JP4810969B2 - 可変動弁機構の制御装置及びエンジンの可変動弁機構 - Google Patents
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Description
(a)コントロールシャフトの直線運動が制限される位置を基準位置として予め把握しておく。
(b)学習制御の条件が成立したとき、直線運動が制限されるまでコントロールシャフトを変位させる。
(c)直線運動が制限されたときに仮想位置を基準位置へ更新する。
可変動弁機構を搭載したエンジンにおいては、上記学習制御を行うことにより次のような問題が生じるようになる。
上記可変動弁機構においては、学習制御の実行タイミングにより、コントロールシャフトの直線運動が制限される位置に違いが生じることが本願発明者の試験等を通じて確認された。しかし、上記学習制御によれば、コントロールシャフトの直線運動が制限されたことをもって仮想位置が基準位置に更新されるため、仮想位置と現状位置との関係が学習制御毎にばらつくようになる。
(1)請求項1に記載の発明は、インテークバルブ及びエキゾーストバルブの少なくとも一方をエンジンバルブとして駆動軸の直線運動により該エンジンバルブのバルブ作用角を変更する作用角可変機構と、前記駆動軸へ直線運動を入力するアクチュエータとを備えて構成される可変動弁機構に適用されて、前記アクチュエータの制御を通じて前記駆動軸を変位させる可変動弁機構の制御装置において、直線運動が制限されるまで前記駆動軸を変位させる第1処理と、該処理を通じて前記駆動軸の実際の位置を学習する第2処理とを含む学習制御について、該学習制御をエンジン負荷が高負荷のときに行う制御手段を備えたことを要旨としている。
本発明の第1実施形態について、図1〜図21を参照して説明する。
本実施形態では、本発明にかかる可変動弁機構の制御装置をインテークバルブのバルブ作用角及び最大バルブリフト量を変更する可変動弁機構に適用した場合を想定している。
図1に、本発明の可変動弁機構を備えたエンジンについて、その概略構成を示す。なお、本実施形態では、直列4気筒のエンジンを想定しているが、本発明の可変動弁機構はいずれのエンジンに対しても適用することができる。
電子制御装置9は、エンジン制御にかかる演算処理を実行する中央演算処理装置、エンジン制御に必要なプログラムやマップが予め記憶された読み出し専用メモリ、中央演算処理装置の計算結果等を一時的に記憶するランダムアクセスメモリ、外部の信号を入力するための入力ポート、及び外部へ信号を出力するための出力ポート等を備えて構成されている。なお、制御手段は、電子制御装置9を含めて構成される。
電子制御装置9は、燃料噴射制御を通じて、次の(a)及び(b)に示すようにインジェクタ21の制御を行う。
・アクセルペダルが解放されている(アクセル操作量計測値ACCMが「0」)。
・エンジン回転速度NEがフューエルカット復帰回転速度NEFC以上。
図2〜図15を参照して、可変動弁機構3の構造について説明する。なお、以下の〔1〕では可変動弁機構3の大まかな構造について、〔2〕では可変動弁機構3の主要部分の構造について、〔3〕では可変動弁機構3の動作について、〔4〕では可変動弁機構3の動作状態とバルブ作用角との関係についてそれぞれ説明している。
図2及び図3を参照して、可変動弁機構3の構造の概略について説明する。
・図2は、可変動弁機構3の斜視構造を示す。
・図3は、可変動弁機構3のバルブリフト機構について、その分解斜視構造を示す。
可変動弁機構3は、駆動軸(コントロールシャフト35)の直線運動を通じてバルブ作用角及び最大バルブリフト量を変更する動弁機構本体31と、動弁機構本体31へ直線運動を入力する回転直動式アクチュエータ7とを備えて構成されている。
(a)ロッカーシャフト34は、回転運動及び直線運動ともに不能。
(b)コントロールシャフト35は、回転運動が不能かつ直線運動が可能。
(c)スライダギア4は、回転運動及び直線運動ともに可能。
(d)入力ギア5は、回転運動が可能かつ直線運動が不能。
(e)出力ギア6は、回転運動が可能かつ直線運動が不能。
(a)インテークバルブ23のバルブ作用角及び最大バルブリフト量を小さくする要求があるとき、コントロールシャフト35が正方向Fへ向けて変位するように回転直動式アクチュエータ7の制御を行う。
(b)インテークバルブ23のバルブ作用角及び最大バルブリフト量を大きくする要求があるとき、コントロールシャフト35が逆方向Rへ向けて変位するように回転直動式アクチュエータ7の制御を行う。
(a)バルブ作用角INCAM及び最大バルブリフト量INVTは、コントロールシャフト35が正方向Fへ向けて移動するにつれて小さくなる。そして、コントロールシャフト35が最大限まで正方向Fへ移動したとき、バルブ作用角INCAMが最も小さいバルブ作用角(最小バルブ作用角INCAMmin)に設定されるとともに最大バルブリフト量INVLが最も小さい最大バルブリフト量(下限最大バルブリフト量INVLmin)に設定される。
(b)バルブ作用角INCAM及び最大バルブリフト量INVTは、コントロールシャフト35が逆方向Rへ向けて移動するにつれて大きくなる。そして、コントロールシャフト35が最大限まで逆方向Rへ移動したとき、バルブ作用角INCAMが最も大きいバルブ作用角(最大バルブ作用角INCAMmax)に設定されるとともに最大バルブリフト量INVLが最も大きい最大バルブリフト量(上限最大バルブリフト量INVLmax)に設定される。
図5〜図11を参照して、動弁機構本体31の構造について説明する。なお、可変動弁機構3においては、各シリンダ13に対応した箇所の構造が共通しているため、図5〜図10及び図11では、1つのシリンダ13に対応した箇所の構造のみを示している。
・図5は、動弁機構本体31について、入力ギア5及び出力ギア6の一部を取り除いた状態の斜視構造を示す。
・図6は、動弁機構本体31について、図5の状態からスライドシャフト機構33及びスライダギア4を取り除いた状態の斜視構造を示す。
・図7は、コントロールシャフト35の斜視構造を示す。
・図8は、ロッカーシャフト34の斜視構造を示す。
・図9は、スライドシャフト機構33の斜視構造を示す。
・図10は、スライダギア4の断面構造を示す。
・図11は、図10の状態のスライダギア4にスライドシャフト機構33を組み合わせた状態を示す。
図12及び図13を参照して、インテークカムシャフト25の回転運動にともなうバルブリフト機構32の動作について説明する。
・図12に、動弁機構本体31について、スライダギア4、入力ギア5及び出力ギア6の一部を取り除いた状態の斜視構造を示す。
・図13に、動弁機構本体31について、図12の状態からスライダギア4、入力ギア5及び出力ギア6が回転した状態を示す。
(A)状態Aからコントロールシャフト35を正方向Fへ変位させたとき、バルブリフト機構32は状態Bへ移行する。すなわち、入力ギア5と出力ギア6との相対回転により、中心線Oのまわりにおいて入力アーム53と出力アーム63とが接近する。
(B)状態Aからコントロールシャフト35を逆方向Rへ変位させたとき、バルブリフト機構32は状態Cへ移行する。すなわち、入力ギア5と出力ギア6との相対回転により、中心線Oのまわりにおいて入力アーム53と出力アーム63とが離間する。
図15に、エンジン1における可変動弁機構3周辺の断面構造を示す。
シリンダヘッド12においては、インテークカムシャフト25とローラロッカーアーム27との間に可変動弁機構3のバルブリフト機構32が配置されている。ローラロッカーアーム27は、インテークバルブ23のバルブスプリング28によりバルブリフト機構32側へ付勢されているため、ローラ27Aが常にバルブリフト機構32の出力ギア6と当接した状態に保持される。入力ギア5は、シリンダヘッド12と入力ギア本体51との間に取り付けられているスプリングによりインテークカムシャフト25側へ付勢されているため、ローラ56が常にインテークカムシャフト25のカム25Cと当接した状態に保持される。
(a)中心線Oまわりにおける入力アーム53と出力アーム63との距離が短くなるにつれて(例えば、図14の状態Aから状態Bへ移行するとき)、ローラロッカーアーム27の押し下げられる期間及び押し下げられる量が小さくなるため、インテークバルブ23のバルブ作用角及び最大バルブリフト量は減少する。
(b)中心線Oまわりにおける入力アーム53と出力アーム63との距離が長くなるにつれて(例えば、図14の状態Aから状態Cへ移行するとき)、ローラロッカーアーム27の押し下げられる期間及び押し下げられる量が大きくなるため、インテークバルブ23のバルブ作用角及び最大バルブリフト量は増加する。
図16に、図2のV方向からみた可変動弁機構3の正面構造を示す。
可変動弁機構3においては、シリンダヘッド12に設けられたシャフトストッパ38とコントロールシャフト35に設けられたシャフトアーム35Aとにより、コントロールシャフト35の移動範囲が規制されている。
図17を参照して、回転直動式アクチュエータ7の構造について説明する。なお、図17は、軸方向に沿った回転直動式アクチュエータ7の断面構造を示す。
回転直動式アクチュエータ7の動作態様について説明する。可変動弁機構3においては、以下の[1]〜[3]の順序に従ってコントロールシャフト35が駆動される。
[1]ステータ72への通電により、ロータ73とともにナット82が回転する。
[2]ナット82の回転により、プラネタリシャフト83が自転しつつサンシャフト81の周りを公転する。すなわち、プラネタリシャフト83がサンシャフト81の周りにおいて遊星運動する。
[3]プラネタリシャフト83の遊星運動により、サンシャフト81が直線運動する。また、サンシャフト81とともにコントロールシャフト35が直線運動する。
電子制御装置9による可変動弁機構3の制御態様について説明する。以降では、移動範囲におけるコントロールシャフト35の位置をシャフト位置PSとし、コントロールシャフト35の変位量をシャフト変位量LSとして示す。
[処理1]:実際のバルブ作用角INCAM(現状バルブ作用角INCAMatc)が目標のバルブ作用角INCAM(目標バルブ作用角INCAMtrg)と異なるとき、現状バルブ作用角INCAMatcが目標バルブ作用角INCAMtrgと一致するように回転直動式アクチュエータ7を制御する。
電子制御装置9は、上記[処理1]〜[処理4]を可変動弁機構3の制御を行うための基本処理として、次の[処理A]〜[処理G]の処理を通じてバルブ作用角INCAMの変更を行う。
・仮想バルブ作用角INCAMvrtが目標バルブ作用角INCAMtrgと異なるときは次の[処理B]を行う。
・仮想バルブ作用角INCAMvrtが目標バルブ作用角INCAMtrgと一致するときは、ロータ73の回転位相を保持する。
(a)シャフト位置PSが前面突当位置PSminのとき、バルブ作用角INCAMは最小バルブ作用角INCAMminとなる。
(b)シャフト位置PSが背面突当位置PSmaxのとき、バルブ作用角INCAMは最大バルブ作用角INCAMmaxとなる。
・目標バルブ作用角INCAMtrgが仮想バルブ作用角INCAMvrtよりも小さいとき、ロータ73の回転方向を正転方向RFに設定する。
・目標バルブ作用角INCAMtrgが仮想バルブ作用角INCAMvrtよりも大きいとき、ロータ73の回転方向を反転方向RRに設定する。
[処理G]ロータ73の回転開始後におけるロータ回転角度計測値RAMが目標ロータ回転角度RAtrgに達したとき、ロータ73の回転位相を保持する。
電子制御装置9は、エンジン1の運転中、上記各処理に基づいて構成された「バルブ作用角変更処理」の実行を通じて現状バルブ作用角INCAMatcを目標バルブ作用角INCAMtrgに設定することにより、燃料消費率の向上等を図る。
[ステップS102]「シャフト位置学習処理[1](図21)」を開始する。なお、「シャフト位置学習処理[1]」の詳細な処理手順については後述する。
[ステップS110]仮想バルブ作用角INCAMvrtが目標バルブ作用角INCAMtrgと一致しているか否かを判定する。
(a)仮想バルブ作用角INCAMvrtが目標バルブ作用角INCAMtrgと一致していないとき、現状バルブ作用角INCAMatcが目標バルブ作用角INCAMtrgと一致していないと判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS112の処理へ移行する。
(b)仮想バルブ作用角INCAMvrtが目標バルブ作用角INCAMtrgと一致しているとき、現状バルブ作用角INCAMatcが目標バルブ作用角INCAMtrgと一致していると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS122の処理へ移行する。
(a)ロータ回転角度計測値RAMが目標ロータ回転角度RAtrgに達しているとき、現状シャフト位置PSactが目標シャフト位置PStrgにあると判断する。すなわち、現状バルブ作用角INCAMatcが目標バルブ作用角INCAMtrgと一致していると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS122の処理へ移行する。
(b)ロータ回転角度計測値RAMが目標ロータ回転角度RAtrgに達していないとき、現状シャフト位置PSactが目標シャフト位置PStrgと異なると判断する。すなわち、現状バルブ作用角INCAMatcが目標バルブ作用角INCAMtrgと一致していないと判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS130の処理へ移行する。
[ステップS130]エンジン1の停止要求があるか否かを判定する。
・エンジン1の停止要求がないとき、ステップS102の処理へ移行する。
・エンジン1の停止要求があるとき、本処理を終了する。
可変動弁機構3においては、上述のようにロータ回転角度RAとシャフト変位量LSとの対応関係に基づいて現状シャフト位置PSactを把握するようにしているため、仮想シャフト位置PSvrtが現状シャフト位置PSactと整合しなくなることもある。例えば、電子制御装置9の動作が停止しているときに何らかの理由によりコントロールシャフト35が変位した場合には、現状シャフト位置PSactの変化が仮想シャフト位置PSvrtへ反映されないため、仮想シャフト位置PSvrtと現状シャフト位置PSactとの不整合が生じる。
[ステップS210]減速時フューエルカットの実行中か否かを判定する。
(a)減速時フューエルカットの実行中のときには、バルブ作用角INCAMの変化がエンジン1の出力に影響しないため、学習制御の実行に適した状態にあると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS220の処理へ移行する。
(b)減速時フューエルカットの停止中のときには、バルブ作用角INCAMの変化がエンジン1の出力に影響するため、学習制御の実行によりドライバビリティの低下をまねくおそれがあると判断する。この判定結果が得られたときは、本処理を終了して「バルブ作用角変更処理」のステップS104の処理へ移行する。
当該「シャフト位置学習処理[1]」では、学習制御を通じてコントロールシャフト35を前面側ストッパ38Cへ突き当てるようにしているため、学習制御の実行にともない基本的にはバルブ作用角INCAMが最小バルブ作用角INCAMminに設定される。一方で、エンジン回転速度NEが高回転領域にある状態でバルブ作用角INCAMが最小バルブ作用角INCAMminまたはその近傍の作用角に設定された場合には、シリンダ13内の負圧が過度に増大することによりエンジン回転速度NEが急激に下降するようになる。
(a)エンジン回転速度NEが判定回転速度NEH未満のとき、バルブ作用角INCAMが最小バルブ作用角INCAMminまたはその近傍の作用角に設定されてもエンジン回転速度NEの急激な下降が生じないため、学習制御の実行に適した状態にあると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS222の処理へ移行する。すなわち、学習制御を開始する。
(b)エンジン回転速度NEが判定回転速度NEH以上のとき、バルブ作用角INCAMが最小バルブ作用角INCAMminまたはその近傍の作用角に設定されることによりエンジン回転速度NEの急激な下降が生じるため、学習制御の実行によりドライバビリティの低下をまねくおそれがあると判断する。この判定結果が得られたときは、本処理を終了して「バルブ作用角変更処理」のステップS104の処理へ移行する。
シャフトアーム35Aが前面側ストッパ38Cへ突き当てられたとき、コントロールシャフト35の正方向Fへの直線運動が制限されることによりロータ73の回転が停止するため、これに基づいてシャフトアーム35Aが前面側ストッパ38Cへ突き当てられていると判断することができる。また、ロータ73の回転が停止したとき、ロータ回転角度RAが変化しなくなるため、これに基づいてロータ73の回転が停止していると判断することができる。ステップS230の処理では、ステータ72への通電を行っている状態において、ロータ回転角度計測値RAMが一定期間以上にわたって変化しないことをもってロータ73の回転が停止したと判断するようにしている。
(a)モータ71の回転が停止しているとき、シャフトアーム35Aが前面側ストッパ38Cへ突き当てられていると判断する。すなわち、現状シャフト位置PSactが前面突当位置PSminにあると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS232の処理へ移行する。
(b)モータ71の回転が継続しているとき、シャフトアーム35Aが前面側ストッパ38Cへ突き当てられていないと判断する。すなわち、現状シャフト位置PSactが前面突当位置PSminと異なると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS210の処理へ移行する。
以上詳述したように、この第1実施形態にかかる可変動弁機構の制御装置によれば、以下に示すような効果が得られるようになる。
なお、上記第1実施形態は、例えば以下に示すように変更して実施することもできる。
・上記第1実施形態においては、コントロールシャフト35を前面側ストッパ38Cへ突き当てることによりシャフト位置PSの学習を行うようにしたが、コントロールシャフト35を背面側ストッパ38Dへ突き当てることによりシャフト位置PSの学習を行うこともできる。
本発明の第2実施形態について、図22を参照して説明する。
本実施形態では、以下の「シャフト位置学習処理[2]」を通じて学習制御を行うことにより、仮想シャフト位置PSvrtと現状シャフト位置PSactとの整合をとるようにしている。なお、本実施形態においては、前記「シャフト位置学習処理[1]」に代えて「シャフト位置学習処理[2]」を行う点において前記第1実施形態の構成と相違し、それ以外については前記第1実施形態と同様の構成を採用している。
可変動弁機構3においては、入力ギア5の入力アーム53に対してインテークカムシャフト25から力が加えられることにより、スライダギア入力部42にスラスト荷重が生じるようになる。一方、出力ギア6の出力アーム63に対してバルブスプリング28から力が加えられることにより、スライダギア出力部43にスラスト荷重が生じるようになる。そして、エンジン1の運転中には少なくとも一つのスライダギア4において上記スラスト荷重の一方または両方が常に生じるため、コントロールシャフト35は常にスラスト荷重が加えられた状態にある。
図22に、「シャフト位置学習処理[2]」の詳細な処理手順を示す。
[ステップS310]シャフト位置PSの学習を行うための基本条件が成立したか否かを判定する。この基本条件としては、例えば、以下に示す条件の少なくとも一つを採用することができる。
(a)前回の学習制御から経過時間が判定値以上である。
(b)前回の学習制御からの走行距離が判定値以上である。
・基本条件が成立しているとき、ステップS320の処理へ移行する。
・基本条件が成立していないとき、本処理を終了して「バルブ作用角変更処理」のステップS104の処理へ移行する。
・学習制御が実行されているとき、ステップS340の処理へ移行する。
・学習制御が実行されていないとき、ステップS330の処理へ移行する。
電子制御装置9は、ステップS330の判定処理を通じて、学習制御の実行について次のように判断する。
(a)エンジン回転速度NEが特定回転速度NEXに達したとき、このタイミングで学習制御を開始することにより、コントロールシャフト35を変位させる力について、その大きさがすでに実行された学習制御及び今後実行される学習制御と略同じ大きさにされるため、学習制御の実行開始に適した状態にあると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS332の処理へ移行する。すなわち、学習制御を開始する。
(b)エンジン回転速度NEが特定回転速度NEXに達したとき、このタイミングで学習制御を開始することにより、コントロールシャフト35を変位させる力について、その大きさがすでに実行された学習制御及び今後実行される学習制御と大きく異なるおそれがあると判断する。この判定結果が得られたときは、本処理を終了して「バルブ作用角変更処理」のステップS104の処理へ移行する。
電子制御装置9は、ステップS340の判定処理を通じて、シャフト位置PSについて次のように判断する。
(a)モータ71の回転が停止しているとき、シャフトアーム35Aが前面側ストッパ38Cへ突き当てられていると判断する。すなわち、現状シャフト位置PSactが前面突当位置PSminにあると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS342の処理へ移行する。
(b)モータ71の回転が継続しているとき、シャフトアーム35Aが前面側ストッパ38Cへ突き当てられていないと判断する。すなわち、現状シャフト位置PSactは前面突当位置PSminにないと判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS310の処理へ移行する。
以上詳述したように、この第2実施形態にかかる可変動弁機構の制御装置によれば、以下に示すような効果が得られるようになる。
なお、上記第2実施形態は、例えば以下に示すように変更して実施することもできる。
・上記第2実施形態においては、コントロールシャフト35を前面側ストッパ38Cへ突き当てることによりシャフト位置PSの学習を行うようにしたが、コントロールシャフト35を背面側ストッパ38Dへ突き当てることによりシャフト位置PSの学習を行うこともできる。
本発明の第3実施形態について、図23を参照して説明する。
本実施形態では、以下の「シャフト位置学習処理[3]」を通じてシャフト位置PSの学習を行うことにより、仮想シャフト位置PSvrtと現状シャフト位置PSactとの整合をとるようにしている。なお、本実施形態においては、前記「シャフト位置学習処理[1]」に代えて「シャフト位置学習処理[3]」を行う点において前記第1実施形態の構成と相違し、それ以外については前記第1実施形態と同様の構成を採用している。
図23に、「シャフト位置学習処理[3]」の詳細な処理手順を示す。
[ステップS410]シャフト位置PSの学習を行うための基本条件が成立したか否かを判定する。この基本条件としては、例えば、以下に示す条件の少なくとも一つを採用することができる。
(a)前回の学習制御から経過時間が判定値以上である。
(b)前回の学習制御からの走行距離が判定値以上である。
・基本条件が成立しているとき、ステップS420の処理へ移行する。
・基本条件が成立していないとき、本処理を終了して「バルブ作用角変更処理」のステップS104の処理へ移行する。
当該「シャフト位置学習処理[3]」では、学習制御を通じてコントロールシャフト35を前面側ストッパ38Cへ突き当てるようにしているため、学習制御の実行にともないバルブ作用角INCAMが変更される。一方で、エンジン1においてはバルブ作用角INCAMに応じて吸入空気量GAが変化するため、学習制御によりエンジン1の出力が変化するようになる。
(a)アクセルペダルが解放されているとき、バルブ作用角INCAMの変化により要求出力と実際のエンジン出力との乖離が増大する可能性は小さいため、学習制御の実行に適した状態にあると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS422の処理へ移行する。すなわち、学習制御を開始する。
(b)アクセルペダルが操作されているとき、バルブ作用角INCAMの変化により運転者の要求するエンジン出力と実際のエンジン出力との乖離が増大するおそれがあると判断する。この判定結果が得られたときは、本処理を終了して「バルブ作用角変更処理」のステップS104の処理へ移行する。
電子制御装置9は、ステップS430の判定処理を通じて、シャフト位置PSについて次のように判断する。
(a)モータ71の回転が停止しているとき、シャフトアーム35Aが前面側ストッパ38Cへ突き当てられていると判断する。すなわち、現状シャフト位置PSactが前面突当位置PSminにあると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS432の処理へ移行する。
(b)モータ71の回転が継続しているとき、シャフトアーム35Aが前面側ストッパ38Cへ突き当てられていないと判断する。すなわち、現状シャフト位置PSactは前面突当位置PSminにないと判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS410の処理へ移行する。
以上詳述したように、この第3実施形態にかかる可変動弁機構の制御装置によれば、以下に示すような効果が得られるようになる。
なお、上記第3実施形態は、例えば以下に示すように変更して実施することもできる。
・上記第3実施形態においては、コントロールシャフト35を前面側ストッパ38Cへ突き当てることによりシャフト位置PSの学習を行うようにしたが、コントロールシャフト35を背面側ストッパ38Dへ突き当てることによりシャフト位置PSの学習を行うこともできる。
本発明の第4実施形態について、図24を参照して説明する。
本実施形態では、以下の「シャフト位置学習処理[4]」を通じてシャフト位置PSの学習を行うことにより、仮想シャフト位置PSvrtと現状シャフト位置PSactとの整合をとるようにしている。なお、本実施形態においては、前記「シャフト位置学習処理[1]」に代えて「シャフト位置学習処理[4]」を行う点において前記第1実施形態の構成と相違し、それ以外については前記第1実施形態と同様の構成を採用している。
エンジン1においては、エンジン負荷が高負荷のとき、バルブ作用角INCAMが最大バルブ作用角INCAMmax近傍の値に設定される。また、実際のエンジン出力に対する要求出力と実出力との乖離分の割合が小さくなるため、要求出力と実出力とが多少乖離していても、それにより運転者が違和感を覚える可能性は低くなる。
図24に、「シャフト位置学習処理[4]」の詳細な処理手順を示す。
[ステップS510]エンジン負荷が高負荷か否かを判定する。ここでは、吸入空気量GAに基づいて算出したエンジン負荷の相当値が判定値以上であることをもってエンジン1の負荷が高負荷であると判定するようにしている。
(a)エンジン負荷が高負荷のとき、コントロールシャフト35を背面側ストッパ38Dへ向けて変位させてもバルブ作用角INCAMの変化により運転者が違和感を覚える可能性が低いため、学習制御の実行に適した状態にあると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS512の処理へ移行する。すなわち、学習制御を開始する。
(b)エンジン負荷が高負荷でないとき、コントロールシャフト35を背面側ストッパ38Dへ向けて変位させたことにともなうバルブ作用角INCAMの変化により運転が違和感を覚える可能性が高いと判断する。この判定結果が得られたときは、本処理を終了して「バルブ作用角変更処理」のステップS104の処理へ移行する。
電子制御装置9は、ステップS520の判定処理を通じて、シャフト位置PSについて次のように判断する。
(a)モータ71の回転が停止しているとき、シャフトアーム35Aが背面側ストッパ38Dへ突き当てられていると判断する。すなわち、現状シャフト位置PSactが背面突当位置PSmaxにあると判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS522の処理へ移行する。
(b)モータ71の回転が継続しているとき、シャフトアーム35Aが背面側ストッパ38Dへ突き当てられていないと判断する。すなわち、現状シャフト位置PSactは背面突当位置PSmaxにないと判断する。この判定結果が得られたときは、ステップS510の処理へ移行する。
以上詳述したように、この第4実施形態にかかる可変動弁機構の制御装置によれば、以下に示すような効果が得られるようになる。
・第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせて実施することもできる。すなわち、減速時フューエルカットの実行中においてエンジン回転速度NEが特定回転速度NEXに達したときに学習制御を開始することもできる。こうした構成を採用した場合の処理手順を図25に示す。なお、特定回転速度NEXは判定回転速度NEHよりも小さい値に設定される。
6…出力ギア、61…出力ギア本体、62…出力スプライン、63…出力アーム、63F…カム面。
8…回転直線運動変換機構、81…サンシャフト、82…ナット、83…プラネタリシャフト。
Claims (5)
- インテークバルブ及びエキゾーストバルブの少なくとも一方をエンジンバルブとして駆動軸の直線運動により該エンジンバルブのバルブ作用角を変更する作用角可変機構と、前記駆動軸へ直線運動を入力するアクチュエータとを備えて構成される可変動弁機構に適用されて、前記アクチュエータの制御を通じて前記駆動軸を変位させる可変動弁機構の制御装置において、
直線運動が制限されるまで前記駆動軸を変位させる第1処理と、該処理を通じて前記駆動軸の実際の位置を学習する第2処理とを含む学習制御について、該学習制御をエンジン負荷が高負荷のときに行う制御手段を備えた
ことを特徴とする可変動弁機構の制御装置。 - 請求項1に記載の可変動弁機構の制御装置において、
当該可変動弁機構は、前記駆動軸の直線運動について、バルブ作用角が大きくなる方向への直線運動を制限するストッパを備えて構成されるものであり、
前記制御手段は、前記第1処理において前記ストッパへ向けて前記駆動軸を変位させるものである
ことを特徴とする可変動弁機構の制御装置。 - 請求項2に記載の可変動弁機構の制御装置において、
当該制御装置は、前記アクチュエータの駆動状態を通じて把握される前記駆動軸の位置を仮想位置として、該仮想位置を前記駆動軸の実際の位置と見立てて前記アクチュエータの制御を行うものであり、
前記制御手段は、前記ストッパにより直線運動が制限される前記駆動軸の位置を基準位置として、前記第2処理において前記駆動軸の直線運動が制限されたときに前記仮想位置を前記基準位置へ更新するものである
ことを特徴とする可変動弁機構の制御装置。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の可変動弁機構の制御装置において、
前記作用角可変機構は、前記駆動軸としてシリンダヘッドに配置されるコントロールシャフトと、該コントロールシャフトと連動して移動可能なスライダギアと、カムシャフトの回転を通じて前記スライダギアを揺動させる入力ギアと、前記スライダギアの揺動を通じて前記エンジンバルブを変位させる出力ギアとを備えて構成されるとともに、前記コントロールシャフトの直線運動にともなう前記入力ギアと前記出力ギアとの相対回転を通じてバルブ作用角を変更するものである
ことを特徴とする可変動弁機構の制御装置。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の可変動弁機構の制御装置を搭載したエンジンの可変動弁機構。
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