JP4809727B2 - 単純マトリクスカラー液晶表示装置の駆動方法 - Google Patents

単純マトリクスカラー液晶表示装置の駆動方法 Download PDF

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Description

本発明は液晶表示装置の制御方法に関し、より詳細には3原色のバックライトを時分割発光させカラー表示を行うカラー光源型の、単純マトリクスカラー液晶表示装置の駆動方法に関する。
高性能液晶ディスプレーの主流は現在、材料としてはネマティック液晶を、表示品位を向上させるためには、基板にTFTなどの非線形スイッチング素子を配設したアクティブ表示装置となっている。一方ADL,Chandani等によって発見された反強誘電性液晶Jpn.J.Appl.Phys.Vol27.L729(1988)を用いたパネルは、単純マトリックス駆動でありながら上記アクティブ表示素子と比較しても遜色のない画像品位が得られることから、多くの研究と開発の努力が重ねられており、現在まで多くの研究成果が発表されている(例えば非特許文献1参照)。
これまで開発されてきたセル構造について第22図を用いて説明する。反強誘電相での光軸OAはスメクチック層34と直交している。この液晶層を液晶配向膜310と透明電極37が設けられた二枚のガラス基板38で挟み、さらに偏光板35と偏光板36の透過軸が互いに直交、または平行にセットされるように配設された構造である。
さらに前記セル内のスメクティック層34における分子配列について自発分極の配向の観点からみた概念図を示す。図23は図22のスメクティック層34についての自発分極の配向をX軸方向から眺めた概念図である。反強誘電性液晶分子は自発分極51を有することで知られていが、またその層内における配列をY軸方向に沿って観察すると、一層毎に上向きおよび下向きと交互に配置された構造を有し、この構造がZ方向に積層されている。そして全体としては、隣接層間で自発分極の総和は左右互いに相殺されゼロになる。このとき自発分極は最もエネルギーの低い位置として、52で示される自発分極の安定位置を取る層を奇数層とすれば下向きの配向が、また偶数層としては角度が180度回転した53で示した位置を取ると言われている。
さてこの状態のセルに対してZ方向に下向きの電界がかかると、図中の偶数層の自発分極にのみ回転トルクがかかり、偶数層のみの自発分極が、位置53から52へ向かって図中の円に沿いながら下向きに変化するような配向に変化する。この場合での自発分極は偶数層、奇数層ともに下向きに互いに平行なので、実現された相は安定な電界誘起強誘電相と呼称される。これを便宜上F相と以後呼称することにする。これとは逆に上向きに電界が印加された場合、今度は奇数層の自発分極に対して回転トルクが誘起され、今度は位置52から53へ向かって図中の円に沿いながら自発分極が移動し、上向きに平行な配向が実現する。この場合、偶数層、奇数層の自発分極は互いに上向きで平行なのでやはり実現された相は安定な強誘電相と考えられる。以後これを+F層と呼称することにする。すると電界0で反強誘電相(以後AF相と呼称する)、電界上向きで+F相、電界下向きで−F相の3種類が実現し、かつ+,−のF相が存在することで、交流化した駆動が可能になるのでこの場合の駆動を特に−F,AF,+Fの3種類の安定状態を遷移されることから特に3安定モードの(AF−F)駆動とも言われている。
上記反強誘電性液晶を用いたパネルで三角波を用いた駆動特性については、特許文献1に開示されている。図24を用いて説明すると、同図中1で示されるように、前記三角波の電圧を0から増加させていく過程においては、電圧を増加させても、V(A−F)tで示される電圧までは透過率は上昇しない。ところがこの電圧を超すとともに急激に透過光は増加し、電圧V(A−F)Sで飽和し以後電圧を増加させても変化はない。これは+Fに相当する状態であり、図24の右上531にこの相での自発分極の向きを示してある。
次に三角波の電圧を減少していく過程2であるが、電圧V(F−A)tから透過光は急に減少し0Vの直前で透過光は0に落ちてしまう。さらに電圧を減少させ3の過程に入っても電圧−V(A−F)tまでは透過光0の状態、すなわちAFの状態、を保つがこの電圧を超えると透過光は急激に増加し始めこの傾向は−V(A−F)Sまで継続する。このあと電圧を更に減少せしめても透過光は一定の値を示す。この状態は−F状態であり、このとき想定される自発分極の向きは図24の左上532に示した。
この後電圧を増加せしめる過程4にはいるとこれまで一定であった透過光は電圧−V(F−A)tから減少し始め0Vの直前で0に落ちてしまう。この状態は前記したごとくAF状態であり、このときの偶数層と奇数層のあいだでの自発分極の実現状態は図24の下部533に示すごとく互いに反平行の組み合わせとなる。ここで特記すべき特徴として、黒はAF状態で実現されており、自発分極の相対的な配向、組み合わせとしては3時-9時の方向で実現されていることである。
3安定モードに用いられる材料は出来るだけ幅広いヒステリシスを持つこと、駆動電圧が低いこと、特に2、および4の過程での応答速度の速いことなどが要求される。
前記AF−F駆動において、電界はセル内の偶数層内および奇数層内の2種類の自発分極のいずれか一方に作用し、残りの逆向きの自発分極は電界と作用しないモデルで記述されたが、このモードとは別に、AF相を経由せず、偶数層に属する自発分極と奇数層に属する自発分極が協調的に連携して運動するモード(F−Fモード)も知られている。(AF−F)もしくは(F−F)いずれのモードが支配的かは、材料、駆動条件、駆動温度その他の複数要因で決定されると言われているが、その状態は駆動周波数と三角波での透過光特性を観察することにより判定可能となる。
パッシブタイプのパネルの線順次駆動の基本については非特許文献2の276ページまたは非特許文献3の390ページなどに詳しく解説されているが、これらは以下のようにまとめられる。
第27図はMxNの画素数からなるパネルのリセット区間のないフィールド毎反転(フレーム反転と呼ばれることもある)による線順次駆動の行電極駆動電圧波形例である。 時刻t0においてまず第1選択行、I=1が選択されΔt秒間だけ選択電圧Vs541が印加される。これに同期して列電極にデータ電圧として白表示の場合は−Vd 黒の場合は+Vdが印加される。第1行の電極は以後バイアス電圧542がVbの電圧で新たに印加され、この状態は次の第2フレームの選択時間まで継続する。
次に第2選択行、I=2、は時刻(t0+Δt)からΔtの時間だけ選択電圧VSが印加される。言い換えると第1行目の選択波形に関し、1ライン目の1フレームの間に印加される波形を、時間に対してΔtだけ右側にシフトさせて第2選択行の駆動信号とするものである。これに同期して第2行目に表示させるデータに対応させ、白の場合はデータ電圧として、−Vdの電圧を、黒の場合は+Vdの電圧が重畳印加される。この後はやはりバイアス電圧Vbが印加され、次のフレームの選択電圧が印加されるまで第2選択行のデータを保持する。以下同様に時間幅Δtで順次時間に対してシフトされ、I=M行目まで選択行とそれに対するデータの書き込みが終了した時点で、再び第1行の選択へと移行する。
ただこのときの第1行目の選択波形の極性は第1フィールドのそれとは逆極性に設定し、駆動における直流成分の電荷補償がなされる。ここでフィールド反転と呼称される所以として、第1フィールドは、選択行の第1行から第M行まで同一極性で書き込みを行い第2フィールドで反対の極性で第1フィールドと同様にM行書き込みを行うからで、フィールド単位での電荷補償を行うという意味である。
次に1行毎ライン反転駆動について第30図に示す。この駆動法は前記フィールド反転駆動法において、選択パルスとして、選択偶数選択行の極性と奇数選択行の極性を逆に設定した選択パルスを印加する駆動である。この駆動方法は、電荷の回り込みに起因するクロストーク防止のための駆動方法として有効とされている。
従来、反強誘電液晶パネル(以下AFLCパネルと略記する)の駆動について、さらに選択区間の選択パルスの印加の仕方について、単一パルス1位相で書き込む方法(例えば非特許文献4参照)と、2位相を単位として書き込む方法(例えば非特許文献5参照)が知られている。このうち単一パルスで書き込む方法は反強誘電相AF相を必ず経過させる駆動方法で、コントラスト、換言すれば黒を重視するときに有効な書き込み方といわれている。一方選択パルスを2位相で構成する駆動法は上記文献にても明らかなように、1位相駆動の選択パルスを2つの区間に分割し、その極性を反転させて構成される。この駆動方法は前記1位相のそれとは反対に、白を重視するときに有効とされ、常温域ではかなり有効であるが、低温領域で駆動しようとするとき、有効な電荷注入時間が1位相の時間の半分になるので、1位相の場合の駆動能力と比較すると劣るという特徴を有する。また上記文献以外には、選択パルスとして3位相を用いる例(例えば特許文献2参照)などが知られている。
選択波形の次に位置する期間は非選択期間と呼称される区間で、選択行例えばI=J行に書き込まれたN個の列データを保持する電圧が選択パルスの終了直後から印加される。一方非選択の期間にも、共通データ電極群を用いて、J行以外のデータが各々順次書き込まれることになるので、この期間はバイアス電圧とJ行以外のデータ電圧という、2系統の電圧が独立にかつランダムに印加されることになる。この期間内でI=J行に書き込まれたデータがI=J以外のデータ電圧の書き込みで変化してはならないので、データ電圧とバイアス電圧の最適な組み合わせが求められることになる。
さらに従来のフィールド反転駆動法による選択パルス前後におけるバイアス極性とバイアス印加時点について図30を用いて説明する。特定の選択行(I=M)に着目し、その行の第1フィールドの選択パルスVb11に後続するバイアス区間の極性と第2フィールドのバイアス区間の極性Vb12に着目すると、選択パルスの前後でのバイアスは互いに逆となっている。またI=2以降のバイアス期間の開始の時点をI=1の選択開始時点の観点からみると、I=2の第1フィールドの書き込み開始はt0+2*Δtの時点から、I=3行目の新たなバイアス開始時点はt0+3*Δt,.....という様に時系列的にずれていく。交流化反転を前提とすると特定の行の選択パルスの前後のバイアス波形の極性は互いに逆であることと、I=1行目の選択がなされたとき、I=2以降の第1フレーム用のバイアス電圧印加はまだ開始されていないことがわかる。
さらに非選択期間の最後の区間に別途、F(もしくは−F)からAFへの転移を助けるためのリセット期間を設けることに関し、2種類の方法が開示されている。第29図を用いて説明すると、まず、第1の方法は選択波形の線順次駆動と同様I=J行の選択行に対し、選択期間に続く非選択期間の特定の場所(通常は次のフレームの選択パルスの直前)に設定するとともに、選択行のI=Jと次の選択行であるI=J+1行の関係についてはΔtだけの時間差を設けて同様に設置し、第J行の波形を単純に時間軸でΔtだけ右側にシフトして構成する方法である。この駆動法は例えば特許文献3や非特許文献6にも詳しい。1行目から M行目までのタイミング概念図を図26に示す。
一方特許文献4や特許文献5において選択行のI=1〜M行までの全画素同時リセットの方法が開示されている。この技術は選択波形を2位相で構成し、最後の選択行の書き込みが終わった時点で、強制的に反強誘電状態に復帰させる技術である。特に後者の明細書については、選択行が多くなったときの、パネルの位置による輝度差を軽減するための2回書き込みという手法が開示されている。
更に近年、後述するDabrowskiらは、パネルの見栄え改善のため、前記リセット期間にたいし、さらに2−3系統のパルス、すなわち、井戸(Well pulse)、リセットパルス(Reset pulse)および選択パルスに先立つ目覚ましパルス(Awaking pulse)の3種類の補助パルスを提案している(非特許文献7,8参照)。
パネルをフルカラーにて表示するときの手段としては大別して2系統に分類される。 第1の系統は、バックライトを白色光とし、パネルの1絵素をRGBのカラーフィルターを用いた3画素にて構成する方法で、特定の絵素の色については、3画素を通過するRGB、各光の強度の加色混合で表現する方法がとられる。
第2の手段は、光源として白色光ではなくそれぞれR,G,Bの単色光を用いこれらの光を時分割にて発光させる方法で、この発光タイミングに同期させて、R,G,Bに対応する情報を表示させる方法が提案されている(例えば非特許文献9参照)。
次に前記発光手段に対し、フレーム期間に対する発光期間に人間の目に情報の書き換えが観察されるための視認限界として、バックライトが白色光の場合、フレーム周波数30HZ内外(2フィールド=1フレーム)、時間に換算すると1フィールドの周期16.7ms程度が通常用いられてきた。一方バックライトとしてR,G,Bの各単色光を用いるときには、前記フィールド周波数の3倍すなわち180Hz内外、発光期間に換算すると各色5.6ms程度が標準となる。さらに時分割発光駆動の場合、第26図に示すごとく、書き込みの初期から、1フィールドにわたって発光し続ける方法(例えば特許文献6参照)や、パネルの最終選択行の書き込みが終わった時点で各色を断続的発光する方法などがあり各種パネルの駆動方法により様々な組み合わせが考えられる(例えば特許文献7、非特許文献10参照)。
従来、AFLCパネルの駆動について、選択パルスの印加の仕方について、単一パルス1位相で書き込む方法(例えば非特許文献4参照)と、2位相を単位として書き込む方法(例えば非特許文献5参照)が知られている。このうち単一パルスで書き込む方法は反強誘電相を必ず経過させるといわれる駆動方法で、コントラスト、換言すれば黒を重視するときに有効な書き込み方といえる。一方選択パルスを2位相で構成する駆動法は上記文献にても明らかなように、1位相駆動の選択パルスを2つの区間に分割し、その極性を反転させて構成される。この駆動方法は前記1位相のそれとは反対に、白を重視するときに有効とされ、常温域ではかなり有効であるが、低温領域で駆動しようとするとき、有効な電荷注入時間が1位相の時間の半分になるので、1位相の場合の駆動能力と比較すると劣るという特徴を有する。また上記文献以外には、選択パルスとして3位相を用いる場合(例えば特許文献2参照)などが知られている。
さてAFLCパネルの駆動において第1フレームの書き込みを終え第2フレームに相当するデータを書き込むときに、問題が起こることが最近明らかになった。この現象については前掲した非特許文献7,8などに詳しいが、要約すると以下のごとくである。すなわち、第1フレームにて書き込んだ情報が第2フレーム書き込みの際まだ影響が残っており(メモリー効果)、第1フレームにて書き込んだ情報を完璧に消去しない限り、第2フレームの正しい情報は書き込めないという指摘である。メモリー効果除去のため筆者らは、非選択期間の最後にリセット期間を設け、さらにこの期間を2〜3系統のパルス、すなわち、井戸(Well puls)、リセットパルス(Reset puls)および選択パルスに先立つ目覚ましパルス(Awaking pulse)の3種類を提案している。彼らの波形の前提としては、電圧で誘起された強誘電状態(+Fもしくは−F)の白から、反強誘電状態(AF)である黒への転移を加速するため、図23における自発分極配列状態、もしくは図24の533で示したAF状態へ相転移させる技術であるとしており、決して反強誘電状態(AF)から強誘電状態(+Fもしくは−F)へと相転移させるものではないということである。
これまで、反強誘電性液晶の黒状態を実現させる方法として、図23において図示した自発分極の配置が知られていたが、近年異なった自発分極配向にても黒状態の実現の可能性が指摘された。非特許文献12によれば、従来の黒は図25示した631と632の組み合わせ位置(3時−9時方向)以外に、同図中の641及び642で示した自発分極の配向の組み合わせ(12時-6時方向)が想定されるという指摘である。この641及び642で示した自発分極の配向の組み合わせ状態は図中の631と632の組み合わせと比較するとエネルギー的には高い状態ではあるが、準安定といわれ、この状態から他の状態への遷移は比較的低い電圧印加で可能であると言われている。さらに詳しく考察すると631と632の安定配置を取るときの層内の分子の配向変化は概略奇数層のみ(もしくは偶数層のみ)に配置されているものだけで、層内に含まれる半分の液晶分子のみが動くというモードと考えられる。一方631−632での安定配置をとる場合の層内での分子の動きは、偶数層および奇数層に配置されている両方の分子がそれぞれ協調的に動きながらこの配置をとるとされる(スプレー状態)。このことから何らかの駆動技術で、スプレー状態の黒を実現できれば、この分子配向位置を基点とし、従来の高電圧以下の電界強度にて白と黒をかき分けられることが可能となる。
特開平2−173724 特開平3−279920 特開平11−119189 特開平6−95624 特開平11−119189 特開平5−265403 特開2002−296588 特開2002−328400 Proc.12th.Intl Display Research Conf.57(1992) "液晶"第2巻第4号(1998) "液晶"第4巻第4号(2000) Ferroelectrics 149 255(1993) Ferroelectrics 149 295(1993) "液晶" Vol3(3) 191()1999 OPT−ELECTRONICS REVIEW10(1)17、(2002) OPT−ELECTRONICS REVIEW12(3)291、(2004) Ernst Leuder;"Liquid CrystalDisplays" p299 John Wiley&Sons Ltd "液晶"Vol7(2)139(2003) Ferroelectrics 149 255(1993) A.Adamski ;Thersholdless Switching in Ferro and Antiferro-electric Liquid Crystal Displays Gent University Thesis (2005)
従来の駆動波形にて、180HZもしくはそれ以上の高い周波数の三角波にて液晶パネルを駆動すると、従来云われてきた電圧0Vで反強誘電性は示さず+Fと−Fの間を直接電界に誘起された相転移を起こすようになる。このときの三角波−透過率曲線を従来の材料と一緒に図21に示す。図21においては実線が180HZの三角波に対する透過率特性を、点線が0.1HZの三角波に対する透過率特性を示している。0.1HZの駆動周波数において,0Vで示したAF状態は180HZではもはや存在せず、状態は0Vの時とは全く異なるものとなっていることがわかる。本発明の第1の目的は、フレーム周波数(もしくはフィールド周波数)が高くなり、0Vでもはや反強誘電相が存在しないときの最適駆動法を提案することである。
一般的に液晶は低温になると回転粘性係数が増加し、パネルの特定電圧、特定周波数における応答特性は劣化する。加えてフレーム周波数が高くなるとますますその劣化度合いは増加していき、最後は周波数に追随できなくなる。パネル特性、すなわち図21の0.1Hzの三角波で駆動した場合に即して説明すると、常温領域で20V印加時、おおよそ120の数値を示した透過光強度は次第に減少し始め、低温領域では0になってしまう現象を示す。さらにパッシブ駆動の特徴である矩形波を用いた1/Nデューティー線順次駆動を行う場合、選択時間(選択電圧印加時間)はフレーム周期の1/Nとなり、上記の現象はますます顕著となる。
上記現象を詳細に観察するために、低温において駆動波形の周波数を180Hzに固定しながら電圧を徐々に増加させる過程につき、従来主張されてきた論拠にしたがって、図24にもとずいて考える。まず電圧0で透過光強度は0であるから、この状態での自発分極の配向は同図の533で示した配列すなわちAF状態であることがわかる。さてこの状態から、印加電圧を増加させながら、Dabrowskiらの井戸パルスを印加した場合どうなるか考える。彼らの井戸パルスの役割は非特許文献7,8に述べられているごとく、強誘電状態(+−F)を反強誘電状態(AF)へと転移させることであった。すると彼らのパルスは強誘電状態になっていて初めて意味を持つはずで、強誘電相にない相に井戸パルスを印加してもそれ自体反強誘電相であるならば、なんら変化は生じないはずである。すなわち、反強誘電相の現れとしての黒状態に井戸パルスを印加しても変化は生ずるはずはなく、もしも生じたとすれば、彼らの前提した状態と、本願が対象とする液晶の状態とは全く異なるものに対応するはずである。これを確認する意味からも、AF相を経由しているか否かの確認とともに低温領域でF−AFモードより高速な応答特性が期待できるモードの適用すなわちスプレー状態下での駆動可能性を探ることが本発明の第2の課題となる。
従来の線順次駆動を行う一方、リセットの時間を選択行であるI=1からMまで同一時間幅、同一タイミングにセットすることになると、バイアス電圧により注入される電荷量は選択行の位置すなわちバイアス電圧印加時間に依存し、その注入電荷量は、順次異なるものとなってしまう。リセット区間から選択波形印加までのパネルの状態は黒であるから、選択桁I=1のバイアス時間とI=Mの選択桁において、選択桁によって異なってくる。各ラインの輝度はバイアス印加時間に比例するので、通常の線順次駆動下での同時リセット駆動を行うと、輝度の系統的な違いとして顕著に観察されることが明らかになった。このことから選択桁のI=1からI=Mまでの位置によらない均一な表示の可能な駆動方法の開発、特にバイアスの開始期間に関する技術開発が必要とされてきた。本発明の第3の目的は、同時リセット駆動を行っても均一な表示の可能な駆動方法を実現することである。
さらに、非特許文献7,8に述べられているDabrowskiの矩形波で1ライン毎の極性反転を伴う線順次駆動を行うと、1行毎反転に顕著に観察される、前項に述べた現象とは別の、1行ごとの明暗の規則的な明度差が観察された。またパッシブ駆動特有のクロストーク現象が表示パターンに依存して観察された。これらの現象を克服するとともに、この現象に対応した新規なFSC駆動法を確立ことが本発明第4の課題となる。
実際の反強誘電性液晶パネルは、ICにより駆動される。一方ICの価格はICが備える出力の電圧レベル数に依存する。そして一般的にはレベル数が少なければ少ないほど安価に製造可能となる。
安価なFSCパネルを供給する前提として、レベル数のなるべく少ない単純な駆動法の開発が必要とされる。
本発明の第5の目的は、電圧レベル数の少ない単純な駆動法を提案することである。
本発明の単純マトリクスカラー液晶表示装置の駆動方法は、該液晶表示装置が、複数のM行電極と、複数のN列電極が形成された基板間に狭持された反強誘電性液晶物質と、独立した3原色光が順次発光する照明装置とを有し、1フレーム期間は2フィールド期間より成り、1フィールド期間は少なくとも前記3原色の発光期間である3つのサブフィールド期間より成り、該各1つのサブフィールドは前記行電極を行電極選択信号により順次選択する書き込み期間と、前記照明装置が発光する発光期間と、リセット期間とからなり、該各サブフィールドはM=1行目の走査から開始され、前記反強誘電性液晶物質に、該リセット期間に前記行電極選択信号の時間幅の略2倍の時間幅を有する井戸信号を印加し、少なくとも前記発光期間には情報を保持するバイアス電圧を印加したことを特徴とする。
また本発明の単純マトリクスカラー液晶表示装置の駆動方法は、前記リセット期間が前記井戸信号が印加されている時間よりも長い時間を有し、該リセット期間に前記液晶物質に前記井戸信号の印加に引き続き、0ボルトから前記バイアス電圧範囲内の、絶対値が同じで極性が異なる2値をとる矩形波を印加したことを特徴とする。
また本発明の単純マトリクスカラー液晶表示装置の駆動方法は、前記井戸信号の電圧が0ボルトから前記バイアス電圧の2倍の範囲であることを特徴とする。
また本発明の単純マトリクスカラー液晶表示装置の駆動方法は、前記井戸信号の極性が前記行電極選択信号と逆極性であることを特徴とする。
また本発明の単純マトリクスカラー液晶表示装置の駆動方法は、前記井戸信号には0ボルトから前記バイアス電圧範囲内の、絶対値が同じで極性が異なる2値をとる矩形波が重畳されていることを特徴とする。
また本発明の単純マトリクスカラー液晶表示装置の駆動方法は、前記矩形波の極性が単位サブフレーム内の前記行電極選択信号と同極性から開始されることを特徴とする。
また本発明の単純マトリクスカラー液晶表示装置の駆動方法は、前記矩形波の極性が単位サブフレーム内の前記行電極選択信号と逆極性から開始されることを特徴とする。
また本発明の単純マトリクスカラー液晶表示装置の駆動方法は、2行目以降の前記バイアス信号の開始が、前記サブフィールドの開始に同期されていることを特徴とする。
また本発明の単純マトリクスカラー液晶表示装置の駆動方法は、2行目以降の前記行電極選択信号の前後で、前記バイアス信号が同極性であることを特徴とする。
また本発明の単純マトリクスカラー液晶表示装置の駆動方法は、前記行電極選択信号の極性は交流化信号の論理レベルによって決定され、該交流化信号の論理レベルは、前記行電極が選択されるタイミング毎に反転され、さらに前記フィールド毎に反転されていることを特徴とする。
また本発明の単純マトリクスカラー液晶表示装置の駆動方法は、前記サブフィールドのサブフィールド周波数が150ヘルツから600ヘルツの間であることを特徴とする。
また本発明の単純マトリクスカラー液晶表示装置の駆動方法は、前記反強誘電性液晶の駆動モードが強誘電−強誘電モードであることを特徴とする。
また本発明の単純マトリクスカラー液晶表示装置の駆動方法は、前記複数のM行電極の数が64以下であることを特徴とする。
本発明によれば駆動信号の周波数が高く、0V印加時にもはや反強誘電相が存在しない場合にも問題を生じない単純マトリクスカラー反強誘電性液晶表示装置の駆動方法が実現できた。
また、同時リセット駆動を行っても均一な表示の可能な駆動方法が実現できた。
さらにクロストーク現象の少ない駆動法が実現できた。
さらにまた、電圧レベル数の少ない単純な駆動が実現でき、安価なドライバーICでの駆動が可能となった。
単純マトリクスカラー液晶表示装置の駆動方法において、該液晶表示装置が複数のM行電極と、複数のN列電極が形成された基板間に狭持された液晶物質と、独立した3原色光が順次発光する照明装置とを有し、1フレーム期間は2フィールド期間より成り、1フィールド期間は少なくとも前記3原色の発光期間である3つのサブフィールド期間より成り、該各1つのサブフィールドは前記行電極を行電極選択信号により順次選択する書き込み期間と、前記照明装置が発光する発光期間と、リセット期間とからなり、該各サブフィールドはM=1行目の走査から開始され、前記液晶物質に、該リセット期間に前記行電極選択信号の時間幅の略2倍の時間幅を有する井戸信号を印加し、少なくとも前記発光期間には情報を保持するバイアス電圧を印加した。
以下本発明を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本実施例に用いた反強誘電性液晶パネルの断面図である。この反強誘電性液晶パネルは、反強誘電性液晶として三菱瓦斯化学社製のGH029を用い、その総厚hが約1.5μmになるように一対の基板431,432にて挟持させた。基板431、432の対向面には電極44が形成されその上に配向膜(日産化学工業製 RN1199)45が厚さ約200オングストロームで形成されている。さらに一方の基板431の外側に偏光板の偏光軸と配向膜45の配向処理方向とが略平行になるように第1の偏光板411が配置されており、他方の基板432の外側には、第1の偏光板411の偏光軸と略90度異なるようにして第2の偏光板412が設置されている。
まず第1に本願での前提すなわち、180Hz以上の駆動周波数において、黒の状態が通常のAF-Fモードか否かの確認を行った。図21にその結果を示す。この図から明らかなこととして 三角波の振幅0Vの近傍で、透過光は0ではなく透過光強度として約110程度の明るさを示している。このことから0V近傍に置ける自発分極の配列は図24で示した3時−9時で表されるAF相には対応したものではないことがまず確認された。
なお以下の図において、同様の部材には同様の番号を付している。
図2は本実施例に用いた反強誘電性液晶パネルの平面図及び簡略化した断面図である。
図2(a)に示した下側の基板432には透明な行電極R1,R2,R3,・・・,R32が設けられ、図2(b)に示した上側の基板431には透明な列電極C1,C2,C3,・・・、C64が設けられ、該上下の基板431,432間に反強誘電性液晶物質が狭持されている。図2(c)はこのように液晶物質が狭持されている液晶パネルの簡略化した断面図で、上下の基板431,432とシール部14とで囲まれた空間に反強誘電性液晶物質12が注入されている。このようなパネルにおいては、行電極を行選択信号によって順次選択し、1つの行電極が選択されているときに当該行の表示データを全列電極に与える、いわゆる線順次駆動が行われる。
液晶パネルの下部にはLED光源16と導光板18とを有するバックライトが設けられ、該LED光源16には3原色である赤色(R)、緑色(G)、青色(B)光源が設けられ、これらの3原色光源が順次交互に点灯し、該点灯タイミングに合わせて液晶表示パネルには当該光源色の表示上方が表示されてカラー表示がなされる。この液晶表示装置はいわゆるフィールド・シーケンシャル・カラー(以下FSCと略記する)方式の表示器となっている。
なお図2で示したように本発明を32行、64列の単純マトリクスカラー液晶表示装置を例にとって説明する。
図3はフレーム、フィールド、サブフィールド、交流化信号の概念を示した図である。
図3において、1フレームは1枚の完結した画面を送る時間で、ちらつきを防ぐため1秒間のフレーム数は30以上とされている。従って1フレームの時間tFは約33msec.以下に設定する。
1フレームは2つのフィールドより成り、1つのフィールドは3原色である赤(R)、緑(G)、青(B)の3つのサブフィールドから成っている。
AL1,AL2は異なったタイプの交流化信号で、該交流化信号によって行電極に与えられる選択パルスの極性が決定される。
図2に示したように、第1の交流化信号AL1,第2の交流化信号AL2共に、サブフィールド内で頻繁に極性を変えている。この極性を変える周期が、図2に示した複数の行電極のうちの1本を選択している時間である。すなわち本発明においては行電極を1行選択する毎に印加電圧の極性を反転させている。
交流化信号AL1,AL2は共にフィールド毎にも極性を変えている。交流化信号AL1,AL2の波形は、図7に示すように、前半のフィールドと後半のフィールドとで極性を反転されている。このように構成したことにより1フレームの中で印加電圧の極性が反転して電荷がキャンセルされ、直流分を無くしている。
図4は交流化信号の第1のタイプを詳細に説明する波形図である。
図4において、FRは1周期を1フレームとする信号、SUBは半周期を1サブフレームとする信号、AL1は第1のタイプの交流化信号、VR1,VR2,VR3はそれぞれ第1、2,3行目の行電極に与えられる駆動信号である。
図4に示したように、1つのサブフィールド毎に1回行電極に与えられる選択信号20は交流化信号によって極性が制御され、図4においては交流化信号と同じ方向の極性とされている。
また本発明においては行電極を1行選択する毎に印加電圧の極性を反転させる1行毎反転方式をとっているため、VR2の選択信号はVR1と逆極性、VR3の選択信号はVR1と同極性となっている。
従って選択信号は(サブフィールドを無視して)フィールド毎に極性を変えて選択電圧値+Sもしくは−Sをとる信号となっている。
図5は交流化信号の第2のタイプを詳細に説明する波形図である。
図5において、FRは1周期を1フレームとする信号、SUBは半周期を1サブフレームとする信号、AL2は第2のタイプの交流化信号、VR1,VR2,VR3はそれぞれ第1、2,3行目の行電極に与えられる駆動信号である。
図5に示したように、1つのサブフィールド毎に1回行電極に与えられる選択信号22は交流化信号によって極性が制御され、図4においては交流化信号と同じ方向の極性とされている。
また本発明においては行電極を1行選択する毎に印加電圧の極性を反転させる1行毎反転方式をとっているため、VR2の選択信号はVR1と逆極性、VR3の選択信号はVR1と同極性となっている。
従って選択信号は必ずサブフィールド毎及びフィールド毎に極性を変えて選択電圧値+Sもしくは−Sをとる信号となっている。
第1の交流化信号AL1と第2の交流化信号AL2とが異なるのはサブフィールド毎に極性を反転させるか否かで、第1の交流化信号AL1は図3及び図4に示すように、サブフィールド毎には波形の極性を反転せず、行電極を1行選択する毎に極性を反転され、かつフィールド毎に波形の極性を反転させている。なお後述する井戸信号24はサブフィールド毎に設けられ、前記行選択信号とは逆極性とされて前記行選択信号とバイアス電圧+−Bによって液晶に印加された電荷を緩和する働きをしている。
また、第2の交流化信号AL2は図3及び図5に示すように、行電極を1行選択する毎に極性を反転され、かつサブフィールド毎に波形の極性を反転させている。なお後述する井戸信号26はサブフィールド毎に設けられ、前記行選択信号とは逆極性とされて前記行選択信号とバイアス電圧+−Bによって液晶に印加された電荷を緩和する働きをしている。
第1の交流化信号AL1と第2の交流化信号AL2とは波形の周波数がほぼ同じで、どちらの信号を用いても直流分のキャンセルは出来ているため、交流化信号として第1の交流化信号AL1のタイプを選んでも第2の交流化信号AL2選んでも差は少ない。
なお少なくとも発光期間に液晶物質が情報を保持出来るように印加するバイアス電圧は同一サブフィールド内で前記行選択信号と同じ極性をとり続けるよう構成されている。この点は、バイアス電圧に相当する印加電圧の特性が交流化信号の極性によって決定される、TNタイプを用いた通常の受動型液晶の駆動方法と大きく異なる点である。
すなわち本発明の駆動法においては、行選択信号及び井戸信号の極性は交流化信号によって決定されるが、バイアス電圧の極性は、交流化信号の極性ではなく、同一サブフレーム内の行選択信号の極性によって決定されている。
図6は液晶に実際に印加される電圧波形を示した図で、交流化信号としては第2のタイプの信号を用いた例を示している。
図6において、FRは1周期を1フレームとする信号、SUBは半周期を1サブフレームとする信号、AL2は第2のタイプの交流化信号、VR1は第1行目の行電極に与えられる駆動信号、VC1白、VC1黒、VC1赤はそれぞれ第1列目の列電極に与えられる駆動信号で、VC1白は第1列目の表示を白にする、すなわちサブフレームのR、G、B、すべてで液晶をONにして表示を白色にするための信号、VC1黒は第1列目の表示を黒にする、すなわちサブフレームのR、G、B、すべてで液晶をOFFにして表示を黒色にするための信号、VC1赤はサブフレームのRで液晶をON、サブフレームのG、Bで液晶をOFFにして赤色光のみ透過させて表示を赤色にするための信号である。
液晶に実際に印加される電圧は行電極に与えられる駆動信号電圧と列電極に与えられる駆動信号電圧との差であり、行電極に与えられる駆動信号に列電極に与えられる駆動信号が重畳されることになるから、図6に示したVR1−VC1赤が列電極にVC1赤を印加したときの第1行第1列目の液晶ドットに印加される実際の電圧となる。
図7は本発明の駆動法で用いるタイミングを示した概念図である。
図7は従来の駆動法を説明した図26に対応した図で、本発明においては、R,G,Bの各サブフィールドを各行一律に、書込期間、照明期間、リセット期間の3つの期間に分け、書込期間では各行の選択、表示データの書き込み、照明期間では各行へのデータ書き込みを停止して画面全体を一律に照明し、リセット期間では画面全体の液晶ドットをリセットして印加した電荷を緩和している。このタイミングは図26に示した、各行毎にリセットのタイミングが異なる従来のタイミングと大きく異なっている。
照明期間について詳述すると、図7の「照明」で示したように、Rサブフィールドの照明期間に赤色光源をONにして赤色光で照明し、Gサブフィールドの照明期間に緑色光源をONにして緑色光で照明し、Bサブフィールドの照明期間に青色光源をONにして青色光で照明している。
図8は本発明の特徴を示したタイミングチャートである。
図8は拡大するためRとGのサブフィールドのみを示している。
各サブフィールドは書込期間、照明期間、リセット期間に分けられ、照明は照明期間にのみONとされる。すなわち、選択行1からM行までの書込期間中、R,G,B各光源は発光しない。
このM行までの書き込み期間が終わった時点で、情報の保持期間である照明期間の開始とともに各色(R,G,B)の発光が同期して行われる。この期間に後述するVLCDに列電極に印加するデータ電圧相当の電圧を重畳しても重畳しなくても効果は変わらないことは確認している。
VLCDは液晶に実際に印加される電圧を示しており、図6においては「VR1−VC1赤」に相当する。
VLCDは0Vを中心とする電圧であり、選択信号としては+−Sの電圧を中心とする選択電圧、書込期間及び照明期間の選択信号が印加される以外の期間は+−Bの電圧を中心とするバイアス電圧、リセット期間にはSとBの間の電圧値を中心とした電圧を持つ井戸信号、リセット期間の残りの期間は0Vを中心とする電圧を印加している。ここで図8の斜線部は列電極に印加される信号によって変動する部分で、列電極には書込期間には表示データが、それ以外の照明期間、リセット期間には駆動上の必要に応じて電圧が印加される。
本発明の実施にあたっては、32分割の単純マトリクス液晶に対し、リセット期間tRを約1msec.に、照明期間tLを約1.4msec.に、残りの時間を書込期間tWにあてた。フレーム期間が約1/30秒であるから、1サブフレーム期間は1/180秒=5.6msec、従って書込期間は約3.2msec.となり、32行ある行電極の各行の選択信号22の時間tSEは約100μsec.となった。
本発明の特徴とするのは井戸信号26のパルス幅tWELLで、従来と異なり、この幅tWELLを選択信号22のパルス幅tSEの略2倍に設定している。このように設定したことにより書込期間、照明期間を通じて印加された電荷の緩和を行うことが出来、良好な液晶の応答が得られた。
また図8から明らかなように本発明の駆動方法においては、行電極選択信号22の極性は交流化信号の論理レベルによって決定され、該交流化信号の論理レベルは、図3にも示したように、前記行電極が選択されるタイミング毎に反転され、さらに前記フィールド毎に反転されている。このような1行毎に行電極選択信号の極性を変えるような交流化信号を使うことにより、いわゆるクロストークの減少に顕著な効果を生じさせることが出来た。
なおこのように井戸信号のパルス幅を選択信号のパルス幅の略2倍に設定すると略16分割から略64分割までで良好な結果が得られた。また最も良い結果が得られたのは略32分割反強誘電性液晶パネルに対してであった。
また本発明の単純マトリクスカラー液晶表示装置の駆動方法は、前記反強誘電性液晶の駆動モードが強誘電−強誘電モードである時に特に効果を発揮する。
図9は本発明による単純マトリクスカラー反強誘電性液晶表示装置の駆動方法の第1の実施例を示す波形図である。
図9は、複数のM行電極と、複数のN列電極が形成された基板間に狭持された液晶物質と、独立した3原色光が順次発光する照明装置とを有する液晶表示装置の駆動法を示した図で、1フレーム期間は2フィールド期間より成り、1フィールド期間は少なくとも前記3原色の発光期間である3つのサブフィールド期間より成り、該各1つのサブフィールドは前記行電極を行電極選択信号により順次選択する書込期間と、前記照明装置が発光する発光期間と、リセット期間とからなっている。
ここでサブフィールドのサブフィールド周波数は150ヘルツから600ヘルツの間としている。画面のちらつきを避けるためには150ヘルツ以上が必要であり、反強誘電液晶としての特性を満足させるためには600ヘルツ以下とすることが必要であった。また最も良好な表示特性が得られたのは170ヘルツから200ヘルツの間であった。
該各サブフィールドはM=1行目の走査から開始され、各行(R=1,2,・・・、32)の液晶に実際に印加される電圧をR=1,R=2,R=32として表した図で、選択パルスとして1位相、選択時間100μS、選択電圧(図8の電圧Sに相当)15V、非選択区間中の最後のリセット区間の時間長さは1mS、バイアス電圧(図8の電圧Bに相当)5V、井戸パルスとしての時間約200μS、井戸パルスの電圧の絶対値を5Vで設定した。また赤色の点灯書き込みの場合は、1行目のRサブフィールドを例にとると、列電極に印加するデータ電圧(VD=+−4V)、行電極に印加する選択電圧VS=15Vとし、画素には15−(−4)=19Vがかかるように、また非点灯書き込みの場合にはデータ電圧VD=+4V、選択電圧VS=15Vとし、画素には15−(4)=11Vが印加されるように設定した。
一方R=2の場合のごとく第1フレームの選択パルスがマイナス極性の場合は、点灯、および非点灯の場合のデータ電圧の取り方は、I=1の場合と極性を逆に取る。
同図中、2から32行目までのバイアス電圧28印加開始時点は1行目の選択開始時点、選択波形の印加は従来の線順次駆動と同様、発光(照明)期間開始は32行目の情報が書き終わった直後からリセット区間直前まで、リセット区間は、1行目から32行目まで同期させながら、同一時間(1mS)を設定することを示している。
本願の特徴の一つであるバイアス電圧28印加開始はほぼ全行一律に、上述したごとくI=1の選択が開始されたときに同期してM行まで同時に印加される。このバイアス印加により、後続する発光時のパネルの位置による輝度むらが除去される。
なお、このバイアス電圧印加期間に列電極にデータ電圧と同様な電圧を印加して、該電圧をバイアス電圧に重畳しても重畳しなくても光学特性に影響を与えないことは確認された。
なお上記液晶物質は反強誘電性液晶であり、本実施例による駆動モードは図21で説明したように、強誘電−強誘電モードである。
本図の説明として第1選択行の第1フィールドのみ示してしているが、これは図の煩雑さを防ぐためで、図示したごとく、各選択行の各フレームについてことごとく前記工夫を施していることはいうまでもない。またこのことは以後の各図の説明についても同様である。
本願の特徴であるリセット区間の構成についてさらに説明を行う。
本願における第1実施例のリセット方法は2つのリセット区間から構成され、そのうちの前半は、DABROWSKIらが非特許文献7,8で述べた井戸信号(well pulse)に相当する波形のみをリセットの最初の区間に配設する場合で残りのリセット区間は0V印加としている。すなわちリセット期間には列電極に0Vを印加し、行電極に印加した電圧に列電極に印加した0Vが重畳される方式をとっている。
井戸信号26の幅は選択信号の幅の略2倍としている。
また井戸信号26の電圧は0ボルトから前記バイアス電圧Bの2倍の範囲としている。
さらに井戸信号26の電圧極性を前記行電極選択信号22と逆極性とした。
このように井戸信号設定したことにより書込期間、照明期間を通じて印加された電荷の緩和を行うことが出来、良好な液晶の応答が得られた。
また図9から明らかなように、2行目以降の前記バイアス信号の開始タイミングを、前記サブフィールドの開始に同期させ、かつ2行目以降の行電極選択信号22の前後で、前記バイアス信号を同極性に設定した。
従来のTN型単純マトリクス液晶の駆動法では、行電極選択信号及び本発明の駆動法におけるバイアス電圧に相当する部分が共に交流化信号によって極性が決定されていたのに対し、本発明においては行電極選択信号及び井戸信号の極性がが交流化信号によって決定され、バイアス電圧の極性は行電極選択信号の極性によって決定されている。
このようにバイアス信号の開始タイミングを定めたことにより全行を同時にリセットすることが可能となり、駆動回路の簡素化、すなわち安価化に顕著な効果を生じた。
またこのようにバイアス電圧の極性を定めたことにより、交流化信号の周波数を高くしてもバイアス電圧部の極性を変化させずに済み、液晶セルギャップが狭くかつ誘電率の高い反強誘電性液晶においても1行毎に行電極選択信号の極性を変えるような交流化信号を使うことが可能になり、いわゆるクロストークの減少に顕著な効果を生じさせることが出来た。
また図9から、行電極に与える電位を5レベル、列電極に与える電位を3レベルとすることにより、行電極駆動用のICを高耐圧、列電極駆動用のICを低耐圧とする第1の方法と、プッシュプル駆動法を採用して、行電極に与える電位と、列電極に与える電位とを共に4レベルとし、行電極駆動用のICと列電極駆動用のICとを共に中耐圧とする第2の方法とがある。いずれの場合も従来の駆動法に比べ比較的使用する電位レベル数が少なく、駆動用ICの小型化、安価化に効果がある。
図10は第1の実施例の駆動波形で液晶を駆動したときの、0°Cにおける液晶の応答を示した応答波形である。
図10の左側に従来の駆動法による透過光強度の応答波形を、右側に本発明の駆動法による透過光強度の応答波形を示している。また従来の駆動法、本発明の駆動法共にRサブフィールドで液晶がONとなる信号を、G,Bフィールドで液晶がOFFとなる信号を印加している。
また、従来の駆動波形はF状態からAF状態への相転移を加速するためのリセット区間のみを配設したもので、井戸信号を有していない。
図10の「透過光強度」波形から明らかなように、従来の駆動法においては、各光のサブフィールド5.6mSに対して、リセット時間を1mSと約20%近く取っているにもかかわらずRの書き込みに対して液晶が立ち上がらない。これは「従来の駆動法」のRサブフィールドにおける「透過光強度」波形が示している。これを解釈すると、この期間にF(−F)状態を取っていないことを前提とすれば、リセットの効果の全くないことはうなずけるところである。
ところが本発明において井戸信号を配設し、R書き込みの信号を与えると、この信号に正しく反応することが図の応答波形中から明らかになった。この現象は反強誘電状態へ緩和させる効果ではなく、逆に反強誘電状態AFから強誘電状態Fへの転移を補助する効果を示している。
この現象は黒の状態として図24に示したAF状態を仮定すると説明がつかないもので、逆に本願の対象とする駆動法は、駆動周波数領域での新しい液晶状態に対する新しい駆動方法と呼称するに足るものと言える。
図11は第1の実施例の波形で液晶を駆動したときの、25°Cにおける液晶の応答を示した応答波形である。
この場合、やはり印加された電荷を緩和するリセット時間を各サブフレームの20%近くとっても、従来の駆動法の場合、R書き込みのみの信号に対して十分緩和せずG,Bのフレームまでその影響を与えている。しかし本願の駆動波形を用いるとRサブフィールドのみに反応しG,Bの各サブフィールドに対しては黒レベルを保っており、高速フレーム周波数に対して、良好なシャッター性能を示すことがわかる。
本願の井戸パルスの振幅範囲としてはバイアス値の絶対値からその2倍までが同様の効果を維持し続けることからこの範囲が相当と判断される。
なお本実施例にて設定した各種数値は用いる液晶により異なることは自明であり、実施例の数値のみに縛られないことは明らかである。
図12は本発明の第2の実施例を示す波形図である。
第2の実施例が第1の実施例と異なるのはリセット期間での印加電圧で、リセット期間は前記井戸信号26が印加されている時間よりも長い時間を有し、該リセット期間に前記液晶物質に井戸信号26の印加に引き続き、0ボルトから前記バイアス電圧範囲内の、絶対値が同じで極性が異なる2値をとる矩形波60を印加している。
図12において、選択信号として1位相、選択時間100μS、選択電圧15V、非選択区間中の最後のリセット区間の時間長さは1mS、バイアス電圧は5Vで第1選択行の開始と同時に全ての選択行に印加開始、井戸信号の時間は略200μSで選択信号の2倍、井戸信号の電圧の絶対値を5Vと設定した。
井戸信号に後続し、次のフィールドの選択信号が書き込まれる直前まで期間に、振幅の絶対値が4Vで半周期の時間幅が選択パルスの時間幅のそれと一致させてある矩形波を印加している。
また赤色の点灯書き込みの場合は、1行目のRサブフィールドを例にとると、列電極に印加するデータ電圧(VD=+−4V)、行電極に印加する選択電圧VS=15Vとし、画素には15−(−4)=19Vがかかるように、また非点灯書き込みの場合にはデータ電圧VD=+4V、選択電圧VS=15Vとし、画素には15−(4)=11Vが印加されるように設定したのは実施例1と同様である。
同図中、2から32行目までのバイアス電圧28印加開始時点は1行目の選択開始時点、選択信号の印加は従来の線順次駆動と同様、発光(照明)期間開始は32行目の情報が書き終わった直後からリセット区間直前まで、リセット区間は、1行目から32行目まで同期させながら、同一時間(1mS)を設定することを示している。
本願の特徴の一つであるバイアス電圧28印加開始はほぼ全行一律に、上述したごとくI=1の選択が開始されたときに同期してM行まで同時に印加される。このバイアス電圧印加により、後続する発光時のパネルの位置による輝度むらが除去される。
なお、このバイアス電圧印加期間に列電極にデータ電圧と同様な電圧を印加して、該電圧をバイアス電圧に重畳しても重畳しなくても光学特性に影響を与えないことも第1実施例と変わらない。
なお矩形波60の極性を単位サブフレーム内の前記行電極選択信号と同極性から開始させる方法もあり得るし、逆極性から開始させる方法もあり得る。
図13は第2の実施例の駆動波形で液晶を駆動したときの、0°Cにおける液晶の応答を示した応答波形である。
図13の左側に従来の駆動法による透過光強度の応答波形を、右側に本発明の駆動法による透過光強度の応答波形を示している。また従来の駆動法、本発明の駆動法共にRサブフィールドで液晶がONとなる信号を、G,Bフィールドで液晶がOFFとなる信号を印加している。
また、従来の駆動波形はF状態からAF状態への相転移を加速するためのリセット区間のみを配設したもので、井戸信号を有していない。
図13の「透過光強度」波形から明らかなように、従来の駆動法においては、Rの書き込みに対して立ち上がらないこと、各光のサブフィールド5.6mSに対して、リセット時間を1mSと約20%近く取っているにもかかわらずF(−F)状態を取っていないことを考慮すると、第1実施例同様、リセットの効果の全くないことはうなずけるところである。
ところが本願において井戸パルスを配設した上、井戸信号を印加した残りのリセット区間に前記矩形波60を重畳した上で、R書き込みの信号を与えると、この信号に正しく反応することが図中から明らかになった。この現象は強誘電状態から反強誘電状態へ緩和させる効果ではなく、逆に反強誘電状態から強誘電状態への転移を補助する効果を第1実施例同様示している。
この現象は黒の状態として図24に示したAF状態を仮定すると説明がつかないもので、逆に本願の対象とする駆動周波数領域での新しい液晶状態に対する新しい駆動方法と呼称するに足るものと言える。
図14は第2の実施例の波形で液晶を駆動したときの、25°Cにおける液晶の応答を示した応答波形である。
この場合、やはり印加された電荷を緩和するリセット時間を各サブフレームの20%近くとっても、従来の駆動法の場合、R書き込みのみの信号に対して十分緩和せずG,Bのフレームまでその影響を与えている。しかし本願の駆動波形を用いるとRサブフィールドのみに反応しG,Bの各サブフィールドに対しては黒レベルを保っており、高速フレーム周波数に対して、良好なシャッター性能を示すことがわかる。
本願の井戸パルスの振幅範囲としてはバイアス値の絶対値からその2倍までが同様の効果を維持し続けることからこの範囲が相当と判断される。
なお本実施例にて設定した各種数値は用いる液晶により異なることは自明であり、実施例の数値のみに縛られないことは明らかである。
図15は本発明の第3の実施例を示す波形図である。
第3の実施例が第1の実施例と異なるのはリセット期間中の井戸信号で、該井戸信号に
列電極に印加された0ボルトから前記バイアス電圧範囲内の、絶対値が同じで極性が異なる2値をとる信号62を重畳している。
図12において、選択信号として1位相、選択時間100μS、選択電圧15V、非選択区間中の最後のリセット区間の時間長さは1mS、バイアス電圧は5Vで第1選択行の開始と同時に全ての選択行に印加開始、井戸信号の時間は略200μSで選択信号の2倍、井戸信号の電圧の絶対値を5Vと設定した。
井戸信号に重畳される信号62の振幅の絶対値としては4V、時間幅は選択パルスの時間幅のそれと一致させた。
また赤色の点灯書き込みの場合は、1行目のRサブフィールドを例にとると、列電極に印加するデータ電圧(VD=+−4V)、行電極に印加する選択電圧VS=15Vとし、画素には15−(−4)=19Vがかかるように、また非点灯書き込みの場合にはデータ電圧VD=+4V、選択電圧VS=15Vとし、画素には15−(4)=11Vが印加されるように設定したのは実施例1と同様である。
同図中、2から32行目までのバイアス電圧28印加開始時点は1行目の選択開始時点、選択波形の印加は従来の線順次駆動と同様、発光(照明)期間開始は32行目の情報が書き終わった直後からリセット区間直前まで、リセット区間は、1行目から32行目まで同期させながら、同一時間(1mS)を設定することを示している。
本願の特徴の一つであるバイアス電圧28印加開始はほぼ全行一律に、上述したごとくI=1の選択が開始されたときに同期してM行まで同時に印加される。このバイアス電圧印加により、後続する発光時のパネルの位置による輝度むらが除去される。
なお、このバイアス電圧印加期間に列電極にデータ電圧と同様な電圧を印加して、該電圧をバイアス電圧に重畳しても重畳しなくても光学特性に影響を与えないことも第1実施例と変わらない。
図16は第3の実施例の駆動波形で液晶を駆動したときの、0°Cにおける液晶の応答を示した応答波形である。
図16の左側に従来の駆動法による透過光強度の応答波形を、右側に本発明の駆動法による透過光強度の応答波形を示している。また従来の駆動法、本発明の駆動法共にRサブフィールドで液晶がONとなる信号を、G,Bフィールドで液晶がOFFとなる信号を印加している。
また、従来の駆動波形はF状態からAF状態への相転移を加速するためのリセット区間のみを配設したもので、井戸信号を有していない。
図中、井戸信号に重畳する信号62の振幅は、Rの書込期間に同期して奇数選択桁に対しては−4Vを、一方G,Bの書込期間については奇数選択桁についてはV=4Vを印加している。
図16の「透過光強度」波形から明らかなように、従来の駆動法においてはRの書き込みに対して立ち上がらないこと、各光のサブフィールド5.6mSに対して、リセット時間を1mSと約20%近く取っているにもかかわらずF(−F)状態を取っていないことを考慮すると、第1実施例同様、リセットの効果の全くないことはうなずけるところである。
ところが本願において井戸パルスを配設した上、井戸信号を印加した残りのリセット区間に前記矩形波60を重畳した上で、R書き込みの信号を与えると、この信号に正しく反応することが図中から明らかになった。この現象は強誘電状態から反強誘電状態へ緩和させる効果ではなく、逆に反強誘電状態から強誘電状態への転移を補助する効果を第1実施例同様示している。
この現象は黒の状態として図24に示したAF状態を仮定すると説明がつかないもので、逆に本願の対象とする駆動周波数領域での新しい液晶状態に対する新しい駆動方法と呼称するに足るものと言える。
図17は第3の実施例の波形で液晶を駆動したときの、25°Cにおける液晶の応答を示した応答波形である。
この場合、やはり印加された電荷を緩和するリセット時間を各サブフレームの20%近くとっても、従来の駆動法の場合、R書き込みのみの信号に対して十分緩和せずG,Bのフレームまでその影響を与えている。しかし本願の駆動波形を用いるとRサブフィールドのみに反応しG,Bの各サブフィールドに対しては黒レベルを保っており、高速フレーム周波数に対して、良好なシャッター性能を示すことがわかる。
本願の井戸パルスの振幅範囲としてはバイアス値の絶対値からその2倍までが同様の効果を維持し続けることからこの範囲が相当と判断される。
なお本実施例にて設定した各種数値は用いる液晶により異なることは自明であり、実施例の数値のみに縛られないことは明らかである。
図18は本発明の第4の実施例を示す波形図である。
第4の実施例が第1の実施例と異なるのはリセット期間での印加電圧で、リセット期間は前記井戸信号26が印加されている時間よりも長い時間を有し、該リセット期間に、井戸信号及び該井戸信号に引き続く時間の双方に、前記液晶物質に0ボルトから前記バイアス電圧範囲内の、絶対値が同じで極性が異なる2値をとり、かつ時間幅としては選択パルスのそれと同じように設定した矩形波64を印加している点である。
図18において、選択信号として1位相、選択時間100μS、選択電圧15V、非選択区間中の最後のリセット区間の時間長さは1mS、バイアス電圧は5Vで第1選択行の開始と同時に全ての選択行に印加開始、井戸信号の時間は略200μSで選択信号の2倍、井戸信号の電圧の絶対値を5Vと設定した。
井戸信号に重畳される信号64の振幅の絶対値としては4V、時間幅は選択パルスの時間幅のそれと一致させた。
また赤色の点灯書き込みの場合は、1行目のRサブフィールドを例にとると、列電極に印加するデータ電圧(VD=+−4V)、行電極に印加する選択電圧VS=15Vとし、画素には15−(−4)=19Vがかかるように、また非点灯書き込みの場合にはデータ電圧VD=+4V、選択電圧VS=15Vとし、画素には15−(4)=11Vが印加されるように設定したのは実施例1と同様である。
同図中、2から32行目までのバイアス電圧28印加開始時点は1行目の選択開始時点、選択波形の印加は従来の線順次駆動と同様、発光(照明)期間開始は32行目の情報が書き終わった直後からリセット区間直前まで、リセット区間は、1行目から32行目まで同期させながら、同一時間(1mS)を設定することを示している。
本願の特徴の一つであるバイアス電圧28印加開始はほぼ全行一律に、上述したごとくI=1の選択が開始されたときに同期してM行まで同時に印加される。このバイアス電圧印加により、後続する発光時のパネルの位置による輝度むらが除去される。
なお、このバイアス電圧印加期間に列電極にデータ電圧と同様な電圧を印加して、該電圧をバイアス電圧に重畳しても重畳しなくても光学特性に影響を与えないことも第1実施例と変わらない。
なお矩形波64の極性を単位サブフレーム内の前記行電極選択信号と同極性から開始させる方法もあり得るし、逆極性から開始させる方法もあり得る。
図19は第4の実施例の駆動波形で液晶を駆動したときの、0°Cにおける液晶の応答を示した応答波形である。
図19の左側に従来の駆動法による透過光強度の応答波形を、右側に本発明の駆動法による透過光強度の応答波形を示している。また従来の駆動法、本発明の駆動法共にRサブフィールドで液晶がONとなる信号を、G,Bフィールドで液晶がOFFとなる信号を印加している。
また、従来の駆動波形はF状態からAF状態への相転移を加速するためのリセット区間のみを配設したもので、井戸信号を有していない。
図中、井戸信号に重畳する信号64の振幅は、Rの書込期間に同期して奇数選択桁に対しては−4Vを、一方G,Bの書込期間については奇数選択桁についてはV=4Vを印加している。
図16の「透過光強度」波形から明らかなように、従来の駆動法においてはRの書き込みに対して立ち上がらないこと、各光のサブフィールド5.6mSに対して、リセット時間を1mSと約20%近く取っているにもかかわらずF(−F)状態を取っていないことを考慮すると、第1実施例同様、リセットの効果の全くないことはうなずけるところである。
ところが本願において井戸パルスを配設した上、井戸信号及び井戸信号を印加した残りのリセット区間に前記矩形波64を重畳した上で、R書き込みの信号を与えると、この信号に正し反応することが図中から明らかになった。この現象は強誘電状態から反強誘電状態へ緩和させる効果ではなく、逆に反強誘電状態から強誘電状態への転移を補助する効果を第1実施例同様示している。
この現象は黒の状態として図24に示したAF状態を仮定すると説明がつかないもので、逆に本願の対象とする駆動周波数領域での新しい液晶状態に対する新しい駆動方法と呼称するに足るものと言える。
図20は第4の実施例の波形で液晶を駆動したときの、25°Cにおける液晶の応答を示した応答波形である。
この場合、やはり印加された電荷を緩和するリセット時間を各サブフレームの20%近くとっても、従来の駆動法の場合、R書き込みのみの信号に対して十分緩和せずG,Bのフレームまでその影響を与えている。しかし本願の駆動波形を用いるとRサブフィールドのみに反応しG,Bの各サブフィールドに対しては黒レベルを保っており、高速フレーム周波数に対して、良好なシャッター性能を示すことがわかる。
本願の井戸パルスの振幅範囲としてはバイアス値の絶対値からその2倍までが同様の効果を維持し続けることからこの範囲が相当と判断される。
なお本実施例にて設定した各種数値は用いる液晶により異なることは自明であり、実施例の数値のみに縛られないことは明らかである。
本実施例に用いた反強誘電性液晶パネルの断面図である。 本実施例に用いた反強誘電性液晶パネルの平面図及び簡略化した断面図である。 フレーム、フィールド、サブフィールド、交流化信号の概念を示した図である。 交流化信号の第1のタイプを説明する波形図である。 交流化信号の第2のタイプを説明する波形図である。 液晶に実際に印加される電圧波形を示した図である。 本発明の駆動法で用いるタイミングを示した概念図である。 本発明の特徴を示したタイミングチャートである。 本発明の第1の実施例を示す波形図である。 第1の実施例の波形で液晶を駆動したときの、0°Cにおける液晶の応答を示した応答波形である。 第1の実施例の波形で液晶を駆動したときの、25°Cにおける液晶の応答を示した応答波形である。 本発明の第2の実施例を示す波形図である。 第2の実施例の波形で液晶を駆動したときの、0°Cにおける液晶の応答を示した応答波形である。 第2の実施例の波形で液晶を駆動したときの、25°Cにおける液晶の応答を示した応答波形である。 本発明の第3の実施例を示す波形図である。 第3の実施例の波形で液晶を駆動したときの、0°Cにおける液晶の応答を示した応答波形である。 第3の実施例の波形で液晶を駆動したときの、25°Cにおける液晶の応答を示した応答波形である。 本発明の第4の実施例を示す波形図である。 第4の実施例の波形で液晶を駆動したときの、0°Cにおける液晶の応答を示した応答波形である。 第4の実施例の波形で液晶を駆動したときの、25°Cにおける液晶の応答を示した応答波形である。 180HZもしくはそれ以上の高い周波数の三角波にて反強誘電性液晶パネルを駆動したときの三角波−透過率曲線を示した図である。 従来開発されてきたセル構造を説明する図である。 セル内のスメクティック層における分子配列についての概念図である。 反強誘電性液晶の駆動特性を説明する図である。 反強誘電性液晶の黒状態を実現させる自発分極の配置を説明する図である。 従来の駆動法のタイミング概念図である。 従来の線順次駆動における行電極駆動電圧波形例である。 1行毎ライン反転駆動を説明する図である。 従来のリセット区間の設定の仕方を示した図である。 従来のフィールド反転駆動法による選択パルス前後におけるバイアス極性とバイアス印加時点について説明する図である。
符号の説明
L1,L2,L3,・・・,L32 複数のM行電極
C1,C2,C3,・・・,C64 複数のN列電極
431,432 基板
12 液晶物質
16,18 照明装置
24,26 井戸信号
+−B バイアス電圧
62,64 矩形波
AL1,AL2 交流化信号

Claims (13)

  1. 単純マトリクスカラー液晶表示装置の駆動方法において、該液晶表示装置は、複数のM行電極と、複数のN列電極が形成された基板間に狭持された反強誘電性液晶物質と、独立した3原色光が順次発光する照明装置とを有し、1フレーム期間は2フィールド期間より成り、1フィールド期間は少なくとも前記3原色の発光期間である3つのサブフィールド期間より成り、該各1つのサブフィールドは前記行電極を行電極選択信号により順次選択する書き込み期間と、前記照明装置が発光する発光期間と、リセット期間とからなり、該各サブフィールドはM=1行目の走査から開始され、前記反強誘電性液晶物質に、該リセット期間に前記行電極選択信号の時間幅の略2倍の時間幅を有する井戸信号を印加し、少なくとも前記発光期間には情報を保持するバイアス電圧を印加したことを特徴とする単純マトリクスカラー液晶表示装置の駆動方法。
  2. 前記リセット期間は、前記井戸信号が印加されている時間よりも長い時間を有し、該リセット期間に前記液晶物質に、前記井戸信号の印加に引き続き、0ボルトから前記バイアス電圧範囲内の、絶対値が同じで極性が異なる2値をとる矩形波を印加したことを特徴とする請求項1記載の単純マトリクスカラー液晶表示装置の駆動方法。
  3. 前記井戸信号の電圧は0ボルトから前記バイアス電圧の2倍の範囲であることを特徴とする請求項1記載の単純マトリクスカラー液晶表示装置の駆動方法。
  4. 前記井戸信号の極性は前記行電極選択信号と逆極性であることを特徴とする請求項1記載の単純マトリクスカラー液晶表示装置の駆動方法。
  5. 前記井戸信号には0ボルトから前記バイアス電圧範囲内の、絶対値が同じで極性が異なる2値をとる矩形波が重畳されていることを特徴とする請求項1もしくは2記載の単純マトリクスカラー液晶表示装置の駆動方法。
  6. 前記矩形波の極性は単位サブフレーム内の前記行電極選択信号と同極性から開始されることを特徴とする請求項5記載の単純マトリクスカラー液晶表示装置の駆動方法。
  7. 前記矩形波の極性は単位サブフレーム内の前記行電極選択信号と逆極性から開始されることを特徴とする請求項5記載の単純マトリクスカラー液晶表示装置の駆動方法。
  8. 2行目以降の前記バイアス信号の開始は、前記サブフィールドの開始に同期されていることを特徴とする請求項1記載の単純マトリクスカラー液晶表示装置の駆動方法。
  9. 2行目以降の前記行電極選択信号の前後で、前記バイアス信号が同極性であることを特徴とする請求項1記載の単純マトリクスカラー液晶表示装置の駆動方法。
  10. 前記行電極選択信号の極性は交流化信号の論理レベルによって決定され、該交流化信号の論理レベルは、前記行電極が選択されるタイミング毎に反転され、さらに前記フィールド毎に反転されていることを特徴とする請求項1記載の単純マトリクスカラー液晶表示装置の駆動方法。
  11. 前記サブフィールドのサブフィールド周波数は150ヘルツから600ヘルツの間であることを特徴とする請求項1記載の単純マトリクスカラー液晶表示装置の駆動方法。
  12. 前記反強誘電性液晶の駆動モードが強誘電−強誘電モードであることを特徴とする請求項記載の単純マトリクスカラー液晶表示装置の駆動方法。
  13. 前記複数のM行電極の数は64以下であることを特徴とする請求項1記載の単純マトリクスカラー液晶表示装置の駆動方法。
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