JP4811837B2 - 脱水装置 - Google Patents

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Description

本発明は、密閉構造で下端に開閉式の底部ハッチを有する円筒形状のボディの内部に、側壁に多数の分離孔を備えている分離器が同心円状に配置されている脱水装置に関する。この脱水装置では、前記分離器内に充填した汚泥を液体と脱水汚泥とに分離し、当該脱水汚泥を前記底部ハッチを開けて下方向に向けて排出する。
また、本発明は、前記脱水装置により汚泥、例えば、粒子を多く含む汚泥から液体を分離する方法に関する。
浄水の工程において、残留物は粒子形状で生成され、そのほとんどは、水分含有量の多い、いわゆる汚泥と呼ばれる最終物になる。前記汚泥の性質は、洗浄工程で分離された物質及び洗浄工程によって大きく異なる。例えば、食品産業での洗浄工程から発する食物廃棄物は、動物に欠かせない栄養素であるたんぱく質になるかもしれない。一方、工業や鉱業等から発する廃棄物は適切な処理が必要な有害物質になるものが多い。
一般的に、全ての工程において、発生した廃棄物すなわち汚泥は容量が少なく、軽量であることが望ましい。これは、汚泥からできるだけ水分を取り除き、残留物を凝縮することによって達成される。
前記のような課題を解決するために様々な脱水装置に関する発明が存在する。中でも粒子を多く含んだ汚泥からバッチ式により流体を分離する脱水装置の発明が提案されている。しかし、数々の汚泥に対して脱水機能がすべて適切に働くとは限らないという問題点があった。
EP0883576公報
密閉構造で下端に開閉式の底部ハッチを有する円筒形状のボディの内部に、側壁に多数の分離孔を備えている分離器が同心円状に配置され、該分離器内に充填した汚泥を液体と脱水汚泥とに分離し、該脱水汚泥を前記底部ハッチを開けて下方向に向けて排出する脱水装置には、従来、いくつかの問題点があった。
例えば、様々な汚泥に対して脱水機能が効果的に働かないことがあるという問題点があった。また、脱水が行われたとしても残留物である脱水汚泥が分離器に付着し、効果的な除去ができないという問題点もあった。
これらの問題点を解決するために、分離器及び分離器内の側壁に設けられている分離孔の設計の見直しがなされている。しかし、いまだ十分な解決には至っていない。
本発明は、上述した脱水装置において、様々な汚泥に対して脱水機能を効果的に発揮させ、残留物である脱水汚泥を分離器に付着させずに効果的に除去することを目的にしている。
請求項1記載の発明は、
密閉構造で下端に開閉式の底部ハッチを有する円筒形状のボディの内部に、側壁に多数の分離孔を備えている分離器が同心円状に配置され、該分離器内に充填した汚泥を液体と脱水汚泥とに分離し、該脱水汚泥を前記底部ハッチを開けて下方向に向けて排出する脱水装置であって、
前記分離器の内側に配置されていて、前記分離器の内部中央に流体が供給されることにより前記汚泥を前記側壁の方向に圧縮し、前記分離孔を介して液体と脱水汚泥とに分離させる圧搾ベローと、
前記分離器の内部中央への前記流体の給排を制御することにより、前記圧搾ベロー内部の圧力を制御する弁機構と
前記底部ハッチが開けられたときに前記分離器から下方向に向けて前記脱水汚泥を排出するために、前記脱水汚泥の上側に対して下方向に向かう力を供給する外力供給手段と
を備え
前記弁機構は、前記汚泥の種類に応じて、前記圧搾ベロー内部の圧力を制御することにより、
脱水処理する汚泥が前記分離器の内部に充填される際に、あらかじめ前記圧搾ベロー内部の圧力を高め、前記汚泥が充填される間その圧力を維持する機能と、
前記汚泥の前記分離器内部への充填後、前記圧搾ベロー内部の圧力をさらに高め、前記圧搾ベローを拡張させることで前記汚泥を圧縮し、前記汚泥から液体を分離させる機能と
を有する
ことを特徴とした脱水装置である。
請求項2記載の発明は、
前記分離器の側壁の内壁表面及び/又は分離孔に平滑処理が施されていることを特徴とする請求項1記載の脱水装置である。
請求項3記載の発明は、
前記外力供給手段は、前記底部ハッチを開けて前記脱水汚泥を下方向に向けて排出する際に、前記脱水汚泥の上部表面に対して均一に、下方向に向かう力を瞬間的に与えるものであることを特徴とした請求項1又は2記載の脱水装置である。
請求項4記載の発明は、
前記外力供給手段は環状ディスク型をしていることを特徴とした請求項3記載の脱水装置である。
請求項5記載の発明は、
前記外力供給手段は環状の可撓性を有する管状体であって、前記脱水汚泥の上部表面に対して均一に下方向に向かう力を瞬間的に与える際に、前記管状体内に急速に流体が供給され、前記管状体が瞬間的に膨張するものであることを特徴とした請求項3記載の脱水装置である。
この発明によれば、上述した脱水装置において、様々な汚泥に対して脱水機能を効果的に発揮させることができ、残留物である脱水汚泥を分離器に付着させずに効果的に除去することができる。
本発明の脱水装置の一例の内部構造を説明する断面図。 (a)汚泥充填前の予備加圧が行われている状態の正面断面図、(b)汚泥充填中の正面断面図。 (a)汚泥を圧縮し液体を分離している状態の正面断面図、(b)液体分離後、圧搾ベローを収縮させている状態の正面断面図。 底部ハッチを開き脱水汚泥を排出している状態の正面断面図。
1 脱水装置
2 分離器
3 外力伝達手段
4 外力発生手段
5 外力供給手段
6 圧搾ベロー
7 弁機構
8 底部ハッチ
9 開閉装置
10 側壁
11 分離孔
12 汚泥流入管
13 排水集水スペース
14 排水管
15 センサー
16 通気管
18 通気孔
19 ボディ
20 汚泥
本発明の脱水装置は、密閉構造で下端に開閉式の底部ハッチを有する円筒形状のボディの内部に、側壁に多数の分離孔を備えている分離器が同心円状に配置され、該分離器内に充填した汚泥を液体と脱水汚泥とに分離し、該脱水汚泥を前記底部ハッチを開けて下方向に向けて排出するものである。
本発明は、このような脱水装置において、底部ハッチが開けられた分離器から下方向に脱水汚泥を排出するために、脱水汚泥の上側に対して下方向に向かう力を供給する外力供給手段を備えている点に第一の特徴を有する。
分離器に脱水処理すべき汚泥を充填し、液体を汚泥から分離させる。その後、分離器下方の底部ハッチを開き、外力供給手段によって、分離器内に残留した脱水汚泥の上側に対して下方向に向かう力、すなわち外力を供給する。
これによって、脱水汚泥はその自重と外力とにより落下する。こうして、本発明は、脱水時に分離器内の側壁に付着物が付着する量を減少させることに成功した。
脱水汚泥は水分が少ない固形物の形態をしている。この脱水汚泥に加える下向きの外力は長時間作用させる必要はなく、瞬時に加えるだけで十分である。分離器下方の底部ハッチが開くことにより、脱水汚泥は自重によって落下しようとする。そこで、脱水汚泥に加える下向きの外力を生じさせるために大きなエネルギーを必要としない。また、分離器の下側に脱水汚泥運搬用のコンテナなどを配置しておき、その中に脱水汚泥を落下させることにより、分離器から排出した脱水汚泥の運搬を容易にできる。
外力供給手段は、底部ハッチを開けて脱水汚泥を下方向に向けて排出する際に、脱水汚泥の上部表面に対して均一に、下方向に向かう力を、瞬間的に与えるものである。
本発明の第二の特徴は、分離器の内側に配置されていて、分離器の内部中央に流体が供給されることにより汚泥を分離器の側壁の方向に圧縮し、前記側壁の分離孔を介して液体と脱水汚泥とに分離させる圧搾ベローと、分離器の内部中央への流体の給排を制御することにより、圧搾ベロー内部の圧力を制御する弁機構とを備えている点にある。
前記弁機構は、圧搾ベロー内の圧力を制御することにより、脱水処理する汚泥が分離器の内部に充填される際に、あらかじめ圧搾ベロー内部の圧力を高め、汚泥が充填される間その圧力を維持するように機能する。
また、弁機構は、汚泥の分離器内部への充填後、汚泥の種類に応じて、圧搾ベロー内部の圧力をさらに高め、圧搾ベローを拡張させることで汚泥を圧縮し、汚泥から液体を分離するように機能する。
これによって、圧縮してもあまり容積が小さくならない汚泥に対しても脱水機能をより効果的に働かせることができるようになった。ここで、圧縮してもあまり容積が小さくならない汚泥は圧縮率が小さい汚泥である。一般的に、無機物を多く含む汚泥は圧縮率が小さい。
また、弁機構が前記のように機能することにより、分離器内に汚泥が溜るという問題点を、たとえ圧縮率の小さい汚泥が多く含まれている場合でも、最小限に抑えることができるようになった。
前述したように、本発明の脱水装置は、円筒形状のボディの内部に、側壁に多数の分離孔を備えている分離器が同心円状に配置され、圧搾ベローが分離器の内側に配置されている。
そこで、前述した外力供給手段は環状であることが望ましい。たとえば、環状のディスク型をしている外力供給手段を採用できる。
このような環状の外力供給手段に対して、外力発生手段から外力伝達手段を介して空圧、油圧、電気、手動若しくは他の動力により、脱水汚泥の上部表面に対して均一に、鉛直下方向に向かう力を、瞬間的に与える。
外力供給手段は環状の可撓性を有する管状体にすることができる。この場合、外力伝達手段を介して外力発生手段から前記管状体内に急速に流体が供給され、前記管状体が瞬間的に膨張する。これによって、脱水汚泥の上部表面に対して均一に下方向に向かう力を瞬間的に与える。
前記の環状の可撓性を有する管状体としては、柔軟性のあるチューブ、例えばゴムチューブを採用できる。このようなチューブは構造が単純で、チューブ全体に等しく力を供給できるという利点がある。
なお、圧搾ベロー内の圧力制御に用いられる流体を前記チューブに分配すればより効率的である。
本発明の第三の特徴は、前記分離器の側壁の内壁表面及び/又は分離孔に平滑処理が施されている点にある。これによって、分離器と脱水汚泥との付着力を弱め、脱水汚泥を分離器から容易に排出できる。分離器の側壁の内壁表面及び/又は分離孔に施される平滑処理としては、分離器の内壁表面を平滑にするバフ研磨などの金属表面加工を採用できる。また、分離器の内壁表面及び/又は分離孔にフッ素樹脂コーティングを施すこともできる。
本発明の脱水装置によれば次のように脱水工程が行われる。
初めに充填工程で分離器内に脱水処理する汚泥を必要とされるレベルまで供給し、充填する。なお、汚泥が分離器内に充填される際、あらかじめ圧搾ベロー内部の圧力を高め、汚泥が充填される間その圧力を維持する。
汚泥供給後、分離工程では、分離器内の側壁に向かって汚泥に圧力を加えるように圧搾ベローを拡張させる。この圧搾ベローの拡張は、弁機構の制御により可能である。汚泥に圧力が加わることにより、分離器の側壁に設けられた分離孔を通して、分離器から液体を排出する。このような充填と液体の排出を、汚泥の濃縮脱水が十分なレベルに達するまで一回または複数回行う。
次に分離器の下方に位置する底部ハッチを開く。開いたら脱水汚泥を分離器から排出するために、外力供給手段により、脱水汚泥の上部表面に対して均一に、下方向に向かう力(すなわち、外力)を、瞬間的に与える。この外力と脱水汚泥の自重によって脱水汚泥は落下し、分離器から排出される。
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施例を説明する。
図1は本発明の脱水装置の一例の内部構造を説明する断面図である。
脱水装置1は、密閉構造で下端に開閉式の底部ハッチ8を有する円筒形状のボディ19の内部に、分離器2が同心円状に配置されているものである。分離器2の内部には圧搾ベロー6及び通気管16が同軸上に設置されている。
分離器2は側壁10を備えている。側壁10の形状は図2図示のように円錐型である。側壁10には汚泥から液体を分離させる分離孔11が多数設けられている。分離孔11は、脱水処理対象となる汚泥の種類によって、それぞれ最適な数及び形状が定められている。
側壁10は図2図示のように、上端側から下端側に向かって次第に径が大きくなっている。側壁10の最大直径はボディ19の内径よりわずかに小さい。側壁10の下端は図4図示のようにボディ19の内側の底板に接続している。側壁10とボディ19の内側との間には汚泥から分離された液体を溜める排水集水スペース13が設けられている。
圧搾ベロー6は分離器2内に同心円状に配置され、気体もしくは液体のような流体が圧搾ベロー6内部に供給されると、ゴムのように拡張する材質で構成されている。例えば、可撓性を有する部材で圧搾ベロー6を形成することができる。
通気管16が圧搾ベロー6の内部中心に位置している。通気管16には通気孔18が存在している。通気孔18を通して流体が通気管16から圧搾ベロー6内へ供給され、逆に、圧搾ベロー6内から通気管16内に排出される。こうして、流体は通気孔18を介して、通気管16内から圧搾ベロー6内へ、逆に、圧搾ベロー6内から通気管16内へ自由に行き来できる。
通気管16は、図示のように圧搾ベロー6内部を貫通し、その下端は圧搾ベロー6の下面に接続している。通気孔18は通気管16の側壁全体に亘り設けられる。通気孔18の総面積は、通気管16の断面積よりも大きい。
通気管16には、その上方に弁機構7が設置され、弁機構7によって圧搾ベロー6内への流体の出入りが制御される。弁機構7は圧搾ベロー6内部の流体の圧力のコントロールと保持に使用される。弁機構7の形状は、本実施形態においては、バタフライ型の弁を使用している。後述する弁機構7に要求される動作を実行できるものであればどの種類の弁でも使用できる。
脱水装置1には、汚泥20を取り込むために汚泥流入管12が取り付けられている。汚泥流入管12から汚泥が側壁10と圧搾ベロー6によって隔てられた空間に導かれ(図2(b))、充填される。
ボディ19の外周下方には、脱水装置1によって分離した液体を排出するために排水管14が取り付けられている。また分離器2上方には汚泥の充填完了に反応する信号を発信するセンサー15が付設されている。
ボディ19の底部は、底部ハッチ8との接触圧力に対応できるフランジで構成される。底部ハッチ8は近接されている開閉装置9により機械的に作動させることが可能である。また底部ハッチ8は、ボディ19及び分離器2の底部全体を覆う。底部ハッチ8が図4図示のように開放位置にあると、脱水装置1下方を完全に開放状態にする。
本発明では外力供給手段5が設けられている。外力供給手段5は、脱水処理完了後、脱水装置1における分離器2の内部を空の状態にするため、脱水汚泥に対して、脱水汚泥の上側から下方向に向かう力を直接与える。
図1において外力供給手段5は、外力伝達手段3を介して外力発生手段4に接続されている。
外力供給手段5の主な目的は、汚泥が脱水され、底部ハッチ8が開放された時、脱水汚泥が側壁10に付着することなく分離器2の内部を空の状態にすることである。
分離器2は図示の形状・構造をしていることが望ましい。すなわち、分離器2は短いコーン型の形状をしている。また、図2〜図4図示のように、上部表面の面積は、下部表面の面積よりも小さい。
外力供給手段5は、脱水汚泥の上部表面に対して均一に、下方向に向かう力を付与する。図示の実施形態では、脱水装置1は円筒形状のボディ19によって構成され、ボディ19の内部に円錐型の分離器2が同心円状に設置されている。そして、分離器2の内部に圧搾ベロー6及び通気管16が同軸上に設置されている。そこで、外力供給手段5は環状の形状をしていることが、脱水汚泥の上部表面に対して均一に、鉛直下方向に向かう力を付与する上で望ましい。
環状の外力供給手段5としては、環状ディスク状や、環状で板状のものが採用できる。
環状ディスク状や、環状で板状の外力供給手段5を脱水汚泥の上部表面に接触させ、脱水汚泥の上部表面に対して均一に、下方向に向かう力を付与する。
外力供給手段5に対して外力伝達手段3を介して外力を供給する外力発生手段4は、空圧、油圧、電気、手動若しくは他のどんな動力によって外力を供給するものでもよい。
外力発生手段4は、外力供給手段5が脱水汚泥の上部表面に対して均一に下方向に向かう力を付与するように、必要な外力を、外力伝達手段3を介して外力供給手段5に供給できるものであればよい。
外力供給手段5から脱水汚泥の上部表面に対して付与される下方向に向かう力は、瞬間的で、短時間で働き、かつ適度の強さであることが望ましい。外力の適度の強さとは、その強さが、脱水汚泥の分離孔11及び側壁10への付着力を上回り、側壁10から脱水汚泥が剥離し、落下することにより脱水汚泥の排出を可能にするものである。
なお、前述したように、底部ハッチ8が開くことにより、脱水汚泥は自重によって落下しようとする。そこで、前記の適度の強さの外力を発生させるために、外力発生手段4が外力伝達手段3を介して外力供給手段5に供給するエネルギーは小さなものでよい。
外力供給手段5として環状の可撓性を有する管状体を採用できる。例えば、ゴムチューブのように、柔軟な環状のチューブを外力供給手段5として採用できる。
外力供給手段5として環状の可撓性を有する管状体を採用する場合、外力発生手段4から外力伝達手段3を介して急速に気体などの流体を当該管状体内に供給する。管状体内に急速に供給された流体により、当該管状体が一気に膨張する。これによって、脱水汚泥の上部表面に対して均一に、下方向に向かう力が、瞬間的に、短時間で、かつ適度の強さで働く。
なお、この場合、外力伝達手段3も可撓性を有する管状体にすることができる。
分離器2の内壁即ち側壁10の内壁表面及び/又は分離孔11を平滑処理することで脱水汚泥を分離器2から一層容易に剥離させることができる。
例えば、側壁10の内壁表面にバフ研磨などの金属表面加工を施す。あるいは、フッ素樹脂コーティングを側壁10の内壁表面及び/又は分離孔11に施す。これによって、脱水汚泥と分離器2の側壁10との間の付着力を弱め、脱水汚泥を分離器2から一層容易に排出することができる。
弁機構7は、圧搾ベロー6内への流体の出入りを制御し、脱水処理する汚泥20が分離器2の内部に充填される際に、圧搾ベロー6内部の圧力を高め、汚泥20が充填される間その圧力を維持するように機能する。
また、弁機構7は、圧搾ベロー6内への流体の出入りを制御し、汚泥の充填後、汚泥の種類に応じて、圧搾ベロー6内部の圧力をさらに高め、圧搾ベロー6を拡張させて分離器2の側壁10に向かって汚泥20を圧縮する。こうして、側壁10に設けられた分離孔11を通して汚泥20から液体を分離する。
また、弁機構7は、圧搾ベロー6内への流体の出入りを制御し、圧搾ベロー6の膨張した形状を維持すると共に、汚泥20による水平方向(図2(a)中、左右方向)の圧力で圧搾ベロー6が分離器2の内部中央側に向けて圧縮されるのを防ぐ。
仮に圧搾ベロー6が分離器2の内部中央側に向けて圧縮され、圧搾ベロー6の容積が減少すると、分離器2を空にする際に脱水汚泥が分離器2の開口部の直径を超えてしまい、分離器2を空にする際に困難が起こるおそれがある。
従来は、圧縮率が小さい汚泥の場合、分離器2内に充填された汚泥20に対して圧搾ベロー6が均一に圧力を加えることが困難になることがあった。このようになると、脱水工程が非効率となってしまい、場合によっては、脱水装置の破損も引き起こすこともあった。
本発明によれば、上述したように、弁機構7が、圧搾ベロー6内への流体の出入りを制御し、圧搾ベロー6の膨張した形状を維持する。また、弁機構7が、圧搾ベロー6内への流体の出入りを制御し、汚泥20による分離器2の内部中央側に向かう水平方向(図2(a)中、左右方向)の圧力で圧搾ベロー6が圧縮されるのを防止する。
これによって、圧縮率が小さい汚泥であっても、圧搾ベロー6が均一に圧力を加え、脱水工程が効率的になる。そこで、汚泥20の充填工程で脱水装置が破損することはなくなる。
また、圧縮率の小さい汚泥に対しても脱水機能をより効果的に働かせることができるようになる。更に、分離器2内に汚泥が溜るという問題点を、たとえ圧縮率の小さい汚泥が多く含まれている場合でも、最小限に抑えることができる。
脱水装置1の内部には不図示の洗浄ノズルが設けられており、分離器2内部を空の状態にした後、分離器2内部を洗浄する。
図2(a)で示すのは、圧搾ベロー6の内部中央に配置されている通気管16を通して、圧搾ベロー6内部を事前に流体で加圧している状態である。脱水装置の運転を最適化するため、圧搾ベロー6内に注入する流体の量及び圧搾ベロー6内の圧力は、脱水対象の汚泥20に対応させて、脱水前に汚泥20の密度等の物理量によって算出される。
必要量の流体が、圧搾ベロー6内部に満たされ、加圧されたら弁機構7で圧搾ベロー6内を密閉する。汚泥20の充填工程の間この状態が維持される。
図2(b)で示すのは、分離器2に汚泥20を充填する工程である。汚泥流入管12を通しての分離器2への汚泥20の投入は、必要な充填レベルまで達するとセンサー15によって検知され、充填が中断される。ここで分離器2の側壁10の分離孔11から流出した液体は、ボディ19と分離器2との間に隔てられた排水集水スペース13に流出し、さらに排水管14から外界へ排出される。すると液体の排出により、前もって決められた充填レベルから汚泥20の容積が減少するので、該充填レベルに達するまで再び汚泥20が充填される。流出する液体が少なくなる段階まで、汚泥20の充填と充填の中断が、汚泥20の濃縮度によって予め定められている回数(例えば、一回又は複数回)行われる。
汚泥20の性状が圧搾される必要のあるものなら、汚泥20は圧搾ベロー6の拡張による圧搾脱水工程に移行する。
図3(a)はその圧搾脱水工程を示す。前記充填工程で行われた予備加圧と同様に、弁機構7により圧搾ベロー6内への流体の出入りを制御し、通気管16及び通気孔18を介して圧搾ベロー6内を流体で満たす。こうして、圧搾ベロー6を水平方向に、すなわち、径方向外側に向けて、拡張させる。
拡張した圧搾ベロー6は、分離器2内の汚泥20を側壁10に向かって押し付け、分離器2内の汚泥20に圧力を加える。これによって押圧された汚泥20から液体が、側壁10の分離孔11を通して、排水集水スペース13に流出し、さらに排水管14から外界へ排出される。
図3(b)に示すのは、圧搾圧力の開放工程である。圧搾ベロー6内の流体は、圧搾脱水工程が完了した後、弁機構7を開き、通気管16の通気管18を通して、図3(b)に矢印で示すように、外部に放出される。これにより、圧搾ベロー6の容積が減少する。
圧搾ベロー6内部を加圧するために使用される流体としては空気を採用できる。空気は、他の流体に比し、取扱が容易で、技術的処置を要しないからである。
図4に示すのは、脱水汚泥の排出工程である。必要な排水がなされ、圧搾も完了した後、開閉装置9により底部ハッチ8を開くと、脱水汚泥は自重により落下しようとする。
この際、外力発生手段4から外力伝達手段3を介して急速に気体などの流体を環状の可撓性を有する管状体からなる外力供給手段5に供給する。これにより、外力供給手段5から脱水汚泥の上部表面に対して均一に、下方向に向かう力が、瞬間的に与えられる。前記の外力は瞬間的に作用し、分離器2の側壁10から脱水汚泥を剥離させ、脱水汚泥は前記外力と重力により落下し、外界へ排出される。こうして分離器2が空になる。
分離器2が空の状態になった後、底部ハッチ8を閉じると脱水装置1の内部は適度な時間、洗浄ノズルからの水で洗浄される。
脱水装置1で脱水できる汚泥の種類は多いので、前記脱水工程のいくつかは汚泥の種類によって除外されることもある。
例えば、圧搾ベロー6によって容易に圧搾される種類の汚泥(圧縮率の高い汚泥)に関しては、充填工程における圧搾ベロー6内の予備加圧をする必要がない。
一方、圧縮率の低い物質の含有率が高い汚泥に関しては、圧搾脱水工程での圧搾ベローの圧搾をしないこともある。
また、底部ハッチ8を開けることによって脱水汚泥が自重で落下する場合、外力供給手段5が不要になることもある。しかし、外力供給手段5を使用することによって脱水汚泥排出工程を迅速にすることが可能であり、脱水汚泥を分離器2から一層容易に分離させることができる。そこで、外力供給手段5の利用価値は高い。
本発明の脱水装置は、粒子を多く含む汚泥から液体をバッチ式により分離するのに適している。

Claims (5)

  1. 密閉構造で下端に開閉式の底部ハッチを有する円筒形状のボディの内部に、側壁に多数の分離孔を備えている分離器が同心円状に配置され、該分離器内に充填した汚泥を液体と脱水汚泥とに分離し、該脱水汚泥を前記底部ハッチを開けて下方向に向けて排出する脱水装置であって、
    前記分離器の内側に配置されていて、前記分離器の内部中央に流体が供給されることにより前記汚泥を前記側壁の方向に圧縮し、前記分離孔を介して液体と脱水汚泥とに分離させる圧搾ベローと、
    前記分離器の内部中央への前記流体の給排を制御することにより、前記圧搾ベロー内部の圧力を制御する弁機構と
    前記底部ハッチが開けられたときに前記分離器から下方向に向けて前記脱水汚泥を排出するために、前記脱水汚泥の上側に対して下方向に向かう力を供給する外力供給手段と
    を備え
    前記弁機構は、前記汚泥の種類に応じて、前記圧搾ベロー内部の圧力を制御することにより、
    脱水処理する汚泥が前記分離器の内部の前記圧搾ベローと前記分離器との間に充填される際に、あらかじめ前記圧搾ベロー内部の圧力を高め、前記汚泥が前記分離器の内部の前記圧搾ベローと前記分離器との間に充填される間その圧力を維持して、前記圧ベローが前記分離器の内部中央側に向けて圧縮され、前記圧ベローの容積が減少することを防止し
    前記汚泥の前記分離器内部への充填後、前記圧搾ベロー内部の圧力をさらに高め、前記圧搾ベローを拡張させることで前記汚泥を圧縮し、前記汚泥から液体を分離させ
    ように制御され
    ことを特徴とした脱水装置。
  2. 前記分離器の側壁の内壁表面及び/又は分離孔に平滑処理が施されていることを特徴とする請求項1記載の脱水装置。
  3. 前記外力供給手段は、前記底部ハッチを開けて前記脱水汚泥を下方向に向けて排出する際に、前記脱水汚泥の上部表面に対して均一に、下方向に向かう力を瞬間的に与えるものであることを特徴とした請求項1又は2記載の脱水装置。
  4. 前記外力供給手段は環状ディスク型をしていることを特徴とした請求項3記載の脱水装置。
  5. 前記外力供給手段は環状の可撓性を有する管状体であって、前記脱水汚泥の上部表面に対して均一に下方向に向かう力を瞬間的に与える際に、前記管状体内に急速に流体が供給され、前記管状体が瞬間的に膨張するものであることを特徴とした請求項3記載の脱水装置。
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