JP4811568B2 - パターン寸法計測方法およびパターン寸法計測装置 - Google Patents

パターン寸法計測方法およびパターン寸法計測装置 Download PDF

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Description

本発明は、フォトマスク、EUV(Extreme Ultra Violet:極端紫外光)マスク、電子線マスク等の半導体リソグラフィ用マスクおよび半導体デバイス等の微細なパターン寸法の計測方法およびパターン寸法計測装置に関する。
半導体デバイスの高集積化に伴い、半導体デバイスの微細パターンの設計ルールは90nmの世代から65nm、45nmの世代へと開発が進められている。これらのマスクやデバイスの微細パターンの寸法を計測するには、走査型電子顕微鏡と共に原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:以後、AFMと記す)を用いたパターン寸法測定機(AFM型寸法測定機)が利用されている。特にAFMは、大気圧下で高分解能を有する顕微鏡であり、観察対象が導電性試料だけでなく、金属蒸着のような前処理なしにレジスト等の絶縁性試料も測定することができ、試料表面の高さ方向の情報も高分解能で得られるので、微細なパターン寸法の計測に適している。
図12に、従来のAFM型寸法測定機の一例としての測定原理図と、測定用の探針周辺の模式図を示す。図12(a)に示すように、片持ち梁(カンチレバーと称する)構造を有する微小な探針121を試料122に徐々に近づけていくと、ある距離で両者の間に引力あるいは斥力が働き、探針121を備えたカンチレバー123に歪みが生じる。歪みはカンチレバー123の背面に当てられたレーザ光124の反射角の変化により光センサー125で検出され、探針121を試料122表面で走査したときにカンチレバー123の歪み量が一定となるように、探針121と試料122間の距離が制御される。試料122表面の走査(X方向、Y方向)と、探針121と試料122間の距離の制御(Z方向)はピエゾスキャナー126により行われ、各スキャナーに印加された電圧を解析処理することで試料122表面の像が得られる。測定に用いる探針121は、図12(b)に示すように、シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン、ポリシリコン、カーボンナノチューブ、あるいはダイヤモンド等で作製され、長さ約3〜30μm程度、先端曲率半径5〜15nmと非常に微細でカンチレバー123上に設けられる。
しかしながら、従来のAFM型寸法測定機による半導体デバイスのパターン寸法測定は、ラインやスペース等の直線パターンの計測は精度良くできたが、円柱形状のドットパターンや円柱穴形状のホールパターン等の非直線パターンの最大幅を正確に計測することが困難であるという問題があった。
図13は、AFM型寸法測定機において、ドットパターン131を寸法測定する従来のパターン寸法計測方法を説明する上面模式図である。AFM型寸法測定機によるドットパターンやホールパターンの寸法計測において、正確に計測することが困難である最大の理由は、図13に示すように、AFMの探針の走査ライン132が、AFMの探針の間引き走査方式により、パターン最大幅を的確に捉えることができなかったことにあった。すなわち、図13において、ドットパターンの直径aがパターンの本当の最大幅でありドットパターン寸法であるのに対し、間引き走査することにより、計測値上の最大幅であるLをドットパターンの寸法としてしまうという問題があったことによる。この問題は、AFMの探針の走査線数を増やすことにより、計測値の正確性をより高くすることができるが、検査時間の増大につながり、実用的に問題であった。
一方、梁構造の触針を用いた微細表面形状測定装置が開示されている(特許文献1参照)。図14(a)に、特許文献1に示される測定装置の触針141周辺の部分模式図を示す。上記の表面形状測定装置においては、図14(b)に示すように、梁構造の触針141を制御させるスキャンヘッド144を、円柱形状のパターンである測定対象145の周りに360度回転させることで、微細表面の形状測定が可能である。
しかしながら、特許文献1に記載された図14に示すような表面形状測定装置による寸法計測では、基板面に垂直方向(Z方向とする)に対して触針の振動を行わないため、被計測パターンの底部を正確に特定することができず、パターンの高さ計測が困難となる。そのため、前記の図13に示すAFM型寸法測定機ではZ方向にも探針を振動することにより、パターン高さを高精度に計測できるのに対し、図14に示す特許文献1の表面形状測定装置は、例えば、パターン高さの50%位置での寸法計測というような厳密な計測が実施できないという問題があった。
特開2000−97691号公報
上記のように、円柱形状のドットパターンあるいは円柱穴形状のホールパターン等の非直線パターンの寸法計測方法において、従来のAFM型寸法測定機による従来の寸法計測方法は、パターンの高さは計測できるものの、パターンの最大幅を正確に計測することが困難であるという問題があり、また、特許文献1に記載されるような触針式の表面形状測定装置による寸法計測方法では、被計測パターンの底部を正確に特定することができないため、パターン高さの位置を特定した状態での厳密な計測が実施できないという問題があった。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、AFM型寸法測定機による寸法計測方法において、円柱形状のドットパターンや円柱穴形状のホールパターン等の非直線パターンの最大幅寸法を正確に計測するパターン寸法計測方法を提供するものであり、また、その計測方法を行い得るパターン寸法計測装置を提供するものである。
請求項1の発明は、基板表面に垂直方向に励起振動する探針をカンチレバーに設けた原子間力顕微鏡で前記基板表面のパターンを寸法計測するパターン寸法計測方法において、前記探針の走査方向にほぼ垂直方向で、かつ前記基板表面に平行に前記探針を正弦波状またはジグザグ状に一定の振幅で振動させて前記パターンのエッジを検出し、前記探針が、前記パターンのエッジを検出した後、前記走査方向と直交する方向に一定距離移動し、再び走査し、前記パターンの前記エッジと異なるエッジを検出する動作を繰り返して寸法計測することを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1に記載のパターン寸法計測方法において、前記カンチレバー全体を、前記探針の走査方向にほぼ垂直方向で、かつ前記基板表面に平行に振動させることにより、前記探針を振動させることを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1または請求項2に記載のパターン寸法計測方法において、前記探針の前記基板表面に垂直方向の励起振動が前記探針の共振周波数付近であり、前記探針の走査方向にほぼ垂直方向で、かつ前記基板表面に平行な前記探針の振動が、前記共振周波数よりも低周波であることを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のパターン寸法計測方法において、前記パターンが非直線パターンであり、該非直線パターンの最大幅を寸法計測することを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のパターン寸法計測方法において、前記パターンが非直線パターンであり、前記探針が前記非直線パターンの最外周に沿って走査され、前記非直線パターンの最外周輪郭を特定することを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のパターン寸法計測方法において、前記パターンが直線パターンであり、該直線パターンのエッジ粗さを寸法計測することを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のパターン寸法計測方法において、前記基板が半導体リソグラフィ用マスク基板または半導体デバイス基板であり、前記パターンがドットパターンまたはホールパターンであることを特徴とする。
請求項8の発明は、基板表面に垂直のZ方向に励起振動する探針をカンチレバーに設けた原子間力顕微鏡で前記基板表面のパターンを寸法計測するパターン寸法計測装置において、前記カンチレバーに接して前記探針をX方向およびY方向に正弦波状またはジグザグ状に一定の振幅で振動させる振動手段と、前記探針をZ方向に励起振動させる振動手段と、前記探針の歪を検出する検出手段と、検出された歪み量が一定となるように前記探針をZ方向に制御する制御手段と、前記探針と前記パターンとの相対的な位置決めをする移動手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明のパターン寸法計測方法によれば、ドットパターンやホールパターン等の非直線パターンの最大寸法を、迅速かつ正確に寸法計測ができるようになる。
また、探針のX方向振動の振幅を調整することで、パターン外周に沿って探針を走査することが可能となり、非直線パターンのパターン寸法だけでなく、パターン最外周輪郭も示すことが可能となる。
また、本発明のパターン寸法計測方法によれば、直線パターンにおいても、パターンエッジ部に存在する微小な凸または凹欠陥も検出することができるようになり、直線パターンのパターンエッジの粗さを精度良く計測できる。
さらに、本発明のパターン寸法計測方法によれば、探針の走査回数を従来の方法よりも少なくすることができるので、検査時間が短縮され、探針の摩耗が抑えられ、計測検査コストの低減が可能となる。
本発明のパターン寸法計測装置によれば、従来のAFM型寸法測定機に比べ、非直線パターンの最大寸法を迅速かつ正確に寸法計測することが可能となる。また、検査時間が短縮され、探針の摩耗が抑えられ、計測検査コストの低減が可能となる。
以下、本発明のパターン寸法計測方法およびパターン寸法計測装置について、図面を参照して説明する。
(パターン寸法計測装置)
図1は、本発明のパターン寸法計測装置の構成図である。
図1に示すように、本発明のパターン寸法計測装置は、通常のAFM装置の構成に、新たにX方向とY方向の両方向、またはX、Yのいずれかの片方向に振動するX、Y方向振動ユニット19を搭載したものである。
本発明において、基板(被計測物)12の表面を探針11で走査するに際し、探針11の走査方向をY方向、探針11の走査方向に垂直で、かつ基板12表面に平行な方向をX方向、基板12表面に垂直な方向をZ方向と定義する。以後の説明においても、X、Y、Z方向は、上記の意味で用いる。
すなわち、本発明のパターン寸法計測装置は、カンチレバーに探針を設けた原子間力顕微鏡で基板表面のパターンを寸法計測するパターン寸法計測装置において、カンチレバー13に接して探針11をX、Y方向に振動させる振動手段であるX、Y方向振動ユニット19と、探針11をZ方向に励起振動させる振動手段と、探針11の歪を検出する検出手段である探針Z位置検出器15と、検出された歪み量が一定となるように前記探針11をZ方向に制御する制御手段16aと、探針11と基板12のパターンとの相対的な位置決めをする移動手段16bと、を備えたものである。
Z方向には、通常のAFM装置の原理に基づき、探針11が高周波共振(励起振動)する。X、Y方向の振動は、Z方向の共振周波数よりも低周波の振動を発生させる装置構成である。本発明のパターン寸法計測装置において、Z方向の励起振動周波数は、通常のAFMと同様に、200〜600kHzの範囲で用いられ、XおよびY方向の振動周波数は400kH以下とし、Z方向の共振周波数よりも低周波にするのが好ましい。本発明において、XおよびY方向の振動振幅は、1μm以下とするのが好ましい。
微小な探針11を有するカンチレバー13は、X、Y方向振動ユニット19に取り付けられている。すなわち、本発明のパターン寸法計測装置では、従来のAFM型寸法測定機のようにX、Y方向走査ユニットが基板側のステージに備わっているのではなく、走査ヘッドであるカンチレバー13側に備わっている。Z方向、X方向およびY方向は各々のピエゾスキャナー16a、16bで制御される。このような構成とすることにより、通常のAFM型寸法測定機では、1本のAFM探針走査につき、探針が走査された微細な走査線上に存在する立体情報しか得られないのに対し、本発明のパターン寸法計測装置は、1本のAFM探針走査ラインでも、X、Y振動ユニットの振幅範囲上に存在する立体情報を得ることができ、幅広い情報を得ることができる。
(パターン寸法計測方法)
図2は、本発明のパターン寸法計測方法を説明する説明図であり、基板(図2の紙面に
相当する)上のドットパターン21を上面から見た模式図である。探針(図示していない
)の走査ライン22(Y方向で紙面の下から上に走査)にほぼ垂直方向で、かつ前記基板
表面に平行(X方向)に前記探針を振動させ、ドットパターンのエッジを正確に検出して
寸法計測する方法を示すものである。図2には振動による探針の軌跡を一例として正弦波
状に示してあるが、振動はジグザグ状でもよく、一定の振幅で振動していれば、本発明
の寸法計測方法に用いることができる。振幅は計測するパターン寸法により変えること
ができる。
図3および図4は、本発明のパターン寸法計測方法における探針の動作と信号アウトプットを説明する説明図であり、ドットパターンを例にしている。本発明のパターン寸法計測装置において、フォトマスクや半導体ウェハ上のドットパターンの最大幅(直径R)を計測する際には、図3に示すように、探針31をX方向に振動させ、Y方向(紙面の上から下方向)に走査されている探針31が、ドットパターン32を検出していないときには、探針31のZ方向励起振動は正弦波を描いている。
一方、図4に示すように、走査されている探針31が、ドットパターン32のエッジa点を検出すると、Z方向励起振動の正弦波振幅に乱れが発生する。図4では、X方向振動が+X方向に振れたとき、探針31が原子間力を検出するため、Z方向励起振動が小さくなる様子を表している。
このとき、Z方向励起振動振幅が、設定値より小さくなった(Z方向励起振動振幅に、一定量の乱れが発生)ら、そのときの探針31の位置を、パターンエッジとして定義し、XYコントロールにより、−X方向へカンチレバー33に設けられた探針走査ヘッドが移動する。移動する距離は、設定値または、Z方向励起振動振幅が乱れを生じない状態の正弦波になるまで移動する。探針31は−X方向移動後、再度−Y方向への探針走査を実施し、a点と異なるパターンエッジb点を検出する。次いで、この動作を繰り返し、最終的にパターンの最大幅のエッジに相当するc点を検出する。
探針31はパターンエッジを検出したときには、エッジから離れるX方向に移動するように予め設定しておき、上記はパターンの左エッジに探針が接した場合を説明したが、探針31がパターンの右エッジに接した場合には、探針31は+X方向に移動する。同様にして、最終的にパターンの最大幅のエッジに相当する点を検出する。
上記のパターン寸法計測方法により、ドットパターンの直径寸法Rが容易に、かつ正確に計測される。図13で説明したように、従来技術では、ドットパターンのパターン最端部を検出するには、AFM探針の走査ラインの間隔を、非常に細かくする必要があり多大の計測時間を必要としたが、本発明では、AFM探針の走査間隔を、探針のX方向振幅程度にするだけでよく、AFM探針の走査数を少なくすることができ、計測時間の短縮が可能となる。
また、パターン設計値あるいは顕微鏡観察による概算値に基づいて、予めAFM探針の走査位置と走査間隔を設定しておくのが、計測時間の短縮と計測精度の向上の点から好ましい。
本発明の寸法計測方法において、AFM探針の振動方法を図5に示して説明する。図5に示すように、カンチレバー53全体を探針の走査方向(Y方向)にほぼ垂直方向(X方向)で、かつ基板表面に平行に探針を振動させることにより、探針を振動させて被対象物の基板、この場合はドットパターン51を計測する方法であり、探針を制御するピエゾ素子等でカンチレバー53全体を振動させ探針を振動させることができる。
本発明において、対象とする被計測物となる基板は、必ずしも限定されるものではないが、微細パターンを有する半導体デバイス基板、フォトマスク基板等の半導体リソグラフィ用マスク基板が好適である。基板は、製品である半導体デバイス、フォトマスクそのものだけではなく、それらの製造工程における中間段階の基板をも含むものである。また、寸法計測する対象物としては、金属薄膜等の導電物、ガラス等の絶縁物、電子線レジスト等の有機物が測定可能である。本発明において、計測するパターンとしては、ドットパターンやホールパターン等の非直線パターンが好適である。
次に、ドットパターンとホールパターンの計測例について説明する。
(ドットパターン計測例)
ドットパターン寸法を計測する場合、探針の動きにより2つの方式がある。
〔第一の方式〕
図6は、本発明のパターン寸法計測方法によるドットパターンの計測例を示す。このパターン寸法計測方法では、図3および図4で説明した原理により、Y方向(紙面の上から下)の探針走査と、走査ヘッドのX方向振動を組み合わせることにより、ドットパターンのX方向の最外周を検出することができる。また、Y方向の最外周の寸法計測をする場合には、X方向の探針走査と、走査ヘッドのY方向振動を組み合わせることにより計測される。
図6で、s6は設定した探針の走査間隔を示す。図6において、走査ライン1は、ドットパターン61のエッジは検出しない。走査ライン2は、探針がドットパターン61を検出した際、X方向ピエゾスキャナーにより針が−X方向に移動することを表している。探針が−X方向に移動し、パターンエッジを検出しなくなると、再度−Y方向への探針走査を行い、ドットパターン61の左エッジを検出する。走査ライン3は、探針がドットパターン61を検出した際、探針が+X方向に移動することを表し、次いで−Y方向への探針走査を行い、ドットパターン61の右エッジを検出する。このようにして、ドットパターンの最外周を特定し、最大幅を計測することができる。
〔第二の方式〕
また、図7は、本発明のパターン寸法計測方法における探針の別な動きを示す説明図であり、X方向振動の振幅を調整することで、パターン外周に沿って探針を走査することを表している。s7は設定した探針の走査間隔を示す。
図7において、走査ライン1は、ドットパターン71のエッジは検出しない。走査ライン2は、探針がドットパターン71を検出した際、X方向ピエゾスキャナーにより針が−X方向に移動することを表している。探針が−X方向に移動し、パターンエッジを検出しなくなると、再度−Y方向への探針走査を行い、ドットパターン71の左エッジを検出する。次いで探針はX方向振動により+X方向に移動し、再度−Y方向への探針走査を行い、ドットパターン71の外周に沿って順次走査される。走査ライン3は、探針がドットパターン71を検出した際、探針が+X方向に移動することを表し、次いで−Y方向への探針走査を行い、ドットパターン71の右エッジを検出し、走査ライン2同様に外周に沿って走査される。この第二の方式においては、最大幅パターン寸法だけでなく、ドットパターンの最外周輪郭を特定することができる。
さらに、上記の両方式とも、あらかじめ通常のラフな探針走査を実施し、おおまかなパターンエッジ位置を検出しておき、続いて詳細なエッジ検出するために、本方式で追加探針走査する方法も適用できる。
(ホールパターンの計測例)
ホールパターン寸法を計測する場合、探針の動きにより2つの方式がある。
〔第一の方式〕
図8は、本発明のパターン寸法計測方法によるホールパターンの計測例を示す。このパターン寸法計測方法では、図3および図4で説明した原理により、Y方向の探針走査と、走査ヘッドのX方向振動を組み合わせることにより、ホールパターンのX方向の最外周を検出することができる。Y方向の最外周の寸法計測をする場合は、X方向の探針走査と、走査ヘッドのY方向振動を組み合わせることにより計測される。
図8で、s8は設定した探針の走査間隔を示す。図8において、走査ライン1は、ホールパターン81のエッジは検出しない。走査ライン2は、探針がホールパターン81を検出し、さらに少し進行した後、X方向ピエゾスキャナーにより針が−X方向に移動することを表している。探針が−X方向に移動し、再びパターンエッジを検出すると、再度−Y方向への探針走査を行い、この動作を繰り返してホールパターン81の左エッジを検出する。次いで探針はX方向振動により+X方向に移動し、再度−Y方向への探針走査を行い、この動作を繰り返してホールパターン81の外周に沿って順次走査される。走査ライン3は、探針がホールパターン81を検出した際、探針が+X方向に移動することを表し、次いで−Y方向への探針走査を行い、ホールパターン81の右エッジを検出する。このようにして、パターンの最外周を特定し、最大幅を計測することができる。
〔第二の方式〕
また、図9は、本発明のパターン寸法計測方法における探針の別な動きを示す説明図であり、X方向振動の振幅を調整することで、パターン外周に沿って、ホールの内側から探針を走査することを表している。s9は設定した探針の走査間隔を示す。
図9において、走査ライン1は、ホールパターン91のエッジは検出しない。走査ライン2は、探針がホールパターン91を検出し、さらに少し進行した後、X方向ピエゾスキャナーにより針が−X方向に移動することを表している。探針が−X方向に移動し、再びパターンエッジを検出すると、再度−Y方向への探針走査を行い、この動作を繰り返してホールパターン91の左エッジを検出する。走査ライン3は、探針がホールパターン91を検出した際、探針が+X方向に移動することを表し、次いで−Y方向への探針走査を行い、ホールパターン91の右エッジを検出する。この第二の方式においては、最大幅パターン寸法だけでなく、ホールパターンの最外周輪郭を特定することができる。
さらに、上記の2つの方式とも、あらかじめ最初に通常のラフな探針走査を実施し、おおまかなパターンエッジ位置を検出しておき、続いて詳細なエッジ検出をするために、本方式で追加探針走査する方法も適用できる。
図10は、従来のパターン寸法計測方法による探針の走査間隔sと、計測対象物の設計半径rと探針による計測値との差dとを表したものであり、dは、図11に示すように、設計値と測定値の誤差を示すものである。図10において、計測対象物の直径(2r)が、260nmと65nmとの二通りの場合を例示している。
図10に示される通り、dの値を極力小さくして測定値の精度を高めようとするほど、探針の走査間隔sを小さくする必要があり、図11の関係式からも測定精度を向上するためには走査間隔sを小さくすることが示される。
例えば、d<0.3nmとしようとしたとき、従来の測定方法では、直径260nmの測定対象物では、探針の走査間隔を18nmに、65nmの測定対象物では、探針の走査間隔を9nm以下にする必要があることがわかる。走査間隔が小さくなるほど計測時間は長くなる。
これに対し、本発明のパターン寸法計測方法においては、X、Y方向振動ユニットの振幅によって、探針の走査本数を減らすことが可能となる。例えば、振幅を40nmに設定したとき、d<0.3nmとなる探針の走査間隔は、振幅の40nmを加算し、直径260nmおよび65nmの測定対象物に対して、それぞれ58nm、49nmとなり、上記の従来方法に比べ、大幅に測定時間の短縮が見込まれる。
今後、測定対象物の微細化が進むにつれて、従来のパターン寸法計測方法と本発明のパターン寸法計測方法による計測効率の差はさらに開いていく。
また、本発明のパターン寸法計測方法によれば、従来のパターン寸法計測方法では困難であった微小欠陥のAFM画像の取得も容易となる。
また、本発明のパターン寸法計測方法によれば、直線パターンにおいて、直線パターンと平行に探針を走査し、かつ、パターン表面に平行で探針走査方向に垂直方向に探針を振動させることで、少ない探針走査本数で、非常に多くのパターンエッジの位置情報を得ることができる。これによって、エッジ粗さ(LER;Line Edge Roughness)を、より正確に計測することができるようになる。
さらに、本発明の寸法計測方法によれば、検査時間が短縮され、探針の摩耗が抑えられ、計測検査コストが低減される。
以下、実施例により、本発明をさらに詳しく述べる。
露光波長193nmのArFエキシマレーザ用の位相シフトマスクとして、設計値100nmのコンタクトホールパターンを形成した位相シフトマスクを作製した。マスクパターンは、石英ガラス基板上に、半透過膜として厚さ70nmのモリブデンシリサイド膜で形成されたものを使用した。
本発明のパターン寸法計測方法を用い、コンタクトホールの寸法計測を行なった。ピエゾ素子を用い、探針の走査方向に垂直で、かつ石英ガラス基板表面に平行にカンチレバー全体を振動させることにより、探針を振動させ、コンタクトホールの寸法を計測した。探針の走査速度は5000nm/秒、探針の振動の振幅は50nm、探針の走査範囲は、1辺1ミクロンの視野範囲であった。計測の結果、コンタクトホールの寸法として設計値である100nmが得られた。このコンタクトホールパターンを有する位相シフトマスクの検査時間は、従来の寸法計測方法に比べ、90%時間短縮された。
本発明のパターン寸法計測装置の構成図である。 本発明のパターン寸法計測方法を説明する説明図である。 本発明のパターン寸法計測方法における探針の動作と信号アウトプットの説明図であり、パターンを検出していない場合を示す。 図3に続いて、探針がパターンを検出したときの、パターン寸法計測方法における探針の動作と信号アウトプットの説明図である。 本発明のパターン寸法計測方法における探針の振動方法を説明する説明図である。 本発明のパターン寸法計測方法におけるドットパターンの計測例を説明する図である。 本発明のパターン寸法計測方法におけるドットパターンの別な計測例を説明する図である。 本発明のパターン寸法計測方法におけるホールパターンの計測例を説明する図である。 本発明のパターン寸法計測方法におけるホールパターンの別な計測例を説明する図である。 従来のパターン寸法計測方法による探針の走査間隔と計測対象物の設計値と測定値との差を示す図である。 探針の走査間隔と計測対象物の設計値と測定値との差を説明する図である。 AFM型寸法測定機の一例としての測定原理図と測定用の探針周辺の模式図である。 AFM型寸法測定機において、従来のパターン寸法計測方法を説明する上面模式図である。 従来の梁構造の触針を用いた微細表面形状測定装置の触針の部分模式図と、その測定方法の説明図である。
符号の説明
11、31 探針
12 基板(被計測物)
12a ステージ
13、33、53 カンチレバー
14 レーザ光
14a レーザ光源
15 探針Z位置検出器
16a Z方向ピエゾスキャナー
16b X、Y方向ピエゾスキャナー
17a X、Y位置検出器
17b X、Y走査システム
17c Z方向制御システム
18 制御コンピュータ
19 X、Y方向振動ユニット
21、32、51、61、71 ドットパターン
22、52 探針の走査ライン
81、91 ホールパターン
s6、s7、s8、s9 探針の走査間隔
121 探針
122 試料(被計測物)
123 カンチレバー
124 レーザ光
125 光センサー
126 ピエゾスキャナー
127a X、Y軸走査システム
127b Z軸サーボシステム
128 コンピュータ
129 プリアンプ
130 モニター
131 ドットパターン
132 AFM走査ライン
141 触針
142 圧電素子
143 Wステージ
144 スキャンヘッド
145 測定対象
































Claims (8)

  1. 基板表面に垂直方向に励起振動する探針をカンチレバーに設けた原子間力顕微鏡で前記基板表面のパターンを寸法計測するパターン寸法計測方法において、前記探針の走査方向にほぼ垂直方向で、かつ前記基板表面に平行に前記探針を正弦波状またはジグザグ状に一定の振幅で振動させて前記パターンのエッジを検出し、前記探針が、前記パターンのエッジを検出した後、前記走査方向と直交する方向に一定距離移動し、再び走査し、前記パターンの前記エッジと異なるエッジを検出する動作を繰り返して寸法計測することを特徴とするパターン寸法計測方法。
  2. 前記カンチレバー全体を、前記探針の走査方向にほぼ垂直方向で、かつ前記基板表面に平行に振動させることにより、前記探針を振動させることを特徴とする請求項1に記載のパターン寸法計測方法。
  3. 前記探針の前記基板表面に垂直方向の励起振動が前記探針の共振周波数付近であり、前記探針の走査方向にほぼ垂直方向で、かつ前記基板表面に平行な前記探針の振動が、前記共振周波数よりも低周波であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパターン寸法計測方法。
  4. 前記パターンが非直線パターンであり、該非直線パターンの最大幅を寸法計測することを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のパターン寸法計測方法。
  5. 前記パターンが非直線パターンであり、前記探針が前記非直線パターンの最外周に沿って走査され、前記非直線パターンの最外周輪郭を特定することを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のパターン寸法計測方法。
  6. 前記パターンが直線パターンであり、該直線パターンのエッジ粗さを寸法計測することを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のパターン寸法計測方法。
  7. 前記基板が半導体リソグラフィ用マスク基板または半導体デバイス基板であり、前記パターンがドットパターンまたはホールパターンであることを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のパターン寸法計測方法。
  8. 基板表面に垂直のZ方向に励起振動する探針をカンチレバーに設けた原子間力顕微鏡で前記基板表面のパターンを寸法計測するパターン寸法計測装置において、
    前記カンチレバーに接して前記探針をX方向およびY方向に正弦波状またはジグザグ状に一定の振幅で振動させる振動手段と、前記探針をZ方向に励起振動させる振動手段と、前記探針の歪を検出する検出手段と、検出された歪み量が一定となるように前記探針をZ方向に制御する制御手段と、前記探針と前記パターンとの相対的な位置決めをする移動手段と、を備えたことを特徴とするパターン寸法計測装置。
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