JP4811400B2 - 核内受容体に対する結合物質の検出方法 - Google Patents

核内受容体に対する結合物質の検出方法 Download PDF

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Description

本発明は、生体関連物質の検出方法、さらに具体的には、核内受容体に対するアゴニスト、アンタゴニスト又はモジュレーター等の検出方法に関する発明である。
創薬のターゲットとして、核内受容体の重要性が注目されつつある。具体的には、エストロジェン受容体に対してアンタゴニスト作用のあるタモキシフェンは、乳がんの治療薬として有効であることが、受容体を用いたスクリーニングにより解明されている。しかしながらその一方で、タモキシフェンは子宮がんを増悪することも明らかされている。同一の核内受容体に対する作用を有するにもかかわらず、このような作用の違いが顕れるのは、核内受容体のコファクターが強く関与していることが示唆されている。
従来、核内受容体をターゲットとした創薬スクリーニング法としては、リガンドが受容体に結合することを検出する受容体結合試験が一般的であった。一般的に、この受容体結合試験は、ホルモン受容体に対して、標識ホルモンと標的となる化学物質を反応させ、ホルモン受容体に親和性を有している標的化学物質が、標識ホルモンのホルモン受容体に対する競合的な阻害反応、を指標とした検出法である。この方法は多数の薬品候補物質を迅速に処理するのに優れた方法である。しかし、この方法では化学物質の受容体への結合作用強度は分かるが、化学物質の生理的影響、例えば、アゴニスト作用(正の作用)か、アンタゴニスト作用(拮抗作用)かの判別をすることが困難である。
一方、近年の受容体研究でリガンドの引き起こす生理作用には、コファクターが深く関与していることが明らかになりつつある。このような状況に伴い、レポーター遺伝子アッセイやツーハイブリッド法等、細胞を利用したスクリーニング系の有用性が認知されるようになってきた。しかし、これらの方法は細胞を扱うため、培養装置が必要であること、細胞培養が煩雑であること、細胞操作にある程度の熟練性が要求されること、細胞増殖が測定の律速となるため測定に時間がかかること、等の問題があり、多検体、迅速処理を必須とする創薬スクリーニング手法としては、適切ではない面がある。
これらの点を考慮すると、生理作用機序を反映した多検体を迅速かつ簡易に測定できる試験管レベル(in vitro)でのスクリーニング系構築が創薬開発において重要な鍵となる。
ヒトの核内受容体としては、48種類が知られている。それらの中には機能が判明していない受容体、いわゆるオーファン核内受容体が多く存在しており、生体の重要な機能を担っていると考えられている。また、ターゲットとなる遺伝子の発現に受容体と共役して作用するコファクターのいくつかは受容体の種類に関係なく、共通であることが分かっている。さらに、リガンドの種類(アゴニスト、アンタゴニストおよびモジュレーター)により異なるコファクターが結合し、特定遺伝子の発現に関与することが分ってきている。これらの点を考慮すると、今後核内受容体をターゲットとした創薬スクリーニング法の開発は、オーファン受容体の生理作用や、複数のコファクターと受容体の相互作用(組み合わせ)と生理機能(病態)の関係が科学的に明らかになったとき、いかに早く複数の異なるコファクターの関与も考慮したハイスループットの創薬スクリーニング系を立ち上げるかが重要なポイントとなる。
従来のコファクターを含めた受容体・リガンド測定系は、抗体を用いた測定系である酵素免疫測定法(以下、ELISAと略す)に類する手法がとられることが一般的であり、測定系構築法もELISA法と類似した方法で行われていると考えられる。このELISA法に則った測定系を構築する場合、必要な抗受容体抗体の作製に手間がかかり、さらに、測定系の条件の選択、例えば、マイクロウェルプレートへの固相化条件や、検出手段(蛍光法、放射性物質の利用)の選択等を行わなければならない。さらに、核内受容体とコファクターの組み合わせは多種類となるため、従来のように、これらの個々の組み合わせ毎にアッセイ系を構築するとなると、必要な測定系の数が膨大となり、効率的ではない。
そこで、本発明が解決すべき課題は、鋭敏性を維持しながら、検出作業が簡便で、かつ、当該検出系の確立を効率的に行うことが可能な、核内受容体−コファクターの系を用いた、生体関連物質の検出手段を提供することにある。
すなわち、本発明は、マイクロウェルプレート上のウェルの表面に固定化されたアビジン又はストレプトアビジンと、コファクターに結合しているビオチンとの、アビジン−ビオチン結合によって、当該コファクターの当該表面に対する結合が維持されているウェル表面に対して、当該コファクターに対応するタグ蛋白質を結合させた核内受容体蛋白質と被験試料を接触させて、当該核内受容体蛋白質とコファクターの結合頻度の変化を、当該核内受容体に結合しているタグ蛋白質と、当該タグ蛋白質に対して結合可能な標識抗体の標識の強度の変化として検出し、これを指標とすることにより被験試料内の当該核内受容体に対する結合物質を検出する結合方法であって、2種以上の核内受容体蛋白質と、それら各々に対応するコファクターを用いる、2種以上の当該検出方法を、同一のマイクロウェルプレート上の異なるウェルにおいて行い、被検試料内の当該2種以上の核内受容体に対する結合物質を集約的に検出する、検出方法(以下、本検出方法ともいう)を提供する発明である。
すなわち、本発明は、コファクターが結合している表面に対して、当該コファクターに対応する核内受容体蛋白質と被験試料を接触させて、当該核内受容体蛋白質とコファクターの結合頻度の変化を指標とすることにより、被験試料内の当該核内受容体に対する結合物質を検出する、検出方法(以下、本検出方法ともいう)を提供する発明である。
核内受容体とコファクター
本検出方法の必須の要素である核内受容体は、例えば、ステロイドホルモンの受容体として知られており、細胞質又は核内に存在することが知られている。リガンドが結合すると、特定の遺伝子領域に結合して、様々な遺伝子を活性化することが知られている。具体的には、エストロジェン受容体α(M12674)、エストロジェン受容体β(AB006590)、アンドロゲン受容体(M20132)、プロゲステロン受容体(M15716)、グルココルチコイド受容体(M10901)、ミネラルコルチコイド受容体(M16801)、レチノイン酸受容体α(X06614)、レチノイン酸受容体β(X07282)、レチノイン酸受容体γ(M24857)、甲状腺ホルモン受容体α(Y00479)、甲状腺ホルモン受容体β(X04707)、ビタミンD受容体(J03258)、レチノイドX受容体α(X52773)、レチノイドX受容体β(M84820)、レチノイドX受容体γ(U38480)、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体α(L02932)、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体γ(U79012)、ペルオキソーム増殖剤活性化受容体δ(L07592)、肝臓X受容体α(U22662)、肝臓X受容体β(U07132)、ファーネソールX受容体(U68233)、ステロイド及び外来異物受容体(AY091855)、恒常的アンドロスタン受容体(L29263)、逆アーブA受容体α(X53327)、逆アーブA受容体β(D16815)、RAR関連オーファン受容体α(U04898)、RAR関連オーファン受容体β(Y08639)、RAR関連オーファン受容体γ(U16997)、肝細胞核内因子4α(X76930)、肝細胞核内因子4γ(Z49826)、精巣オーファン受容体2(M29960)、精巣オーファン受容体4(L27586)、ニワトリオブアルブミン上流プロモーター転写因子β(NM_005654)、ニワトリオブアルブミン上流プロモーター転写因子β(NM_021005)、ニワトリオブアルブミン上流プロモーター転写因子γ(X12794)、エストロジェン関連受容体α(X51416)、エストロジェン関連受容体β(X51417)、エストロジェン関連受容体γ(AF094518)、神経成長因子誘導遺伝子Bα(L13740)、神経成長因子誘導遺伝子Bβ(X75918)、神経成長因子誘導遺伝子Bγ(D38530)、胚細胞核内因子(U80802)、ステロイドジェニック因子1(U76388)、肝受容体相同蛋白(U93553)、光受容体細胞特異的核内受容体(AF121129)、ショウジョウバエテイルレス遺伝子受容体ヒトホモローグ(AF220532)、小へテロダイマーパートナー蛋白(L76571)、および、量感受性転換AHCに非常に重要なX染色体上の領域の遺伝子1(U31929)が知られている(上述した括弧内の文献は、それぞれの核内受容体をコードする遺伝子配列又は当該受容体のアミノ酸配列を示す、GenBankのAccession No.である)。
コファクターとは、上記核内受容体の関与する遺伝子転写調整を行っている細胞内転写因子であり、一般的に核内受容体にリガンドが結合することにより、核内受容体が構造変化を起こし、コファクターが当該核内受容体に結合し、これにより特定の標的遺伝子の調節が行われることが知られている。上述したように、核内受容体とコファクターの対応関係は、必ずしも一対一ではなく、例えば、核内受容体に結合するリガンドの種類によって、当該核内受容体に結合するコファクターも異なることがあることが知られている。また、異なる核内受容体であっても、これに結合するコファクターが共通することがあることも知られている。また、コファクターは、コアクチベーター(核内受容体にアゴニストが結合したときに、当該核内受容体に結合して遺伝子の転写を促進するコファクター)と、コリプレッサー(核内受容体にアンタゴニストが結合したときに、当該核内受容体に結合して遺伝子の転写を抑制するコファクター)に大別される。
現在までに知られているコファクターとしては、例えば、ACTR(activator of thyroid and retinoic acid receptors)(Chen H, et al : Cell Sep 3;98(5):675-686 (1999))、SRC(sterod receptor coactivator)1(Kamei, et al : Cell 85, 403-414 (1996))、TIF(transcriptional intermediate factor)1(Le Douarin, B., et al : EMBO J. 14, 2020-2033 (1995))、TIF2(Voe gel, J. J., et al : EMBO J. 15, (1996))、RIP140 (receptor interacting protein)(Cavailles, V., et al : EMBO J. 14, 3741-3751 (1995))が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本検出方法において用いる、核内受容体及びコファクターは、蛋白質工学的な手法により製造された組換え蛋白質であることが好適である。
この製造は、公知の手法を用いて行うことができる。具体的には、開示された全部又は一部の遺伝子又はアミノ酸配列に基づいて、遺伝子増幅用プライマーを構築し、当該遺伝子増幅用プライマーを用いて、PCR法、RT−PCR法等の遺伝子増幅法により、所望する核内受容体又はコファクターをコードする遺伝子増幅産物を得て、これを、既知の遺伝子ベクターに組み込んで、これを宿主細胞に導入して発現させることにより、所望する核内受容体又はコファクターを得ることができる。このようにして得られる核内受容体及びコファクターは、天然に存在する蛋白質の全部であってもよいし、本質的な働きをする部分が維持されている限り、その一部であってもよい(本発明において、「核内受容体」とは、天然に存在する核内受容体の全部又は一部の双方を意味するものとし、「コファクター」とは、天然に存在するコファクターの全部又は一部の双方を意味するものとする)。
さらに、上記組換え蛋白質又はペプチドは、既知の蛋白質との融合蛋白質として発現されることが好適である。特に、核内受容体蛋白質は、融合蛋白として発現されることが、本検出方法においては好適である。
当該既知の蛋白質(以下、タグ蛋白ともという)としては、例えば、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST), マルトース結合タンパク質(MBP), チオレドキシン(TRX), βガラクトシダーゼ(βgal), ヒスチジンタグ(His-Tag), Mycエピトープ(Myc),ヘマグルチニンエピトープ(HA),T7エピトープ,HSVエピトープ,FLAG,Xpress, GFP等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
融合蛋白質の製造は、公知の方法にて行うことができる。すなわち、例えば、核内蛋白質又はコファクターの一部若しくは全部をコードする遺伝子が組み込まれた遺伝子発現ベクターにおいて、当該主要遺伝子の組み込み位置の上流又は下流に、上記タグ蛋白をコードする遺伝子を組み込み、互いが連続した融合蛋白質として発現するべく、プロモーターや、両蛋白質をコードする遺伝子の融合部分の塩基配列の設計を行うことにより、所望する融合蛋白質を製造することができる。また、タグ蛋白融合蛋白質発現用のベクターの市販品を用いることも可能である[例えば、pGEX(アマシャムバイオサイエンス社)、pET(ノバジェン社)]。
本検出方法を行う表面
「表面」とは、コファクターが結合し得る表面であれば、素材・形状は特に限定されない。素材としては、ガラス、プラスチック、金属等を広く用いることができる。また、表面の形状は、平面、凹曲面等、特に限定されないが、一般的には、凹曲面であることが好適である。さらに具体的には、本検出方法を行う場が、マイクロウェルプレートであることが、特に好適である。
すなわち、マイクロウェルプレートは、多数のウェル(凹部)がプレート表面に設けられており、各々のウェルにおいて、同一又は異なった種類のコファクターと核内受容体蛋白質の組み合わせを用いた本検出方法を効率的に行うことが可能である。特に、2種以上の核内受容体蛋白質と、それらの各々に対応するコファクターを用いる本検出方法を、同一のマイクロウェルプレート上の異なるウェルの各々において行い、被験試料内に存在する当該2種以上の核内受容体に対する結合物質を集約的に検出することで、本発明の目的とする標的物質の効率的な検索を行うことが可能である。
表面上におけるコファクターの結合手段としては、生物学的な方法又は化学的な方法を好適に用いることができる。
生物学的な方法は、生体関連物質を介在させて表面にコファクターを結合させる方法であり、化学的な方法は、化学的に合成された結合鎖を用いて表面にコファクターを結合させる方法であるが、前者の生物学的な方法を用いることが好適である。
化学的な方法に用いる結合鎖としては、例えば、共有結合や配位結合等を挙げることが可能である。共有結合を利用する場合、その鎖分子の末端(両末端共)には、表面の素材やコファクター(蛋白質)に反応して結合可能な官能基、例えば、アミノ基、カルボキシル基又はチオール基等が存在することが好適である。配位結合を利用する場合には、表面には、キレート分子、例えば、ニッケルキレート分子等を存在させることが好適であり、コファクターには、当該キレートと反応して結合可能な要素、例えば、Hisタグを、コファクター(組換え体)発現の際に導入することが好適である。
生物学的な方法に用いる生体関連物質としては、例えば、抗体、酵素、結合蛋白質(例えば、アビジン、ストレプトアビジン等)を挙げることができるが、ビオチンに対する特異的な結合蛋白質であるアビジン又はストレプトアビジンを用いることが、特に好適である。
すなわち、アビジン又はストレプトアビジンを定着させた表面(アビジン固相化表面)に対して、これらに対する特異的結合蛋白質であるビオチンを結合させたコファクターを接触させることにより形成されるアビジン−ビオチン結合した、コファクターの結合表面とすることが好適である。アビジン又はストレプトアビジンを表面上に定着させて、アビジン固相化表面を調製する方法、及び、コファクター(蛋白質又はペプチド)にビオチンを結合させる方法は、公知であり、かつ、簡便である(具体的に、実施例にて例示した)。
また、上述したように、抗体を結合分子として用いて、コファクターの結合表面を構築することも可能である。この場合、コファクターの結合分子とする抗体(モノクローナル抗体であっても、ポリクローナル抗体であってもよい)は、コファクターに対する抗体を表面に固相化することも可能であるが、上述したように、コファクターにタグ蛋白質を融合させて、当該タグ蛋白に対する抗体(当該抗体の多くは市販されている)、を固相化する方が、現時点では、個々に抗体を製造することが必要なコファクターに対する抗体を用いるよりも検出系の構築が簡便である。
さらに、酵素を結合分子として用いて、コファクターの結合表面を構築することも可能である。この場合は、コファクターとタグ蛋白との融合蛋白として、当該タグ蛋白を酵素蛋白(例えば、GST、MBP等)とすることにより、所望の酵素による定着を行うことができる。すなわち、これらのタグ酵素蛋白の基質(例えば、GSTに対してはグルタチオン、MBPに対してはマルトース)を、表面上に定着させて、上記タグ酵素蛋白を融合させたコファクターを接触させることにより、上記基質と酵素が結合する結果、所望のコファクターの結合表面を構築することができる。
上述した、アビジン−ビオチン結合を利用した系は、コファクターにタグ蛋白質を融合させることなしに、ビオチンを介して、様々なコファクターをアビジン固相化表面に結合させることが可能であり、より簡便であるという特徴がある。
標的物質の検出
本検出方法は、被験試料(一般には、標的物質の候補が含まれている試料である)に含有される成分が、標的物質であるか否かを検出することを主要な目的とする方法である。
標的物質は、核内受容体に対して何らかの作用を及ぼす物質、具体的には、アゴニスト(作動物質)、アンタゴニスト(拮抗物質)又はモジュレーター(修飾因子)、であり、合成品であっても、天然物であってもよい。
また、本検出方法における検出指標は、核内受容体が特定の標的物質と結合した場合に、当該核内受容体が、「表面」上に固定化された特定のコファクターと結合する結果、当該表面上にアゴニストが結合した状態の核内受容体が残存することを基にした、核内受容体蛋白質とコファクターの結合頻度の変化である。よって、固相化されたコファクターに結合した核内受容体蛋白を検出可能な標識を用いることが好適である。
当該標識としては、発色酵素、蛍光色素、アイソトープ等を例示することが可能であり、これらの標識を、核内受容体蛋白に対する抗体に標識させた標識抗体を用いることが好ましい。特に、当該標識として、ペルオキシダーゼ等の発色酵素を用いることが好適である。
当該標識抗体の抗原決定基は、核内受容体蛋白そのものを対象として設定することも可能である。しかしながら、上述したように、核内受容体蛋白を、タグ蛋白を融合させた融合蛋白質とし、かつ、当該タグ蛋白を抗原決定基の対象とすれば、様々な種類の核内蛋白質個々に対する抗体を調製することなく、既存のタグ蛋白に対する標識抗体[市販品も存在する。例えば、抗GSTタグ抗体、抗Hisタグ抗体(共に、コスモ・バイオ社製)等]を用いることで、容易に当該標識抗体が結合した核内受容体を検出することが可能である。このように、核内受容体蛋白を、タグ蛋白との融合蛋白とすることにより、所望の検出系の構築を迅速に行うことが可能であり、かつ、予め、複数種類の核内受容体蛋白に融合させるタグ蛋白を、当該核内状態蛋白同士で、共通化又はグループ化することにより、様々な組み合わせの標的物質と核内受容体とコファクターの組み合わせに対する検出を全体として効率的に行うことができる。
本検出方法において、標的物質が核内受容体に対するアゴニストである場合には、例えば、コアクチベーターとして働くコファクターを固相化した表面に、核内受容体蛋白質と被験試料を接触させて、被験試料中のアゴニストが核内受容体蛋白質に結合して、当該受容体蛋白の構造変化を惹起させることによる、前記固相化されたコアクチベーターへの結合を検出することにより、目的とするアゴニストの検出を行うことができる。この検出工程は、上記表面上に結合した核内受容体蛋白の増加を、上述した要領で、標識強度の増大として検出することにより行うことができる。なお、この態様でアゴニストの検出を行ったにもかかわらず、当該標識強度の増大が認められない場合は、被験試料には目的とするアゴニストは存在しないことが判明する。
標的物質がアゴニストであり、かつ、コリプレッサーとして働くコファクターを用いる場合には、例えば、核内受容体に対する既知のアンタゴニストを核内受容体に結合させることで、表面上に、コリプレッサー−核内受容体−標識の結合を予め設けて、当該表面が標識されている状態を構築する。次いで、そこにアゴニストを標的物質とする被験試料を接触させることにより、アゴニストの候補物質と、既に核内受容体に結合しているアンタゴニストを競合させ、当該アンタゴニストの存在による標識強度の減少を指標として、目的とするアゴニストを検出することができる。すなわち、被験試料に目的とするアゴニストが存在する場合には、当該アゴニストが、既に核内受容体蛋白に結合しているアンタゴニストに対して置き換わることにより、核内受容体蛋白の構造が非結合構造に変化し、固相化されたコリプレッサーとして働くコファクターから解離して、反応系における標識強度が減少することとなる。逆に、標識強度の減少が実質的に認められない場合は、アゴニストの候補物質は、実はアンタゴニストであるか、用いている核内受容体に対する結合能自体を有さない物質であることとなる。
また、本検出方法において、標的物質が核内受容体に対するアンタゴニストである場合には、例えば、コリプレッサーとして働くコファクターを固相化した表面に、核内受容体蛋白質と被験試料を接触させて、被験試料中のアンタゴニストが核内受容体蛋白質に結合して、当該受容体蛋白の構造変化を惹起させることによる、前記固相化されたコリプレッサーへの結合を検出することにより、目的とするアンタゴニストの検出を行うことができる。この検出工程は、上記表面上に結合した核内受容体蛋白の増加を、上述した要領で、標識強度の増大として検出することにより行うことができる。なお、この態様でアンタゴニストの検出を行ったにもかかわらず、当該標識強度の増大が認められない場合は、被験試料には目的とするアンタゴニストは存在しないことが判明する。
標的物質がアンタゴニストであり、かつ、コアクチベーターとして働くコファクターを用いる場合には、例えば、核内受容体に対する既知のアゴニストを核内受容体に結合させることで、表面上に、コアクチベーター−核内受容体−標識の結合を予め設けて、当該表面が標識されている状態を構築する。次いで、そこにアンタゴニストを標的物質とする被験試料を接触させることにより、アンタゴニストの候補物質と、既に核内受容体に結合しているアゴニストを競合させ、当該アゴニストの存在による標識強度の減少を指標として、目的とするアンタゴニストを検出することができる。すなわち、被験試料に目的とするアンタゴニストが存在する場合には、当該アンタゴニストが、既に核内受容体蛋白に結合しているアゴニストに対して置き換わることにより、核内受容体蛋白の構造が非結合構造に変化し、固相化されたコアクチベーターとして働くコファクターから解離して、反応系における標識強度が減少することとなる。逆に、標識強度の減少が実質的に認められない場合は、アンタゴニストの候補物質は、実はアゴニストであるか、用いている核内受容体に対する結合能自体を有さない物質であることとなる。
このように、プレートに固相化するコファクターの種類を用途に応じてコアクチベーターやコリプレッサーに変更することで標的物質のアゴニスト作用、アンタゴニスト作用を詳細に評価することが可能となる。
図1は、本検出方法の最良の形態の一つを模式化して示した図面である。 図2は、異なる核内受容体およびコファクター種を組み合わせて、マイクロウェルプレート上で構築した態様の本検出方法の実施態様の一つを模式化して示した図面である。 図3は、既存法(レセプター固相化プレート)による、大腸菌培養液1リットルから精製したER-α標品濃度とER活性の関係を示すグラフを示した図面である。 図4は、本検出方法による、培養液1リットルから精製したER-α標品濃度とER活性の関係を示すグラフを示した図面である。 図5は、本検出方法と既存法に基づく、検出系の構築工程のフローシートを示し、両方法の作業効率の差異を示した図面である。 図6A及びBは、本検出方法において、コアクチベーターSRC1結合プレートによる、エストロジェンレセプターα、βを用いた、様々なリガンドに対する検出結果を示すグラフを示した図面である。 図7A〜Cは、本検出方法において、コアクチベーターSRC1結合プレートによる、エストロジェンレセプターα、βを用いた、受容体選択的アゴニスト及びアンタゴニストを評価可能であることを示す図面である。 図8は、コアクチベーター種(SRC1, TIF2)の違いに依存せず、ER-α検出系でE2を検出可能であることを示す図面である。 図9A〜Eは、本検出方法が、核内受容体として、ビタミンD受容体、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体γ、肝臓X受容体α、肝臓X受容体β、およびファーネソールX 受容体を用いた場合に、各受容体に対するアゴニストの検出を可能となることを示す図面である。
図1は、本検出方法の最良の形態の一つを図式化して示した図面である。図1において、まず、リガンド(標的物質)が核内受容体に結合することにより、核内受容体が構造変化を起こす。その構造変化をプレートに固定化されたコファクターが認識し、リガンド・レセプター・コファクターの複合体を形成し、プレート表面に結合する。結合した複合体は、核内受容体蛋白にタグ蛋白を融合させてなる組換え蛋白に対するHRP標識した特異抗体を反応させて、これを検出試薬で発色させ、その比色強度の変化に基づき、被験試料の性質を検出することができる。
本発明では、プレート表面に、あらかじめアビジンを固相化し、コファクターにビオチンを結合させることにより、コファクターをプレートに直接固相化する場合に比べて、簡単にコファクターの入れ替えが可能となる。また、核内受容体蛋白に融合させたタグ蛋白に対する特異的抗体を利用することにより、受容体ごとに特異抗体を作製する労力と手間を省略することが可能となり、どのような受容体・コファクターの組み合わせの測定系をデザインする場合でも、迅速に構築することができる。
さらに、複数種類の核内受容体と複数種類のコファクターを組み合わせ、マイクロウェルプレートのウェル中で同時に検出を行うことにより(図2)、被験試料において、核内受容体およびコファクターの組み合わせによる応答性の違いを、迅速に検出することが可能であり、生体への影響評価に関する有用な情報を得ることができる。
以下、実施例を用いて本発明を具体的に開示するが、これにより、本発明が限定されるべきものではない。
[試薬の調製]
各例で使用した試薬は以下の方法で調整した。
(1) 発色試薬:
テトラメチルベンチジン(以下TMBと略す)を、5.5mM濃度で酢酸緩衝液(pH6.5)に溶解して調製した。
(2) 洗浄用緩衝液:
0.2M-リン酸生理食塩水(以下PBSと略す)に、0.05%濃度でTween20を加えて調製。
[参考例1] ヒト・エストロゲン受容体αGST融合蛋白質およびヒト・エストロゲンβGST融合蛋白質の調製
ヒト・エストロゲン受容体αGST融合蛋白質(以下ER-αと略す)およびヒト・エストロゲンβGST融合蛋白質(以下ER-βと略す)の調整は、公知の方法を用いて調整した(Cowly, S. M., et. al., J. Biochem., 272, 19858-19862 (1997))。簡単に示すと以下の通りである。
ヒト・エストロゲン受容体α、βのリガンド結合領域をコードする遺伝子は、ヒトの乳癌細胞であるMCF-7の培養上清から、市販のRNA抽出キット(Isogen、Nippon Gene社)を用いて抽出したRNAを鋳型にして、RT-PCRにより得た。得られたPCR産物を大腸菌の発現ベクター(pGEX、アマシャムバイオサイエンス社)の制限酵素切断部位(EcoRIとBamHI)の間に挿入し、大腸菌BL21に導入した。LB培地中、37℃でOD600が0.5程度になるまで培養後、IPTGによる誘導を行い、室温にて5時間の培養を行った。遠心にて集めた大腸菌をER緩衝液(40mM Tris, 5mM EDTA-2Na, 0.5% w/v TritonX-100, 0.05% NaN3, pH7.5)に懸濁し、氷上にて超音波処理を行った。遠心後、回収した上清を、予め結合バッファー(10mM Na2HPO4, 1.8mM KH2PO4, 140mM NaCl, pH7.3)にて平衡化したグルタチオンセファロースカラム(GSTrap FFプレパックカラム、アマシャムバイオサイエンス社)に展開し、結合バッファーによる洗浄、溶出バッファー(50mM Tris, 10mM非還元型グルタチオン, pH 8.0)による溶出を行った。得られたER-α、ER-βは使用直前まで-80℃にて保存した。
[参考例2] その他の核内受容体GST融合蛋白質の調整
参考例1と同様に、ラット・ビタミンD受容体GST融合蛋白質(以下、rVDRと略す)、ヒト・ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体γGST融合蛋白質(以下、PPAR-γと略す)、ヒト・肝臓X受容体αGST融合蛋白質(以下、LXR-αと略す)、ヒト・肝臓X受容体βGST融合蛋白質(以下、LXR-βと略す)、ヒト・ファーネソールX 受容体GST融合蛋白質(以下、FXRと略す)の発現を行った。
各受容体のリガンド結合領域をコードする遺伝子は、市販のcDNAライブラリーから常法により得た。cDNAライブラリー、およびcDNAクローンは全てOriGene Technologies, Inc.(USA)より購入した。
[参考例3] ビオチン化コアクチベーターSRC1の調製
コアクチベーターとして働くコファクターである、SRC1をターゲットとしたコアクチベータ・ペプチドのビオチン標識体の調製は以下のように行った。
SRC1のアミノ酸配列のうち683-697の16アミノ酸よりなるペプチド(LTERHKILHRLLQEG)を、島津SynProPep,PSSM-8により合成し、Biotinylation kit(PIERCE)を用いてビオチン標識を行った。
[参考例4] ビオチン化コアクチベーターTIF2の調製
コアクチベーターとして働くコファクターである、TIF2をターゲットとしたコアクチベータ・ペプチドのビオチン標識体の調製は以下のように行った。
TIF2のアミノ酸配列のうち683-697の16アミノ酸よりなるペプチド(LKE KHKILHRLLQDS)を島津SynProPep,PSSM-8により合成し、Biotinylation kit(PIERCE)を用いてビオチン標識を行った。
[参考例5] プレート作製
アビジン(和光純薬社製)を、0.1M NaHCO3(pH8.4)で10μg/mLに希釈し、96穴マイクロウェルプレート(ヌンク社製マキシソープ)上に、100μl/wellの割合で添加して、4℃で16〜24時間静置した。その後、PBS (pH7.4)で3回各ウェルを洗浄し、ブロッキング緩衝液(1%牛血清アルブミン(以下BSA と略す)を含むPBS , pH7.4) 200μl/ウェルずつ分注し、4℃で16時間以上静置して、アビジンプレートを作製した。このプレートは使用するまで4℃で保存した。
[実施例1] 本発明の効果の検討
既存法との比較により、本発明の効果としてアッセイ系の構築に際する作業効率(作業に要する時間、材料単位当たりのプレート作製量)について、以下に示す。
(1)既存法
1リットルのER-αの細胞培養液から、グルタチオン・セファロース4Bゲル(アマシャムバイオサイエンス社製)を用いて精製したER-α標品を10 mL準備した。既存方法として、ER-α標品を96穴マイクロウェルプレートに固相化する測定系を構築した。ER-αをPBS生理食塩水にて適当な濃度(1/1, 1/2, 1/4, 1/8倍)に希釈し、50μl/ウェルの量でプレートに分注した。ER-α分注プレートは16時間以上4℃静置して固相化反応し、その後1%BSA入りPBS 生理食塩水でプレートのブロッキング処理を16時間以上4℃で行った。ER-α固相化プレートの活性測定は4濃度(10 nM, 1 nM, 0.1 nM,及び0 nM)の17βエストラジオール標準品(E2)とビオチン化コアクチベーターSRC1 (0.1 μg/mL, ジメチルスルホキシド(以下DMSOと略す)にて溶解)、HRP標識アビジン(1/200倍希釈溶液、AMEDEX, アマシャムバイオサイエンス社製)の混合液を試料として行った。あらかじめビオチン化SRC1: HRP標識アビジン: PBS を1 : 1 : 98で混合した溶液(A液)を作製し、E2標準液とA液を5 : 95の割合で混合し、100μl/ウェルでER-α固相化プレートに分注した。室温で1時間振とう反応した後、洗浄用緩衝液でプレートを洗浄した。プレート洗浄後、発色試薬を100μl/ウェルずつ加えて10分間静置で発色反応を行った。発色反応後1N硫酸で反応停止した後、プレートリーダーで450nmの波長を測定した。
(2)本検出方法
上述の既存法と同様に、1リットルER-α細胞培養溶液から10 mLのER-α精製品を調製し、これを用いて測定試薬作製量検討を以下のように行った。あらかじめアビジンを固相化したプレートにビオチン化コアクチベーターSRC1 (0.01mg/mL, DMSOに溶解)を洗浄用緩衝液にて終濃度0.01μl/mL溶液を調製した。この調製溶液を100μl/ウェルでプレートに分注し、1時間浸透することにより、SRC1結合プレートを調製した。次にPBSにて適当な濃度(1/10, 1/20, 1/40, 1/60, 1/80, 1/120倍希釈)に希釈したER-α溶液とE2標準液を95 : 5の割合で混合し、100μl/ウェルでプレートに分注した。1時間振とう反応させた後、プレートを洗浄用緩衝液で洗浄し、洗浄用緩衝液で1/40,000に希釈したHRP標識抗GST抗体溶液を100μl/ウェルで分注し、1時間振とう反応させた。反応後、洗浄用緩衝液でプレートを洗浄し、発色試薬を100μl/ウェルずつ加えて10分間静置で発色反応を行った。発色反応後1N硫酸で反応停止した後、プレートリーダーで450nmの波長を測定した。
図3は、1リットルER-α培養液から既存法にて作製したER-α標品を適当濃度で固相化したプレートにより活性を測定した結果を示した図面である。この結果より、固相化ER-αの場合、十分な活性を得るためには精製標品を原液で使用するかあるいは濃縮して使用する必要があることがわかった。測定試薬作製量を概算すると、1測定試薬に必要なプレート固相化に用いるER-αは、100μl/ウェルとして約10 mLであるため、1リットル培養液から作製できる測定試薬は96穴マイクロウェルプレートで1枚以下となる。
図4は、本検出方法におけるER-α必要量の結果を示した図面である。この結果より、本検出方法に基づく検出系を構築した場合、十分な活性を得るために必要量なER-αの60倍希釈であることが認められた。1枚のマイクロウェルプレートに測定試薬として必要なER-α用量は12 mL/キットであることから、60倍希釈で使用すると、60 x 10 mL = 600 mL, 600/12 = 50プレート分の作製が1リットルのER-α培養で可能であった。
上述した既存法で同量の測定試薬を作製する場合、少なくとも50リットルのER-α培養液が必要である。また、図5に示したように、1リットル培養を製造の1単位として作業することを想定すると本検出方法では1週間で50プレート作製できるのに対して、既存法では5プレートの作製に2週間は必要となる。この作業工程フローで新規方法と同量(50キット)の測定試薬を既存測定法で作製する場合、少なくとも2ヶ月の作業期間が必要となる。
[試験例1] コアクチベーターSRC1結合プレートによるリガンドの検出
実施例1の本検出方法に基づいて得られた核内受容体をもとに、コアクチベーターSRC1を、参考例5で示したアビジンプレートに固定化し、受容体ER-αとER-βを置き換えることにより2種の受容体の測定系構築を試みた。検出には、HRP標識抗GST抗体を用いた。図6A及びBに示したように、いずれの核内受容体においても、アゴニストである、17β-エストラジオール(E2)、ビスフェノールA (BPA)、ジエチルスチルベストロール(DES)、ノニルフェノール(4-NP)、ゲニステインでOD値の上昇が認められた。また、アンタゴニストである、タモキシフェン(TAM)を、一定濃度のE2と混合して測定するとTAMの用量依存的にOD値の低下が認められ、本検出方法では、核内受容体に対するアゴニストとアンタゴニストの区別が可能であることが確認できた。
[試験例2] エストロジェン受容体選択性の評価
試験例1で構築したER-α、ER-βを用いた系を利用し、既知のエストロジェン受容体α選択的アゴニスト、エストロジェン受容体β選択的アゴニスト及びエストロジェンα選択的アンタゴニストの評価を行った。図7A〜Cに示したように、E2を比較対象とした吸光度の相対強度を縦軸にとった場合、ER-α選択的アゴニストであるPropyl-pyrazole-triol (PPT)ではER-αに対するより高いアゴニスト作用が確認された。一方、ER-β選択的アゴニストであるDiarylpropionitrile (DPN)では、ER-βに対する高いアゴニスト作用が得られた。また、ER-α選択的アンタゴニストであるMPP dihydrochloride (MPP)では、一定濃度のE2と混合することでアンタゴニスト作用を評価した結果、ER-αに対するより強いアンタゴニスト作用が確認された。
これらの結果は、W.R. Harrington et al., Mol. And Cell. Endcri. 206 (2003) 13-22に報告されている細胞ベースのレポーター遺伝子アッセイによる各リガンドの評価と同等の結果を示しており、当該検出方法が、レポーター遺伝子アッセイよりも簡便でありながら、リガンドの受容体選択性を評価可能であることが確認できた。
[試験例3] コアクチベーターTIF2結合プレートによるエストロジェン受容体結合試験法の検討
次に、コアクチベーターSRC1の代わりに、ビオチン化した別種のコアクチベーターTIF2をアビジンプレートに結合して、エストロジェン受容体(ER-α)試験法の構築を試みた。測定系はコアクチベーター種を換えた以外は方法、構成とも試験例1と同様である。図8に示したように、SRC1結合プレート、TIF2結合プレートともER-α受容体を介したE2の測定が可能であった。
[試験例4] 各種核内受容体への本検出方法の適用可能性の検討
当該検出手法において、核内受容体GST融合蛋白質として、rVDR、PPAR-γ、LXR-α、LXR-β、FXRを用い、試験例1と同様に各核内受容体のアゴニストの検出を行った。rVDRに対しては1α,25-dihydroxyvitamin D(VD3)、PPAR-γに対してはTroglitazone(TRO)、LXR-αおよびLXR-βに対してはTO-901317(TO)、FXRに対してはchenodeoxycholic acid(CDCA)をそれぞれアゴニストとして使用した。図9A〜Eに各核内受容体に対するアゴニストの評価結果を示す。いずれの核内受容体においても、各アゴニストに対する用量依存的なOD値の上昇が見られ、本検出手法がビタミンD受容体、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体γ、肝臓X受容体α、肝臓X受容体β、ファーネソールX 受容体など、他の核内受容体に容易に適用可能であることが確認できた。
本発明により、鋭敏性を維持しながら、検出作業が簡便で、かつ、当該検出系の確立を効率的に行うことが可能な、核内受容体−コファクターの系を用いた、生体関連物質の検出手段が提供される。

Claims (6)

  1. マイクロウェルプレート上のウェルの表面に固定化されたアビジン又はストレプトアビジンと、コファクターに結合しているビオチンとの、アビジン−ビオチン結合によって、当該コファクターの当該表面に対する結合が維持されているウェル表面に対して、当該コファクターに対応するタグ蛋白質を結合させた核内受容体蛋白質と被験試料を接触させて、当該核内受容体蛋白質とコファクターの結合頻度の変化を、当該核内受容体に結合しているタグ蛋白質と、当該タグ蛋白質に対して結合可能な標識抗体の標識の強度の変化として検出し、これを指標とすることにより被験試料内の当該核内受容体に対する結合物質を検出する結合方法であって、2種以上の核内受容体蛋白質と、それら各々に対応するコファクターを用いる、2種以上の当該検出方法を、同一のマイクロウェルプレート上の異なるウェルにおいて行い、被検試料内の当該2種以上の核内受容体に対する結合物質を集約的に検出する、検出方法
  2. 前記検出方法において、前記核内受容体蛋白質とコファクターの結合頻度の増加を指標として、被験試料内の当該核内受容体に対するアゴニスト又はアンタゴニストを検出する、請求項1記載の検出方法。
  3. 前記検出方法において、前記核内受容体蛋白質とコファクターの結合頻度の減少を指標として、被験試料内の当該核内受容体に対するアンタゴニスト又はアゴニストを検出する、請求項1記載の検出方法。
  4. 前記検出方法において、標識抗体の標識がペルオキシダーゼの標識である、請求項1〜3のいずれかに記載の検出方法。
  5. 前記検出方法において、核内受容体蛋白質及び/又はコファクターが組換え蛋白質である、請求項1〜のいずれかに記載の検出方法。
  6. 前記検出方法において、核内受容体蛋白質が、エストロジェン受容体α、エストロジェン受容体β、アンドロゲン受容体、プロゲステロン受容体、グルココルチコイド受容体、ミネラルコルチコイド受容体、レチノイン酸受容体α、レチノイン酸受容体β、レチノイン酸受容体γ、甲状腺ホルモン受容体α、甲状腺ホルモン受容体β、ビタミンD受容体、レチノイドX受容体α、レチノイドX受容体β、レチノイドX受容体γ、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体α、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体γ、ペルオキソーム増殖剤活性化受容体δ、肝臓X受容体α、肝臓X受容体β、ファーネソールX受容体、ステロイド及び外来異物受容体、恒常的アンドロスタン受容体、逆アーブA受容体α、逆アーブA受容体β、RAR関連オーファン受容体α、RAR関連オーファン受容体β、RAR関連オーファン受容体γ、肝細胞核内因子4α、肝細胞核内因子4γ、精巣オーファン受容体2、精巣オーファン受容体4、ニワトリオブアルブミン上流プロモーター転写因子β、ニワトリオブアルブミン上流プロモーター転写因子β、ニワトリオブアルブミン上流プロモーター転写因子γ、エストロジェン関連受容体α、エストロジェン関連受容体β、エストロジェン関連受容体γ、神経成長因子誘導遺伝子Bα、神経成長因子誘導遺伝子Bβ、神経成長因子誘導遺伝子Bγ、胚細胞核内因子、ステロイドジェニック因子1、肝受容体相同蛋白、光受容体細胞特異的核内受容体、ショウジョウバエテイルレス遺伝子受容体ヒトホモローグ、小へテロダイマーパートナー蛋白、および、量感受性転換AHCに非常に重要なX染色体上の領域の遺伝子1、から選択される1種以上の核内受容体蛋白質である、請求項1〜のいずれかに記載の検出方法。
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