JP4805391B2 - 液圧転写方法並びに液圧転写装置 - Google Patents

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本発明は、転写インクによってあらかじめ適宜の転写パターン(表面インク層)が施されて成る転写フィルムを、液面上で浮遊支持し、ここに被転写体を押し当てながら転写液中に没入させることにより、その液圧を利用してフィルム上の転写パターンを被転写体に転写する液圧転写に関するものであって、特に転写フィルムの供給にあたり、着液に伴いフィルム表面から転写液面上に遊離・滲出される活性剤が、液面上で膜を張って転写フィルムの伸展を阻むことを防止するようにした新規な液圧転写手法に係るものである。
水溶性フィルム(担持シート)の上に、あらかじめ非水溶性の適宜の転写パターンを施して成る転写フィルムを転写槽(転写液)に浮かばせ、転写フィルム(水溶性フィルム)を転写液(端的には水)で湿潤させた状態で、被転写体をこの転写フィルムに接触させながら転写槽内の液中に押し入れ、液圧を利用してフィルム上の転写パターンを被転写体の表面に転写形成する液圧転写が知られている。なお、転写フィルムには、上述したように、水溶性フィルム上に転写パターンがインクによって事前に形成(印刷)されており、転写パターンのインクは乾燥状態にある。このため転写に際しては、転写フィルム上の転写パターンに活性剤やシンナー類を塗布して、転写パターンを印刷直後と同様の湿潤つまり付着性を発現させた状態に戻す必要があり、これは活性化と称される。
そして、転写後、転写槽から取り出された被転写体は、半溶解状の水溶性フィルムが水洗浄等によって除去されたのち乾燥され、被転写体上に転写形成された装飾層の保護を図るためにトップコートに供されることが多かった。しかし、このような従来の液圧転写においては、まずトップコートに溶剤系クリヤー塗料を使用していたため環境負荷が高いことが問題であり、またトップコート時の不良や塗装乾燥に比較的長い時間やエネルギーを要すること等から、液圧転写全体のコスト高を招いていた。
このようなことから、液圧転写の際に表面保護機能も有した転写パターンを被転写体に形成し、転写後にこれを硬化させて装飾層を形成し、トップコートを省く手法が案出されている(例えば特許文献1、2参照)。
このうち特許文献1は、水溶性フィルムの上に転写パターンのみを形成した従来の転写フィルムを用いながら、活性剤として硬化樹脂組成物(液体)を用い、転写後に被転写体に紫外線を照射することで、転写パターンと渾然一体となった硬化樹脂組成物(表面保護層)を硬化させる手法である。
また、特許文献2は、水溶性フィルムと転写パターンの間に硬化性樹脂層を形成した転写フィルムを用い、転写後の被転写体に紫外線等の活性エネルギー線の照射もしくは加熱によって転写パターン上の硬化性樹脂層を硬化させる手法である。
ところで、転写フィルムに塗布された活性剤の一部は、着液(転写液との接触)によって転写フィルムの表面から離れ(遊離し)、転写液面上に流出(滲出)して行くものである。なお、活性剤の液面上への流出は、必ずしも転写フィルムの供給方向(液流方向)に限定されるものではなく種々の方向に流出し得るが、液流が生じていることやフィルム供給が行われていること等からフィルム供給方向への流出(先行)が比較的大きいと考えられる。また、このようなことから、液圧転写を繰り返し行っていると、活性剤は、転写液面上でわずかずつ増えて行き、例えば液流の弱い転写槽の側壁付近に滞留する。そして側壁付近に滞留した活性剤は、液表面で高濃度化し、あたかも油分が水面上で膜(油膜)を張るような状態となり(これを便宜上、液膜とする)、これが転写フィルムの伸展(広がり)を拒むように作用する。つまり、液圧転写を続けていると活性剤によって形成された液膜によりフィルムの伸展(広がり)が阻害されてしまうのである。
また、転写液面上に供給された転写フィルムの伸展が阻害される要因は他にもあり、例えば転写槽内の転写液は、環境保護や資源の有効利用(リサイクル)等の観点から、そのほとんどが循環使用される。このため転写液面上に放出された活性剤(液膜)は、単に液面上に溜まる(漂う)だけでなく、一部は転写液中にも溶け込むものである。そのため、液圧転写を繰り返し行っていれば、次第に転写液中の活性剤濃度も高まって行き、転写液の粘性が増すこととなり、これも転写フィルムの伸展を阻害する要因となる。
更に、紫外線硬化型樹脂の活性剤は、屋内とはいえ、光でわずかながらも活性剤成分が硬化するため、転写液の粘度は、更に高められる傾向となる。また上述したように、転写液のほとんどが再使用され、廃棄液量を抑制しようとする社会環境にあるため、これが転写液の粘度をより一層高める要因となっている。ただし、液圧転写では、高いレベルで安定して転写を行うことが求められるため、必然的に波立ちを抑える等、転写液面の安定化が図られ、これが活性剤(樹脂成分)の転写液中への混入を防ぐように作用することも事実である。
なお、転写液面上の活性剤によって転写フィルムの伸展が阻まれる現象は、上記特許文献1、2に用いられる活性剤で顕著であり、これは当該活性剤が、通常の溶剤系のものに比べて粘性が高く、そのために転写フィルムの伸びを抑制する傾向が大きいと考えられる。
加えて、転写液L面上に供給された転写フィルムFは、一般に図19に示すように、転写液L面上で上側に位置する転写パターンと、下側に位置する水溶性フィルムとの伸び差により(水溶性フィルムの方が伸び率が高い)、次第に上にカールして行くものである。このため転写槽2に供給された転写フィルムFは、ますます側壁22付近に設けられたフィルム保持機構6と接触しにくくなるという問題があった。
そして、このような問題点については、上記特許文献1、2には、特に開示されていない。その一方で、転写槽に供給された転写フィルムの伸展を促進ないしは補助する思想は、従来の転写手法においても開示されている(例えば特許文献3、4参照)。しかし、これら特許文献3、4の手法は、いずれも単に転写フィルムの供給側の上方からフィルムそのものに送風する手法であって、転写フィルムを風の力で伸展させるという着想である。このため、現実には、このような手法(フィルムを風の力で強制的に周囲に押し広げる手法)では、適用する活性剤によっても異なるが、繰り返し転写を行っていると途中でフィルムの伸展が阻害され、転写フィルムが転写位置まで到達しなくなる現象が起こり、特許文献3、4による手法だけでは、上記問題点の根本的な解決策とは言えなかった。
特開2005−169693号公報 特開2005−162298号公報 特開平7−125177号公報 特開平5−84884号公報
本発明は、このような背景を認識してなされたものであって、転写フィルムを転写液面上に供給する際、着液によってフィルム表面から離れ、転写液面上に流出する活性剤が、転写液面上に溜まって転写フィルムの伸展を阻むことを防止するようにした新規な液圧転写手法の開発を試みたものである。
まず請求項1記載の液圧転写方法は、
水溶性フィルムに少なくとも転写パターンを乾燥状態で形成して成る転写フィルムを、転写槽内の液面上に浮遊支持し、その上方から被転写体を押し付け、これによって生じる液圧によって、被転写体に転写パターンを転写する方法において、
前記転写槽は、転写槽に供給された転写フィルムの両サイドを接触保持し、少なくとも転写が行われる没入エリアまで転写フィルムを移送するフィルム保持機構を、左右両側壁の内側に具えるものであり、
また、この転写槽は、転写液面上で液膜状となって滞留し、転写フィルムの伸展を阻害する活性剤成分を除去する伸展低下防止機構を具え、この伸展低下防止機構によって、フィルム保持機構と転写フィルムとの間の液面上に位置する活性剤成分を、フィルム保持機構と側壁との間に移送するようにしたことを特徴として成るものである。
また請求項記載の液圧転写方法は、前記請求項1記載の要件に加え、
前記転写槽には、フィルム保持機構の外側にオーバーフロー槽が設けられるものであり、前記フィルム保持機構と側壁との間に送られた活性剤成分が、このオーバーフロー槽によって回収され、槽外に排出されることを特徴として成るものである。
また請求項記載の液圧転写方法は、前記請求項1または2記載の要件に加え、
前記転写槽には、フィルム供給側の上方に送風機が設けられ、この送風によって転写フィルムの周囲への均一な延展を主に図り、また転写槽下流側への進行を補うものであり、
この送風機の左右両側に、前記伸展低下防止機構を設けるようにしたことを特徴として成るものである。
また請求項記載の液圧転写方法は、前記請求項記載の要件に加え、
前記伸展低下防止機構は、転写液面上に供給された転写フィルムの両サイド部分に臨む液面に作用するようにエアを送る送風であり、この送風によって液面上の活性剤成分を、転写槽の両側壁側に追いやるようにしたことを特徴として成るものである。
また請求項記載の液圧転写方法は、前記請求項記載の要件に加え、
前記伸展低下防止機構による送風は、着液により転写フィルムが転写液を含んで徐々に膨潤・軟化して広がる際の両サイドエッジ部に臨む液面に作用するように行われ、主に、このエッジ部位での伸展低下を抑制するようにしたことを特徴として成るものである。
また請求項記載の液圧転写方法は、前記請求項4または5記載の要件に加え、
前記伸展低下防止機構による送風は、多関節ジョイントタイプのフレキシブルホースを具えた圧縮空気吹出ノズルによって行われることを特徴として成るものである。
また請求項記載の液圧転写方法は、前記請求項1、2、3、4、5または6記載の要件に加え、
前記被転写体に施す液圧転写は、転写フィルムとして水溶性フィルム上に転写パターンのみを乾燥状態に形成したものを適用し、且つ活性剤として液体状の硬化性樹脂組成物を用いるか、
あるいは転写フィルムとして水溶性フィルムと転写パターンの間に硬化性樹脂層を具えた転写フィルムを適用するかのいずれかであり、
液圧転写によって被転写体に、表面保護機能も有する転写パターンを形成し、これを転写後の活性エネルギー線照射または/および加熱によって硬化させるものであることを特徴として成るものである。
また請求項記載の液圧転写装置は、
転写液を貯留する転写槽と、
この転写槽に転写フィルムを供給する転写フィルム供給装置と、
活性剤により転写槽の液面上で活性化状態となった転写フィルムに対して上方から被転写体を押し付ける被転写体搬送装置とを具え、
水溶性フィルムに少なくとも転写パターンが乾燥状態で形成されて成る転写フィルムを、転写槽内の液面上で浮遊支持し、その上方から被転写体を押し付け、これによって生じる液圧によって、被転写体に転写パターンを転写する装置において、
前記転写槽は、転写槽に供給された転写フィルムの両サイドを接触保持し、少なくとも転写が行われる没入エリアまで転写フィルムを移送するフィルム保持機構を、左右両側壁の内側に具えるものであり、
またこの転写槽は、転写液面上に液膜状となって滞留し、転写フィルムの伸展を阻害する活性剤成分を除去する伸展低下防止機構を具え、この伸展低下防止機構によって、フィルム保持機構と転写フィルムとの間の液面上の活性剤成分を、フィルム保持機構と側壁との間に移送するようにしたことを特徴として成るものである。
また請求項記載の液圧転写装置は、前記請求項記載の要件に加え、
前記転写槽には、フィルム保持機構の外側にオーバーフロー槽が設けられるものであり、前記フィルム保持機構と側壁との間に送られた活性剤成分は、このオーバーフロー槽によって回収され、槽外に排出されることを特徴として成るものである。
また請求項10記載の液圧転写装置は、前記請求項8または9記載の要件に加え、
前記転写槽には、主に転写液面上に供給された転写フィルムの周囲への均一な延展を図り、またこのものの下流側への進行を補う送風機が、フィルム供給側の上方に設けられるものであり、
前記伸展低下防止機構は、この送風機の左右両側に設けられることを特徴として成るものである。
また請求項11記載の液圧転写装置は、前記請求項10記載の要件に加え、
前記伸展低下防止機構は、転写液面上に供給された転写フィルムの両サイド部分に臨む液面に作用するようにエアを送る送風であり、この送風によって液面上の活性剤成分を、転写槽の両側壁側に追いやるようにしたことを特徴として成るものである。
また請求項12記載の液圧転写装置は、前記請求項11記載の要件に加え、
前記伸展低下防止機構による送風は、着液により転写フィルムが転写液を含んで徐々に膨潤・軟化して広がる際の両サイドエッジ部に臨む液面に作用するように行われ、主に、このエッジ部位での伸展低下が抑制されるものであることを特徴として成るものである。
また請求項13記載の液圧転写装置は、前記請求項11または12記載の要件に加え、
前記伸展低下防止機構には、多関節ジョイントタイプのフレキシブルホースを具えた圧縮空気吹出ノズルが、活性剤成分の除去手段として適用されることを特徴として成るものである。
また請求項14記載の液圧転写装置は、前記請求項8、9、10、11、12または13記載の要件に加え、
前記転写フィルムとしては、水溶性フィルム上に転写パターンのみを乾燥状態に形成したものを適用するか、水溶性フィルムと転写パターンの間に硬化性樹脂層を具えたものを適用するかのいずれかであり、更に水溶性フィルム上に転写パターンのみを乾燥状態に形成したフィルムを適用した場合には、活性剤として液体状の硬化樹脂組成物を用いるものであり、
これにより液圧転写の際には被転写体に表面保護機能も有した転写パターンを形成し、これを転写後の活性エネルギー線照射または/および加熱によって硬化させるようにしたことを特徴として成るものである。
これら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
まず請求項1または記載の発明によれば、転写フィルムを転写液面上に供給するにあたり、液面上に溜まる活性剤成分を除去するため、転写槽に供給された転写フィルムの側縁部分をフィルム保持機構まで積極的に行き届かせる(付着させる)ことができる。このため転写フィルムの両サイド部分(両側縁部分)を、フィルム保持機構に確実に保持させることができ、ほぼ一定の伸び率を維持した状態で転写フィルムを没入エリア(転写位置)まで移送することができる。
た、転写液面上の活性剤成分は、フィルム保持機構と側壁との間に送られるものであり、この部位は、転写位置にほとんど影響を及ぼさない部位であるから、活性剤成分を送り込む位置(除去する位置)として極めて合理的である。また、フィルム保持機構と転写フィルムとの間の液面上に位置する活性剤成分を、上記部位(フィルム保持機構と側壁との間)に移送するため、転写位置となる転写槽の中央部付近に活性剤成分が到達することなく、極めて精緻な転写が行える。
また請求項2または9記載の発明によれば、転写液面上の活性剤成分は、フィルム保持機構と側壁との間に送られた後、最終的にはオーバーフロー槽によって継続して回収されるため(転写槽外に排出されるため)、転写槽、より詳細にはフィルム保持機構と側壁との間に活性剤成分が貯留してしまうことがなく、精緻な転写を連続して行うことができる。
また請求項3または10記載の発明によれば、フィルム供給側の上方に送風機を設けるため、この送風によって転写フィルムの周囲への均一な延展が図られるとともに、転写フィルムの下流側への進行が補助される。また、この送風機の両側に伸展低下防止機構を設けるため、転写フィルムの両サイド部分をバランス良く広げることができ、転写フィルムにシワを発生させることなく、全体的に下流側に移送することができる。
また請求項4または11記載の発明によれば、伸展低下防止機構は、転写フィルムの両サイド部分に臨む液面に作用する送風であるため、転写フィルムにとっては、フィルム保持機構に近づくような伸展(左右方向への伸展)が図られ、フィルム保持機構による転写フィルムの保持がより確実となる。また、転写位置の転写フィルムにシワ等の悪影響を与えることも、ほとんどないものである。
また請求項5または12記載の発明によれば、伸展低下防止機構は、着液により膨潤・軟化する(広がる)フィルムの両サイドエッジ部に臨む液面に作用する送風であり、当該部位は転写フィルムが最初に伸展する部位であるため、比較的少ない風量でも、転写フィルムを効率的にフィルム保持機構側に伸ばすことができる。
また請求項6または13記載の発明によれば、伸展低下防止機構として、多関節ジョイントタイプのフレキシブルホースを具えた圧縮空気吹出ノズルが適用されるため、送風開始部となるノズル位置や、送風方向等の微調整が行い易い(設定が容易)。
また請求項7または14記載の発明によれば、液圧転写時に、表面保護機能も有する転写パターンを形成するものであり、この場合に用いる活性剤は、比較的、粘性が高く、従来の溶剤タイプの活性剤よりも転写フィルムの伸びを抑制する傾向にあるが、このような活性剤でも、精緻な液圧転写が行える。
本発明の液圧転写装置の一例を示す平面図並びに側面断面図である。 伸展低下防止機構の送風方向を異ならせた平面図と、平面図に対して転写槽の内部構造を併せ示す側面断面図である。 転写槽を示す骨格的斜視図である。 分割手段として送風機を二基用いて、液面残留フィルムを液流方向に三つに分断し、三カ所で回収するようにした転写槽の平面図である。 分割手段として送風機を三基用いて、液面残留フィルムを液流方向に二つに分断するようにした転写槽の平面図である。 分断した液面残留フィルムを転写槽の側壁部に寄せ、ここから排出する際に、フィルム保持機構によるフィルムの保持作用を解除する他の実施例を示す説明図(フィルム保持機構を側面から視た図)である。 チェーンコンベヤのフィルム保持作用を、液面残留フィルム回収機構のオーバーフロー槽に至るまで及ぶようにした様子と、該保持作用をオーバーフロー槽まで及ばないようにした様子とを対比して示す説明図である。 オーバーフロー槽による液回収を遮る遮断手段として収容式遮蔽体を適用した転写槽を示す骨格的斜視図(a)、並びに収容式遮蔽体を設置したオーバーフロー槽を拡大して示す斜視図(b)・断面図(c)である。 液面残留フィルムを液流方向に二つに分断しながら、四カ所で回収するようにした転写槽を示す平面図である。 転写液から出液中の被転写体の意匠面に離反流を形成する意匠面浄化機構を設けた転写槽を示す説明図である。 被転写体を一定の傾斜状態で引き上げても、被転写体の湾曲状態や凹凸度合い等によって、意匠面が離反流形成手段としてのオーバーフロー槽から徐々に遠ざかってしまうことを示す説明図である。 三角コンベヤ部と直線コンベヤ部とを出液側ホイールによって接続した被転写体搬送装置を示す側面図であり、(a)は没入角が比較的小さい場合を実線で示し、(b)は没入角が比較的大きい場合を実線で示した図である。 搬送軌道を側面視状態で全体的に四角形状に形成し、没入角と出液角とを変更できるようにした被転写体搬送装置を示す側面図である。 没入側ホイールから出液側ホイールまでの区間において被転写体を転写液中で徐々に上昇移送するようにした被転写体搬送装置を示す部分的な側面図である。 出液側ホイール以降、被転写体を没入側に折り返し状態に移送するようにした被転写体搬送装置を示す側面図である。 ロボットを適用した被転写体搬送装置による被転写体の動きの一例と、転写槽とを関連付けて示す図1に対応した説明図である。 被転写体が意匠面に開口部を有している場合に、この開口部の裏面側に隙間を開けて薄膜誘導体を設けた様子を示す被転写体の背面図及び断面図(a)、並びに薄膜誘導体を設けて液圧転写並びに紫外線照射を行う様子を示す説明図(b)、(c)である。 被転写体に薄膜誘導体を設ける際に開口部との隙間を全周で一定にせず、異ならせるようにした実施例を示す説明図である。 一般に、転写液面上に供給された転写フィルムが、上側の転写パターンと、下側の水溶性フィルムとの伸び差によって上方にカールする様子を概念的に示す説明図である。
本発明を実施するための形態は、以下の実施例に述べるものをその一つとするとともに、更にその技術思想内において改良し得る種々の手法を含むものである。
なお、説明にあたっては、まず本発明において好適に用いられる転写フィルムFについて説明し、その後、液圧転写装置1の全体構成について説明し、次いで液圧転写装置の作動態様について説明しながら、液圧転写方法について併せて説明する。
まず本発明において好適に用いられる転写フィルムFについて説明する。本発明では、液圧転写の際、単に転写パターンのみを被転写体Wに転写するのではなく、表面保護機能を併せ持たせた転写パターンを転写することが好ましく(本明細書では、このような転写パターンを「表面保護機能も有する転写パターン」と称する)、これは従来、転写後に施していたトップコートが必要なくなるためである。すなわち、表面保護機能も付与する液圧転写では、転写後の被転写体Wに、例えば紫外線や電子線等の活性エネルギー線を照射することにより、液圧転写によって形成した転写パターンを硬化させ、表面保護を図ることができるものである。もちろん、表面保護機能も有する転写パターンを転写した後、更にトップコートを施すことは何ら構わない。
このようなことから、転写フィルムFとしても、水溶性フィルム(例えばPVA;ポリビニルアルコール)上に転写インクによる転写パターンのみが形成されたフィルム、あるいは水溶性フィルムと転写パターンとの間に硬化性樹脂層が形成されたフィルムの適用が好ましく、とりわけ水溶性フィルム上に転写パターンのみが形成された転写フィルムFを用いる場合には、活性剤として液体状の硬化樹脂組成物を使用するものである。ここで硬化樹脂組成物とは、光重合性モノマーを含む無溶剤タイプの紫外線または電子線硬化樹脂組成物が好ましいものである。
もちろん、水溶性フィルム上に転写パターンのみが形成された転写フィルムFを用い、液圧転写時には表面保護機能を付与せず、その後に、通常のトップコートを施して表面保護を図る場合(従来の液圧転写手法)においても、本発明の特徴的構成である伸展低下防止機構(転写液面上に供給された転写フィルムの伸展低下を抑制する機構)を適用することは可能である。
ここで転写パターンとしては、木目模様のパターン、金属(光沢)模様のパターン、大理石模様などの岩石の表面を模した石目模様のパターン、布目や布状の模様を模した布地模様のパターン、タイル張り模様・レンガ積み模様などのパターン、幾何学模様、ホログラム効果を有するパターン等の各種パターンが挙げられ、更にはこれらを適宜複合したものでも構わない。なお、上記幾何学模様については、図形はもちろん文字や写真を施したパターンも含むものである。
また被転写体Wにおける面を定義すると、まず装飾層が形成される転写面を意匠面S1とするものであり、この意匠面S1は、精緻な転写が要求される面と言え、没入の際には転写液面上に浮かべた転写フィルムF(転写パターン)に対向する面となる。ここで、上述したように、表面保護機能も有する転写パターンを液圧転写時に形成する場合には、被転写体Wの意匠面S1には、液面残留フィルムF′、余剰フィルム、フィルムカス、泡Aなどを極力付着させないようにするものである。
一方、被転写体Wにおいて装飾層が形成されない面(液圧転写を要しない面)を装飾不要面S2とし、ここには上記フィルムカス、泡Aなどが付着しても構わないものである(例えば意匠面S1側から回り込んだ転写パターンが歪んで転写されても構わない)。
このため換言すれば、意匠面S1は、完成品として被転写体W(液圧転写品)を最終的にアッセンブリ等として組み付けた状態において外観的に目視される部分となり、装飾不要面S2は、組み付け状態で外観的に目視されない部分であり意匠面S1の裏側となることが多い。
次に液圧転写装置1について説明する。液圧転写装置1は、一例として図1・2に示すように、転写液Lを貯留する転写槽2と、この転写槽2に転写フィルムFを供給する転写フィルム供給装置3と、転写フィルムFを活性化し転写可能な状態とする活性剤塗布装置4と、転写槽2に浮遊支持された転写フィルムFの上方から適宜の姿勢で被転写体Wを投入(没入)させ、且つ出液させる(引き上げる)被転写体搬送装置5とを具えて成るものである。
更に転写槽2は、転写液面上に供給された転写フィルムFの両サイドを保持するフィルム保持機構6と、被転写体Wの没入後に不要となった液面残留フィルムF′を転写槽2から回収(排出)する液面残留フィルム回収機構7と、主に出液エリアの浄化を図る出液エリア浄化機構8(出液する被転写体Wの主に装飾不要面S2側(意匠面S1の反対側))と、出液エリアにおいて浮上してくる被転写体Wの意匠面S1側の浄化を図る意匠面浄化機構9と、着液した転写フィルムFから離れ転写液面上に流出する活性剤を除去することにより転写液L面上に供給された転写フィルムFの伸展低下を防止する伸展低下防止機構10とを具えて成るものである。以下、各構成部について説明する。
まず転写槽2について説明する。転写槽2は、液圧転写を行うにあたり、転写フィルムFを浮遊支持する部位であり、転写液Lをほぼ一定の液レベル(水位)で貯留できる処理槽21を主な構成部材とする。このため処理槽21は天面が開口され、前後左右が壁面で囲まれた有底状を成し、特に処理槽21の左右両サイドを構成する両側壁に符号22を付すものである。
ここで処理槽21において被処理体Wが転写液L中に投入される位置(入射位置)を没入エリアP1とし、被処理体Wが転写液L中から引き上げられる位置(出射位置)を出液エリアP2とするものである。因みに、液圧転写においては、被転写体Wの没入と同時に転写が実行・完了するものであるため、前記没入エリアP1は転写位置(転写エリア)とも言える。また、上記名称において主に「エリア」という語句を使用したのは、通常は、転写フィルムFの転写パターンの種類や状態により転写位置を前後に移動させたり、また、ある程度の広さを有した意匠面S1に、転写フィルムF(転写パターン)を転写するため、被転写体Wの没入/出液は、液面に対して、ある程度の角度を持った状態(ある程度の範囲ないしは広さ)で行われることが多いためである。
そして、本実施例では、被転写体Wが転写液Lに没入している間に、液面上に残ったフィルム(転写には使われず不要の液面残留フィルムF′)を、転写槽2の長手方向(液流方向)に分断するため、上記没入エリアP1と出液エリアP2との間隔は、ある程度の距離を設けることが好ましい。なお、転写槽2の長手方向に分断された液面残留フィルムF′は、その後、転写槽2の両側壁22に寄せられ(送られ)、ここから転写槽2外に排出(回収)されるものである。
また、処理槽21内には、液面部分において転写液Lをフィルム供給側(上流側)から出液エリアP2(下流側)に送る液流が形成されている。具体的には、転写槽2の下流端近くにオーバーフロー槽(後述するオーバーフロー槽82、92等)が設けられ、ここで回収した転写液Lを循環管路23を通して、主に転写槽2の上流部分から循環供給することにより転写液Lの液面付近に上記液流を形成している。もちろん、この循環管路23には、沈殿槽やフィルタリング等の浄化装置24が設けられ、転写液L中に分散・滞留する余剰フィルムやフィルムカス等の夾雑物を回収液(懸濁液)から除去して再利用に供することが望ましい。
また、処理槽21の両側壁22の内側には、フィルム保持機構6としてのチェーンコンベヤ61が設けられるものであって、これは液面上に供給された転写フィルムFの両サイドを保持することで、転写フィルムFを転写液Lの液流と同調した速度で、上流側から下流側に移送するものである。もちろん、転写液面上に供給された転写フィルムF(特に水溶性フィルム)は、着液以降、徐々に四方に延展して行くため(伸びて行くため)、上記フィルム保持機構6(チェーンコンベヤ61)は、このフィルムの伸びを両サイドから規制する作用も担うものである。すなわち、フィルム保持機構6(チェーンコンベヤ61)は、転写フィルムFの伸びをほぼ一定に維持した状態で、転写フィルムFを少なくとも没入エリアP1(転写位置)まで移送する作用を担うものであり、これにより転写位置では転写フィルムFの伸びが毎回同じ程度に維持され、連続して精緻な転写が行えるものである。
このようにフィルム保持機構6(チェーンコンベヤ61)は、単に転写フィルムFの移送作用を担うだけでなく、転写位置におけるフィルムの伸びを一定に維持する作用(伸びを規制する作用)をも担うものであり、本明細書では、これらをまとめて「フィルムの保持作用」と称する。因みに、本実施例においては、このフィルムの保持作用を、液面残留フィルムF′を回収する部位では解除するものであり、その詳細は後述する。
ここで、上記チェーンコンベヤ61は、チェーン62と、このチェーン62が巻回されるスプロケット63とを具えて成り、適宜モータ等からスプロケット63に回転が入力されることによりチェーン62が液流とほぼ同速度で駆動されるものである。そして、上側のチェーン62の通常の軌道は、チェーン62の中心が液面レベルに合致するように設定され、このため上側のチェーン62の最上面は、液面レベルよりも幾らか上方空間に出現するものであり、これによりチェーン62が液面上の転写フィルムFの両サイドに比較的強固に接触し、該フィルムの保持を図っている。また、このようなことから、チェーン62に接触した転写フィルムFの両サイド部位は、通常筋状になる。
なお、チェーンコンベヤ61以外のフィルム保持機構6としては、ベルトコンベヤや比較的太いロープ・ワイヤ等が挙げられる。
また、処理槽21のフィルム供給側(上流側)の上方には、送風機26が設けられ、これにより転写フィルムFの周囲への均一な延展を図るとともに、転写フィルムFの下流側への進行を補うものである。
ここで送風機26による送風は、転写フィルムFに直接、風を作用させる(当てる)ことが大きな特徴である。つまり送風機26は、転写フィルムFそのものに送風する手法であって、転写フィルムFを風の力で強制的に周囲に押し広げる(伸展させる)という着想である。
また、送風機26は、転写フィルムFの下流側への移送作用を補助的に担うものであるため、その送風方向は、専ら上流側から下流側に向かう一方向である。もちろん、送風機26の取付位置も、転写槽2のセンター位置(幅中央)に設定されるものである。
更に、送風機26は転写フィルムFに直接、風を作用させるものであるため、比較的風量が強め(多め)に設定され、これに伴う波立ちが転写位置(没入エリアP1)にまで波及することが考えられる。従って、これを防ぐには、転写槽2内における送風機26から転写位置までの間に波消板などを設け、転写液面の安定化、とりわけ転写位置での液面の安定化を図ることが好ましい。
次に液面残留フィルム回収機構7について説明する。液面残留フィルム回収機構7は、被転写体Wの没入後に、転写液L面上に残った液面残留フィルムF′を回収する機構であり、これにより液面残留フィルムF′を出液エリアP2まで到達させないようにしている。すなわち転写フィルムFは、被転写体Wの没入によって例えば図1に示すように、突き破られた状態(ここでは長円状の孔が開いた状態)となり、突き破られた部分は、主に被転写体Wとともに液中に没し、その液圧によって意匠面S1に付着転写される部位であるが、液面上に残ったフィルム(開口状態で浮遊するフィルム)は、転写には用いられず、不要な部位となる(これが液面残留フィルムF′)。このような液面残留フィルムF′をそのまま放置すれば転写液Lを汚す要因となり、また液面残留フィルムF′が下流の出液エリアP2までに至れば、転写液中から引き上げられてくる被転写体W(意匠面S1)に付着してしまうため、本実施例では、この液面残留フィルムF′を、転写後できるだけ速やかに且つ確実に回収するものである。具体的には、まず液面残留フィルムF′を転写槽2の長手方向、つまり液流方向に分断し、これを転写槽2の両側壁22に寄せて(押しやって)、ここから槽外に排出するものである。
このため液面残留フィルム回収機構7としては、液面残留フィルムF′を液流方向に割くように分ける分割手段71と、転写槽2の側壁22部分で槽外に排出する排出手段72とを具えて成るものであり、以下これらについて説明する。
まず分割手段71から説明する。分割手段71は、被転写体Wの没入後つまり転写後、液面残留フィルムF′を速やかに分断する(分岐させる)ものであり、ここではフィルムに対して非接触でありながらも確実に分断が行える送風手法を採用する。具体的には、一例として図1に示すように、送風機73を処理槽21の一方の側壁22上に設け、ここから液面上の液面残留フィルムF′に風を当てるものである。ここで、上記説明では単に「送風機(73)」と記載したが、この文言には、送風機に接続される延長ダクトやノズル等を含むものである。
また、上記説明では、液面残留フィルムF′の分断を速やかに行うように記載したが、分割手段71の分断作用(ここでは風量)が転写位置(没入エリアP1)の転写フィルムFに変形(返り波等による柄歪み)、応力等などの悪影響を生じさせては、転写そのものが精緻に行えなくなるため、分割手段71の作用が及ぶ範囲は、転写位置に悪影響を及ぼさないように(例えば、ある程度の距離をおいて)設けられる。別の言い方をすれば、分割手段71としての送風機73の風量(風力)は、転写位置に悪影響を及ぼさないことを考慮して比較的弱く設定される。そのため、分割手段71としての送風機73は、転写位置の前後移動に応じて、設置位置が転写槽2の長手方向に沿って自由に移動できることが好ましく、これにより転写位置に悪影響を及ぼさずに、分断作用を発揮する適切な位置設定が容易となる。
ここで上記送風機73による液面残留フィルムF′の分断状況について説明する。液面残留フィルムF′は、送風機73からの送風により左右に分かれるものであり、とりわけ液面残留フィルムF′において分断が始まる地点を分断開始地点P3とする。また液面残留フィルムF′は、この分断開始地点P3から送風により略円弧状または略V字状に分かれ、あたかもラインのように見えるため、このフィルム別れ線を分断ラインFLと定義する。もちろん分断ラインFLのエッジ付近は、次第に少しずつ溶解、ばらけながら送風や液流により両側壁22に寄って行く。このため図3では分断ラインFLを分断開始地点P3付近では明確な実線で描いたが、ここから離れた側壁22部位では破線で描いたものである。
因みに、本実施例では、分断後の液面残留フィルムF′を、一見、両側壁22に寄せる作用部材がないように思えるが、上記分割手段71としての送風機73が、分断後の液面残留フィルムF′を側壁22に寄せる作用も担っている。もちろん、転写槽2に形成されている液流も、当該作用を補っている。
また、本実施例では、分割手段71としての送風機73を一方の側壁22上に設け、液面残留フィルムF′を二分割することから、両側壁22への分割比率は一例として約8:2〜7:3程度の割合である。もちろん液面残留フィルムF′を分割するには、左右の側壁22にほぼ均等に分けることも可能であるが、この場合には、転写槽2の幅中央に分割手段71(送風機73)を設置するのが一般的と考えられ、転写槽2の幅中央に位置する被転写体搬送装置5との設置態様を考慮する必要がある。
なお、分割手段71としての送風機73は、必ずしも一基に限定されるものではなく、二基以上を組み合わせて用いることも可能であり、これは上述したように送風機73の風量を無理やり多く(強く)できないための対策と言える。具体的には、例えば図1に併せ示すように、送風機73を設けた側壁22の方に、更に小型の補助送風機73aを設置し、液面残留フィルムF′を多く回収する方に確実に押し込むものである。
もちろん、補助送風機73aの送風方向は、必ずしも図1の態様に限定されるものではなく、例えば図4に示すように、補助送風機73aの送風方向をメインの送風機73の送風方向とほぼ沿うように設定することも可能である。因みに、この図4の実施例では、液面残留フィルムF′は結果的に三分割され、三カ所で回収されており、このため本実施例は、液面残留フィルムF′の分割態様が必ずしも二分割に限定されないこと(二カ所での回収に限定されないこと)を示しているとも言える。つまり、転写フィルムFの性状や分割・回収の状況等によって、種々の分割形態、回収形態が採り得るものである。
更に、例えば図5は、分割手段71として三基の送風機(メインの送風機を73、補助送風機を73a、73bとする)を設けた実施例であり、補助送風機73aの風量が弱いために(大きくし難いために)、最後に別の補助送風機73bで、分断した液面残留フィルムF′の一方を横方向に確実に押しやる思想である。
なお、液面残留フィルムF′を送風によって分断する上記手法は、液面残留フィルムF′を非接触状態で分断でき(送風機73自体をフィルムに直接触れさせずに分断でき)、転写位置の転写フィルムFに変形等の悪影響を及ぼし難い点で効果を奏するものである。
次に、液面残留フィルム回収機構7における排出手段72について説明する。排出手段72は、転写槽2の側壁22に押しやった液面残留フィルムF′を回収し、転写槽2外に排出するものであり、本実施例では処理槽21の左右両側壁22内側に設けたオーバーフロー槽75を適用する。ここでオーバーフロー槽75において、液面残留フィルムF′を転写液Lとともに導入する回収口を排出口76とする。
また、このようなオーバーフローによる排出構造を採ることから、上述したように排出口76ではフィルム保持機構6(ここではチェーンコンベヤ61)によるフィルムの保持作用を解除するものであり、両側壁22に押しやった液面残留フィルムF′を排出(回収)し易くしている。逆に言えば、オーバーフロー槽75の排出口76に、通常通りにチェーン62が走っていると、チェーン62が排出口76を塞ぎ、液面残留フィルムF′の排出を阻害するため、本実施例では、排出口76部分でフィルムの保持作用を解除したものである。
具体的な解除手法について説明すると、本実施例では例えば図2に示すように、フィルム保持作用の終端部となるスプロケット63を、側面から視て分断開始地点P3付近に設け、ここでチェーンコンベヤ61(チェーン62)を折り返すものである。このような配置態様により、オーバーフロー槽75の排出口76部分では、フィルム保持機構6(チェーンコンベヤ61)によるフィルム保持作用を解除するようにしている。
ただし、チェーンコンベヤ61は、側面から視てオーバーフロー槽75(排出口76部分)に対し幾らかオーバーラップするよう、つまりフィルム保持作用の終端部となるスプロケット63が、側面から視てオーバーフロー槽75と幾らか重なるように設けることが好ましく、これについては後述する。
なお、排出口76部分でチェーンコンベヤ61によるフィルムの保持作用を解除するには、上記以外の他の手法も採用できる。すなわち、通常、チェーンコンベヤ61は、上述したように、側面視状態で、上側のチェーン62の中心が液面レベルと合致するように設定されるため、例えば図6(a)に示すように、排出口76付近では、チェーンコンベヤ61を全体的に液面下に沈降させて、この部分でフィルムの保持作用を解除することが可能である。あるいは逆に、図6(b)に示すように、排出口76付近で、液面の上方空間までチェーンコンベヤ61を持ち上げて、フィルムの保持作用を解除することも可能である。ここで図中符号64は、排出口76付近でチェーン62が排出口76を塞がないようにチェーンコンベヤ61を上または下に規制するガイド体であり、更に図中符号65は、チェーンコンベヤ61を通常の高さ(軌道)で案内するガイド体である。
また、本実施例のオーバーフロー槽75には、例えば図3に示すように、排出口76の途中部分に、液回収を遮る遮断手段77としての堰板78を設けるものであり、これは一基のオーバーフロー槽75においても、遮断手段77(堰板78)の前後二段階で液面残留フィルムF′を回収することを意図した構成である。また、遮断手段77は、排出口76の流速誘導範囲を狭めるため、フィルムの保持作用を解除した後の流速を弱める制御も行っており、これにより液面残留フィルムF′を確実に、しかも転写位置(没入エリアP1)に悪影響を及ぼすことなく回収するようにしている。
因みに、排出口76に遮断手段77を設けずに、排出口76の全域から液面残留フィルムF′をオーバーフロー槽75に導入した場合には、側壁22に寄って来ている液面残留フィルムF′を全体的に引っ張ってしまい、これが転写位置にまで及んで転写位置の転写フィルムFに変形等の悪影響を与えてしまうことが本出願人によって確認されている。
また、このオーバーフロー槽75で回収した転写液Lは、液面残留フィルムF′すなわち転写パターン(インク成分)や半溶解状の水溶性フィルム等を多く含み、夾雑物の混入度が高いため、そのまま廃棄されることが好ましいが、フィルタリング等の浄化装置24によって、これら夾雑物を除去した後、循環使用に供することも可能である。
また、オーバーフロー槽75は、転写槽2の側壁22(フレーム)に対して液流方向となる前後方向がボルト等によって留められ、オーバーフロー槽75の全体的な高さが変更できるともに、オーバーフロー槽75自体の前後方向の傾きが調整できるように取り付けられることが好ましい。また、オーバーフロー槽75全体が、前記送風機73と同様に、転写位置の変更を考慮して、転写槽2の長手方向に自由に前後移動できることが好ましい。更に、遮断手段77も、排出口76に対する設置位置が適宜変更でき、またその幅(前後方向長)も適宜変更できる構成が好ましい。
ここで、側面視状態で、フィルム保持機構6(チェーンコンベヤ61)をオーバーフロー槽75(排出口76部分)に対し幾らかオーバーラップさせることが好ましい理由(経緯)を、図7に基づいて説明する。
まず、図7(b)は、チェーンコンベヤ61がオーバーフロー槽75とオーバーラップしない場合を示しており、このときチェーンコンベヤ61のスプロケット63(移送終端部)は、オーバーフロー槽75よりも上流側に位置する。この場合、チェーン62に保持された液面残留フィルムF′の両サイド部分(筋状部分)は、オーバーフロー槽75の速い流速の落液の力によってチェーン保持(接触)が解除される傾向となる。すなわち、この状態では図示するように、液面残留フィルムF′の両端部が、先にオーバーフロー落液に引っ張られて保持が解除され、これが上流側に遡ってフィルム全体の柄曲がりを誘発し得る。当然、このような柄曲がりの影響は、没入エリアP1の転写フィルムFの柄歪みにつながるものである。
これに対し、図7(a)に示すように、チェーンコンベヤ61をオーバーフロー槽75に対し幾らかオーバーラップさせた場合には、液面残留フィルムF′がオーバーフロー槽75に至るまで、チェーンコンベヤ61によるフィルムの保持作用が及ぶものである。このため、液面残留フィルムF′は、排出口76に到達するまで、両サイド部分がチェーンコンベヤ61によって確実に保持され、オーバーフロー槽75(遮断手段77の手前側)に導入される液面残留フィルムF′は、あたかもチェーンコンベヤ61の末端を回り込むように落水し、転写位置に悪影響を及ぼすことなく確実に回収されるものである。
ここで、例えば上記図3の実施例では、遮断手段77として堰板78を適用したが、遮断手段77としては他の形態も採り得、例えば図8に示すように、オーバーフロー槽75内に収める形態も可能であり、好ましいものである(これを収容式遮蔽体79とする)。
すなわち図8に示す収容式遮蔽体79は、一例として断面コの字型を成す側溝状の部材であるが、このものは回収液を受け入れる容器(溝)として使用されるのではなく、図8(b)に示すように、コの字型断面の開口部分(開放部分)を下に向けるようにオーバーフロー槽75に収められ(落とし込まれ)、コの字型断面の中央平面部分でオーバーフロー槽75の上部開口側を部分的に閉塞するものである。このため収容式遮蔽体79は、オーバーフロー槽75内で、言わばブリッジ状に設置されるものであり、この設置状態で収容式遮蔽体79の上部に位置する平面部位(オーバーフロー槽75を閉塞する部分)が、上記堰板78と同様に堰の作用を担うものであり、このようなことから当該平面部分を堰作用部79aとする。また、堰作用部79aの両側に対設される部位を脚部79bとするものであり、この両脚部79bをオーバーフロー槽75内に収めることにより、収容式遮蔽体79は、前後方向の移動のみが許容されるものである。
なお、収容式遮蔽体79を、このようなコの字型に形成するメリットは、このものをオーバーフロー槽75内に落とし込むだけで収容式遮蔽体79(遮断手段77)を固定することができ、またこのものを前後方向に移動(転写槽2の長手方向にスライド)させることにより前後二段階の排出位置や、その排出バランスが容易に調整・変更できることである。
この点、先に述べた堰板78では、通常、このものをオーバーフロー槽75の排出口76に立設することから、堰板78をオーバーフロー槽75(排出口76)に取り付ける固定手段が別途必要となり、また上述した調整を行うには着脱を伴うが、収容式遮蔽体79であれば、特にこのような固定手段が要らず、また調整も極めて容易に行い得るものである。
ここで収容式遮蔽体79は、既に述べたようにオーバーフロー槽75による液回収を遮るものであるため、図8(c)に示すように、堰作用部79a(天面)が、オーバーフロー槽75の排出口76よりも高く設定されるものである(一例として1〜3mm程度)。なお且つ、この堰作用部79aは、同図8(c)に示すように、転写液L面よりもわずかに低く設定されるものであり(一例として2〜3mm程度)、これは通常排出量設定時に収容式遮蔽体79が、わずかに液中に没することを示している。しかし、このような状態でも、収容式遮蔽体79(堰作用部79a)が設置されていない排出口76部分と、堰作用部79aとでは、液回収の速度差が生じ(堰作用部79a部分で遅くなる)、充分に堰としての機能を果たすものである。
更に、堰作用部79aをわずかに水没させることで、当該部分にフィルムカスが引っ掛かり難く、またたとえ当該部分にフィルムカスが引っ掛かって止まっても(乗り上げて止まっても)、これを回収でき、転写槽2内の転写液Lを汚すことがないものである。
この点、先に述べた堰板78は、一般的なせき止め構造であり、堰板78が転写液L面よりも上に突出するため、堰板78にフィルムカスが引っ掛かることが考えられ、その場合には、これがやがて粉々になり転写槽2内に落下し、転写液Lを汚しかねないものである。
なお、転写槽2の側壁22部分で液面残留フィルムF′を回収するにあたっては、必ずしも片側一カ所ずつでなくてもよく(左右の側壁22で各一カ所ずつでなくてもよく)、例えば図9に示すように、片側二カ所ずつでもよい。因みに、この図9の実施例は、分割手段71としての送風機73が風量を大きく設定し難いため、液面残留フィルムF′をチェーンコンベヤ61の外側まで押しやる能力がない場合に、チェーンコンベヤ61の内側にも補助的なオーバーフロー槽75a(排出手段72)を設けるようにした実施例である。ただ、この場合、補助オーバーフロー槽75aは、幾らか転写槽2の中央(被転写体Wの搬送経路上)に張り出し状に設けることになるため、該オーバーフロー槽75aが被転写体Wの搬送を妨げないように考慮する必要がある。また、このように液面残留フィルムF′を二分割しても、その後の回収は四カ所(片側二カ所)で行うこともあり得、必ずしも分割手段71による液面残留フィルムF′の分割数と、回収個所数とが一致するとは限らない。
また、液面残留フィルム回収機構7(排出手段72)としては、必ずしもオーバーフロー構造に限定されるものではなく、他の回収手法も採り得るものであり、例えば液面付近の転写液Lを、分断した液面残留フィルムF′とともに吸い込むバキューム手法が挙げられる。すなわち、この場合には、排出手段72として吸い込みノズルが適用される。
また、本実施例では、液面残留フィルム回収機構7の後段に、出液エリア浄化機構8を更に具えるものであり、以下この機構について説明する。出液エリア浄化機構8は、出液エリアP2における主に装飾不要面S2側(意匠面S1の裏側)の転写液中・液面上の夾雑物や泡Aを除去する機構であり、回収対象物を具体的に例示すると、例えば被転写体Wが転写フィルムFを突き破るように没入するために発生するフィルムカス(水溶性フィルムとインクが混ざり合った紐屑状等の比較的細かいもの)、没入時に治具Jや被転写体Wに付着して一旦液面下に潜ったのち液中において放出された余剰フィルム、被転写体W(治具J)の出液時に被転写体Wの装飾不要面S2側の液面上に多量に発生する泡Aやフィルムカスなどが挙げられる。
そして、当該機構により、被転写体Wがまだ転写液L中に存在する間に、これらの夾雑物や泡Aを出液エリアP2から連続的に遠ざけ、出液エリアP2の浄化を図ると同時に、被転写体Wの意匠面S1側への回り込みまでをできる限り防止するものである。
出液エリア浄化機構8は、一例として図1〜3に示すように、排出手段81としてのオーバーフロー槽82が出液エリアP2の左右両側に設けられ、側面視状態では、オーバーフロー槽82が出液エリアP2と重なるように設けられる。より詳細には、転写槽2における出液エリアP2の左右両側壁22の内側に、排出手段81(オーバーフロー槽82)を設け、出液エリアP2からオーバーフロー槽82に向かう液流(これをサイド離反流とする)を主に液面付近で生じさせ、このサイド離反流に乗せてフィルムカス等の夾雑物や泡Aをオーバーフロー槽82で回収し、槽外に排出するものである。このため平面から視た状態では、図1・2に示すように、液面残留フィルム回収用のオーバーフロー槽75と、出液エリア浄化用のオーバーフロー槽82とが前後に連なって設けられるものである。ここでオーバーフロー槽82において、フィルムカス等の夾雑物を転写液Lとともに導入する回収口を排出口83とする。
また出液エリア浄化用のオーバーフロー槽82には、一例として図3に示すように、排出口83に回収液案内用のツバが形成されるものであり、特に本実施例においては、排出口83から処理槽21側への張り出し長が比較的長めに形成され、これはオーバーフロー槽82に導く転写液Lの流速を速めるための構造である(このため該ツバを流速増強用ツバ84とする)。
なお、オーバーフロー槽82で回収した転写液Lは、比較的、夾雑物の混入割合が低いため、回収液はフィルタリング等の浄化装置24により夾雑物を除去した後、循環使用に供することが好ましい(図2参照)。
また、出液エリア浄化機構8は、上述したように出液エリアP2の液面上(装飾不要面S2側)の夾雑物や泡Aを回収するものでもあるため、より確実に回収すべく、出液エリアP2液面上に送風して、より積極的に夾雑物や泡Aをオーバーフロー槽82(流速増強用ツバ84)に押しやることが好ましい。すなわち、本実施例では図1〜3に示すように、転写槽2の一方の側壁22上(オーバーフロー槽82の上方)に送風機85を設けるものであり、ここからの送風により出液エリアP2の液面上(装飾不要面S2側)に多量に発生する泡Aやフィルムカス等の夾雑物を、設置個所とは反対側のオーバーフロー槽82に送り込み回収するものである。
このように出液エリアP2は、液面上では送風機85によって泡Aや夾雑物が連続的に除去され、且つ液中の夾雑物も併せてオーバーフロー槽82によって回収されるため、これらの相乗効果により、高クリーン化が図られると同時に、被転写体Wの意匠面S1側への夾雑物の回り込みまでも防止できるものである。
更に、上記のように出液エリアP2液面上に作用する送風機85を設けることで、液面残留フィルムF′を分断するための送風機73と勘案すると、本装置においては、トータルで複数基の送風機を設置することになる。しかしながら、種々の転写条件、例えば被転写体Wの形状や被転写体搬送装置5の態様等によっては、液面残留フィルムF′を分断した送風で、引き続き出液エリアP2液面上の泡Aや夾雑物をオーバーフロー槽82に送り得ることも考えられ、その場合には、フィルム分断用の送風機73を出液エリア浄化用の送風機85として兼用でき、更にはこれらをまとめて一基の送風機で行うことも可能である。
なお、出液エリア浄化機構8の排出手段81としては、必ずしも上記オーバーフロー構造だけでなく、他の排出手法も採り得るものであり、例えば夾雑物が混入した転写液Lを主に液面付近で吸い込むバキューム手法が挙げられる。すなわち、この場合には、排出手段81として吸い込みノズルが適用される。
次に、意匠面浄化機構9について説明するが、その前に出液エリアP2の意匠面S1側に生じる泡Aについて説明する。出液エリアP2では被転写体W(治具J)が液面から次々に斜め上方に引き上げられて行くため、出液中の被転写体Wの上方には、既に液面上方に引き上げられた被転写体Wや治具Jが位置するものである(これを先行して引き上げられた被転写体Wや治具Jとする)。その際、例えば先行して引き上げられた被転写体Wや治具Jから転写液Lが雫となって転写槽2の液面に滴り落ちることがあり、落下した雫は例えば液面上で跳ねて泡Aとなり、これが出液中の被転写体Wの意匠面S1に付着することがある。その後、この状態のまま被転写体Wに紫外線等を照射すると、泡Aの応力や紫外線の屈折等が原因で、泡Aの付着した部分は転写パターン(装飾層)の柄歪み不良や、柄が抜け落ちてしまう不良となる(いわゆるピンホール)。従って、本実施例では、出液エリアP2において転写液L中から浮上する被転写体Wの意匠面S1の浄化と(主に後述する新水による作用)、意匠面S1側の液面上に生じる泡Aの除去、また転写液中・液面上の夾雑物の排除等を目的として意匠面浄化機構9を具えるものである。
以下、意匠面浄化機構9について更に説明する。意匠面浄化機構9は、出液中の被転写体Wの意匠面S1から下流に向かう液流を形成するものであり(意匠面S1から離れる流れであるため、これを意匠面離反流とする)、その目的は、上述したように転写液L中に分散・滞留する夾雑物を極力、意匠面S1に寄せ付けない(付着させない)ことであり、また先行して引き上げられた被転写体Wから落下した雫によって生じた液面上の泡Aや夾雑物を、意匠面S1から遠ざけ槽外に排出すること等である。このため、意匠面離反流は、夾雑物を含まない綺麗な水、あるいは回収液から夾雑物を除去した浄化水(これらを総称して新水とする)を適用して形成することが好ましい。
このようなことから意匠面浄化機構9は、例えば図10(a)に示すように、離反流形成手段91としてのオーバーフロー槽92を、出液エリアP2において出液してくる被転写体Wの意匠面S1側に具えて成るものである。より詳細には、本実施例では、被転写体Wが出液エリアP2において意匠面S1を下方に向けた傾斜状態で浮上してくるため、被転写体Wの意匠面S1に臨むようにオーバーフロー槽92を設け、出液中の被転写体W(意匠面S1)の下側から上側に向かう意匠面離反流を形成するものである。ここでオーバーフロー槽92において、主に新水を転写液Lとともに導入する回収口を排出口93とする。
なお、意匠面離反流は、上述したように新水供給によって形成することが好ましいため、例えば図2では、離反流形成手段91としてのオーバーフロー槽92の下方、より詳細には転写液レベルの中位付近から液面付近までの間で、被転写体Wの意匠面S1に向けて前記循環管路23による浄化水の一部を供給するようにしている。また、この浄化水供給(新水供給)の一部は、上述した出液エリア浄化機構8のサイド離反流に利用されることが好ましく、この場合には上記新水供給が、出液エリア浄化機構8にも寄与するものとなる。
ここで、意匠面浄化機構9がないと、意匠面S1に夾雑物が付着し易いことについて説明する。通常、転写液Lから引き上げられる被転写体Wは、少なからず上流から下流へと向かう転写液Lの液れをせき止めるような状態で浮上してくるものである。この際、せき止められた転写液Lは、被転写体Wの下側または側方を回り込むようにして流れ、これが下流側を向いた意匠面S1に向かう流れ(回り込む流れ)となる。
また、被転写体Wを液中から引き上げるとき、被転写体Wの引き上げ速度と留まっている液面との速度差により、被転写体Wの液面近傍から被転写体Wに向かって流れる力が働くことになる。
このようなことから、出液中の被転写体Wに対しては、自ずと意匠面S1に回り込む流れ(意匠面S1に向かう流れ)が形成されるものであり、従って、そのままでは転写液L中に分散・滞留する夾雑物が意匠面S1に寄せ付けられて付着することがある。このため、本実施例では意匠面浄化機構9による意匠面離反流によって、意匠面S1に向かう転写液Lの流れを打ち消す、もしくは極力抑えるようにしたものである。
また、意匠面浄化用のオーバーフロー槽92においても、一例として図3、図10(b)に示すように、排出口93に流速増強用ツバ94が形成されるものであり、これはオーバーフロー槽92に導入する転写液Lの流速を速めるためである。
なお、意匠面浄化機構9における離反流形成手段91としては、必ずしも上記オーバーフロー構造だけでなく、他の排出手法も採り得るものであり、例えば図10(c)に示すように、夾雑物を含む転写液Lや新水を主に液面付近で吸い込むバキューム手法が挙げられる。すなわち、この場合には、離反流形成手段91として吸い込みノズル95が適用される。
また、出液中の被転写体Wの意匠面S1に、確実に意匠面離反流を作用させるには、離反流形成手段91としてのオーバーフロー槽92(排出口93)を、出液中の被転写体W(意匠面S1)の近傍に設けることが好ましい(一例として10〜200mm程度)。しかしながら、例えば図11に示すように、被転写体W(意匠面S1)の湾曲状態や凹凸度合い等によっては、被転写体Wを一定の傾斜状態で引き上げても、意匠面S1がオーバーフロー槽92(排出口93)から徐々に遠ざかってしまうことが考えられる(図中のD1が出液初期の両者の距離であり、D2が出液終期の両者の距離)。このため、オーバーフロー槽92は、転写槽2の長手方向(液流方向)に対して移動できるように、つまり出液中の被転写体Wに対して接近・離反自在の構成が好ましい。もちろん、オーバーフロー槽92における転写液Lの排出力(回収力)、端的には意匠面離反流の強さが適宜変更できるものであれば、出液によって被転写体Wが相対的に遠ざかってしまっても、転写液Lの回収力を高めることで同様の効果が達成され得る。因みに回収力を増加させる他の手法としては、オーバーフロー槽92の液レベル(水位)を下げることでも可能である。
ここで本実施例では上述したように合計3種のオーバーフロー槽75、82、92を設けるものであるが(作用目的は各々異なる)、転写槽2の末端(最下流部)にもオーバーフロー槽を設けることが可能である(図10(a)参照)。これは、従来多くの転写槽が、末端にオーバーフロー槽を設けており、このような従来の転写槽を流用して上記各機構としてのオーバーフロー槽75、82、92を設置した場合の形態である。因みに、従来の転写槽において、その末端に設置されたオーバーフロー槽は、転写液Lの液面レベルをほぼ一定に維持するとともに、液面残留フィルムF′等を回収しながら、転写液Lを循環使用するために使用していたものである。
なお、液圧転写では上述したように、様々な種類や状態の転写フィルムF(転写パターン)や活性剤を適用し、また種々異なる大きさの被転写体Wを処理することから、没入エリアP1については例えば800mmほど前後させることがあり、このため出液エリアP2も、これに準じて800mm〜1200mmほど前後させることがある。このため、没入エリアP1、フィルム保持機構6の解除位置(フィルム保持作用の終端部となるスプロケット63の位置)、液面残留フィルム回収機構7の分割手段71(送風機73、73a)・オーバーフロー槽75、出液エリア浄化機構8のオーバーフロー槽82・送風機85、更には意匠面浄化機構9のオーバーフロー槽92(離反流形成手段91)等は、互いに密接な位置関係にある。従って、没入エリアP1の移動に伴い、上記各構成部材も同時に、あるいは独立して移動させることが好ましく、このため本実施例では、例えば図2に示すように、フィルム保持作用の終端部のスプロケット63、送風機73・73a・85、オーバーフロー槽75・82を、転写槽2の長手方向に(前後方向に)移動可能な架台29に搭載し、またオーバーフロー槽92を独立して前後に移動可能な架台30に搭載する構成とし、これらを没入エリアP1と出液エリアP2の移動に応じて、適宜移動できるようにしている。
因みに、各架台29、30の移動方法は、手動あるいはリニアモータ等を用いて自動制御することが可能である(実際には被転写体Wの引き上げプログラム等に合わせ、架台29、30の位置を自動的に動かすプログラムが現実的である)。
また、本実施例では、転写槽2の底部、より詳細には、出液エリアP2の底部付近に傾斜板27を沈降設置するものであり、以下この傾斜板27について説明する。傾斜板27は、複数の板材が、転写槽2の上流側から下流側に向けて下り傾斜を有するように、ほぼ一定の間隔で配置されて成るものであり、傾斜板27は、転写槽2内の転写液Lを循環使用するための取水口28の手前側に設けられる(傾斜板27の奥側に取水口28が位置するように設けられる)。このような構成により、傾斜板27は、転写槽2の底部に生じる循環還流による微速な液流と、被転写体Wの液中でのほぼ水平な動き(傾斜板27の上方)による液流を利用して、傾斜板27に夾雑物を流入させ、これを捕捉するものである。このため、傾斜板27は、転写液L中に分散・滞留する夾雑物の沈降捕捉・再浮上抑制を図り、夾雑物が転写液L中で循環することを阻止する作用を担うものである(言わば転写液Lの清浄化)。
また、本発明では、転写槽2に転写フィルムFを供給するにあたり、転写フィルムFの伸展低下を抑える伸展低下防止機構10を具えるものであり、以下この機構について説明する。なお、本実施例では上述したように、前記送風機26が転写フィルムFを周囲に延展させる作用を担うため、ここでは送風機26との作用を明確に区別すべく、当該機構を伸展低下防止機構10としている。
伸展低下防止機構10は、転写液L面上に供給された転写フィルムFの両サイドを、転写槽2の側壁22近傍に設けられたチェーン62に確実に且つ安定して付着させるための機構である。従って、伸展低下防止機構10がない場合には、上記〔背景技術〕の欄で述べたように、液圧転写を繰り返し行っていると、当初は着液後チェーン62まで伸展していた転写フィルムFが付着しなくなり、そのため当該機構によって、このような伸展低下を防止するものである。
ここで本実施例では、伸展低下防止機構10としてブロー手法を採用するものであり、フィルム保持機構6(チェーンコンベヤ61)と転写フィルムFとの間の転写液L面上に液膜となって広がり、転写フィルムFの伸展を阻害する活性剤(特に活性剤成分Kとする)を送風によって除去するものである。すなわち、当該機構は、一例として図1に示すように、転写液Lの流れ(液流)が弱まり活性剤成分Kが停滞し易いと考えられる側壁22近傍、とりわけ送風機26の左右両側に送風し、当該部位に位置する(浮遊する)活性剤成分Kをフィルム保持機構6と側壁22との間に押しやる(送る)ことが好ましい。因みに、このフィルム保持機構6と側壁22との間は、チェーンコンベヤ61の上面が転写液L面より高い位置に設定されていること等から、実質的に転写位置に影響を及ぼさない、もしくは転写位置に与える影響が極めて少ない部位であり、このため本発明では当該部位に活性剤成分Kを押しやるものである。
また、本実施例では、既に述べたようにフィルム保持機構6としてのチェーンコンベヤ61の外側に、転写槽2の両側壁22に沿ってオーバーフロー槽75を設けるため、ここで上記フィルム保持機構6と側壁22との間に送った活性剤成分Kを回収するものである。もちろん、この場合には、例えば図3に併せ示すように、オーバーフロー槽75の前縁側(上流側)にも活性剤成分Kを導入・回収する排出口76aが形成されるものである。
更に、図1に示す実施例では、伸展低下防止機構10(除去手段101)として二基の圧縮空気吹き出しノズル102を適用するものである。より詳細には、転写槽2に供給された転写フィルムFは、本来、転写液Lを含んで膨潤・軟化し、徐々に四方に伸展して行くため、図1では、二基の圧縮空気吹出ノズル102から、転写フィルムFの広がりエッジに臨む液面に作用するように(当てるように)エアを吹き付けて、主にエッジ付近に浮遊する活性剤成分Kをここから除去し、転写フィルムFのエッジ付近での両サイド方向への伸展を図る(伸展低下の防止を図る)ものである。ここで上記圧縮空気吹出ノズル102としては、図示したように多関節ジョイントタイプのフレキシブルホースを具えることが好まく、これはノズルの位置や送風方向等の微調整が行い易いためである。
因みに、活性剤成分Kを除去するための送風は、転写フィルムFに風を作用させる(当てる)のではなく、フィルムが存在しない転写液面のみに風を作用させることが好ましく、これは転写液面を安定的に保持し、転写フィルムFを極力波立ちのない状態で転写位置(没入エリアP1)まで移送するためである。また、その点では、例えば図1の拡大図ではエアの吐出口が比較的幅広状のノズルを示したが、吐出口に向かって先窄まり状に形成されるノズルを用い、狙った液面(フィルムの広がりエッジに臨む液面など)にピンポイントでエアを作用させることが望ましいものである。
また、図1では、送風の際、転写フィルムFが着液によって伸展する上流側(前方側)の液面、より具体的にはフィルム保持機構6の作用開始端よりも上流側の液面にエアを作用させるように送風しており、これは転写フィルムFが伸展しようとする前に、その阻害要因となる活性剤成分Kを除去することで、転写フィルムFの伸展をより効果的に行わせるためである。このような送風により転写液面上に浮遊する活性剤成分Kは、フィルム保持機構6の作用開始端を迂回しながら、側壁22とフィルム保持機構6との間に送り込まれるものである。
また、図1の実施例では二基の圧縮空気吹出ノズル102からの送風が、多少、転写液流に逆行するような送風形態であるが、二基の圧縮空気吹出ノズル102は、液面上の活性剤成分K(液膜)を側壁22に追いやる程度の小さい能力(送風力)を持てばよいため、圧縮空気吹出ノズル102による送風が転写液Lの液流そのものを阻害する心配はない。因みに、転写液流に対し逆行するような送風では、液流方向(下流方向)に対し90度〜120度程度が好ましいものである。
もちろん、圧縮空気吹出ノズル102による送風は、図2に併せ示すように転写液Lの液流に沿うような下流向きで行うことも可能である。ただし、この場合でも、転写液面上の活性剤成分Kを両側壁22に追いやるように、送風することが好ましい。より詳細には、側壁22近傍に浮遊する液面上の活性剤成分Kを、フィルム保持機構6(チェーンコンベヤ61)の開始点の前から、フィルム保持機構6(チェーンコンベヤ61)と側壁22との間に押しやるように送風することが好ましい。因みに、このような下流向きの送風形態では、液流方向(下流方向)に対し50度〜90度程度が好ましいものである。
以上述べたように、伸展低下防止機構10(除去手段101)としての送風は、転写フィルムFに直接、エアを作用させないことが好ましい点や、送風方向に幅がある点で、上記送風機26とは大きく相違するものである。逆に言えば、上記送風機26は、転写フィルムF表面に直接エアを作用させるものであり、なお且つ送風方向もフィルムの移送を考慮して、上流から下流へと向かう一方向に設定されるものである。
次に、圧縮空気吹出ノズル102により伸展低下防止用の送風を行う際、その送風量の調整の目安について説明する。
本出願人は、伸展低下防止機構10の送風効果を確認すべく、以下のような試験を行った。この試験は、転写槽2に4000リットルの転写液L(水)を入れて循環させておき、従来の液圧転写フィルムに従来の活性剤を塗布しつつ連続運転を行い、転写フィルムがフィルム保持機構6に付着しなくなった(離れた)時点で終了とし、活性剤の使用量を確認するものである。ここで1回目(試行1)は、伸展低下防止用の送風を行わず、2回目(試行2)にだけ該送風を行った。その結果、試行1は約5時間後、約4kgの活性剤を使用した時点で、転写フィルムがフィルム保持機構6に付着しなくなった。また、試行2は、転写槽2の水を交換し、上述したように伸展低下防止機構10の送風を行ったこと以外は同じ条件で行ったが、試行2では、全く変化が見られず、転写フィルムが常に安定してフィルム保持機構6に到達し続けたため、10時間の連続運転を経過した段階(約8kgの活性剤を使用)で、確認(試験)を終了した。
この試験から判断すると、試行1は伸展低下防止用の送風を行わなかったために、次第に転写フィルムFの伸展力が負けて伸展低下が生じ、フィルム保持機構6に付着しなくなったものと考えられる。また試行2は、常に伸展低下防止用の送風が行われたことにより、液面上の活性剤成分Kが除去され(液表面の濃度が低下し)、フィルム伸展力の方が強い関係が保たれて、常に転写フィルムFの伸展(フィルム保持機構6への到着)が維持できたと考えられる。
このようなことから、伸展低下防止用の送風を行う際には、送風量を調整する目安として、
(転写液中の活性剤濃度+転写液面上の活性剤濃度に伴う液膜や液粘度によるフィルム 伸展を阻害しようとする抵抗力)<フィルム伸展力
という関係が成り立つように送風すれば良いと結論付けられる。
ここで、転写フィルムFの伸展を阻害する要因(条件)として、液面上の活性剤濃度(割合)のみならず、転写液中の濃度も考慮に入れたのは、上述したように転写を繰り返し行うことで、転写液中に溶け込んだ活性剤の濃度が次第に高まって行くためである。その点では、新水供給によって転写液中の活性剤濃度を低下もしくは低い状態で維持することが可能であるため、新水供給によっても転写フィルムFの伸展低下防止を図ることが考えられる。因みに、本実施例では、この点も考慮して新水供給を併せて行ったものである。
なお、伸展低下防止機構10における除去手段101としては、必ずしも送風で活性剤成分Kを側壁22に追いやるだけでなく、他の除去手法も採り得るものであり、例えば液面上の活性剤成分Kを転写液Lとともに吸い込むバキューム手法が挙げられる。すなわち、この場合には、除去手段101として吸い込みノズルが適用される。
また、本実施例では伸展低下防止機構10の圧縮空気吹出ノズル102を送風機26とともに設けたが、伸展低下防止機構10は、必ずしも送風機26とともに設ける必要はなく、伸展低下防止機構10による送風(活性剤成分Kの除去)や液流あるいはフィルム保持機構6による移送作用(保持作用)によって転写フィルムFの周囲への延展が行える場合には、液圧転写装置1の全体構成から送風機26を削除することが可能である。
次に、転写フィルム供給装置3について説明する。転写フィルム供給装置3は、一例として図1に示すように、ロール巻きされた転写フィルムFから成るフィルムロール31と、このフィルムロール31から引き出された転写フィルムFを加熱するヒートローラ32と、転写フィルムFを転写槽2に供給するための案内コンベヤ33とを具えて成り、転写フィルムFはガイドローラ34によってこれらの部材間を経由しながら転写槽2に供給される。
ここで上記説明では、ロール巻きしたフィルムロール31から順次、転写フィルムFを転写槽2に繰り出すように説明したが、例えば最初から矩形状にカットされた転写フィルムFを一枚ごと転写槽2に供給し、この上方から被転写体Wを押し付けることも可能である。
次に、活性剤塗布装置4について説明する。活性剤塗布装置4は、一例として転写フィルム供給装置3のヒートローラ32の後段に設けられ、転写フィルムFに所要の活性剤を塗布するロールコータ41を具えて成るものである。ここで図1に示す実施例では、転写フィルムFに活性剤を塗布してから、これを転写槽2に供給するものであるが、当該装置の配置を変更して、転写槽2に供給・着液した状態の転写フィルムFに、上方から活性剤を塗布することも可能である。
次に、被転写体搬送装置5について説明する。被転写体搬送装置5は、被転写体Wを適宜の姿勢で転写液L中に没入させ、また転写液L中から引き上げるものであり、通常は転写用治具(単に治具Jとする)を介して被転写体Wの取り付けを図るため、本実施例においても、被転写体搬送装置5は、搬送作用を担うコンベヤ51と治具ホルダ52とを具えて成るものである。すなわち、液圧転写を行うにあたっては、予め被転写体Wを治具Jに取り付けておき、この治具Jを治具ホルダ52に着脱してコンベヤ51へのセッティングを行うものである。以下、コンベヤ51について更に説明する。
コンベヤ51は、一例として図1に示すように、平行に配置された一対のリンクチェーン53にリンクバー54を横架するともに、このリンクバー54に所定の間隔で治具ホルダ52を配設して成り、被転写体Wを治具Jとともに連続的に転写液L中に没入・出液させるものである。なお、没入側における被転写体W(治具J)のコンベヤ51への取り付けや、転写後の出液側における被転写体W(治具J)のコンベヤ51からの取り外しは、ロボットにより自動で行うことも可能であるし、作業者による手作業で行うことも可能である。また、コンベヤ51による被転写体Wの搬送速度(特に没入エリアP1における速度)は、転写フィルムFの液面上の移送速度(すなわち転写液Lの液流速度)とほぼ同調するように設定されるのが一般的である。
コンベヤ51の具体的構成について説明すると、このものは一例として図1に示すように、側面から視て逆三角形の搬送軌道を描く通常の三角コンベヤ部55に対し(逆三角形の下方に位置する頂点部分を没入側ホイール56とする)、出液側ホイール57を追加した構造を採り、概ね没入側ホイール56から出液側ホイール57までの区間で被転写体Wを没入させ、且つ出液エリアP2を没入エリアP1とは異なる位置に設定したものである。より詳細には、平面から視た出液エリアP2が、没入エリアP1に対して明確に下流側に位置するように設定されるものである。
因みに、従来の三角コンベヤ部55のみによる搬送態様では、被転写体Wの没入が、下方の頂点部分(没入側ホイール56)のみで行われ、言わば短時間または瞬間的な没入であるのに対し、本実施例における被転写体Wの没入は直線的と言え、没入時間を長く確保したものと言える。
このようなことから、本実施例では、没入エリアP1から出液エリアP2までの距離が比較的長く確保でき、被転写体Wを没入させている間に液面残留フィルムF′を分断し、且つ両側壁22部分で回収するのに好適な搬送態様である。
更に、本実施例では、没入側ホイール56から出液側ホイール57までの区間は、液中における被転写体Wの移動軌跡をほぼ水平に設定するものである。またコンベヤ51は、このような構造上、従来の三角コンベヤ部55と直線コンベヤ58部とを出液側ホイール57によって接続した構成を採るものであり、以下これらの構成部材について説明する。
三角コンベヤ部55は、従来と同様に、下方頂点に当たる没入側ホイール56を回動中心として全体的に傾倒自在に構成され、これにより被転写体Wの没入角が適宜変更できるように構成されている。因みに、ここでの没入角とは、被転写体Wが転写液Lの液面に向かって進行する角度であり、一例として15度〜35度程度での設定範囲を想定している。
また、直線コンベヤ部58も、下方のチェーンホイール59を中心として回動自在に構成され、いわゆるパンタグラフ状の構造を採るものである。これは(直線コンベヤ部58を回動自在としたのは)、三角コンベヤ部55の回動によって被転写体Wの没入角を変更しても、コンベヤ51全体の移送長(リンクチェーン53の全長)は変えられず、またコンベヤ51に掛けるテンションも維持する必要があるためである。言い換えれば、直線コンベヤ部58を回動させることで、このものの回動自由端側をいわゆるテンションプーリとして機能させたものである。
ここで図12(a)中の実線部分が、没入角が比較的小さい場合の搬送軌道であり(一例として15度程度の没入角)、図12(b)中の実線部分が、没入角が比較的大きい場合の搬送軌道である(一例として30度程度の没入角)。因みに、本実施例では、出液側ホイール57〜直線コンベヤ部58の回動中心側(チェーンホイール59)までの間が固定状態に設定されているため(定位置での回転のみ許容)、出液角は変更できないものである(固定設定されている)。
なお、出液側ホイール57には、「ホイール」という名称を付したものの、必ずしもリンクチェーン53の走行とともに回転する部材である必要はなく、例えば上記図12に示したように、チェーンに当接しながら円滑にこれを案内するガイド部材であっても構わない(いわゆる滑り接触)。
また、出液側ホイール57の径寸法は、没入側ホイール56と同じ大きさか、これより大きいものが好ましく、これは出液側ホイール57が小さいと、被転写体Wが出液する際に出液側ホイール57の外側を回る周速度(回転速度)や角度変化が大きくなるためである(転写液Lに対する速度差が過大となる)。すなわち、本コンベヤ51にあっては、リンクバー54が取り付けられるリンクチェーン53部分での移送速度(チェーン走行速度)が一定に維持されるため、出液側ホイール57の径寸法(回転半径)が小さくなると当該ホイール外側を回る被転写体Wの周速度(回転速度)や角度変化が大きくなるものである。
また、上記図1・12に示した実施例は、上述したように出液角は固定され、変更できないものであるが、出液角を可変とすることも可能である。すなわち、これは例えば図13に示すように、コンベヤ51(リンクチェーン53)を側面から視た状態で、搬送軌道が全体的に四角形状(特に台形状)になるように形成した場合である。ここで没入側ホイール56と出液側ホイール57とは固定状態に設定され(定位置での回転のみ可能)、残る二つのチェーンホイール59A、59Bが各々没入側ホイール56と出液側ホイール57とに対して回動自在に形成される。つまり、没入側ホイール56と出液側ホイール57とに連接される没入側及び出液側の直線コンベヤ部58A、58Bを没入側ホイール56及び出液側ホイール57を中心に回動自在に形成するものである。
もちろん本実施例においても、やはりコンベヤ51全体の移送長(リンクチェーン53の全長)は変えられないため、被転写体Wの没入角を変更させた場合には、テンションプーリーのように出液側の直線コンベヤ部58Bも振って、出液角を変更させるものである。従って、本実施例では、出液角が変更可能ではあるものの、これは没入角と関連する変更であり、何の制限もなく出液角を自由に変更できるものではない。因みに、図13中の実線部分が、没入角が大きく且つ出液角が小さい場合の搬送態様である。また図中の二点鎖線部分が、没入角が小さく且つ出液角が大きい場合の搬送態様である。因みに、具体的な角度としては、一例として没入角が15度〜35度程度で変更可能であり、出液角が75度〜90度程度で変更可能である。
また上記図12・13等の実施例では、没入側ホイール56から出液側ホイール57までの間で、被転写体Wを液中においてほぼ水平に移送するものであったが、被転写体Wの搬送態様は、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば図14に示すように、被転写体Wを上記の区間で徐々に上昇させて行く移送形態も可能である。この場合、被転写体Wは、両ホイール間の移送中において適宜の傾斜角(出液角)を持って上昇移送される。このことから、被転写体Wの没入後、上記の区間で出液側ホイール57のみを徐々に上方に移動させて行けば、被転写体Wの出液角を徐々に増加させて行くことが可能となる。従って、上記図13において出液側ホイール57を昇降自在とすれば、より高い自由度で出液角を変更することができ、場合によっては没入角に何ら依存することなく変更し得るものである。
また、コンベヤ51の搬送軌道としては、例えば図15に示すように、被転写体Wを出液側ホイール57以降、没入側に折り返し状に形成することも可能である(いわゆるオーバーハング状態)。ここで本図15では、出液後の被転写体Wをオーバーハング状に移送するように図示したが、転写槽2(転写液L)に対するコンベヤ51の配置等を変更すれば、被転写体Wを出液させる際にオーバーハング状態で引き上げること、つまり意匠面S1を上方に向けた裏返し状態で被転写体Wを液中から引き上げることも可能である。
なお、上述したコンベヤ51は、没入エリアP1と出液エリアP2との間で、ある程度の時間・距離を確保することが目的であるため、従来の三角コンベヤ部55のみでコンベヤ51を構成することも可能である。ただ、この場合には、図12中に示す治具脚JLを幾らか長めに設定して、被転写体Wを比較的液中深くに沈み込ませ、没入エリアP1から出液エリアP2までの距離を長めに確保することが好ましい。もちろん単に治具脚JLを長くするだけでは、没入側ホイール56(三角コンベヤの下方頂点部分)の外側を回る被転写体Wの周速度や角度変化が大きくなるため、これを考慮して全体の移送態様を決定する必要がある。
また被転写体搬送装置5は、必ずしも上述したコンベヤ51に限定されるものではなく、例えば図16に示すようなロボット110を適用することも可能である(多関節形ロボットであり、いわゆるマニピュレータ)。この場合も、転写槽2は、上述した形態を踏襲するものであり、被転写体Wを没入させている間に液面残留フィルムF′を分断し、転写槽2から排出することが好ましい。もちろん、転写液Lや出液エリアP2の清浄化を高いレベルで図る場合には、上述した出液エリア浄化機構8、意匠面浄化機構9、伸展低下防止機構10、傾斜板27等も具えることが、より好ましい。
なお、図16中、破線部を指す符号111は、被転写体Wを転写液L中に没入させるための転写ロボットのハンドであり、一般には被転写体Wを保持した治具Jを把持するものである。また図中、二点鎖線部を指す符号112は、転写後の被転写体Wを液中から引き上げ、UV照射工程用のコンベヤCに乗せるための移載ロボットのハンドであり、ここでも被転写体Wを保持した治具Jを把持するのが一般的である。
また、このようなロボット110を適用した液圧転写(ロボット転写)の場合、上述したコンベヤ51よりも被転写体Wの姿勢を自由に変更できるため、没入角や出液角あるいは液中における姿勢や位置も、より多彩に且つ自由に設定できるものである。また、被転写体Wの没入時の速度と、液中での平行移動時や出液時の速度も自由に設定できる。また、転写槽2の左右に複数のロボット110を配置して交互に転写から引き上げまでを行うこともできる。
更に、コンベヤ51では出液時の搬送軌道は、コンベヤ51に沿った直線的な引き上げしかできず、上記図11に示すように、被転写体W(意匠面S1)の湾曲状態や凹凸度合い等によっては、意匠面S1がオーバーフロー槽92(排出口93)から徐々に遠ざかってしまうことが考えられた。これに対しロボット110による引き上げの場合には、被転写体Wの湾曲形状や凹凸度合い等によって、意匠面S1とオーバーフロー槽92(排出口93)の距離を一定に保つように、被転写体Wを前後に動かしたり、回転させながら引き上げることができるため、意匠面S1からオーバーフロー槽92に向かう意匠面離反流により、意匠面S1の浄化と、液面上の泡Aや転写液中・液面上の夾雑物の排除とを確実に行うことができ、無人で効率的に連続して、精緻な転写を行うことができる。
また、ロボット転写においては、没入時には液面に向けていた意匠面S1を、液中で回転(反転)させることにより、出液時には意匠面S1を上方に向けた裏返し状態で被転写体Wを引き上げることも可能である。もちろん、出液時の被転写体Wの姿勢としては、液面に対し意匠面S1がほぼ90度を成すように(約90度の出液角)、液中から引き上げることもできる。
液圧転写装置1は以上のように構成されるものであり、以下、この液圧転写装置1の作動態様について説明しながら、液面転写方法について併せて説明する。
(1)転写フィルムの供給
液圧転写を行うにあたっては、まず転写液Lを貯留した転写槽2に転写フィルムFを供給する。ここでは上述したように、液圧転写の際に表面保護機能も有する転写パターンを形成することが好ましいため(転写後のトップコートが不要となる)、転写フィルムFとしても水溶性フィルムの上に転写インクによる転写パターンのみが形成されたものを使用するか、あるいは水溶性フィルムと転写パターンとの間に硬化性樹脂層が形成されたものを使用するものであり、とりわけ水溶性フィルム上に転写パターンのみが形成された転写フィルムFを使用する場合には、活性剤として液体状の硬化樹脂組成物を適用することが好ましい。
また、本発明では、転写槽2に転写フィルムFを供給するにあたり、フィルム保持機構6(チェーンコンベヤ61)と転写フィルムFとの間の転写液L面上で液膜状となり、転写フィルムFの伸展を低下させる活性剤成分Kを除去するものである。これには例えば図1に示すように、圧縮空気吹出ノズル102によって、転写フィルムFの広がりエッジに臨む液面に送風して、ここに溜まる(浮遊する)活性剤成分Kを、フィルム保持機構6の作用開始端(前方側)を回り込ませながら、フィルム保持機構6と側壁22との間に追いやるものである。これにより転写フィルムFの広がりエッジに臨む液面では、常時、活性剤成分Kが除去されるため、転写フィルムFの両サイド部分(両側縁部分)がフィルム保持機構6としてのチェーンコンベヤ61に確実に到達し続け、ほぼ一定の伸び率を保った状態で没入エリアP1(転写位置)まで移送されるものである。
なお、フィルム保持機構6と側壁22との間に追いやった活性剤成分Kは、その後、オーバーフロー槽75(排出口76a)に導入して回収することが好ましく、これは活性剤成分Kを転写槽2から連続的に回収(排出)し、転写フィルムFの伸展ひいては精緻な液圧転写を連続して行うためである。
(2)被転写体の没入
このようにして転写フィルムFが転写液L面上で転写可能な状態となった後、例えばコンベヤ51に保持された被転写体Wが、順次適宜の姿勢で(没入角で)転写液Lに投入される。もちろん、この没入角は被転写体W(意匠面S1)の形状や凹凸などによって適宜変更可能である。
ここで、本実施例では、没入エリアP1が、その後に液中から引き上げられる出液エリアP2とは幾らか離れており、被転写体Wを転写液L中に没入させている時間が比較的長いものである。因みに、没入中、被転写体Wは液中においてほぼ水平に移送されることが好ましい。
また、液面上の転写フィルムFは、上記図1のように被転写体Wの没入によって突き破られて孔が開いた状態となり、この液面に残されたフィルムが、転写に用いられなかった液面残留フィルムF′である。そのため本実施例では、この液面残留フィルムF′を、下流の出液エリアP2まで到達させないように、転写後できるだけ早期に且つ確実に回収するものであり、以下この回収態様について説明する。
(3)液面残留フィルムの分断
液面残留フィルムF′を回収するにあたっては、まず液面残留フィルムF′を没入エリアP1の下流側で、なお且つ出液エリアP2の上流側において、液流方向に分断するものであり、これには図1に示すように、転写後の液面残留フィルムF′にエアを吹き付けて分断する。その後、エアによって分断された液面残留フィルムF′は、送風や液流等によって次第に両側壁22に寄るように送られ、ここで図3に示すように、両側壁22に設けたオーバーフロー槽75等によって回収される。
(4)液面残留フィルムの回収
そして本実施例では、液面残留フィルムF′の回収を妨げることがないように、オーバーフロー槽75(排出口76)では、フィルム保持機構6(チェーンコンベヤ61)によるフィルムの保持作用を解除するが、オーバーフロー槽75の手前(上流側)で解除するのではなく、例えば図7(a)に示すように、フィルムの保持作用が幾らか排出口76に及ぶように構成されることが好ましい(オーバーラップ状態)。これは、オーバーフロー槽75に至るまで液面残留フィルムF′を確実にチェーンコンベヤ61に保持させるためであり、これにより液面残留フィルムF′は、転写位置にある転写フィルムFを引っ張ってしまうことなく、オーバーフロー槽75部分で、チェーンコンベヤ61末端のスプロケット63を回り込むように流れ、オーバーフロー槽75に落下、回収されるものである。
なお、分断ラインFLのエッジ付近は、上述したように次第に少しずつ溶解、ばらけながら送風や液流によって両側壁22に寄って行くものである。このため、液面残留フィルムF′を回収する際には、分断ラインFLの塊全体部分と、分断ラインFLのばらけた夾雑物とを二段階で分けて回収することが好ましく、これに適した構成がオーバーフロー槽75の排出口76の途中部分に設けられた遮断手段77である。すなわち、遮断手段77の存在によって、一基のオーバーフロー槽75でも、遮断手段77の前後二段階に分けて液面残留フィルムF′を回収するものである。具体的には、図3・8に示すように、分断ラインFLの塊全体を遮断手段77(堰板78または収容式遮蔽体79)より上流手前側に誘導し前方の一段階目で回収する一方、分断ラインFLのばらけた夾雑物については、遮断手段77より後方の二段階目で回収するものである。
また、遮断手段77は、排出口76の流速誘導範囲を狭めるものでもあり、このため遮断手段77はフィルムの保持作用解除後の流速を弱める制御も行っている。
このようにして、エアで分断された液面残留フィルムF′は、オーバーフロー槽75によって、確実に且つ転写位置(没入エリアP1)に悪影響を及ぼすことなく回収されるものである。
ここで遮断手段77としては、図3・8に示したように堰板78や収容式遮蔽体79を適用することが可能であるが、収容式遮蔽体79であれば、オーバーフロー槽75に落とし込むだけでこのものを固定でき、また収容式遮蔽体79を前後にスライドさせることで排出口76に対する位置設定や、前後二段階で行う回収割合の調節も容易に行え、好ましいものである。
なお、このような液面残留フィルムF′の回収は、当然、出液エリアP2よりも上流側で完了させるものである。
(5)出液エリア浄化(装飾不要面側)
また、このような液面残留フィルムF′の回収に伴い、本実施例では出液エリア浄化機構8によって出液エリアP2、特に装飾不要面S2側を浄化するものであり、以下これについて説明する。出液エリア浄化機構8は、出液エリアP2における転写液中・液面上の夾雑物や液面上の泡Aを出液エリアP2から遠ざけ、槽外に排出するものである。これには、例えば図3に示すように、出液エリアP2の左右両側壁22にオーバーフロー槽82を設け、出液エリアP2からオーバーフロー槽82に向かうサイド離反流を形成するものであり、これにより主にフィルムカス等の液中の夾雑物を出液エリアP2に寄せ付けないようにし、且つその回収を図っている。更に、本実施例では図1〜3に示すように、転写槽2の一方の側壁22(オーバーフロー槽82の上方)上に送風機85を設け、ここから出液エリアP2を通って反対側のオーバーフロー槽82に至るように送風を行っている。これにより出液エリアP2(装飾不要面S2側)の液面上に発生する泡Aや夾雑物をオーバーフロー槽82に送り込み、回収するものである。また、このため、オーバーフロー槽82には、流速増強用ツバ84を形成し、液面付近での流速(導入速度)を速めることが好ましい。
なお、上記サイド離反流を形成するには、一部新水を利用することが望ましい。
(6)意匠面浄化(意匠面側)
また、本実施例では意匠面浄化機構9によって、出液エリアP2の意匠面S1側を浄化するものである。すなわち、当該機構は、被転写体Wを引き上げるにあたり、出液中の被転写体Wの意匠面S1を浄化し、更に先行して引き上げられた被転写体W(治具J)から落下した雫によって生じた液面上の泡Aや、転写液中・液面上の夾雑物を意匠面S1から遠ざけ出液エリアP2から排除するものであり、以下これについて説明する。
意匠面浄化機構9は、出液中、通常、下流側を向くために意匠面S1に回り込む流れを極力解消し、意匠面S1に夾雑物を寄せ付けないようにするものである。具体的には、図1・2に示すように、出液エリアP2にオーバーフロー槽92を設けて成り、これにより出液中の被転写体W(意匠面S1)に、新水による意匠面離反流を形成する。ここで上記オーバーフロー槽92には、流速増強用ツバ94を形成し、液面付近での流速(導入速度)を速めることが好ましい(図3・10参照)。
なお、被転写体Wの出液に伴い、被転写体W(意匠面S1)が離反流形成手段91としてのオーバーフロー槽92から離反して行く場合には、オーバーフロー槽92を被転写体Wに徐々に接近させたり、オーバーフロー槽92の水位(液レベル)を下げて流速を上げることにより、意匠面離反流を強化させたりすることが好ましい(図11参照)。
因みに被転写体搬送装置5としてマニピュレータを用いた場合には、被転写体Wとオーバーフロー槽92との距離を一定に保つように、被転写体Wの出液軌道を制御して出液させることが好ましい。
ここで、上記オーバーフロー槽82、92で回収した転写液Lは、夾雑物を除去して循環使用に供するものである。
更に、本実施例では、転写槽2の底部に傾斜板27を設置するものであり、この傾斜板27は、転写槽2の底部に生じる循環還流による微速な液流と、被転写体Wの液中でのほぼ水平な動き(傾斜板27の上方)による液流を利用して、転写液L中に滞留する夾雑物を捕捉するものである。このため、傾斜板27は転写液Lを浄化する作用を担うものであるが、転写液Lが循環使用されることを考慮すれば、間接的に出液エリアP2のクリーン化に寄与すると言える。従って、本実施例では、これら液面残留フィルム回収機構7、出液エリア浄化機構8、意匠面浄化機構9、傾斜板27等によって、出液エリアP2のクリーン化が高いレベルで達成されるものである。
因みに、液圧転写後にトップコートを行い、転写パターンの表面保護を図る従来の液圧転写では、液圧転写後に水洗浄等を行い被転写体W(意匠面S1)に付着した水溶性フィルムを除去し、その後にトップコートを行っていたため、転写時に意匠面S1にフィルムカス等の夾雑物が付着すること自体が即、不良になるものではない。しかしながら、このような従来の液圧転写においても、出液エリアP2のクリーン化や転写液Lの清浄度を高いレベルで維持することは、精緻な液圧転写が行える点で好適であり、本実施例におけるこのような技術思想は、従来の液圧転写においても好ましいものである。
(7)被転写体の出液
被転写体Wは、上記のように高いレベルでクリーン化が達成された出液エリアP2から引き上げられるものであり、このため意匠面S1への夾雑物や泡Aの付着はほとんどないものである(不良率の低減)。また、被転写体Wを転写液Lから引き上げる際の出液角は適宜変更可能である。
なお、被転写体Wは、転写液L中では(没入側ホイール56から出液側ホイール57の区間における搬送軌道では)、ほぼ水平に移送されることが好ましく、これは転写液L中及び出液時の回転動作中に、被転写体Wに過度な速度や角度変化に伴う意匠面S1への応力付与を避けるためである。
(8)装飾層の硬化処理
転写液Lから引き上げた被転写体Wには、その後、転写パターン(装飾層)を硬化させる処理が施される。ここでは被転写体Wに紫外線等の活性エネルギー線を照射するものであり(図17(c)参照)、この際、被転写体Wは、意匠面S1に半溶解状のPVAが付着したままの状態である。なお、転写パターン(装飾層)を硬化させる他の手法としては、上記活性エネルギー線照射の他に加熱も挙げられるが、これらを両方行って硬化させることも可能である。因みに、特許請求の範囲(請求項14)に記載した「活性エネルギー線照射または/および加熱」という記述は、これらの硬化処理のうちどちらか一方または双方を行うことを意味している。
その後、被転写体Wは、水洗浄等によってPVAが除去され(脱膜)、乾燥を経て、一連の作業が終了となる。なお、本実施例では既に転写パターン(装飾層)を硬化させているため、乾燥後のトップコートは不要であるが、この後、更にトップコートを行うこと自体は何ら差し支えない。
(9)被転写体が意匠面に開口部を有する場合の転写について
次に、被転写体Wが意匠面S1に開口部Waを有している場合の好ましい転写態様について説明する。このような被転写体Wについては、例えば図17(a)に示すように、開口部Waの裏面(装飾不要面S2)側に適宜の間隙CLをあけて薄膜誘導体120を設けて転写を行う(転写液Lに没入させる)ことが好ましい。これは、そのままでは表側の意匠面S1に張る薄膜Mを、薄膜誘導体120によって図17(b)に示すように、開口部Waと薄膜誘導体120との間(間隙CL)に張らせるためである。
ここで、通常では意匠面S1側に張ってしまう薄膜Mを、薄膜誘導体120によって、間隙CLに張らせることができる経緯(理由)について説明する。薄膜Mは、一般にシャボン玉と同様であり、そのため面積(表面積)を小さくするように膜を張るという性質がある(フェルマーの法則)。このため開口部Waの面積(開口部面積)に対して、間隙CLの全周囲面積(これを離開全周面積とする)を小さくするように薄膜誘導体120を設けることで、薄膜Mを間隙CL側(装飾不要面S2側)に誘導することができるものである。
このようなことから、薄膜誘導体120は、一例として図17(a)に併せ示すように、開口部Waを正面から視た状態で、開口部Waとほぼ同等の大きさか、それよりも一回り大きめに形成するものであり、これは開口部Waの全周において間隙CLを確実に形成するための構成である。
また、薄膜誘導体120を開口部Waの裏側に位置させるにあたっては、治具Jに薄膜誘導体120を取り付けてもよいし、被転写体Wの裏面(アッセンブリとしての組付構造)を利用して薄膜誘導体120を直接、被転写体Wに取り付けても構わない。
因みに、薄膜誘導体120は、一例として図17(c)に示すように、装飾層の硬化処理を終えるまで、装飾不要面S2側に位置させておくことが好ましい。また、薄膜Mが出液中や本硬化処理中において破裂することについては格別支障がなく、これは薄膜Mが被転写体Wの装飾不要面S2側に形成され、破裂しても意匠面S1側にまで破裂残滓による泡Aが発生し難いためである。
なお、ロボット転写を行う場合や、コンベヤ51を適用しても被転写体Wをオーバーハング状態で液中から引き上げる場合等には、意匠面S1を上にした裏返し状態で引き上げることが可能であるため、被転写体Wが意匠面S1に開口部Waを有していても、このような薄膜誘導体120を用いずに液圧転写を行うことが可能である(意匠面S1に泡Aが付着し難いと考えられる)。これは裏返し状態での引き上げなら、被転写体W(意匠面S1)に付着した液体は、重力により自然に下方に当たる裏側に流れ込むため、破裂残渣による泡Aが発生しても、これも上記流れに沿って装飾不要面S2側に回り込むと考えられるためである。
更に、上述した間隙CLは、必ずしも開口部Waの全周に対して一定に形成する必要はなく、例えば図18に示すように、漸減させることも可能であり(ここでは出液下方側に向かって間隙CLが徐々に広がるように薄膜誘導体120を設置)、この場合には転写没入時に被転写体Wと薄膜誘導体120との間に空気の抜けを誘導し易く、精緻な液圧転写ができ、また出液後の素早い排水と乾燥が期待できるものである。
本発明は、液圧転写の際、着液に伴い転写フィルムFから転写液L面に流出・滞留し、転写フィルムFの伸展を阻止するように膜を張る活性剤成分を除去するものであり、転写時に表面保護機能も有した転写パターンを形成する液圧転写(トップコート不要の液圧転写)に好適であるが、転写時に転写パターンを形成し、転写後のトップコートにより、その表面保護を図る従来の液圧転写においても適用できる。
1 液圧転写装置
2 転写槽
3 転写フィルム供給装置
4 活性剤塗布装置
5 被転写体搬送装置
6 フィルム保持機構
7 液面残留フィルム回収機構
8 出液エリア浄化機構
9 意匠面浄化機構
10 伸展低下防止機構

2 転写槽
21 処理槽
22 側壁
23 循環管路
24 浄化装置
25 循環ポンプ
26 送風機
27 傾斜板
28 取水口
29 架台
30 架台

3 転写フィルム供給装置
31 フィルムロール
32 ヒートローラ
33 案内コンベヤ
34 ガイドローラ

4 活性剤塗布装置
41 ロールコータ

5 被転写体搬送装置
51 コンベヤ
52 治具ホルダ
53 リンクチェーン
54 リンクバー
55 三角コンベヤ部
56 没入側ホイール
57 出液側ホイール
58 直線コンベヤ部
58A 直線コンベヤ部
58B 直線コンベヤ部
59 チェーンホイール
59A チェーンホイール
59B チェーンホイール
110 ロボット(多関節形ロボット)
111 ハンド(転写ロボット)
112 ハンド(移載ロボット)

120 薄膜誘導体

6 フィルム保持機構
61 チェーンコンベヤ
62 チェーン
63 スプロケット
64 ガイド体
65 ガイド体

7 液面残留フィルム回収機構
71 分割手段
72 排出手段
73 送風機
73a 補助送風機
73b 補助送風機
75 オーバーフロー槽
75a 補助オーバーフロー槽
76 排出口
76a 排出口
77 遮断手段
78 堰板
79 収容式遮蔽体
79a 堰作用部
79b 脚部

8 出液エリア浄化機構
81 排出手段
82 オーバーフロー槽
83 排出口
84 流速増強用ツバ
85 送風機

9 意匠面浄化機構
91 離反流形成手段
92 オーバーフロー槽
93 排出口
94 流速増強用ツバ
95 吸い込みノズル

10 伸展低下防止機構
101 除去手段
102 圧縮空気吹出ノズル

A 泡
C コンベヤ(UV照射工程用)
CL 間隙
F 転写フィルム
F′ 液面残留フィルム
f 転写された装飾層
FL 分断ライン
J 治具
JL 治具脚
K 活性剤成分
L 転写液
M 薄膜
W 被転写体
Wa 開口部
P1 没入エリア(転写位置)
P2 出液エリア
P3 分断開始地点
S1 意匠面
S2 装飾不要面

Claims (14)

  1. 水溶性フィルムに少なくとも転写パターンを乾燥状態で形成して成る転写フィルムを、転写槽内の液面上に浮遊支持し、その上方から被転写体を押し付け、これによって生じる液圧によって、被転写体に転写パターンを転写する方法において、
    前記転写槽は、転写槽に供給された転写フィルムの両サイドを接触保持し、少なくとも転写が行われる没入エリアまで転写フィルムを移送するフィルム保持機構を、左右両側壁の内側に具えるものであり、
    また、この転写槽は、転写液面上で液膜状となって滞留し、転写フィルムの伸展を阻害する活性剤成分を除去する伸展低下防止機構を具え、この伸展低下防止機構によって、フィルム保持機構と転写フィルムとの間の液面上に位置する活性剤成分を、フィルム保持機構と側壁との間に移送するようにしたことを特徴とする液圧転写方法。
  2. 前記転写槽には、フィルム保持機構の外側にオーバーフロー槽が設けられるものであり、前記フィルム保持機構と側壁との間に送られた活性剤成分が、このオーバーフロー槽によって回収され、槽外に排出されることを特徴とする請求項記載の液圧転写方法。
  3. 前記転写槽には、フィルム供給側の上方に送風機が設けられ、この送風によって転写フィルムの周囲への均一な延展を主に図り、また転写槽下流側への進行を補うものであり、
    この送風機の左右両側に、前記伸展低下防止機構を設けるようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の液圧転写方法。
  4. 前記伸展低下防止機構は、転写液面上に供給された転写フィルムの両サイド部分に臨む液面に作用するようにエアを送る送風であり、この送風によって液面上の活性剤成分を、転写槽の両側壁側に追いやるようにしたことを特徴とする請求項記載の液圧転写方法。
  5. 前記伸展低下防止機構による送風は、着液により転写フィルムが転写液を含んで徐々に膨潤・軟化して広がる際の両サイドエッジ部に臨む液面に作用するように行われ、主に、このエッジ部位での伸展低下を抑制するようにしたことを特徴とする請求項記載の液圧転写方法。
  6. 前記伸展低下防止機構による送風は、多関節ジョイントタイプのフレキシブルホースを具えた圧縮空気吹出ノズルによって行われることを特徴とする請求項4または5記載の液圧転写方法。
  7. 前記被転写体に施す液圧転写は、転写フィルムとして水溶性フィルム上に転写パターンのみを乾燥状態に形成したものを適用し、且つ活性剤として液体状の硬化性樹脂組成物を用いるか、
    あるいは転写フィルムとして水溶性フィルムと転写パターンの間に硬化性樹脂層を具えた転写フィルムを適用するかのいずれかであり、
    液圧転写によって被転写体に、表面保護機能も有する転写パターンを形成し、これを転写後の活性エネルギー線照射または/および加熱によって硬化させるものであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の液圧転写方法。
  8. 転写液を貯留する転写槽と、
    この転写槽に転写フィルムを供給する転写フィルム供給装置と、
    活性剤により転写槽の液面上で活性化状態となった転写フィルムに対して上方から被転写体を押し付ける被転写体搬送装置とを具え、
    水溶性フィルムに少なくとも転写パターンが乾燥状態で形成されて成る転写フィルムを、転写槽内の液面上で浮遊支持し、その上方から被転写体を押し付け、これによって生じる液圧によって、被転写体に転写パターンを転写する装置において、
    前記転写槽は、転写槽に供給された転写フィルムの両サイドを接触保持し、少なくとも転写が行われる没入エリアまで転写フィルムを移送するフィルム保持機構を、左右両側壁の内側に具えるものであり、
    またこの転写槽は、転写液面上に液膜状となって滞留し、転写フィルムの伸展を阻害する活性剤成分を除去する伸展低下防止機構を具え、この伸展低下防止機構によって、フィルム保持機構と転写フィルムとの間の液面上の活性剤成分を、フィルム保持機構と側壁との間に移送するようにしたことを特徴とする液圧転写装置。
  9. 前記転写槽には、フィルム保持機構の外側にオーバーフロー槽が設けられるものであり、前記フィルム保持機構と側壁との間に送られた活性剤成分は、このオーバーフロー槽によって回収され、槽外に排出されることを特徴とする請求項記載の液圧転写装置。
  10. 前記転写槽には、主に転写液面上に供給された転写フィルムの周囲への均一な延展を図り、またこのものの下流側への進行を補う送風機が、フィルム供給側の上方に設けられるものであり、
    前記伸展低下防止機構は、この送風機の左右両側に設けられることを特徴とする請求項8または9記載の液圧転写装置。
  11. 前記伸展低下防止機構は、転写液面上に供給された転写フィルムの両サイド部分に臨む液面に作用するようにエアを送る送風であり、この送風によって液面上の活性剤成分を、転写槽の両側壁側に追いやるようにしたことを特徴とする請求項10記載の液圧転写装置。
  12. 前記伸展低下防止機構による送風は、着液により転写フィルムが転写液を含んで徐々に膨潤・軟化して広がる際の両サイドエッジ部に臨む液面に作用するように行われ、主に、このエッジ部位での伸展低下が抑制されるものであることを特徴とする請求項11記載の液圧転写装置。
  13. 前記伸展低下防止機構には、多関節ジョイントタイプのフレキシブルホースを具えた圧縮空気吹出ノズルが、活性剤成分の除去手段として適用されることを特徴とする請求項11または12記載の液圧転写装置。
  14. 前記転写フィルムとしては、水溶性フィルム上に転写パターンのみを乾燥状態に形成したものを適用するか、水溶性フィルムと転写パターンの間に硬化性樹脂層を具えたものを適用するかのいずれかであり、更に水溶性フィルム上に転写パターンのみを乾燥状態に形成したフィルムを適用した場合には、活性剤として液体状の硬化樹脂組成物を用いるものであり、
    これにより液圧転写の際には被転写体に表面保護機能も有した転写パターンを形成し、これを転写後の活性エネルギー線照射または/および加熱によって硬化させるようにしたことを特徴とする請求項8、9、10、11、12または13記載の液圧転写装置。
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