JP4803128B2 - 車両の減衰力制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、減衰力を変更可能なショックアブソーバを備えた車両の減衰力制御装置に関する。
この種の車両の減衰力制御装置として、車体に4輪がショックアブソーバを含んでなる懸架装置により懸架され、各ショックアブソーバの減衰力が車両の旋回状態に応じて個別に変更可能とされたものが知られている。例えば、特許文献1に提案された減衰力制御装置においては、車両旋回時に車体に発生するピッチングを抑制する向きに前輪側および後輪側車体に対して上または下方向の力が作用するように、前輪側ショックアブソーバにより発生される減衰力の総和、および、後輪側ショックアブソーバにより発生される減衰力の総和をそれぞれ制御する。また、この減衰力制御装置においては、車体に発生するロール角とピッチ角との位相を一致させるように目標ピッチ角を求め、この目標ピッチ角と検出されるピッチ角との差分に応じて車体に必要な修正ピッチモーメントを計算する。この修正ピッチモーメントに基づいてショックアブソーバの減衰力が制御されることにより、ロール感を向上させる。
修正ピッチモーメントを計算するにあたっては、まず、ばね上加速度センサにより検出されるバネ上の加速度から、実際の車体のロール角θrとピッチ角θpとを計算により検出し、次に、この検出したロール角θrから目標ピッチ角θp*を求める。この目標ピッチ角θp*は、図9に示すように、ロール角θrによって一義的に目標ピッチ角θp*を定めた目標ピッチ角算出マップを参照して求められる。目標ピッチ角θp*は、この目標ピッチ角算出マップにより、ロール角θrの増加に伴って増加する特性を有する。
続いて、目標ピッチ角θp*から実際のピッチ角θpを減算した差分値(=θp*−θp)を修正ピッチ角Δθpとして計算し、次に、修正ピッチ角Δθpを2階微分した修正ピッチ角加速度Δθpdd(=(d2(Δθp)/dt2))を計算する。
最後に、次式によりピッチ角の修正に必要な修正ピッチモーメントΔMpを計算する。
ΔMp=I・Δθpdd+Kp・Δθp
ここで、Iは車両重心を通る車両左右方向軸線周りの慣性モーメントを表し、Kpはピッチ剛性を考慮したばね係数を表す。
特開2006−327312号
しかしながら、特許文献1に提案された車両の減衰力制御装置においては、修正ピッチモーメントΔMpを計算するにあたり、修正ピッチ角Δθp(=θp*−θp)の2階微分演算を行っている。こうした2階微分演算を行った場合、ノイズ量が大きく増幅し、演算された制御量(修正ピッチモーメントΔMp)は振動的になりやすい。また、フィルタ処理を2回行うことで演算負荷が増大してしまい、マイクロコンピュータに高い演算能力が要求される。従って、車両によっては、こうした減衰力制御を実施することができなくなってしまう。
本発明の目的は、上記問題に対処するためになされたもので、修正ピッチモーメントの算出精度を向上するとともに、演算負荷を低減することにある。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、車体と車体に懸架装置によって懸架された4輪との間にそれぞれ介装され減衰力を個別に変更可能なショックアブソーバと、4輪ごとにばね上の上下加速度を検出するばね上加速度センサと、上記ばね上加速度センサの検出値からロール角加速度を計算しそのロール角加速度を2階積分することで車両の前後方向軸線回りの車体のロール角を検出するロール角検出手段と、上記ばね上加速度センサの検出値からピッチ角加速度を計算しそのピッチ角加速度を2階積分することで車両の左右方向軸線回りの車体のピッチ角を検出するピッチ角検出手段と、上記検出されたロール角に応じて目標ピッチ角を計算する目標ピッチ角計算手段と、上記目標ピッチ角と上記検出されたピッチ角との差分に応じて車体に必要な修正ピッチモーメントを計算する修正モーメント計算手段と、上記計算された修正ピッチモーメントに応じて上記ショックアブソーバに要求される目標減衰力を設定する目標減衰力設定手段と、上記目標減衰力設定手段により設定された目標減衰力に応じて上記ショックアブソーバの減衰力を制御する減衰力制御手段とを備えた車両の減衰力制御装置において、上記目標ピッチ角計算手段は、上記車体のロール角を用いて多項式近似した関数により上記検出したロール角に対応した車体の目標ピッチ角を付与するものであり、上記修正モーメント計算手段は、上記ロール角を用いた関数により与えられた目標ピッチ角を2回微分した値と上記検出されたピッチ角を2回微分した値との差分値である微分差分値、および、上記目標ピッチ角と上記検出されたピッチ角との差分値に基づいて上記修正ピッチモーメントを計算し、少なくとも上記微分差分値の計算にあたって、上記ばね上加速度センサの検出値から計算されたロール角加速度と、ロール角加速度の1階積分値と、ロール角加速度の2階積分値と、上記ばね上加速度センサの検出値から計算されたピッチ角加速度とを用いることにある。
この発明においては、目標ピッチ角計算手段がロール角に応じて目標ピッチ角を計算し、修正モーメント計算手段が目標ピッチ角と検出したピッチ角との差分に応じて修正ピッチモーメントを計算する。そして、目標減衰力設定手段が修正ピッチモーメントに応じてショックアブソーバに要求される目標減衰力を設定し、減衰力制御手段が設定された目標減衰力に応じてショックアブソーバの減衰力を制御する。従って、車体に発生するロール角とピッチ角との位相を一致させることが可能となり、ロール感を向上させることができる。尚、修正ピッチモーメントに応じて行う減衰力制御は、必ずしも4輪すべてのショックアブソーバに対して行う必要はなく、前輪側だけ、あるいは後輪側だけであってもよい。
ロール角とピッチ角は、4輪ごとにばね上(車体)に設けられたばね上加速度センサの検出値を使って算出される。ばね上加速度センサの検出値からは、ロール角加速度とピッチ角加速度が計算により求められる。従って、ロール角検出手段は、このロール角加速度を2階積分することによりロール角(実ロール角と呼ぶ)を検出し、ピッチ角検出手段は、ピッチ角加速度を2階積分することによりピッチ角(実ピッチ角と呼ぶ)を検出する。
目標ピッチ角計算手段は、車体のロール角を用いて多項式近似した関数により、実ロール角に対応した車体の目標ピッチ角を付与する。修正モーメント計算手段は、ロール角を用いた関数により与えられた目標ピッチ角を2回微分した値と実ピッチ角を2回微分した値との微分差分値、および、目標ピッチ角と実ピッチ角との差分値に基づいて修正ピッチモーメントを計算する。
この場合、目標ピッチ角を2回微分した値は、ばね上加速度センサの検出値から代数計算にて求められるロール角加速度と、そのロール角加速度を1階積分、および2階積分した値から求めることができる。また、実ピッチ角を2階微分した値は、ばね上加速度センサの検出値から代数計算にて求められるピッチ角加速度と同一である。そこで、本発明においては、少なくとも微分差分値の計算にあたっては、ばね上加速度センサの検出値から計算されたロール角加速度と、ロール角加速度の1階積分値と、ロール角加速度の2階積分値と、ばね上加速度センサの検出値から計算されたピッチ角加速度とを用いることにより、微分演算処理を行う必要が無い。尚、目標ピッチ角と実ピッチ角との差分値については、ロール角検出手段により計算されたロール角(ロール角加速度の2階積分値)の関数で与えられる目標ピッチ角と、ピッチ角検出手段により計算されたピッチ角(ピッチ角加速度の2階積分値)との差分値を計算すればよい。
この結果、修正ピッチモーメントの演算時に発生するノイズが低減され、最終的な減衰力制御量の精度が向上する。従って、車体に発生するロール角とピッチ角との位相を精度よく一致させることが可能となり、ロール感を向上させることができる。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は実施形態に係る車両の減衰力制御装置の全体を表す概略図である。この減衰力制御装置は、車体BD(ばね上部材)と左右前後輪FL,FR,RL,RRとの間にてそれぞれショックアブソーバ10およびコイルスプリング20を備えている。
ショックアブソーバ10は、左右前後輪FL〜RRに接続されたロアアーム、ナックルなど懸架装置として機能するばね下部材LAと、車体BD(ばね上部材)との間にそれぞれ介装されていて、シリンダ11の下端にてばね下部材LAに連結されるとともに、同シリンダ11に上下動可能に挿入されたピストンロッド12の上端にて車体BDに固定されている。コイルスプリング20はショックアブソーバ10と並列に設けられている。シリンダ11は、その内周面上を液密的に摺動するピストン13により上下室R1,R2に区画されている。
ピストン13には、可変絞り機構30が組み付けられている。可変絞り機構30は、その一部を構成するアクチュエータ31の作動により、シリンダ11の上下室R1,R2間を連通させる連通路の開度を複数段階に切り換える。この切り換え段階に応じて、連通路の開度が大きくなるとショックアブソーバ10の減衰力がソフト側に設定され、連通路の開度が小さくなると同ショックアブソーバ10の減衰力がハード側に設定されるようになっている。各ショックアブソーバ10の減衰係数は、左右前後輪FL,FR,RL,RRに対応して、それぞれCfl,Cfr,Crl,Crrで表される。
次に、アクチュエータ31の作動を制御する電気制御装置について説明する。この電気制御装置は、電子制御ユニット40を備えている。電子制御ユニット40は、CPU,ROM,RAMなどからなるマイクロコンピュータを主要構成部品としており、イグニッションスイッチのオン後の所定時間ごとに図3のロールおよびピッチング抑制制御プログラムを繰り返し実行してアクチュエータ31の作動を制御する。この電子制御ユニット40には、ばね上加速度センサ41fl,41fr,41rl,41rr、車高センサ42fl,42fr,42rl,42rr、車速センサ43、ヨーレートセンサ44および横加速度センサ45が接続されている。
ばね上加速度センサ41fl,41fr,41rl,41rrは、左右前後輪FL,FR,RL,RRに対応した車体BDにそれぞれ組み付けられていて、同組み付け位置における車体BDの絶対空間に対する上下方向のばね上加速度Gzfl,Gzfr,Gzrl,Gzrrをそれぞれ検出する。このばね上加速度センサ41fl〜41rrによって検出されたばね上加速度Gzfl〜Gzrrは、正により車両に対して上方向への加速度が発生していることを表し、負により車両に対して下方向への加速度が発生していることを表す。車高センサ42fl,42fr,42rl,42rrは、左右前後輪FL,FR,RL,RRに対応したばね下部材LAと車体BDとの間にそれぞれ設けられていて、車体BDに対する左右前後輪FL〜RRの相対的な変位(ストローク)Xfl,Xfr,Xrl,Xrrをそれぞれ検出する。この車高センサ42fl〜42rrによって検出されたストロークXfl〜Xrrは、ばね下部材LAと車体BD間の間隔が狭まる方向を正とし、間隔が広がる方向を負とする。
車速センサ43は、車速Vを検出する。ヨーレートセンサ44は、ヨーレートγを検出する。このヨーレートセンサ44によって検出されたヨーレートγは、正により車両重心を通る車両上下方向軸線回りに反時計回りの角速度が発生していることを表し、負により前記軸線回りに時計回りの角速度が発生していることを表す。横加速度センサ45は、車両の左右方向の横加速度Gyを検出する。この横加速度センサ45によって検出された横加速度Gyは、正により車両に対して右方向への加速度が発生していることを表し、負により車両に対して左方向への加速度が発生していることを表す。
ここで、本発明の実施形態に係る車両の減衰力制御装置の作動を説明する前に、図2に示す車両2輪モデルを使ってサスペンション系の運動の概略を説明しておく。図2(A)は、実際の車両の左右輪を表した車両モデルであり、この実際の車両モデルにおいては、車体BDと左右輪L,Rとの間にそれぞれショックアブソーバ10およびコイルスプリング20が介装されている。
これに対して、図2(B)は、仮想の車両の左右輪を表した車両モデルであり、この仮想の車両モデルにおいては、車体BDと左右輪L,Rとの間にそれぞれコイルスプリング20のみが介装されるとともに、例えば、旋回内側の仮想位置を走行する仮想の車輪VWと車体BDとの間に車両旋回時における車体BDの浮き上がりを抑制する浮き上がり抑制用ショックアブソーバ110と、車体BDのロールを抑制するロール抑制用ショックアブソーバ210とが設けられている。
この仮想の車両モデルによれば、車体BDのロール時における旋回内輪(図2(B)では左輪Lに該当)側の車高の増大が抑制される。したがって、この仮想の車両モデルを、図2(A)に示された実際の車両モデルに適合させることで、車体BDのロール時における実際の車両モデルの車両重心Oの上昇を抑制して、操縦性を向上させることができる。
いま、図2(A)に示された実際の車両モデルにおいて、例えば、車両が左方向へ旋回したものとする。ここで、車体BDの質量をMとし、コイルスプリング20のばね定数をKとし、旋回内輪(左輪L)側のショックアブソーバ10の減衰係数をCinとし、旋回外輪(右輪R)側のショックアブソーバ10の減衰係数をCoutとする。また、車体BDの絶対空間における上下方向の変位量および加速度をそれぞれXbおよびXbddとし、旋回内輪(左輪L)のストロークおよびストローク速度をそれぞれXinおよびXindとし、旋回外輪(右輪R)のストロークおよびストローク速度をそれぞれXoutおよびXoutdとすると、車体BDの上下方向の運動方程式は、下記式1を用いて表される。
M・Xbdd=K・Xin+K・Xout+Cin・Xind+Cout・Xoutd …式1
また、車両のロール慣性モーメントをIとし、左右輪L,RのホイールトレッドをWとし、車両重心Oを通る車両前後方向軸線回りの角加速度をθddとすると、車両重心Oを通る車両前後方向軸線回りの運動方程式は、下記式2を用いて表される。
I・θdd=W・(K・Xin−K・Xout+Cin・Xind−Cout・Xoutd)/2 …式2
一方、図2(B)に示された仮想の車両モデルにおいて、浮き上がり抑制用ショックアブソーバ110の減衰係数をCgとし、ロール抑制用ショックアブソーバ210の減衰係数をCとし、車両重心Oと浮き上がり抑制用ショックアブソーバ110との距離をDとすると、例えば、車両の左方向への旋回時における車体BDの上下方向の運動方程式および車両重心Oを通る車体前後方向軸線回りの運動方程式は、それぞれ下記式3〜式5を用いて表される。
M・Xbdd=K・Xin+K・Xout+T …式3
I・θdd=W・(K・Xin−K・Xout+C・Xind−C・Xoutd)/2 +D・T …式4
ただし、T=Cg・Xind・(W+2D)/(2W) +Cg・Xoutd・(W−2D)/(2W) …式5
式1および式3から、下記式6が成立する。
Cin・Xind+Cout・Xoutd=T …式6
また、式2および式4から、下記式7が成立する。
Cin・Xind−Cout・Xoutd=C・Xind−C・Xoutd +2D・T/W …式7
式6および式7の両辺を加算することにより、ロール時の旋回内輪(左輪L)のショックアブソーバ10の減衰係数Cinが下記式8を用いて表される。
Cin=T・(W+2D)/(2W・Xind) +C・(1−Xoutd/Xind)/2 …式8
同様に、式6および式7の両辺を減算することにより、ロール時の旋回外輪(右輪R)のショックアブソーバ10の減衰係数Coutが下記式9を用いて表される。
Cout=T・(W−2D)/(2W・Xoutd) +C・(1−Xind/Xoutd)/2 …式9
式8および式9を用いて、ロール時の旋回内輪(左輪L)のショックアブソーバ10および旋回外輪(右輪R)のショックアブソーバ10により発生される減衰力は、それぞれ下記式10および式11を用いて表される。
Fin=Cin・Xind
=T・(W+2D)/(2W) +C・(Xind−Xoutd)/2 …式10
Fout=Cout・Xoutd
=T・(W−2D)/(2W) +C・(Xoutd−Xind)/2 …式11
以上説明した車両の左右輪の2輪モデルを、実際の車両の前輪および後輪に適用することにより、ロール時における旋回内側前輪、旋回外側前輪、旋回内側後輪および旋回外側後輪に対応したショックアブソーバ10の減衰係数Cfin,Cfout,CrinおよびCroutは、それぞれ下記式12〜式15を用いて表される。ここで、旋回内側前輪、旋回外側前輪、旋回内側後輪および旋回外側後輪のストローク速度をそれぞれXfind,Xfoutd,XrindおよびXroutdとする。また、前輪側車両重心と前輪側に配置された浮き上がり抑制用ショックアブソーバとの距離をDfとし、後輪側車両重心と後輪側に配置された浮き上がり抑制用ショックアブソーバとの距離をDrとし、前輪のホイールトレッドをWfとし、後輪のホイールトレッドをWrとする。また、前輪側に配置されたロール抑制用ショックアブソーバの減衰係数をCfとし、後輪側に配置されたロール抑制用ショックアブソーバの減衰係数をCrとする。
Cfin=Tf・(Wf+2Df)/(2Wf・Xfind) +Cf・(1−Xfoutd/Xfind)/2 …式12
Cfout=Tf・(Wf−2Df)/(2Wf・Xfoutd) +Cf・(1−Xfind/Xfoutd)/2 …式13
Crin=Tr・(Wr+2Dr)/(2Wr・Xrind) +Cr・(1−Xroutd/Xrind)/2 …式14
Crout=Tr・(Wr−2Dr)/(2Wr・Xroutd) +Cr・(1−Xrind/Xroutd)/2 …式15
ただし、Tfは、前輪側ショックアブソーバ10により発生される減衰力の総和を表し、Trは、後輪側ショックアブソーバ10により発生される減衰力の総和を表しており、下記式16および式17を用いて表される。
Tf=Cgf・Xfind・(Wf+2Df)/(2Wf) +Cgf・Xfoutd・(Wf−2Df)/(2Wf) …式16
Tr=Cgr・Xrind・(Wr+2Dr)/(2Wr) +Cgr・Xroutd・(Wr−2Dr)/(2Wr) …式17
ここで、Cgfは前輪側に配置された浮き上がり抑制用ショックアブソーバの減衰係数を表し、Cgrは後輪側に配置された浮き上がり抑制用ショックアブソーバの減衰係数を表す。
次に、上記のように構成した実施形態の作動について説明する。乗員がイグニッションキーを操作してイグニッションスイッチがオンすると、電子制御ユニット40は、図3のロールおよびピッチング抑制制御プログラムを所定の短時間ごとに繰り返し実行し始める。
このロールおよびピッチング抑制制御プログラムにおいては、ステップS11〜ステップS14の処理が繰り返し実行される。最初に、ステップS11〜ステップS14の処理について簡単に説明しておく。
ステップS11においては、車両旋回時における車両角度すなわち車体BDのロール角およびピッチ角を計算により検出する(図4および図5参照)。ステップS12においては、ステップS11で計算により求められたロール角θrおよびピッチ角θpを用いて、前輪FL,FRに対応して配置された各ショックアブソーバ10の減衰力の総和である前輪側目標減衰力を決定する(図6参照)。ステップS13においては、後輪RL,RRに対応して配置された各ショックアブソーバ10の減衰力の総和である後輪側目標減衰力を決定する(図7参照)。
ステップS14においては、ステップS12で決定された前輪側目標減衰力およびステップS13で決定された後輪側目標減衰力を用いて、左右前後輪FL〜RRに対応して配置された各ショックアブソーバ10の減衰係数を計算し、同計算された減衰係数に応じて各アクチュエータ31の作動を制御する(図8参照)。ステップS14の処理後、ピッチング抑制制御プログラムの実行を終了する。
次に、ステップS11〜S14の処理について具体的に説明する。ステップS11における車両角度計算では、図4に示すロール角計算プログラムと、図5に示すピッチ角計算プログラムとを実行するようになっている。まず、ロール角計算プログラムについて図4を用いて説明する。
このロール角計算プログラムが開始されると、ステップS21にて、ばね上加速度センサ41fl,41fr,41rl,41rrによって検出されたばね上加速度Gzfl,Gzfr,Gzrl,Gzrrをそれぞれ入力する。次に、ステップS22において、車体左輪側および右輪側重心のばね上加速度GozlおよびGozrを、下記式18および式19を用いて計算する。
Gozl=(Gzfl・Lr+Gzrl・Lf)/L …式18
Gozr=(Gzfr・Lr+Gzrr・Lf)/L …式19
ここで、Lは車両のホイールベースを表し、Lf,Lrはそれぞれ車両重心と前車軸および後車軸間の距離を表す。
次に、ステップS23において、車両重心を通る車両前後方向軸線回りのロール角加速度θrdd(=d(θr)2/dt2)を、下記式20を用いて計算する。
θrdd=( Gozl−Gozr)/W …式20
ここで、Wは車両のホイールトレッドを表す。ステップS24においては、式20を用いて計算されたロール角加速度θrddを2階時間積分してロール角θrを計算する。以下、この計算により求められたロール角θrを実ロール角θrと呼ぶ。なお、実ロール角θrは、正により車体BDが右方向へロールしていることを表し、負により車体BDが左方向へロールしていることを表す。ステップS24の処理後、このロール角計算プログラムの実行を一旦終了する。
次に、ピッチ角計算プログラムについて図5を用いて説明する。このピッチ角計算プログラムの実行が開始されると、ステップS31において、ばね上加速度センサ41fl,41fr,41rl,41rrによって検出されたばね上加速度Gzfl,Gzfr,Gzrl,Gzrrをそれぞれ入力する。続いて、ステップS32において、車体前輪側および後輪側のばね上加速度の平均値GzfおよびGzrを、下記式21および式22を用いて計算する。
Gzf=(Gzfl+Gzfr)/2 …式21
Gzr=(Gzrl+Gzrr)/2 …式22
次に、ステップS33において、車両のピッチ角加速度θpdd(=d(θp)2/dt2)を、下記式23を用いて計算する。
θpdd=(Gzr−Gzf)/L …式23
ここで、Lは車両のホイールベースを表す。続いて、ステップS34において、式23を用いて計算されたピッチ角加速度θpddを2階時間積分してピッチ角θpを計算する。以下、この計算により求められたピッチ角θpを実ピッチ角θpと呼ぶ。この実ピッチ角θpは、正により車両が前傾姿勢であることを表す。なお、車両旋回状態においては、車両構造などにより、実ピッチ角θpは常に正となる。ステップS34の処理後、このピッチ角計算プログラムの実行を一旦終了する。
図3のロールおよびピッチング抑制制御プログラムに戻って、次に、ステップS12の前輪側目標減衰力決定について説明する。この前輪側目標減衰力は、ロール時に車体BDに発生するピッチングを抑制するために前輪側ショックアブソーバ10に要求される減衰力を計算し、同計算された減衰力を前輪側目標減衰力として設定するものである。具体的には、電子制御ユニット40は、図6に示す前輪側目標減衰力決定プログラムを実行する。
この前輪側目標減衰力決定プログラムの実行が開始されると、ステップS41にて、上記ロール角計算プログラムの実行によって得られた実ロール角θrに対応する目標ピッチ角θp*を計算する。この目標ピッチ角θp*は、次の式24で示すように、車体の実ロール角θr用いて多項式近似した関数f(θr)で与えられる。この近似関数は、図9に示すように、目標ピッチ角θp*が実ロール角θrの増加にしたがって非線形的に増加する特性を有する。
Figure 0004803128
続いて、ステップS42において、目標ピッチ角θp*の2階微分値θp*dd(=d2(θp*)/dt2)を計算する。この場合、目標ピッチ角θp*の2階微分値θp*ddは、式24に示した近似間数f(θr)を2階時間微分することにより求める。
近似関数を用いた場合、目標ピッチ角θp*の1階微分値θp*d(=dθp*/dt)は次式25にて与えられる。
Figure 0004803128
ここで、θrdは、実ロール角θrの1階微分値(dθr/dt)である。
従って、目標ピッチ角θp*の2階微分値θp*ddは次式26にて与えられる。
Figure 0004803128
ここで、θrddは、実ロール角θrの2階微分値(d2(θr)/dt2)である。
この式26からわかるように、目標ピッチ角θp*の2階微分値θp*ddは、実ロール角θr、実ロール角の1階微分値θrd、実ロール角の2階微分値θrddを使って求めることができる。
この場合、実ロール角の2階微分値θrddは、ロール角計算プログラム(図4)を実行したときにステップS23において、すでに、ロール角加速度θrddとして計算されている。このロール角加速度θrddは、ばね上加速度センサ41fl,41fr,41rl,41rrにより検出された検出値(Gzfl,Gzfr,Gzrl,Gzrr)を式20に示す代数演算により求めた値である。また、実ロール角θrは、ロール角計算プログラムを実行して得られた最終計算結果であり、ステップS24に示すように、ロール角加速度θrddを2階時間積分して求めたものである。また、実ロール角の1階微分値θrdは、このステップS24の演算過程(1階目の時間積分演算時)において算出されている。
そこで、ステップS42においては、ロール角計算プログラムにより計算されている実ロール角θr、実ロール角の1階微分値θrd、実ロール角の2階微分値θrddを使って目標ピッチ角θp*の2階微分値θp*ddを算出する。従って、この演算には微分演算処理が含まれない。
ステップS42の演算が終了すると、次に、ステップS43において、修正ピッチ角Δθpを計算する。この修正ピッチ角Δθpは、目標ピッチ角θp*から実ピッチ角θpを減算して求めた差分値であり、次式27により計算される。
Δθp=θp*−θp …式27
この場合、目標ピッチ角θp*は、ステップS41において、関数f(θr)により実ロール角θrから計算された値であり、実ピッチ角θpは、図5に示すピッチ角計算プログラムの実行により計算された値である。
続いて、ステップS44において、修正ピッチ角加速度Δθpddを計算する。この修正ピッチ角加速度Δθpddは、目標ピッチ角θp*の2階微分値θp*ddから実ピッチ角の2階微分値θpddを減算して求めた差分値(微分差分値)であり、次式28により計算される。
Δθpdd=θp*dd−θpdd …式28
この場合、目標ピッチ角θp*の2階微分値θp*ddは、ステップS42にて算出された値であり、実ピッチ角の2階微分値θpddは、ピッチ角計算プログラムのステップS33にて計算されたピッチ角加速度θpddである。
続いて、ステップS45において、車体のピッチ角を修正するために必要な修正ピッチモーメントΔMpを計算する。この修正ピッチモーメントΔMpは、次式29により計算される。
ΔMp=I・Δθpdd+Kp・Δθp …式29
ここで、Iは車両重心を通る車両左右方向軸線回りの慣性モーメントを表し、Kpはピッチ剛性を考慮したばね係数を表す。
続いて、ステップS46において、修正ピッチモーメントΔMpを、車両重心と前車軸間の距離Lfで除算して,前輪側車体に作用する上下方向の力に換算する(ΔTf=ΔMp/Lf)。次に、ステップS47において、前輪側目標減衰力Tf*を、(Tf+ΔTf)に設定する。ここで、Tfは現在設定されている前輪側ショックアブソーバ10の減衰力の総和である(式16参照)。
次に、ステップS48において、前輪側目標減衰力Tf*(=(Tf+ΔTf))を、上記式12および式13で用いた前輪側ショックアブソーバ10の減衰力の総和Tfとして設定する。ステップS48の処理後、この前輪側目標減衰力決定プログラムの実行を終了する。
図3のロールおよびピッチング抑制制御プログラムに戻って、次に、ステップS13の後輪側目標減衰力決定について説明する。この後輪側目標減衰力は、ロール時に車体BDに発生するピッチングを抑制するために後輪側ショックアブソーバ10に要求される減衰力を計算し、同計算された減衰力を後輪側目標減衰力として設定するものである。具体的には、電子制御ユニット40は、図7に示す後輪側目標減衰力決定プログラムを実行する。
この後輪側目標減衰力決定プログラムの実行が開始されると、ステップS51にて、車速センサ43によって検出された車速V、ヨーレートセンサ44によって検出されたヨーレートγおよび横加速度センサ45によって検出された横加速度Gyを入力する。次に、ステップS52において、車両重心の横滑り角をβとしたとき、車両重心における車両左右方向の運動方程式から、車両重心の横滑り角速度dβ/dtを、次式30を用いて計算する。
dβ/dt=(Gy/V)−γ …式30
次に、ステップS53において、ステップS52で計算した車両重心の横滑り角速度dβ/dtを時間積分して、車両重心の横滑り角βを計算する。続いて、ステップS54において、後輪が、車両重心の速度成分と、車両重心回りの回転による速度成分を有することを考慮して、後輪の横滑り角θyrを次式31を用いて計算する。
θyr=(γ・Lr/V)−β …式31
ここで、Lrは車両重心と後車軸間の距離を表す。
次に、ステップS55において、ステップS54で計算した後輪の横滑り角θyrを用いて、次式32に基づいて後輪推定横力Yrを計算する。
Yr=Cr・θyr/(TrS+1) …式32
ここで、Crは後輪におけるコーナリングパワーすなわち後輪に発生するコーナリングフォースが横滑り角にほぼ比例して増加する横滑り角の領域内における単位横滑り角当たりの後輪のコーナリングフォースを表す。また、Trは後輪を構成するタイヤの時定数であり、横力がタイヤによる弾性変形に遅れて発生する遅れ時間を考慮したものである。
続いて、ステップS56において、ステップS55で計算した後輪推定横力Yrを用いて、次式33に基づいて後輪側車体に作用する推定ジャッキアップ力Jrを計算する。
Jr=Kjr・Yr2 …式33
ここで、Kjrは後輪側ばね下部材LAなどのジオメトリ変化を考慮したジャッキアップ係数を表す。
次に、ステップS57において、後輪側目標減衰力Tr*を、後輪側推定ジャッキアップ力Jrとは反対方向の力(−Jr)に設定する。次に、ステップS58において、後輪側目標減衰力Tr*(=−Jr)を、上記式14および式15で用いた後輪側ショックアブソーバ10により発生される減衰力の総和Trとして設定する。ステップS58の処理後、この後輪側目標減衰力決定プログラムの実行を終了する。
図3のロールおよびピッチング抑制制御プログラムに戻って、次に、ステップS14の各ショックアブソーバの減衰力制御について説明する。この各ショックアブソーバの減衰力制御は、上記した仮想の車両モデル(図2(B)参照)を、実際の車両モデル(図2(A)参照)に適合させることで、車両旋回時における車体BDのロールを抑制しながら車両重心の上昇を抑制するようにしたものである。具体的には、電子制御ユニット40は、図8に示す各ショックアブソーバ減衰力制御プログラムを実行する。
この各ショックアブソーバ減衰力制御プログラムの実行が開始されると、ステップS61にて、車高センサ42fl,42fr,42rl,42rrによって検出された車体BDに対する左右前後輪FL,FR,RL,RRのストロークXi(i=fl,fr,rl,rr)をそれぞれ入力する。また、横加速度センサ45によって検出された車両の横加速度Gyを入力して、ステップS62に進む。
ステップS62においては、横加速度Gyの絶対値|Gy|が所定の閾値Gyoよりも大きいか否か、すなわち各ショックアブソーバ10の減衰力制御が必要であるか否かを判定する。まず、車両が直進走行している場合について説明する。この場合、横加速度Gyの大きさがほぼ「0」であるため、ステップS62にて「No」と判定し、ステップS63にて、各ショックアブソーバ10の減衰係数Ci(i=fl,fr,rl,rr)を、直進走行に適した予め設定されている所定値(例えば、ソフト側の減衰係数)に設定する。ステップS63の処理後、ステップS70において、前記所定値に設定された減衰係数Ci(i=fl,fr,rl,rr)に応じて、それぞれ対応したアクチュエータ31の作動を制御する。ステップS70の処理後、この各ショックアブソーバ減衰力制御プログラムの実行を一旦終了する。
次に、車両が、例えば左方向へ旋回し始めた場合について説明する。この場合、ステップS62において「Yes」すなわち横加速度Gyの絶対値|Gy|が所定の閾値Gyoよりも大きいと判定されると、ステップS64にて、横加速度Gyを時間微分して微分値ΔGyを計算し、この微分値ΔGyの絶対値|ΔGy|が所定の閾値ΔGyoよりも大きいか否か、すなわち車体BDのロール角が増加または減少過程にあるか否かを判定する。現在、車両は左方向へ旋回中であり、車体BDのロール角が増加しているため、ステップS64において「Yes」すなわち微分値ΔGyの絶対値|ΔGy|が所定の閾値ΔGyoよりも大きいと判定して、ステップS65に進む。
ステップS65においては、車体BDに対する左右前後輪FL,FR,RL,RRのストロークXi(i=fl,fr,rl,rr)をそれぞれ時間微分して、ストローク速度Xid(i=fl,fr,rl,rr)を計算する。次に、ステップS66にて横加速度Gyが正であるか否かを判定する。現在、車両は左方向へ旋回しているため、ステップS66にて「Yes」と判定して、ステップS67以降の処理を実行する。
ステップS67においては、左前輪FLのストローク速度Xfldを旋回内側前輪のストローク速度Xfindとして設定し、右前輪FRのストローク速度Xfrdを旋回外側前輪のストローク速度Xfoutdとして設定し、左後輪RLのストローク速度Xrldを旋回内側後輪のストローク速度Xrindとして設定し、右後輪RRのストローク速度Xrrdを旋回外側後輪のストローク速度Xroutdとして設定する。
次に、ステップS68において、上記式12〜式15に基づいて、旋回内側前輪、旋回外側前輪、旋回内側後輪および旋回外側後輪に対応したショックアブソーバ10の減衰係数Cj(j=fin,fout,rin,rout)をそれぞれ計算する。この場合、上記式12および式13で用いられているTfは、上記図6の前輪側目標減衰力決定プログラムの実行によって、前輪側目標減衰力Tf*に設定されており、上記式14および式15で用いられているTrは、上記図7の後輪側目標減衰力決定プログラムの実行によって、後輪側目標減衰力Tr*に設定されている。
続いて、ステップS69において、旋回内側前輪のショックアブソーバ10の減衰係数Cfinを左前輪FLのショックアブソーバ10の減衰係数Cflとして設定し、旋回外側前輪のショックアブソーバ10の減衰係数Cfoutを右前輪FRのショックアブソーバ10の減衰係数Cfrとして設定し、旋回内側後輪のショックアブソーバ10の減衰係数Crinを左後輪RLのショックアブソーバ10の減衰係数Crlとして設定し、旋回外側後輪のショックアブソーバ10の減衰係数Croutを右後輪RRのショックアブソーバ10の減衰係数Crrとして設定する。
次に、ステップS70において、ステップS69で設定された減衰係数Ci(i=fl,fr,rl,rr)に応じて、それぞれ対応したアクチュエータ31の作動を制御する。ステップS70の処理後、この各ショックアブソーバ減衰力制御プログラムの実行を一旦終了する。以後、車体BDのロール角が増加している間は、ステップS61〜S62、ステップS64〜S70の処理が繰り返し実行される。
この状態から、車体BDのロール角がほぼ最大値に達してロール角の増加が停止すると、ステップS64において「No」すなわち横加速度Gyの微分値ΔGyの絶対値|ΔGy|が所定の閾値ΔGyoよりも小さいと判定し、ステップS71において、各ショックアブソーバ10の減衰係数Ci(i=fl,fr,rl,rr)を、旋回走行に適した予め設定されている所定値(例えば、ハード側の減衰係数)に設定する。ステップS71の処理後、ステップS70にて、上記所定値に設定された減衰係数Ci(i=fl,fr,rl,rr)に応じて、それぞれ対応したアクチュエータ31の作動を制御する。ステップS70の処理後、この各ショックアブソーバ減衰力制御プログラムの実行を一旦終了する。
そして、上記旋回走行から直進走行に移行し始めて、車体BDのロール角が減少しているときは、ふたたびステップS64において「Yes」すなわち横加速度Gyの微分値ΔGyの絶対値|ΔGy|が所定の閾値ΔGyoよりも大きいと判定して、以後は上記と同様、ステップS65〜ステップS70の処理を実行する。
一方、車両が直進走行から、例えば右方向へ旋回し始めた場合には、上記左方向へ旋回し始めた場合と同様、ステップS61〜ステップS62、ステップS64,S65の処理を実行した後、ステップS66にて「No」すなわち車両が右方向へ旋回しているものと判定して、ステップS72以降の処理を実行する。ステップS72においては、右前輪FRのストローク速度Xfrdを旋回内側前輪のストローク速度Xfindとして設定し、左前輪FLのストローク速度Xfldを旋回外側前輪のストローク速度Xfoutdとして設定し、右後輪RRのストローク速度Xrrdを旋回内側後輪のストローク速度Xrindとして設定し、左後輪RLのストローク速度Xrldを旋回外側後輪のストローク速度Xroutdとして設定する。
ステップS73においては、ステップS68の処理と同様、上記式12〜式15に基づいて、旋回内側前輪、旋回外側前輪、旋回内側後輪および旋回外側後輪に対応したショックアブソーバ10の減衰係数Cj(j=fin,fout,rin,rout)をそれぞれ計算する。ステップS74においては、ステップS73で計算した減衰係数Cj(j=fin,fout,rin,rout)を右左前後輪に対応したショックアブソーバ10の減衰係数Ci(i=fr,fl,rr,rl)としてそれぞれ設定する。そして、ステップS70においては、ステップS74で設定された減衰係数Ci(i=fr,fl,rr,rl)に応じて、それぞれ対応したアクチュエータ31の作動を制御する。ステップS70の処理後、この各ショックアブソーバ減衰力制御プログラムの実行を一旦終了する。以後、車体BDのロール角が増加している間は、上記と同様、ステップS61〜S62,S64〜S66の処理を経て、ステップS72以降の処理が繰り返し実行される。そして、車体BDのロール角の増加が停止すると、ステップS64の処理後、ステップS71以降の処理が実行される。この状態から、車体BDのロール角が減少し始めると、ふたたびステップS66の処理後、ステップS72以降の処理が実行されるようになる。
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、車体後輪側においては、図7のステップS57,S58の処理により後輪側ジャッキアップ力Jrを打ち消すように後輪側ショックアブソーバ10により発生される減衰力の総和Trが設定される。このため、例えば図10に示すように、後輪側車両重心Orの浮き上がりが抑制される。
また、車体前輪側においては、実ロール角θrの関数によって一義的に定まる目標ピッチ角θp*となるように修正ピッチモーメントΔMpが演算され、図6のステップS46,47の処理により前輪側ショックアブソーバ10により発生される減衰力の総和(Tf+ΔTf)が設定される。すなわち、例えば、実ピッチ角θpが目標ピッチ角θp*よりも大きいときは、実ピッチ角θpを目標ピッチ角θp*から遠ざけ難くして車体BDの過度の前傾が抑制されるように、前輪側車両重心Ofに対して入力の総和が上方となる力が付与される(図10参照)。これに対して、例えば、実ピッチ角θpが目標ピッチ角θp*よりも小さいときは、実ピッチ角θpを目標ピッチ角θp*に近づき易くして車体BDの所定位置への前傾が促進されるように、前輪側車両重心Ofに対して入力の総和が下方となる力が付与される。
これにより、車両旋回時において、車体BDのロールが抑制されるとともに、車両重心Ocの上昇が抑制されることに加えて、車体BDのピッチングが抑制されるとともに、車体BDが所定の前傾姿勢に維持され易くなるので、操縦性および路面に対するグリップ感が向上する。
また、本実施形態においては、目標ピッチ角θp*を実ロール角θrから一義的に求めているため、実ロール角θrと実ピッチ角θpとの位相を一致させることができ、実ロール角θrと実ピッチ角θpとの時間差がなくなって、ロール感が向上すなわちロール時におけるスムーズなフィーリング感が向上する。
更に、本実施形態においては、式24に示すように、実ロール角θrを用いて多項式近似した関数f(θr)により、実ロール角θrに対応した車体の目標ピッチ角θp*を付与するようにしている。従って、修正ピッチモーメントΔMpを算出するに当たり、以下の理由により、微分演算処理を行う必要が無くなる。
修正ピッチモーメントΔMpは、ΔMp=I・Δθpdd+Kp・Δθpとして与えられる。そして、修正ピッチ角加速度Δθpddは、Δθpdd=θp*dd−θpddとして計算でき、修正ピッチ角Δθpは、Δθp=θp*−θpとして計算できる。
修正ピッチ角加速度Δθpddを算出するのに必要となる目標ピッチ角θp*の2階微分値θp*ddは、上記式26からわかるように、実ロール角θr、実ロール角の1階微分値θrd(=dθr/dt)、実ロール角の2階微分値θrdd(=d2(θr)/dt2)を使って求められる。そして、実ロール角の2階微分値θrddは、ロール角計算プログラム(図4)を実行したときにステップS23においてロール角加速度θrddとして計算されている。これは、ばね上加速度センサ41fl,41fr,41rl,41rrにより検出された検出値(Gzfl,Gzfr,Gzrl,Gzrr)を代数演算により求めた値である。また、実ロール角θrは、ロール角計算プログラムのステップS24においてロール角加速度θrddを2階時間積分して求めたものである。また、実ロール角の1階微分値θrdは、このステップS24の演算過程(1階目の時間積分演算時)において算出されるものである。
また、実ピッチ角θpの2階微分値θpddは、ピッチ角計算プログラムのステップS33にて計算されたピッチ角加速度θpddであり、これについても、ばね上加速度センサ41fl,41fr,41rl,41rrにより検出された検出値を代数演算により求めた値である。
一方、修正ピッチ角Δθpを演算するのに必要となる目標ピッチ角θp*は、関数f(θr)により実ロール角θrから計算された値であり、もう一方の実ピッチ角θpは、ピッチ角計算プログラムの実行により計算された値である。そして、実ロール角θr、実ピッチ角θpは、ばね上加速度センサ41fl,41fr,41rl,41rrにより検出された検出値を代数計算して求めた加速度値(ロール角加速度、ピッチ角加速度)を2階積分する(ステップS24,S34)ことにより算出したものである。
従って、修正ピッチモーメントΔMpの演算には、ばね上加速度センサ41fl,41fr,41rl,41rrにより検出された検出値の代数計算、および、代数計算結果の1階積分、2階積分を行うだけですみ、微分演算処理を必要としない。この結果、修正ピッチモーメントΔMpの演算時に発生するノイズが低減され、最終的な減衰力制御量の精度が向上する。これにより、車体に発生するロール角とピッチ角との位相を精度よく一致させることが可能となり、ロール感を向上させることができる。また、電子制御ユニット40の主要部を構成するマイクロコンピュータの演算負担が軽くなり、種々の車両に対してこうした減衰力制御処理を実施することが可能となる。
以上、本発明の実施形態等について説明したが、本発明の実施にあたっては、上記実施形態等に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
本発明の実施形態に係る車両の減衰力制御装置の全体を表す概略図である。 (A)は、実際の車両の左右輪を表した車両モデルを用いてサスペンション系の運動を示すための説明図であり、(B)は、仮想の車両の左右輪を表した車両モデルを用いてサスペンション系の運動を示すための説明図である。 電子制御ユニットによって実行されるロールおよびピッチング抑制制御プログラムを示すフローチャートである。 電子制御ユニットによって実行されるロール角計算プログラムを示すフローチャートである。 電子制御ユニットによって実行されるピッチ角計算プログラムを示すフローチャートである。 電子制御ユニットによって実行される前輪側目標減衰力決定プログラムを示すフローチャートである。 電子制御ユニットによって実行される後輪側目標減衰力決定プログラムを示すフローチャートである。 電子制御ユニットによって実行される各ショックアブソーバの減衰力制御プログラムを示すフローチャートである。 実ロール角に対する目標ピッチ角の変化特性を示すグラフである。 ロールおよびピッチング抑制制御プログラムの実行によって前輪側および後輪側車体にそれぞれ作用する上下方向の入力を示す説明図である。
符号の説明
BD…車体、LA…ばね下部材(懸架装置)、FL,FR,RL,RR…左右前後輪、10…ショックアブソーバ、20…コイルスプリング、30…可変絞り機構、31…アクチュエータ、40…電子制御ユニット、41fl,41fr,41rl,41rr…ばね上加速度センサ、42fl,42fr,42rl,42rr…車高センサ、43…車速センサ、44…ヨーレートセンサ、45…横加速度センサ。

Claims (1)

  1. 車体と車体に懸架装置によって懸架された4輪との間にそれぞれ介装され減衰力を個別に変更可能なショックアブソーバと、
    4輪ごとにばね上の上下加速度を検出するばね上加速度センサと、
    上記ばね上加速度センサの検出値からロール角加速度を計算し、そのロール角加速度を2階積分することで車両の前後方向軸線回りの車体のロール角を検出するロール角検出手段と、
    上記ばね上加速度センサの検出値からピッチ角加速度を計算し、そのピッチ角加速度を2階積分することで車両の左右方向軸線回りの車体のピッチ角を検出するピッチ角検出手段と、
    上記検出されたロール角に応じて目標ピッチ角を計算する目標ピッチ角計算手段と、
    上記目標ピッチ角と上記検出されたピッチ角との差分に応じて車体に必要な修正ピッチモーメントを計算する修正モーメント計算手段と、
    上記計算された修正ピッチモーメントに応じて上記ショックアブソーバに要求される目標減衰力を設定する目標減衰力設定手段と、
    上記目標減衰力設定手段により設定された目標減衰力に応じて上記ショックアブソーバの減衰力を制御する減衰力制御手段と
    を備えた車両の減衰力制御装置において、
    上記目標ピッチ角計算手段は、上記車体のロール角を用いて多項式近似した関数により上記検出したロール角に対応した車体の目標ピッチ角を付与するものであり、
    上記修正モーメント計算手段は、上記ロール角を用いた関数により与えられた目標ピッチ角を2回微分した値と上記検出されたピッチ角を2回微分した値との差分値である微分差分値、および、上記目標ピッチ角と上記検出されたピッチ角との差分値に基づいて上記修正ピッチモーメントを計算し、少なくとも上記微分差分値の計算にあたって、上記ばね上加速度センサの検出値から計算されたロール角加速度と、ロール角加速度の1階積分値と、ロール角加速度の2階積分値と、上記ばね上加速度センサの検出値から計算されたピッチ角加速度とを用いるものであることを特徴とする車両の減衰力制御装置。
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