JP4803127B2 - 差動線路emi解析システム、差動線路emi解析方法およびプログラム - Google Patents

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本発明は、差動線路と電源プレーン・グランドプレーン対と差動ビアとを実装したプリント回路基板構造の解析方法に係り、特に差動線路のスキューに依存する電源プレーン・グランドプレーン対からのEMIを予測し、許容EMI増加量を満たす差動線路のスキューの許容値を高速に決定する差動線路EMI解析システム、差動線路EMI解析方法およびプログラムに関するものである。
電子機器の高速化に伴い、プリント回路基板からの不要輻射(Electro-Magnetic Interference、以下EMIと略す)問題が顕著となってきている。とりわけ、信号配線と電源プレーン・グランドプレーン対が交差する信号ビア構造は、信号を伝わる電磁波の一部が電源プレーン・グランドプレーン対内に伝播し、電源プレーン・グランドプレーン対の端部からのEMIを増大させることが知られている。
昨今では、信号配線として差動配線が用いられることが多い。差動配線の場合、差動ビアから電源プレーン・グランドプレーン対に伝播する電磁波は、二本の差動ビアの電流が互いに逆位相となっていることによるキャンセル効果により、従来のシングル配線のビア構造よりも抑えることが可能である。しかし、差動ビア手前の差動線路部で配線長差、すなわちスキューが生じた場合は、2本の差動ビアの電流は完全な逆位相とはならない。このため、同相成分、すなわちコモンモード成分が、シングル配線のビア構造と同様に電源グランドプレーン間に電磁波を発生させてしまうため、不要なEMIが増大する。
図16(A)、図17(B)は差動線路を搭載したプリント回路基板の平面図、図16(B)、図17(B)はそれぞれ図16(A)、図17(B)のI−I線断面図である。図16(A)、図16(B)、図17(A)、図17(B)は、上記スキュー(配線長差)が無い場合と有る場合の差動ビア部での電源系への干渉を模擬的に示した図である。図16(A)、図16(B)は差動線路部にスキューが無い例を示し、図17(A)、図17(B)は差動線路部にスキューが有る例を示している。
プリント回路基板500は、4層基板である。一層目に実装されたLSIであるドライバ501から2本の差動線路503には、互いに逆位相の差動信号が送られるようになっている。この差動信号は、グランドプレーン506と電源プレーン505を貫く差動ビア504を介して4層目の差動線路510を伝搬する。そして、差動信号は、差動ビア509を介して再び1層目の差動線路511を伝搬し、LSIであるレシーバ502にて受信されるようになっている。
図16(A)、図16(B)のように差動線路503,511にスキューが無い構造の場合、差動ビア504,509から電源プレーン505とグランドプレーン506間に漏れる電磁波507は小さい。したがって、電源プレーン505とグランドプレーン506の端部から漏れるEMI508も小さい。
一方、図17(A)、図17(B)のように差動線路503,511にスキュー612が有る構造の場合、差動ビア504,509を流れる電流がコモンモード成分を含んでいるため、差動ビア504,509から電源プレーン505とグランドプレーン506間に漏れる電磁波507が大きい。したがって、電源プレーン505とグランドプレーン506の端部から漏れるEMI508も大きくなる。
以上のように、差動線路を実装したプリント回路基板構造においては、差動線路503,511にスキュー612が存在する状態で電源プレーン505とグランドプレーン506を差動ビア504,509で貫通する場合がある。この場合、差動ビア504,509のコモンモード成分が電源プレーン505とグランドプレーン506との間に漏れ、結果として電源プレーン505とグランドプレーン506の端部から漏れるEMIが増大する。
スキューに依存する電源グランドプレーンの端部からのEMIの増加量を効率良く予測するためには、図17(A)、図17(B)の構造を模擬した等価回路モデルを用いて素早く計算する必要がある。
本発明の発明者らは、多層プリント回路基板のEMI対策に利用できる方法として、多層プリント回路基板の電源系の解析方法を提案した(特許文献1参照)。この特許文献1に開示された解析方法によれば、多層プリント回路基板の電源系の等価回路モデルを効率良く作成することができる。
特開2007−004418号公報
前述のように、スキューに依存する電源グランドプレーンの端部からのEMIの増加量を効率良く予測するためには、図17(A)、図17(B)の構造を模擬した等価回路モデルを用いて素早く計算する必要がある。しかしながら、該当する構造の等価回路モデルで一般化されているものはない。特許文献1に開示された解析方法では、差動線路にスキューが存在する場合のプリント回路基板構造の等価回路モデルを得ることはできなかった。
結果として、従来は3次元数値解析手法を用いてプリント回路基板構造に起因するEMIを直接的に計算することが主流であった。しかし、3次元数値解析ツールは、対象構造を3次元的に直接メッシュ化するため、計算コスト(計算時間と計算容量)が膨大になるという問題点があった。
本発明は、以上の課題を克服するためになされたものであって、差動線路を実装したプリント回路基板構造に関して、構造を模擬したプリント回路基板等価回路モデルを作成し、差動線路のスキューに依存する電源プレーン・グランドプレーン対からのEMIを効率的に予測し、あらかじめ指定した許容EMI増加量を満たす差動線路のスキューの許容値を高速に決定することができる差動線路EMI解析システム、差動線路EMI解析方法およびプログラムを提供することを目的とする。
本発明は、差動線路と電源プレーン・グランドプレーン対とこの電源プレーン・グランドプレーン対を貫く差動ビアとを実装したプリント回路基板から放射される不要輻射(EMI)の増加量が、前記差動線路にスキューが無い場合の基準EMIの量に対して所定の許容EMI増加量を満たすときの最大の許容スキュー長を求める差動線路EMI解析システムであって、前記差動線路にスキューが無い場合とスキューが有る場合の各々について、プリント回路基板等価回路モデルを作成するプリント回路基板等価回路作成手段と、このプリント回路基板等価回路モデルから、前記電源プレーン・グランドプレーン対の電圧分布と前記差動線路の電流分布を計算する回路計算手段と、この回路計算手段の計算結果を用いて、前記差動線路にスキューが無い場合のプリント回路基板等価回路モデルから求めた基準EMIに対して、前記差動線路にスキューが有る場合のプリント回路基板等価回路モデルから求めたEMIの増加量を計算するEMI増加量計算手段と、あらかじめ指定された許容EMI増加量と前記EMI増加量計算手段が計算したEMI増加量の大小を比較し、前記許容EMI増加量未満のEMI増加量となる最大のスキュー長を最大許容スキュー長として決定する最大許容スキュー決定手段とを備えるものである。
また、本発明の差動線路EMI解析システムの1構成例において、前記プリント回路基板等価回路作成手段は、前記差動線路にスキューが無い場合とスキューが有る場合の各々について、前記差動線路の等価回路モデルと前記電源プレーン・グランドプレーン対の等価回路モデルと前記差動ビアの等価回路モデルとを結合したプリント回路基板等価回路モデルを作成するものである。
また、本発明の差動線路EMI解析システムの1構成例は、さらに、前記プリント回路基板の構造に関する情報を入力するプリント回路基板情報入力手段と、前記プリント回路基板を構成する材質の物理定数を入力する物理定数入力手段と、前記電源プレーン・グランドプレーン対の等価回路モデル作成用のメッシュに関する情報を入力するメッシュ情報入力手段と、前記差動線路の伝送線路特性を算出する伝送線路特性算出ソルバーと、前記許容EMI増加量を指定する許容EMI増加量指定手段と、前記プリント回路基板等価回路モデルの回路解析を実行する回路ソルバーとを備え、前記伝送線路特性算出ソルバーは、前記プリント回路基板の構造に関する情報と前記物理定数を基に前記差動線路の伝送線路特性を算出し、前記プリント回路基板等価回路作成手段は、前記プリント回路基板の構造に関する情報と前記物理定数と前記伝送線路特性算出ソルバーの算出結果と前記メッシュに関する情報を基に前記プリント回路基板等価回路モデルを作成し、前記回路計算手段は、前記回路ソルバーを用いて前記電源プレーン・グランドプレーン対の電圧分布と前記差動線路の電流分布を計算するものである。
また、本発明の差動線路EMI解析システムの1構成例において、前記プリント回路基板等価回路作成手段は、前記メッシュ情報入力手段によって指定されたメッシュに対して、前記プリント回路基板の電源プレーン・グランドプレーン対に平行平板モデルを適用した等価回路を作成し、前記差動線路の伝送線路パラメータを計算した上で前記差動線路の等価回路モデルと前記差動ビアの等価回路モデルを作成し、前記差動線路の等価回路モデルと前記電源プレーン・グランドプレーン対の等価回路モデルと前記差動ビアの等価回路モデルとを結合したプリント回路基板等価回路モデルを作成するものである。
また、本発明の差動線路EMI解析システムの1構成例において、前記プリント回路基板等価回路作成手段は、前記電源プレーン・グランドプレーン対の等価回路モデルのメッシュ幅が前記差動ビアの間隔より大きい場合に、2つの差動ビア用のノードを1つにまとめた上で、電流制御型従属電流源と電圧制御型従属電圧源を併用して前記差動線路と前記差動ビアとの接合部の等価回路を作成し、コモンモード成分とディファレンシャルモード成分に分けて前記差動ビアの等価回路を作成するものである。
また、本発明の差動線路EMI解析システムの1構成例において、前記プリント回路基板等価回路作成手段と前記回路計算手段と前記EMI増加量計算手段と前記最大許容スキュー決定手段とは、前記許容EMI増加量と前記EMI増加量計算手段によって計算されるEMI増加量が略等しくなるまで、前記スキュー長を更新する度に前記プリント回路基板等価回路モデルの作成と前記電圧分布と電流分布の計算と前記EMI増加量の計算と前記EMI増加量の大小比較とを行うものである。
また、本発明の差動線路EMI解析システムの1構成例において、前記プリント回路基板等価回路作成手段は、前記差動線路の等価回路モデルの一端を電流源として指定することを特徴とするものである。
また、本発明は、CPUとメモリとを備えたコンピュータを用いる差動線路EMI解析方法であって、前記差動線路にスキューが無い場合とスキューが有る場合の各々について、プリント回路基板等価回路モデルを作成するプリント回路基板等価回路作成手順と、このプリント回路基板等価回路モデルから、前記電源プレーン・グランドプレーン対の電圧分布と前記差動線路の電流分布を計算する回路計算手順と、この回路計算手順の計算結果を用いて、前記差動線路にスキューが無い場合のプリント回路基板等価回路モデルから求めた基準EMIに対して、前記差動線路にスキューが有る場合のプリント回路基板等価回路モデルから求めたEMIの増加量を計算するEMI増加量計算手順と、あらかじめ指定された許容EMI増加量と前記EMI増加量計算手順で計算されたEMI増加量の大小を比較し、前記許容EMI増加量未満のEMI増加量となる最大のスキュー長を最大許容スキュー長として決定する最大許容スキュー決定手順とを、前記メモリに記憶されたプログラムに従って前記CPUに実行させることを特徴とするものである。
また、本発明の差動線路EMI解析プログラムは、前記差動線路にスキューが無い場合とスキューが有る場合の各々について、プリント回路基板等価回路モデルを作成するプリント回路基板等価回路作成手順と、このプリント回路基板等価回路モデルから、前記電源プレーン・グランドプレーン対の電圧分布と前記差動線路の電流分布を計算する回路計算手順と、この回路計算手順の計算結果を用いて、前記差動線路にスキューが無い場合のプリント回路基板等価回路モデルから求めた基準EMIに対して、前記差動線路にスキューが有る場合のプリント回路基板等価回路モデルから求めたEMIの増加量を計算するEMI増加量計算手順と、あらかじめ指定された許容EMI増加量と前記EMI増加量計算手順で計算されたEMI増加量の大小を比較し、前記許容EMI増加量未満のEMI増加量となる最大のスキュー長を最大許容スキュー長として決定する最大許容スキュー決定手順とを、コンピュータに実行させるようにしたものである。
本発明によれば、差動線路の等価回路モデルと差動ビアの等価回路モデルと電源プレーン・グランドプレーン対の等価回路モデルとを別個に作成した上で結合し、差動線路のスキューにより増加する、電源プレーン・グランドプレーン対からのEMIの増加量を瞬時に計算し、許容EMI増加量を超えない範囲で最大の許容スキュー長を瞬時に求めることができる。その結果、本発明は、不要輻射対策を行うEMC分野や電気実装の分野においてきわめて有用な手段を提供することができる。
[第1実施例]
以下、本発明の実施例について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施例に係る差動線路EMI解析システムの構成を示すブロック図である。
本実施例の差動線路EMI解析システムは、プリント回路基板等価回路作成部105と、回路計算部108と、EMI増加量計算部109aと、最大許容スキュー決定部109bと、最大許容スキュー表示部110とから構成される。
以下の全ての実施例では、差動線路を実装したプリント回路基板の構造として、差動線路にスキューが無い場合は図16(A)、図16(B)に示したような構造を想定し、差動線路にスキューが有る場合は図17(A)、図17(B)に示したような構造を想定している。以下では、電源プレーンとグランドプレーンの組を電源プレーン・グランドプレーン対と呼ぶことにする。
プリント回路基板等価回路作成部105は、差動線路にスキューが無い場合とスキューが有る場合の各々について、差動線路の等価回路モデルと電源プレーン・グランドプレーン対の等価回路モデルと差動ビアの等価回路モデルとを結合したプリント回路基板等価回路モデルを作成する手段を有する。
回路計算部108は、プリント回路基板等価回路作成部105で作成されたプリント回路基板等価回路モデルを解く手段を有する。
EMI増加量計算部109aは、スキューが無い場合の差動線路部からのEMIを基準EMIとし、スキューがある場合の電源プレーン・グランドプレーン対から発生するEMIを、磁気ダイポールの放射式にしたがって算出し、このEMIの計算値の基準EMIに対する増加量を計算する手段を有する。
最大許容スキュー決定部109bは、EMI増加量と許容EMI増加量との大小を比較して、最大許容スキュー長を決定する手段を有する。
最大許容スキュー表示部110は、最大許容スキュー値を表示する手段を有する。
次に、本発明の第1実施例に係る差動線路EMI解析システムの解析処理の処理手順に関して説明する。図2は、本実施例の差動線路EMI解析システムの解析処理の手順を示すフローチャートである。
プリント回路基板等価回路作成部105は、プリント回路基板の構造に関する情報と材質の物理定数と電源プレーン・グランドプレーン対の等価回路モデル作成用のメッシュに関する情報とスキュー長の情報を用いて、差動線路にスキューが無い場合とスキューが有る場合の各々について、差動線路の等価回路モデルと電源プレーン・グランドプレーン対の等価回路モデルと差動ビアの等価回路モデルとを結合したプリント回路基板等価回路モデルを作成し、その回路定数を算出する(ステップS101)。
回路計算部108は、プリント回路基板等価回路作成部105が作成したプリント回路基板等価回路モデルを数値的に解き、差動線路にスキューが無い場合とスキューが有る場合の各々について、電源プレーン・グランドプレーン対の電圧分布と差動線路の電流分布を計算する(ステップS102)。
EMI増加量計算部109aは、差動線路にスキューが無い場合のプリント回路基板等価回路モデルから計算された差動線路の電流分布を基に、スキューが無い場合の差動線路からのEMIを基準EMIとして計算する。続いて、EMI増加量計算部109aは、差動線路にスキューが有る場合のプリント回路基板等価回路モデルから計算された電源プレーン・グランドプレーン対の端部の電圧と差動線路の電流分布を基に、差動線路にスキュー長ΔLのスキューが有る場合の電源プレーン・グランドプレーン対の端部から発生するEMI(ΔL)を算出する。そして、EMI計算部109は、この計算したEMI(ΔL)の基準EMIに対する増加量ΔEcalを計算する(ステップS103)。
最大許容スキュー決定部109bは、計算したEMI増加量ΔEcalと予め指定された許容EMI増加量ΔEの大小を比較し、許容EMI増加量ΔE未満のEMI増加量となる最大のスキュー長ΔLを最大許容スキュー長として決定する(ステップS104)。
最大許容スキュー表示部110は、最大許容スキュー長の値を表示する(ステップS105)。
以上のように、本実施例では、差動線路の等価回路モデルと差動ビアの等価回路モデルと電源プレーン・グランドプレーン対の等価回路モデルとを別個に作成した上で結合し、差動線路のスキューにより増加する、電源プレーン・グランドプレーン対からのEMIの増加量を計算することにより、許容EMI増加量を超えない範囲で最大の許容スキュー長を求めることができる。その結果、本実施例は、不要輻射対策を行うEMC(Electro magnet compatibility)分野や電気実装の分野においてきわめて有用な手段を提供することができる。
[第2実施例]
次に、本発明の第2実施例について説明する。図3は、本発明の第2実施例に係る差動線路EMI解析システムの構成を示すブロック図である。本実施例は、第1実施例をより具体的に説明するものであり、第1実施例と同様の構成には同一の符号を付してある。
本実施例の差動線路EMI解析システムは、プリント回路基板情報入力部101と、物理定数入力部102と、メッシュ情報入力部103と、伝送線路特性算出ソルバー104と、プリント回路基板等価回路作成部105と、許容EMI増加量指定部106と、回路ソルバー107と、回路計算部108と、EMI計算部109と、最大許容スキュー表示部110とから構成される。
プリント回路基板情報入力部101は、解析の対象となるプリント回路基板の構造に関する情報として、電源プレーン・グランドプレーン対の縦横の寸法と厚み、差動線路の構造と位置、差動ビアの場所などの情報を入力する手段を有する。
物理定数入力部102は、プリント回路基板を構成する材質の物理定数(誘電体の比誘電率と基板導体の損失値など)、解析したい周波数帯域(最低周波数fminと最大周波数fmax)、初期スキュー長、及びスキューの更新幅であるスキュー調整間隔ΔLxを入力する手段を有する。
メッシュ情報入力部103は、プリント回路基板の電源プレーン・グランドプレーン対の等価回路モデル作成用のメッシュ数もしくはメッシュ間隔に関する情報を入力する手段を有する。
伝送線路特性算出ソルバー104は、プリント回路基板の差動線路の伝送線路特性を算出する手段を有する。
プリント回路基板等価回路作成部105は、メッシュ情報入力部103と伝送線路特性算出ソルバー104の出力を基に、差動線路にスキューが無い場合とスキューが有る場合の各々について、差動線路の等価回路モデルと電源プレーン・グランドプレーン対の等価回路モデルと差動ビアの等価回路モデルとを結合したプリント回路基板等価回路モデルを作成する手段を有する。
許容EMI増加量指定部106は、プリント回路基板に差動線路と電源プレーン・グランドプレーン対と電源プレーン・グランドプレーン対を貫く差動ビアとがあって、差動線路にスキューがある場合の許容EMI増加量を指定する手段を有する。
回路ソルバー107は、任意の等価回路モデルを数値的に解く手段を有する。この回路ソルバーとは、例えば節点電位解法等の回路解析法を用いて回路解析を実行するソフトウェアをいう。
回路計算部108は、プリント回路基板等価回路作成部105で作成されたプリント回路基板等価回路モデルを、回路ソルバー107を用いて解く手段を有する。
EMI計算部109は、スキューが無い場合の差動線路部からのEMIを基準EMIとし、スキューがある場合の電源プレーン・グランドプレーン対から発生するEMIを、磁気ダイポールの放射式にしたがって算出し、このEMIの計算値の基準EMIに対する増加量と許容EMI増加量との大小を比較する手段を有する。このEMI計算部109は、第1実施例のEMI増加量計算部109aと最大許容スキュー決定部109bとを含むものである。
最大許容スキュー表示部110は、EMI計算部109から最終的に出力される最大許容スキュー値を表示する手段を有する。
次に、本発明の第2実施例に係る差動線路EMI解析システムの解析処理の処理手順に関して説明する。図4は、本実施例の差動線路EMI解析システムの解析処理の手順を示すフローチャートである。
まず、プリント回路基板情報入力部101は、解析の対象となるプリント回路基板の構造に関する情報として、電源プレーン・グランドプレーン対の縦横の寸法と厚み、差動線路の構造と位置、差動ビアの場所などの情報を入力する(ステップS201)。
物理定数入力部102は、プリント回路基板を構成する材質の物理定数(誘電体の比誘電率と基板導体の損失値など)、解析したい周波数帯域(最低周波数fminと最大周波数fmax)、初期スキュー長、及びスキュー調整間隔ΔLxを入力する(ステップS202)。
メッシュ情報入力部103は、プリント回路基板の電源プレーン・グランドプレーン対の等価回路モデル作成用のメッシュ数もしくはメッシュ間隔に関する情報を入力する(ステップ203)。
許容EMI増加量指定部106は、許容EMI増加量ΔEを入力する(ステップS204)。
ステップS201〜S204の入力情報は、例えば差動線路EMI解析システムのユーザによって予め指定されている。
次に、プリント回路基板等価回路作成部105は、プリント回路基板の構造に関する情報と物理定数とメッシュに関する情報と伝送線路特性算出ソルバー104の算出結果とスキュー長の情報を用いて、差動線路にスキューが無い場合とスキューが有る場合の各々について、差動線路の等価回路モデルと電源プレーン・グランドプレーン対の等価回路モデルと差動ビアの等価回路モデルとを結合したプリント回路基板等価回路モデルを作成し、その回路定数を算出する(ステップS205)。
このとき、プリント回路基板等価回路作成部105は、ステップS203で指定されたメッシュの情報に対して、プリント回路基板の電源プレーン・グランドプレーン対に平行平板モデルを適用した等価回路モデルを作成し、伝送線路特性算出ソルバー104を用いて差動線路の伝送線路パラメータを計算した上で差動線路の伝送線路モデルと差動ビアの等価回路モデルを作成し、電源プレーン・グランドプレーン対の平行平板モデルと差動線路の等価回路モデルと差動ビアの等価回路モデルとを連結するプリント回路基板等価回路モデルを作成し、全体の回路定数を算出し、差動線路モデルの一端を電流源として指定する。
回路計算部108は、プリント回路基板等価回路作成部105が作成したプリント回路基板等価回路モデルを回路ソルバー107を用いて数値的に解き、差動線路にスキューが無い場合とスキューが有る場合の各々について、電源プレーン・グランドプレーン対の電圧分布と差動線路の電流分布を計算する(ステップS206)。
EMI計算部109は、差動線路にスキューが無い場合のプリント回路基板等価回路モデルから計算された差動線路の電流分布を基に、スキューが無い場合の差動線路からのEMIを基準EMIとして計算する。続いて、EMI計算部109は、差動線路にスキューが有る場合のプリント回路基板等価回路モデルから計算された電源プレーン・グランドプレーン対の端部の電圧と差動線路の電流分布を基に、差動線路にスキュー長ΔLのスキューが有る場合の電源プレーン・グランドプレーン対の端部から発生するEMI(ΔL)を、磁気ダイポールの放射式にしたがって算出する。そして、EMI計算部109は、この計算したEMI(ΔL)の基準EMIに対する増加量ΔEcalを計算する(ステップS207)。
EMI計算部109は、計算したEMI増加量ΔEcalとステップS204で指定された許容EMI増加量ΔEの大小を比較する(ステップS208)。
EMI計算部109は、計算したEMI増加量ΔEcalよりも許容EMI増加量ΔEが大きい場合(ステップS208においてNO)、現在のスキュー長ΔLにスキュー調整間隔ΔLxを加算して、加算結果を新たなスキュー長ΔLとし、この更新したスキュー長ΔLをプリント回路基板等価回路作成部105に渡す(ステップS209)。
こうして、計算したEMI増加量ΔEcalと許容EMI増加量ΔEがほぼ等しくなるまで、ステップS205〜S209の処理が繰り返される。
EMI計算部109は、ステップS207で計算したEMI増加量ΔEcalと許容EMI増加量ΔEがほぼ等しい場合は(ステップS208においてYES)、計算に用いたスキュー長ΔLを最大許容スキュー長として最大許容スキュー表示部110に出力する。最大許容スキュー表示部110は、EMI計算部109から出力された最大許容スキュー長の値を表示する(ステップS210)。
次に、本発明の第2実施例に係る差動線路EMI解析システムにおけるEMI解析方法の理論に関して、図面を参照にして説明する。
前述のように、電源プレーン・グランドプレーン対を貫く差動ビアの各々を流れる電流に同相成分、すなわちコモンモード成分があると、コモンモード成分から発生する電磁波が電源プレーンとグランドプレーンとの間をノイズとして伝播し、結果として電源プレーンとグランドプレーンの端部から漏れるEMIが増大する。
通常、マイクロストリップ型の差動線路から発生するEMIは、伝送線路モデルを用いて2本の配線の一次元的な電流分布を計算し、その電流分布を用いることにより計算可能である。なぜなら、配線電流の放射電磁界は、配線の電流分布とそのグランドに対する鏡象電流を放射源として、既存のMaxwell方程式の変形式として表すことができるからである(参考文献1「S.Ramo et al.,“Fields and Waves in Communication Electronics”,Third Edition,p.616」参照)。具体的には、回路計算部108が計算した差動線路の配線電流、およびそのグランドに対する鏡象電流Jsの計算値に、以下の式(1)を適用すればよい。
Figure 0004803127
ここで、kは平面波の波数、rは座標系の原点と電界観測点との距離、r’は座標系の原点と配線要素との距離、Ψは原点と電界観測点を結ぶ直線と、原点と配線要素を結ぶ直線とが成す角、S’は差動線路の配線電流およびそのグランドに対する鏡象電流Jsがある部分の微小配線要素、μは電源プレーンとグランドプレーン間の誘電体の透磁率である。
一方、差動ビアの電流から発生する電磁波が電源プレーンとグランドプレーンとの間を伝播する場合、電源プレーンとグランドプレーンの端部から漏れるEMIは、差動線路と電源プレーン・グランドプレーン対とを含むプリント回路基板の等価回路モデルを作成した上で、SPICE(Simulation Program with Integrated Circuit Emphasis )等の回路ソルバー107を用いて電源プレーン・グランドプレーン対の電圧分布を計算し、その電源プレーン・グランドプレーン対の端部電圧の解析結果の微小区間に微小磁気ダイポールを適用し、積分することにより、計算することが可能である。
なぜなら、平面アンテナ構造の放射電磁界は、板状導体の端部の電圧分布を等価磁流源として、既存のMaxwell方程式の変形式として表すことができるからである(上記参考文献1参照)。具体的には、回路計算部108が計算した、電源プレーン・グランドプレーン対の端部の電圧値に対して、以下の式(2)を適用すればよい。
Figure 0004803127
式(2)において、S1はプリント回路基板の電源プレーン・グランドプレーン対の端部沿いの境界、nはプリント回路基板端部沿い境界外向き単位法線ベクトル、V1はプリント回路基板の電源プレーン・グランドプレーン対の端部の電圧、h1はプリント回路基板の誘電体の厚み、εは電源プレーンとグランドプレーン間の誘電体の誘電率である。
マイクロストリップ構造の差動線路と差動ビアと電源プレーン・グランドプレーン対とを含むプリント回路基板の等価回路モデルは以下のようにして作成する。
まず、参考文献2「T.Harada et al.,“Power-Distribution Plane Analysis for Multilayer Printed Circuit Boards with SPICE”,Proc.of 2000 IEMT/IMC Symposium,p.420-425,April,2000」に従って、微小平行平板の等価回路モデルから構成される2次元等価回路モデルを用いてプリント回路基板の電源プレーン・グランドプレーン対の等価回路モデルを作成し、結合線路モデルを用いてマイクロストリップ構造の差動線路の等価回路モデルを作成する。さらに、参考文献3「N.Kobayashi et al.,“Analysis of Multilayered Power-Distribution Planes with Via Structures using SPICE”,IEIECE Technical Report,EMCJ2005-97,p.25-30」の手順に従って、差動ビアの等価回路モデルを作成する。
図5(A)〜図5(D)はプリント回路基板の電源プレーン・グランドプレーン対をメッシュ化して等価回路モデルで表した図であり、図5(A)は電源プレーン・グランドプレーン対の等価回路モデルの平面図、図5(B)は図5(A)の等価回路モデルを構成する1個のメッシュのより詳細な等価回路モデルを示す図、図5(C)は図5(A)の電源プレーン・グランドプレーン対の等価回路モデルの側面図、図5(D)は図5(C)の等価回路モデルの高さ方向の一辺のより詳細な等価回路モデルを示す図である。
図5(A)において、aはプリント回路基板の横方向の大きさ、bはプリント回路基板の縦方向の大きさ、Δxはメッシュαの横方向の大きさ、Δyはメッシュαの縦方向の大きさである。
図5(B)は図5(A)の1個のメッシュαの等価回路モデルを表している。RxとRyはそれぞれ横方向と縦方向の辺の抵抗を表しており、LxとLyはそれぞれ横方向と縦方向のインダクタンスを表している。
図5(C)において、Hは電源プレーンとグランドプレーン間の距離、305は等価回路モデルのグランドを表している。
図5(D)は図5(C)の等価回路モデルの高さ方向の一辺βのより詳細な等価回路モデルを表している。図5(D)では、キャパシタンスCzとコンダクタンスGzが並列接続されている。
インダクタンスLx,Ly、抵抗Rx,Ry、キャパシタンスCz及びコンダクタンスGzは、以下の式(3)〜式(8)のように計算できる。
Figure 0004803127
Hはプリント回路基板情報入力部101が入力する電源プレーンとグランドプレーン間の距離である。σは導体板(電源プレーンとグランドプレーン)の導電率、μは電源プレーンとグランドプレーン間の誘電体の透磁率、εは誘電体の誘電率、δは誘電体の誘電損失であり、これらは物理定数入力部102が入力する物理定数である。fは物理定数入力部102が入力する解析周波数である。Δx,Δyは前述のとおりメッシュの横方向、縦方向の大きさであり、物理定数入力部102が入力するメッシュ間隔の情報に含まれる。
図6(A)はプリント回路基板の一対の差動線路の平面図、図6(B)は図6(A)の差動線路のI−I線断面図である。図7(A)、図7(B)は図6(A)、図6(B)の差動線路を結合線路モデルを用いてモデル化した等価回路モデルを示す図であり、図7(A)は差動線路にスキューが無い場合の等価回路モデルを示し、図7(B)は差動線路にスキューが有る場合の等価回路モデルを示している。
図6(A)、図6(B)において、400は差動線路、401,402,403,404はそれぞれ差動線路400の第1ポート、第2ポート、第3ポート、第4ポート、405は誘電体である。DWは差動線路400の配線幅、DIは差動線路400の間隔、DLは差動線路400の配線長、Δhは差動線路400の配線の厚み、hは誘電体405の厚みである。
一般に、差動線路の伝送線路としての解析は、4ポートの入出力を有する結合線路を用いて解析することができ、この場合は、単位長あたりのキャパシタンス行列C、インダクタンス行列L、コンダクタンス行列G、レジスタンス行列R、および配線長DLがあれば解析が可能である。
キャパシタンス行列C、インダクタンス行列L、コンダクタンス行列G、およびレジスタンス行列Rの各要素は、差動線路の断面構造に関する情報(例えば誘電体405の厚みh、差動線路400の配線幅DW、配線間隔DI、配線の厚みΔh)と、導電体及び誘電体の物理定数をパラメータとして、数値計算手法により求めることができる。具体的には、市販の伝送線路特性算出ソルバー104を用いることにより計算可能である。差動線路の断面構造に関する情報はプリント回路基板情報入力部101から入力され、材質の物理定数は物理定数入力部102から入力される。ここで、キャパシタンス行列C、インダクタンス行列L、コンダクタンス行列G、レジスタンス行列Rは、それぞれ式(9)〜式(12)のように表記することができる。
Figure 0004803127
以上のキャパシタンス行列C、インダクタンス行列L、コンダクタンス行列G及びレジスタンス行列Rの行列要素と配線長DLとを有する4ポート(第1ポート401、第2ポート402、第3ポート403、第4ポート404)の結合線路モデルを、図7(A)のブロックモデル703で表すことにする。
ここで、一対の入力部である第1ポート401と第3ポート403に、差動線路の2つの配線の信号源として互いに逆位相の電流源701,702を設定することにより、差動線路上の差動信号入力の信号伝播を模擬したシミュレーションが可能となる。
さらに、差動線路の入出力部にスキュー、すなわち配線長差Xがある場合は、余計な配線長Xの分をシングル線路と見なし、伝送線路シミュレータを用いてシングル線路の伝送線路パラメータ、すなわち単位長あたりのキャパシタンスCs、インダクタンスLs、コンダクタンスGs、レジスタンスRsを計算する。キャパシタンスCs、インダクタンスLs、コンダクタンスGs、レジスタンスRsについても、伝送線路特性算出ソルバー104を用いることにより計算可能である。
そして、配線長Xのシングル線路モデルを、結合線路のモデル703に連結すれば、図7(B)のように差動線路の入出力部に長さxのスキューがある場合の等価回路モデルを作成することができる。差動線路入力部でのスキューに相当する等価回路モデル704、差動線路出力部でのスキューに相当する等価回路モデル705は、それぞれ伝送線路パラメータがCs,Ls,Gs,Rsであり、かつ配線長がXであるシングル線路の等価回路モデルのブロックを表している。
差動ビアが電源プレーン・グランドプレーン対と交差している部分の等価回路モデルは、上記の参考文献3の手法に従って、同軸線路と放射状線路との交差部の等価回路を適用することにより、作成可能である。
図8は、一対の差動ビアと電源プレーン・グランドプレーン対とが交差している構造を説明する断面図である。すなわち、図8は、図16(A)のプリント回路基板をII−II線で切断した断面図に相当する。一対の差動ビア504の差動ビア第1ポート802と差動ビア第3ポート804が一対の差動入力ポートであり、差動ビア第2ポート803と差動ビア第4ポート805がそれぞれポート802,804に対する差動出力ポートである。
さらに、ポート802と803を結ぶビアを見込む電源プレーン506とグランドプレーン505の側のポートを電源プレーン・グランドプレーン対第1ポート808とし、ポート804と805を結ぶビアを見込む電源プレーン506とグランドプレーン505の側のポートを電源プレーン・グランドプレーン対第2ポート809とする。なお、図8において、raは差動ビア504の半径、rbは差動ビア504と電源プレーン・グランドプレーン対との間のビア用のクリアランス半径、Hは電源プレーン506とグランドプレーン505間の距離である。
図8の各ポート間の関係を示す等価回路を、図9に示す。図8の各ポート802,803,804,805,808,809に対応する個所には、同一の符号を付してある。図9において、Lvは差動ビア単体のインダクタンス、Ccは差動ビアのクリアランス部のキャパシタンスである。巻数比N:1の電源プレーン・グランドプレーン対と差動ビア間トランス回路909,910は、電源プレーン・グランドプレーン対と差動ビアとの間の等価回路を接合する部分である。
なお、電源プレーン・グランドプレーン対第1ポート808とトランス回路909との間、及び電源プレーン・グランドプレーン対第2ポート809とトランス回路910との間には、負性インダクタンス回路モデル911,912がある。この負性インダクタンス回路モデル911,912は、それぞれインダクタンスLDと、電流制御型従属電流源IR、さらには数値発散の抑えるための微小抵抗rdから構成される。電流制御型従属電流源IRには、電源プレーン・グランドプレーン対のポート808,809を流れる電流Iaの2倍の電流Ibが流れるものとする。微小抵抗rdには通常、10-10程度の極めて小さい値を設定する。
差動ビアのインダクタンスLv、負性インダクタンス回路モデル911,912のインダクタンスLD、差動ビアのクリアランス部のキャパシタンスCc、トランス回路909,901の巻数比Nの値は、それぞれ以下の式(13)〜式(16)を近似的に用いると良い。Hはプリント回路基板の誘電体の厚み、εは誘電体の誘電率、μは誘電体の透磁率である。
Figure 0004803127
図9に示した差動ビアの一対のポート802と804、もしくは803と805は、図7(A)、図7(B)で説明した差動線路の等価回路モデルの出力ポート402と404に連結可能である。また、図9に示した電源プレーン・グランドプレーン対のポート808もしくは809は、図5(A)〜図5(D)で説明した電源プレーン・グランドプレーン対の等価回路モデルの該当する場所の電源プレーンとグランドプレーン間に連結可能である。
以上のようにして、電源プレーン・グランドプレーン対の等価回路モデルと、差動線路の等価回路モデルと、差動ビアの等価回路モデルとを、接合部で連結させることにより、差動線路のスキューの有無に係わらず、差動ビアの部分で電源プレーン・グランドプレーン対と干渉しているプリント回路基板の等価回路モデル化が可能となる。
連結後の等価回路モデルは、差動線路にスキューが無い場合は図16(A)、図16(B)に示したプリント回路基板の構造を等価回路モデル化したものとなり、差動線路にスキューが有る場合は図17(A)、図17(B)に示したプリント回路基板の構造を等価回路モデル化したものとなる。
差動線路の部分については、伝送線路シミュレータを用いることにより等価回路モデルを作成することが可能である。このとき、図7(A)、図7(B)に示したように、入力部である第1ポート401と第3ポート403に、差動線路の2つの配線の信号源として互いに逆位相の電流源701,702を設定すると良い。
差動ビアの部分については、例えば参考文献3に記述されたモデルを適用することにより、等価回路モデルの作成が可能である。SPICE等の回路ソルバー107を用いることにより、差動線路の電流分布、電源プレーンとグランドプレーンの端部の電圧分布を効率良く計算することが可能である。
さらに、差動線路の電流分布、電源プレーンとグランドプレーンの端部の電圧分布に式(1)もしくは式(2)を適用することにより、EMIを効率良く計算することが可能である。
なお、差動線路にスキューが有る場合は、例えば図7(B)に示したように、差動線路の等価回路モデル703の第1ポート401と第4ポート404に、配線長差に相当する分のシングル線路の等価回路モデル704,705を付け加えた上で、逆位相の電流源701,702を、スキューが無い場合と同様に第1ポート401と第3ポート403に設定すると良い。
さて、以上説明したモデル化手法では、図10(A)に示すように、図5(A)で説明した電源プレーン・グランドプレーン対のメッシュαの一辺の両端点が一対の差動ビア1003の位置と一致する場合を想定した。この場合、周辺の電源プレーン・グランドプレーン対のメッシュαの一辺の長さ1001を差動ビア1003の間隔と同じにしなくてはならないので、電源プレーン・グランドプレーン対を分割するメッシュ数が膨大になり、計算容量が大きくなる。
この計算容量の緩和方法として、図10(B)のように、差動ビア1003の間隔が電源プレーン・グランドプレーン対のメッシュαの一辺の長さ1001よりも小さいときに、差動ビア1003の中点が電源プレーン・グランドプレーン対のメッシュαの1ノード1004と一致するようにメッシュ化した上で、差動ビアの等価回路モデルと電源プレーン・グランドプレーン対の等価回路モデルを接続する近似モデル化手法を用いることにより、電源プレーン・グランドプレーン対のメッシュ数を削減することが可能である。以下にその手順を示す。
既に説明したとおり、差動ビアから電源プレーン・グランドプレーン対へのノイズ干渉は、コモンモード電流成分からの放射が支配的である。したがって、差動ビアの等価回路において、コモンモード成分とディファレンシャル成分を別個に表現し、コモンモードの等価回路モデルでは電源プレーン・グランドプレーン対との結合を考慮し、ディファレンシャルモードの等価回路モデルでは電源プレーン・グランドプレーン対との結合を無視することは近似として有効である。
例えば、差動ビアのコモンモードモデルに関しては、図11(A)に示すシングルビア同等の回路モデルを用いることが可能である。また、差動ビアのディファレンシャルモードモデルに関しては、図11(B)に示す電源プレーン・グランドプレーン対との結合を無視したモデルを用いることが可能である。図11(A)、図11(B)において、1101は差動ビアのコモンモード第1ポート、1102は差動ビアのコモンモード第2ポート、1103は差動ビアのディファレンシャルモード第1ポート、1104は差動ビアのディファレンシャルモード第2ポートである。
したがって、差動線路と差動ビアの接合部において、差動線路の出力電流および出力電圧を、コモンモード成分とディファレンシャルモード成分に分解し、差動線路の出力のコモンモード成分を差動ビアのコモンモードモデルの入出力(1101もしくは1102)に接合し、差動線路の出力のディファレンシャルモード成分を差動ビアのディファレンシャルモードモデルの入出力(1103もしくは1104)に接合することで、電源プレーン・グランドプレーン対のメッシュの一辺の長さが差動ビアの間隔よりも大きい場合の等価回路モデルを作成することが可能である。
差動線路の出力電流と出力電圧をコモンモード成分とディファレンシャル成分に分解する方法としては、以下の式(17)〜式(20)を満たす、一対の差動線路出力電圧V1,V2、差動線路出力電流I1,I2とコモンモード電圧成分Vc、コモンモード電流成分Ic、ディファレンシャルモード電圧成分Vd、およびディファレンシャルモード電流成分Idとの関係を利用する。
I1+I2=Ic ・・・(17)
(I1−I2)/2=Id ・・・(18)
(V1+V2)/2=Vc ・・・(19)
V1−V2=Vd ・・・(20)
図12に、式(17)〜式(20)の関係を満たす等価回路を示す。図12に示すとおり、差動線路出力ポート1201の出力電圧V1、出力電流I1と、差動線路出力ポート1202の出力電圧V2、出力電流I2と、差動線路コモンモードポート1203のコモンモード電流成分Ic、コモンモード電圧成分Vcと、差動線路ディファレンシャルモードポート1204のディファレンシャルモード電圧成分Vd、ディファレンシャルモード電流成分Idの関係は、電流制御型電流源1205、電圧制御型電圧源1206を用いることにより、等価回路モデルとして作成可能である。
以上の等価回路モデルをSPICE等の等価回路ソルバーで計算し、配線の電流分布、および電源プレーン・グランドプレーン対の端部の電圧分布の計算結果を用いて、スキュー長によるEMIの増加量を見積もることが可能である。
例えば、差動線路にスキューが無い場合のプリント回路基板のEMIの計算値をEMIref、差動線路にスキュー長ΔLのスキューが有る場合のプリント回路基板のn(n=1,2,3,・・・・)回目のEMI計算値をEMI(nΔL)、許容EMI増加量をΔEとする。このとき、図4を用いて説明したように、スキュー長ΔLを更新する度にEMI(nΔL)を計算し、特定のn回目の計算のときに初めて式(21)を満たした場合、直前の(n−1)回目の計算において用いたスキュー長ΔLを最大許容スキュー長とすればよい。すなわち、(n−1)回目の計算において、差動線路にスキューが有る場合の計算値EMI((n−1)ΔL)と差動線路にスキューが無い場合の計算値EMIrefとの差であるEMI増加量ΔEcalが許容EMI増加量ΔEと略等しくなったと見なすことになる。
EMI(nΔL)−EMIref>ΔE ・・・(21)
なお、初回の計算(n=1)において式(21)を満たした場合は、スキュー長の初期値ΔLをさらに小さい値、例えばΔL/2に設定し直した上で、図4で説明した処理を行えばよい。
以下に、本実施例の差動線路EMI解析システムの計算結果を示す。差動線路の断面構造に関しては、図6(A)、図6(B)において、差動線路の配線幅DW=0.24mm、差動線路の配線間隔DI=0.24mm、誘電体の厚みh=0.2mm、差動線路の配線の厚みΔh=0.043mmとする。
さらに、図13(A)、図13(B)に示す差動線路を実装したプリント回路基板構造において、差動線路503の配線長1301を50mm、差動線路510の配線長1302を50mm、差動線路511の配線長1303を50mmとする。電源プレーン・グランドプレーン対の縦の長さ1305を100mm、横の長さ1304を200mmとする。
さらに、差動線路の位置情報として、図13(A)の電源プレーン・グランドプレーン対の左端から差動線路の入力ポートまでの距離1306を50mm、図13(A)の電源プレーン・グランドプレーン対の下端から差動線路の入力ポートまでの距離1307を50mmとする。差動線路503,510,511は、電源プレーン・グランドプレーン対の横辺に平行であるとする。
さらに、電源プレーン505とグランドプレーン506間の距離Hを0.2mmとする。プリント回路基板の比誘電率を4.3、導電率を5.8×10-7S/mとする。さらに、プリント回路基板の電源プレーン・グランドプレーン対の等価回路モデルの1メッシュを5mm×5mmの正方形とする。差動ビアのモデルは、差動ビア間隔が電源プレーン・グランドプレーン対の等価回路モデルのメッシュの一辺の長さより小さい場合の近似手法を用いたモデルとする。式(13)〜式(15)における差動ビアのクリアランス半径rbは0.5mm、差動ビアの半径raは0.15mmであるとする。
本実施例の差動線路EMI解析システムにより、差動線路にスキューが無い場合の差動線路部からのEMI(差動線路の電流分布に式(1)を作用させることにより得られたEMI)であるEMIref、差動線路にスキュー長ΔL=0.2mm(n=1)のスキューが有る場合のEMI(1ΔL)、差動線路にスキュー長ΔL=0.4mm(n=2)のスキューが有る場合のEMI(2ΔL)の計算結果は、図14に示すとおりとなっている。
したがって、スキュー長ΔLが0.4mm(n=2)となったとき、解析周波数において初めてEMI(nΔL)が許容EMI増加量ΔE=0dBを超える値となる。これにより、最大許容スキュー長は、(n−1)回目の計算において使用したスキュー長ΔL=0.2mmとなる。
以上のように、本実施例によれば、差動線路の等価回路モデルと差動ビアの等価回路モデルと電源プレーン・グランドプレーン対の等価回路モデルとを別個に作成した上で結合し、差動線路のスキューにより増加する、電源プレーン・グランドプレーン対からのEMIの増加量を等価回路解析結果に等価磁流源を想定することにより計算し、許容EMI増加量を超えない範囲で最大の許容スキュー長を求めることができる。その結果、本実施例は、不要輻射対策を行うEMC分野や電気実装の分野においてきわめて有用な手段を提供することができる。
[第3実施例]
次に、本発明の第3実施例について説明する。図15は、本発明の第3実施例に係る差動線路EMI解析システムの構成を示すブロック図である。本発明は、第2実施例の差動線路EMI解析システムをコンピュータで実現する場合の構成を示すものである。
図15において、本実施例の差動線路EMI解析システムは、本発明の差動線路EMI解析プログラムと回路ソルバーのプログラムとが記録された記録媒体1502と、コンピュータ1500とからなる。コンピュータ1500は、データの入出力を行うインタフェースである入出力部1501と、記録媒体1502から読み込まれたプログラムあるいはデータを記憶するメモリ1503と、全体を制御したり、計算などの処理を行う演算部(CPU)1504と、計算結果を出力して表示する表示部1505とを含む。また、バス1506は、入出力部1501とメモリ1503と演算部1504と表示部1505とを互いに接続している。
このように、本実施例の差動線路EMI解析システムは、パーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータ1500により実現される。このようなコンピュータを動作させるための差動線路EMI解析プログラムは、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD等の読み取り可能な記録媒体に記録された状態で提供される。演算部1504は、記録媒体1502から読み込んだプログラムをメモリ1503に書き込み、このプログラムに従って第1実施例、第2実施例で説明した処理を実行する。
本発明は、差動線路と電源プレーン・グランドプレーン対と差動ビアとを実装したプリント回路基板構造の解析技術に適用することができ、不要輻射対策を行うEMC分野や電気実装の分野で利用することができる。
本発明の第1実施例に係る差動線路EMI解析システムの構成を示すブロック図である。 図1の差動線路EMI解析システムの解析処理の手順を示すフローチャートである。 本発明の第2実施例に係る差動線路EMI解析システムの構成を示すブロック図である。 図3の差動線路EMI解析システムの解析処理の手順を示すフローチャートである。 本発明の第2実施例におけるプリント回路基板の電源プレーン・グランドプレーン対の等価回路モデルを示す図である。 本発明の第2実施例におけるプリント回路基板の差動線路の平面図及び断面図である。 図6の差動線路の等価回路モデルを示す図である。 一対の差動ビアと電源プレーン・グランドプレーン対とが交差している構造を説明する断面図である。 差動ビアと電源プレーン・グランドプレーン対との電気的結合を表す等価回路を示す図である。 差動ビアの位置と電源プレーン・グランドプレーン対の等価回路モデルとの位置関係を示す平面図である。 図10において、電源プレーン・グランドプレーン対の等価回路モデルのメッシュの一辺が差動ビア間隔よりも大きい場合に適用される、差動ビアと電源プレーン・グランドプレーン対との電気的結合を表す等価回路を示す図である。 差動線路の出力部において出力電流と出力電圧をコモンモード成分とディファレンシャル成分の電流と電圧に変換するための等価回路を示す図である。 本発明の第2実施例における差動線路を搭載したプリント回路基板の構造情報を示す平面図及び断面図である。 本発明の第2実施例の計算結果を示す図である。 本発明の第3実施例に係る差動線路EMI解析システムの構成を示すブロック図である。 差動線路を搭載したプリント回路基板の平面図及び断面図であり、配線長差が無い場合の差動ビア部での電源系への干渉を模擬的に示した図である。 差動線路を搭載したプリント回路基板の平面図及び断面図であり、配線長差が有る場合の差動ビア部での電源系への干渉を模擬的に示した図である。
符号の説明
101…プリント回路基板情報入力部、102…物理定数入力部、103…メッシュ情報入力部、104…伝送線路特性算出ソルバー、105…プリント回路基板等価回路作成部、106…許容EMI増加量指定部、107…回路ソルバー、108…回路計算部、109…EMI計算部、109a…EMI増加量計算部、109b…最大許容スキュー決定部、110…最大許容スキュー表示部、1500…コンピュータ、1501…入出力部、1502…記録媒体、1503…メモリ、1504…演算部、1505…表示部。

Claims (11)

  1. 差動線路と電源プレーン・グランドプレーン対とこの電源プレーン・グランドプレーン対を貫く差動ビアとを実装したプリント回路基板から放射される不要輻射(EMI)の増加量が、前記差動線路にスキューが無い場合の基準EMIの量に対して所定の許容EMI増加量を満たすときの最大の許容スキュー長を求める差動線路EMI解析システムであって、
    前記差動線路にスキューが無い場合とスキューが有る場合の各々について、プリント回路基板等価回路モデルを作成するプリント回路基板等価回路作成手段と、
    このプリント回路基板等価回路モデルから、前記電源プレーン・グランドプレーン対の電圧分布と前記差動線路の電流分布を計算する回路計算手段と、
    この回路計算手段の計算結果を用いて、前記差動線路にスキューが無い場合のプリント回路基板等価回路モデルから求めた基準EMIに対して、前記差動線路にスキューが有る場合のプリント回路基板等価回路モデルから求めたEMIの増加量を計算するEMI増加量計算手段と、
    あらかじめ指定された許容EMI増加量と前記EMI増加量計算手段が計算したEMI増加量の大小を比較し、前記許容EMI増加量未満のEMI増加量となる最大のスキュー長を最大許容スキュー長として決定する最大許容スキュー決定手段とを備えることを特徴とする差動線路EMI解析システム。
  2. 請求項1記載の差動線路EMI解析システムにおいて、
    前記プリント回路基板等価回路作成手段は、前記差動線路にスキューが無い場合とスキューが有る場合の各々について、前記差動線路の等価回路モデルと前記電源プレーン・グランドプレーン対の等価回路モデルと前記差動ビアの等価回路モデルとを結合したプリント回路基板等価回路モデルを作成することを特徴とする差動線路EMI解析システム。
  3. 請求項2記載の差動線路EMI解析システムにおいて、
    さらに、前記プリント回路基板の構造に関する情報を入力するプリント回路基板情報入力手段と、
    前記プリント回路基板を構成する材質の物理定数を入力する物理定数入力手段と、
    前記電源プレーン・グランドプレーン対の等価回路モデル作成用のメッシュに関する情報を入力するメッシュ情報入力手段と、
    前記差動線路の伝送線路特性を算出する伝送線路特性算出ソルバーと、
    前記許容EMI増加量を指定する許容EMI増加量指定手段と、
    前記プリント回路基板等価回路モデルの回路解析を実行する回路ソルバーとを備え、
    前記伝送線路特性算出ソルバーは、前記プリント回路基板の構造に関する情報と前記物理定数を基に前記差動線路の伝送線路特性を算出し、
    前記プリント回路基板等価回路作成手段は、前記プリント回路基板の構造に関する情報と前記物理定数と前記伝送線路特性算出ソルバーの算出結果と前記メッシュに関する情報を基に前記プリント回路基板等価回路モデルを作成し、
    前記回路計算手段は、前記回路ソルバーを用いて前記電源プレーン・グランドプレーン対の電圧分布と前記差動線路の電流分布を計算することを特徴とする差動線路EMI解析システム。
  4. 請求項3記載の差動線路EMI解析システムにおいて、
    前記プリント回路基板等価回路作成手段は、前記メッシュ情報入力手段によって指定されたメッシュに対して、前記プリント回路基板の電源プレーン・グランドプレーン対に平行平板モデルを適用した等価回路を作成し、前記差動線路の伝送線路パラメータを計算した上で前記差動線路の等価回路モデルと前記差動ビアの等価回路モデルを作成し、前記差動線路の等価回路モデルと前記電源プレーン・グランドプレーン対の等価回路モデルと前記差動ビアの等価回路モデルとを結合したプリント回路基板等価回路モデルを作成することを特徴とする差動線路EMI解析システム。
  5. 請求項4記載の差動線路EMI解析システムにおいて、
    前記プリント回路基板等価回路作成手段は、前記電源プレーン・グランドプレーン対の等価回路モデルのメッシュ幅が前記差動ビアの間隔より大きい場合に、2つの差動ビア用のノードを1つにまとめた上で、電流制御型従属電流源と電圧制御型従属電圧源を併用して前記差動線路と前記差動ビアとの接合部の等価回路を作成し、コモンモード成分とディファレンシャルモード成分に分けて前記差動ビアの等価回路を作成することを特徴とする差動線路EMI解析システム。
  6. 請求項5記載の差動線路EMI解析システムにおいて、
    前記プリント回路基板等価回路作成手段と前記回路計算手段と前記EMI増加量計算手段と前記最大許容スキュー決定手段とは、前記許容EMI増加量と前記EMI増加量計算手段によって計算されるEMI増加量が略等しくなるまで、前記スキュー長を更新する度に前記プリント回路基板等価回路モデルの作成と前記電圧分布と電流分布の計算と前記EMI増加量の計算と前記EMI増加量の大小比較とを行うことを特徴とする差動線路EMI解析システム。
  7. 請求項6記載の差動線路EMI解析システムにおいて、
    前記プリント回路基板等価回路作成手段は、前記差動線路の等価回路モデルの一端を電流源として指定することを特徴とする差動線路EMI解析システム。
  8. CPUとメモリとを備えたコンピュータを用いて、差動線路と電源プレーン・グランドプレーン対とこの電源プレーン・グランドプレーン対を貫く差動ビアとを実装したプリント回路基板から放射される不要輻射(EMI)の増加量が、前記差動線路にスキューが無い場合の基準EMIの量に対して所定の許容EMI増加量を満たすときの最大の許容スキュー長を求める差動線路EMI解析方法であって、
    前記差動線路にスキューが無い場合とスキューが有る場合の各々について、プリント回路基板等価回路モデルを作成するプリント回路基板等価回路作成手順と、
    このプリント回路基板等価回路モデルから、前記電源プレーン・グランドプレーン対の電圧分布と前記差動線路の電流分布を計算する回路計算手順と、
    この回路計算手順の計算結果を用いて、前記差動線路にスキューが無い場合のプリント回路基板等価回路モデルから求めた基準EMIに対して、前記差動線路にスキューが有る場合のプリント回路基板等価回路モデルから求めたEMIの増加量を計算するEMI増加量計算手順と、
    あらかじめ指定された許容EMI増加量と前記EMI増加量計算手順で計算されたEMI増加量の大小を比較し、前記許容EMI増加量未満のEMI増加量となる最大のスキュー長を最大許容スキュー長として決定する最大許容スキュー決定手順とを、前記メモリに記憶されたプログラムに従って前記CPUに実行させることを特徴とする差動線路EMI解析方法。
  9. 請求項8記載の差動線路EMI解析方法において、
    前記プリント回路基板等価回路作成手順は、前記差動線路にスキューが無い場合とスキューが有る場合の各々について、前記差動線路の等価回路モデルと前記電源プレーン・グランドプレーン対の等価回路モデルと前記差動ビアの等価回路モデルとを結合したプリント回路基板等価回路モデルを作成することを特徴とする差動線路EMI解析方法。
  10. 差動線路と電源プレーン・グランドプレーン対とこの電源プレーン・グランドプレーン対を貫く差動ビアとを実装したプリント回路基板から放射される不要輻射(EMI)の増加量が、前記差動線路にスキューが無い場合の基準EMIの量に対して所定の許容EMI増加量を満たすときの最大の許容スキュー長を求める差動線路EMI解析プログラムであって、
    前記差動線路にスキューが無い場合とスキューが有る場合の各々について、プリント回路基板等価回路モデルを作成するプリント回路基板等価回路作成手順と、
    このプリント回路基板等価回路モデルから、前記電源プレーン・グランドプレーン対の電圧分布と前記差動線路の電流分布を計算する回路計算手順と、
    この回路計算手順の計算結果を用いて、前記差動線路にスキューが無い場合のプリント回路基板等価回路モデルから求めた基準EMIに対して、前記差動線路にスキューが有る場合のプリント回路基板等価回路モデルから求めたEMIの増加量を計算するEMI増加量計算手順と、
    あらかじめ指定された許容EMI増加量と前記EMI増加量計算手順で計算されたEMI増加量の大小を比較し、前記許容EMI増加量未満のEMI増加量となる最大のスキュー長を最大許容スキュー長として決定する最大許容スキュー決定手順とを、コンピュータに実行させることを特徴とする差動線路EMI解析プログラム。
  11. 請求項10記載の差動線路EMI解析プログラムにおいて、
    前記プリント回路基板等価回路作成手順は、前記差動線路にスキューが無い場合とスキューが有る場合の各々について、前記差動線路の等価回路モデルと前記電源プレーン・グランドプレーン対の等価回路モデルと前記差動ビアの等価回路モデルとを結合したプリント回路基板等価回路モデルを作成することを特徴とする差動線路EMI解析プログラム。
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