JP2007276674A - ハイブリッド4輪駆動車の駆動力配分制御装置 - Google Patents

ハイブリッド4輪駆動車の駆動力配分制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2007276674A
JP2007276674A JP2006107027A JP2006107027A JP2007276674A JP 2007276674 A JP2007276674 A JP 2007276674A JP 2006107027 A JP2006107027 A JP 2006107027A JP 2006107027 A JP2006107027 A JP 2006107027A JP 2007276674 A JP2007276674 A JP 2007276674A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
driving force
force distribution
torque
distribution control
wheel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006107027A
Other languages
English (en)
Inventor
Taira Chin
平 陳
Minoru Kanehira
実 金平
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP2006107027A priority Critical patent/JP2007276674A/ja
Publication of JP2007276674A publication Critical patent/JP2007276674A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • Y02T10/623
    • Y02T10/6243
    • Y02T10/6265

Landscapes

  • Arrangement And Driving Of Transmission Devices (AREA)
  • Hybrid Electric Vehicles (AREA)
  • Electric Propulsion And Braking For Vehicles (AREA)

Abstract

【課題】 駆動力配分制御要求時に必要な副駆動輪への伝達トルクを出しつつ、モータの駆動時間を減少させ、モータの連続作動や頻繁作動による過熱や疲労の発生を抑制することができるハイブリッド4輪駆動車の駆動力配分制御装置を提供すること。
【解決手段】 前後輪のうち一方を主駆動輪とし他方を副駆動輪とし、前記副駆動輪をモータにより駆動する4輪駆動系を備え、設定された目標伝達トルク特性に基づくフィードフォワード制御により副駆動輪への伝達トルクを決めるトルク対応駆動力配分制御手段を有するハイブリッド4輪駆動車の駆動力配分制御装置において、前記トルク対応駆動力配分制御手段によるトルク対応駆動力配分制御の開始から、設定された制御継続時間まではトルク対応駆動力配分制御を許可し、制御継続時間を経過した後は、トルク対応駆動力配分制御を禁止するトルク対応駆動力配分制御禁止手段を設けた。
【選択図】 図2

Description

本発明は、設定された目標伝達トルク特性に基づくフィードフォワード制御によりモータにより駆動される副駆動輪への伝達トルクを決めるトルク対応駆動力配分制御を実行するハイブリッド4輪駆動車の駆動力配分制御装置の技術分野に属する。
従来、4輪駆動車の駆動力配分制御では、後輪に配分するトルクについて、前後回転数差トルク、イニシャルトルク、駆動力マップトルク、アクセル開度感応トルクのうち、セレクトハイにより選択されたトルクを目標トルクとして前後輪への駆動力配分を制御している(例えば、特許文献1参照。)。
特開2000−343974号公報
しかしながら、従来の4輪駆動車の駆動力配分制御を、副駆動輪である後輪をモータにより駆動するハイブリッド4輪駆動車に適用すると、車両の運転条件によっては、モータが長時間作動することになり、モータが過熱状態や疲労状態に陥りやすい、という問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、駆動力配分制御要求時に必要な副駆動輪への伝達トルクを出しつつ、モータの駆動時間を減少させ、モータの連続作動や頻繁作動による過熱や疲労の発生を抑制することができるハイブリッド4輪駆動車の駆動力配分制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明では、前後輪のうち一方を主駆動輪とし他方を副駆動輪とし、前記副駆動輪をモータにより駆動する4輪駆動系を備え、
設定された目標伝達トルク特性に基づくフィードフォワード制御により副駆動輪への伝達トルクを決めるトルク対応駆動力配分制御手段を有するハイブリッド4輪駆動車の駆動力配分制御装置において、
前記トルク対応駆動力配分制御手段によるトルク対応駆動力配分制御の開始から、設定された制御継続時間まではトルク対応駆動力配分制御を許可し、制御継続時間を経過した後は、トルク対応駆動力配分制御を禁止するトルク対応駆動力配分制御禁止手段を設けたことを特徴とする。
ここで、「トルク対応駆動力配分制御手段」とは、前後輪速度差に基づくフィードバック制御により副駆動輪への伝達トルクを決める前後輪速度差対応制御以外であって、設定された目標伝達トルク特性に基づくフィードフォワード制御により副駆動輪への伝達トルクを決める駆動力配分制御である。例えば、前後輪の駆動力配分比を前後輪の重量配分相当とする配分比固定制御や、前後輪の駆動力配分比をアクセル開度に応じた配分比とするアクセル感応制御等をいう。
よって、本発明のハイブリッド4輪駆動車の駆動力配分制御装置にあっては、トルク対応駆動力配分制御禁止手段において、トルク対応駆動力配分制御の開始から、設定された制御継続時間まではトルク対応駆動力配分制御が許可され、制御継続時間を経過した後は、トルク対応駆動力配分制御が禁止される。
例えば、ハイブリッド4輪駆動車では、モータ保護を主目的とし、限られた条件下でのみトルク対応駆動力配分制御を行うと、4輪駆動車としての駆動性能を生かされず、発進性能や加速性能等を損なう。一方、駆動性能の向上を主目的とし、制限することなくトルク対応駆動力配分制御を行うと、モータが長時間作動することになり、モータが過熱状態や疲労状態に陥りやすい。
これに対し、本発明では、車両の運転条件が整えば、トルク対応駆動力配分制御が禁止されるまでの間は制限受けることなくトルク対応駆動力配分制御が許可されるため、発進時や加速時等のように駆動力配分制御要求時には、必要な副駆動輪への伝達トルクを出して4輪駆動による走行を確保することができる。
一方、設定された制御継続時間を経過した後は、トルク対応駆動力配分制御を禁止するため、モータの駆動時間が減少し、モータの連続作動や頻繁作動による過熱や疲労の発生を抑制することができる。
この結果、駆動力配分制御要求時に必要な副駆動輪への伝達トルクを出しつつ、モータの駆動時間を減少させ、モータの連続作動や頻繁作動による過熱や疲労の発生を抑制することができる。
以下、本発明のハイブリッド4輪駆動車の駆動力配分制御装置を実施するための最良の形態を、図面に示す実施例1及び実施例2に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は実施例1の駆動力配分制御装置が適用されたハイブリッド4輪駆動車(ハイブリッド4輪駆動車の一例)を示す全体システム図である。
実施例1の前輪駆動ベースによるハイブリッド4輪駆動車は、図1に示すように、エンジン1(第1駆動源)と、フロントモータ2F(第1駆動源)と、リアモータ2R(第2駆動源、モータ)と、左前輪タイヤ3FL(主駆動輪)と、右前輪タイヤ3FR(主駆動輪)と、左後輪タイヤ3RL(副駆動輪)と、右後輪タイヤ3RR(副駆動輪)と、フロントディファレンシャル4Fと、リアディファレンシャル4Rと、フロントトランスミッション5Fと、リアトランスミッション5Rと、を備えている。
前記フロントモータ2Fとリアモータ2Rは、電動発電機として、力行と回生の両方を行う。
前記左右前輪タイヤ3FL,3FRは、エンジン1とフロントモータ2Fのうち少なくとも一方を駆動源とし、フロントトランスミッション5Fを経過した駆動力が、フロントディファレンシャル4Fにより左右等配分にして駆動される。
前記左右後輪タイヤ3RL,3RRは、リアモータ2Rのみを駆動源とし、リアトランスミッション5Rを経過した駆動力が、リアディファレンシャル4Rにより左右等配分にして駆動される。なお、リアディファレンシャル4Rは、内部に設定された差動制限クラッチの締結力制御や、内部に設定された左クラッチと右クラッチに対する締結力制御により左右駆動力配分を制御可能としても良い。
実施例1のハイブリッド4輪駆動車の駆動力配分制御系は、図1に示すように、車輪速センサ6と、舵角センサ7と、横加速度センサ8と、車速センサ9と、アクセル開度センサ10、コントローラ11と、強電バッテリ12と、フロントインバータ13Fと、リアインバータ13Rと、を備えている。
前記車輪速センサ6は、左前輪速センサ6FL、右前輪速センサ6FR、左後輪速センサ6RL、右後輪速センサ6RRにより構成され、各輪のタイヤ回転数情報を得る。
前記舵角センサ7からは舵角情報を得る。前記横加速度センサ8からは横加速度情報を得る。前記車速センサ9からは車速情報を得る。前記アクセル開度センサ10からはアクセル開度情報を得る。
前記コントローラ11は、車輪速センサ6、舵角センサ7、横加速度センサ8、車速センサ9、アクセル開度センサ10、からの情報を読み込み、基本的に前後輪速度差Δfrが大きくなるほど、リアモータ2Rの駆動力を大きくする。つまり、左右の後輪タイヤ3RL,3RRへ伝達される駆動力を大きくするフィードバック制御を行と共に、前後輪での総出力トルクが、アクセル開度にあらわれるドライバーの要求駆動力となるように、前後輪の駆動力配分比率に応じて、前輪側駆動源であるエンジン1+フロントモータ2Fと後輪側駆動源であるリアモータ2Rとで目標駆動力を振り分け、両駆動源に対し前輪トルク指令値と後輪トルク指令値を出力する。
前記強電バッテリ12は、両インバータ13F,13Rを経由して電力を両モータ2F,2Rに供給すると共に、両モータ2F,2Rによる発電電力を回収する役目も果たす。
前記フロントインバータ13Fとリアインバータ13Rは、強電バッテリ12の電気エネルギーを両モータ2F,2Rへ供給することと、両モータ2F,2Rにより回生した電気エネルギーを強電バッテリ12へ戻す役割を果たす。
図2は実施例1のコントローラ11にて実行される前後輪駆動力配分制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
ステップS1では、現時点での車速とアクセル開度による運転点がトルク出力許可領域に入っているか否かを判断し、Yesの場合はステップS3へ移行し、Noの場合はステップS2へ移行する。
ここで、トルク出力許可領域であるか否かの判断は、予め車速とアクセル開度による二次元マップによりトルク出力許可領域マップ(図3)を設定しておき、現時点で検出された車速とアクセル開度による運転点とトルク出力許可領域マップとを照合し、運転点が出力許可領域に存在する場合はYesと判断し、運転点が出力禁止領域に存在する場合はNoと判断する。
前記「トルク出力許可領域マップ」は、図3に示すように、低車速域(例えば、0km/h〜20km/h)では、アクセル開度の全領域をトルク出力許可領域とし、低車速域を外れると車速が高車速になるほどトルク出力許可領域をアクセル開度の高開度領域側に狭めるトルク出力許可領域を設定し、高車速域(例えば、80km/h以上)では、アクセル開度の全領域をトルク出力禁止領域としている(トルク出力許可領域設定手段)。
ステップS2では、ステップS1での運転点がトルク出力禁止領域に存在するとの判断に続き、リアモータ2Rの作動時間をリセットし、ステップS8へ移行する。
ステップS3では、ステップS1での運転点がトルク出力許可領域に存在するとの判断に続き、トルク対応駆動力配分制御(配分比固定制御)が開始されてからの作動時間を累積し、ステップS4へ移行する。
ステップS4では、ステップS3でのトルク対応駆動力配分制御の作動時間累積に続き、累積されたトルク対応駆動力配分制御の作動時間が設定時間K未満か否かが判断され、Yesの場合はステップS7へ移行し、Noの場合はステップS5へ移行する。
ここで、「設定時間K」とは、実施例1のトルク対応駆動力配分制御である配分比固定制御の制御継続時間であり、この設定時間Kは、前後輪速度差を検出し、必要あればリアモータ2Rがトルクを出力できるまでに要する時間、言い換えると、前後輪速度差制御が実行されるまでに要する時間により設定される。
具体的に、設定時間Kは、リアモータ2Rを有する第2駆動源温度が高いほど短い時間K0に設定すると共に、第2駆動源温度により設定されたトルク対応駆動力配分制御の時間K0を、予め設定された時間内(例えば、10分以内)における第2駆動源の総作動時間が長いほど短い時間に修正(修正係数α)する。
すなわち、設定時間Kは、
K=K0×α
の式により与えられる。
このうち、時間K0は、図4(a)に示すように、第2駆動源(モータ)温度Tmが、Tm0までの低温域では長い第1時間(例えば、6秒)という時間で与えられ、第2駆動源温度Tmが、Tm0からTm1までの中温域では第2駆動源温度Tmが高くなるほど短くなる時間で与えられ、第2駆動源温度Tmが、Tm1以上の高温域では短い第2時間(例えば、3秒)という時間で与えられる。
また、修正係数αは、図4(b)に示すように、10分以内の第2駆動源総作動時間ΣTが、ΣT0までの短作動時間域ではα=1(修正無し)で与えられ、10分以内の第2駆動源総作動時間ΣTが、ΣT0からΣT1までの中作動時間域では第2駆動源総作動時間ΣTが長くなるほど小さくなる値で与えられ、10分以内の第2駆動源総作動時間ΣTが、ΣT1以上の高作動時間域ではα=0.5(半分の時間に修正)で与えられる。
ステップS5では、ステップS4での累積されたリアモータ2Rの作動時間が設定時間K以上であるとの判断に続き、その時の前後輪速度差を算出し(前後輪回転速度差検出手段)、前後輪速度差が設定閾値Aを超えているか否かが判断され、Yesの場合はステップS7へ移行し、Noの場合はステップS6へ移行する(第1トルク対応駆動力配分制御禁止解除手段)。
ここで、前後輪速度差の「設定閾値A」は、4輪駆動性能が必要と判断される駆動輪スリップ発生領域の下限値により設定される。
ステップS6では、ステップS5での前後輪速度差≦Aとの判断に続き、その時のアクセル開度センサ10(アクセル開度検出手段)からのアクセル開度が設定閾値Bを超えているか否かが判断され、Yesの場合ステップS7へ移行し、Noの場合はステップS8へ移行する(第2トルク対応駆動力配分制御禁止解除手段)。
ここで、アクセル開度の「設定閾値B」は、4輪駆動性能が必要と判断されるアクセル開度領域の下限値により設定される。
ステップS7では、ステップS4での作動時間<Kとの判断、もしくは、ステップS5での前後輪速度差>Aとの判断、もしくは、ステップS6でのアクセル開度>Bとの判断のうちいずれかの判断に続き、前後輪重量配分比による固定後輪トルク指令値と、前後輪速度差による後輪トルク指令値と、のセレクトハイにより、後輪トルク指令値が決定され、決定された後輪トルク指令値をリアモータ2Rに出力し、リターンへ移行する。
ここで、前後輪速度差ΔVによる後輪トルク指令値は、図5に示すように、前後輪速度差ΔVが、ΔV1以下の低前後輪速度差領域では後輪トルク指令値=0で与えられ、前後輪速度差ΔVが、ΔV1からΔV2までの前後輪速度差領域では前後輪速度差ΔVが大きくなるほど大きな値による後輪トルク指令値で与えられ、前後輪速度差ΔVが、ΔV2以上の高前後輪速度差領域では後輪トルク指令値=最大値で与えられる。
また、ステップS7では、図6に示すように、配分比固定制御(=実施例1でのトルク対応駆動力配分制御)での前後輪重量配分比による固定後輪トルク指令値と、前後輪速度差制御での前後輪速度差による後輪トルク指令値と、のセレクトハイにより、後輪トルク指令値が決定される。
ステップS8では、ステップS2での作動時間のリセットに続き、もしくは、ステップS6でのアクセル開度≦Bであるとの判断に続き、後輪トルク指令値=0をリアモータ2Rに出力、すなわち、トルク対応駆動力配分制御(実施例1の場合は配分比固定制御)を禁止し、リターンへ移行する(トルク対応駆動力配分制御禁止手段)。
なお、実施例1において、前後輪速度差制御は(禁止されることなく)常に実行されており、4輪駆動が必要な低μ路や悪路等では、前後輪速度差の発生に応じた配分比により4輪駆動走行する。
次に、作用を説明する。
従来、エンジン駆動力を前後輪に振り分ける4輪駆動車の駆動力配分制御では、後輪に配分するトルクについて、前後回転数差トルク、イニシャルトルク、駆動力マップトルク、アクセル開度感応トルクのうち、セレクトハイにより選択されたトルクを目標トルクとして前後輪への駆動力配分を制御している。
しかし、従来の4輪駆動車の駆動力配分制御を、副駆動輪である後輪をモータにより駆動するハイブリッド4輪駆動車にそのまま適用すると、アクセルを踏み込んだままで高速道路を走行する時など、車両の運転条件によっては、モータが長時間作動することになり、モータが過熱状態や疲労状態に陥りやすい。
これに対し、実施例1のハイブリッド4輪駆動車の駆動力配分制御装置では、駆動力配分制御要求時に必要な後輪タイヤ3RR,3RLへの伝達トルクを出しつつ、リアモータ2Rの駆動時間を減少させ、リアモータ2Rの連続作動や頻繁作動による過熱や疲労の発生を抑制することができるようにした。
すなわち、ハイブリッド4輪駆動車では、モータ保護を主目的とし、限られた条件下でのみトルク対応駆動力配分制御を行うと、4輪駆動車としての駆動性能を生かされず、発進性能や加速性能等を損なうし、逆に、駆動性能の向上を主目的とし、制限することなくトルク対応駆動力配分制御を行うと、モータが長時間作動することになり、モータが過熱状態や疲労状態に陥りやすい、という特有の問題を有する。
そこで、トルク対応駆動力配分制御に関し、モータが過熱に至らないぎりぎりの限界時点までモータを使い、限界時点に達したら直ちにモータの使用を禁止すると、駆動性能確保とモータ保護とを両立し得る点に着目し、トルク対応駆動力配分制御の開始から、設定された制御継続時間まではトルク対応駆動力配分制御を許可し、制御継続時間を経過した後は、トルク対応駆動力配分制御を禁止する手段を採用した。
したがって、車両の運転条件が整えば、トルク対応駆動力配分制御が禁止されるまでの間は制限受けることなくトルク対応駆動力配分制御が許可されるため、発進時や加速時等のように駆動力配分制御要求時には、必要な副駆動輪への伝達トルクを出して4輪駆動による走行を確保することができる。
一方、設定された制御継続時間を経過した後は、トルク対応駆動力配分制御を禁止するため、モータの駆動時間が減少し、モータの連続作動や頻繁作動による過熱や疲労の発生を抑制することができる。
この結果、駆動力配分制御要求時に必要な後輪タイヤ3RR,3RLへの伝達トルクを出しつつ、リアモータ2Rの駆動時間を減少させ、リアモータ2Rの連続作動や頻繁作動による過熱や疲労の発生を抑制することができる。
以下、実施例1のハイブリッド4輪駆動車の駆動力配分制御装置における、[前後輪駆動力配分制御作動]、[トルク対応駆動力配分制御禁止作用]、[前後輪速度差条件による配分比固定制御禁止解除作用]、[アクセル開度条件による配分比固定制御禁止解除作用]、[発進時における駆動力配分制御作用]について説明する。
[前後輪駆動力配分制御作動]
例えば、車両の運転点がトルク出力許可領域に存在する車両停止状態でアクセル踏み込み操作による発進時であって、累積されたトルク対応駆動力配分制御の作動時間が設定時間K未満の間は、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS3→ステップS4→ステップS7→リターンという流れが繰り返される。
したがって、発進開始時点から設定時間Kとなるまでは、ステップS7において、配分比固定制御での前後輪重量配分比による固定後輪トルク指令値と、前後輪速度差制御での前後輪速度差による後輪トルク指令値と、のセレクトハイにより、後輪トルク指令値が決定される。なお、フィードバック制御である前後輪速度差制御は応答遅れがあるため、実質的には、前後輪重量配分比による配分比固定制御が実行されることになる。
そして、累積されたトルク対応駆動力配分制御の作動時間が設定時間K以上となり、かつ、前後輪速度差≦A、かつ、アクセル開度≦Bである場合は、車両の運転点がトルク出力許可領域に存在する限り、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS6→ステップS8→リターンという流れが繰り返される。
したがって、トルク対応駆動力配分制御の作動時間が設定時間K以上となった場合には、前後輪速度差とアクセル開度とが共に低いという条件成立の下で、ステップS8において、後輪トルク指令値=0をリアモータ2Rに出力、すなわち、トルク対応駆動力配分制御(実施例1の場合は配分比固定制御)が禁止されることになる。
ただし、トルク対応駆動力配分制御の作動時間が設定時間K以上となった場合でも、ステップS5での前後輪速度差条件が成立すると、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS7→リターンという流れとなる。また、ステップS6でのアクセル開度条件が成立すると、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS6→ステップS7→リターンという流れとなる。このように、固定後輪トルク指令値と、前後輪速度差後輪トルク指令値と、のセレクトハイにより、後輪トルク指令値を決定する制御が継続される。
また、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS6→ステップS8→リターンという流れにより、トルク対応駆動力配分制御が一旦は禁止された後、ステップS5での前後輪速度差条件が成立、もしくは、ステップS6でのアクセル開度条件が成立すると、禁止されたトルク対応駆動力配分制御が復帰する。
そして、車速の高まり等により、車両の運転点がトルク出力許可領域からトルク出力禁止領域に入ると、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS8→リターンへ進む流れとなり、ステップS8において、後輪トルク指令値=0をリアモータ2Rに出力、すなわち、トルク対応駆動力配分制御(実施例1の場合は配分比固定制御)が禁止されたままとなる。なお、トルク対応駆動力配分制御は禁止されても、前後輪速度差制御は(禁止されることなく)常に実行されており、4輪駆動が必要な低μ路や悪路等では、前後輪速度差の発生に応じた配分比により4輪駆動走行が確保される。
[トルク対応駆動力配分制御禁止作用]
例えば、車両の運転点がトルク出力許可領域に存在する発進時や中間加速時であって、累積されたトルク対応駆動力配分制御の作動時間が設定時間K未満の間は、ステップS7において、実質的に、前後輪重量配分比による配分比固定制御が実行されることになる。
そして、累積されたトルク対応駆動力配分制御の作動時間が設定時間K以上となると、原則的に、ステップS8において、後輪トルク指令値=0をリアモータ2Rに出力、すなわち、配分比固定制御が禁止されることになる。
したがって、車両の運転点(車速とアクセル開度により決まる点)が、図3に示すトルク出力許可領域に存在すれば、配分比固定制御が禁止されるまでの間は制限受けることなく配分比固定制御が許可されるため、発進時や中間加速時等のように駆動力配分制御要求が高い時には、必要な左右後輪タイヤ3RL,3RRに対しリアモータ2Rからトルクを出して4輪駆動による走行を確保することができる。
一方、設定時間Kを経過した後は、配分比固定制御を禁止するため、リアモータ2Rの駆動時間が減少し、リアモータ2Rの連続作動や頻繁作動による過熱や疲労の発生を抑制することができる。
[前後輪速度差条件による配分比固定制御禁止解除作用]
トルク対応駆動力配分制御である配分比固定制御の作動時間が設定時間K以上となった場合でも、ステップS5での前後輪速度差条件(前後輪速度差>A)が成立していると、配分比固定制御が継続されるし、また、配分比固定制御が一旦は禁止された後、ステップS5での前後輪速度差条件(前後輪速度差>A)が成立すると、禁止された配分比固定制御が復帰するというトルク対応駆動力配分制御禁止解除作用を示す。
例えば、配分比固定制御の作動時間が設定時間K以上となったら例外なく配分比固定制御を禁止するようにした場合、配分比固定制御が禁止された時点で前後輪速度差が発生しているにもかかわらず、前後輪速度差制御での後輪トルクが出ていないことがあり、この場合、配分比固定制御による4輪駆動状態から2輪駆動状態に移行し、その後、タイムラグを持って前後輪速度差制御による4輪駆動状態に移行することになり、発進時や加速時の駆動性能を低下させる。
この原因は、配分比固定制御は、制御開始までのレスポンスが早いフィードフォワード制御であるのに対し、前後輪速度差制御は、前後輪速度差を検出してから遅いレスポンスにて制御を開始するフィードバック制御であることによる。
これに対し、実施例1では、配分比固定制御の禁止条件が成立しているとき、設定閾値Aを超える前後輪速度差が検出されると、配分比固定制御の禁止を解除するため、低μ路発進時や走行時等、アクセル開度は小さくても前後輪速度差が発生する走行時には、設定時間Kを経過しても、配分比固定制御をそのまま継続、あるいは、前後輪速度差の発生に対し応答良く配分比固定制御を復帰させることで、低μ路等での走破性の高い4輪駆動性能を得ることができる。
[アクセル開度条件による配分比固定制御禁止解除作用]
トルク対応駆動力配分制御である配分比固定制御の作動時間が設定時間K以上となった場合でも、ステップS6でのアクセル開度条件(アクセル開度>B)が成立していると、配分比固定制御が継続されるし、また、配分比固定制御が一旦は禁止された後、ステップS6でのアクセル開度条件(アクセル開度>B)が成立すると、禁止された配分比固定制御が復帰するというトルク対応駆動力配分制御禁止解除作用を示す。
例えば、配分比固定制御の作動時間が設定時間K以上となったら例外なく配分比固定制御を禁止するようにした場合、配分比固定制御が禁止された時点でドライバの加速意思がアクセル開度に表れているにもかかわらず、前後輪速度差制御での後輪トルクが出ていないことがあり、この場合、配分比固定制御による4輪駆動状態から2輪駆動状態に移行し、その後、タイムラグを持って前後輪速度差制御による4輪駆動状態に移行することになり、発進時や加速時の駆動性能を低下させる。
この原因は、配分比固定制御は、制御開始までのレスポンスが早いフィードフォワード制御であるのに対し、前後輪速度差制御は、前後輪速度差を検出してから遅いレスポンスにて制御を開始するフィードバック制御であることによる。
これに対し、実施例1では、配分比固定制御の禁止条件が成立しているとき、設定閾値Bを超えるアクセル開度が検出されると、配分比固定制御の禁止を解除するため、急発進時や急加速時等、ドライバの加速意図がアクセル開度に表れている走行時には、設定時間Kを経過しても、配分比固定制御をそのまま継続、あるいは、前後輪速度差の発生に対し応答良く配分比固定制御を復帰させることで、急発進時や急加速時等での走破性の高い4輪駆動性能を得ることができる。
[発進時における駆動力配分制御作用]
図7は実施例1の駆動力配分制御装置においてアクセルペダルを緩踏みしながら発進する場合のアクセル開度・車速・前後輪速度差・配分比固定制御トルク指令値・配分比固定制御トルク作動時間タイマー・前後輪速差感応トルク指令値・後輪トルク指令値の各特性を示すタイムチャートである。以下、図7に示すタイムチャートに基づき、発進時における駆動力配分制御作用を説明する。
時刻t1において、アクセル開度を少し立ち上げて発進を開始すると、配分比固定制御トルク指令値が立ち上がり、前後輪速差感応トルク指令値は前後輪速度差の発生が無いことでゼロを維持するため、セレクトハイにより配分比固定制御トルク指令値を後輪トルク指令値として後輪が駆動され、発進直後から4輪駆動状態に入る。
そして、時刻t1から設定時間K(=禁止閾値K)を経過した時刻t2に達すると、その時点ではアクセル開度条件も前後輪速度差条件も成立しないことで、配分比固定制御が禁止され、配分比固定制御トルク指令値がゼロとなる。一方、前後輪速差感応トルク指令値は前後輪速度差の発生がまだ無いことでゼロを維持するため、後輪トルク指令値もゼロに落ち込み、後輪駆動が止められて、4輪駆動状態から2輪駆動状態へと移行する。
しかし、時刻t2'の時点でアクセルペダルの踏み増し操作がなされると、時刻t3の時点でアクセル開度条件(アクセル開度>B)が成立し、配分比固定制御が復帰し、配分比固定制御トルク指令値が立ち上がり、前後輪速差感応トルク指令値は前後輪速度差の発生がまだ無いことでゼロを維持するため、セレクトハイにより配分比固定制御トルク指令値を後輪トルク指令値として後輪が駆動され、2輪駆動状態から再び4輪駆動状態へと移行する。
そして、時刻t4の時点で前後輪速度差の発生を開始すると、これに対応して前後輪速差感応トルク指令値が上昇してゆき、時刻t5の時点で前後輪速度差条件(前後輪速度差>A)が成立し、アクセル開度条件と前後輪速度差条件との少なくとも一方が成立する限り配分比固定制御が時刻t5の時点以降においても継続される。
したがって、アクセルペダルを緩踏みしながら発進する場合、発進開始域から4輪駆動状態となり、一瞬、2輪駆動状態となるが、その後は再び4輪駆動状態に復帰し、アクセル開度条件と前後輪速度差条件との少なくとも一方が成立する限り4輪駆動状態を継続するという前後輪駆動力配分制御が実行されることで、4輪のタイヤから路面に駆動力を伝達しての高い駆動性能により発進を行うことができる。
次に、効果を説明する。
実施例1のハイブリッド4輪駆動車の駆動力配分制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) 前後輪のうち一方を主駆動輪とし他方を副駆動輪とし、前記副駆動輪をモータにより駆動する4輪駆動系を備え、設定された目標伝達トルク特性に基づくフィードフォワード制御により副駆動輪への伝達トルクを決めるトルク対応駆動力配分制御手段を有するハイブリッド4輪駆動車の駆動力配分制御装置において、前記トルク対応駆動力配分制御手段によるトルク対応駆動力配分制御の開始から、設定された制御継続時間まではトルク対応駆動力配分制御を許可し、制御継続時間を経過した後は、トルク対応駆動力配分制御を禁止するトルク対応駆動力配分制御禁止手段を設けたため、駆動力配分制御要求時に必要な副駆動輪への伝達トルクを出しつつ、モータの駆動時間を減少させ、モータの連続作動や頻繁作動による過熱や疲労の発生を抑制することができる。
(2) 前輪と後輪の回転速度差を検出する前後輪速度差検出手段と、トルク対応駆動力配分制御の禁止条件が成立しているとき(ステップS4でNo)、設定閾値Aを超える前後輪速度差が検出されると、トルク対応駆動力配分制御の禁止を解除する第1トルク対応駆動力配分制御禁止解除手段(ステップS5→ステップS7)と、を設けたため、低μ路発進時や走行時等、アクセル開度は小さくても前後輪速度差が発生する走行時に走破性の高い4輪駆動性能を得ることができる。
(3) アクセル開度を検出するアクセル開度センサ10と、トルク対応駆動力配分制御の禁止条件が成立しているとき(ステップS4でNo)、設定閾値Bを超えるアクセル開度が検出されると、トルク対応駆動力配分制御の禁止を解除する第2トルク対応駆動力配分制御禁止解除手段(ステップS6→ステップS7)と、を設けたため、急発進時や急加速時等、ドライバの加速意図がアクセル開度に表れている走行時に走破性の高い4輪駆動性能を得ることができる。
(4) 前記トルク対応駆動力配分制御禁止手段は、トルク対応駆動力配分制御の制御継続時間である設定時間Kを、リアモータ2Rを有する第2駆動源温度が高いほど短い時間に設定するため、4輪駆動性能を確保しつつ、リアモータ2Rの確実な発熱抑制を達成することができる。
(5) 前記トルク対応駆動力配分制御禁止手段は、第2駆動源温度により設定されたトルク対応駆動力配分制御の制御継続時間である設定時間Kを、予め設定された時間内における第2駆動源の総作動時間が長いほど短い時間に修正するため、4輪駆動性能を確保しつつ、過去の作動履歴を参照してリアモータ2Rのより確実な発熱抑制を達成することができる。
(6) 低車速域ではアクセル開度の全領域をトルク出力許可領域とし、低車速域を外れると車速が高車速になるほどトルク出力許可領域をアクセル開度の高開度領域側に狭めるトルク出力許可領域を設定するトルク出力許可領域設定手段(図3)を設け、前記トルク対応駆動力配分制御手段は、車速とアクセル開度で決まる車両の運転点がトルク出力許可領域に存在する場合、前後輪の重量配分相当の副駆動輪トルクを得る指令をリアモータ2Rに出力する配分比固定制御を実行するため、高車速になるほどトルク出力禁止領域を拡大することでのリアモータ2Rの有効な発熱抑制を図りながら、発進時には発進時点から4輪駆動状態とすることでの高い発進性能を達成することができる。
(7) 前記ハイブリッド4輪駆動車は、エンジン1と第1モータ2Fを第1駆動源として前輪タイヤ3FR,3FLを駆動し、第2モータ2Rを第2駆動源として後輪タイヤ3RR,3RLを駆動する前輪駆動ベースの車両であるため、旋回発進時や旋回加速時、前後輪駆動力配分が前輪のみへの駆動力配分から4輪への駆動力配分に移行することで、アンダーステアの発生が抑制され、車両旋回挙動の安定性を確保することができる。
実施例2は、トルク対応駆動力配分制御を、実施例1の配分比固定制御に代えて、アクセル感応制御とする例である。
なお、システム構成的には、実施例1の図1と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
前後輪駆動力配分制御処理についても、図2に示す実施例1のフローチャートと同様であるので、図示を省略する。ただし、ステップS1とステップS7については、実施例1とは処理内容が異なるので、以下説明する。
ステップS1では、現時点でのアクセル開度にが第1設定値APO1以上のトルク出力許可領域に入っているか否かを判断し、Yesの場合はステップS3へ移行し、Noの場合はステップS2へ移行する。
ここで、トルク出力許可領域であるか否かの判断は、予めアクセル開度による後輪トルク指令値マップ(図8)を設定しておき、現時点で検出されたアクセル開度と後輪トルク指令値マップとを照合し、アクセル開度が出力許可領域に存在する場合はYesと判断し、アクセル開度が出力禁止領域に存在する場合はNoと判断する。
ステップS7では、ステップS4での作動時間<Kとの判断、もしくは、ステップS5での前後輪速度差>Aとの判断、もしくは、ステップS6でのアクセル開度>Bとの判断のうちいずれかの判断に続き、図9に示すように、アクセル開度感応制御によるアクセル感応後輪トルク指令値と、前後輪速度差制御による前後輪速度差後輪トルク指令値と、のセレクトハイにより、後輪トルク指令値が決定され、決定された後輪トルク指令値をリアモータ2Rに出力し、リターンへ移行する。
ここで、前後輪速度差ΔVによる後輪トルク指令値は、図5に示すように、前後輪速度差ΔVが、ΔV1以下の低前後輪速度差領域では後輪トルク指令値=0で与えられ、前後輪速度差ΔVが、ΔV1からΔV2までの前後輪速度差領域では前後輪速度差ΔVが大きくなるほど大きな値による後輪トルク指令値で与えられ、前後輪速度差ΔVが、ΔV2以上の高前後輪速度差領域では後輪トルク指令値=最大値で与えられる。
また、アクセル開度APOによるアクセル感応後輪トルク指令値は、図8に示すように、アクセル開度APOが、APO1以下の低アクセル開度領域では後輪トルク指令値=0で与えられ、アクセル開度APOが、APO1からAPO2までのアクセル開度領域ではアクセル開度APOが大きくなるほど大きな値による後輪トルク指令値で与えられ、アクセル開度APOが、APO2以上の高アクセル開度領域では後輪トルク指令値=最大値で与えられる。
次に、作用を説明する。
[発進時における駆動力配分制御作用]
図10は実施例2の駆動力配分制御装置においてアクセルペダルをステップ的に踏みしながら発進する場合のアクセル開度・車速・前後輪速度差・アクセル感応制御トルク指令値・配分比固定制御トルク作動時間タイマー・前後輪速差感応トルク指令値・後輪トルク指令値の各特性を示すタイムチャートである。以下、図10に示すタイムチャートに基づき、発進時における駆動力配分制御作用を説明する。
時刻t1において、アクセル開度を一気に立ち上げて発進を開始すると、アクセル感応制御トルク指令値が立ち上がり、前後輪速差感応トルク指令値は前後輪速度差の発生が無いことでゼロを維持するため、セレクトハイによりアクセル感応制御トルク指令値を後輪トルク指令値として後輪が駆動され、発進直後から4輪駆動状態に入る。
そして、時刻t1から設定時間K(=禁止閾値K)を経過した時刻t2に達すると、その時点ではアクセル開度条件も前後輪速度差条件も成立しないことで、配分比固定制御が禁止され、アクセル感応制御トルク指令値がゼロとなる。一方、前後輪速差感応トルク指令値は前後輪速度差の発生がまだ無いことでゼロを維持するため、後輪トルク指令値もゼロに落ち込み、後輪駆動が止められて、4輪駆動状態から2輪駆動状態へと移行する。
しかし、時刻t3の時点で前後輪速度差の発生を開始すると、これに対応して前後輪速差感応トルク指令値が上昇してゆき、前後輪速差感応トルク指令値は前後輪速度差の発生により上昇するため、ゼロであるアクセル感応制御トルク指令値とのセレクトハイにより前後輪速差感応トルク指令値を後輪トルク指令値として後輪が徐々に駆動され、2輪駆動状態から再び4輪駆動状態へと移行する。
そして、時刻t4の時点で前後輪速度差条件(前後輪速度差>A)が成立すると、アクセル開度感応制御が復帰し、アクセル開度感応制御トルク指令値が立ち上がり、セレクトハイによりアクセル開度感応制御トルク指令値を後輪トルク指令値として後輪が駆動され、後輪への伝達トルクが高い4輪駆動状態へと移行する。そして、時刻t4の時点以降においては、前後輪速度差条件が成立する限り4輪駆動状態が継続される。
したがって、アクセルペダルをステップ的に踏みながら発進する場合、発進開始域から4輪駆動状態となり、一瞬、2輪駆動状態となるが、その後は再び4輪駆動状態となり、前後輪速度差条件が成立する限り4輪駆動状態を継続するという前後輪駆動力配分制御が実行されることで、4輪のタイヤから路面に駆動力を伝達しての高い駆動性能により発進を行うことができる。なお、他の作用は実施例1と同様であるので、説明を省略する。
次に、効果を説明する。
実施例2のハイブリッド4輪駆動車の駆動力配分制御装置にあっては、実施例1の(1),(2),(3),(4),(5),(7)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
(8) 前記トルク対応駆動力配分制御手段は、低アクセル開度域では副駆動輪トルクをゼロとし、低アクセル開度域を超えるとアクセル開度が大開度であるほど高い副駆動輪トルクを得る指令をリアモータ2Rに出力するアクセル感応制御を実行するため、低アクセル開度域ではトルク出力禁止領域としリアモータ2Rの有効な発熱抑制を図りながら、中〜高アクセル開度域ではアクセル開度に表れたドライバの加速要求意図に応じて4輪駆動状態とすることでの高い発進・加速性能を達成することができる。
以上、本発明のハイブリッド4輪駆動車の駆動力配分制御装置を実施例1及び実施例2に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1,2では、前輪駆動ベースのハイブリッド4輪駆動車に対する適用例を示したが、後輪駆動ベースのハイブリッド4輪駆動車にも適用することができるもので、後輪駆動ベースのハイブリッド4輪駆動車の場合、旋回発進時や旋回加速時に後輪駆動状態から4輪駆動状態に移行することで、オーバーステアの発生を抑制して車両挙動の安定性を確保することができる。
実施例1では、トルク対応駆動力配分制御手段として配分比固定制御の例を示し、実施例2では、トルク対応駆動力配分制御手段としてアクセル感応制御の例を示したが、トルク対応駆動力配分制御手段としては、例えば、車速に対応するトルクを出力するものであっても良いし、また、複数のトルク対応駆動力配分制御の中からセレクトハイにより選択したものであっても良い。要するに、設定された目標伝達トルク特性に基づくフィードフォワード制御により副駆動輪への伝達トルクを決める手段であれば、実施例1,2の例に限定されるものでは無い。
実施例1,2では、トルク対応駆動力配分制御禁止手段として、トルク対応駆動力配分制御の制御継続時間を、第2駆動源温度と設定時間以内の第2駆動源総作動時間とにより可変な設定時間Kで与える例を示したが、予め設定した固定時間で与えても良い。要するに、トルク対応駆動力配分制御禁止手段は、トルク対応駆動力配分制御手段によるトルク対応駆動力配分制御の開始から、設定された制御継続時間まではトルク対応駆動力配分制御を許可し、制御継続時間を経過した後は、トルク対応駆動力配分制御を禁止するするものであれば、本発明に含まれる。
実施例1,2では、前後輪にそれぞれモータを有するハイブリッド4輪駆動車への適用例を示したが、例えば、第1駆動源としてエンジンのみを搭載し、第2駆動源として1つのモータ、もしくは、2つのモータを備えたハイブリッド4輪駆動車等にも適用できる。要するに、前後輪のうち一方を主駆動輪とし他方を副駆動輪とし、前記副駆動輪をモータにより駆動する4輪駆動系を備えたハイブリッド4輪駆動車には適用することができる。
実施例1の駆動力配分制御装置が適用されたハイブリッド4輪駆動車を示す全体システム図である。 実施例1のコントローラにて実行される前後輪駆動力配分制御処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の駆動力配分制御での配分比固定制御で用いられる車速とアクセル開度によるトルク出力許可領域マップの一例を示す図である。 実施例1の駆動力配分制御で用いられる設定時間Kを決める時間マップ(第2駆動源温度Tmに対する時間K0の関係特性)と修正係数マップ(10分以内の第2駆動総作動時間ΣTに対する修正係数αの関係特性)の一例を示す図である。 実施例1の駆動力配分制御で実行される前後輪速度差制御で用いられる前後輪速度差に対する後輪トルク指令値マップの一例を示す図である。 実施例1の駆動力配分制御装置において後輪トルク指令値を固定後輪トルク指令値と前後輪速度差トルク指令値とのセレクトハイにより決めることを示すブロック図である。 実施例1の駆動力配分制御装置においてアクセルペダルを緩踏みしながら発進する場合のアクセル開度・車速・前後輪速度差・配分比固定制御トルク指令値・配分比固定制御トルク作動時間タイマー・前後輪速差感応トルク指令値・後輪トルク指令値の各特性を示すタイムチャートである。 実施例2の駆動力配分制御装置において用いられるアクセル開度に対する後輪トルク指令値マップの一例を示す図である。 実施例2の駆動力配分制御装置において後輪トルク指令値をアクセル感応後輪トルク指令値と前後輪速度差後輪トルク指令値とのセレクトハイにより決めることを示すブロック図である。 実施例2の駆動力配分制御装置においてアクセルペダルをステップ的に踏みしながら発進する場合のアクセル開度・車速・前後輪速度差・アクセル感応制御トルク指令値・配分比固定制御トルク作動時間タイマー・前後輪速差感応トルク指令値・後輪トルク指令値の各特性を示すタイムチャートである。
符号の説明
1 エンジン(第1駆動源)
2F フロントモータ(第1駆動源)
2R リアモータ(第2駆動源)
3FL 左前輪タイヤ
3FR 右前輪タイヤ
3RL 左後輪タイヤ
3RR 右後輪タイヤ
4F フロントディファレンシャル
4R リアディファレンシャル
5F フロントトランスミッション
5R リアトランスミッション
6 車輪速センサ
7 舵角センサ
8 横加速度センサ
9 車速センサ
10 アクセル開度センサ
11 コントローラ
12 強電バッテリ
13F フロントインバータ
13R リアインバータ

Claims (9)

  1. 前後輪のうち一方を主駆動輪とし他方を副駆動輪とし、前記副駆動輪をモータにより駆動する4輪駆動系を備え、
    設定された目標伝達トルク特性に基づくフィードフォワード制御により副駆動輪への伝達トルクを決めるトルク対応駆動力配分制御手段を有するハイブリッド4輪駆動車の駆動力配分制御装置において、
    前記トルク対応駆動力配分制御手段によるトルク対応駆動力配分制御の開始から、設定された制御継続時間まではトルク対応駆動力配分制御を許可し、制御継続時間を経過した後は、トルク対応駆動力配分制御を禁止するトルク対応駆動力配分制御禁止手段を設けたことを特徴とするハイブリッド4輪駆動車の駆動力配分制御装置。
  2. 請求項1に記載されたハイブリッド4輪駆動車の駆動力配分制御装置において、
    前輪と後輪の回転速度差を検出する前後輪速度差検出手段と、
    トルク対応駆動力配分制御の禁止条件が成立しているとき、設定閾値を超える前後輪速度差が検出されると、トルク対応駆動力配分制御の禁止を解除する第1トルク対応駆動力配分制御禁止解除手段と、
    を設けたことを特徴とするハイブリッド4輪駆動車の駆動力配分制御装置。
  3. 請求項1または2の何れか1項に記載されたハイブリッド4輪駆動車の駆動力配分制御装置において、
    アクセル開度を検出するアクセル開度検出手段と、
    トルク対応駆動力配分制御の禁止条件が成立しているとき、設定閾値を超えるアクセル開度が検出されると、トルク対応駆動力配分制御の禁止を解除する第2トルク対応駆動力配分制御禁止解除手段と、
    を設けたことを特徴とするハイブリッド4輪駆動車の駆動力配分制御装置。
  4. 請求項1乃至3の何れか1項に記載されたハイブリッド4輪駆動車の駆動力配分制御装置において、
    前記トルク対応駆動力配分制御禁止手段は、トルク対応駆動力配分制御の制御継続時間を、モータを有する副駆動源温度が高いほど短い時間に設定することを特徴とするハイブリッド4輪駆動車の駆動力配分制御装置。
  5. 請求項4に記載されたハイブリッド4輪駆動車の駆動力配分制御装置において、
    前記トルク対応駆動力配分制御禁止手段は、副駆動源温度により設定されたトルク対応駆動力配分制御の制御継続時間を、予め設定された時間内における副駆動源の総作動時間が長いほど短い時間に修正することを特徴とするハイブリッド4輪駆動車の駆動力配分制御装置。
  6. 請求項1乃至5の何れか1項に記載されたハイブリッド4輪駆動車の駆動力配分制御装置において、
    低車速域ではアクセル開度の全領域をトルク出力許可領域とし、低車速域を外れると車速が高車速になるほどトルク出力許可領域をアクセル開度の高開度領域側に狭めるトルク出力許可領域を設定するトルク出力許可領域設定手段を設け、
    前記トルク対応駆動力配分制御手段は、車速とアクセル開度で決まる車両の運転点がトルク出力許可領域に存在する場合、前後輪の重量配分相当の副駆動輪トルクを得る指令をモータに出力する配分比固定制御を実行することを特徴とするハイブリッド4輪駆動車の駆動力配分制御装置。
  7. 請求項1乃至5の何れか1項に記載されたハイブリッド4輪駆動車の駆動力配分制御装置において、
    前記トルク対応駆動力配分制御手段は、低アクセル開度域では副駆動輪トルクをゼロとし、低アクセル開度域を超えるとアクセル開度が大開度であるほど高い副駆動輪トルクを得る指令をモータに出力するアクセル感応制御を実行することを特徴とするハイブリッド4輪駆動車の駆動力配分制御装置。
  8. 請求項1乃至5の何れか1項に記載されたハイブリッド4輪駆動車の駆動力配分制御装置において、
    前記ハイブリッド4輪駆動車は、エンジンと第1モータを第1駆動源として前輪タイヤを駆動し、第2モータを第2駆動源として後輪タイヤを駆動する前輪駆動ベースの車両であることを特徴とするハイブリッド4輪駆動車の駆動力配分制御装置。
  9. 前後輪のうち一方を主駆動輪とし他方を副駆動輪とし、前記副駆動輪をモータにより駆動する4輪駆動系を備え、
    設定された目標伝達トルク特性に基づくフィードフォワード制御により副駆動輪への伝達トルクを決めるトルク対応駆動力配分制御を行うハイブリッド4輪駆動車の駆動力配分制御装置において、
    前記トルク対応駆動力配分制御の開始から、設定された制御継続時間まではトルク対応駆動力配分制御を許可し、制御継続時間を経過した後は、トルク対応駆動力配分制御を禁止することを特徴とするハイブリッド4輪駆動車の駆動力配分制御装置。
JP2006107027A 2006-04-10 2006-04-10 ハイブリッド4輪駆動車の駆動力配分制御装置 Pending JP2007276674A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006107027A JP2007276674A (ja) 2006-04-10 2006-04-10 ハイブリッド4輪駆動車の駆動力配分制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006107027A JP2007276674A (ja) 2006-04-10 2006-04-10 ハイブリッド4輪駆動車の駆動力配分制御装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007276674A true JP2007276674A (ja) 2007-10-25

Family

ID=38678587

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006107027A Pending JP2007276674A (ja) 2006-04-10 2006-04-10 ハイブリッド4輪駆動車の駆動力配分制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007276674A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102358283A (zh) * 2011-08-19 2012-02-22 奇瑞汽车股份有限公司 一种混合动力车驱动轴扭矩解析控制方法
JP2019062705A (ja) * 2017-09-28 2019-04-18 株式会社Subaru 車両の駆動力制御装置
JP2019062706A (ja) * 2017-09-28 2019-04-18 株式会社Subaru 車両の駆動力制御装置
CN109866624A (zh) * 2017-12-01 2019-06-11 株式会社斯巴鲁 车辆的控制装置及车辆的控制方法
CN113320400A (zh) * 2021-06-29 2021-08-31 重庆长安汽车股份有限公司 电动汽车四驱扭矩分配方法、系统及车辆
CN115110601A (zh) * 2022-08-30 2022-09-27 四川鼎鸿智电装备科技有限公司 一种装载机系统控制方法及装置、装载机、设备、介质

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102358283A (zh) * 2011-08-19 2012-02-22 奇瑞汽车股份有限公司 一种混合动力车驱动轴扭矩解析控制方法
JP2019062705A (ja) * 2017-09-28 2019-04-18 株式会社Subaru 車両の駆動力制御装置
JP2019062706A (ja) * 2017-09-28 2019-04-18 株式会社Subaru 車両の駆動力制御装置
JP7017895B2 (ja) 2017-09-28 2022-02-09 株式会社Subaru 車両の駆動力制御装置
JP7017894B2 (ja) 2017-09-28 2022-02-09 株式会社Subaru 車両の駆動力制御装置
CN109866624A (zh) * 2017-12-01 2019-06-11 株式会社斯巴鲁 车辆的控制装置及车辆的控制方法
JP2019103235A (ja) * 2017-12-01 2019-06-24 株式会社Subaru 車両の制御装置及び車両の制御方法
US10562523B2 (en) 2017-12-01 2020-02-18 Subaru Corporation Vehicle control apparatus and vehicle control method
CN113320400A (zh) * 2021-06-29 2021-08-31 重庆长安汽车股份有限公司 电动汽车四驱扭矩分配方法、系统及车辆
CN113320400B (zh) * 2021-06-29 2022-10-11 重庆长安汽车股份有限公司 电动汽车四驱扭矩分配方法、系统及车辆
CN115110601A (zh) * 2022-08-30 2022-09-27 四川鼎鸿智电装备科技有限公司 一种装载机系统控制方法及装置、装载机、设备、介质

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3879650B2 (ja) 車両の制御装置
JP3807232B2 (ja) ハイブリッド式車両制御装置
EP1698507B1 (en) Vehicle regenerative braking control apparatus and method
JP4481261B2 (ja) ハイブリッド四輪駆動車両の制御装置
KR101339231B1 (ko) 상시 4wd 친환경 자동차의 토크 제어장치 및 방법
JP2002234355A (ja) 4輪駆動車の制御装置
JP2005204436A (ja) 車輪独立駆動式電気自動車の駆動力制御装置
JP2007276674A (ja) ハイブリッド4輪駆動車の駆動力配分制御装置
JP2009247205A (ja) 車輪独立駆動式電気自動車の駆動力制御装置
JP2008179296A (ja) パラレルハイブリッド車両のエンジン始動制御装置
JP2006327335A (ja) 車両のトルク配分制御装置
JP4797513B2 (ja) 車両の駆動力配分制御装置
JP2007325372A (ja) 電動車両の制御装置
JP4582031B2 (ja) 四輪駆動車の駆動力制御装置
JP2005059851A (ja) 4輪駆動車の制御装置
JPH11115719A (ja) 4輪駆動車の動力配分制御装置
JP2006197757A (ja) 車両の回生制動制御装置
JP2007125998A (ja) 四輪駆動車の駆動力配分制御装置
JP2004254375A (ja) 車両の駆動力制御装置
JP2006240400A (ja) 車両の駆動力配分制御装置
JP4935022B2 (ja) 車両の左右トルク配分制御装置
JP3370983B2 (ja) 電気自動車の駆動制御装置
JP2006256456A (ja) 車両の駆動力配分制御装置
JP6607348B2 (ja) 電動車両の制御装置
JP4905085B2 (ja) 四輪駆動車の駆動力配分制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090225

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090929

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100309