。
また、上記光源2は、図5に示すように、青色光,緑色光,赤色光又は赤外光を発する発光素子{発光ダイオード(LED)}20の複数を混在配列した集合群21からなるLED照明器にて形成されている。この場合、光源すなわちLED照明器2は、図5に示すように、例えば光の三原色である青色光,緑色光及び赤色光のLED20を混在配列した複数(図面では8個の場合を示す)のLED集合群21をアルミニウム製あるいはアクリル樹脂製の板部材22に装着したLEDパネル23と、このLEDパネル23の表面側を覆う例えば抗菌処理が施されたアクリル樹脂製の透明カバー24とで構成されている。なお、透明カバー24は、全周に外向きフランジ25を有しており、外向きフランジ25に設けられた貫通孔26aとLEDパネル23に設けられた貫通孔26bを貫通する固定ビス27を、筒状のスペーサ28を介して後述する棚板60の下面にねじ結合することで、棚板60にLED照明器2を組み付けることができる。なお、この場合、図5(b)に示すように、透明カバー24の例えば内面に凹凸部24aを設けることによって、光を乱反射させ、光を均一に照射することができる。なお、凹凸部24aを透明カバー24の表面に設けてもよい。
上記のように構成されるLED照明器2によれば、光の三原色である青色光,緑色光及び赤色光のLED20により太陽光と疑似の白色光が得られると共に、光合成により植物の育成が図れる。このうち、光合成に対しては640〜690nmの赤色光の効果が最も大きく、葉の正常な形態形成すなわち種子発芽,花芽分化,開花,子葉の展開,葉緑素合成,節間伸長等には420〜470nmの青色光が必要とされる。なお、緑色光の波長は501〜600nmである。実際には、植物種によって青色光,緑色光及び赤色光の比率を適宜調節する必要があり、また、庫内の温度や湿度を調整する必要がある。なお、LED照明器2に赤外線LEDを用いることで、植物の発芽をより促進する効果が得られる。また、LEDは上記青色光,緑色光,赤色光,赤外光に限定されず、植物の育成実験等、育苗装置の使用目的に応じて、例えば紫外線を発するもの等を適宜変更して用いてもよい。
そこで、この発明においては、庫体1内に光センサ5を配設し、この光センサ5によって検出された情報を制御手段であるコントローラ3に伝達し、コントローラ3において、上記検出情報と予め記憶された情報とを比較演算し、コントローラ3からの制御信号に基づいてLED集合群21の各色のLED20に伝達して光量及び波長を制御可能にしている。例えば、外部から閉鎖された庫内空間の中で、人工的に1日を再現する必要がある。そのため、光を継続して照射するよりは、例えばLEDの発光パルスを100〜1000回/secで発光することによって、植物の成長を促進させることができる。なお、この場合、庫体1内に温度センサ及び湿度センサ(図示せず)を配設し、これらセンサによって検出された情報をコントローラ3に伝達し、コントローラ3において、上記検出情報と予め記憶された情報とを比較演算し、コントローラ3からの制御信号に基づいて庫体1内に配設された図示しないヒータ・クーラー及び加湿器・除湿器等に伝達して、庫内の湿度を例えば5〜50℃の範囲に、湿度を例えば10〜80%の範囲内に調整可能にする。
LED照明器2を組み付けた棚板60は、庫体1の内壁面に設けられた棚受け部8例えば図6に示すように、庫体1を構成する箱体14の壁部14cに適宜ピッチをおいて設けられたピン孔61に嵌合する棚受けピン62に載置されて庫体1内に収容されるようになっている。
棚板60の載置形態は上記構造に限定されるものではなく、例えば図7(a)に示すように、箱体14の両側壁部14cの対向する位置に取り付けられるチャンネル状のレール部材63に、適宜間隔をおいて係止孔64を設ける一方、ガイドローラ65を回転自在に装着するローラ軸66と、係止軸68を有する押え部材67を用意し、適宜位置の隣接する下方の係止孔64にローラ軸66を嵌合し、上方の係止孔64に押え部材67の係止軸68を嵌合して、ガイドローラ65と押え部材67の間に棚板60を挿入するようにしてもよい。この場合、図7(b)に示すように、コイルスプリング70を内挿した連結筒体71の両端に、それぞれガイドローラ65を装着した段付きのローラ軸66Aを貫挿したガイドローラ部材72を用意し、コイルスプリング70の弾発力に抗してローラ軸66Aを係止孔64に嵌挿するようにしてもよい。
上記のように構成することにより、ガイドローラ65上に棚板60を載置するので、棚板60の庫体1内への収容(挿入)及び取り出しを容易にすることができる。
一方、育苗床4は、図11に示すように、育苗箱40内に敷設される銀が付着される多孔質のシート材からなる定着層41と、この定着層41の表面に積層されるゲル状の保水層42とを具備している。このように構成される育苗床4の定着層41と保水層42の境界部に植物7の種子を配置(播種)し、光源であるLED照明器2から光を照射することで、植物7が育成される。
上記育苗床4は、庫体1の内壁面に設けられた棚受け部8に載置される棚板60Aに載置されるか、あるいは、直接棚受け部8に載置して庫体1内に収容される。
上記のように、育苗床4は、銀が付着される多孔質のシート材からなる定着層41と、この定着層41の表面に積層されるゲル状の保水層42とを具備しているので、植物7の育成に必要な水分を液体として扱う必要がなく、保水層42に含まれた水分を植物7に供給することができるので、育苗床の破損や育苗庫自体の振動、あるいは、育苗床4の取扱いミス等による庫体1内での水漏れやそれに伴う腐食等の環境悪化を防止することができる。更にまた、銀の有する抗菌効果により、育苗床4で発芽・育成されている植物7を疫病や細菌から保護することができる。
なお、上記育苗床4内に、例えば保水層42中の肥料分を検知するセンサを設けてもよい。これにより、植物7の発芽・育成の条件管理を更に良好にすることができる。
上記のように構成される育苗装置によれば、断熱パネル10にて構成される庫体1内に、LED照明器2と育苗床4とを対向させた状態で収容し、LED照明器2から照射される光を直接育苗床4の植物7に照射すると共に、庫体1の内壁の鏡面11aから反射される光を育苗床4の植物7に照射することができる。したがって、LED照明器2から照射される青色光,緑色光,赤色光,赤外光等の全ての波長を満遍なく植物7に照射(供給)することができ、植物の育成を効率よく行うことができる。また、光源を発光素子(発光ダイオード)の集合群とすることで、植物の種類や育成に対応させて光の波長制御や光のパルス制御を行うことができる。しかも、発光素子(発光ダイオード)は発熱しないので、植物に近接照射しても加熱による悪影響がないので、小規模かつ閉鎖された空間における、植物の発芽・育成に好適である。
なお、LED照明器2の裏面は熱を発する虞があるので、この場合は、LED照明器2の裏面に放熱(冷却)用のファン(図示せず)を設ける方がよい。また、このように、LED照明器2の裏面側にファンを配置することにより、庫内に微風を発生させることができると共に、空気を循環させることができるので、光合成を促進させることができる。
また、庫体1内に配設された光センサ5によって検出された情報をコントローラ3に伝達し、コントローラ3からの制御信号に基づいてLED集合群21の各色のLED20に伝達して光量例えば光のパルス数及び波長を制御することで、育成対象の植物7に適した環境雰囲気とすることができる。また、温度センサ及び湿度センサによって検出された情報をコントローラ3に伝達し、コントローラ3からの制御信号に基づいてヒータ・クーラー及び加湿器・除湿器等を制御することで、庫内の温度を例えば5〜50℃の範囲内に、湿度を例えば10〜80%の範囲内に調整することで、育成対象の植物7に適した環境雰囲気とすることができる。また、上記センサの他に、二酸化炭素を検知するガスセンサを設け、このガスセンサによって検知された情報に基づいて植物7の発芽・育成の条件を管理するようにしてもよい。
なお、上記実施形態では、庫体1内に、LED照明器2と育苗床4を固定した状態で収容する場合について説明したが、LED照明器2と育苗床4とを相対的に接離移動するようにして、植物7の成長に伴う植物7の育成に必要な空間を確保するようにしてもよい。この場合、例えば、図8に示すように、庫体1の天井部14bに取り付けられる手動式の巻き上げ機80に繰り出し可能に巻き取られるワイヤ87に連結されて庫内に垂下されたチェーン81によってLED照明器2を吊持し、巻き上げ機80の操作ハンドル82を操作して、LED照明器2を育苗床4に対して接離移動を可能にしてもよい。また、LED照明器2を固定し、育苗床4をLED照明器2に対して接離移動させるようにしてもよい。例えば、図9(a)に示すように、育苗床4を載置する載置テーブル60Aの下面にねじ軸83を取り付け、このねじ軸83をベース基板84上に立設されたねじ筒85に螺合して、育苗床4を載置する載置テーブル60Aを昇降可能な構造としてもよい。また、図9(b)に示すように、育苗床4を載置する載置テーブル60Aを複数例えば4本のガスシリンダ86によって昇降可能に支持する構造としてもよい。また、育苗床4を載置する載置テーブル60Aを支持するパンタグラフ機構を有する支持脚87伸縮させて、育苗床4を載置する載置テーブル60Aを昇降可能な構造としてもよい。この場合、支持脚87を支持する支持板88の表面と支持脚87の下面に互いに着脱可能に係合する面ファスナ89を装着して、支持脚87の伸縮移動を調節することができる。
また、別の昇降手段として、例えば、図10に示すように、育苗床4を載置する載置テーブル60Bを、垂直方向に伸縮可能なエアバッグ90にて保持し、図示しないエア供給・排出手段からエアの供給・排出量を調整して、育苗床4を載置する載置テーブル60Bを昇降可能な構造としてもよい。
また、上記実施形態では、扉体15に覗き窓54を設ける場合について説明したが、覗き窓54は必ずしも設ける必要はなく、断熱パネル10にて扉体15を構成してもよい。
この発明に係る育苗装置の一例を示す斜視図である。 上記育苗装置の概略断面図である。 上記育苗装置の縦断面図である。 上記育苗装置の横断面図である。 この発明における光源を示す分解斜視図(a)及び光源の透明カバーの一部拡大断面図(b)である。 上記光源の取付状態の一形態を示す斜視図である。 上記光源の取付状態の別の形態を示す斜視図である。 上記光源の取付状態の更に別の形態を示す斜視図である。 この発明における育苗床の異なる配置状態を示す斜視図である。 この発明における育苗床の更に別の配置状態を示す斜視図である。 この発明に係る育苗床の一例を示す断面図である。
符号の説明
1 庫体
2 LED照明器(光源)
3 コントローラ(制御手段)
4 育苗床
5 光センサ
7 植物
8 棚受け部
10 断熱パネル
11 表面板
11a 鏡面
12 枠体
13 断熱材
20 LED(発光素子)
21 LED集合群
40 育苗箱
41 定着層
42 保水層
52 シールパッキン
60 棚板
60A,60B 載置テーブル
62 棚受けピン
65 ガイドローラ
80 巻き上げ機
83 ねじ軸
85 ねじ筒
86 ガスシリンダ
87 支持脚
90 エアバッグ

Claims (9)

  1. 植物を発芽,育成するための育苗装置であって、
    植物及びその種子を配置した育苗床を収容する庫体と、この庫体内に向かって光を照射する光源とを具備し、
    上記庫体は、一対の表面板と、これら表面板の周囲に配置された枠材と、両表面板と枠材で形成された空間内に充填された断熱材からなる断熱パネルにて形成される箱体と、この箱体の開口部を開閉する断熱性を有する扉体とからなり、
    上記光源は、発光素子の集合群からなる、
    ことを特徴とする育苗装置。
  2. 請求項1記載の育苗装置において、
    上記発光素子は、青色光,緑色光,赤色光又は赤外光を発する発光ダイオードである、ことを特徴とする育苗装置。
  3. 請求項1又は2記載の育苗装置において、
    上記庫体を構成する断熱パネルの庫内側の表面板が鏡面を有している、ことを特徴とする育苗装置。
  4. 請求項3記載の育苗装置において、
    上記鏡面は銀鏡塗装によって形成される、ことを特徴とする育苗装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の育苗装置において、
    上記庫体の内壁に複数の棚受け部を設け、これら棚受け部に育苗床又は光源を載置可能に形成してなる、ことを特徴とする育苗装置。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の育苗装置において、
    上記育苗床と光源とを相対的に接離移動可能に形成してなる、ことを特徴とする育苗装置。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載の育苗装置において、
    上記表面板及び枠材に抗菌剤を塗布又は含有してなる、ことを特徴とする育苗装置。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載の育苗装置において、
    上記光源の光量及び波長を制御する制御手段を更に具備してなる、ことを特徴とする育苗装置。
  9. 請求項1ないし8のいずれかに記載の育苗装置において、
    上記育苗床は、多孔質のシート材からなる定着層と、この定着層の表面に積層されるゲル状の保水層とを具備し、上記多孔質シート材に銀を付着してなる、ことを特徴とする育苗装置
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