JP4555930B2 - 音叉型原子間力顕微鏡プローブ、その調整方法及び製造方法 - Google Patents

音叉型原子間力顕微鏡プローブ、その調整方法及び製造方法 Download PDF

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本発明は、物質間に作用する原子間力を利用して、試料の表面形態を測定する原子間力顕微鏡に関し、特に原子間力顕微鏡に用いられるプローブの構造とその調整方法、並びに製造方法に関する。
原子間力顕微鏡はプローブと試料表面との間に作用する原子間力を用いて高精度に試料表面の形態を測定するものであり、試料表面の微細形状や表面粗さなどの画像解析に用いられている。
この原子間力顕微鏡に用いられるプローブは棒状のシリコン(カンチレバー)の先端に探針が設けられ、カンチレバーの一端が支持された片持ち構造であり、これがシリコン基板上に形成されている。
原子間力顕微鏡の簡単な原理を説明すると、まず、プローブを所定周波数で加振しプローブ先端の探針を試料表面に近づける。このとき、探針と試料間に原子間力が働き原子間力に応じてプローブ全体が撓む。そこで、外部から探針へレーザ光を当てその反射光を検出すると、プローブの撓み状態に応じて試料の表面像が得られる仕組みとなっている。
ところが、このようなシリコン製片持ち構造のプローブには、以下のような欠点があることが知られている。すなわち、原子間力の検出感度を向上させるためには、プローブ(探針)の尖鋭度Qを高くする必要がある。しかしながら、現状のものではプローブの根本での振動の損失が大きく、これ以上尖鋭度Qの向上を図るのは困難である。
また、プローブを加振する装置や、探針へレーザ光を当て反射光を検出する装置を必要とするため装置全体が大型化し、原子間力顕微鏡のシステムを小型化、低価格化するのが困難である。
そこで、このような問題を解決するため、近年、音叉型の水晶振動子を用いた構造の原子間力顕微鏡プローブが提案されている。図12は特開平9−297148号公報に開示された原子間力顕微鏡プローブの外観図を示したものである。図12に示すように、従来の音叉型原子間力顕微鏡プローブは、水晶を材料とする音叉振動子の一方のアームの先端に、探針を一体的に形成した構造を備えている。音叉振動子の表面には、駆動電極(図示せず)や検出電極(図示せず)が形成され、駆動電極に所定周波数の駆動信号を印加すると圧電効果によってアームは屈曲振動を起こす。そこで、探針を試料表面(図示せず)に近づけると、探針と試料表面との間に原子間力が働きアーム全体が撓み、検出電極からこの撓みに応じた検出信号が出力されるようになっている。
このように、音叉振動子を用いた原子間力顕微鏡プローブは、水晶の圧電効果を利用してプローブの加振と原子間力の検出を行っているので、加振装置と検出装置が不要となり原子間力顕微鏡のシステムを小型化することができる。また、音叉振動子の2本のアームが互いに逆方向に屈曲振動するため、アーム根本での振動の損失を低減することができるので、尖鋭度Qを向上して検出感度を改善することが可能である。
なお、音叉振動子の一方のアームの先端に接着剤にて探針を付けた構造のものが、以下の文献(非特許文献1〜4)に提案されている。
特開平9−297148号公報 F. J. Giessible, "Atomic resolution on Si (111)-(7x7) by noncontact atomic force microscopy with a force sensor based on a quartz tuning fork", Applied physics letters, vol. 76, 11, pp. 1470-1472. M. Todorovic and S. Schultz, "Magnetic force microscopy using nonoptical piezoelectric quartz tuning fork detection design with applications to magnetic recording studies", Journal of Applied Physics, vol. 83, 11, pp. 6229-6231. H. Edwards, L. Taylor, W. Duncan, A. J. Melmed, "Fast, high-resolution atomic force microscopy using a quartz tuning fork as actuator and sensor", Journal of Applied Physics, vol. 82, 3, pp. 980-984, 1997. M. Kageshima, H. Jensenius, M. Dienwieble, Y. Nakayama, H. Tokumoto, S. P. Jarvis, T. H. Oosterkamp, "Noncontact atomic force microscopy in liquid environment with quartz tuning fork and carbon nanotube probe", Applied Surface Science, vol. 188, 3-4, pp. 440-444, 2001.
ところが、以上説明した音叉型水晶振動子構造の原子間力顕微鏡プローブには以下のような欠点がある。すなわち、音叉型水晶振動子は2本のアームが互いに逆方向に屈曲振動するので、理論的にはアーム根本での振動をほぼキャンセルすることができ、振動の損失を低減することができる。しかしながら、実際には寸法精度に起因して両アームのバランスが微妙に崩れ屈曲振動が非対称となることが知られている。
また、一方のアーム部の先端には探針が形成されているのでこれによっても対称性が崩れ、厳密にはアームの根本での振動は完全にキャンセルされない。また、製造誤差及び探針に起因する非対称性がどの程度あるかを求めて、これを設計に反映することは現実的に不可能であり、これ以上尖鋭度Qを向上して検出感度を改善することは困難であった。
更に、音叉型水晶振動子構造は、同一のアームで振動と検出を行っている。従って、温度変動等動作環境が変化すると、アームの機械的特性値が影響を受けアームの屈曲振動の状態が変化する。この結果、あたかも原子間力が変化したかのように検出出力が変動し悪影響を受けてしまう。このように、従来の原子間力顕微鏡用プローブは、動作環境依存性が極めて高く、検出感度の向上を図ることができなかった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、動作環境の変動に強く、検出感度に優れた音叉型原子間力顕微鏡プローブを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明に係る請求項1に記載の発明は、平行に配列された2本の駆動アーム部と、一方の前記駆動アーム部の先端近辺に形成された探針部と、2本の前記駆動アーム部の間に配置された検出アーム部と、前記駆動アーム部及び前記検出アーム部の一端を支持する支持部と、少なくとも前記駆動アーム部の表面に形成された駆動電極と、少なくとも前記検出アーム部の表面に形成された複数の検出電極と、を備え、前記駆動アーム部と、前記探針部、前記検出アーム部及び前記支持部を圧電部材にて一体的に形成し、前記駆動電極に所定周波数の駆動信号を与えて前記駆動アーム部に屈曲振動を励振したときに、前記検出アーム部が振動の節となるように前記検出アーム部を前記2本の駆動アーム部の間に配置すると共に、前記探針部に試料が接近して前記端針部と前記試料の間で原子間力が作用することで前記検出アーム部が振動して前記検出アーム内に電界が生じる際の前記複数の検出電極間の電位差を検出し、該電位差を前記検出電極から検出信号として出力したものである。従って、動作環境の変動に強い構造とすることができる。
また、検出感度に優れた音叉型原子間力顕微鏡プローブを提供することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記圧電部材は、Zカットの水晶であるものである。従って、低価格で動作環境の変動に強く検出感度に優れた音叉型原子間力顕微鏡プローブを提供することができる。
請求項3に記載の発明は、前記探針部に原子間力が作用しない状態で、前記駆動電極に所定周波数の駆動信号を与え前記駆動アーム部に屈曲振動を励振する手順と、前記検出電極から出力される信号が最小となるように前記駆動アーム部の一部をトリミングする手順を備えた、請求項1又は2に記載の音叉型原子間力顕微鏡プローブの調整方法である。
従って、検出アーム部の振動損失を最小化し、検出感度が最大となるように調整可能とすることができる。
請求項4に記載の発明は、平行平板の圧電基板の主面に金属薄膜を形成する工程と、前記金属膜の上に第1のフォトレジストパターンを形成する工程と、前記第1のフォトレジストパターンを保護膜として前記金属薄膜をエッチングし探針部用マスクパターンと駆動アーム部用マスクパターンと検出アーム部用マスクパターンと支持部用マスクパターンとを一括形成する工程と、前記第1のフォトレジストパターンを剥離する工程と、前記マスクパターンの上に第2のフォトレジストパターンを形成する工程と、前記第2のフォトレジストパターン及び前記マスクパターンを保護膜として前記水晶基板をエッチングし前記探針部と前記駆動アーム部と前記検出アーム部と前記支持部を一括形成する工程と、前記第2のフォトレジストパターンを保護膜として前記マスクパターンをエッチングし前記駆動電極或いは前記複数の検出電極を形成する工程と、前記第2のフォトレジストパターンを剥離する工程とを備えた、請求項1又は2に記載の音叉型原子間力顕微鏡プローブの製造方法である。従って、製造効率に優れ低価格化可能な音叉型原子間力顕微鏡プローブを提供することができる。
本発明は、3脚音叉型の水晶振動子構造の原子間力顕微鏡プローブであり、3脚音叉の両側の駆動アームに屈曲振動を励振し、中央のアームを検出専用とする構造とした。従って、駆動アームの屈曲振動の非対称性や環境変動に起因する駆動アームの機械的特性値の変化の影響を受けにくく、且つ検出感度に優れた音叉型原子間力顕微鏡プローブを提供することができる。
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。図1は本発明に係る音叉型原子間力顕微鏡プローブの外観図を示したものである。
本発明に係る音叉型原子間力顕微鏡プローブ1は、平行に配列された駆動アーム部2、3と、前記駆動アーム部2、3の間に配置された検出アーム部4と、前記駆動アーム部2、3及び前記検出アーム部4の一端を支持する支持部5と、前記駆動アーム部2の先端側面に形成されると共に観察資料6との間に作用する原子間力を検出する探針部7と、前記駆動アーム部2の表面に形成された駆動電極8a、8b、8cと、前記駆動アーム部3の表面に形成された駆動電極9a、9b、9cと、前記検出アーム部4の表面に形成された検出電極10a、10b、10cとを備えている。ここで、駆動アーム部2、3と検出アーム部4と支持部5はZカットの水晶から一体的に形成されており、駆動アーム部2、3それぞれの中心軸線(図示せず)がなす角度(平行度)が0°±10°の範囲内となるよう形成されているものとする。
また、駆動アーム部2、3及び検出アームの裏側には、駆動電極8d、9d及び検出電極10dがそれぞれ形成されているが図示を省略する。図2に駆動電極と検出電極の外観図を示す。
本発明に係る音叉型原子間力顕微鏡プローブは次のように動作する。
まず、図3に示すように、駆動源11の一方の出力を駆動電極8b、8d、9a、9cに接続し、また駆動源11の他方の出力を駆動電極8a、8c、9b、9dに接続して所定周波数の駆動信号を駆動電極に印加する。
ここで、駆動源11の出力信号Vの極性が正の状態を考える。図4は駆動源11の出力信号Vの極性が正の状態において、駆動アーム部2、3内部の電界分布と駆動アーム部2、3に働く力を図示したものである。図4(a)において、駆動アーム部3の内部には曲線矢印の方向に電界が加わっている。このとき、駆動アーム部3の上半分にはほぼ下向きの電界が加わり、下半分にはほぼ上向きの電界が加わることになる。この結果、圧電効果によって駆動アーム部3の上半分は−Y方向に縮み、下半分は+Y方向に伸長するような力が働く。従って、駆動アーム部3は全体として図4(b)のように上方向へ撓む。これに対して、駆動アーム部2の内部は駆動アーム部3と逆の電界分布となるため、駆動アーム部2の上半分は+Y方向に伸長し、下半分は−Y方向に縮む。従って、駆動アーム部2は図4(b)のように下方向へ撓む。つまり、駆動アーム2、3は互いに離れる方向に撓む。
次に、駆動源11の出力信号Vの極性が負になった状態を考える。
この場合、駆動アーム部2、3の電界分布が上述した例とは全く逆向きになるので、駆動アーム部3は下方向に撓み、駆動アーム部2は上方向に撓む。つまり、駆動アーム部2、3は互いに近づく方向に撓む。以上を繰り返すと駆動アーム部2、3には図5(a)(b)に示すような、駆動源11の周波数に等しい屈曲振動が励振される。ここで、駆動アーム部2、3の間に配置された検出アーム4は、屈曲振動の節となっているためほぼ静止した状態にある。従って、検出アーム4に形成した検出電極10a、10b、10cからは検出信号が出力されない。
次に、駆動源11から駆動信号Vを印加したまま、探針部7に観察資料6を近づけた状態を考える。図6はこの状態を示したものである。図6において、駆動アーム部2、3を屈曲振動させた状態のまま、観察資料6を探針部7に近づけると、観察資料6と探針部7との間に原子間力が働き、駆動アーム部2、3の屈曲振動の対称性が失われ検出アーム部4は屈曲振動を始める。その結果、検出アーム部4の内部には電界が生じ、検出電極10b(10d)と検出電極10aとの間、或いは検出電極10b(10d)と検出電極10cとの間に電位差が生じる。この電位差を計測することで作用した原子間力を検出することが可能となる。従って、原子間力が探針部7に働いたときにのみ検出アーム部4が振動するため、原子間力が作用しないときの駆動アーム2、3の振動が検出信号に与える影響度が極めて小さくなり、検出感度を向上することができる。また、環境変動によって駆動アーム2、3の機械的特性値が変化して屈曲振動の状態が変化しても、検出アーム部4に与える影響は従来に比べて極めて小さくなる。なお、駆動電極に駆動信号を印加する接続方法としては図3に示したものに限定されない。駆動アーム部2、3に屈曲振動を励起させるものであればどのような接続であっても構わない。
ここで、本発明の原子間力顕微鏡用プローブの調整方法について説明する。
まず、図3に示すように、駆動源11から駆動電極8a、8b、8c、8d、9a、9b、9c、9dに駆動信号を与え、駆動アーム部2、3を励振する。このとき、観察試料6を探針部7から離して原子間力が作用しない状態とする。そこで、検出電極10a、10b、10cの出力信号(漏れ出力)を計測し、この漏れ出力が最小(ほぼゼロ)となるように駆動アーム部2、3の一部をトリミングする。このようにすると、駆動アーム部2、3の対称性を最も良い状態にすることが可能となり、原子間力顕微鏡用プローブの尖鋭度Qを理想的な状態に調整することが可能となる。
次に、本発明の原子間力顕微鏡用プローブの寸法と検出感度の関係について説明する。
本発明の原子間力顕微鏡用プローブの原子間力の検出限界値Fminは次式で示される。
(数式1)
ただし、kはアームのバネ定数、f0は共振周波数、Qは尖鋭度、dは探針部と観察試料表面との距離、nは定数、Aは振動振幅、kbはボルツマン定数、Tは絶対温度、Bは帯域である。
式(1)よりアームのバネ定数k、共振周波数f0、尖鋭度Qを変えることで原子間力顕微鏡において検出感度の向上を図ることができる。式(1)において検出感度限界値が1pN(ピコニュートン)以下になると原子レベルでの分解能で表面形態像を捉えることができるようになる。
ここで、アーム一本を片持ち構造として、バネ定数及び共振周波数f0を求めると次式のようになる。
(数式2)
(数式3)
ただし、Eはヤング率、bはアーム幅、hはアーム高さ、lはアーム長さ、ρは密度である。
従って、(2)(3)式を(1)式に代入すると次式が得られる。
(数式4)
(4)式に示したように、振動子の尖鋭度Q、振動子のアーム形状を変えることによって、原子間力の検出限界値Fminを向上することができる。しかしながら、アーム形状はバネ定数にも密接に関係しており、この値を変えて原子間力の検出限界値Fminを向上させようとすると、バネ定数kが小さくなり、その結果探針部が観察試料表面に吸着してしまうという問題が生じる。そこで、本発明者はバネ定数kが次式を満足するようにアーム部の形状を決定すれば良いことを見い出した。
(数式5)
ただし、Fcは表面吸着力である。
ここで、表面吸着力Fcを500〜1000nN(ナノニュートン)と仮定し、これによりアームのバネ定数kを50N/m以上としている。
以上説明したように、原子間力の検出限界値を向上させるためには、振動の尖鋭度Q、振動子のアーム形状を変えれば良いが、アーム形状については上述したように制限がある。
従って、尖鋭度Qの向上が検出感度の向上の鍵となる。そこで、上記検討結果を基にして尖鋭度Qの向上を図った実施例を図7に示す。図7において、アームの長さl=1.5mm、アーム幅b=0.1mm、アーム高さh=0.1mmである。なお、この寸法は一例であり原子間力顕微鏡の仕様に応じて適切な値に設定するのが望ましい。
次に、本発明に係る原子間力顕微鏡用プローブの製造方法について説明する。
図8は水晶基板をエッチングして、原子間力顕微鏡用プローブを製造する手順を示したものである。以下、図8(a)〜(f)に沿って順に説明する。
まず、厚さ0.1mmのZカットの水晶基板12の両面に蒸着やスパッタリングにてCr(クロム)13とAu(金)14からなる金属薄膜を形成する。(図8(a))
次に、フォトリソグラフィープロセスを用いて、前記金属薄膜の上にフォトレジストパターン15(第1のフォトレジストパターン)を形成する。(図8(b))
次に、前記フォトレジストパターン15を保護膜として、金属薄膜(Cr13、Au14)をエッチングし金属薄膜パターン(駆動アーム部2、3と検出アーム部4と支持部5と探針部7を形成するためのマスクパターン)を形成し、フォトレジストパターン15を剥離する。(図8(C))
次に、フォトリソグラフィープロセスを用いて、前記金属薄膜パターンの上にフォトレジストパターン16(第2のフォトレジストパターン)を形成する。(図8(d))
次に、前記フォトレジストパターン16及び前記金属薄膜パターンを保護膜として、水晶基板12をエッチングし駆動アーム部2、3と検出アーム部4と支持部5と探針部7とを一括形成する。(図8(e))
次に、フォトレジストパターン16を保護膜として、前記金属薄膜パターンをエッチングし駆動電極或いは検出電極を形成する。更にフォトレジストパターン16を剥離する。(図8(f))
なお、この後に上からメタルマスク(シャドウマスク)をかぶせ、真空蒸着によって水晶基板(駆動アーム部2、3と検出アーム部4)の側面に残りの駆動電極や検出電極を形成するが図示を省略する。
次に、駆動アーム部2、3の先端近辺に探針部7を一括形成する方法について説明する。
図9は、図8(e)の両面の金属薄膜パターンを示したものである。図9(a)(b)に示すように、金属薄膜パターンは、駆動アーム部用マスクパターン17、18と検出アーム部用マスクパターン19と支持部用マスクパターン20と探針部用マスクパターン21とを備え、探針部用マスクパターン21を拡大(B、Cの部位)したものを同図上側に示す。
探針部用マスクパターン21a、21bは駆動アーム部2の先端保持用であり、エッチング中において、エッチング液の流れで駆動アーム部2の先端が破損しないよう防止している。また、探針部用マスクパターン21a、21bのパターン形状が異なっているが、これは探針部7の大きさや形状に応じて変えることが望ましい。
ここで、この金属薄膜のマスクパターンは、エッチングシミュレータ(MICROCAD)とエッチングデータベースに基づき作成したものであり、水晶基板をウェットエッチングしたときの3次元的形状を高精度に予測することが可能である。なお、エッチングシミュレータ(MICROCAD)は株式会社富士総合研究所(現みずほ情報総研株式会社)と名古屋大学にて共同開発した設計支援ツール(詳細は論文誌「Proceedings of the 20th Sensor Symposium,2003,p379-382」に記載)であり、水晶のエッチングデータベースは東洋通信機株式会社、みずほ情報総研株式会社、名古屋大学の3者で共同構築したものである。
図10は前記金属薄膜マスクパターンを用いて水晶基板をエッチングしたときの、探針部7の形成過程を示したものである。以下、図10(a)〜(d)に沿って順に説明する。
まず、金属薄膜マスクパターン(探針部用マスクパターン21a、21bと駆動アーム部用マスクパターン17)を保護膜として水晶基板をエッチングすると、エッチング面22が現れる。(図10(a))
エッチングが進むと、探針部用マスクパターン21a、21bの形状が異なるためエッチング面22の上側の部分がエッチングされる。(図10(b))
更にエッチングが進むと、エッチング面22は裏側の探針部用マスクパターン21bまで達し、駆動アーム部2の先端に探針部が現れる。(図10(c))
そこで、金属薄膜マスクパターン上のフォトレジストパターン(図示せず)を保護膜として金属薄膜マスクパターンをエッチングすると、探針部用マスクパターン21a、21bと共に不要部分が除去され、駆動電極(図示せず)が形成される。この後フォトレジストパターン(図示せず)を剥離する。(図10(d))
図11に試作した音叉型原子間力顕微鏡プローブの探針部の拡大写真を示す。
探針部用マスクパターン21a、21bの形状を変えることによって、シミュレーション結果通りの形状の探針部が形成されることを確認した。ここでは、探針部の形状が異なる2つの実施例を示している。いずれも探針部の長さは数ミクロン程度であることが分かる。
以上説明したように、本発明の音叉型原子間力顕微鏡プローブは、探針部を簡単に一括形成でき、検出感度に優れて環境変動にも強いため、原子間力顕微鏡システムの性能向上、小型化、及びコストダウンを図る上で極めて有効である。
本発明に係る音叉型原子間力顕微鏡プローブの外観図。 本発明に係る音叉型原子間力顕微鏡プローブの電極図。 本発明に係る音叉型原子間力顕微鏡プローブと駆動源との接続図。 本発明に係る音叉型原子間力顕微鏡プローブの駆動状態を示した図。 本発明に係る音叉型原子間力顕微鏡プローブの振動の状態を示した図。 本発明に係る音叉型原子間力顕微鏡プローブの検出状態を示した図。 本発明に係る音叉型原子間力顕微鏡プローブの外観寸法を示した図。 本発明に係る音叉型原子間力顕微鏡プローブの製造過程を示した図。 本発明に係る音叉型原子間力顕微鏡プローブの金属膜パターンを示した図。 本発明に係る音叉型原子間力顕微鏡プローブの探針部の形成過程を示した図。 本発明に係る音叉型原子間力顕微鏡プローブの試作品の探針部の拡大写真を示す図。 従来の音叉型原子間力顕微鏡プローブの外観図。
符号の説明
1:音叉型原子間力顕微鏡プローブ
2、3:駆動アーム部
4:検出アーム部
5:支持部
6:検出電極
7:探針部
8a、8b、8c、8d、9a、9b、9c、9d:駆動電極
10a、10b、10c:検出電極
10a、10b、12a、12b:引出電極
11:駆動源
12:水晶基板
13:Cr(クロム)
14:Au(金)
15、16:フォトレジストパターン
17、18:駆動アーム部用マスクパターン
19:検出アーム部用マスクパターン
20:鹿部用マスクパターン
21、21a、21b:探針部用マスクパターン

Claims (4)

  1. 平行に配列された2本の駆動アーム部と、一方の前記駆動アーム部の先端近辺に形成された探針部と、2本の前記駆動アーム部の間に配置された検出アーム部と、前記駆動アーム部及び前記検出アーム部の一端を支持する支持部と、少なくとも前記駆動アーム部の表面に形成された駆動電極と、少なくとも前記検出アーム部の表面に形成された複数の検出電極と、を備え、
    前記駆動アーム部と、前記探針部、前記検出アーム部及び前記支持部を圧電部材にて一体的に形成し、前記駆動電極に所定周波数の駆動信号を与えて前記駆動アーム部に屈曲振動を励振したときに、前記検出アーム部が振動の節となるように前記検出アーム部を前記2本の駆動アーム部の間に配置すると共に、前記探針部に試料が接近して前記端針部と前記試料の間で原子間力が作用することで前記検出アーム部が振動して前記検出アーム内に電界が生じる際の前記複数の検出電極間の電位差を検出し、該電位差を前記検出電極から検出信号として出力したことを特徴とする音叉型原子間力顕微鏡プローブ。
  2. 前記圧電部材は、Zカットの水晶であることを特徴とする請求項1に記載の音叉型原子間力顕微鏡プローブ。
  3. 前記探針部に原子間力が作用しない状態で、前記駆動電極に所定周波数の駆動信号を与え前記駆動アーム部に屈曲振動を励振する手順と、前記検出電極から出力される信号が最小となるように前記駆動アーム部の一部をトリミングする手順を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の音叉型原子間力顕微鏡プローブの調整方法。
  4. 平行平板の圧電基板の主面に金属薄膜を形成する工程と、前記金属膜の上に第1のフォトレジストパターンを形成する工程と、前記第1のフォトレジストパターンを保護膜として前記金属薄膜をエッチングし探針部用マスクパターンと駆動アーム部用マスクパターンと検出アーム部用マスクパターンと支持部用マスクパターンとを一括形成する工程と、前記第1のフォトレジストパターンを剥離する工程と、前記マスクパターンの上に第2のフォトレジストパターンを形成する工程と、前記第2のフォトレジストパターン及び前記マスクパターンを保護膜として前記水晶基板をエッチングし前記探針部と前記駆動アーム部と前記検出アーム部と前記支持部を一括形成する工程と、前記第2のフォトレジストパターンを保護膜として前記マスクパターンをエッチングし前記駆動電極或いは前記複数の検出電極を形成する工程と、前記第2のフォトレジストパターンを剥離する工程とを備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の音叉型原子間力顕微鏡プローブの製造方法。
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