JP4807326B2 - 4輪駆動制御装置 - Google Patents
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Description
前記回転駆動源から出力される駆動力を低減する駆動力低減手段を備え、
前記クラッチ制御手段は、前記前輪と前記後輪との回転速度差に基づき、前記トルク分配クラッチの伝達トルクを制御し、前記駆動力低減手段は、前記トルク分配クラッチの伝達トルクが設定されたトルク低減許可閾値以上で、且つ前記前輪と前記後輪との回転速度差が所定回転速度差以上であるときに前記駆動力低減手段で駆動力低減を開始させるように構成されていることを特徴としている。
なおさらに、請求項5に係る4輪駆動制御装置は、請求項1乃至4の何れかの発明において、前記トルク分配クラッチの温度を検出するクラッチ温度検出手段を備え、前記駆動力低減制御手段は、前記クラッチ温度検出手段で検出したクラッチ温度に応じて回転駆動源から出力される駆動力の低減量を設定するように構成されていることを特徴としている。
また、路面外乱などによる過渡的なクラッチ滑りによって不必要に回転駆動源から出力される駆動力を低減することを抑制し、運転者に走行違和感が生じることを防止することができるという効果が得られる。
また、請求項6に係る発明によれば、トルク分配クラッチの温度に応じて回転駆動源から出力される駆動力の低減量を設定するので、駆動力低減による運転者に走行違和感が生じることを防止することができるという効果が得られる。
図1は本発明の一実施形態を示す概略構成図であって、図中、1FL,1FRは主駆動輪としての前輪、1RL,1RRは従駆動輪としての後輪であって、前輪1FL,1FRは回転駆動源としてのエンジン2から出力される駆動力が自動変速機3及びフロントデフを組込んだトランスファ4を介して直接伝達されて回転駆動される。後輪1RL,1RRは、トランスファ4から出力される駆動力がプロペラシャフト5、トルク分配クラッチ6及び終減速装置7を介して伝達されて回転駆動される。
そして、トルク分配クラッチ6の伝達トルクがクラッチコントロールユニット10によって制御される。このクラッチコントロールユニット10には、各車輪回転速度センサ8FL〜8RRで検出された車輪速VwFL〜VwRRと、入力側及び出力側回転速度センサ9F及び9Rで検出された入力側回転速度VcF 及び出力側回転速度VcR とが入力され、これらに基づいてトルク分配クラッチ6の伝達トルクを制御すると共に、エンジントルク目標値を算出し、算出したエンジントルク目標値を後述する駆動トルクコントロールユニット12に出力する。
このクラッチ制御処理は、例えばクラッチコントロールユニット10の電源投入時に実行開始され、先ず、ステップS1で、前輪側の車輪速度VwFL,VwFRの平均速度VwF を算出すると共に、後輪側の車輪速度VwRL,VwRRの平均速度VwR を算出し、次いでステップS2に移行して、算出した前輪側の平均速度VwF から後輪側の平均速度VwR R を減算して前後の車輪速差ΔVwを算出し、次いでステップS3に移行して、算出した前後の車輪速差ΔVwに基づいてトルク分配クラッチ6の伝達トルクTETS を算出する。
このステップS6では、算出した伝達トルクTETS が予め設定した駆動トルク低減を許可する判断を行うための前述した最大伝達トルクTMAX の近傍でこれより小さい値に設定されたトルク低減許可閾値TOK以上であるか否かを判定し、TETS ≧TOKであるときには、エンジン駆動力の低減を許可可能であると判断してステップS7に移行し、トルク分配クラッチ6の入力側及び出力側の回転速度VcF 及びVcR を読込み、入力側回転速度VcF から出力側回転速度VcR を減算して入出力回転速度差ΔVcを算出する。ここで、トルク低減許可閾値TOKとしては雪路等の低摩擦係数路面で、その車両が4輪ホイールスピン可能な伝達トルクより大きい値に設定することが好ましい。
TE * =TER−αΔT …………(1)
ここで、αは前述したトルク分配クラッチ6の入出力回転速度差ΔVcの関数であって、入出力回転速度差ΔVcをもとに、図3に示す関数α算出マップを参照して算出する。ここで、関数α算出マップは、図3に示すように、横軸に入出力速度差ΔVcを、縦軸に関数αをとったときに、入出力速度差ΔVcが増加するに応じて関数αの値が増加するように設定されている。また、ΔTは一定値である。
一方、前記ステップS9の判定結果が、ΔVc<ΔVONであるときには、ステップS16に移行して、入出力回転速度差ΔVcが前述したトルク低減開始閾値ΔVONより小さい値に設定されたトルク低減終了閾値TOFF 以下であるか否かを判定し、ΔVc>ΔVOFF であるときには後述するステップS22に移行し、ΔVc≦ΔVOFF であるときにはステップS17に移行する。
さらに、前記ステップS6の判定結果が、TETS <TOKであるときには、ステップS20に移行して、伝達トルクTETS に応じたクラッチ励磁電流Icをトルク分配クラッチ6に出力し、次いでステップS21に移行して、トルク低減許可フラグFOKを"0"にリセットしてからリターンへ至る。
この図2の処理において、ステップS7の処理と入出力側回転速度センサ8F及び8Rとがクラッチ滑り検出手段に対応し、ステップS6、ステップS8〜S10、S12〜S19の処理が駆動力低減制御手段に対応し、ステップS3〜S5、S11、S20の処理がクラッチ制御手段に対応している。
今、車両が、図4(a)に示すように、アクセルペダルが解放されてエンジン2がアイドル回転状態で、停止状態にあるものとする。
この停止状態では、エンジントルクTERは、図4(b)に示すように、小さい値となっており、車両が停止状態であるので、前後輪の車輪速差ΔVwが図4(d)に示すように、"0"となるため、ステップS3で算出されるトルク分配クラッチ6に対する伝達トルクTETS も図4(c)に示すように"0"となっている。また、トルク低減許可フラグFOK及びトルク低減フラグFDOWNも図4(e)及び(f)に示すように夫々"0"にリセットされている。
この発進状態で、主駆動輪となる前輪1FL,1FRで加速スリップが生じて、前後の車輪速差ΔVwが正方向に増加すると、ステップS3で算出される4輪駆動伝達トルクTETS が増加し、これによってエンジン2から出力されるエンジン駆動トルクTERがトランスファ4及びプロペラシャフト5を介してトルク分配クラッチ6に伝達され、このトルク分配クラッチ6から終減速機7を経て後輪1RL,1RRに伝達されて4輪駆動状態となり、円滑な発進を行うことができる。
ここで、ドライブトレーン容量に対して過度に大トルクのエンジンの搭載した場合は、ドライブトレーンやトルク分配クラッチを保護するために頻繁にエンジントルク低下を行うおそれがあり、せっかくの大トルクエンジンの特徴を生かせないばかりか、運転者にエンジントルク低減作動による違和感を生じさせることになる。そこで、日常の走行シーンではトルク低減処理が実行されないように、エンジン2の常用最大トルクと路面摩擦係数とタイヤ上の駆動力とからトルク分配クラッチ6の最大伝達トルクTMAX を最適状態に設定する必要がある。
また、上記第1の実施形態においては、トルク配分クラッチ6の入出力回転速度差ΔVcを入力側及び出力側回転速度センサ9F及び9Rで検出した値から算出しているが、入力側及び出力側回転速度センサ9F及び9Rの代わりに車輪速度センサ8FL〜8RRの検出値を用いて左右前輪速度の平均値と左右後輪速度の平均値との差を基に入出力回転速度差ΔVcを算出してもかまわない。
この第2の実施形態は、トルク分配クラッチ6での滑り発生時のトルク低減をトルク分配クラッチ6での温度上昇を抑制しながら行うようにしたものである。すなわち、第2の実施形態では、図6に示すように、トルク分配クラッチ6のケースにクラッチ温度検出手段としての温度センサ21が配設され、この温度センサ21で検出したクラッチ温度Tcがクラッチコントロールユニット10に入力され、このクラッチコントロールユニット10で図7に示すクラッチ制御処理を実行することを除いては前述した第1の実施形態における図1と同様の構成を有し、図1との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
TE * =TER−ΔTE …………(2)
ここで、ΔTE は温度センサ21で検出した温度をもとに図9に示すΔTE 算出マップを参照して算出する。このΔTE 算出マップは、図9に示すように、横軸に温度を、縦軸にΔTE をとったときに、温度がTc1 まで上昇する間はΔTEが緩やかに増加し、その後温度がTc2 まで上昇する間はΔTE が比較的大きく増加し、その後はΔTE がさらに大きく増加するように設定されている。また、ΔTE 算出マップから算出する代わりにΔTE を運転者に走行違和感を与えることなくトルク分配クラッチ6のクラッチ温度上昇を抑制することができるように実験によって設定するトルク低減量としてもよい。
ステップS37では、算出したエンジントルク目標値TE * を駆動トルクコントロールユニット12に出力してから前記ステップS1に戻る。
この第2の実施形態によると、前述したように車両が停止している状態からアクセルペダルを踏込んで発進させたときに、クラッチ温度Tcがトルク低減開始閾値TcONより低いときには、ステップS32からステップS33に移行して、伝達トルクTETS に応じたクラッチ励磁電流Icをトルク分配クラッチ6に出力して通常のクラッチ制御を行うが、クラッチ温度Tcがトルク低減開始閾値TcON以上となると、ステップS34に移行して、トルク低減を行うエンジントルク目標値TE * を算出し、これを駆動トルクコントロールユニット12に出力することにより、スロットル開度を減少させてエンジン2の出力トルクを図8(d)に示すように低減させる。このため、トルク分配クラッチ6の入出力回転速度差ΔVcが図8(b)で実線図示のように、トルク低減を行わない点線図示の特性に比較して低下してクラッチ滑りが解消されることにより、トルク分配クラッチ6のクラッチ温度Tcが図8(c)に示すように急激な温度上昇が抑制されて、クラッチ過熱状態を警告するランプの点灯やトルク分配クラッチ6の締結力を解放するクラッチ保護制御開始温度Tcsに達する前にトルク分配クラッチ6のクラッチ温度Tcを減少させることができる。
1RL,1RR 後輪
2 エンジン
3 自動変速機
4 トランスファ
5 プロペラシャフト
6 トルク分配クラッチ
7 終減速装置
8FL〜8RR 車輪速度センサ
9F 入力側回転速度センサ
9R 出力側回転速度センサ
10 クラッチコントロールユニット
11 スロットルバルブ
12 駆動力コントロールユニット
21 クラッチ温度センサ
Claims (6)
- 回転駆動源から出力される駆動力を、前輪側及び後輪側の一方の主駆動輪に対して直接的に伝達すると共に、他方の駆動輪に対して回転駆動源の駆動トルクに対して最大伝達トルクの小さいトルク分配クラッチを介して伝達し、前記トルク分配クラッチをクラッチ制御手段で車両の走行状態に応じて制御するようにした4輪駆動制御装置において、
前記回転駆動源から出力される駆動力を低減する駆動力低減手段を備え、
前記クラッチ制御手段は、前記前輪と前記後輪との回転速度差に基づき、前記トルク分配クラッチの伝達トルクを制御し、前記駆動力低減手段は、前記トルク分配クラッチの伝達トルクが設定されたトルク低減許可閾値以上で、且つ前記前輪と前記後輪との回転速度差が所定回転速度差以上であるときに前記駆動力低減手段で駆動力低減を開始させるように構成されていることを特徴とする4輪駆動制御装置。 - 前記トルク低減許可閾値は、4輪駆動状態となる頻度が高い低摩擦係数路面で必要とするクラッチ伝達トルクより高い値に設定されていることを特徴とする請求項1記載の4輪駆動制御装置。
- 前記回転駆動源が常用するとみなす常用最大駆動トルク及び前記トルク分配クラッチの最大伝達トルクは、4輪駆動状態となる頻度が低い高摩擦係数路面を走行する際に、前輪及び後輪で路面に伝達できる最大駆動力を合計した合計駆動力が前記回転駆動源で発生される常用最大トルク相当駆動力以上となる条件を満足する値に設定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の4輪駆動制御装置。
- 前記クラッチ制御手段は、前記駆動力低減制御手段で駆動力低減手段の駆動力を低減制御中であるときに、前記トルク分配クラッチの伝達トルクを一定値に保持するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の4輪駆動制御装置。
- 前記トルク分配クラッチの温度を検出するクラッチ温度検出手段を備え、前記駆動力低減制御手段は、前記クラッチ温度検出手段で検出したクラッチ温度に応じて回転駆動源から出力される駆動力の低減量を設定するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の4輪駆動制御装置。
- 前記駆動力低減制御手段は、前記回転駆動源から出力される駆動力を低減させる場合の駆動力下限値として前記主駆動輪で加速スリップが生じない駆動力値が設定されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の4輪駆動制御装置。
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