JP4807130B2 - シリコン単結晶の引上げ方法 - Google Patents

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Description

本発明は、チョクラルスキー法(以下、「CZ法」という)によるシリコン単結晶の引上げに使用され、その後再生処理を施された後の石英ルツボを用いて行うシリコン単結晶の引上げ方法に関する。さらに詳しくは、再生された石英ルツボの内壁表面をシリコン単結晶引上げ中に結晶化させ、長時間に亘る単結晶の引上げであっても、結晶成長中の有転位化を防止し、結晶品質を劣化させることなく、生産性を向上させることができるシリコン単結晶の引上げ方法に関する。
半導体基板に用いられるシリコン単結晶を製造する方法には種々の方法があるが、そのなかでも回転引上げ法としてCZ法が広く採用されている。
図2は、CZ法によるシリコン単結晶の引上げ方法を実施するのに適した引上げ装置の要部構成を模式的に示す図である。引上げ装置の外観は図示しないチャンバーで構成され、その中心部にルツボ1が配設されている。このルツボ1は二重構造であり、有底円筒状をなす石英製の内層保持容器(以下、「石英ルツボ」という)1aと、その石英ルツボ1aの外側を保持すべく適合された同じく有底円筒状の黒鉛製の外層保持容器(以下、「黒鉛ルツボ」という)1bとから構成されている。
ルツボ1は回転および昇降が可能な支持軸6の上端部に固定され、ルツボ1の外側には抵抗加熱式ヒーター2が概ね同心円状に配設されている。前記ルツボ1内に投入された所定重量の結晶用シリコン原料は溶融され、溶融液3が形成される。
溶融液3が充填された前記ルツボ1の中心軸上には、支持軸6と同一軸上で逆方向または同方向に所定の速度で回転する引上げ軸(またはワイヤー、以下両者を合わせて「引上げ軸」という)5が配設されており、引上げ軸5の下端には種結晶7が保持されている。
このような引上げ装置を用いてシリコン単結晶の引上げを行う際には、石英ルツボ1a内に結晶用原料を投入し、減圧下の不活性ガス雰囲気中で結晶用原料をルツボ1の周囲に配設したヒーター2にて溶融した後、形成された溶融液3の表面に引上げ軸5の下端に保持された種結晶7を浸漬し、ルツボ1および引上げ軸5を回転させつつ、引上げ軸5を上方に引上げて種結晶7の下端面に単結晶4を成長させる。
前述のように、CZ法によるシリコン単結晶の引上げでは、石英ルツボ1aによって結晶用シリコン原料の溶融液3が保持されるが、引上げに使用した後の石英ルツボ内面には、通常、シリコンや、一酸化珪素、二酸化珪素等が異物として付着する。そのため、この石英ルツボをそのまま再使用してシリコン単結晶の引上げを行うと、これら異物がルツボ内面から剥離して単結晶中に混入し、シリコン単結晶の製造歩留り(以下、単に「単結晶歩留り」という)が低下する。
また、引上げに使用後の石英ルツボの内壁(ルツボ壁の内側部分)は、クリストバライト化と称される結晶化により浸食される。この結晶化によってできた浸食層は、冷却中に約273℃でβクリストバライトからαクリストバライトへ変化し、その過程でクラックが入り白く見える失透が発生する。その結果、ルツボ内壁は粉が吹いたような状態を呈して脆くなり、ルツボの再使用時にその一部が剥がれ落ち、有転位化が多発して、単結晶歩留りが低下する。
このように、一度シリコン単結晶の引上げ(育成)に使用した石英ルツボは、ルツボ内面における異物の付着やルツボ内壁のクリストバライト化によって単結晶歩留りが低下するので、そのままでは再使用されることはない。
この使用済みの石英ルツボに対し、従来から、ルツボコストの低減、ひいてはシリコン単結晶製造コストの低減を目的として、再生処理を施し、処理後のルツボを再利用する方法が知られている。通常は、酸洗浄と高温熱処理を組み合わせた処理が行われる。
この再生方法は、特許文献1に記載されるように、CZ法によるシリコン単結晶の育成に使用された後の石英ルツボの内面を、フッ酸、およびフッ酸と硝酸の混合液で洗浄してシリコンや一酸化珪素、二酸化珪素等の異物を除去し、続いて、ルツボの内面を1600℃以上の酸水素炎等で高温熱処理することにより、クリストバライト化を受けたルツボ内面の修復を行う方法である。
しかしながら、実際には、この方法で再生処理を施した石英ルツボ(以下、単に「再生石英ルツボ」、「再生ルツボ」ともいう)を使用して単結晶を引上げると、新品の石英ルツボを使用した場合に比べて、単結晶歩留まりが低下する。これは、以下の理由によるものと考えられている。
(a)この再生処理は手作業によるところが多く、品質のバラツキが発生し、そのため、この再生ルツボを使用すると、単結晶歩留りの低下を招きやすい。例えば、石英ルツボの内壁表面は、高温状態のシリコン溶融液と接触する間に、ブラウニッシュリングと呼ばれる褐色のクリストバライトが生成され、次第に成長していく。このブラウニッシュリング等のクリストバライトが再生処理後も部分的に残存し、再使用時にそれが剥がれ落ちてシリコン融液中に混入する。
(b)石英ルツボの内壁側に形成させた合成石英の層(無気泡層)が、再生処理の際の酸による洗浄でほとんど失われ、ルツボの内壁面近傍には天然石英層の気泡が多数存在しているため、再使用時にこの気泡が破裂してクリストバライトが剥がれ落ち、シリコン融液中に混入する。
(c)ルツボ壁に内在する気泡がルツボ再生時の高温熱処理によって膨張しており、再使用時の単結晶引上げ中にさらに膨張し、破裂してクリストバライトが剥がれ落ち、シリコン融液中に混入する。
(d)ルツボの再生処理時に、引上げに使用した際に生じたルツボの変形を加熱整形するが、このとき、ルツボ内表面に凹凸が発生してルツボの厚みにバラツキが生じ、融液の熱分布や対流に不均一な乱れが生じ、単結晶の成長に影響を与える。
すなわち、再生石英ルツボを使用すると、前述のクリストバライトの剥離に起因して、引上げ中の結晶に有転位化が生じ、あるいは、ルツボ内表面の凹凸に起因して結晶成長が阻害され、単結晶歩留まりが低下すると考えられている。
特開2001−106596号公報
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、シリコン単結晶の引上げ(育成)に、再生処理を施した再生石英ルツボを使用するに際し、当該再生ルツボの内質(内面の品質)を改善して、単結晶育成時における有転位化を防止し、長時間に亘る単結晶引上げの操業に際しても、単結晶歩留まりを向上させることができるシリコン単結晶の引上げ方法の提供を目的としている。
本発明者らは、上記の課題を解決するため、種々検討した結果、CZ法によるシリコン単結晶の育成に使用された後の(つまり、使用済みの)石英ルツボに対し、前掲の特許文献1に記載される酸処理と高温熱処理を組み合わせた再生方法を適用して再生処理を施した再生石英ルツボを使用し、ルツボ内のシリコン原料に適正量のBaCO3粉末を添加してシリコン単結晶の引上げを行うことにより、単結晶育成時の有転位化を防止し、単結晶歩留まりを向上させ得ることが判明した。長時間に亘る単結晶引上げの操業も、支障なく行うことができる。
これは、石英ルツボ内のシリコン原料に適正量のBaCO3粉末を添加することにより、ルツボの内壁の全面に均一で剥離しにくい結晶化層を生成させ、再生ルツボの内質を改善して内壁の表面状態を安定させ得ることによるものと考えられる。
本発明はこのような知見に基づきなされたもので、その要旨は、下記のシリコン単結晶の引上げ方法にある。
すなわち、CZ法によるシリコン単結晶の育成に使用された後の石英ルツボの内面を、フッ酸、およびフッ酸と硝酸の混合液で洗浄し、続いて、ルツボの内面を1600〜2400℃で高温熱処理する再生処理を施し、この再生処理を施した石英ルツボを用いてシリコン原料を溶融し、この溶融液からCZ法により単結晶を引き上げる際に、前記石英ルツボ内のシリコン原料に、BaCO3粉末を、シリコン原料に対する質量比で、1〜70ppm添加するシリコン単結晶の引上げ方法であって、前記石英ルツボ内のシリコン原料へのBaCO 3 粉末の添加を、当該シリコン原料の最表面で、且つ石英ルツボの内壁表面から中心軸方向へ20〜100mm離れた石英ルツボ壁近傍に、石英ルツボの周方向に均等に振りまくことにより行うシリコン単結晶の引上げ方法である。
前記石英ルツボ内のシリコン原料へのBaCO3粉末の添加を、当該シリコン原料の最表面の石英ルツボ壁近傍で、石英ルツボの周方向に均等に振りまくことにより、BaCO3の熱分解で生成し、カーボン源としてシリコン単結晶中に取り込まれるおそれのあるCO2を効果的に排気できる。
本発明のシリコン単結晶の引上げ方法によれば、再生石英ルツボを用いて、ルツボ内でシリコン原料を溶融し、単結晶を引き上げるに際し、石英ルツボの内表面に均一で剥離しにくい結晶化層を生成させることができる。これにより、結晶成長中の有転位化を防止し、単結晶歩留りを向上させて、生産性を高めることができる。長時間に亘るシリコン単結晶の引上げ操業も可能である。
石英ルツボの再利用が可能になるので、ルツボコストを削減し、シリコン単結晶製造コストの低減に寄与することができる。
本発明のシリコン単結晶の引上げ方法は、CZ法によるシリコン単結晶の育成に使用された後、再生処理を施した石英ルツボを用いてシリコン原料を溶融し、この溶融液からCZ法により単結晶を引上げる際に、前記石英ルツボ内のシリコン原料に、BaCO3粉末を、シリコン原料に対する質量比で、1〜70ppm添加する方法である。
前述のように、シリコン単結晶の引上げに使用した石英ルツボの内面にはシリコン等の異物が付着し、また、ルツボの内壁がクリストバライト化して脆くなるため、そのままでルツボを再使用することはできない。石英ルツボを再使用するためにはルツボ内面の修復が不可欠で、そのための再生処理が施される。本発明の単結晶の引上げ方法では、この再生処理が施された再生ルツボを用いることが前提になっている。
再生処理は、通常、前掲の特許文献1に記載されるような酸洗浄と高温熱処理を組み合わせた方法により行われるが、本発明においてもこれに準じた方法で行えばよい。すなわち、使用済みの石英ルツボの内面を、フッ酸等の酸で洗浄してシリコンや一酸化珪素、二酸化珪素等の異物を除去し、続いて、ルツボの内面を、例えば酸水素炎により高温熱処理する方法である。この高温熱処理によって、クリストバライト化した部分、およびその一部が剥離して荒れてしまった石英ルツボの内面が元の(使用前の)石英ルツボ内面と同等の表面状態に修復される。なお、再生処理はこの方法に限定されず、ルツボの内面を修復できる方法であれば、それを適用してもよい。
高温熱処理時の処理温度は、同文献1にも記載されるように、1600〜2400℃とするのがよい。1600℃未満では、クリストバライト化した部分の修復が不十分となる恐れがあり、また、石英ルツボの軟化が不十分なため、単結晶の引上げ時に生じたルツボの変形を修復するための整形加工が難しくなる。一方、処理温度が2400℃を超えると、ルツボが過度に軟化するため、やはりルツボの整形が困難になる。また、ルツボ壁に内在する気泡が膨張し、前述したように、再生ルツボとして使用する際にさらに膨張、破裂して、部分的に残存するクリストバライトが剥離する原因にもなる。したがって、再生処理における高温熱処理時の処理温度は極めて重要であり、ルツボの再使用時における結晶の有転位化を左右することになる。
本発明の単結晶引上げ方法では、この再生処理が施された再生ルツボを用いて結晶用シリコン原料を溶融し、この溶融液からCZ法により単結晶を引上げるのであるが、その際、前記再生ルツボ内のシリコン原料に、BaCO3粉末を、シリコン原料に対する質量比で、1〜70ppm添加する。
石英ルツボ内のシリコン原料にBaCO3粉末を添加するのは、シリコン溶融液中にバリウムを存在させ、石英ルツボの内壁表面で結晶化の核として作用させるためである。これにより、石英ルツボの内壁全面に均一で剥離しにくい結晶化層を効率よく(速やかに)生成させることができる。
BaCO3粉末の添加量を1ppm以上とするのは、ルツボの内壁表面に均一で剥離しにくい結晶化層を生成させるためである。この結晶化層を十分に形成させるためには、BaCO3粉末を10ppm以上添加するのが望ましい。一方、添加量の上限を70ppmとするのは、結晶化が進み過ぎ、結晶化層が剥離し易くなるのを避けるためである。
BaCO3粉末の添加は、石英ルツボ内のシリコン原料に対して行う。すなわち、石英ルツボに投入した溶融する前のシリコン原料に添加してもよいし、溶融後のシリコン原料に添加してもよい。溶融後に添加する場合は、溶融直後に添加するのが望ましい。これによって、ルツボの内壁表面に早期に均一で剥離しにくい結晶化層を形成させ、ルツボ内壁の表面状態を安定させることができる。
BaCO3を粉末状態で添加するのは、シリコン溶融液への溶解(熱分解)、分散を迅速に行わせるためである。その粒径に特に限定はないが、取り扱いに支障を来さない範囲で、微粒のBaCO3を使用するのが望ましい。
また、本発明のシリコン単結晶の引上げ方法においては、シリコン原料に添加する前記BaCO3粉末の純度を99%以上とするのが望ましい。BaCO3の精製過程でライフタイムを劣化させる鉄や銅などの重金属が混入することは基本的にはないので、純度が99%以上のBaCO3を使用すれば、シリコン単結晶のライフタイムの低下を危惧せずに使用できるからである。
ルツボ内のシリコン原料へのBaCO3粉末の添加部位についても特に限定はない。しかし、BaCO3粉末の添加量が増すに伴い単結晶中のカーボン濃度が増えるおそれがあることから、シリコン単結晶中のカーボン濃度等、単結晶の品質が重視される場合には、シリコン原料の表面の、しかも石英ルツボ壁の近傍において、ルツボの周方向に分散させて添加するのが望ましい。
図1は、本発明のシリコン単結晶の引上げ方法を実施する際に行う石英ルツボ内へのBaCO3粉末の望ましい添加方式の説明図である。同図に示すように、BaCO3粉末の添加は、この粉末を、石英ルツボ1a内に保持された溶融液3の最表面のしかも石英ルツボ1a壁の近傍で、ルツボ1aの周方向に均等に振りまくことにより行う。図示した例は、シリコン原料が溶融した後に添加する場合で、図中に斜線を施した部分が添加したBaCO3粉末8を表している。シリコン原料が溶融前であっても、前記と同じ要領で均等に添加すればよい。
なお、ここで言う「ルツボの周方向に均等に振りまく」とは、BaCO3粉末をルツボの周方向に(つまり、全周にわたって)見掛け上添加量が等しくなるように分散させて撒き散らすことをいう。必ずしも厳密に均等になるように分散させる必要はない。
また、前記「石英ルツボ壁の近傍」とは、ルツボの内壁表面から若干離れた場所である。ルツボの大きさにもよるが、例えば、ルツボの内径が600mm程度であれば、ルツボの内壁表面から中心軸方向へ20〜100mm程度離れた場所が望ましい。BaCO3粉末を直接石英ルツボ内壁に接するように添加すると、その部位のみが激しく失透し結晶化が過度に進行して、場合によってはそれがルツボの生地層から剥離するので、望ましくない。
このように、BaCO3粉末をシリコン原料の最表面に添加することによって、BaCO3の分解により生成するCO2を溶融液内に留めることなく排気し、シリコン単結晶にCO2がカーボン源として取り込まれるのを抑制することができる。さらに、石英ルツボ壁の近傍に添加することにより、石英との適度な反応を促し、石英ルツボの内壁表面で結晶化の核として作用させることにより結晶化層の形成を容易にすることが可能となる。
すなわち、このようなBaCO3粉末のルツボ内への添加方法を採ることによって、石英ルツボの内壁表面のほぼ均一な結晶化(失透)とシリコン単結晶におけるカーボン濃度上昇の抑制とを両立させることができる。
以上述べたように、本発明のシリコン単結晶引上げ方法によれば、再生処理を施した再生石英ルツボを用いて単結晶の引上げを行うに際し、当該再生ルツボの内表面に均一で剥離しにくい結晶化層を生成させることができ、再生ルツボをそのままで使用する際に生じるクリストバライトの剥がれ落ちや、それに起因する単結晶の有転位化を防止して、単結晶歩留りを向上させることができる。
この場合、再生ルツボは、再生処理時のルツボ内表面の修復が不十分で、内表面にクリストバライトが残存するルツボ、ルツボ壁に内在する気泡が再生処理時の熱で膨張したようなルツボであってもよい。再生ルツボ内のシリコン原料にBaCO3粉末を添加することによって石英ルツボの内表面に均一な結晶化層を生成させ、残存するクリストバライトや気泡を完全に覆い尽くしてシリコン融液から遮断することができるからで、実用性に優れ、本発明を適用する上での大きな利点の一つである。
本発明のシリコン単結晶引上げ方法の効果を確認するため、前記図2に示した引上げ装置を用いて、種々の条件でシリコン単結晶の引上げを行い、単結晶歩留まりまたは単結晶のカーボン濃度を調査した。
(実施例1)
内径約600mmの新品の石英ルツボ、再生石英ルツボ(イ)および再生石英ルツボ(ロ)のそれぞれにシリコン原料150kgを充填し、再生石英ルツボ(ロ)においては、さらにBaCO3粉末(純度:99.9%)2gを添加し(シリコン原料に対する質量比で、13.3ppm)、溶融液を形成した後、それぞれ直径200mmの単結晶を1600mm引上げた。なお、BaCO3粉末の添加は、ルツボ内シリコン原料の最表面の、ルツボ内壁表面から約30mm離れた部位で、BaCO3粉末をルツボの周方向に振りまく前記図1に示した添加方式で行った。
図3に単結晶歩留りを示す。「単結晶歩留り」とは、(無転位単結晶質量/原料質量)×100(%)により求められるもので、図3に示した歩留りは、前記の単結晶の引上げをそれぞれ10バッチ行って、各10本引き上げ、それらの歩留りの平均値で示した。
この図から明らかなように、単結晶歩留りは、新品ルツボを用いた場合は65%、単に再生ルツボを用いた場合は53%、再生ルツボを用い、かつBaCO3粉末を添加した場合(本発明例)は87%で、本発明例では、BaCO3粉末を添加せず、単に再生ルツボを用いた場合の歩留り、更には、新品ルツボを用いた場合の歩留りを大きく上回った。
(実施例2)
使用する再生ルツボ(内径約600mm)の内面品質のグレードを、ブラウニッシュリングの専有面積により、3水準に大別し、各水準に相当する再生ルツボにシリコン原料150kgを充填し、さらにBaCO3粉末(純度:99.9%)2gを添加して(13.3ppm)、溶融液を形成した後、それぞれ直径200mmの単結晶を1600mm引き上げた。なお、石英ルツボの内表面に残存するブラウニッシュリングの専有面積が全体の10%未満の場合、「良いグレード」、同じく10〜50%の場合、「普通グレード」、同じく50%超の場合、「悪いグレード」とした。また、BaCO3粉末の添加は、実施例1の場合と同様に、前記図1に示した添加方式で行った。
図4にそれぞれの単結晶歩留りを示す。この場合は、前記3水準のグレード別にそれぞれシリコン単結晶を3本引き上げて、それらの歩留りの平均値で示した。
図示するように、再生ルツボの内面品質のグレードの違いに関係なく、それぞれ平均して86%の高い歩留まりで単結晶の引上げが可能であった。この結果から、再生処理時に発生するルツボの品質のバラツキに関係なく、単結晶引上げの際にBaCO3粉末を添加することによって同等の効果が得られることがわかる。
(実施例3)
内径約600mmの再生ルツボにシリコン原料150kgを充填し、さらにBaCO3粉末(純度:99.9%)を、75mg(0.5ppm)〜15g(100ppm)の範囲で変更して添加し、溶融液を形成した後、それぞれ直径200mmの単結晶を1600mm引上げた。なお、BaCO3粉末の添加は、実施例1の場合と同様に、前記図1に示した添加方式で行った。
図5に単結晶歩留りを示す。
図示するように、BaCO3粉末の添加量が75mg(0.5ppm)の場合、単結晶歩留まりは66%となり、新品ルツボを用いた場合の65%(実施例1の図3参照)と大差なく、比較的低い値に留まった。これは、ルツボ内壁に均一なクリストバライト層を形成できないため、単結晶育成時における有転位化の抑制効果が十分ではないことを示す。
また、BaCO3の濃度が70ppmを超えると歩留まりは低下の傾向を示し、100ppmでは、単結晶歩留まりは34%と低かった。これは、結晶化が過度に進み、クリストバライト層が剥離しやすく、逆に有転位化が誘発されたことによるものである。
この結果から、BaCO3粉末の添加量は、シリコン原料に対する質量比で、1〜70ppmとする必要があることがわかる。
(実施例4)
内径約600mmの再生ルツボにシリコン原料150kgを充填し、純度99.9%のBaCO3粉末を2g添加して、直径200mmの単結晶を1600mm引き上げた。その際、再生ルツボ内のシリコン原料内部にBaCO3粉末を投入した場合(これを「単純添加方式」と記す)と、ルツボ内シリコン原料の最表面の、ルツボ内壁表面から約30mm離れた部位で、BaCO3粉末をルツボの周方向に振りまく前記図1に示した添加方式で行った場合について、単結晶の引上げ率70%の位置におけるカーボン濃度を比較した。
図6に引上げ率70%の位置におけるカーボン濃度を示す。
この結果から明らかなように、同じBaCO3投入量であっても、前記図1に示した添加方式で添加した場合の方がカーボン濃度は低かった。
図7は、単純添加方式でBaCO3粉末を添加した場合における単結晶引上げ終了後の再生ルツボ内壁の状態を模式的に例示する図であり、図8は図1に示した添加方式で添加した場合における単結晶引上げ終了後の再生ルツボ内壁の状態を模式的に例示する図である。
BaCO3粉末を原料内部に添加した場合(図7参照)には、失透域9と結晶化域10およびブラウニッシュリング発生域11が混在しているが、図1に示した添加方式を用いた場合(図8参照)は、ルツボ上部が失透、ルツボ下部は全面が結晶化しており、ブラウニッシュリングは発生していなかった。
これらの条件(単純添加方式および図1に示した添加方式)で、それぞれ10バッチずつ10本の単結晶を引き上げたところ、BaCO3粉末を原料内部に投入した場合には、10本中、3本で引上げ途中に有転位化が生じたが、図1に示した添加方式を用いた場合は全て全域無転位で引上げができた。
(実施例5)
内径約600mmの再生ルツボにシリコン原料150kgを充填し、純度99.9%のBaCO3粉末を図1に示した添加方式で2g添加して、直径200mmの単結晶を1000mm引き上げた。その単結晶を取り出した後に、それと同量のシリコン原料をルツボ内に投入し、2回目の引上げを行って直径200mmの単結晶を1000mm引き上げた。その結晶を取り出した後、さらに、それと同量のシリコン原料をルツボ内に投入し、3回目(最後)の引上げを行って同じ直径の単結晶を1600mm引き上げた。
その結果、3本とも全域無転位で引き上げることができた。引上げ時間が150時間に達したにもかかわらず、石英ルツボの変形も全く認められず、長時間にわたるシリコン単結晶の引上げ操業が可能であることが確認できた。
本発明のシリコン単結晶の引上げ方法は、再生石英ルツボを用いてCZ法により単結晶を引き上げる際に、再生石英ルツボ内のシリコン原料に所定量のBaCO3粉末を添加する方法である。この方法によれば、再生ルツボの内表面に均一で剥離しにくい結晶化層を生成させることができ、長時間に亘るシリコン単結晶の引上げ操業においても、結晶成長中の有転位化を防止し、単結晶歩留りを向上させて生産性を高めることができるとともに、石英ルツボの再利用を促進してシリコン単結晶製造コストの低減に寄与することが可能となる。
したがって、本発明のシリコン単結晶の引上げ方法は、シリコン単結晶の製造に好適に利用することができる。
本発明のシリコン単結晶の引上げ方法を実施する際に行う石英ルツボ内へのBaCO3粉末の望ましい添加方式の説明図である。 本発明のシリコン単結晶の引上げ方法の実施に適したシリコン単結晶引上装置の構成例を模式的に示す図である。 実施例の結果で、再生石英ルツボを用いた場合の単結晶歩留りに及ぼす影響を示す図である。 実施例の結果で、再生石英ルツボの内表面の品質グレードが単結晶歩留りに及ぼす影響を示す図である。 実施例の結果で、BaCO3の濃度と単結晶歩留りの関係を示す図である。 実施例の結果で、BaCO3の添加方法がシリコン単結晶のカーボン濃度に及ぼす影響を示す図である。 ルツボ内の原料内部にBaCO3粉末を添加した場合における単結晶引上げ終了後の再生ルツボ内壁の状態を模式的に例示する図である。 本発明のシリコン単結晶の引上げ方法で用いる望ましい添加方式(図1に示した添加方式)でBaCO3粉末を添加した場合における単結晶引上げ終了後の再生ルツボ内壁の状態を模式的に例示する図である。
符号の説明
1:ルツボ
1a:石英ルツボ
1b:黒鉛ルツボ
2:ヒーター
3:溶融液
4:単結晶
5:引上げ軸
6:支持軸
7:種結晶
8:BaCO3粉末
9:失透域
10:結晶化域
11:ブラウニッシュリング発生域

Claims (1)

  1. チョクラルスキー法によるシリコン単結晶の育成に使用された後の石英ルツボの内面を、フッ酸、およびフッ酸と硝酸の混合液で洗浄し、続いて、ルツボの内面を1600〜2400℃で高温熱処理する再生処理を施し、この再生処理を施した石英ルツボを用いてシリコン原料を溶融し、この溶融液からチョクラルスキー法により単結晶を引き上げる際に、前記石英ルツボ内のシリコン原料に、BaCO3粉末を、シリコン原料に対する質量比で、1〜70ppm添加するシリコン単結晶の引上げ方法であって、
    前記石英ルツボ内のシリコン原料へのBaCO 3 粉末の添加を、当該シリコン原料の最表面で、且つ石英ルツボの内壁表面から中心軸方向へ20〜100mm離れた石英ルツボ壁近傍に、石英ルツボの周方向に均等に振りまくことにより行うことを特徴とするシリコン単結晶の引上げ方法。
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