JP4810969B2 - 可変動弁機構の制御装置及びエンジンの可変動弁機構 - Google Patents

可変動弁機構の制御装置及びエンジンの可変動弁機構 Download PDF

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Description

本発明は、インテークバルブ及びエキゾーストバルブの少なくとも一方をエンジンバルブとして駆動軸の直線運動により同バルブのバルブ作用角を変更する可変動弁機構において、アクチュエータの制御を通じて駆動軸を直線運動させる可変動弁機構の制御装置及びエンジンの可変動弁機構に関する。
上記可変動弁機構は、インテークバルブ及びエキゾーストバルブの少なくとも一方をエンジンバルブとして駆動軸の直線運動により同バルブのバルブ作用角(エンジンバルブが最も閉弁側の位置から最も開弁側の位置まで移動する期間におけるクランクシャフトの回転角度)を変更する作用角可変機構と、駆動軸へ直線運動を入力するアクチュエータと、アクチュエータの制御を通じて駆動軸を変位させることによりバルブ作用角を変更する制御装置とを備えて構成される(特許文献1参照)。
作用角可変機構は、駆動軸としてシリンダヘッドに配置されるコントロールシャフトと、コントロールシャフトと連動して移動可能なスライダギアと、カムシャフトの回転を通じてスライダギアを揺動させる入力ギアと、スライダギアの揺動を通じてエンジンバルブを変位させる出力ギアとの組み合わせを通じて構成される。
こうした可変動弁機構を搭載したエンジンにおいては、バルブ作用角を変更する要求があるとき、制御装置によるアクチュエータの制御を通じてコントロールシャフトが変位させられる。そして、コントロールシャフトの変位にともなう入力ギアと出力ギアとの相対回転により、エンジンバルブのバルブ作用角が変更される。
特開2001−263015号公報 特開2003−41977号公報
ところで、上記可変動弁機構においては、制御装置が把握しているコントロールシャフトの位置(仮想位置)と実際のコントロールシャフトの位置(現状位置)とが整合しなくなることもある。例えば、制御装置の動作が停止しているときに何らかの理由によりコントロールシャフトが変位した場合には現状位置の変化が仮想位置へ反映されないため、仮想位置と現状位置との不整合が生じる。
そこで、可変動弁機構の制御装置においては、こうした仮想位置と現状位置との不整合を解消するために、コントロールシャフトの位置を学習する制御を行うことが必要となる。この学習制御は、次の(a)〜(c)の態様をもって行うことができる。
(a)コントロールシャフトの直線運動が制限される位置を基準位置として予め把握しておく。
(b)学習制御の条件が成立したとき、直線運動が制限されるまでコントロールシャフトを変位させる。
(c)直線運動が制限されたときに仮想位置を基準位置へ更新する。
上記学習制御によれば、コントロールシャフトの直線運動が制限されたとき、すなわち現状位置が基準位置のときに、仮想位置が基準位置へ更新されるため、仮想位置と現状位置との整合が図られるようになる。
(1)「課題1」
可変動弁機構を搭載したエンジンにおいては、上記学習制御を行うことにより次のような問題が生じるようになる。
エンジンの運転中に学習制御が行われたとき、コントロールシャフトの変位にともなってバルブ作用角が変更されるため、エンジン出力が変化するようになる。従って、学習制御が実行されるタイミングによっては、エンジン出力が運転者の要求する出力と大きく乖離することによりドライバビリティの低下をまねくようになる。なお、こうした問題は、上記可変動弁機構に限られず、バルブ作用角を変更する可変動弁機構であれば同様に生じるものといえる。
ちなみに、特許文献2の可変動弁機構の制御装置では、学習制御にともなうドライバビリティの低下を回避するために、学習制御の実行中に可変動弁機構の動作とスロットルバルブの動作とを協調させることにより、運転者の要求するエンジン出力が得られるようにしている。しかし、こうした協調制御を実行する場合には、運転者の要求を可変動弁機構及びスロットルバルブの動作へ適切に反映させるために複雑な制御ロジックを予め構築しておく必要があるため、実用性の低下が懸念される。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、駆動軸の位置を学習するための制御に起因するドライバビリティの低下を抑制することのできる可変動弁機構の制御装置を提供することにある。
(2)「課題2」
上記可変動弁機構においては、学習制御の実行タイミングにより、コントロールシャフトの直線運動が制限される位置に違いが生じることが本願発明者の試験等を通じて確認された。しかし、上記学習制御によれば、コントロールシャフトの直線運動が制限されたことをもって仮想位置が基準位置に更新されるため、仮想位置と現状位置との関係が学習制御毎にばらつくようになる。
例えば、1回目の学習制御(学習制御1)及び2回目の学習制御(学習制御2)について、学習制御1では現状位置Aにおいて直線運動が制限されたことにより仮想位置が基準位置へ更新されたのに対し、学習制御2では現状位置Bにおいて直線運動が制限されたことにより仮想位置が基準位置へ更新されたとする。このとき、現状位置が異なるにもかかわらずいずれの学習制御においても仮想位置が基準位置へ更新されるため、学習制御1と学習制御2との間で仮想位置と現状位置との関係にずれが生じるようになる。
こうした学習制御毎における仮想位置と現状位置との関係のばらつきは、バルブ作用角の変更にかかる制御性の低下をまねくため、極力抑制することが望まれる。なお、こうした問題は、上記可変動弁機構に限られず、バルブ作用角を変更する可変動弁機構であれば同様に生じるものといえる。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、駆動軸の位置について、仮想位置と実際の位置との関係が学習制御毎にばらつくことを抑制することのできる可変動弁機構の制御装置及びエンジンの可変動弁機構を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、インテークバルブ及びエキゾーストバルブの少なくとも一方をエンジンバルブとして駆動軸の直線運動により該エンジンバルブのバルブ作用角を変更する作用角可変機構と、前記駆動軸へ直線運動を入力するアクチュエータとを備えて構成される可変動弁機構に適用されて、前記アクチュエータの制御を通じて前記駆動軸を変位させる可変動弁機構の制御装置において、直線運動が制限されるまで前記駆動軸を変位させる第1処理と、該処理を通じて前記駆動軸の実際の位置を学習する第2処理とを含む学習制御について、該学習制御をエンジン負荷が高負荷のときに行う制御手段を備えたことを要旨としている。
上記発明では、エンジン負荷が高負荷のときのバルブ作用角の変化がドライバビリティに及ぼす影響が小さいことに着目して、学習制御をエンジン負荷が高負荷のときに行うようにしている。これにより、駆動軸の位置を学習するための制御に起因するドライバビリティの低下を抑制することができるようになる。
(2)請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の可変動弁機構の制御装置において、当該可変動弁機構が、前記駆動軸の直線運動について、バルブ作用角が大きくなる方向への直線運動を制限するストッパを備えて構成されるものであり、前記制御手段が、前記第1処理において前記ストッパへ向けて前記駆動軸を変位させるものであることを要旨としている。
(3)請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の可変動弁機構の制御装置において、当該制御装置が、前記アクチュエータの駆動状態を通じて把握される前記駆動軸の位置を仮想位置として、該仮想位置を前記駆動軸の実際の位置と見立てて前記アクチュエータの制御を行うものであり、前記制御手段が、前記ストッパにより直線運動が制限される前記駆動軸の位置を基準位置として、前記第2処理において前記駆動軸の直線運動が制限されたときに前記仮想位置を前記基準位置へ更新するものであることを要旨としている。
(4)請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の可変動弁機構の制御装置において、前記作用角可変機構が、前記駆動軸としてシリンダヘッドに配置されるコントロールシャフトと、該コントロールシャフトと連動して移動可能なスライダギアと、カムシャフトの回転を通じて前記スライダギアを揺動させる入力ギアと、前記スライダギアの揺動を通じて前記エンジンバルブを変位させる出力ギアとを備えて構成されるとともに、前記コントロールシャフトの直線運動にともなう前記入力ギアと前記出力ギアとの相対回転を通じてバルブ作用角を変更するものであることを要旨としている。
(5)請求項5に記載の発明は、エンジンの可変動弁機構において請求項1〜4のいずれか一項に記載の可変動弁機構の制御装置を搭載したことを要旨としている。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について、図1〜図21を参照して説明する。
本実施形態では、本発明にかかる可変動弁機構の制御装置をインテークバルブのバルブ作用角及び最大バルブリフト量を変更する可変動弁機構に適用した場合を想定している。
<エンジンの構造>
図1に、本発明の可変動弁機構を備えたエンジンについて、その概略構成を示す。なお、本実施形態では、直列4気筒のエンジンを想定しているが、本発明の可変動弁機構はいずれのエンジンに対しても適用することができる。
エンジン1は、シリンダブロック11とシリンダヘッド12との組み合わせを通じて構成されている。シリンダブロック11には、複数のシリンダ13が形成されている。各シリンダ13内の燃焼室には、インジェクタ21を通じてシリンダヘッド12のインテークポート22へ噴射された燃料とインテークマニホールド14を介してインテークポート22へ供給された空気との混合気が供給される。クランクシャフト15は、混合気の燃焼によるピストンの直線運動を回転運動へ変換して出力する。
シリンダヘッド12には、各シリンダ13のインテークポート22を燃焼室に対して開閉するインテークバルブ23、及び各シリンダ13のエキゾーストポートを燃焼室に対して開閉するエキゾーストバルブ24が設けられている。インテークバルブ23は、インテークカムシャフト25のカム25C及びバルブスプリングを通じて開閉される。エキゾーストバルブ24は、エキゾーストカムシャフト26のカム26C及びバルブスプリングを通じて開閉される。インテークカムシャフト25及びエキゾーストカムシャフト26は、タイミングチェーン16を介して伝達されたクランクシャフト15のトルクにより回転する。
エンジン1において、インテークカムシャフト25と隣接する位置には可変動弁機構3が備えられている。可変動弁機構3は、回転直動式アクチュエータ7に内蔵されたモータ71の回転を通じて各インテークバルブ23のバルブ作用角及び最大バルブリフト量を変更する。なお、バルブ作用角は、インテークバルブ23が最も閉弁側の位置から最も開弁側の位置まで移動する期間におけるクランクシャフト15の回転角度を示す。また、最大バルブリフト量は、インテークバルブ23が最も閉弁側の位置から最も開弁側の位置まで移動するときのインテークバルブ23の変位量を示す。
エンジン1は、電子制御装置9を通じて統括的に制御される。
電子制御装置9は、エンジン制御にかかる演算処理を実行する中央演算処理装置、エンジン制御に必要なプログラムやマップが予め記憶された読み出し専用メモリ、中央演算処理装置の計算結果等を一時的に記憶するランダムアクセスメモリ、外部の信号を入力するための入力ポート、及び外部へ信号を出力するための出力ポート等を備えて構成されている。なお、制御手段は、電子制御装置9を含めて構成される。
電子制御装置9の入力ポートには、車速センサ91、アクセルポジションセンサ92、クランクポジションセンサ93、エアフローメータ94及びホールセンサ95等が接続されている。また、電子制御装置9の出力ポートには、インジェクタ21の駆動回路(インジェクタ駆動回路96)及びモータ71の駆動回路(モータ駆動回路97)等が接続されている。
車速センサ91は、車両のホイールの近傍に設けられており、ホイールの回転速度(車速SPD)に応じた電気信号を出力する。車速センサ91の出力信号は、電子制御装置9へ入力された後、車速計測値SPDMとして各種制御に用いられる。
アクセルポジションセンサ92は、車両のアクセルペダルの近傍に設けられており、アクセルペダルの踏み込み量(アクセル操作量ACC)に応じた電力信号を出力する。アクセルポジションセンサ92の出力信号は、電子制御装置9へ入力された後、アクセル操作量計測値ACCMとして各種制御に用いられる。
クランクポジションセンサ93は、エンジン1のクランクシャフト15の近傍に設けられており、クランクシャフト15の回転角度(クランク回転角度CA)に応じた電力信号を出力する。クランクポジションセンサ93の出力信号は、電子制御装置9へ入力された後、クランク回転角度計測値CAMとして各種制御に用いられる。電子制御装置9は、クランク回転角度計測値CAMに基づいて、クランクシャフト15の回転速度(エンジン回転速度NE)を算出する。
エアフローメータ94は、エンジン1のインテークパイプに設けられており、インテークパイプ内を流れる空気の質量流量(吸気流量AM)に応じた電力信号を出力する。エアフローメータ94の出力信号は、電子制御装置9へ入力された後、吸気流量計測値AMMとして各種制御に用いられる。電子制御装置9は、吸気流量計測値AMMに基づいて、燃焼室へ供給される空気量(吸入空気量GA)を算出する。
ホールセンサ95は、モータ駆動回路97内に設けられており、モータ71のロータの回転角度(ロータ回転角度RA)に応じた電力信号を出力する。ホールセンサ95の出力信号は、電子制御装置9へ入力された後、ロータ回転角度計測値RAMとしてモータ71の駆動制御等に用いられる。
<燃料噴射制御>
電子制御装置9は、燃料噴射制御を通じて、次の(a)及び(b)に示すようにインジェクタ21の制御を行う。
(a)吸入空気量GA及びエンジン回転速度NEに基づいて燃料噴射量の基本値を設定し、この基本値に対する各種補正の適用を通じて燃料噴射量の指令値を設定する。そして、この指令値に基づいて設定した開弁時間にわたりインジェクタ21を開弁させることで、指令値に相当する量の燃料を噴射させる。
(b)運転者からの減速要求があるとき、燃料消費率の向上を図るためにインジェクタ21の燃料噴射を停止する減速時フューエルカットを行う。本実施形態では、以下の各条件が成立していることをもって減速要求があると判断し、これに基づいて減速時フューエルカットを行う。
・アクセルペダルが解放されている(アクセル操作量計測値ACCMが「0」)。
・エンジン回転速度NEがフューエルカット復帰回転速度NEFC以上。
<可変動弁機構の構造>
図2〜図15を参照して、可変動弁機構3の構造について説明する。なお、以下の〔1〕では可変動弁機構3の大まかな構造について、〔2〕では可変動弁機構3の主要部分の構造について、〔3〕では可変動弁機構3の動作について、〔4〕では可変動弁機構3の動作状態とバルブ作用角との関係についてそれぞれ説明している。
〔1〕「可変動弁機構の全体構造」
図2及び図3を参照して、可変動弁機構3の構造の概略について説明する。
・図2は、可変動弁機構3の斜視構造を示す。
・図3は、可変動弁機構3のバルブリフト機構について、その分解斜視構造を示す。
図2を参照して、可変動弁機構3の構造の概略について説明する。
可変動弁機構3は、駆動軸(コントロールシャフト35)の直線運動を通じてバルブ作用角及び最大バルブリフト量を変更する動弁機構本体31と、動弁機構本体31へ直線運動を入力する回転直動式アクチュエータ7とを備えて構成されている。
動弁機構本体31は、各シリンダ13に対応して設けられた複数のバルブリフト機構32と各バルブリフト機構32を支持するスライドシャフト機構33との組み合わせを通じて構成されている。また、それぞれの中心線が整合するように各構成要素(ロッカーシャフト34、コントロールシャフト35、スライダギア4、入力ギア5及び出力ギア6)が組み合わされている。すなわち、これら各構成要素は共通の中心線Oを有する。
スライドシャフト機構33は、回転運動及び直線運動が不能な状態でシリンダヘッド12に固定されるロッカーシャフト34と、直線運動が可能な状態でロッカーシャフト34内に配置されるコントロールシャフト35との組み合わせを通じて構成されている。コントロールシャフト35には、コントロールシャフト35の直線運動を規制するためのシャフトアーム35Aが設けられている。
バルブリフト機構32は、コントロールシャフト35に連動して直線運動可能なスライダギア4と、ヘリカルスプラインを通じてスライダギア4と噛み合う入力ギア5及び出力ギア6との組み合わせを通じて構成されている。入力ギア5及び出力ギア6は、スライダギア4の直線運動にともない互いに相対回転する。
動弁機構本体31においては、以下のように各構成要素の回転運動及び直線運動がそれぞれ許容または制限されている。なお、回転運動は中心線Oまわりにおける周方向の運動を示す。また、直線運動は中心線Oに沿った軸方向の運動を示す。
(a)ロッカーシャフト34は、回転運動及び直線運動ともに不能。
(b)コントロールシャフト35は、回転運動が不能かつ直線運動が可能。
(c)スライダギア4は、回転運動及び直線運動ともに可能。
(d)入力ギア5は、回転運動が可能かつ直線運動が不能。
(e)出力ギア6は、回転運動が可能かつ直線運動が不能。
回転直動式アクチュエータ7は、入力された回転運動を直線運動へ変換してコントロールシャフト35を直線運動させる回転直線運動変換機構8と回転直線運動変換機構8へ回転運動を入力するモータ71とを備えて構成されている。なお、本実施形態では、コントロールシャフト35の移動方向について、バルブ作用角及び最大バルブリフト量が小さくなる方向を正方向Fとし、バルブ作用角及び最大バルブリフト量が大きくなる方向を逆方向Rとしている。
電子制御装置9は、回転直動式アクチュエータ7の制御を通じてコントロールシャフト35を直線運動させることにより、インテークバルブ23のバルブ作用角及び最大バルブリフト量の変更を行う。具体的には、以下の(a)及び(b)に示すようにバルブ作用角及び最大バルブリフト量を変更する。なお、コントロールシャフト35の移動方向とバルブ作用角及び最大バルブリフト量の変化方向との関係は、以下に示す関係とは反対の関係に設定することもできる。
(a)インテークバルブ23のバルブ作用角及び最大バルブリフト量を小さくする要求があるとき、コントロールシャフト35が正方向Fへ向けて変位するように回転直動式アクチュエータ7の制御を行う。
(b)インテークバルブ23のバルブ作用角及び最大バルブリフト量を大きくする要求があるとき、コントロールシャフト35が逆方向Rへ向けて変位するように回転直動式アクチュエータ7の制御を行う。
エンジン1においては、可変動弁機構3の動作に応じてバルブ作用角及び最大バルブリフト量が図4に示すように変化する。
(a)バルブ作用角INCAM及び最大バルブリフト量INVTは、コントロールシャフト35が正方向Fへ向けて移動するにつれて小さくなる。そして、コントロールシャフト35が最大限まで正方向Fへ移動したとき、バルブ作用角INCAMが最も小さいバルブ作用角(最小バルブ作用角INCAMmin)に設定されるとともに最大バルブリフト量INVLが最も小さい最大バルブリフト量(下限最大バルブリフト量INVLmin)に設定される。
(b)バルブ作用角INCAM及び最大バルブリフト量INVTは、コントロールシャフト35が逆方向Rへ向けて移動するにつれて大きくなる。そして、コントロールシャフト35が最大限まで逆方向Rへ移動したとき、バルブ作用角INCAMが最も大きいバルブ作用角(最大バルブ作用角INCAMmax)に設定されるとともに最大バルブリフト量INVLが最も大きい最大バルブリフト量(上限最大バルブリフト量INVLmax)に設定される。
〔2〕「動弁機構本体の構造」
図5〜図11を参照して、動弁機構本体31の構造について説明する。なお、可変動弁機構3においては、各シリンダ13に対応した箇所の構造が共通しているため、図5〜図10及び図11では、1つのシリンダ13に対応した箇所の構造のみを示している。
図5及び図6を参照して、バルブリフト機構32の構造について説明する。
・図5は、動弁機構本体31について、入力ギア5及び出力ギア6の一部を取り除いた状態の斜視構造を示す。
・図6は、動弁機構本体31について、図5の状態からスライドシャフト機構33及びスライダギア4を取り除いた状態の斜視構造を示す。
スライダギア4の本体(スライダギア本体41)には、スライダギア入力部42及びスライダギア出力部43が一体に形成されている。スライダギア入力部42のヘリカルスプライン(入力スプライン42A)とスライダギア出力部43のヘリカルスプライン(出力スプライン43A)とは、歯すじのねじれ方向がコントロールシャフト35の中心線Oに対して互いに反対となるように形成されている。
入力ギア5の本体(入力ギア本体51)には、スライダギア4の入力スプライン42Aと噛み合うヘリカルスプライン(入力スプライン52)が形成されている。入力ギア本体51の外周側には、インテークカムシャフト25のカム25Cと接触する入力アーム53が設けられている。入力アーム53は、入力ギア本体51と一体形成された一対のアーム54とシャフト55のまわりを回転するローラ56とから構成されている。
出力ギア6の本体(出力ギア本体61)には、スライダギア4の出力スプライン43Aと噛み合うヘリカルスプライン(出力スプライン62)が形成されている。出力ギア本体61の外周側には、一体形成された出力アーム63が設けられている。出力アーム63には、凹状に湾曲したカム面63Fが形成されている。
図7〜図9を参照して、スライドシャフト機構33の構造について説明する。
・図7は、コントロールシャフト35の斜視構造を示す。
・図8は、ロッカーシャフト34の斜視構造を示す。
・図9は、スライドシャフト機構33の斜視構造を示す。
コントロールシャフト35には、スライダギア4をコントロールシャフト35の直線運動と連動させるためのコネクトピン36が取り付けられる。コネクトピン36は、コントロールシャフト35のピン挿入穴35Hにはめ込まれる。本実施形態のコントロールシャフト35には、各シリンダ13に対応して4つのピン挿入穴35Hが形成されている。
ロッカーシャフト34には、コネクトピン36の直線運動を許容するためのピン移動孔34Hが形成されている。コネクトピン36は、ピン移動孔34Hを介してコントロールシャフト35のピン挿入穴35Hにはめ込まれる。
スライドシャフト機構33においては、コントロールシャフト35とスライダギア4との軸方向の相対位置を固定するためのブッシュ37がコネクトピン36に取り付けられる。これにより、コントロールシャフト35とコネクトピン36及びブッシュ37とが一体となって直線運動する。
図10及び図11を参照して、バルブリフト機構32とスライドシャフト機構33との組み付け構造について説明する。
・図10は、スライダギア4の断面構造を示す。
・図11は、図10の状態のスライダギア4にスライドシャフト機構33を組み合わせた状態を示す。
スライダギア4のピン溝44には、ブッシュ37が配置される。そして、この状態のスライダギア4において、スライダギア本体41のシャフト挿入孔45へロッカーシャフト34及びコントロールシャフト35が挿入されることにより、スライダギア4とロッカーシャフト34及びコントロールシャフト35とが組み合わされる。
コネクトピン36は、スライダギア4のピン挿入孔42H及びブッシュ37のピン挿入孔37Hを介してコントロールシャフト35のピン挿入穴35Hにはめ込まれる。これにより、コントロールシャフト35、コネクトピン36、ブッシュ37及びスライダギア4が一体となって直線運動する。
〔3〕「可変動弁機構の動作」
図12及び図13を参照して、インテークカムシャフト25の回転運動にともなうバルブリフト機構32の動作について説明する。
・図12に、動弁機構本体31について、スライダギア4、入力ギア5及び出力ギア6の一部を取り除いた状態の斜視構造を示す。
・図13に、動弁機構本体31について、図12の状態からスライダギア4、入力ギア5及び出力ギア6が回転した状態を示す。
動弁機構本体31においては、コネクトピン36及びブッシュ37がスライダギア4のピン溝44に配置されていることにより、ロッカーシャフト34及びコントロールシャフト35(スライドシャフト機構33)に対するスライダギア4の相対回転が許容されている。
従って、インテークカムシャフト25のカム25Cにより入力ギア5が押されたとき、スライダギア4が入力ギア5とともにスライドシャフト機構33のまわりを揺動する。また、出力ギア6がスライダギア4とともにスライドシャフト機構33のまわりを揺動する。すなわち、スライダギア4、入力ギア5及び出力ギア6が一体となってスライドシャフト機構33のまわりを揺動する。
例えば、動弁機構本体31の状態が図12に示す状態のときに入力ギア5がカム25Cにより押された場合、スライダギア4、入力ギア5及び出力ギア6の揺動を通じて、動弁機構本体31の状態が図13に示す状態へ移行する。
図14を参照して、コントロールシャフト35の直線運動にともなうバルブリフト機構32の動作について説明する。なお、図14は、図2のDA−DA線に沿った可変動弁機構3の側面構造を示す。
バルブリフト機構32においては、コントロールシャフト35の直線運動を通じてスライダギア4と入力ギア5及び出力ギア6との軸方向の相対位置が変更されるとき、入力ギア5及び出力ギア6に対して互いに反対方向へ作用するねじり力が付与される。これにより、入力ギア5と出力ギア6とが相対回転するため、入力ギア5(入力アーム53)と出力ギア6(出力アーム63)との相対的な回転位相が変更される。なお、可変動弁機構3においては、共通する1本のコントロールシャフト35に全てのスライダギア4が固定されているため、コントロールシャフト35の移動にともない全てのバルブリフト機構32において上記相対的な回転位相が変更される。
例えば、図14の状態Aを基準としたとき、コントロールシャフト35の変位方向に応じてバルブリフト機構32が次のように動作する。
(A)状態Aからコントロールシャフト35を正方向Fへ変位させたとき、バルブリフト機構32は状態Bへ移行する。すなわち、入力ギア5と出力ギア6との相対回転により、中心線Oのまわりにおいて入力アーム53と出力アーム63とが接近する。
(B)状態Aからコントロールシャフト35を逆方向Rへ変位させたとき、バルブリフト機構32は状態Cへ移行する。すなわち、入力ギア5と出力ギア6との相対回転により、中心線Oのまわりにおいて入力アーム53と出力アーム63とが離間する。
〔4〕「可変動弁機構とバルブ作用角との関係」
図15に、エンジン1における可変動弁機構3周辺の断面構造を示す。
シリンダヘッド12においては、インテークカムシャフト25とローラロッカーアーム27との間に可変動弁機構3のバルブリフト機構32が配置されている。ローラロッカーアーム27は、インテークバルブ23のバルブスプリング28によりバルブリフト機構32側へ付勢されているため、ローラ27Aが常にバルブリフト機構32の出力ギア6と当接した状態に保持される。入力ギア5は、シリンダヘッド12と入力ギア本体51との間に取り付けられているスプリングによりインテークカムシャフト25側へ付勢されているため、ローラ56が常にインテークカムシャフト25のカム25Cと当接した状態に保持される。
そして、インテークカムシャフト25のカム25Cにより入力ギア5が押されたとき、入力ギア5、スライダギア4及び出力ギア6が一体となって回転運動する。そして、出力ギア6の回転運動を通じてローラロッカーアーム27が押し下げられることにより、インテークバルブ23が開弁方向へ変位する。
エンジン1においては、インテークカムシャフト25を通じて出力ギア6が押し下げられたときに出力ギア6によりローラロッカーアーム27(インテークバルブ23)が押し下げられる期間及び押し下げられる量が、中心線Oまわりにおける入力アーム53と出力アーム63との距離に応じて変化する。
バルブ作用角及び最大バルブリフト量は、上記距離に応じて次のように変化する。
(a)中心線Oまわりにおける入力アーム53と出力アーム63との距離が短くなるにつれて(例えば、図14の状態Aから状態Bへ移行するとき)、ローラロッカーアーム27の押し下げられる期間及び押し下げられる量が小さくなるため、インテークバルブ23のバルブ作用角及び最大バルブリフト量は減少する。
(b)中心線Oまわりにおける入力アーム53と出力アーム63との距離が長くなるにつれて(例えば、図14の状態Aから状態Cへ移行するとき)、ローラロッカーアーム27の押し下げられる期間及び押し下げられる量が大きくなるため、インテークバルブ23のバルブ作用角及び最大バルブリフト量は増加する。
<コントロールシャフトの移動範囲>
図16に、図2のV方向からみた可変動弁機構3の正面構造を示す。
可変動弁機構3においては、シリンダヘッド12に設けられたシャフトストッパ38とコントロールシャフト35に設けられたシャフトアーム35Aとにより、コントロールシャフト35の移動範囲が規制されている。
シャフトストッパ38は、シリンダヘッド12に固定されるストッパ本体38Aとストッパスプリング38Bを介してストッパ本体38Aに取り付けられた前面側ストッパ38C及び背面側ストッパ38Dとにより構成されている。シャフトアーム35Aは、前面側ストッパ38Cと背面側ストッパ38Dとの間に配置されている。
これにより、コントロールシャフト35は、シャフトアーム35Aが前面側ストッパ38Cへ突き当てられることにより正方向Fへの直線運動が制限される。また、シャフトアーム35Aが背面側ストッパ38Dへ突き当てられることにより逆方向Rへの直線運動が制限される。すなわち、前面側ストッパ38Cと背面側ストッパ38Dとの間におけるシャフトアーム35Aの移動可能範囲が、コントロールシャフト35の移動可能範囲となる。
<回転直動式アクチュエータの構造>
図17を参照して、回転直動式アクチュエータ7の構造について説明する。なお、図17は、軸方向に沿った回転直動式アクチュエータ7の断面構造を示す。
回転直動式アクチュエータ7において、モータ71及び回転直線運動変換機構8はハウジング74に内蔵されている。モータ71は、コイルを有するステータ72と永久磁石を有するロータ73とを備えたブラシレスモータとして構成されている。
回転直線運動変換機構8は、入力された回転運動を直線運動へ変換して出力する機能を有する。すなわち、回転直動式アクチュエータ7の出力軸として機能するサンシャフト81と、ロータ73と一体回転するナット82と、ナット82の回転を通じてサンシャフト81を直線運動させる複数のプラネタリシャフト83との組み合わせを通じて構成されている。
サンシャフト81は、自身の中心線がコントロールシャフト35の中心線Oと整合するようにコントロールシャフト35と接続されている。すなわち、可変動弁機構3においては、サンシャフト81の直線運動にともなってコントロールシャフト35が正方向Fまたは逆方向Rへ変位する。
<回転直動式アクチュエータの動作態様>
回転直動式アクチュエータ7の動作態様について説明する。可変動弁機構3においては、以下の[1]〜[3]の順序に従ってコントロールシャフト35が駆動される。
[1]ステータ72への通電により、ロータ73とともにナット82が回転する。
[2]ナット82の回転により、プラネタリシャフト83が自転しつつサンシャフト81の周りを公転する。すなわち、プラネタリシャフト83がサンシャフト81の周りにおいて遊星運動する。
[3]プラネタリシャフト83の遊星運動により、サンシャフト81が直線運動する。また、サンシャフト81とともにコントロールシャフト35が直線運動する。
回転直動式アクチュエータ7の動作とバルブ作用角及び最大バルブリフト量との関係について説明する。なお、以降では、コントロールシャフト35が正方向Fへ移動するときのロータ73の回転方向を正転方向RFとし、コントロールシャフト35が逆方向Rへ移動するときのロータ73の回転方向を反転方向RRとする。
(a)ステータ72への通電によりロータ73の回転位相が保持されているとき、コントロールシャフト35の位置が変化しないため、バルブ作用角及び最大バルブリフト量はそのときの大きさに保持される。
(b)ステータ72への通電によりロータ73が正転方向RFへ回転するとき、コントロールシャフト35が正方向Fへ向けて変位するため、バルブ作用角及び最大バルブリフト量はロータ73の回転前よりも小さくなる。このとき、ロータ73の回転が開始されてから停止されるまでのロータ回転角度RAに応じた分だけバルブ作用角及び最大バルブリフト量が小さくなる。
(c)ステータ72への通電によりロータ73が反転方向RRへ回転するとき、コントロールシャフト35が逆方向Rへ向けて変位するため、バルブ作用角及び最大バルブリフト量はロータ73の回転前よりも大きくなる。このとき、ロータ73の回転が開始されてから停止されるまでのロータ回転角度RAに応じた分だけバルブ作用角及び最大バルブリフト量が大きくなる。
<可変動弁機構の制御態様>
電子制御装置9による可変動弁機構3の制御態様について説明する。以降では、移動範囲におけるコントロールシャフト35の位置をシャフト位置PSとし、コントロールシャフト35の変位量をシャフト変位量LSとして示す。
電子制御装置9は、基本的には次の[処理1]〜[処理4]に基づいて可変動弁機構3の制御を行う。
[処理1]:実際のバルブ作用角INCAM(現状バルブ作用角INCAMatc)が目標のバルブ作用角INCAM(目標バルブ作用角INCAMtrg)と異なるとき、現状バルブ作用角INCAMatcが目標バルブ作用角INCAMtrgと一致するように回転直動式アクチュエータ7を制御する。
エンジン1においては、現状バルブ作用角INCAMatcを直接的に検出していないため、以下の[処理2]を通じて推定したバルブ作用角INCAM(仮想バルブ作用角INCAMvrt)を現状バルブ作用角INCAMatcと見立てて回転直動式アクチュエータ7の制御を行う。すなわち、仮想バルブ作用角INCAMvrtが目標バルブ作用角INCAMtrgと一致するように回転直動式アクチュエータ7を制御する。
[処理2]:バルブ作用角INCAMは、実際のシャフト位置PS(現状シャフト位置PSact)に応じて変化するため、現状シャフト位置PSactに基づいて仮想バルブ作用角INCAMvrtを算出する。
エンジン1においては、現状シャフト位置PSactを直接的に検出していないため、以下の[処理3]を通じて推定したシャフト位置PS(仮想シャフト位置PSvrt)を現状シャフト位置PSactと見立てて仮想バルブ作用角INCAMvrtの算出を行う。すなわち、仮想シャフト位置PSvrtに基づいて仮想バルブ作用角INCAMvrtを算出する。
[処理3]:シャフト位置PSは、実際のシャフト変位量LS(現状シャフト変位量LSact)に応じて変化するため、現状シャフト変位量LSactに基づいて仮想シャフト位置PSvrtを算出する。
エンジン1においては、現状シャフト変位量LSactを直接的に検出していないため、以下の[処理4]を通じて推定したシャフト変位量LS(仮想シャフト変位量LSvrt)を現状シャフト変位量LSactと見立てて仮想シャフト位置PSvrtの算出を行う。すなわち、仮想シャフト変位量LSvrtに基づいて仮想シャフト位置PSvrtを算出する。
[処理4]:シャフト変位量LSは、実際のロータ回転角度RAに対応して変化するため、ロータ回転角度計測値RAMに基づいて仮想シャフト変位量LSvrtを算出する。
電子制御装置9は、上記[処理1]〜[処理4]を可変動弁機構3の制御を行うための基本処理として、次の[処理A]〜[処理G]の処理を通じてバルブ作用角INCAMの変更を行う。
[処理A]エンジン1の運転状態等に基づいて目標バルブ作用角INCAMtrgを設定する。
・仮想バルブ作用角INCAMvrtが目標バルブ作用角INCAMtrgと異なるときは次の[処理B]を行う。
・仮想バルブ作用角INCAMvrtが目標バルブ作用角INCAMtrgと一致するときは、ロータ73の回転位相を保持する。
[処理B]予め把握されているシャフト位置PSとバルブ作用角INCAMとの関係(位置対作用角特性)に基づいて、目標バルブ作用角INCAMtrgに対応したシャフト位置PSを目標シャフト位置PStrgとして算出する。例えば、位置対作用角特性として図18のマップが電子制御装置9に予め記憶されているとき、目標バルブ作用角INCAMtrgに対応したシャフト位置PS(シャフト位置PSX)を目標シャフト位置PStrgとして設定する。
位置対作用角特性において、正方向Fへの直線運動が制限されるときのシャフト位置PSを前面突当位置PSminとし、逆方向Rへの直線運動が制限されるときのシャフト位置PSを背面突当位置PSmaxとしたとき、シャフト位置PSとバルブ作用角INCAMとは次のような関係にある。
(a)シャフト位置PSが前面突当位置PSminのとき、バルブ作用角INCAMは最小バルブ作用角INCAMminとなる。
(b)シャフト位置PSが背面突当位置PSmaxのとき、バルブ作用角INCAMは最大バルブ作用角INCAMmaxとなる。
[処理C]現在の仮想シャフト位置PSvrtと目標シャフト位置PStrgとに基づいて、現状シャフト位置PSactを目標シャフト位置PStrgと整合させるために必要となるシャフト変位量LS(目標シャフト変位量LStrg)を算出する。
[処理D]予め把握されているロータ回転角度RAとシャフト変位量LSとの関係(角度対変位量特性)に基づいて、目標シャフト変位量LStrgに対応したロータ回転角度RAを目標ロータ回転角度RAtrgとして算出する。例えば、角度対変位量特性として図19のマップが電子制御装置9に予め記憶されているとき、目標シャフト変位量LStrgに対応したロータ回転角度RAの値(ロータ回転角度RAX)を目標ロータ回転角度RAtrgとして設定する。
[処理E]仮想バルブ作用角INCAMvrtと目標バルブ作用角INCAMtrgとの関係に基づいて、コントロールシャフト35の移動方向すなわちロータ73の回転方向を設定する。
・目標バルブ作用角INCAMtrgが仮想バルブ作用角INCAMvrtよりも小さいとき、ロータ73の回転方向を正転方向RFに設定する。
・目標バルブ作用角INCAMtrgが仮想バルブ作用角INCAMvrtよりも大きいとき、ロータ73の回転方向を反転方向RRに設定する。
[処理F]ロータ73を上記処理にて設定し方向へ回転させる。
[処理G]ロータ73の回転開始後におけるロータ回転角度計測値RAMが目標ロータ回転角度RAtrgに達したとき、ロータ73の回転位相を保持する。
<バルブ作用角変更処理>
電子制御装置9は、エンジン1の運転中、上記各処理に基づいて構成された「バルブ作用角変更処理」の実行を通じて現状バルブ作用角INCAMatcを目標バルブ作用角INCAMtrgに設定することにより、燃料消費率の向上等を図る。
図20を参照して、「バルブ作用角変更処理」について説明する。
[ステップS102]「シャフト位置学習処理[1](図21)」を開始する。なお、「シャフト位置学習処理[1]」の詳細な処理手順については後述する。
[ステップS104]エンジン1の運転状態に基づいて、目標バルブ作用角INCAMtrgを設定する。
[ステップS110]仮想バルブ作用角INCAMvrtが目標バルブ作用角INCAMtrgと一致しているか否かを判定する。
電子制御装置9は、ステップS110の判定処理を通じて、現状バルブ作用角INCAMatcについて次のように判断する。
(a)仮想バルブ作用角INCAMvrtが目標バルブ作用角INCAMtrgと一致していないとき、現状バルブ作用角INCAMatcが目標バルブ作用角INCAMtrgと一致していないと判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS112の処理へ移行する。
(b)仮想バルブ作用角INCAMvrtが目標バルブ作用角INCAMtrgと一致しているとき、現状バルブ作用角INCAMatcが目標バルブ作用角INCAMtrgと一致していると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS122の処理へ移行する。
[ステップS112]上記[処理B]から[処理F]までの処理に従って、回転直動式アクチュエータ7によるコントロールシャフト35の駆動を開始する。また、コントロールシャフト35の駆動が実行されているときには、コントロールシャフト35の駆動を継続する。
[ステップS120]上記ステップS112の処理を通じてコントロールシャフト35の駆動を開始してからのロータ回転角度RA(ロータ回転角度計測値RAM)が目標ロータ回転角度RAtrgに達したか否かを判定する。
電子制御装置9は、ステップS120の判定処理を通じて、シャフト位置PSについて次のように判断する。
(a)ロータ回転角度計測値RAMが目標ロータ回転角度RAtrgに達しているとき、現状シャフト位置PSactが目標シャフト位置PStrgにあると判断する。すなわち、現状バルブ作用角INCAMatcが目標バルブ作用角INCAMtrgと一致していると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS122の処理へ移行する。
(b)ロータ回転角度計測値RAMが目標ロータ回転角度RAtrgに達していないとき、現状シャフト位置PSactが目標シャフト位置PStrgと異なると判断する。すなわち、現状バルブ作用角INCAMatcが目標バルブ作用角INCAMtrgと一致していないと判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS130の処理へ移行する。
[ステップS122]回転直動式アクチュエータ7の制御を通じてシャフト位置PSを保持する。すなわち、バルブ作用角INCAMを保持する。
[ステップS130]エンジン1の停止要求があるか否かを判定する。
・エンジン1の停止要求がないとき、ステップS102の処理へ移行する。
・エンジン1の停止要求があるとき、本処理を終了する。
<シャフト位置学習処理>
可変動弁機構3においては、上述のようにロータ回転角度RAとシャフト変位量LSとの対応関係に基づいて現状シャフト位置PSactを把握するようにしているため、仮想シャフト位置PSvrtが現状シャフト位置PSactと整合しなくなることもある。例えば、電子制御装置9の動作が停止しているときに何らかの理由によりコントロールシャフト35が変位した場合には、現状シャフト位置PSactの変化が仮想シャフト位置PSvrtへ反映されないため、仮想シャフト位置PSvrtと現状シャフト位置PSactとの不整合が生じる。
そこで、本実施形態ではこうした制御性の低下を抑制するため、「シャフト位置学習処理[1]」を通じてシャフト位置PSの学習を行うようにしている。すなわち、学習制御として、前面側ストッパ38Cにより直線運動が制限されるまでコントロールシャフト35を移動させる処理(第1処理)と、コントロールシャフト35の直線運動が制限されたときに仮想シャフト位置PSvrtを前面突当位置PSminへ更新する処理(第2処理)とを行うことで、仮想シャフト位置PSvrtと現状シャフト位置PSactとの整合をとるようにしている。
図21を参照して、「シャフト位置学習処理[1]」の詳細な処理手順について説明する。
[ステップS210]減速時フューエルカットの実行中か否かを判定する。
当該「シャフト位置学習処理[1]」では、学習制御を通じてコントロールシャフト35を前面側ストッパ38Cへ突き当てるようにしているため、学習制御の実行によりバルブ作用角INCAMが変更されるようになる。従って、学習制御が実行されるタイミングによっては、運転者の要求するエンジン出力と実際のエンジン出力とが大きく乖離することによりドライバビリティの低下をまねくようになる。そこで、ステップS210の処理では、減速時フューエルカットの実行状態に基づいて、学習制御の実行に適した状態にあるか否かを判定するようにしている。
電子制御装置9は、ステップS210の判定処理を通じて、学習制御の実行について次のように判断する。
(a)減速時フューエルカットの実行中のときには、バルブ作用角INCAMの変化がエンジン1の出力に影響しないため、学習制御の実行に適した状態にあると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS220の処理へ移行する。
(b)減速時フューエルカットの停止中のときには、バルブ作用角INCAMの変化がエンジン1の出力に影響するため、学習制御の実行によりドライバビリティの低下をまねくおそれがあると判断する。この判定結果が得られたときは、本処理を終了して「バルブ作用角変更処理」のステップS104の処理へ移行する。
なお、学習制御の実行中において減速時フューエルカットが終了されていることが検出されたときは、回転直動式アクチュエータ7によるコントロールシャフト35の駆動を停止するとともにコントロールシャフト35の位置をそのときの位置に保持して「バルブ作用角変更処理」へ移行する。
[ステップS220]エンジン回転速度NEが判定回転速度NEH未満か否かを判定する。
当該「シャフト位置学習処理[1]」では、学習制御を通じてコントロールシャフト35を前面側ストッパ38Cへ突き当てるようにしているため、学習制御の実行にともない基本的にはバルブ作用角INCAMが最小バルブ作用角INCAMminに設定される。一方で、エンジン回転速度NEが高回転領域にある状態でバルブ作用角INCAMが最小バルブ作用角INCAMminまたはその近傍の作用角に設定された場合には、シリンダ13内の負圧が過度に増大することによりエンジン回転速度NEが急激に下降するようになる。
こうしたことから、エンジン回転速度NEが高回転領域にある状態で学習制御が行われた場合、エンジン回転速度NEの急激な下降に起因するドライバビリティの低下をまねくようになる。そこで、ステップS220の処理では、エンジン回転速度NEと判定回転速度NEHとの比較を通じて、学習制御の実行に適した状態にあるか否かを判定するようにしている。
電子制御装置9は、ステップS220の判定処理を通じて、学習制御の実行について次のように判断する。
(a)エンジン回転速度NEが判定回転速度NEH未満のとき、バルブ作用角INCAMが最小バルブ作用角INCAMminまたはその近傍の作用角に設定されてもエンジン回転速度NEの急激な下降が生じないため、学習制御の実行に適した状態にあると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS222の処理へ移行する。すなわち、学習制御を開始する。
(b)エンジン回転速度NEが判定回転速度NEH以上のとき、バルブ作用角INCAMが最小バルブ作用角INCAMminまたはその近傍の作用角に設定されることによりエンジン回転速度NEの急激な下降が生じるため、学習制御の実行によりドライバビリティの低下をまねくおそれがあると判断する。この判定結果が得られたときは、本処理を終了して「バルブ作用角変更処理」のステップS104の処理へ移行する。
なお、学習制御の実行中においてエンジン回転速度NEが判定回転速度NEH以上であることが検出されたときには、回転直動式アクチュエータ7によるコントロールシャフト35の駆動を停止するとともにコントロールシャフト35の位置をそのときの位置に保持して「バルブ作用角変更処理」へ移行する。
[ステップS222]回転直動式アクチュエータ7を通じてコントロールシャフト35を正方向Fへ向けて変位させる。このとき、モータ駆動回路97やシャフトストッパ38の保護を図るため、モータ71のトルクが一定の大きさとなるようにステータ72への通電を行う。なお、当該「シャフト位置学習処理[1]」においては、ステップS222、ステップS230及びステップS232の処理が学習制御を通じて実行される処理に相当する。
[ステップS230]モータ71(ロータ73)の回転が停止したか否かを判定する。
シャフトアーム35Aが前面側ストッパ38Cへ突き当てられたとき、コントロールシャフト35の正方向Fへの直線運動が制限されることによりロータ73の回転が停止するため、これに基づいてシャフトアーム35Aが前面側ストッパ38Cへ突き当てられていると判断することができる。また、ロータ73の回転が停止したとき、ロータ回転角度RAが変化しなくなるため、これに基づいてロータ73の回転が停止していると判断することができる。ステップS230の処理では、ステータ72への通電を行っている状態において、ロータ回転角度計測値RAMが一定期間以上にわたって変化しないことをもってロータ73の回転が停止したと判断するようにしている。
電子制御装置9は、ステップS230の判定処理を通じて、シャフト位置PSについて次のように判断する。
(a)モータ71の回転が停止しているとき、シャフトアーム35Aが前面側ストッパ38Cへ突き当てられていると判断する。すなわち、現状シャフト位置PSactが前面突当位置PSminにあると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS232の処理へ移行する。
(b)モータ71の回転が継続しているとき、シャフトアーム35Aが前面側ストッパ38Cへ突き当てられていないと判断する。すなわち、現状シャフト位置PSactが前面突当位置PSminと異なると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS210の処理へ移行する。
[ステップS232]仮想シャフト位置PSvrtを現在の仮想シャフト位置PSvrtから前面突当位置PSminへ更新する。これにより、仮想シャフト位置PSvrtが現状シャフト位置PSactと整合するため、ロータ回転角度計測値RAMに基づいて的確にバルブ作用角INCAMの変更を行うことが可能となる。なお、ステップS232の終了後は、「バルブ作用角変更処理」のステップS104の処理へ移行する。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この第1実施形態にかかる可変動弁機構の制御装置によれば、以下に示すような効果が得られるようになる。
(1)本実施形態の可変動弁機構3の制御装置では、エンジン1のフューエルカットの実行中に学習制御を行うようにしている。このように、バルブ作用角INCAMの変化がエンジン出力に影響しないときに学習制御を行うようにしているため、学習制御に起因するドライバビリティの低下を抑制することができるようになる。
(2)本実施形態の可変動弁機構3の制御装置では、エンジン回転速度NEが判定回転速度NEH未満のときに学習制御を行うようにしている。これにより、シリンダ13内の負圧が過度に増大することに起因してエンジン回転速度NEの急激な下降が生じることを抑制することができるようになる。すなわち、学習制御の実行にともなうドライバビリティの低下を抑制することができるようになる。
(3)また、シリンダ13内の負圧が過度に増大することに起因してエンジンオイルの消費が促進されることを抑制することができるようになる。すなわち、学習制御の実行にともなうエンジンオイルの消費量の増加を抑制することができるようになる。
(4)学習制御の実行によるドライバビリティの低下を回避するために、学習制御において可変動弁機構3の動作とスロットルバルブの動作とを協調させることにより、運転者の要求するエンジン出力が得られるようにすることもできる。しかし、こうした協調制御を実施する場合には、運転者の要求を可変動弁機構3及びスロットルバルブの動作へ適切に反映させるために複雑な制御ロジックを予め構築しておく必要があるため、実用性の低下が懸念される。この点、本実施形態の可変動弁機構3の制御装置では、協調制御のための制御ロジックを予め構築する必要がないため、学習制御を実行する可変動弁機構について、その実用性をより高いものとすることができるようになる。
(5)本実施形態の可変動弁機構3の制御装置では、学習制御の実行中、モータ71の回転停止が検出されるまでの期間においてもフューエルカットの実行が継続されているか否かについての判定を行うようにしている。これにより、モータ71の回転停止前にフューエルカットの終了が検出された場合には学習制御が中断されるため、フューエルカットの停止中にもかかわらず学習制御が継続されることによるドライバビリティの低下を抑制することができるようになる。
<実施形態の変更例>
なお、上記第1実施形態は、例えば以下に示すように変更して実施することもできる。
・上記第1実施形態においては、コントロールシャフト35を前面側ストッパ38Cへ突き当てることによりシャフト位置PSの学習を行うようにしたが、コントロールシャフト35を背面側ストッパ38Dへ突き当てることによりシャフト位置PSの学習を行うこともできる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について、図22を参照して説明する。
本実施形態では、以下の「シャフト位置学習処理[2]」を通じて学習制御を行うことにより、仮想シャフト位置PSvrtと現状シャフト位置PSactとの整合をとるようにしている。なお、本実施形態においては、前記「シャフト位置学習処理[1]」に代えて「シャフト位置学習処理[2]」を行う点において前記第1実施形態の構成と相違し、それ以外については前記第1実施形態と同様の構成を採用している。
<学習制御の概要>
可変動弁機構3においては、入力ギア5の入力アーム53に対してインテークカムシャフト25から力が加えられることにより、スライダギア入力部42にスラスト荷重が生じるようになる。一方、出力ギア6の出力アーム63に対してバルブスプリング28から力が加えられることにより、スライダギア出力部43にスラスト荷重が生じるようになる。そして、エンジン1の運転中には少なくとも一つのスライダギア4において上記スラスト荷重の一方または両方が常に生じるため、コントロールシャフト35は常にスラスト荷重が加えられた状態にある。
こうしたことから、学習制御の実行中において、コントロールシャフト35は回転直動式アクチュエータ7からのスラスト荷重とスライダギア4(エンジン1)からのスラスト荷重とが加えられた状態で駆動されるようになる。一方で、エンジン1からバルブリフト機構32へ加えられる力、すなわちインテークカムシャフト25のトルク及びバルブスプリング28の反力の大きさは主にエンジン回転速度NEに応じて変化するため、これにともないスライダギア4を介してコントロールシャフト35へ作用するスラスト荷重の大きさが変化するようになる。これにより、異なるエンジン回転速度NEのもとで実行される各学習制御においては、コントロールシャフト35を変位させる力の大きさも異なるため、コントロールシャフト35の直線運動が制限される位置に違いが生じることもある。
ここで、エンジン回転速度NEが回転速度NE1のときに開始された学習制御(第1学習制御)とエンジン回転速度NEが回転速度NE1よりも大幅に小さい回転速度NE2のときに開始された学習制御(第2学習制御)とを例に挙げて、上記直線運動が制限される位置の違いについて説明する。なお、ここでは前記「シャフト位置学習処理[1]」を通じて上記第1学習制御及び第2学習制御が行われた場合を想定する。
第1学習制御においては、現状シャフト位置PSact1でコントロールシャフト35の直線運動が制限されたことにより仮想シャフト位置PSvrtが前面突当位置PSminへ更新されたとする。一方の第2学習制御では、第1学習制御よりもエンジン回転速度NEが大幅に小さい状態で開始されたことにより、エンジン1からバルブリフト機構32へ加えられる力が第1学習制御に比べて小さくなる。すなわち、コントロールシャフト35を変位させる力が第1学習制御での力を大きく下回った状態となる。このため、コントロールシャフト35を前面側ストッパ38Cへ突き当てる力が小さいことにより、ストッパスプリング38Bの変形量が第1学習制御における変形量よりも少ないシャフト位置PS(現状シャフト位置PSact2)でコントロールシャフト35の直線運動が制限されるようになる。従って、第2学習制御においては、現状シャフト位置PSact2において仮想シャフト位置PSvrtが前面突当位置PSminへ更新される。
このように、現状シャフト位置PSactが異なるにもかかわらずいずれの学習制御においても仮想シャフト位置PSvrtが前面突当位置PSminへ更新されるため、第1学習制御と第2学習制御との間で仮想シャフト位置PSvrtと現状シャフト位置PSactとの関係にずれが生じるようになる。そして、学習制御が実行される度に同様の状態が生じた場合には、仮想シャフト位置PSvrtと現状シャフト位置PSactとの関係が学習制御毎に大きくばらつくようになる。こうした仮想シャフト位置PSvrtと現状シャフト位置PSactとの関係のばらつきは、バルブ作用角INCAMの変更にかかる制御性の低下をまねくため、極力抑制することが要求される。
そこで、本実施形態では、エンジン1からバルブリフト機構32へ加えられる力が主にエンジン回転速度NEに応じて異なることに着目して、常に同じエンジン回転速度(特定回転速度NEX)のときに学習制御を開始することで、学習制御中においてコントロールシャフト35を変位させる力の大きさがいずれの学習制御についても略同じ大きさとなるようにしている。これにより、各学習制御においてコントロールシャフト35の直線運動が制限される位置の違いが生じにくくなるため、シャフト位置PSについて、仮想シャフト位置PSvrtと現状シャフト位置PSactとの関係が学習制御毎にばらつくことを抑制することができるようになる。
<シャフト位置学習処理>
図22に、「シャフト位置学習処理[2]」の詳細な処理手順を示す。
[ステップS310]シャフト位置PSの学習を行うための基本条件が成立したか否かを判定する。この基本条件としては、例えば、以下に示す条件の少なくとも一つを採用することができる。
(a)前回の学習制御から経過時間が判定値以上である。
(b)前回の学習制御からの走行距離が判定値以上である。
ステップS310の処理では、判定結果に応じて次のように以降の処理へ移行する。
・基本条件が成立しているとき、ステップS320の処理へ移行する。
・基本条件が成立していないとき、本処理を終了して「バルブ作用角変更処理」のステップS104の処理へ移行する。
なお、学習制御の実行中において基本条件が不成立であることが検出されたときは、回転直動式アクチュエータ7によるコントロールシャフト35の駆動を停止するとともにコントロールシャフト35の位置をそのときの位置に保持して「バルブ作用角変更処理」へ移行する。
[ステップS320]学習制御の実行中か否かを判定する。
・学習制御が実行されているとき、ステップS340の処理へ移行する。
・学習制御が実行されていないとき、ステップS330の処理へ移行する。
[ステップS330]エンジン回転速度NEが特定回転速度NEXに達したか否かを判定する。
電子制御装置9は、ステップS330の判定処理を通じて、学習制御の実行について次のように判断する。
(a)エンジン回転速度NEが特定回転速度NEXに達したとき、このタイミングで学習制御を開始することにより、コントロールシャフト35を変位させる力について、その大きさがすでに実行された学習制御及び今後実行される学習制御と略同じ大きさにされるため、学習制御の実行開始に適した状態にあると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS332の処理へ移行する。すなわち、学習制御を開始する。
(b)エンジン回転速度NEが特定回転速度NEXに達したとき、このタイミングで学習制御を開始することにより、コントロールシャフト35を変位させる力について、その大きさがすでに実行された学習制御及び今後実行される学習制御と大きく異なるおそれがあると判断する。この判定結果が得られたときは、本処理を終了して「バルブ作用角変更処理」のステップS104の処理へ移行する。
[ステップS332]回転直動式アクチュエータ7を通じてコントロールシャフト35を正方向Fへ向けて変位させる。このとき、モータ駆動回路97やシャフトストッパ38の保護を図るため、モータ71のトルクが一定の大きさとなるようにステータ72への通電を行う。なお、当該「シャフト位置学習処理[2]」においては、ステップS332、ステップS340及びステップS342の処理が学習制御を通じて実行される処理に相当する。
[ステップS340]モータ71(ロータ73)の回転が停止したか否かを判定する。
電子制御装置9は、ステップS340の判定処理を通じて、シャフト位置PSについて次のように判断する。
(a)モータ71の回転が停止しているとき、シャフトアーム35Aが前面側ストッパ38Cへ突き当てられていると判断する。すなわち、現状シャフト位置PSactが前面突当位置PSminにあると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS342の処理へ移行する。
(b)モータ71の回転が継続しているとき、シャフトアーム35Aが前面側ストッパ38Cへ突き当てられていないと判断する。すなわち、現状シャフト位置PSactは前面突当位置PSminにないと判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS310の処理へ移行する。
[ステップS342]仮想シャフト位置PSvrtを現在の仮想シャフト位置PSvrtから前面突当位置PSminへ更新する。これにより、仮想シャフト位置PSvrtが現状シャフト位置PSactと整合するため、ロータ回転角度計測値RAMに基づいて的確にバルブ作用角INCAMの変更を行うことが可能となる。なお、ステップS342の終了後は、「バルブ作用角変更処理」のステップS104の処理へ移行する。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この第2実施形態にかかる可変動弁機構の制御装置によれば、以下に示すような効果が得られるようになる。
(1)本実施形態の可変動弁機構3の制御装置では、エンジン回転速度NEが特定回転速度NEXに達したときに学習制御を開始するようにしている。これにより、学習制御中におけるコントロールシャフト35を変位させる力の大きさがいずれの学習制御についても略同じ大きさとなるため、各学習制御においてコントロールシャフト35の直線運動が制限される位置の違いが生じにくくなる。従って、シャフト位置PSについて、仮想シャフト位置PSvrtと現状シャフト位置PSactとの関係が学習制御毎にばらつくことを抑制することができるようになる。
<実施形態の変更例>
なお、上記第2実施形態は、例えば以下に示すように変更して実施することもできる。
・上記第2実施形態においては、コントロールシャフト35を前面側ストッパ38Cへ突き当てることによりシャフト位置PSの学習を行うようにしたが、コントロールシャフト35を背面側ストッパ38Dへ突き当てることによりシャフト位置PSの学習を行うこともできる。
・上記第2実施形態では、基本条件が成立しているときにエンジン回転速度NEが特定回転速度NEXに達したことをもって学習制御を開始するようにしたが、例えば次のように変更することもできる。すなわち、基本条件が成立している状態においてエンジン回転速度NEが所定の範囲内にあることをもって学習制御を開始することもできる。なお、同所定の範囲は、学習制御中にコントロールシャフト35を変位させる力の大きさについて、学習制御毎のばらつきが許容範囲内に収まるように設定される。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について、図23を参照して説明する。
本実施形態では、以下の「シャフト位置学習処理[3]」を通じてシャフト位置PSの学習を行うことにより、仮想シャフト位置PSvrtと現状シャフト位置PSactとの整合をとるようにしている。なお、本実施形態においては、前記「シャフト位置学習処理[1]」に代えて「シャフト位置学習処理[3]」を行う点において前記第1実施形態の構成と相違し、それ以外については前記第1実施形態と同様の構成を採用している。
<シャフト位置学習処理>
図23に、「シャフト位置学習処理[3]」の詳細な処理手順を示す。
[ステップS410]シャフト位置PSの学習を行うための基本条件が成立したか否かを判定する。この基本条件としては、例えば、以下に示す条件の少なくとも一つを採用することができる。
(a)前回の学習制御から経過時間が判定値以上である。
(b)前回の学習制御からの走行距離が判定値以上である。
ステップS410の処理では、判定結果に応じて次のように以降の処理へ移行する。
・基本条件が成立しているとき、ステップS420の処理へ移行する。
・基本条件が成立していないとき、本処理を終了して「バルブ作用角変更処理」のステップS104の処理へ移行する。
なお、学習制御の実行中において基本条件が不成立であることが検出されたときは、回転直動式アクチュエータ7によるコントロールシャフト35の駆動を停止するとともにコントロールシャフト35の位置をそのときの位置に保持して「バルブ作用角変更処理」へ移行する。
[ステップS420]アクセルペダルの操作中か否か、すなわちアクセル操作量計測値ACCMが「0」よりも大きいか否かを判定する。
当該「シャフト位置学習処理[3]」では、学習制御を通じてコントロールシャフト35を前面側ストッパ38Cへ突き当てるようにしているため、学習制御の実行にともないバルブ作用角INCAMが変更される。一方で、エンジン1においてはバルブ作用角INCAMに応じて吸入空気量GAが変化するため、学習制御によりエンジン1の出力が変化するようになる。
こうしたことから、基本条件が成立していることのみに基づいて学習制御が行われた場合、運転者の要求するエンジン出力と実際のエンジン出力とが大きく乖離することによりドライバビリティの低下をまねくこともある。そこで、ステップS420の処理では、アクセルペダルの操作状態に基づいて、学習制御の実行を許容することのできる状態にあるか否かを判定するようにしている。
電子制御装置9は、ステップS420の判定処理を通じて、学習制御の実行について次のように判断する。
(a)アクセルペダルが解放されているとき、バルブ作用角INCAMの変化により要求出力と実際のエンジン出力との乖離が増大する可能性は小さいため、学習制御の実行に適した状態にあると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS422の処理へ移行する。すなわち、学習制御を開始する。
(b)アクセルペダルが操作されているとき、バルブ作用角INCAMの変化により運転者の要求するエンジン出力と実際のエンジン出力との乖離が増大するおそれがあると判断する。この判定結果が得られたときは、本処理を終了して「バルブ作用角変更処理」のステップS104の処理へ移行する。
なお、学習制御の実行中においてアクセルペダルの操作中であることが検出されたときは、回転直動式アクチュエータ7によるコントロールシャフト35の駆動を停止するとともにコントロールシャフト35の位置をそのときの位置に保持して「バルブ作用角変更処理」へ移行する。
[ステップS422]回転直動式アクチュエータ7を通じてコントロールシャフト35を正方向Fへ向けて変位させる。このとき、モータ駆動回路97やシャフトストッパ38の保護を図るため、モータ71のトルクが一定の大きさとなるようにステータ72への通電を行う。なお、当該「シャフト位置学習処理[3]」においては、ステップS422、ステップS430及びステップS432の処理が学習制御を通じて実行される処理に相当する。
[ステップS430]モータ71(ロータ73)の回転が停止したか否かを判定する。
電子制御装置9は、ステップS430の判定処理を通じて、シャフト位置PSについて次のように判断する。
(a)モータ71の回転が停止しているとき、シャフトアーム35Aが前面側ストッパ38Cへ突き当てられていると判断する。すなわち、現状シャフト位置PSactが前面突当位置PSminにあると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS432の処理へ移行する。
(b)モータ71の回転が継続しているとき、シャフトアーム35Aが前面側ストッパ38Cへ突き当てられていないと判断する。すなわち、現状シャフト位置PSactは前面突当位置PSminにないと判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS410の処理へ移行する。
[ステップS432]仮想シャフト位置PSvrtを現在の仮想シャフト位置PSvrtから前面突当位置PSminへ更新する。これにより、仮想シャフト位置PSvrtが現状シャフト位置PSactと整合するため、ロータ回転角度計測値RAMに基づいて的確にバルブ作用角INCAMの変更を行うことが可能となる。なお、ステップS432の終了後は、「バルブ作用角変更処理」のステップS104の処理へ移行する。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この第3実施形態にかかる可変動弁機構の制御装置によれば、以下に示すような効果が得られるようになる。
(1)本実施形態の可変動弁機構3の制御装置では、アクセルペダルの解放中に学習制御を行うようにしている。このように、バルブ作用角INCAMの変化により要求出力と実際のエンジン出力との乖離が増大する可能性が低いときに学習制御を行うようにしているため、学習制御に起因してドライバビリティの低下をまねくことを抑制することができるようになる。
(2)本実施形態の可変動弁機構3の制御装置では、協調制御のための制御ロジックを予め構築する必要がないため、学習制御を実行する可変動弁機構について、その実用性をより高いものとすることができるようになる。
(3)本実施形態の可変動弁機構3の制御装置では、学習制御の実行中、モータ71の回転停止が検出されるまでの期間においてもアクセルペダルが解放されているか否かについての判定を行うようにしている。これにより、モータ71の回転停止前にアクセルペダルの操作が開始された場合には学習制御が中断されるため、アクセルペダルの操作中にもかかわらず学習制御が継続されることによるドライバビリティの低下を抑制することができるようになる。
<実施形態の変更例>
なお、上記第3実施形態は、例えば以下に示すように変更して実施することもできる。
・上記第3実施形態においては、コントロールシャフト35を前面側ストッパ38Cへ突き当てることによりシャフト位置PSの学習を行うようにしたが、コントロールシャフト35を背面側ストッパ38Dへ突き当てることによりシャフト位置PSの学習を行うこともできる。
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について、図24を参照して説明する。
本実施形態では、以下の「シャフト位置学習処理[4]」を通じてシャフト位置PSの学習を行うことにより、仮想シャフト位置PSvrtと現状シャフト位置PSactとの整合をとるようにしている。なお、本実施形態においては、前記「シャフト位置学習処理[1]」に代えて「シャフト位置学習処理[4]」を行う点において前記第1実施形態の構成と相違し、それ以外については前記第1実施形態と同様の構成を採用している。
<学習制御の概要>
エンジン1においては、エンジン負荷が高負荷のとき、バルブ作用角INCAMが最大バルブ作用角INCAMmax近傍の値に設定される。また、実際のエンジン出力に対する要求出力と実出力との乖離分の割合が小さくなるため、要求出力と実出力とが多少乖離していても、それにより運転者が違和感を覚える可能性は低くなる。
従って、エンジン負荷が高負荷のときにおいて、学習制御を通じてコントロールシャフト35を背面側ストッパ38Dへ突き当てる場合(バルブ作用角INCAMを最大バルブ作用角INCAMmaxに設定する場合)には、学習制御の実行にともないバルブ作用角INCAMが変化するものの、そうした変化がドライバビリティへ及ぼす影響は小さくなる。
そこで、本実施形態では、エンジン負荷が高負荷のときにコントロールシャフト35を背面側ストッパ38Dへ突き当てる学習制御を行うことで、学習制御によるドライバビリティの低下を抑制することができるようにしている。
<シャフト位置学習処理>
図24に、「シャフト位置学習処理[4]」の詳細な処理手順を示す。
[ステップS510]エンジン負荷が高負荷か否かを判定する。ここでは、吸入空気量GAに基づいて算出したエンジン負荷の相当値が判定値以上であることをもってエンジン1の負荷が高負荷であると判定するようにしている。
電子制御装置9は、ステップS510の判定処理を通じて、学習制御の実行について次のように判断する。
(a)エンジン負荷が高負荷のとき、コントロールシャフト35を背面側ストッパ38Dへ向けて変位させてもバルブ作用角INCAMの変化により運転者が違和感を覚える可能性が低いため、学習制御の実行に適した状態にあると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS512の処理へ移行する。すなわち、学習制御を開始する。
(b)エンジン負荷が高負荷でないとき、コントロールシャフト35を背面側ストッパ38Dへ向けて変位させたことにともなうバルブ作用角INCAMの変化により運転が違和感を覚える可能性が高いと判断する。この判定結果が得られたときは、本処理を終了して「バルブ作用角変更処理」のステップS104の処理へ移行する。
[ステップS512]回転直動式アクチュエータ7を通じてコントロールシャフト35を逆方向Rへ向けて変位させる。このとき、モータ駆動回路97やシャフトストッパ38の保護を図るため、モータ71のトルクが一定の大きさとなるようにステータ72への通電を行う。なお、当該「シャフト位置学習処理[4]」においては、ステップS512、ステップS520及びステップS522の処理が学習制御を通じて実行される処理に相当する。
[ステップS520]モータ71(ロータ73)の回転が停止したか否かを判定する。
電子制御装置9は、ステップS520の判定処理を通じて、シャフト位置PSについて次のように判断する。
(a)モータ71の回転が停止しているとき、シャフトアーム35Aが背面側ストッパ38Dへ突き当てられていると判断する。すなわち、現状シャフト位置PSactが背面突当位置PSmaxにあると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS522の処理へ移行する。
(b)モータ71の回転が継続しているとき、シャフトアーム35Aが背面側ストッパ38Dへ突き当てられていないと判断する。すなわち、現状シャフト位置PSactは背面突当位置PSmaxにないと判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS510の処理へ移行する。
[ステップS522]仮想シャフト位置PSvrtを現在の仮想シャフト位置PSvrtから背面突当位置PSmaxへ更新する。これにより、仮想シャフト位置PSvrtが現状シャフト位置PSactと整合するため、ロータ回転角度計測値RAMに基づいて的確にバルブ作用角INCAMの変更を行うことが可能となる。なお、ステップS522の終了後は、「バルブ作用角変更処理」のステップS104の処理へ移行する。
<実施形態の効果>
以上詳述したように、この第4実施形態にかかる可変動弁機構の制御装置によれば、以下に示すような効果が得られるようになる。
(1)本実施形態の可変動弁機構3の制御装置では、エンジン負荷が高負荷のときに学習制御を行うようにしている。このように、バルブ作用角INCAMの変化による要求出力と実出力との乖離がドライバビリティに影響を及ぼしにくいときに学習制御を行うようにしているため、学習制御に起因してドライバビリティの低下をまねくことを抑制することができるようになる。
(2)本実施形態の可変動弁機構3の制御装置では、協調制御のための制御ロジックを予め構築する必要がないため、学習制御を実行する可変動弁機構について、その実用性をより高いものとすることができるようになる。
(3)本実施形態の可変動弁機構3の制御装置では、学習制御の実行中、モータ71の回転停止が検出されるまでの期間においてもエンジン負荷が高負荷か否かについての判定を行うようにしている。これにより、モータ71の回転停止前にエンジン負荷が小さくなった場合には学習制御が中断されるため、エンジン負荷が高負荷でないにもかかわらず学習制御が継続されることによるドライバビリティの低下を抑制することができるようになる。
(その他の実施形態)
・第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせて実施することもできる。すなわち、減速時フューエルカットの実行中においてエンジン回転速度NEが特定回転速度NEXに達したときに学習制御を開始することもできる。こうした構成を採用した場合の処理手順を図25に示す。なお、特定回転速度NEXは判定回転速度NEHよりも小さい値に設定される。
・上記各実施形態では、インテークバルブ23のバルブ作用角を変更する可変動弁機構3を想定したが、エキゾーストバルブ24のバルブ作用角を変更する可変動弁機構に対して本発明を適用することもできる。また、インテークバルブ23及びエキゾーストバルブ24のバルブ作用角を変更する可変動弁機構に対して本発明を適用することもできる。
・可変動弁機構3の構成は、上記各実施形態にて例示した構成に限られず適宜変更することができる。要するに、アクチュエータによる駆動軸の直線運動を通じてエンジンバルブのバルブ作用角を変更する可変動弁機構であれば、いずれの可変動弁機構に対しても本発明を適用することができる。こうした場合においても、上記各実施形態に準じた態様をもって本発明を適用することにより、上記各実施形態の作用効果に準じた作用効果を奏することができるようになる。
本発明にかかる可変動弁機構の制御装置を具体化した第1実施形態について、同制御装置を搭載したエンジンの概略構成を示す構成図。 同実施形態の可変動弁機構について、その全体の斜視構造を示す斜視図。 同実施形態の可変動弁機構について、バルブリフト機構を分解した状態の斜視構造を示す斜視図。 同実施形態の可変動弁機構によるバルブ作用角及び最大バルブリフト量の変化傾向を示すグラフ。 同実施形態の可変動弁機構を構成するバルブリフト機構について、その一部を除いた状態の斜視構造を示す斜視図。 同実施形態の可変動弁機構を構成するバルブリフト機構について、図5の状態からスライドシャフト機構を除いた状態の斜視構造を示す斜視図。 同実施形態の可変動弁機構を構成するコントロールシャフトについて、その斜視構造を示す斜視図。 同実施形態の可変動弁機構を構成するロッカーシャフトについて、その斜視構造を示す斜視図。 同実施形態の可変動弁機構を構成するスライドシャフト機構について、その斜視構造を示す斜視図。 同実施形態の可変動弁機構を構成するスライダギアについて、その断面構造を示す断面図。 同実施形態の可変動弁機構を構成するスライダギアについて、図10の状態にスライドシャフト機構を組み合わせた状態の斜視構造を示す斜視図。 同実施形態の可変動弁機構を構成するバルブリフト機構について、その一部を除いた状態の斜視構造を示す斜視図。 同実施形態の可変動弁機構を構成するバルブリフト機構について、その一部を除いた状態の斜視構造を示す斜視図。 同実施形態の可変動弁機構について、図2のDA−DA線に沿った側面構造を示す側面図。 同実施形態のエンジンについて、可変動弁機構周辺の断面構造を示す断面図。 同実施形態の可変動弁機構について、図2のV方向からみた正面構造を示す正面図。 同実施形態の可変動弁機構について、回転直動式アクチュエータの断面構造を示す断面図。 同実施形態の可変動弁機構について、シャフト位置とバルブ作用角との関係を示すグラフ。 同実施形態の可変動弁機構について、ロータ回転角度とシャフト変位量との関係を示すグラフ。 同実施形態の可変動弁機構の制御装置を通じて実行される「バルブ作用角変更処理」について、その処理手順を示すフローチャート。 同実施形態の可変動弁機構の制御装置を通じて実行される「シャフト位置学習処理[1]」について、その処理手順を示すフローチャート。 本発明にかかる可変動弁機構の制御装置を具体化した第2の実施形態について、同制御装置を通じて実行される「シャフト位置学習処理[2]」について、その処理手順を示すフローチャート。 本発明にかかる可変動弁機構の制御装置を具体化した第3の実施形態について、同制御装置を通じて実行される「シャフト位置学習処理[3]」の処理手順を示すフローチャート。 本発明にかかる可変動弁機構の制御装置を具体化した第4の実施形態について、同制御装置を通じて実行される「シャフト位置学習処理[4]」の処理手順を示すフローチャート。 本発明にかかる可変動弁機構の制御装置を具体化したその他の実施形態について、同制御装置を通じて実行される「シャフト位置学習処理[5]」の処理手順を示すフローチャート。
符号の説明
1…エンジン、11…シリンダブロック、12…シリンダヘッド、13…シリンダ、14…インテークマニホールド、15…クランクシャフト、16…タイミングチェーン、21…インジェクタ、22…インテークポート、23…インテークバルブ、24…エキゾーストバルブ、25…インテークカムシャフト、25C…カム、26…エキゾーストカムシャフト、26C…カム、27…ローラロッカーアーム、27A…ローラ、28…バルブスプリング。
3…可変動弁機構、31…動弁機構本体、32…バルブリフト機構、33…スライドシャフト機構、34…ロッカーシャフト、34H…ピン移動孔、35…コントロールシャフト、35A…シャフトアーム、35H…ピン挿入穴、36…コネクトピン、37…ブッシュ、37H…ピン挿入孔、38…シャフトストッパ、38A…ストッパ本体、38B…ストッパスプリング、38C…前面側ストッパ、38D…背面側ストッパ。
4…スライダギア、41…スライダギア本体、42…スライダギア入力部、42A…入力スプライン、42H…ピン挿入孔、43…スライダギア出力部、43A…出力スプライン、44…ピン溝、45…シャフト挿入孔。
5…入力ギア、51…入力ギア本体、52…入力スプライン、53…入力アーム、54…アーム、55…シャフト、56…ローラ。
6…出力ギア、61…出力ギア本体、62…出力スプライン、63…出力アーム、63F…カム面。
7…回転直動式アクチュエータ、71…モータ、72…ステータ、73…ロータ、74…ハウジング。
8…回転直線運動変換機構、81…サンシャフト、82…ナット、83…プラネタリシャフト。
9…電子制御装置、91…車速センサ、92…アクセルポジションセンサ、93…クランクポジションセンサ、94…エアフローメータ、95…ホールセンサ、96…インジェクタ駆動回路、97…モータ駆動回路。

Claims (5)

  1. インテークバルブ及びエキゾーストバルブの少なくとも一方をエンジンバルブとして駆動軸の直線運動により該エンジンバルブのバルブ作用角を変更する作用角可変機構と、前記駆動軸へ直線運動を入力するアクチュエータとを備えて構成される可変動弁機構に適用されて、前記アクチュエータの制御を通じて前記駆動軸を変位させる可変動弁機構の制御装置において、
    直線運動が制限されるまで前記駆動軸を変位させる第1処理と、該処理を通じて前記駆動軸の実際の位置を学習する第2処理とを含む学習制御について、該学習制御をエンジン負荷が高負荷のときに行う制御手段を備えた
    ことを特徴とする可変動弁機構の制御装置。
  2. 請求項1に記載の可変動弁機構の制御装置において、
    当該可変動弁機構は、前記駆動軸の直線運動について、バルブ作用角が大きくなる方向への直線運動を制限するストッパを備えて構成されるものであり、
    前記制御手段は、前記第1処理において前記ストッパへ向けて前記駆動軸を変位させるものである
    ことを特徴とする可変動弁機構の制御装置。
  3. 請求項2に記載の可変動弁機構の制御装置において、
    当該制御装置は、前記アクチュエータの駆動状態を通じて把握される前記駆動軸の位置を仮想位置として、該仮想位置を前記駆動軸の実際の位置と見立てて前記アクチュエータの制御を行うものであり、
    前記制御手段は、前記ストッパにより直線運動が制限される前記駆動軸の位置を基準位置として、前記第2処理において前記駆動軸の直線運動が制限されたときに前記仮想位置を前記基準位置へ更新するものである
    ことを特徴とする可変動弁機構の制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の可変動弁機構の制御装置において、
    前記作用角可変機構は、前記駆動軸としてシリンダヘッドに配置されるコントロールシャフトと、該コントロールシャフトと連動して移動可能なスライダギアと、カムシャフトの回転を通じて前記スライダギアを揺動させる入力ギアと、前記スライダギアの揺動を通じて前記エンジンバルブを変位させる出力ギアとを備えて構成されるとともに、前記コントロールシャフトの直線運動にともなう前記入力ギアと前記出力ギアとの相対回転を通じてバルブ作用角を変更するものである
    ことを特徴とする可変動弁機構の制御装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の可変動弁機構の制御装置を搭載したエンジンの可変動弁機構。
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