JP4805391B2 - 液圧転写方法並びに液圧転写装置 - Google Patents
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このうち特許文献1は、水溶性フィルムの上に転写パターンのみを形成した従来の転写フィルムを用いながら、活性剤として硬化樹脂組成物(液体)を用い、転写後に被転写体に紫外線を照射することで、転写パターンと渾然一体となった硬化樹脂組成物(表面保護層)を硬化させる手法である。
また、特許文献2は、水溶性フィルムと転写パターンの間に硬化性樹脂層を形成した転写フィルムを用い、転写後の被転写体に紫外線等の活性エネルギー線の照射もしくは加熱によって転写パターン上の硬化性樹脂層を硬化させる手法である。
更に、紫外線硬化型樹脂の活性剤は、屋内とはいえ、光でわずかながらも活性剤成分が硬化するため、転写液の粘度は、更に高められる傾向となる。また上述したように、転写液のほとんどが再使用され、廃棄液量を抑制しようとする社会環境にあるため、これが転写液の粘度をより一層高める要因となっている。ただし、液圧転写では、高いレベルで安定して転写を行うことが求められるため、必然的に波立ちを抑える等、転写液面の安定化が図られ、これが活性剤(樹脂成分)の転写液中への混入を防ぐように作用することも事実である。
加えて、転写液L面上に供給された転写フィルムFは、一般に図19に示すように、転写液L面上で上側に位置する転写パターンと、下側に位置する水溶性フィルムとの伸び差により(水溶性フィルムの方が伸び率が高い)、次第に上にカールして行くものである。このため転写槽2に供給された転写フィルムFは、ますます側壁22付近に設けられたフィルム保持機構6と接触しにくくなるという問題があった。
水溶性フィルムに少なくとも転写パターンを乾燥状態で形成して成る転写フィルムを、転写槽内の液面上に浮遊支持し、その上方から被転写体を押し付け、これによって生じる液圧によって、被転写体に転写パターンを転写する方法において、
前記転写槽は、転写槽に供給された転写フィルムの両サイドを接触保持し、少なくとも転写が行われる没入エリアまで転写フィルムを移送するフィルム保持機構を、左右両側壁の内側に具えるものであり、
また、この転写槽は、転写液面上で液膜状となって滞留し、転写フィルムの伸展を阻害する活性剤成分を除去する伸展低下防止機構を具え、この伸展低下防止機構によって、フィルム保持機構と転写フィルムとの間の液面上に位置する活性剤成分を、フィルム保持機構と側壁との間に移送するようにしたことを特徴として成るものである。
前記転写槽には、フィルム保持機構の外側にオーバーフロー槽が設けられるものであり、前記フィルム保持機構と側壁との間に送られた活性剤成分が、このオーバーフロー槽によって回収され、槽外に排出されることを特徴として成るものである。
前記転写槽には、フィルム供給側の上方に送風機が設けられ、この送風によって転写フィルムの周囲への均一な延展を主に図り、また転写槽下流側への進行を補うものであり、
この送風機の左右両側に、前記伸展低下防止機構を設けるようにしたことを特徴として成るものである。
前記伸展低下防止機構は、転写液面上に供給された転写フィルムの両サイド部分に臨む液面に作用するようにエアを送る送風であり、この送風によって液面上の活性剤成分を、転写槽の両側壁側に追いやるようにしたことを特徴として成るものである。
前記伸展低下防止機構による送風は、着液により転写フィルムが転写液を含んで徐々に膨潤・軟化して広がる際の両サイドエッジ部に臨む液面に作用するように行われ、主に、このエッジ部位での伸展低下を抑制するようにしたことを特徴として成るものである。
前記伸展低下防止機構による送風は、多関節ジョイントタイプのフレキシブルホースを具えた圧縮空気吹出ノズルによって行われることを特徴として成るものである。
前記被転写体に施す液圧転写は、転写フィルムとして水溶性フィルム上に転写パターンのみを乾燥状態に形成したものを適用し、且つ活性剤として液体状の硬化性樹脂組成物を用いるか、
あるいは転写フィルムとして水溶性フィルムと転写パターンの間に硬化性樹脂層を具えた転写フィルムを適用するかのいずれかであり、
液圧転写によって被転写体に、表面保護機能も有する転写パターンを形成し、これを転写後の活性エネルギー線照射または/および加熱によって硬化させるものであることを特徴として成るものである。
転写液を貯留する転写槽と、
この転写槽に転写フィルムを供給する転写フィルム供給装置と、
活性剤により転写槽の液面上で活性化状態となった転写フィルムに対して上方から被転写体を押し付ける被転写体搬送装置とを具え、
水溶性フィルムに少なくとも転写パターンが乾燥状態で形成されて成る転写フィルムを、転写槽内の液面上で浮遊支持し、その上方から被転写体を押し付け、これによって生じる液圧によって、被転写体に転写パターンを転写する装置において、
前記転写槽は、転写槽に供給された転写フィルムの両サイドを接触保持し、少なくとも転写が行われる没入エリアまで転写フィルムを移送するフィルム保持機構を、左右両側壁の内側に具えるものであり、
またこの転写槽は、転写液面上に液膜状となって滞留し、転写フィルムの伸展を阻害する活性剤成分を除去する伸展低下防止機構を具え、この伸展低下防止機構によって、フィルム保持機構と転写フィルムとの間の液面上の活性剤成分を、フィルム保持機構と側壁との間に移送するようにしたことを特徴として成るものである。
前記転写槽には、フィルム保持機構の外側にオーバーフロー槽が設けられるものであり、前記フィルム保持機構と側壁との間に送られた活性剤成分は、このオーバーフロー槽によって回収され、槽外に排出されることを特徴として成るものである。
前記転写槽には、主に転写液面上に供給された転写フィルムの周囲への均一な延展を図り、またこのものの下流側への進行を補う送風機が、フィルム供給側の上方に設けられるものであり、
前記伸展低下防止機構は、この送風機の左右両側に設けられることを特徴として成るものである。
前記伸展低下防止機構は、転写液面上に供給された転写フィルムの両サイド部分に臨む液面に作用するようにエアを送る送風であり、この送風によって液面上の活性剤成分を、転写槽の両側壁側に追いやるようにしたことを特徴として成るものである。
前記伸展低下防止機構による送風は、着液により転写フィルムが転写液を含んで徐々に膨潤・軟化して広がる際の両サイドエッジ部に臨む液面に作用するように行われ、主に、このエッジ部位での伸展低下が抑制されるものであることを特徴として成るものである。
前記伸展低下防止機構には、多関節ジョイントタイプのフレキシブルホースを具えた圧縮空気吹出ノズルが、活性剤成分の除去手段として適用されることを特徴として成るものである。
前記転写フィルムとしては、水溶性フィルム上に転写パターンのみを乾燥状態に形成したものを適用するか、水溶性フィルムと転写パターンの間に硬化性樹脂層を具えたものを適用するかのいずれかであり、更に水溶性フィルム上に転写パターンのみを乾燥状態に形成したフィルムを適用した場合には、活性剤として液体状の硬化樹脂組成物を用いるものであり、
これにより液圧転写の際には被転写体に表面保護機能も有した転写パターンを形成し、これを転写後の活性エネルギー線照射または/および加熱によって硬化させるようにしたことを特徴として成るものである。
まず請求項1または8記載の発明によれば、転写フィルムを転写液面上に供給するにあたり、液面上に溜まる活性剤成分を除去するため、転写槽に供給された転写フィルムの側縁部分をフィルム保持機構まで積極的に行き届かせる(付着させる)ことができる。このため転写フィルムの両サイド部分(両側縁部分)を、フィルム保持機構に確実に保持させることができ、ほぼ一定の伸び率を維持した状態で転写フィルムを没入エリア(転写位置)まで移送することができる。
また、転写液面上の活性剤成分は、フィルム保持機構と側壁との間に送られるものであり、この部位は、転写位置にほとんど影響を及ぼさない部位であるから、活性剤成分を送り込む位置(除去する位置)として極めて合理的である。また、フィルム保持機構と転写フィルムとの間の液面上に位置する活性剤成分を、上記部位(フィルム保持機構と側壁との間)に移送するため、転写位置となる転写槽の中央部付近に活性剤成分が到達することなく、極めて精緻な転写が行える。
なお、説明にあたっては、まず本発明において好適に用いられる転写フィルムFについて説明し、その後、液圧転写装置1の全体構成について説明し、次いで液圧転写装置の作動態様について説明しながら、液圧転写方法について併せて説明する。
このようなことから、転写フィルムFとしても、水溶性フィルム(例えばPVA;ポリビニルアルコール)上に転写インクによる転写パターンのみが形成されたフィルム、あるいは水溶性フィルムと転写パターンとの間に硬化性樹脂層が形成されたフィルムの適用が好ましく、とりわけ水溶性フィルム上に転写パターンのみが形成された転写フィルムFを用いる場合には、活性剤として液体状の硬化樹脂組成物を使用するものである。ここで硬化樹脂組成物とは、光重合性モノマーを含む無溶剤タイプの紫外線または電子線硬化樹脂組成物が好ましいものである。
もちろん、水溶性フィルム上に転写パターンのみが形成された転写フィルムFを用い、液圧転写時には表面保護機能を付与せず、その後に、通常のトップコートを施して表面保護を図る場合(従来の液圧転写手法)においても、本発明の特徴的構成である伸展低下防止機構(転写液面上に供給された転写フィルムの伸展低下を抑制する機構)を適用することは可能である。
一方、被転写体Wにおいて装飾層が形成されない面(液圧転写を要しない面)を装飾不要面S2とし、ここには上記フィルムカス、泡Aなどが付着しても構わないものである(例えば意匠面S1側から回り込んだ転写パターンが歪んで転写されても構わない)。
このため換言すれば、意匠面S1は、完成品として被転写体W(液圧転写品)を最終的にアッセンブリ等として組み付けた状態において外観的に目視される部分となり、装飾不要面S2は、組み付け状態で外観的に目視されない部分であり意匠面S1の裏側となることが多い。
更に転写槽2は、転写液面上に供給された転写フィルムFの両サイドを保持するフィルム保持機構6と、被転写体Wの没入後に不要となった液面残留フィルムF′を転写槽2から回収(排出)する液面残留フィルム回収機構7と、主に出液エリアの浄化を図る出液エリア浄化機構8(出液する被転写体Wの主に装飾不要面S2側(意匠面S1の反対側))と、出液エリアにおいて浮上してくる被転写体Wの意匠面S1側の浄化を図る意匠面浄化機構9と、着液した転写フィルムFから離れ転写液面上に流出する活性剤を除去することにより転写液L面上に供給された転写フィルムFの伸展低下を防止する伸展低下防止機構10とを具えて成るものである。以下、各構成部について説明する。
ここで処理槽21において被処理体Wが転写液L中に投入される位置(入射位置)を没入エリアP1とし、被処理体Wが転写液L中から引き上げられる位置(出射位置)を出液エリアP2とするものである。因みに、液圧転写においては、被転写体Wの没入と同時に転写が実行・完了するものであるため、前記没入エリアP1は転写位置(転写エリア)とも言える。また、上記名称において主に「エリア」という語句を使用したのは、通常は、転写フィルムFの転写パターンの種類や状態により転写位置を前後に移動させたり、また、ある程度の広さを有した意匠面S1に、転写フィルムF(転写パターン)を転写するため、被転写体Wの没入/出液は、液面に対して、ある程度の角度を持った状態(ある程度の範囲ないしは広さ)で行われることが多いためである。
そして、本実施例では、被転写体Wが転写液Lに没入している間に、液面上に残ったフィルム(転写には使われず不要の液面残留フィルムF′)を、転写槽2の長手方向(液流方向)に分断するため、上記没入エリアP1と出液エリアP2との間隔は、ある程度の距離を設けることが好ましい。なお、転写槽2の長手方向に分断された液面残留フィルムF′は、その後、転写槽2の両側壁22に寄せられ(送られ)、ここから転写槽2外に排出(回収)されるものである。
このようにフィルム保持機構6(チェーンコンベヤ61)は、単に転写フィルムFの移送作用を担うだけでなく、転写位置におけるフィルムの伸びを一定に維持する作用(伸びを規制する作用)をも担うものであり、本明細書では、これらをまとめて「フィルムの保持作用」と称する。因みに、本実施例においては、このフィルムの保持作用を、液面残留フィルムF′を回収する部位では解除するものであり、その詳細は後述する。
なお、チェーンコンベヤ61以外のフィルム保持機構6としては、ベルトコンベヤや比較的太いロープ・ワイヤ等が挙げられる。
ここで送風機26による送風は、転写フィルムFに直接、風を作用させる(当てる)ことが大きな特徴である。つまり送風機26は、転写フィルムFそのものに送風する手法であって、転写フィルムFを風の力で強制的に周囲に押し広げる(伸展させる)という着想である。
また、送風機26は、転写フィルムFの下流側への移送作用を補助的に担うものであるため、その送風方向は、専ら上流側から下流側に向かう一方向である。もちろん、送風機26の取付位置も、転写槽2のセンター位置(幅中央)に設定されるものである。
更に、送風機26は転写フィルムFに直接、風を作用させるものであるため、比較的風量が強め(多め)に設定され、これに伴う波立ちが転写位置(没入エリアP1)にまで波及することが考えられる。従って、これを防ぐには、転写槽2内における送風機26から転写位置までの間に波消板などを設け、転写液面の安定化、とりわけ転写位置での液面の安定化を図ることが好ましい。
まず分割手段71から説明する。分割手段71は、被転写体Wの没入後つまり転写後、液面残留フィルムF′を速やかに分断する(分岐させる)ものであり、ここではフィルムに対して非接触でありながらも確実に分断が行える送風手法を採用する。具体的には、一例として図1に示すように、送風機73を処理槽21の一方の側壁22上に設け、ここから液面上の液面残留フィルムF′に風を当てるものである。ここで、上記説明では単に「送風機(73)」と記載したが、この文言には、送風機に接続される延長ダクトやノズル等を含むものである。
また、上記説明では、液面残留フィルムF′の分断を速やかに行うように記載したが、分割手段71の分断作用(ここでは風量)が転写位置(没入エリアP1)の転写フィルムFに変形(返り波等による柄歪み)、応力等などの悪影響を生じさせては、転写そのものが精緻に行えなくなるため、分割手段71の作用が及ぶ範囲は、転写位置に悪影響を及ぼさないように(例えば、ある程度の距離をおいて)設けられる。別の言い方をすれば、分割手段71としての送風機73の風量(風力)は、転写位置に悪影響を及ぼさないことを考慮して比較的弱く設定される。そのため、分割手段71としての送風機73は、転写位置の前後移動に応じて、設置位置が転写槽2の長手方向に沿って自由に移動できることが好ましく、これにより転写位置に悪影響を及ぼさずに、分断作用を発揮する適切な位置設定が容易となる。
また、本実施例では、分割手段71としての送風機73を一方の側壁22上に設け、液面残留フィルムF′を二分割することから、両側壁22への分割比率は一例として約8:2〜7:3程度の割合である。もちろん液面残留フィルムF′を分割するには、左右の側壁22にほぼ均等に分けることも可能であるが、この場合には、転写槽2の幅中央に分割手段71(送風機73)を設置するのが一般的と考えられ、転写槽2の幅中央に位置する被転写体搬送装置5との設置態様を考慮する必要がある。
もちろん、補助送風機73aの送風方向は、必ずしも図1の態様に限定されるものではなく、例えば図4に示すように、補助送風機73aの送風方向をメインの送風機73の送風方向とほぼ沿うように設定することも可能である。因みに、この図4の実施例では、液面残留フィルムF′は結果的に三分割され、三カ所で回収されており、このため本実施例は、液面残留フィルムF′の分割態様が必ずしも二分割に限定されないこと(二カ所での回収に限定されないこと)を示しているとも言える。つまり、転写フィルムFの性状や分割・回収の状況等によって、種々の分割形態、回収形態が採り得るものである。
更に、例えば図5は、分割手段71として三基の送風機(メインの送風機を73、補助送風機を73a、73bとする)を設けた実施例であり、補助送風機73aの風量が弱いために(大きくし難いために)、最後に別の補助送風機73bで、分断した液面残留フィルムF′の一方を横方向に確実に押しやる思想である。
なお、液面残留フィルムF′を送風によって分断する上記手法は、液面残留フィルムF′を非接触状態で分断でき(送風機73自体をフィルムに直接触れさせずに分断でき)、転写位置の転写フィルムFに変形等の悪影響を及ぼし難い点で効果を奏するものである。
また、このようなオーバーフローによる排出構造を採ることから、上述したように排出口76ではフィルム保持機構6(ここではチェーンコンベヤ61)によるフィルムの保持作用を解除するものであり、両側壁22に押しやった液面残留フィルムF′を排出(回収)し易くしている。逆に言えば、オーバーフロー槽75の排出口76に、通常通りにチェーン62が走っていると、チェーン62が排出口76を塞ぎ、液面残留フィルムF′の排出を阻害するため、本実施例では、排出口76部分でフィルムの保持作用を解除したものである。
ただし、チェーンコンベヤ61は、側面から視てオーバーフロー槽75(排出口76部分)に対し幾らかオーバーラップするよう、つまりフィルム保持作用の終端部となるスプロケット63が、側面から視てオーバーフロー槽75と幾らか重なるように設けることが好ましく、これについては後述する。
なお、排出口76部分でチェーンコンベヤ61によるフィルムの保持作用を解除するには、上記以外の他の手法も採用できる。すなわち、通常、チェーンコンベヤ61は、上述したように、側面視状態で、上側のチェーン62の中心が液面レベルと合致するように設定されるため、例えば図6(a)に示すように、排出口76付近では、チェーンコンベヤ61を全体的に液面下に沈降させて、この部分でフィルムの保持作用を解除することが可能である。あるいは逆に、図6(b)に示すように、排出口76付近で、液面の上方空間までチェーンコンベヤ61を持ち上げて、フィルムの保持作用を解除することも可能である。ここで図中符号64は、排出口76付近でチェーン62が排出口76を塞がないようにチェーンコンベヤ61を上または下に規制するガイド体であり、更に図中符号65は、チェーンコンベヤ61を通常の高さ(軌道)で案内するガイド体である。
因みに、排出口76に遮断手段77を設けずに、排出口76の全域から液面残留フィルムF′をオーバーフロー槽75に導入した場合には、側壁22に寄って来ている液面残留フィルムF′を全体的に引っ張ってしまい、これが転写位置にまで及んで転写位置の転写フィルムFに変形等の悪影響を与えてしまうことが本出願人によって確認されている。
また、このオーバーフロー槽75で回収した転写液Lは、液面残留フィルムF′すなわち転写パターン(インク成分)や半溶解状の水溶性フィルム等を多く含み、夾雑物の混入度が高いため、そのまま廃棄されることが好ましいが、フィルタリング等の浄化装置24によって、これら夾雑物を除去した後、循環使用に供することも可能である。
また、オーバーフロー槽75は、転写槽2の側壁22(フレーム)に対して液流方向となる前後方向がボルト等によって留められ、オーバーフロー槽75の全体的な高さが変更できるともに、オーバーフロー槽75自体の前後方向の傾きが調整できるように取り付けられることが好ましい。また、オーバーフロー槽75全体が、前記送風機73と同様に、転写位置の変更を考慮して、転写槽2の長手方向に自由に前後移動できることが好ましい。更に、遮断手段77も、排出口76に対する設置位置が適宜変更でき、またその幅(前後方向長)も適宜変更できる構成が好ましい。
まず、図7(b)は、チェーンコンベヤ61がオーバーフロー槽75とオーバーラップしない場合を示しており、このときチェーンコンベヤ61のスプロケット63(移送終端部)は、オーバーフロー槽75よりも上流側に位置する。この場合、チェーン62に保持された液面残留フィルムF′の両サイド部分(筋状部分)は、オーバーフロー槽75の速い流速の落液の力によってチェーン保持(接触)が解除される傾向となる。すなわち、この状態では図示するように、液面残留フィルムF′の両端部が、先にオーバーフロー落液に引っ張られて保持が解除され、これが上流側に遡ってフィルム全体の柄曲がりを誘発し得る。当然、このような柄曲がりの影響は、没入エリアP1の転写フィルムFの柄歪みにつながるものである。
これに対し、図7(a)に示すように、チェーンコンベヤ61をオーバーフロー槽75に対し幾らかオーバーラップさせた場合には、液面残留フィルムF′がオーバーフロー槽75に至るまで、チェーンコンベヤ61によるフィルムの保持作用が及ぶものである。このため、液面残留フィルムF′は、排出口76に到達するまで、両サイド部分がチェーンコンベヤ61によって確実に保持され、オーバーフロー槽75(遮断手段77の手前側)に導入される液面残留フィルムF′は、あたかもチェーンコンベヤ61の末端を回り込むように落水し、転写位置に悪影響を及ぼすことなく確実に回収されるものである。
すなわち図8に示す収容式遮蔽体79は、一例として断面コの字型を成す側溝状の部材であるが、このものは回収液を受け入れる容器(溝)として使用されるのではなく、図8(b)に示すように、コの字型断面の開口部分(開放部分)を下に向けるようにオーバーフロー槽75に収められ(落とし込まれ)、コの字型断面の中央平面部分でオーバーフロー槽75の上部開口側を部分的に閉塞するものである。このため収容式遮蔽体79は、オーバーフロー槽75内で、言わばブリッジ状に設置されるものであり、この設置状態で収容式遮蔽体79の上部に位置する平面部位(オーバーフロー槽75を閉塞する部分)が、上記堰板78と同様に堰の作用を担うものであり、このようなことから当該平面部分を堰作用部79aとする。また、堰作用部79aの両側に対設される部位を脚部79bとするものであり、この両脚部79bをオーバーフロー槽75内に収めることにより、収容式遮蔽体79は、前後方向の移動のみが許容されるものである。
この点、先に述べた堰板78では、通常、このものをオーバーフロー槽75の排出口76に立設することから、堰板78をオーバーフロー槽75(排出口76)に取り付ける固定手段が別途必要となり、また上述した調整を行うには着脱を伴うが、収容式遮蔽体79であれば、特にこのような固定手段が要らず、また調整も極めて容易に行い得るものである。
更に、堰作用部79aをわずかに水没させることで、当該部分にフィルムカスが引っ掛かり難く、またたとえ当該部分にフィルムカスが引っ掛かって止まっても(乗り上げて止まっても)、これを回収でき、転写槽2内の転写液Lを汚すことがないものである。
この点、先に述べた堰板78は、一般的なせき止め構造であり、堰板78が転写液L面よりも上に突出するため、堰板78にフィルムカスが引っ掛かることが考えられ、その場合には、これがやがて粉々になり転写槽2内に落下し、転写液Lを汚しかねないものである。
また、液面残留フィルム回収機構7(排出手段72)としては、必ずしもオーバーフロー構造に限定されるものではなく、他の回収手法も採り得るものであり、例えば液面付近の転写液Lを、分断した液面残留フィルムF′とともに吸い込むバキューム手法が挙げられる。すなわち、この場合には、排出手段72として吸い込みノズルが適用される。
そして、当該機構により、被転写体Wがまだ転写液L中に存在する間に、これらの夾雑物や泡Aを出液エリアP2から連続的に遠ざけ、出液エリアP2の浄化を図ると同時に、被転写体Wの意匠面S1側への回り込みまでをできる限り防止するものである。
なお、オーバーフロー槽82で回収した転写液Lは、比較的、夾雑物の混入割合が低いため、回収液はフィルタリング等の浄化装置24により夾雑物を除去した後、循環使用に供することが好ましい(図2参照)。
このように出液エリアP2は、液面上では送風機85によって泡Aや夾雑物が連続的に除去され、且つ液中の夾雑物も併せてオーバーフロー槽82によって回収されるため、これらの相乗効果により、高クリーン化が図られると同時に、被転写体Wの意匠面S1側への夾雑物の回り込みまでも防止できるものである。
なお、出液エリア浄化機構8の排出手段81としては、必ずしも上記オーバーフロー構造だけでなく、他の排出手法も採り得るものであり、例えば夾雑物が混入した転写液Lを主に液面付近で吸い込むバキューム手法が挙げられる。すなわち、この場合には、排出手段81として吸い込みノズルが適用される。
なお、意匠面離反流は、上述したように新水供給によって形成することが好ましいため、例えば図2では、離反流形成手段91としてのオーバーフロー槽92の下方、より詳細には転写液レベルの中位付近から液面付近までの間で、被転写体Wの意匠面S1に向けて前記循環管路23による浄化水の一部を供給するようにしている。また、この浄化水供給(新水供給)の一部は、上述した出液エリア浄化機構8のサイド離反流に利用されることが好ましく、この場合には上記新水供給が、出液エリア浄化機構8にも寄与するものとなる。
また、被転写体Wを液中から引き上げるとき、被転写体Wの引き上げ速度と留まっている液面との速度差により、被転写体Wの液面近傍から被転写体Wに向かって流れる力が働くことになる。
このようなことから、出液中の被転写体Wに対しては、自ずと意匠面S1に回り込む流れ(意匠面S1に向かう流れ)が形成されるものであり、従って、そのままでは転写液L中に分散・滞留する夾雑物が意匠面S1に寄せ付けられて付着することがある。このため、本実施例では意匠面浄化機構9による意匠面離反流によって、意匠面S1に向かう転写液Lの流れを打ち消す、もしくは極力抑えるようにしたものである。
なお、意匠面浄化機構9における離反流形成手段91としては、必ずしも上記オーバーフロー構造だけでなく、他の排出手法も採り得るものであり、例えば図10(c)に示すように、夾雑物を含む転写液Lや新水を主に液面付近で吸い込むバキューム手法が挙げられる。すなわち、この場合には、離反流形成手段91として吸い込みノズル95が適用される。
因みに、各架台29、30の移動方法は、手動あるいはリニアモータ等を用いて自動制御することが可能である(実際には被転写体Wの引き上げプログラム等に合わせ、架台29、30の位置を自動的に動かすプログラムが現実的である)。
伸展低下防止機構10は、転写液L面上に供給された転写フィルムFの両サイドを、転写槽2の側壁22近傍に設けられたチェーン62に確実に且つ安定して付着させるための機構である。従って、伸展低下防止機構10がない場合には、上記〔背景技術〕の欄で述べたように、液圧転写を繰り返し行っていると、当初は着液後チェーン62まで伸展していた転写フィルムFが付着しなくなり、そのため当該機構によって、このような伸展低下を防止するものである。
また、本実施例では、既に述べたようにフィルム保持機構6としてのチェーンコンベヤ61の外側に、転写槽2の両側壁22に沿ってオーバーフロー槽75を設けるため、ここで上記フィルム保持機構6と側壁22との間に送った活性剤成分Kを回収するものである。もちろん、この場合には、例えば図3に併せ示すように、オーバーフロー槽75の前縁側(上流側)にも活性剤成分Kを導入・回収する排出口76aが形成されるものである。
また、図1では、送風の際、転写フィルムFが着液によって伸展する上流側(前方側)の液面、より具体的にはフィルム保持機構6の作用開始端よりも上流側の液面にエアを作用させるように送風しており、これは転写フィルムFが伸展しようとする前に、その阻害要因となる活性剤成分Kを除去することで、転写フィルムFの伸展をより効果的に行わせるためである。このような送風により転写液面上に浮遊する活性剤成分Kは、フィルム保持機構6の作用開始端を迂回しながら、側壁22とフィルム保持機構6との間に送り込まれるものである。
もちろん、圧縮空気吹出ノズル102による送風は、図2に併せ示すように転写液Lの液流に沿うような下流向きで行うことも可能である。ただし、この場合でも、転写液面上の活性剤成分Kを両側壁22に追いやるように、送風することが好ましい。より詳細には、側壁22近傍に浮遊する液面上の活性剤成分Kを、フィルム保持機構6(チェーンコンベヤ61)の開始点の前から、フィルム保持機構6(チェーンコンベヤ61)と側壁22との間に押しやるように送風することが好ましい。因みに、このような下流向きの送風形態では、液流方向(下流方向)に対し50度〜90度程度が好ましいものである。
以上述べたように、伸展低下防止機構10(除去手段101)としての送風は、転写フィルムFに直接、エアを作用させないことが好ましい点や、送風方向に幅がある点で、上記送風機26とは大きく相違するものである。逆に言えば、上記送風機26は、転写フィルムF表面に直接エアを作用させるものであり、なお且つ送風方向もフィルムの移送を考慮して、上流から下流へと向かう一方向に設定されるものである。
本出願人は、伸展低下防止機構10の送風効果を確認すべく、以下のような試験を行った。この試験は、転写槽2に4000リットルの転写液L(水)を入れて循環させておき、従来の液圧転写フィルムに従来の活性剤を塗布しつつ連続運転を行い、転写フィルムがフィルム保持機構6に付着しなくなった(離れた)時点で終了とし、活性剤の使用量を確認するものである。ここで1回目(試行1)は、伸展低下防止用の送風を行わず、2回目(試行2)にだけ該送風を行った。その結果、試行1は約5時間後、約4kgの活性剤を使用した時点で、転写フィルムがフィルム保持機構6に付着しなくなった。また、試行2は、転写槽2の水を交換し、上述したように伸展低下防止機構10の送風を行ったこと以外は同じ条件で行ったが、試行2では、全く変化が見られず、転写フィルムが常に安定してフィルム保持機構6に到達し続けたため、10時間の連続運転を経過した段階(約8kgの活性剤を使用)で、確認(試験)を終了した。
このようなことから、伸展低下防止用の送風を行う際には、送風量を調整する目安として、
(転写液中の活性剤濃度+転写液面上の活性剤濃度に伴う液膜や液粘度によるフィルム 伸展を阻害しようとする抵抗力)<フィルム伸展力
という関係が成り立つように送風すれば良いと結論付けられる。
ここで、転写フィルムFの伸展を阻害する要因(条件)として、液面上の活性剤濃度(割合)のみならず、転写液中の濃度も考慮に入れたのは、上述したように転写を繰り返し行うことで、転写液中に溶け込んだ活性剤の濃度が次第に高まって行くためである。その点では、新水供給によって転写液中の活性剤濃度を低下もしくは低い状態で維持することが可能であるため、新水供給によっても転写フィルムFの伸展低下防止を図ることが考えられる。因みに、本実施例では、この点も考慮して新水供給を併せて行ったものである。
また、本実施例では伸展低下防止機構10の圧縮空気吹出ノズル102を送風機26とともに設けたが、伸展低下防止機構10は、必ずしも送風機26とともに設ける必要はなく、伸展低下防止機構10による送風(活性剤成分Kの除去)や液流あるいはフィルム保持機構6による移送作用(保持作用)によって転写フィルムFの周囲への延展が行える場合には、液圧転写装置1の全体構成から送風機26を削除することが可能である。
ここで上記説明では、ロール巻きしたフィルムロール31から順次、転写フィルムFを転写槽2に繰り出すように説明したが、例えば最初から矩形状にカットされた転写フィルムFを一枚ごと転写槽2に供給し、この上方から被転写体Wを押し付けることも可能である。
コンベヤ51は、一例として図1に示すように、平行に配置された一対のリンクチェーン53にリンクバー54を横架するともに、このリンクバー54に所定の間隔で治具ホルダ52を配設して成り、被転写体Wを治具Jとともに連続的に転写液L中に没入・出液させるものである。なお、没入側における被転写体W(治具J)のコンベヤ51への取り付けや、転写後の出液側における被転写体W(治具J)のコンベヤ51からの取り外しは、ロボットにより自動で行うことも可能であるし、作業者による手作業で行うことも可能である。また、コンベヤ51による被転写体Wの搬送速度(特に没入エリアP1における速度)は、転写フィルムFの液面上の移送速度(すなわち転写液Lの液流速度)とほぼ同調するように設定されるのが一般的である。
因みに、従来の三角コンベヤ部55のみによる搬送態様では、被転写体Wの没入が、下方の頂点部分(没入側ホイール56)のみで行われ、言わば短時間または瞬間的な没入であるのに対し、本実施例における被転写体Wの没入は直線的と言え、没入時間を長く確保したものと言える。
このようなことから、本実施例では、没入エリアP1から出液エリアP2までの距離が比較的長く確保でき、被転写体Wを没入させている間に液面残留フィルムF′を分断し、且つ両側壁22部分で回収するのに好適な搬送態様である。
更に、本実施例では、没入側ホイール56から出液側ホイール57までの区間は、液中における被転写体Wの移動軌跡をほぼ水平に設定するものである。またコンベヤ51は、このような構造上、従来の三角コンベヤ部55と直線コンベヤ58部とを出液側ホイール57によって接続した構成を採るものであり、以下これらの構成部材について説明する。
また、直線コンベヤ部58も、下方のチェーンホイール59を中心として回動自在に構成され、いわゆるパンタグラフ状の構造を採るものである。これは(直線コンベヤ部58を回動自在としたのは)、三角コンベヤ部55の回動によって被転写体Wの没入角を変更しても、コンベヤ51全体の移送長(リンクチェーン53の全長)は変えられず、またコンベヤ51に掛けるテンションも維持する必要があるためである。言い換えれば、直線コンベヤ部58を回動させることで、このものの回動自由端側をいわゆるテンションプーリとして機能させたものである。
ここで図12(a)中の実線部分が、没入角が比較的小さい場合の搬送軌道であり(一例として15度程度の没入角)、図12(b)中の実線部分が、没入角が比較的大きい場合の搬送軌道である(一例として30度程度の没入角)。因みに、本実施例では、出液側ホイール57〜直線コンベヤ部58の回動中心側(チェーンホイール59)までの間が固定状態に設定されているため(定位置での回転のみ許容)、出液角は変更できないものである(固定設定されている)。
また、出液側ホイール57の径寸法は、没入側ホイール56と同じ大きさか、これより大きいものが好ましく、これは出液側ホイール57が小さいと、被転写体Wが出液する際に出液側ホイール57の外側を回る周速度(回転速度)や角度変化が大きくなるためである(転写液Lに対する速度差が過大となる)。すなわち、本コンベヤ51にあっては、リンクバー54が取り付けられるリンクチェーン53部分での移送速度(チェーン走行速度)が一定に維持されるため、出液側ホイール57の径寸法(回転半径)が小さくなると当該ホイール外側を回る被転写体Wの周速度(回転速度)や角度変化が大きくなるものである。
もちろん本実施例においても、やはりコンベヤ51全体の移送長(リンクチェーン53の全長)は変えられないため、被転写体Wの没入角を変更させた場合には、テンションプーリーのように出液側の直線コンベヤ部58Bも振って、出液角を変更させるものである。従って、本実施例では、出液角が変更可能ではあるものの、これは没入角と関連する変更であり、何の制限もなく出液角を自由に変更できるものではない。因みに、図13中の実線部分が、没入角が大きく且つ出液角が小さい場合の搬送態様である。また図中の二点鎖線部分が、没入角が小さく且つ出液角が大きい場合の搬送態様である。因みに、具体的な角度としては、一例として没入角が15度〜35度程度で変更可能であり、出液角が75度〜90度程度で変更可能である。
なお、図16中、破線部を指す符号111は、被転写体Wを転写液L中に没入させるための転写ロボットのハンドであり、一般には被転写体Wを保持した治具Jを把持するものである。また図中、二点鎖線部を指す符号112は、転写後の被転写体Wを液中から引き上げ、UV照射工程用のコンベヤCに乗せるための移載ロボットのハンドであり、ここでも被転写体Wを保持した治具Jを把持するのが一般的である。
更に、コンベヤ51では出液時の搬送軌道は、コンベヤ51に沿った直線的な引き上げしかできず、上記図11に示すように、被転写体W(意匠面S1)の湾曲状態や凹凸度合い等によっては、意匠面S1がオーバーフロー槽92(排出口93)から徐々に遠ざかってしまうことが考えられた。これに対しロボット110による引き上げの場合には、被転写体Wの湾曲形状や凹凸度合い等によって、意匠面S1とオーバーフロー槽92(排出口93)の距離を一定に保つように、被転写体Wを前後に動かしたり、回転させながら引き上げることができるため、意匠面S1からオーバーフロー槽92に向かう意匠面離反流により、意匠面S1の浄化と、液面上の泡Aや転写液中・液面上の夾雑物の排除とを確実に行うことができ、無人で効率的に連続して、精緻な転写を行うことができる。
(1)転写フィルムの供給
液圧転写を行うにあたっては、まず転写液Lを貯留した転写槽2に転写フィルムFを供給する。ここでは上述したように、液圧転写の際に表面保護機能も有する転写パターンを形成することが好ましいため(転写後のトップコートが不要となる)、転写フィルムFとしても水溶性フィルムの上に転写インクによる転写パターンのみが形成されたものを使用するか、あるいは水溶性フィルムと転写パターンとの間に硬化性樹脂層が形成されたものを使用するものであり、とりわけ水溶性フィルム上に転写パターンのみが形成された転写フィルムFを使用する場合には、活性剤として液体状の硬化樹脂組成物を適用することが好ましい。
また、本発明では、転写槽2に転写フィルムFを供給するにあたり、フィルム保持機構6(チェーンコンベヤ61)と転写フィルムFとの間の転写液L面上で液膜状となり、転写フィルムFの伸展を低下させる活性剤成分Kを除去するものである。これには例えば図1に示すように、圧縮空気吹出ノズル102によって、転写フィルムFの広がりエッジに臨む液面に送風して、ここに溜まる(浮遊する)活性剤成分Kを、フィルム保持機構6の作用開始端(前方側)を回り込ませながら、フィルム保持機構6と側壁22との間に追いやるものである。これにより転写フィルムFの広がりエッジに臨む液面では、常時、活性剤成分Kが除去されるため、転写フィルムFの両サイド部分(両側縁部分)がフィルム保持機構6としてのチェーンコンベヤ61に確実に到達し続け、ほぼ一定の伸び率を保った状態で没入エリアP1(転写位置)まで移送されるものである。
なお、フィルム保持機構6と側壁22との間に追いやった活性剤成分Kは、その後、オーバーフロー槽75(排出口76a)に導入して回収することが好ましく、これは活性剤成分Kを転写槽2から連続的に回収(排出)し、転写フィルムFの伸展ひいては精緻な液圧転写を連続して行うためである。
このようにして転写フィルムFが転写液L面上で転写可能な状態となった後、例えばコンベヤ51に保持された被転写体Wが、順次適宜の姿勢で(没入角で)転写液Lに投入される。もちろん、この没入角は被転写体W(意匠面S1)の形状や凹凸などによって適宜変更可能である。
ここで、本実施例では、没入エリアP1が、その後に液中から引き上げられる出液エリアP2とは幾らか離れており、被転写体Wを転写液L中に没入させている時間が比較的長いものである。因みに、没入中、被転写体Wは液中においてほぼ水平に移送されることが好ましい。
また、液面上の転写フィルムFは、上記図1のように被転写体Wの没入によって突き破られて孔が開いた状態となり、この液面に残されたフィルムが、転写に用いられなかった液面残留フィルムF′である。そのため本実施例では、この液面残留フィルムF′を、下流の出液エリアP2まで到達させないように、転写後できるだけ早期に且つ確実に回収するものであり、以下この回収態様について説明する。
液面残留フィルムF′を回収するにあたっては、まず液面残留フィルムF′を没入エリアP1の下流側で、なお且つ出液エリアP2の上流側において、液流方向に分断するものであり、これには図1に示すように、転写後の液面残留フィルムF′にエアを吹き付けて分断する。その後、エアによって分断された液面残留フィルムF′は、送風や液流等によって次第に両側壁22に寄るように送られ、ここで図3に示すように、両側壁22に設けたオーバーフロー槽75等によって回収される。
そして本実施例では、液面残留フィルムF′の回収を妨げることがないように、オーバーフロー槽75(排出口76)では、フィルム保持機構6(チェーンコンベヤ61)によるフィルムの保持作用を解除するが、オーバーフロー槽75の手前(上流側)で解除するのではなく、例えば図7(a)に示すように、フィルムの保持作用が幾らか排出口76に及ぶように構成されることが好ましい(オーバーラップ状態)。これは、オーバーフロー槽75に至るまで液面残留フィルムF′を確実にチェーンコンベヤ61に保持させるためであり、これにより液面残留フィルムF′は、転写位置にある転写フィルムFを引っ張ってしまうことなく、オーバーフロー槽75部分で、チェーンコンベヤ61末端のスプロケット63を回り込むように流れ、オーバーフロー槽75に落下、回収されるものである。
このようにして、エアで分断された液面残留フィルムF′は、オーバーフロー槽75によって、確実に且つ転写位置(没入エリアP1)に悪影響を及ぼすことなく回収されるものである。
ここで遮断手段77としては、図3・8に示したように堰板78や収容式遮蔽体79を適用することが可能であるが、収容式遮蔽体79であれば、オーバーフロー槽75に落とし込むだけでこのものを固定でき、また収容式遮蔽体79を前後にスライドさせることで排出口76に対する位置設定や、前後二段階で行う回収割合の調節も容易に行え、好ましいものである。
なお、このような液面残留フィルムF′の回収は、当然、出液エリアP2よりも上流側で完了させるものである。
また、このような液面残留フィルムF′の回収に伴い、本実施例では出液エリア浄化機構8によって出液エリアP2、特に装飾不要面S2側を浄化するものであり、以下これについて説明する。出液エリア浄化機構8は、出液エリアP2における転写液中・液面上の夾雑物や液面上の泡Aを出液エリアP2から遠ざけ、槽外に排出するものである。これには、例えば図3に示すように、出液エリアP2の左右両側壁22にオーバーフロー槽82を設け、出液エリアP2からオーバーフロー槽82に向かうサイド離反流を形成するものであり、これにより主にフィルムカス等の液中の夾雑物を出液エリアP2に寄せ付けないようにし、且つその回収を図っている。更に、本実施例では図1〜3に示すように、転写槽2の一方の側壁22(オーバーフロー槽82の上方)上に送風機85を設け、ここから出液エリアP2を通って反対側のオーバーフロー槽82に至るように送風を行っている。これにより出液エリアP2(装飾不要面S2側)の液面上に発生する泡Aや夾雑物をオーバーフロー槽82に送り込み、回収するものである。また、このため、オーバーフロー槽82には、流速増強用ツバ84を形成し、液面付近での流速(導入速度)を速めることが好ましい。
なお、上記サイド離反流を形成するには、一部新水を利用することが望ましい。
また、本実施例では意匠面浄化機構9によって、出液エリアP2の意匠面S1側を浄化するものである。すなわち、当該機構は、被転写体Wを引き上げるにあたり、出液中の被転写体Wの意匠面S1を浄化し、更に先行して引き上げられた被転写体W(治具J)から落下した雫によって生じた液面上の泡Aや、転写液中・液面上の夾雑物を意匠面S1から遠ざけ出液エリアP2から排除するものであり、以下これについて説明する。
意匠面浄化機構9は、出液中、通常、下流側を向くために意匠面S1に回り込む流れを極力解消し、意匠面S1に夾雑物を寄せ付けないようにするものである。具体的には、図1・2に示すように、出液エリアP2にオーバーフロー槽92を設けて成り、これにより出液中の被転写体W(意匠面S1)に、新水による意匠面離反流を形成する。ここで上記オーバーフロー槽92には、流速増強用ツバ94を形成し、液面付近での流速(導入速度)を速めることが好ましい(図3・10参照)。
なお、被転写体Wの出液に伴い、被転写体W(意匠面S1)が離反流形成手段91としてのオーバーフロー槽92から離反して行く場合には、オーバーフロー槽92を被転写体Wに徐々に接近させたり、オーバーフロー槽92の水位(液レベル)を下げて流速を上げることにより、意匠面離反流を強化させたりすることが好ましい(図11参照)。
因みに被転写体搬送装置5としてマニピュレータを用いた場合には、被転写体Wとオーバーフロー槽92との距離を一定に保つように、被転写体Wの出液軌道を制御して出液させることが好ましい。
更に、本実施例では、転写槽2の底部に傾斜板27を設置するものであり、この傾斜板27は、転写槽2の底部に生じる循環還流による微速な液流と、被転写体Wの液中でのほぼ水平な動き(傾斜板27の上方)による液流を利用して、転写液L中に滞留する夾雑物を捕捉するものである。このため、傾斜板27は転写液Lを浄化する作用を担うものであるが、転写液Lが循環使用されることを考慮すれば、間接的に出液エリアP2のクリーン化に寄与すると言える。従って、本実施例では、これら液面残留フィルム回収機構7、出液エリア浄化機構8、意匠面浄化機構9、傾斜板27等によって、出液エリアP2のクリーン化が高いレベルで達成されるものである。
因みに、液圧転写後にトップコートを行い、転写パターンの表面保護を図る従来の液圧転写では、液圧転写後に水洗浄等を行い被転写体W(意匠面S1)に付着した水溶性フィルムを除去し、その後にトップコートを行っていたため、転写時に意匠面S1にフィルムカス等の夾雑物が付着すること自体が即、不良になるものではない。しかしながら、このような従来の液圧転写においても、出液エリアP2のクリーン化や転写液Lの清浄度を高いレベルで維持することは、精緻な液圧転写が行える点で好適であり、本実施例におけるこのような技術思想は、従来の液圧転写においても好ましいものである。
被転写体Wは、上記のように高いレベルでクリーン化が達成された出液エリアP2から引き上げられるものであり、このため意匠面S1への夾雑物や泡Aの付着はほとんどないものである(不良率の低減)。また、被転写体Wを転写液Lから引き上げる際の出液角は適宜変更可能である。
なお、被転写体Wは、転写液L中では(没入側ホイール56から出液側ホイール57の区間における搬送軌道では)、ほぼ水平に移送されることが好ましく、これは転写液L中及び出液時の回転動作中に、被転写体Wに過度な速度や角度変化に伴う意匠面S1への応力付与を避けるためである。
転写液Lから引き上げた被転写体Wには、その後、転写パターン(装飾層)を硬化させる処理が施される。ここでは被転写体Wに紫外線等の活性エネルギー線を照射するものであり(図17(c)参照)、この際、被転写体Wは、意匠面S1に半溶解状のPVAが付着したままの状態である。なお、転写パターン(装飾層)を硬化させる他の手法としては、上記活性エネルギー線照射の他に加熱も挙げられるが、これらを両方行って硬化させることも可能である。因みに、特許請求の範囲(請求項7、14)に記載した「活性エネルギー線照射または/および加熱」という記述は、これらの硬化処理のうちどちらか一方または双方を行うことを意味している。
その後、被転写体Wは、水洗浄等によってPVAが除去され(脱膜)、乾燥を経て、一連の作業が終了となる。なお、本実施例では既に転写パターン(装飾層)を硬化させているため、乾燥後のトップコートは不要であるが、この後、更にトップコートを行うこと自体は何ら差し支えない。
次に、被転写体Wが意匠面S1に開口部Waを有している場合の好ましい転写態様について説明する。このような被転写体Wについては、例えば図17(a)に示すように、開口部Waの裏面(装飾不要面S2)側に適宜の間隙CLをあけて薄膜誘導体120を設けて転写を行う(転写液Lに没入させる)ことが好ましい。これは、そのままでは表側の意匠面S1に張る薄膜Mを、薄膜誘導体120によって図17(b)に示すように、開口部Waと薄膜誘導体120との間(間隙CL)に張らせるためである。
このようなことから、薄膜誘導体120は、一例として図17(a)に併せ示すように、開口部Waを正面から視た状態で、開口部Waとほぼ同等の大きさか、それよりも一回り大きめに形成するものであり、これは開口部Waの全周において間隙CLを確実に形成するための構成である。
また、薄膜誘導体120を開口部Waの裏側に位置させるにあたっては、治具Jに薄膜誘導体120を取り付けてもよいし、被転写体Wの裏面(アッセンブリとしての組付構造)を利用して薄膜誘導体120を直接、被転写体Wに取り付けても構わない。
なお、ロボット転写を行う場合や、コンベヤ51を適用しても被転写体Wをオーバーハング状態で液中から引き上げる場合等には、意匠面S1を上にした裏返し状態で引き上げることが可能であるため、被転写体Wが意匠面S1に開口部Waを有していても、このような薄膜誘導体120を用いずに液圧転写を行うことが可能である(意匠面S1に泡Aが付着し難いと考えられる)。これは裏返し状態での引き上げなら、被転写体W(意匠面S1)に付着した液体は、重力により自然に下方に当たる裏側に流れ込むため、破裂残渣による泡Aが発生しても、これも上記流れに沿って装飾不要面S2側に回り込むと考えられるためである。
2 転写槽
3 転写フィルム供給装置
4 活性剤塗布装置
5 被転写体搬送装置
6 フィルム保持機構
7 液面残留フィルム回収機構
8 出液エリア浄化機構
9 意匠面浄化機構
10 伸展低下防止機構
2 転写槽
21 処理槽
22 側壁
23 循環管路
24 浄化装置
25 循環ポンプ
26 送風機
27 傾斜板
28 取水口
29 架台
30 架台
3 転写フィルム供給装置
31 フィルムロール
32 ヒートローラ
33 案内コンベヤ
34 ガイドローラ
4 活性剤塗布装置
41 ロールコータ
5 被転写体搬送装置
51 コンベヤ
52 治具ホルダ
53 リンクチェーン
54 リンクバー
55 三角コンベヤ部
56 没入側ホイール
57 出液側ホイール
58 直線コンベヤ部
58A 直線コンベヤ部
58B 直線コンベヤ部
59 チェーンホイール
59A チェーンホイール
59B チェーンホイール
110 ロボット(多関節形ロボット)
111 ハンド(転写ロボット)
112 ハンド(移載ロボット)
120 薄膜誘導体
6 フィルム保持機構
61 チェーンコンベヤ
62 チェーン
63 スプロケット
64 ガイド体
65 ガイド体
7 液面残留フィルム回収機構
71 分割手段
72 排出手段
73 送風機
73a 補助送風機
73b 補助送風機
75 オーバーフロー槽
75a 補助オーバーフロー槽
76 排出口
76a 排出口
77 遮断手段
78 堰板
79 収容式遮蔽体
79a 堰作用部
79b 脚部
8 出液エリア浄化機構
81 排出手段
82 オーバーフロー槽
83 排出口
84 流速増強用ツバ
85 送風機
9 意匠面浄化機構
91 離反流形成手段
92 オーバーフロー槽
93 排出口
94 流速増強用ツバ
95 吸い込みノズル
10 伸展低下防止機構
101 除去手段
102 圧縮空気吹出ノズル
A 泡
C コンベヤ(UV照射工程用)
CL 間隙
F 転写フィルム
F′ 液面残留フィルム
f 転写された装飾層
FL 分断ライン
J 治具
JL 治具脚
K 活性剤成分
L 転写液
M 薄膜
W 被転写体
Wa 開口部
P1 没入エリア(転写位置)
P2 出液エリア
P3 分断開始地点
S1 意匠面
S2 装飾不要面
Claims (14)
- 水溶性フィルムに少なくとも転写パターンを乾燥状態で形成して成る転写フィルムを、転写槽内の液面上に浮遊支持し、その上方から被転写体を押し付け、これによって生じる液圧によって、被転写体に転写パターンを転写する方法において、
前記転写槽は、転写槽に供給された転写フィルムの両サイドを接触保持し、少なくとも転写が行われる没入エリアまで転写フィルムを移送するフィルム保持機構を、左右両側壁の内側に具えるものであり、
また、この転写槽は、転写液面上で液膜状となって滞留し、転写フィルムの伸展を阻害する活性剤成分を除去する伸展低下防止機構を具え、この伸展低下防止機構によって、フィルム保持機構と転写フィルムとの間の液面上に位置する活性剤成分を、フィルム保持機構と側壁との間に移送するようにしたことを特徴とする液圧転写方法。
- 前記転写槽には、フィルム保持機構の外側にオーバーフロー槽が設けられるものであり、前記フィルム保持機構と側壁との間に送られた活性剤成分が、このオーバーフロー槽によって回収され、槽外に排出されることを特徴とする請求項1記載の液圧転写方法。
- 前記転写槽には、フィルム供給側の上方に送風機が設けられ、この送風によって転写フィルムの周囲への均一な延展を主に図り、また転写槽下流側への進行を補うものであり、
この送風機の左右両側に、前記伸展低下防止機構を設けるようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の液圧転写方法。
- 前記伸展低下防止機構は、転写液面上に供給された転写フィルムの両サイド部分に臨む液面に作用するようにエアを送る送風であり、この送風によって液面上の活性剤成分を、転写槽の両側壁側に追いやるようにしたことを特徴とする請求項3記載の液圧転写方法。
- 前記伸展低下防止機構による送風は、着液により転写フィルムが転写液を含んで徐々に膨潤・軟化して広がる際の両サイドエッジ部に臨む液面に作用するように行われ、主に、このエッジ部位での伸展低下を抑制するようにしたことを特徴とする請求項4記載の液圧転写方法。
- 前記伸展低下防止機構による送風は、多関節ジョイントタイプのフレキシブルホースを具えた圧縮空気吹出ノズルによって行われることを特徴とする請求項4または5記載の液圧転写方法。
- 前記被転写体に施す液圧転写は、転写フィルムとして水溶性フィルム上に転写パターンのみを乾燥状態に形成したものを適用し、且つ活性剤として液体状の硬化性樹脂組成物を用いるか、
あるいは転写フィルムとして水溶性フィルムと転写パターンの間に硬化性樹脂層を具えた転写フィルムを適用するかのいずれかであり、
液圧転写によって被転写体に、表面保護機能も有する転写パターンを形成し、これを転写後の活性エネルギー線照射または/および加熱によって硬化させるものであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の液圧転写方法。
- 転写液を貯留する転写槽と、
この転写槽に転写フィルムを供給する転写フィルム供給装置と、
活性剤により転写槽の液面上で活性化状態となった転写フィルムに対して上方から被転写体を押し付ける被転写体搬送装置とを具え、
水溶性フィルムに少なくとも転写パターンが乾燥状態で形成されて成る転写フィルムを、転写槽内の液面上で浮遊支持し、その上方から被転写体を押し付け、これによって生じる液圧によって、被転写体に転写パターンを転写する装置において、
前記転写槽は、転写槽に供給された転写フィルムの両サイドを接触保持し、少なくとも転写が行われる没入エリアまで転写フィルムを移送するフィルム保持機構を、左右両側壁の内側に具えるものであり、
またこの転写槽は、転写液面上に液膜状となって滞留し、転写フィルムの伸展を阻害する活性剤成分を除去する伸展低下防止機構を具え、この伸展低下防止機構によって、フィルム保持機構と転写フィルムとの間の液面上の活性剤成分を、フィルム保持機構と側壁との間に移送するようにしたことを特徴とする液圧転写装置。
- 前記転写槽には、フィルム保持機構の外側にオーバーフロー槽が設けられるものであり、前記フィルム保持機構と側壁との間に送られた活性剤成分は、このオーバーフロー槽によって回収され、槽外に排出されることを特徴とする請求項8記載の液圧転写装置。
- 前記転写槽には、主に転写液面上に供給された転写フィルムの周囲への均一な延展を図り、またこのものの下流側への進行を補う送風機が、フィルム供給側の上方に設けられるものであり、
前記伸展低下防止機構は、この送風機の左右両側に設けられることを特徴とする請求項8または9記載の液圧転写装置。
- 前記伸展低下防止機構は、転写液面上に供給された転写フィルムの両サイド部分に臨む液面に作用するようにエアを送る送風であり、この送風によって液面上の活性剤成分を、転写槽の両側壁側に追いやるようにしたことを特徴とする請求項10記載の液圧転写装置。
- 前記伸展低下防止機構による送風は、着液により転写フィルムが転写液を含んで徐々に膨潤・軟化して広がる際の両サイドエッジ部に臨む液面に作用するように行われ、主に、このエッジ部位での伸展低下が抑制されるものであることを特徴とする請求項11記載の液圧転写装置。
- 前記伸展低下防止機構には、多関節ジョイントタイプのフレキシブルホースを具えた圧縮空気吹出ノズルが、活性剤成分の除去手段として適用されることを特徴とする請求項11または12記載の液圧転写装置。
- 前記転写フィルムとしては、水溶性フィルム上に転写パターンのみを乾燥状態に形成したものを適用するか、水溶性フィルムと転写パターンの間に硬化性樹脂層を具えたものを適用するかのいずれかであり、更に水溶性フィルム上に転写パターンのみを乾燥状態に形成したフィルムを適用した場合には、活性剤として液体状の硬化樹脂組成物を用いるものであり、
これにより液圧転写の際には被転写体に表面保護機能も有した転写パターンを形成し、これを転写後の活性エネルギー線照射または/および加熱によって硬化させるようにしたことを特徴とする請求項8、9、10、11、12または13記載の液圧転写装置。
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