JP4810419B2 - 光導波路構造体の製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Description
例えば多チャンネル光トランシーバなどの光モジュールにおいて、面発光レーザやフォトダイオードなどの面型光素子を使用する場合、面型光素子の光入射面又は光出射面は実装基板に対して平行になるため、実装基板に対して垂直に光を入射又は出射させることになる。
小型化、薄型化を図るためには、光ファイバ(光ファイバアレイ)を実装基板に対して平行に配置するのが望ましい。この場合、光ファイバの端面と面型光素子の光入射面又は光出射面とは略直角の位置関係になる。
このため、基板上に実装された面型光素子の光入射面又は光出射面に対して垂直に入射又は出射する光の経路(光路)を略90度曲げて、光ファイバと面型光素子とを光学的に接続することが必要になる。
この特許文献1では、このような光導波路構造体の製造方法として、曲面上に液状コア材料を滴下し、その上にフィルムを貼り付け、シリコンゴムのような柔らかい素材を用いて一定の圧力で押さえ付けることによって液状コア材料を薄く延ばし、紫外線照射によって硬化させることが記載されている(例えば段落0082〜0084、図41、図42参照)。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、気泡の混入を抑制しながら、曲面上に形成された溝にコア材料を均一に充填できるようにして、気泡混入の少ない高品質の光導波路(曲線導波路)が効率良く、かつ、簡便に得られるようにした、光導波路構造体の製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
ここでは、まず、本実施形態にかかる光導波路構造体の製造方法の概略を説明し、その後に、本光導波路構造体の製造方法及び製造装置について、より具体的に説明する。
本光導波路構造体の製造方法は、図3に示すような各工程を含む。
次いで、図3に示すように、液状コア材料4が滴下された側からクラッドフィルム(カバーフィルム;例えばオレフィン系フィルム)5をラミネートしていきながら、同時に、溝3に液状コア材料4を充填していく。
このようにして、曲面2上にチャネル状の光導波路(曲線導波路)6を備える光導波路構造体(ポリマを主材料とするポリマ光導波路)7を製造する。
より具体的には、本光導波路構造体7は、図1に示すようなプロセスフローにしたがって製造される。
一方、図1に示すように、例えばオレフィン系フィルムを定型打ち抜き(パンチ)して、所定の大きさ・形状のクラッドフィルム5を作製する。
次に、図1に示すように、ラミネート装置20のステージ21上に、曲面構造体1を配置するとともに、ラミネート装置20のシリンダ(駆動装置)22の下部に押当ヘッド8をセットする。
また、曲面構造体1をステージ21上に配置する前又は後に、ディスペンサ(定量ディスペンサ;液体コア材料滴下装置)によって、曲面構造体1の溝3の一端側又は他端側の曲面2上に所定量のコア液(例えばUVエポキシ樹脂;透明ポリマ液;透明液体)4を滴下する。
ここで、弾性体9は、図2に示すように、曲面構造体1の曲面(凸面)2に対応する曲面(凹面)10を備える(凹状弾性体)。ここでは、弾性体9の曲面10は、図2に示すように、曲面構造体1の曲面2の曲率半径よりも大きい曲率半径を有する。
ここで、本光導波路構造体の製造装置としてのラミネート装置20は、図1に示すように、曲面構造体1を曲面2を上にして(曲面2を凸状に)保持するステージ21と、上記の弾性体9を先端に有し、上述のように配置される押当ヘッド8と、弾性体9の曲面10が曲面構造体1の曲面2に押し当てられるように押当ヘッド8を駆動するシリンダ(駆動装置)22とを備えるものとして構成される。
そして、図1に示すように、シリンダ22を駆動して押当ヘッド8を下降させ、弾性体9の曲面10(実際には弾性体9の曲面10に吸着されたフィルム5の表面)を曲面構造体1の曲面2に押し当てる。これにより、まず最初に、コア液4が滴下された側の溝3を含む曲面2に弾性体9の一部(弾性体9の曲面10の一端)が接触し、その後、押圧されるにしたがって、溝3の反対側へ向けて弾性体9が変形し、弾性体9の曲面10が徐々に曲面構造体1の曲面2に当たっていき、これにより、クラッドフィルム5が貼り付けられながら、溝3にコア液4が充填されていくことになる(コア液充填工程)。
この場合、多チャンネル光トランシーバは、例えば図4に示すように、プリント基板(回路基板)30と、表面に入射面を有する複数の面型受光素子[ここではフォトダイオード(フォトディテクタ;PD;Photo detector)]からなる面型受光素子アレイ(PDアレイチップ)31と、表面に出射面を有する複数の面型発光素子[ここでは面発光レーザ;VCSEL(Vertical-Cavity Surface−Emitting Laser)]からなる面型発光素子アレイ(VCSELアレイチップ)32と、ドライバIC35と、レシーバIC36と、複数の曲線導波路6を備える光導波路構造体7とを備えるものとして構成される。なお、ここでは、送信側4チャンネル、受信側4チャンネルの光トランシーバを例に挙げている。
なお、プリント基板30は、装置側電気コネクタを介して外部装置と電気的に接続されており、電気信号が入力又は出力(電気I/O)されるようになっている。
特に、本光導波路構造体の製造方法及び製造装置によれば、曲面構造体1の曲面2に対応する曲面10を有する弾性体9を押し当ててコア液(導波路コア材料)4の充填を行なうため、コア液4が過剰に供給されて溝3の外側に漏れ出してしまうのを防止でき、曲面構造体1の曲面2上に形成された溝3にコア液4を過不足なく充填することができる。
また、上述の実施形態では、液体コア材料4として、例えばUVエポキシ樹脂材料などの紫外線硬化性樹脂材料を用い、紫外線を照射して硬化させるようにしているが、これに限られるものではなく、例えば、液体コア材料として光硬化性樹脂材料を用い、光を照射して硬化させるようにしても良い。また、液体コア材料として熱硬化性樹脂材料を用い、熱を加えて硬化させるようにしても良い。
本実施例では、上述の実施形態で説明した製造方法によって光導波路構造体(ポリマ光導波路)のサンプルを作製し、導波路コアに残留している気泡量(気泡発生率)を調べた。
コア液4が充填された溝(導波路溝)3の上部を覆うフィルム(クラッドフィルム)5にはポリオレフィン製で、厚さ0.05mmの透明フィルム(オレフィンフィルム)を幅10mm×長さ15mmに裁断して用いた。
ラミネート装置20は、下部に曲面構造体1を保持するステージ21を有し、上部に設けられたシリンダ22を用いて押当ヘッド8を下降させる構造のものを用いた(図1参照)。
押当ヘッド8の先端には、上述の実施形態で説明したような弾性体9(図1、図2参照)を取り付けた。
具体的には、押当用の弾性体9として、図6(A),(B)に示すように、比較用に2種類の形状の弾性体9A,9Bを作製した。
他方の弾性体9Bは、図6(B)に示すように、曲率半径をやや大きくして5.5mmとした曲面10C(中心角85度の円弧)に、5度の傾斜を持つ直線状の平面10Dをつなげた凹面10を有するものとした。なお、直線状の平面10Dに傾斜を持たせているのは、弾性体9Bが押圧されて変形していく際に、最後まで曲面構造体1の曲面2に徐々に押し当てられていくようにするためである。
上述のようにして作製した曲面構造体1をラミネート装置20のステージ21上に配置した。また、曲面構造体1上に、ディスペンサで0.1ccのコア液4を滴下した。さらに、上述のようにして作製したオレフィンフィルムを押当ヘッド8に真空吸着させて、シリンダ22の下部にセットした。
一方、曲率半径5.5mmの曲面10Cを有する弾性体9Bをセットする場合は、弾性体9Bの曲面10Cの一端が最初に接触し、押圧に従って弾性体9Bが変形して徐々に弾性体9Bの曲面10Cが曲面構造体1の曲面2に当たっていくように、押当ヘッド8と曲面構造体1との位置関係を調整した(図2参照)。
最後に、弾性体9A,9Bが曲面構造体1に押し当てられた状態で、ラミネート装置20のステージ21の裏面側から紫外線を照射し、コア液4を硬化させて、図7に示すような光導波路構造体7のサンプルを完成させた。
曲率半径5.0mmの弾性体9Aを使用した場合、サンプル10個で計80本の導波路コア4中、15本の導波路コア4に気泡が見られた。したがって、気泡発生率は19%であった。
このように、曲面構造体1の曲面2に対応する曲面10を備える弾性体9A,9Bを用い、弾性体9Bの曲面10Cの一端が最初に接触し、押圧に従って弾性体9Bが変形して徐々に弾性体9Bの曲面10Cが曲面構造体1の曲面2に当たっていくようにすることで、気泡発生率を抑えることができることがわかった。特に、曲面構造体1の曲面2の曲率半径よりも大きい曲率半径の曲面10Cを有する弾性体9Bを用いることで、気泡発生率を十分に低く抑えることができることがわかった。
(付記1)
曲面上に前記曲面の一端から他端まで延びる溝を有するクラッド構造体を作製する工程と、
前記溝の一端側又は他端側の前記曲面上に液状コア材料を滴下する工程と、
前記液状コア材料が滴下された側の前記溝を含む前記曲面に弾性体の一部を接触させた後、前記溝の反対側へ向けて前記弾性体を変形させながら前記溝に前記液状コア材料を充填していく工程とを含むことを特徴とする光導波路構造体の製造方法。
前記弾性体は、曲面を備え、
前記液状コア材料充填工程が、前記弾性体の曲面が前記クラッド構造体の曲面に対向するように所定間隔をあけて前記弾性体を配置し、前記弾性体の曲面を前記クラッド構造体の曲面に押し当てることによって行なわれることを特徴とする、付記1記載の光導波路構造体の製造方法。
前記弾性体の曲面が、前記クラッド構造体の曲面の曲率半径よりも大きい曲率半径を有することを特徴とする、付記2記載の光導波路構造体の製造方法。
(付記4)
前記弾性体の表面にクラッドフィルムを保持する工程を含み、
前記液状コア材料充填工程において、前記クラッドフィルムをラミネートしながら前記溝に前記液状コア材料を充填していくことを特徴とする、付記1〜3のいずれか1項に記載の光導波路構造体の製造方法。
前記クラッド構造体が透明なクラッド材料からなり、
前記液状コア材料が光硬化性樹脂材料からなり、
前記液状コア材料充填工程の後に、前記クラッド構造体を通して光を照射して前記液状コア材料を硬化させることを特徴とする、付記1〜4のいずれか1項に記載の光導波路構造体の製造方法。
曲面上に前記曲面の一端から他端まで延びる溝を有するクラッド構造体を、前記曲面を上にして保持するステージと、
前記クラッド構造体の曲面の曲率半径よりも大きい曲率半径を有する曲面を備える弾性体を先端に有し、前記弾性体の曲面が前記ステージ上に保持された前記クラッド構造体の曲面に対向するように所定間隔をあけて配置される押当ヘッドと、
前記弾性体の曲面が前記クラッド構造体の曲面に押し当てられるように前記押当ヘッドを駆動する駆動装置とを備えることを特徴とする光導波路構造体の製造装置。
前記弾性体が、クラッドフィルムを吸着するための真空吸着穴を備えることを特徴とする、付記6記載の光導波路構造体の製造装置。
(付記8)
前記クラッド構造体が透明なクラッド材料からなり、
前記前記液状コア材料が光硬化性樹脂材料からなり、
前記ステージが、前記液状コア材料に光を照射するための開口部を備えることを特徴とする、付記6又は7記載の光導波路構造体の製造装置。
前記ステージ上に保持された前記クラッド構造体の前記溝に液状コア材料を滴下する液状コア材料滴下装置を備えることを特徴とする、付記6〜8のいずれか1項に記載の光導波路構造体の製造装置。
(付記10)
前記真空吸着穴に接続される真空吸着装置を備えることを特徴とする、付記7〜9のいずれか1項に記載の光導波路構造体の製造装置。
前記開口部を介して前記液状コア材料に光を照射する光源を備えることを特徴とする、付記8〜10のいずれか1項に記載の光導波路構造体の製造装置。
2 曲面(凸面)
2A 曲面
2B 直線状の平面
3 溝(導波路用溝)
4 液状コア材料(導波路コア液)
5 クラッドフィルム(カバーフィルム)
6 光導波路(曲線導波路)
7 光導波路構造体(ポリマ光導波路)
8 押当ヘッド
9,9A,9B 弾性体(シリコーンゴム)
10 曲面(凹面)
10A,10C 曲面
10B,10D 直線状の平面
20 ラミネート装置
21 ステージ
22 シリンダ(駆動装置)
23 開口部
24 ブロック
30 プリント基板(回路基板)
31 面型受光素子アレイ(PDアレイチップ)
32 面型発光素子アレイ(VCSELアレイチップ)
33 光ファイバアレイ(リボンファイバ)
34 光コネクタ
35 ドライバIC
36 レシーバIC
Claims (5)
- 曲面上に前記曲面の一端から他端まで延びる溝を有するクラッド構造体を作製する工程と、
前記溝の一端側の前記曲面上に液状コア材料を滴下する工程と、
前記液状コア材料が滴下された側の前記溝を含む前記曲面に、前記クラッド構造体の曲面に対向する曲面を有する弾性体の前記曲面の一端側を接触させた後、前記溝の他端側へ向けて前記弾性体の曲面を前記クラッド構造体の曲面に押し当てることによって前記溝に前記液状コア材料を充填していく工程とを含むことを特徴とする光導波路構造体の製造方法。 - 前記弾性体の曲面が、前記クラッド構造体の曲面の曲率半径よりも大きい曲率半径を有することを特徴とする、請求項1記載の光導波路構造体の製造方法。
- 前記弾性体の表面にクラッドフィルムを保持する工程を含み、
前記液状コア材料充填工程において、前記クラッドフィルムをラミネートしながら前記溝に前記液状コア材料を充填していくことを特徴とする、請求項1又は2に記載の光導波路構造体の製造方法。 - 前記クラッド構造体が透明なクラッド材料からなり、
前記液状コア材料が光硬化性樹脂材料からなり、
前記液状コア材料充填工程の後に、前記クラッド構造体を通して光を照射して前記液状コア材料を硬化させることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光導波路構造体の製造方法。 - 曲面上に前記曲面の一端から他端まで延びる溝を有するクラッド構造体を、前記曲面を上にして保持するステージと、
前記クラッド構造体の曲面に対向する曲面を備える弾性体を先端に有し、前記弾性体の曲面が前記ステージ上に保持された前記クラッド構造体の曲面に対向するように所定間隔をあけて配置される押当ヘッドと、
最初に前記弾性体の曲面の一端側が前記クラッド構造体の曲面の一端側に接触し、他端側へ向けて前記弾性体の曲面が前記クラッド構造体の曲面に押し当てられるように前記押当ヘッドを駆動する駆動装置とを備えることを特徴とする光導波路構造体の製造装置。
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