JP4803433B2 - 中空セラミック構造体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、中空セラミック構造体及びその製造方法に関するものであり、更に詳しくは、鋳造ラインで鋳造用に使用されるストークのように大型で、軽量で、かつ高い断熱性が必要とされる大型・中空セラミック部材及びその製造方法に関するものである。本発明は、従来、製造することが困難であったメートルオーダーの大型で、中空で、高断熱性のセラミック構造体を、例えば、射出成形で作製した小型の基本ユニット体を組み立てる方式と反応焼結の手法を利用して、小規模な生産設備で高精度で生産することを可能とする大型・中空セラミック構造体に関する新技術・新製品を提供するものである。
最終セラミック構造体を分割した形状を有する一次セラミック体を作製し、それらを組み立てあるいは接合して2次成形体を作製することを骨子とするセラミック体の製造方法に関する先行技術として、以下のような公知例がある。例えば、一体化成形が困難な形状を有する粉末焼結体の製造時、寸法精度の悪化、適用粉末の限定、生産性の低下、及び生産コストの上昇という課題を解決するために、粉末と熱可塑性バインダーで形成するコンパウンドを用い、複数個に分割成形体を作製し、接合面にバインダー薄膜層を形成後、各分割成形体を組み立てて脱脂、焼結を行うセラミック体の製造方法が提案されている(特許文献1)。
他の先行技術として、組み立てを必要としないで複合構造の焼結体を製造することを目的とするものとして、金属粉末又はセラミックス粉末と有機バインダーとの混合物を射出成形して小ユニットを成形し、この小ユニットの表面を酸化あるいは窒化した後、金属粉末又はセラミックス粉末と有機バインダーとの混合物を前記小ユニットと連結するように射出成形し、その後、脱脂、焼結する焼結体の製造方法が提案されている(特許文献2)。
また、他の先行技術として、簡便に作製できる成形体を組み合わせて、中空あるいはアンダーカット等の複雑な形状の焼結体を得る方法、及び成形体の接合面に炭素源ないしホウ素源を与えて密着させて焼結することにより、焼結温度程度で成形体界面に液相を生じさせ、簡単に十分な強度で接合させる方法が提案されている(特許文献3)。
また、他の先行技術として、炭化ケイ素粉末と炭素粉末とバインダ−とを混合して成る原料混合体を成形して溝付きの板状成形体を複数個作製し、これらの複数の板状成形体を接着剤で仮接合することにより溝を細孔として内部に備えた積層体を形成し、得られた積層体について脱バインダ−処理を実施して脱脂体とした後に、この脱脂体を加熱し、溶融シリコンを含浸して反応焼結させて一体の焼結体とする反応焼結炭化ケイ素構造体の製造方法が提案されている(特許文献4)。
また、他の先行技術として、炭化ケイ素基接合部品とその製造方法において、接合層が、平均結晶粒径が特定範囲にある炭化ケイ素結晶粒と、その結晶粒の間にネツトワ−ク状に連続して存在するシリコン相とから主として成ることにより、強度などの機械的特性を再現性よく高める方法が提案されている(特許文献5)。この方法では、SiC結晶粒の微構造については、平均結晶粒径が0.1〜30μmの範囲となるように粒子形状を制御し、Si相の微構造については、連続したネツトワ−ク構造を有することが重要で、接合層の気孔率は5%以下とし、また、接合層におけるSi相の含有量は5〜40体積%とし、接合層の厚さは1〜200μmとしている。
例えば、鋳造用に使用されるストークや、原子炉壁などは、内部が溶湯金属や高温ガスに晒され、かつ熱効率を向上させるために、高い断熱性が求められる。また、これらの部材は、メートルクラスの大型であり、曲面で構成されるなど、三次元的な形状を有する場合もある。上記公知例に記載された方法では、例えば、1000mmを超えるような大型部材の製造は困難である。また、上記公知例では、反応焼結炭化ケイ素を用いて分割ユニットを組み立て一体化する方法が述べられているが、この方法は、焼結過程で液相を伴う反応焼結炭化ケイ素に限定され、また、3次元形状への適用は困難である。
特開2002−363608号公報 特開平05−287311号公報 特開平05−320718号公報 特開2005−289744号公報 特開2005−22905号公報
このような状況の中で、本発明者らは、メートルクラスの大型で、例えば、軽量性と高い断熱性が求められる鋳造用に使用される部材をセラミック構造体で作製することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、部材の最終構造を分割した形状を有するユニット体を組み立て、焼成して一体化する方法を利用することにより所期の目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、大型で断熱性に優れ、かつ軽量で耐食性に優れたセラミック部材、及び該セラミック部材の製造が比較的容易で、欠陥部分が生じた場合の作り直しに要する費用が少なく、また、非破壊検査も容易である等、製造リスクの少ないセラミック部材の製造方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)中空セラミック構造体であって、1)中空構造を有する三次元の複雑形状を持つ複数個のユニット同士が組み合わされ接合されて、一体化されている、2)それにより、全体の部材形状が形成されている、3)壁面の内部に空洞部が形成されている、4)上記セラミック構造体の周囲に補強用の金属管が配設されている、ことを特徴とする中空セラミック構造体。
(2)上記ユニット同士の接合部が、嵌め合い構造を有しており、隣り合う複数のユニットが固定されている、前記(1)に記載の中空セラミック構造体。
(3)部材全体の空洞部の体積率が30%以上である、前記(1)に記載の中空セラミック構造体。
(4)上記空洞部に、ヒータ等の加熱手段が配設されている、前記(1)に記載の中空セラミック構造体。
(5)上記セラミック構造体の材料が、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ジルコニア、サイアロン、ムライト、ホウ素化合物あるいはそれらの複合物である、前記(1)に記載の中空セラミック構造体。
(6)上記セラミック構造体が、窒化ケイ素、又は炭化ケイ素の反応焼結プロセスを経て形成されたものである、前記(1)に記載の中空セラミック構造体。
(7)上記セラミック構造体におけるユニット間の、成形体を組み合わせた状態で存在していた空隙が、気相を伴う反応焼結過程で生じる生成物により埋められると同時に結合されている、前記(6)に記載の中空セラミック構造体。
(8)上記反応焼結過程で生じる生成物が、少なくともケイ素、酸素、窒素を含有している、前記(7)に記載の中空セラミック構造体。
(9)上記セラミック構造体が、鋳造用に使用される部材である、前記(1)から(8)のいずれかに記載の中空セラミック構造体。
(10)上記部が、ストークである、前記(9)に記載の中空セラミック構造体。
11)上記セラミック構造体の溶湯に接する部分にパターニングが施されている、前記(9)又は(10)に記載の中空セラミック構造体。
12)上記セラミック構造体の接合面の隙間が、耐熱性の無機物により封止されている、前記(1)に記載の中空セラミック構造体。
13)最終構造体を分割した形状を有するユニット体を組み立て、焼成して一体化してセラミック構造体を製造する方法であって、1)中空とした未焼結ユニット同士の結合部分を嵌め合い構造にし、これらを組み立て接合面を密着させて、焼結し、接合面を強固に結合させるとともに一体化させること、2)その際に、上記ユニット体を射出成形で作製し、弾性を有する成形体の状態で組み立て、その弾性を利用してユニット同士の接合面を密着させること、を特徴とする中空セラミック構造体の製造方法。
14)上記焼結が、反応焼結であり、焼結過程に伴う気相反応によりユニット同士を強固に結合させるとともに一体化させる、前記(13)に記載のセラミック構造体の製造方法。
15)上記ユニット同士の接合面を、エラストマーを主成分とする成形バインダーで接合させる、前記(13)に記載のセラミックス構造体の製造方法。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、中空セラミック構造体であって、中空構造を有する三次元の複雑形状を持つ複数個のユニット同士が組み合わされ接合されて、一体化していること、それにより、全体の部材形状が形成されていること、及び壁面の内部に空洞部が形成されていること、を特徴とするものである。
そして、本発明は、上記ユニット同士の接合部が、嵌め合い構造を有しており、隣り合う複数のユニットが固定されていること、部材全体の空洞部の体積率が30%以上であること、上記空洞部に、ヒータ等の加熱手段が配されていること、上記セラミック構造体の材料が、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ジルコニア、サイアロン、ムライト、ホウ素化合物あるいはそれらの複合物であること、を好ましい実施態様としている。
また、本発明は、上記セラミック構造体が、窒化ケイ素、又は炭化ケイ素の反応焼結プロセスを経て形成されたものであること、上記セラミック構造体におけるユニット間の、成形体を組み合わせた状態で存在していた空隙が、気相を伴う反応焼結過程で生じる生成物により埋められると同時に結合されていること、上記反応焼結過程で生じる生成物が、少なくともケイ素、酸素、窒素を含有していること、上記セラミック構造体が、鋳造用に使用される部材であること、上記部材が、ストークであること、上記セラミック構造体の周囲に補強用の金属管が配設されていること、を好ましい実施態様としている。また、本発明は、上記セラミック構造体の溶湯に接する部分にパターニングが施されていること、上記セラミック構造体の接合面の隙間が、耐熱性の無機物により封止されていること、を好ましい実施態様としている。
また、本発明は、最終構造体を分割した形状を有するユニット体を組み立て、焼成して一体化してセラミック構造体を製造する方法であって、中空とした未焼結ユニット同士の結合部分を嵌め合い構造にし、これらを組み立て接合面を密着させて、焼結し、接合面を強固に結合させるとともに一体化させることを特徴とするものである。本発明は、上記焼結が、反応焼結であり、焼結過程に伴う気相反応によりユニット同士を強固に結合させるとともに一体化させること、上記ユニット体を射出成形で作製し、弾性を有する成形体の状態で組み立て、その弾性を利用してユニット同士の接合面を密着させること、上記ユニット同士の接合面を、エラストマーを主成分とする成形バインダーで接合させること、を好ましい実施態様としている。
本発明では、上記セラミック部材の最終構造を分割した任意の形状を有する基本ユニット体を組み立て、焼成して一体化する際に、中空とした未焼結ユニット同士の結合部分を嵌め合い構造にし、これらを組み立て、接合面を密着させて、焼結し、接合面を強固に結合させるとともに一体化させる。本発明では、成形体は、射出成形等の精密な成形方法を利用して高精度に作製すること、また、成形体の接合面を密着させるために、弾性のあるバインダー、例えば、エラストマーを主成分とする成形バインダーを使用することが望ましい。
セラミック部材の断熱性を高める上で、小さな熱伝導率を有する材料を使用して、少子部材を構成する方法があるが、例えば、窒化ケイ素の場合、小さな熱伝導率を持つものでも2〜3W/mK程度である。この場合、強度は低強度であり、また、高価な助剤を使用するために、部材(特に、大型部材の場合)は、高コストとなる。一方、空気の熱伝導率は固体に比べてきわめて小さく、空気層を活用することによって断熱性を飛躍的に高めることができる。
大型セラミック部材の場合、壁面内部に空洞部を設けることは至難といわざるを得ないが、本発明の方法のように、あらかじめ設計されたユニットを組み上げる方法によれば、それが可能となり、ユニット体にエアギャップ(断熱層)を形成することで高い断熱性を有する大型部材を低コストで製造することが可能となる。また、本発明では、壁面の内部に形成した空洞部を利用して、そこにヒーター等の加熱手段を配設して、更に、その断熱性を高めることが可能である。本発明では、空洞部に加熱手段を配設することを示したが、必要に応じて、空洞部にガス等の冷媒を流して、部材全体を冷却することも適宜可能である。
また、大型部材を作製する場合、通常、大掛かりな成形及び生産設備が必要となるが、本発明の方法では、小型の基本ユニットの成形で足りるために、小規模の製造設備で対応が可能である。更に、本発明の方法では、製造工程における原料ロスが低減できること、また、中実品に比べて、部材全体が軽量化され、取扱いが簡便であることもコスト低減に有利である。
本発明の中空セラミック構造体は、鋳造用に使用される大型部材、例えば、ストーク等に好適に使用することができる。本発明の中空セラミック構造体を鋳造用部材として利用する場合には、セラミック構造体の溶湯に接する部分に適宜パターニングを施すことが好ましく、また、セラミック構造体の接合面の隙間に耐熱性の無機系接着剤等により封止することが好ましい。本発明は、本発明の中空セラミック構造体を利用して、従来法では製造することが非常に困難であった、特に、軽量で、大型で、高い断熱性が必要とされる大型部材及び製品を製造し、提供することを可能とするものとして有用である。
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)基本ユニットを組み立て、一体化することにより、軽量で、高い断熱性を有する大型の中空セラミック構造体を構築し、提供することができる。
(2)本発明の中空セラミックス構造体は、例えば、鋳造ラインで使用されるストークのように、軽量で、大型で、かつ高い断熱性が必要とされるセラミック部材として好適に用いられる。
(3)セラミック構造体の壁面内部に空洞部を配設することにより、軽量で高い断熱性を有するセラミック部材を構築することができる。
(4)上記空洞部にヒーター等の加熱手段を配設したり、セラミック構造体の周囲に補強用の金属管を配設することにより、より高断熱性で高強度のセラミック部材を構築することができる。
(5)従来技術では製造することが非常に困難であった、壁面内部に空洞部を有する大型の中空セラミック構造体を、基本ユニットを組み上げる方法により比較的容易に製造することができる。
(6)複数の種類の基本ユニットを最終構造物の形状・構造及び大きさに基づいて任意に設計した複数の種類の基本ユニットを組み立てることで比較的容易に最終構造物を製造することができる。
(7)小型の成形設備(例えば、射出成形機)を使って、最終的に大型のセラミック部材を生産することができる。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
以下に示す工程により原料粉末を作製した。配合比はすべて重量比である。
(原料A)
原料として、アルミナ粉末(AL−160SG4)100に対して、分散剤及び水を、分散剤A6114:0.75、水:20の比率となるように秤量し、総計1000gとなるようにこれらの原料を配合した。これらを約16時間ボールミルを使って混合してスラリーを作製し、スプレードライヤーを使って、乾燥と顆粒化を行った。
(原料B)
平均粒径が1ミクロン程度の窒化ケイ素粉末、アルミナ、及びイットリアをそれぞれ92:3:5となるように秤量し、粉末総重量に対して140wt%の水を配合し、ボールミルにより混合した。以下、同様にスプレードライヤーを使って、乾燥と顆粒化を行った。
(原料C)
平均粒径が1ミクロン程度の炭化ケイ素粉末、アルミナ、及びカーボンをそれぞれ92:5:3となるように秤量し、粉末総重量に対して140wt%の水を配合し、ボールミルにより混合した。以下、同様にスプレードライヤーを使って、乾燥と顆粒化を行った。
(原料D)
平均粒径が1ミクロン程度の炭化ホウ素粉末、アルミナ、及びカーボンをそれぞれ92:5:3となるように秤量し、粉末総重量に対して140wt%の水を配合し、ボールミルにより混合した。以下、同様にスプレードライヤーを使って、乾燥と顆粒化を行った。
(原料E)
原料粉末として、ケイ素、アルミナ、イットリア、及びムライト混合粉末(配合比82:5:2:11)を用い、粉末総重量に対して140wt%の水を配合し、ボールミルにより混合した。以下、同様にスプレードライヤーを使って、乾燥と顆粒化を行った。
(原料F)
ケイ素粉末50wt%、及びカーボン50wt%からなる混合粉末を原料として、アクリルバインダーを添加して、上記と同様にスラリーを作製した。以下、同様にスプレードライヤーを使って、乾燥と顆粒化を行った。
(原料G)
原料粉末として、ケイ素、窒化ケイ素、アルミナ、及びイットリア(配合比62:26:5:7)を所定量秤量し、粉末総重量に対して1.5倍のメタノールを加え、アルミナボールミルにより混合した。24時間混合後、スプレードライヤーを使って、乾燥を行った。
(原料H)
原料粉末として、ケイ素、窒化ケイ素(配合比70:30)を所定量秤量し、粉末総重量に対して1.5倍のメタノールを加え、アルミナボールミルにより混合した。24時間混合後、スプレードライヤーを使って、乾燥を行った。
上記原料Aを出発原料として、これに外掛けで40%のポリエチレン、ワックスを加えて、加圧ニーダーを使って約1時間混練して、成形用組成物を作製した。得られた組成物を射出成形機を使って、図1に示すエアギャップ(断熱層)を有するユニット形状の成形体を作製した。得られた成形体には弾性があり、その弾性を利用して、隣り合うユニット同士の接合面を密着させることができた。
この基本ユニット(射出成形)を、組み立て、一体化して、図2に示す構造となるように、組み上げ、大気中700℃で脱脂し、更に、大気中1600℃で焼成した。この際に、バインダーは融着され一体化された内部に空洞を有する大型部材(断熱ストーク)が得られた。これを切断し、ユニット間の界面(接合面)を観察したが、界面は完全に一体化されており、欠陥は全く見られなかった。得られた焼結体から接合面を含むようにして曲げ試験片を切り出し、3点曲げ強度の測定を行ったところ、強度は平均で330メガパスカル、ワイブル係数は12であり、ユニット部分と同等の値を得た。
上記原料Bを出発原料として、これに外掛けで40%のエラストマーを加えて、加圧ニーダーを使って約1時間混練して、成形用組成物を作製した。得られた組成物を射出成形機を使って、図1に示すユニット形状の成形体を作製した。これを、図2に示す構造となるように、組み上げ、大気中700℃で脱脂し、更に、窒素雰囲気中1850℃で焼成した。この際に、バインダーは融着され一体化された内部に空洞を有する大型部材が得られた。
これを切断し、ユニット間の界面(接合面)を観察したが、界面は完全に一体化されており、欠陥は全く見られなかった。得られた焼結体から接合面を含むようにして曲げ試験片を切り出し、3点曲げ強度の測定を行ったところ、強度は平均で420メガパスカル、ワイブル係数は11であり、良好な結果を得た。
上記原料Cを出発原料として、これに外掛けで45%のポリエチレン、ワックスを加えて、加圧ニーダーを使って約1時間混練して、成形用組成物を作製した。得られた組成物を射出成形機を使って、図1に示すユニット形状の成形体を作製した。これを、図2に示す構造となるように、組み上げ、大気中700℃で脱脂し、更に、アルゴン雰囲気中2000℃で焼成した。この際に、バインダーは融着され一体化された内部に空洞を有する大型部材が得られる。
これを切断し、ユニット間の界面(接合面)を観察したが、界面は完全に一体化されており、欠陥は全く見られなかった。得られた焼結体から接合面を含むようにして曲げ試験片を切り出し、3点曲げ強度の測定を行ったところ、強度は平均で321メガパスカル、ワイブル係数は10であり、良好な結果を得た。
上記原料Dを出発原料として、これに外掛けで45%のポリエチレン、ワックスを加えて、加圧ニーダーを使って約1時間混練して、成形用組成物を作製した。得られた組成物を射出成形機を使って、図1に示すユニット形状の成形体を作製した。これを、図2に示す構造となるように、組み上げ、大気中700℃で脱脂し、更に、アルゴン雰囲気中2100℃で焼成した。この際に、バインダーは融着され一体化された内部に空洞を有する大型部材が得られた。
これを切断し、ユニット間の界面(接合面)を観察したが、界面は完全に一体化されており、欠陥は全く見られなかった。得られた焼結体から接合面を含むようにして曲げ試験片を切り出し、3点曲げ強度の測定を行ったところ、強度は平均で225メガパスカル、ワイブル係数は10であり、良好な結果を得た。
上記原料Eを出発原料として、これに外掛けで45%のポリエチレン、ワックスを加えて、加圧ニーダーを使って約1時間混練して、成形用組成物を作製した。得られた組成物を射出成形機を使って、図1に示すユニット形状の成形体を作製した。これを、図2に示す構造となるように、組み上げ、大気中700℃で脱脂し、更に、窒素雰囲気中で1450℃まで加熱し、窒化ケイ素に転化させ、更に、1850℃で焼成した。
この際に、バインダーは融着され一体化された内部に空洞を有する大型部材が得られた。これを切断し、ユニット間の界面(接合面)を観察したが、界面は完全に一体化されており、欠陥は全く見られなかった。得られた焼結体から接合面を含むようにして曲げ試験片を切り出し、3点曲げ強度の測定を行ったところ、強度は平均で325メガパスカル、ワイブル係数は10であり、良好な結果を得た。上記大型部材の空洞部にワイヤー状のヒータを配設してヒータ内包型の大型部材を作製し、そこに通電し、外部への熱放散を抑えた(図6)。
上記原料Fを出発原料として、これに外掛けで45%のポリエチレン、ワックスを加えて、加圧ニーダーを使って約1時間混練して、成形用組成物を作製した。得られた組成物を射出成形機を使って、図1に示すユニット形状の成形体を作製した。大気中700℃で脱脂し、更に、窒素雰囲気中で1450℃まで加熱し、窒化ケイ素に転化させた。反応焼結法で作製しているために、寸法変化はほとんど生じていなかった。
これを、図2に示す構造となるように、組み上げた。このとき、ユニットの接合面の隙間に燐酸ガラスを介在させ、大気中で1000℃で焼成し、固化、接合させて大型部材を得た。補強用金属管として、この部材の周囲にステンレス(SUS316)のパイプを配設し、これらの隙間を同じく燐酸ガラスで固化させ固定した。
上記実施例3に示す窒化ケイ素製容器内に、初期温度850℃としたアルミ溶湯を入れ、その時間経過に伴う内部の温度を測温した。その結果を図3に示す。従来例(中実品)に比べ、本発明の部材では、温度の低下が緩やかであることが分かった。熱抵抗は、下記の式で示される。
R(熱抵抗)=1/h1+Σ(δi/λi)+1/h2
ここに、h1、h2:熱伝達係数、δi:各層の厚さ、λi:各層の熱伝導率、であり、空気のλ(熱伝導率):0.03W/m・K、窒化ケイ素のλ:30W/m・Kである。空気を内部に取り込んだエアギャップ(断熱層)構造とすることにより断熱性は飛躍的に向上した。
上記原料Aを出発原料として、これに外掛けで40%のポリエチレン、ワックスを加えて、加圧ニーダーを使って、約1時間混練して、成形用組成物を作製した。得られた組成物を射出成形機を使って、図4に示すエアギャップ(断熱層)を有するユニット形状(断熱板モデル)の成形体を作製した。得られた成形体には弾性があり、その弾性を利用して隣り合うユニット同士の接合面を密着させることができた。これを、図5に示す構造となるように、組み上げ、大気中700℃で脱脂し、更に、大気中1600℃で焼成した。この際に、バインダーは融着され一体化された内部に空洞を有する板状の大型部材が得られた。
上記原料Gを出発原料として、これに、体積比でほぼ同等のアクリル、ワックスでなる有機バインダを添加し、加圧ニーダーを使って約1時間混練して成形用組成物を作製した。得られた組成物を射出成形機を使って、図4の左に示す形状の成形体ユニットを作製した。更に、図4の右に示すような形となるようにユニットを組み合わせた。この状態で、大気中700℃で脱脂し、更に、窒素雰囲気中で1450℃まで加熱し、窒化ケイ素に転化させた。反応焼結法で作製しているために、寸法変化はほとんど生じていなかった。焼結後に接合面を中心として観察を行った。その結果を図7に示す。
界面には新たな生成物が存在し、隙間を埋めるとともに強固に接合されていることがわかった。分析結果から、この部分は、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素を主成分とする物質であることがわかった。原料の主成分であるケイ素(Si)、及びその表面に存在する酸化ケイ素(SiO、SiO)は、反応焼結過程において気相となり、雰囲気である窒素(N)との反応により、窒化ケイ素あるいは酸窒化ケイ素が形成されたと考えられる。こうした反応が、接近したユニット間同士の狭い領域で、ちょうどCVD反応のように進行するために、ユニット同士を結合したと考えられる。
上記原料Hを出発原料として、これに、体積比でほぼ同等のアクリル、ワックスでなる有機バインダを添加し、加圧ニーダーを使って約1時間混練して成形用組成物を作製した。得られた組成物を射出成形機を使って、図4の左に示す形状の成形体ユニットを作製した。更に、図4の右に示すような形となるようにユニットを組み合わせた。この状態で、大気中700℃で脱脂し、更に、窒素雰囲気中で1450℃まで加熱し、窒化ケイ素に転化させた。それにより、実施例10と同様の結果を得た。
以上詳述したように、本発明は、中空セラミック構造体及びその製造方法に係るものであり、本発明によれば、設計された基本ユニットを組み上げる方法により、大型セラミック部材について、壁面内部に空洞部を設けることができ、軽量で高い断熱性を有する大型部材を低コストで製造することが可能である。また、本発明は、空洞部を利用して、そこにヒーター等の加熱手段を配して、その断熱性を高めることが可能である。本発明の中空セラミック構造体は、例えば、鋳造ラインで使用されるストークのように、軽量で、大型で、かつ高い断熱性が必要とされる大型・中空セラミック部材として有用である。更に、使用過程で破損が生じた場合、従来の一体型構造では全てを交換していたのに対して、本発明では、ユニットに分割してあるため、必要な箇所(ユニット)のみの交換で済むこととなり省資源化、省コスト化に繋がる。
ユニット形状の一例を示す。 基本ユニットを組み立て、一体化して、ユニットを締結・くみ上げた状態(断熱ストーク)を示す。 経過時間に伴う測温結果を示す。 ユニット形状(断熱板モデル)の一例及びそれを組んだ状態を示す。 基本ユニットを締結・くみ上げた状態(断熱板)を示す。 ヒータ内包型の一例と、加熱源(ヒータ等)、補強用金属管を配設した状態を示す。 反応焼結窒化ケイ素を用いた部品の焼結・接合同時実現の例を示す。図中、右は、左のA部の拡大(接合面)である。

Claims (15)

  1. 中空セラミック構造体であって、(1)中空構造を有する三次元の複雑形状を持つ複数個のユニット同士が組み合わされ接合されて、一体化されている、(2)それにより、全体の部材形状が形成されている、(3)壁面の内部に空洞部が形成されている、(4)上記セラミック構造体の周囲に補強用の金属管が配設されている、ことを特徴とする中空セラミック構造体。
  2. 上記ユニット同士の接合部が、嵌め合い構造を有しており、隣り合う複数のユニットが固定されている、請求項1に記載の中空セラミック構造体。
  3. 部材全体の空洞部の体積率が30%以上である、請求項1に記載の中空セラミック構造体。
  4. 上記空洞部に、ヒータ等の加熱手段が配設されている、請求項1に記載の中空セラミック構造体。
  5. 上記セラミック構造体の材料が、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ジルコニア、サイアロン、ムライト、ホウ素化合物あるいはそれらの複合物である、請求項1に記載の中空セラミック構造体。
  6. 上記セラミック構造体が、窒化ケイ素、又は炭化ケイ素の反応焼結プロセスを経て形成されたものである、請求項1に記載の中空セラミック構造体。
  7. 上記セラミック構造体におけるユニット間の、成形体を組み合わせた状態で存在していた空隙が、気相を伴う反応焼結過程で生じる生成物により埋められると同時に結合されている、請求項6に記載の中空セラミック構造体。
  8. 上記反応焼結過程で生じる生成物が、少なくともケイ素、酸素、窒素を含有している、請求項7に記載の中空セラミック構造体。
  9. 上記セラミック構造体が、鋳造用に使用される部材である、請求項1から8のいずれかに記載の中空セラミック構造体。
  10. 上記部が、ストークである、請求項9に記載の中空セラミック構造体。
  11. 上記セラミック構造体の溶湯に接する部分にパターニングが施されている、請求項9又は10に記載の中空セラミック構造体。
  12. 上記セラミック構造体の接合面の隙間が、耐熱性の無機物により封止されている、請求項1に記載の中空セラミック構造体。
  13. 最終構造体を分割した形状を有するユニット体を組み立て、焼成して一体化してセラミック構造体を製造する方法であって、1)中空とした未焼結ユニット同士の結合部分を嵌め合い構造にし、これらを組み立て接合面を密着させて、焼結し、接合面を強固に結合させるとともに一体化させること、2)その際に、上記ユニット体を射出成形で作製し、弾性を有する成形体の状態で組み立て、その弾性を利用してユニット同士の接合面を密着させること、を特徴とする中空セラミック構造体の製造方法。
  14. 上記焼結が、反応焼結であり、焼結過程に伴う気相反応によりユニット同士を強固に結合させるとともに一体化させる、請求項13に記載のセラミック構造体の製造方法。
  15. 上記ユニット同士の接合面を、エラストマーを主成分とする成形バインダーで接合させる、請求項13に記載のセラミックス構造体の製造方法。
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